2018-12-13

英国議会下院特別委員会

議員は子どもたちのエネルギードリンク消費削減対応を支持

MPs support action to reduce energy drink consumption among children

04 December 2018

https://www.parliament.uk/business/committees/committees-a-z/commons-select/science-and-technology-committee/news-parliament-2017/energy-drinks-children-report-published-17-19/

科学技術委員会のエネルギードリンクと子ども報告書は、こどもへのエネルギードリンクの販売を禁止することは社会的懸念により正当化されると結論した。しかしながら現在の定量的根拠だけでは法による禁止には十分ではない

(モノとしてのハザードはそれほど突出しているわけではないが売られかたや摂取パターンが社会の良識を逆撫でする、という感じ。コーヒーやお茶より若い人がたくさん飲みやすい)

 

論文

-今時の医薬品開発:分子は必要ない

Drug discovery today: no molecules required

Alexander Y Panchin et al.,BMJ EBM

https://ebm.bmj.com/content/early/2018/12/05/bmjebm-2018-111121

過去15年、無数のピアレビューのある雑誌がいわゆるrelease-active “drugs” (RADs)の信じがたいような性質についての論文を発表してきた。曰くダニ由来の脳炎、インフルエンザ、腎症候群を伴う出血熱、髄膜炎、ヘルペス、HIV、その他ウイルスや細菌の感染症、糖尿病、勃起不全、睡眠障害、肥満、慢性炎症性関節疾患、注意欠多動障害、アルコール依存等に有効と。さらに抗生物質耐性に打ち克ち統合失調症などにも効く。驚くべきことにこの画期的「医薬品」は有効成分が一分子も含まれず、ホメオパシーの新ブランドと考えられる。製造しているのはOOO ‘NPF ‘Materia Medica Holding’ (MMH)というロシアの会社。

(以下略)

Release Active Drugs – Homeopathy By Another Name

Steven Novella  on December 12, 2018

https://sciencebasedmedicine.org/release-active-drugs-homeopathy-by-another-name/

PubMed収載論文のp-ハッキングを解説

そして既にRADは数百万ドル販売されている

 

-過剰な体重が世界中のがんの約4%に寄与

Excess body weight responsible for nearly 4 percent of cancers worldwide

12-Dec-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-12/acs-ebw120718.php

ほとんどの国で全ての年齢集団で頻度が増加

米国がん学会によるCA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表された報告。

 

-人気のあるレストランチェーンの食事のカロリーが「過剰」だと専門家が警告

Calories in popular restaurant chain meals 'excessive' warn experts

12-Dec-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-12/uol-cip121218.php

The BMJクリスマス特集。

PHEが最近昼食と夕食のカロリーとして600kcalを推奨した。これまでファストフード栄養の乏しさについてはよく調べられてきたが、フルサービスレストランはそれほど注目されてこなかった。そこでフルサービス21とファストフード6の英国大規模チェーンレストランの13500の主要メニューのカロリーを解析した。その結果ファストフード平均は751kcalに対してフルサービスレストランの料理は1033 kcalだった

 

-その他BMJクリスマス特集

クリスマス休暇期間の体重増加を予防する簡単な行動介入の有効性:RCT

Effectiveness of a brief behavioural intervention to prevent weight gain over the Christmas holiday period: randomised controlled trial

https://www.bmj.com/content/363/bmj.k4867

介入方法は体重を計ること、休暇中に食べる食品のカロリーに関する情報を提供すること

 

エディトリアル

食品に関する公衆衛生議論に調和を

Bringing harmony to public health debates about food

Jean Adams

https://www.bmj.com/content/363/bmj.k5028

役にたたないイデオロギーを捨てて共通基盤を探ろう

食行動などのライフスタイルが個人の責任か環境要因が大きいか、政府がどこまで介入すべきかについての議論が白熱するが、幾分かの根拠はあるものの立場の違いはしばしばイデオロギーによる。

地には平和を

公衆衛生コミュニティがイデオロギー抗争ではなく効果的変化を望むなら、全ての人にとって魅力的な方法を探り多くの異なるアプローチの価値を認める必要があろう

 

ほかに障害のあるバービー人形のようなインクルーシブおもちゃ、医学文献に絵文字の使用、クリスマスイブの心臓発作リスクが高い、1629-1660年に記録された死因と死亡数https://www.bmj.com/content/363/bmj.k5014(咳と消耗46583は結核だろうな、とか狼8飢餓51悲嘆279道で死んでた243)など

 

-イネが種子由来クローンとして育つ

Rice plants that grow as clones from seed

12-Dec-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-12/uoc--rpt121018.php

無配偶生殖apomixis。イネに遺伝子編集で減数分裂能力を失わせ、さらにBBM1を発現させると胚を作る能力のある二倍体の卵細胞ができ、クローン種子になる。この方法だと新しい種子を買う必要が無くなるので農業が大きく変わる可能性がある。Nature

 

-政府や研究者は効率の悪い土地利用が気候変動に与える影響を過小に評価している

Governments, researchers underestimate impact of inefficient land-use on climate change

12-Dec-2018

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2018-12/pu-gru121118.php

Natureに発表されたプリンストン大学のTim Searchingerらの研究。根本的な問題は政策決定者や研究者が地球上にある土地は限られているという事実に真に向き合っていないこと。何かの目的で土地を使用するということはそれをほかの目的では使用できないというコストになるが、そのことが考慮されていない。土地の使用コストを組み入れると豊かな国の食生活による温室効果ガス排出量ははるかに大きくなる。しかし牛羊肉と乳製品を減らすことの排出量削減効果も大きくなる

 

SMC UK

労働環境での金属や農薬への暴露と心血管系疾患の研究への専門家の反応

expert reaction to study on workplace exposure to metals and pesticides and cardiovascular disease

December 12, 2018

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-on-workplace-exposure-to-metals-and-pesticides-and-cardiovascular-disease/

Heartに発表された研究が金属や農薬と一緒に働くとヒスパニック/ラテンアメリカ系の労働者で特異的に心血管系疾患のリスク要因になる可能性があると示唆する

Nottingham大学准教授Wayne Carter博士

この論文は興味深い知見を提供するがこれらの知見の解釈には注意が必要だ。なぜなら直接測定したものは何もなく自己申告が暴露の指標で用語は金属と農薬という大雑把なもので家庭内暴露は調べていないなどの限界がある。従って金属や農薬への慢性暴露がCVDのリスク要因かもしれないがさらなる根拠が必要である

 

SMC NZ

-合成薬物取り締まり 専門家の反応

Synthetic drug crackdown – Expert Reaction

13 December 2018

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/12/13/synthetic-drug-crackdown-expert-reaction/

合成薬物関連死の増加に対応して政府が薬物政策の一連の変更を示唆している

変更の中には二つの合成薬物をクラスA薬物に分類することや新規約物を暫定的に入れる分類を作ること、治療のほうが適切な人の個人使用や所持を警察が逮捕すべきでないと改訂することなどが含まれる。SMCは専門家の意見を尋ねた。

以下略

 

-農場からの流出を規制する-専門家の反応

Regulating farm runoff – Expert Reaction

12 December 2018

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2018/12/12/regulating-farm-runoff-expert-reaction/

議会環境コミッショナーは農場管理ソフトOverseerが規制の文脈で目的に適うかどうかレビューする

Overseerは一次産業省と農業研究所、ニュージーランド肥料協会が農場の効率的利用と栄養損失、水質管理のために使っているモデルである。これを農場由来の栄養汚染規制に使う方法について報告した。この件に関する専門家の意見を集めた。

以下略

 

その他

-ホメオパシー団体はベネフィットがあるという医学的根拠を提供できなければ慈善団体としての地位を失う可能性

Homeopathy organisations could lose charitable status if they can’t provide medical evidence of benefits

https://www.independent.co.uk/news/health/homeopathy-charity-commission-review-charitable-status-complementary-alternative-medicine-a8678276.html

ホメオパシー治療には測定可能な医学的効果は証明されておらず、昨年NHSが資金提供を禁止した

英国チャリティー委員会が代替医療を推進する団体への規則を総点検し、全ての医学的主張には科学的根拠を提供しなければならなくなった。この新しいガイドラインは既に登録されている団体にも適用される。いくつかのホメオパシー団体にとって問題になる

 

-グリホサート無しの農業:そのコストは?

Agriculture without glyphosate: The costs?

Hembree Brandon | Dec 12, 2018

https://www.deltafarmpress.com/commentary/agriculture-without-glyphosate-costs

北米全体では、グリホサート耐性大豆の利益は低価格により年間30億ドルと計算されている

1996年にGM作物と対になってから、グリホサートの使用は15倍以上に増加したが除草剤全体の使用は一定で、単位面積あたりの除草剤の毒性は低下した。グリホサートが禁止されたら増加するだろう。

もう一つの重要な影響は不耕起栽培あるいは最小耕起栽培に対して。

 

-2018年上半期に2066人のカナダ人がオピオイド過剰使用で死亡した

2,066 Canadians died of opioid overdoses in the first half of 2018

December 12, 2018 7

https://globalnews.ca/news/4754876/opioid-overdose-canada-deaths-2018/

カナダ公衆衛生省が新しく発表した数字。

この数字は我々がまだこの危機の潮目を変えることができていないことを示唆する。この数字の945が事故による過剰使用、そのうち72%がフェンタニル

 

-魚偽装再び

Fish Fraud Strikes Again

by Wellness Letter  Published December 11, 2018

http://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/fish-fraud-strikes-again

毎年魚の偽装が蔓延しているという知見が発表されるが2018年もそうだった。FAOによると、魚偽装とは「通常経済的利益のために消費者を欺く意図で魚を違法に販売する」こと。多くの場合安い魚をより高価な魚に偽装したり違法操業で獲ったものを売ったり脱税したりする。魚は、特に切り身にしたり加工した後だと種類の判別が簡単ではないので偽装は簡単である。

最新の研究は6月にFood Controlに発表された研究で、バンクーバーで販売されていた281のシーフードをDNAバーコーディングで調べた。レストランでは28%が誤表示、小売店が24%、寿司屋が22%だった。これまでの研究ではもっと高率の偽装が報告されているものもある。

あなたができること

欧州では捕まえたところから食卓までのシーフードの追跡で魚偽装が大きく減った。米国では2018年から発効するシーフード輸入監視計画が同じように働くだろう。それまでの間、以下を薦める

・魚についていろいろ尋ねる。魚屋ならより詳しいだろう

・可能なら丸ごとの魚を買う

・安すぎるものには注意

・認証団体による認証

ただし多分最も簡単な解決法は安い魚を買うことだろう。本物である可能性が高い。

 

-Pret a Managerへの消費者の信頼は食物アレルゲン悲劇の後20%ポイント低下

Consumer trust in Pret a Manager has fallen by 20% points after the food allergen tragedy.

October 12, 2018

https://www.prweek.com/article/1495907/consumer-trust-pret-plummets-20-percentage-points-allergen-tragedy

データ解析会社Newton Insightによると、最近の食物アレルギーの悲劇の取り扱いに関する報道のあと、Pret a Managerへの消費者の信頼と楽しみは急激に低下した。

9月後半に10代のNatasha Ednan-Laperouseのアレルゲン表示に関連する悲劇的死亡へのこのブランドの対応が報道された。アレルゲンを全て表示する動きがあまりにも遅すぎてブランドイメージの低下を招いたことに専門家は概ね合意している。

Newton Insight4万アカウントのソーシャルメディアでのPret a Managerへの言及を測定した。事件前の11日から922日までと報道後の923日から109日までの比較で不信が10%増加し信頼が10.4%低下した

(図有り)