[NTP]ニュースレター

UPDATE Newsletter

November 2018

https://ntp.niehs.nih.gov/update/index.html

 

-ピロリ菌:慢性感染の発がん物質報告書(RoC)レビュー

RoC Review of Helicobacter pylori (H. pylori): Chronic Infection

https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/roc/listings/hpylori/index.html

 

-三酸化アンチモンのRoCレビュー

RoC Review of Antimony Trioxide

https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/roc/listings/antimonyt/index.html

 

[NAS]持続可能な食生活、食品、栄養:ワークショップの概要

Sustainable Diets, Food, and Nutrition: Proceedings of a Workshop—in Brief

November 8, 2018

http://nationalacademies.org/hmd/Reports/2018/sustainable-diets-food-and-nutrition-proceedings-in-brief.aspx?

201881および2日にワシントンで開催されたワークショップ

持続可能な食生活とは何か?から始まってどうやって測定し解析するのか、政策は、技術革新、などを議論する

(全部で9ページの簡潔なまとめ。ひとつだけ図があって、ずば抜けて環境負荷が高いのは牛肉、ということが示されている。特に効率の悪い畜産が大きな問題だとのこと。

 

[論文]論文

-殺虫剤はミツバチの社会行動に影響

Pesticide affects social behavior of bees

Science  09 Nov 2018:Vol. 362, Issue 6415, pp. 643-644

ミツバチのコロニーの中での行動を監視する新しいシステムを開発してイミダクロプリドの慢性暴露の影響を調べた

(どちらかというと方法論の開発の話)

Neonicotinoid exposure disrupts bumblebee nest behavior, social networks, and thermoregulation

James D. Crall et al.,

Science  09 Nov 2018: Vol. 362, Issue 6415, pp. 683-686

 

-筋肉を作ることに熱中している男性は暴飲や他の問題に苦しんでいる

Men focused on muscle building struggle with binge drinking and other problems

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/nuos-mfo110518.php

理想を求めて努力しているのに思ったとおりにならない男性は精神衛生上の病のリスクがある。International Journal of Eating Disorders

筋肉を作ることに過剰に熱中している若い男性は鬱、週末の暴飲、肥満に関係のないダイエットのリスクが有意に高く、違法あるいは合法サプリメントやステロイドなどを使う可能性が4倍。男性の約10%がボディイメージ疾患(実際はそうでないのに太りすぎだからもっと痩せなければと考えている)である。

Cristiano Ronaldoと比べたらなかなか満足できないだろう。)

 

-大豆ベースの乳児用ミルクは若い女性の月経痛リスク増加に関連

Soy-based formula milk is linked to increased risk of menstrual pain in young women

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/esoh-sfm110718.php

Human Reproduction。赤ちゃんの時に豆乳ベースのミルクを与えられた女性は月経時の激しい痛みに苦しむリスクが高い。米国の2010-2012に募集した当時23-35才だった1553人の女性のデータを調べたもの。このうち13%198人が豆乳ミルクを与えられていた。

(推奨されていない豆乳ミルクを13%も使っていることのほうが問題なのでは。)

 

-The Lancet:最新世界疾病推定は、医療従事者の不足とあわせて、世界の健康の前進が必ずおこるとは言えないことを示す

The Lancet: Latest global disease estimates, combined with health worker shortfall, show that global progress in health is not inevitable

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/tl-tll110718.php

2017年の世界の死亡率の改善は全体としてそれほど顕著ではなく、率は頭打ちあるいは一部で悪化した

・世界的には出生率は1950年以降減っている。91ヶ国では現在の人口を維持できない

・半分の国では医療従事者が不足している

・紛争やテロ、オピオイドの流行などの新興傾向は対策をとらないと負の方向へ

・世界の死亡の半分はたった4つのリスク要因による-高血圧、喫煙、高血糖、高BMI

2017年の世界の障害の主要な原因は腰痛、頭痛疾患、鬱疾患

 

-オタゴの研究は砂糖税を要求

Otago study calls for sugar tax

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/uoo-osc110718.php

PeerJ。ニュージーランドでは砂糖入り飲料を多く飲む人はファストフードやお菓子を多く食べ健康的食生活の選択をすることが少ない

(だから砂糖税を、の論理が弱いと思うのだが)

 

-新しく発見された天然にカフェインの少ない茶の木

A newly discovered, naturally low-caffeine tea plant

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/acs-and110818.php

Journal of Agricultural and Food Chemistryに報告

(デカフェブームだから)

 

-UCLAの研究者と関係者がシーフード偽装を減らすために寿司レストランと協力

UCLA researchers and partners work with sushi restaurants to reduce seafood fraud

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/uoc--ura110818.php

8月以降、UCLAの学生80人などが寿司の一部を購入して研究してDNAを分析して魚の種類を調べた。結論としては「寿司の誤表示は蔓延している;意図的偽装はそれほど多くはない」だった。Frontiers in Ecology and the Environmentに発表

誤表示の主な理由はFDAの規制と生物学の実際が一致しないことである。FDAの認めた名前だけを使って多数の寿司で提供している魚を正確に同定するのは困難である。

研究者らは寿司店の名前を公表していないがSugarfishは自ら公表し、メニューの表示をDNA配列に基づいて同定した魚にしている。

 

-台所用品は使用後に抗菌ナノ粒子をばらまくのか?

Do kitchen items shed antimicrobial nanoparticles after use?

8-Nov-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-11/nios-dki110818.php

米国以外で、銀ナノ粒子を組み込んだ食品と接触する物質(FCMs)が販売されている。これらの使用により食品や環境にナノ粒子が移行し、ヒト健康リスクになるのではないかという懸念がある。FDANISTCPSCの研究者らがナノ銀含有まな板の上で包丁を使い、洗い、引っ掻いた場合のシミュレーションと放出を調べた。Food Additives and Contaminants: Part A.に発表。(主に方法論)

 

Scienceから

-誰の科学?レギュラトリー「サイエンスウォーズ」の新時代

Whose science? A new era in regulatory “science wars”

Wendy Wagner et al.,

Science  09 Nov 2018: Vol. 362, Issue 6415, pp. 636-639

法律の専門家による記事。

良い法律には良い科学が必要であるが、良い科学は決して保証されたものではない。法における科学の使用についての議論は法律そのものと同じくらい古い。健康と環境規制においては少なくとも3/4世紀は「サイエンスウォーズ」が続いているため、現在のレギュラトリーサイエンス改革提案も過去のものと同じようなものだと思いたくなるかもしれないが、違う。過去50年のレギュラトリーサイエンスの法的発達について俯瞰し、現在の改革がどれだけ特異であるかを示し、そして科学者はその意味を知る必要がある

(アメリカの話)

 

-毒針を止める

Stopping the sting

Science  09 Nov 2018: Vol. 362, Issue 6415, pp. 631-635

クラゲに刺されて死にそうになったことからクラゲの毒の研究者になったAngel Yanagiharaについて。クラゲに刺されて死ぬのはしかたがない、というマインドをクラゲの毒は対策できるしすべき、に変える

 

-米国の研究室は記録的数のサルを使っている

U.S. labs using a record number of monkeys

Science  09 Nov 2018: Vol. 362, Issue 6415, pp. 630

昨年の米国の生命医学研究で使われたサルの数が過去最高だった-約76000。科学者がマウスや犬などよりヒト以外の霊長類のほうが有用だと信じて需要が増えたことを反映しているようだ。この数字は実験に使われる動物を減らしたいとするグループにとっては残念なものである(2017年は猫以外は全部増えている)

動物愛護団体は新しい数字を議会への働きかけ強化に使いたい