2019-02-06

[EFSA]意見等

-FEFANA asbl社が提出した文書に基づいた、全ての動物種用Corynebacterium glutamicumの様々な株を用いて生産された濃縮L-リジン(塩基)、L-リジン塩酸塩、L-リジン硫酸塩の安全性

Safety of concentrated l‐lysine (base), l‐lysine monohydrochloride and l‐lysine sulfate produced using different strains of Corynebacterium glutamicum for all animal species based on a dossier submitted by FEFANA asbl

EFSA Journal 2019;17(1):5532  31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5532

受容株C. glutamicum KCTC 12307BPには安全性評価の安全性適格推定(QPS)アプローチが適格だとされ、遺伝子組換えは安全上の懸念をもたらさず、ゲノムに残された導入された抗生物質耐性遺伝子はない。最終製品に生産株および/または組換えDNAの有/無に関する不確実性が残っても、安全上の懸念は生じない。C. glutamicum KCTC 12307BPあるいはC. glutamicum KCCM 11117Pが生産した液体L-リジン(塩基)及びL-リジン、及びC. glutamicum NRRL B‐50547が生産したL-リジンHClは対象種、消費者、環境に安全だと考えられる。L-リジン硫酸塩の生産にC. glutamicum DSM 24990を使用することは対象種、消費者、使用者、環境に安全だと考えられる。総硫黄(S)摂取量が科学団体が設定した推奨に従っているのなら、提案された含有量0.5–30 g硫酸塩/ kg補完飼料で対象種に悪影響は予想されない。L-リジン硫酸塩の生産にC. glutamicum KCCM 10227株を使用することは、抗菌剤耐性に関して、対象種、消費者、使用者環境に安全だと考えられる。

 

-ADM社が提出した文書に基づき、全ての動物種用Corynebacterium glutamicum NRRL B‐50775株を用いた発酵で生産されたL‐リジン塩酸塩及び濃縮液L‐リジン(塩基)の安全性と有効性

Safety and efficacy of l‐lysine monohydrochloride and concentrated liquid l‐lysine (base) produced by fermentation using Corynebacterium glutamicum strain NRRL B‐50775 for all animal species based on a dossier submitted by ADM

EFSA Journal 2019;17(1):5537  31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5537

最終製品に生産株C. glutamicum NRRL B‐50775も反芻動物のDNAも検出されなかった。そのため、この製品はこの生産株の遺伝子組換えに関する安全上の懸念を引き起こさない。C. glutamicum NRRL B‐50775株で生産したL-リジンHCl及び濃縮液L-リジン(塩基)は対象種、消費者、環境に安全だと考えられる。C. glutamicum NRRL B‐50775が生産したL-リジンHCl及び濃縮液L-リジン(塩基)は、非反芻動物種用必須アミノ酸L-リジンの有効源だと考えられる。補完L-リジンが非反芻動物種と同様に反芻動物で有効であるためには、反芻動物の第一胃の分解から守る必要がある。

 

-全ての動物種用Corynebacterium glutamicum KCCM 11201P株を使用した発酵で生産されたL‐バリンの安全性と有効性

Safety and efficacy of l‐valine produced by fermentation using Corynebacterium glutamicum KCCM 11201P for all animal species

EFSA Journal 2019;17(1):5538 31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5538

非遺伝子組換えC. glutamicum KCCM 11201P株で生産したL‐バリンの使用は、適量で食事に補完するなら、対象種、消費者、環境に安全である。この添加物は全ての種のバリンの有効源である。補完L‐バリンが非反芻動物と同様に反芻動物に有効であるためには、反芻動物の第一胃の微生物分解から守る必要がある。

 

-ヘキシチアゾクスの既存MRLsレビュー

Review of the existing maximum residue levels for hexythiazox according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005

EFSA Journal 2019;17(1):5559 31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5559

さらなる検討が必要。

 

-イミダクロプリドの既存MRLsレビュー

Review of the existing maximum residue levels for imidacloprid according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005

EFSA Journal 2019;17(1):5570  31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5570

さらなる検討が必要。消費者の暴露を減らす手段も考慮する必要がある。

 

-各種穀物のスルホキサフロルの既存MRLs改訂

Modification of the existing maximum residue levels for sulfoxaflor in various crops

EFSA Journal 2019;17(1):5587 31 January 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5587

意図した農業規範によるスルホキサフロルの使用は消費者の健康へのリスクになりそうもない。

 

[EU]RASFF Week05-2019

警報通知(Alert Notifications)

デンマーク産乾燥フルーツミックスの亜硫酸塩非表示、英国産粉末生姜の多環芳香族炭化水素(79.4 µg/kg)、デンマーク産粉末生姜のベンゾ(a)ピレン(50 µg/kg)及び多環芳香族炭化水素(138.5 µg/kg)、オランダ産サラダに利用したシルバーオニオンのピロ亜硫酸ナトリウム(E223)非表示、中国産食品サプリメントのカフェイン高含有(221 mg/item)、オマーン産冷凍キハダマグロ切り身のヒスタミン(225 mg/kg)、トルコ及びオーストリア産ドイツで加工したオレガノのピロリジジンアルカロイド(35447; 42724 µg/kg)、

注意喚起情報(information for attention)

SARMsのオンライン販売、2,4-ジニトロフェノール (DNP)のオンライン販売、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 16 µg/kg ;B1 = 4.4; Tot. = 5 µg/kg;B1 = 3.2 µg/kg;B1 = 39 µg/kg)、米国産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 3.8; Tot. = 4.5 µg/kg;B1 = 4.8; Tot. = 5.6 µg/kg)、セルビア産ペパーミントのアトロピン(200.5 µg/kg)及びスコポラミン(488.7 µg/kg)、インド産カプセルのセンダンの葉の安全ではない成分、

フォローアップ用情報(information for follow-up)

ハンガリー産食品サプリメントのビタミンC高含有(1500 mg)、おそらくヒトの食用に適さないポーランド産牛肉に適切に実施されていない動物用医薬品管理、ドイツ産原料ルーマニア産プロテインパウダーの未承認物質テトラヒドロカンナビノール(THC) (1740 µg/kg)及び不十分な表示(摂取量無し)、ベルギー産チルドビーフのチルミコシン(56 µg/kg)、

通関拒否通知(Border Rejections)

トルコ産煎った殻付きピスタチオナッツのアフラトキシン(B1 = 16.4; Tot. = 18.4 µg/kg)、アルゼンチン産殻をとったピーナッツのアフラトキシン(B1 = 8.2; Tot. = 9.3 µg/kg)、セルビア産原料トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(Tot. = 24.39 µg/kg)、ベトナム産ドラゴンフルーツの未承認物質ジチオカルバメート(0.14 mg/kg)及びイプロジオン(0.029 mg/kg)、アルゼンチン産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 15.2; Tot. = 46.2 µg/kg)、米国産殻付きピスタチオのアフラトキシン(B1 = 30; Tot. = 170 µg/kg)、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン(Tot. = 13 µg/kg)、アフガニスタン産乾燥アプリコットの亜硫酸塩高含有(6300 mg/kg)、中国産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 16.2; Tot. = 18.8 µg/kg)、アゼルバイジャン産ヘーゼルナッツのアフラトキシン(B1 = 11 µg/kg)、

 

 

[EU]健康の公平パイロットプロジェクト(HEPP)-28ヶ国の一覧

HEPP - 28 Country fiches

https://ec.europa.eu/health/social_determinants/projects/hepp_countryfiches_en

アルコール、栄養、運動についての社会経済的不平等の各国プロファイル。まだの国はまもなく掲載

(例えばドイツは低所得と学歴の低さと寿命の短さや病気の多さが関連するけれど野菜や果物の摂取量は所得に関係なく女性の方が多く、運動は男性の方が多いようだ)

 

[BfR]エルカ酸:BfRは最大基準値案を支持、しかし脂肪を加えた食品も制限されるべきである

Erucic acid: BfR endorses proposed maximum levels, but foods with added fats should be restricted too

BfR Opinion No 044/2018 of 20 December 2018

https://www.bfr.bund.de/cm/349/erucic-acid-bfr-endorses-proposed-maximum-levels-but-foods-with-added-fats-should-be-restricted-too.pdf

エルカ酸は植物性油脂に含まれる。それは、アブラナ科(Brassicaceae)の植物種子(セイヨウアブラナやカラシナのようなアブラナ科植物)の天然成分である。化学的には、長鎖の単純な不飽和オメガ9脂肪酸である。

食品に含まれる高濃度のエルカ酸は健康を害する。エルカ酸の健康有害影響には、心臓の脂肪変性(心筋リピドーシス)が含まれ、その間に脂肪(脂質)が心臓組織に蓄積する。このことから心筋の収縮性の低下を引き起こし、心筋が弱っていく可能性がある。エルカ酸によって引き起こされるリピドーシスは可逆である。

食品おけるエルカ酸の最大基準値はEU規則 (EC) No.1881/2006にて規制される。最大基準値とは、例えば、食品に含まれる物質の法的に定められた最大許容濃度である。これはリスク管理によって決定される限界値であり、とりわけ商取引における基準として使用され、製造管理および品質管理に関する規範(GMP)を通じて達成することができる。しかし、これは健康にもとづいた限界値ではなく、基準値の超過が健康リスクとなるかについて何か言うものではない。耐容一日摂取量(TDI)は健康被害について言及する場合に使用され、同時に最大基準値設定の基盤ともなる。

EU委員会は、エルカ酸の既存の最大基準値の改訂、およびこれまで規制対象となっていなかった食品における最大基準値に関して、再評価を検討することを提案した。欧州食品安全機関(EFSA)は2016年にエルカ酸を含む食品の摂取による健康リスクを評価している。ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)はこのEFSAのデータをもとにEU委員会からの提案を再検討した。

EU委員会は以下の最大基準値を推奨している:

           植物性油脂:20 g/kg (現行:50 g/kg)

           植物性油脂添加食品(乳児用調製乳およびフォローアップミルクを除く):    

設定なし(現行:50 g/kg)    

           乳児用調製乳およびフォローアップミルク:4 g/kg (現行:10 g/kg)

           マスタード:30 g/kg (現行は基準値の設定なし)

BfRは、これらの最大基準値案は、消費者の食品からのエルカ酸摂取量を減らすことに貢献すると考えている。BfRはマスタードの基準値の決定についても支持する。

現在有効な規則と異なり、ファインベーカリー製品(ケーキ、ビスケット、マフィン、ワッフルなど)などの植物性油脂を添加した食品における最大基準値がEU委員会の提案には含まれていない。しかし、エルカ酸に関するEFSAの意見からは、特にこれらの食品を大量に摂取する小さな子供で耐容一日摂取量を超える可能性があると読み取れる。したがって、BfRは今後もこの食品カテゴリーでエルカ酸濃度を制限することを推奨する。

 

[BfR]化学物質はあなたを太らせる?

Do chemicals make you fat?

25.01.2019

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2019/05/do_chemicals_make_you_fat_-239665.html

 2019年1月、BfRの科学者が参加しているEU研究プロジェクトEDCMETが開始した。EDCMETは「内分泌撹乱物質の代謝影響:新規の検査法と有害な結果をもたらす経路(Metabolic effects of Endocrine Disrupting Chemicals: novel testing METhods and adverse outcome path-ways)」の頭文字からなり、体内で代謝過程を撹乱する化学物質を同定するための方法の開発を目標にしている。同時に、研究プロジェクトはこれら撹乱の引き金となる生化学メカニズムを正確に示そうともしている。BfR長官Andreas Hensel博士は、この種の内分泌撹乱物質とそれらによる身体機能への影響を特定することは、化学物質のリスク評価の中枢の面である。従って、妥当性が確認された方法を使用してこれらの影響の信頼性のある検出が、法規の策定には必須のものとなる。」と述べた。EDCMETの研究プロジェクトに関連して、BfRは化学物質がどのように肝細胞の脂肪代謝やエネルギー代謝に影響を与えるのかを解明するために細胞培養系と動物モデルを用いることにした。EUプロジェクトの狙いは、レギュラトリー毒性学の分野で化学物質の定期検査のために適当な検査法の開発と妥当性の確認である。

 内分泌撹乱は、肥満、脂肪肝、血中高コレステロール値、肥満といった代謝疾患の発症に関与していると疑われている。ただ、内分泌撹乱物質がこれら代謝過程に影響するのかどうか、どのように影響するのかについての研究は今日まで非常に限られている。従って、代謝への影響を評価するために用いる妥当性が確認された方法はない。

 EU研究プロジェクトEDCMETの狙いは、内分泌撹乱の代謝影響を評価するためのin silico、in vitro、in vivo法の開発である。様々な分野の専門家が集結し、エネルギー代謝と脂肪代謝に焦点をあてて、細胞の受容体が外部からの物質との相互作用を介してそれらを制御する経路の観点で研究を進める。

EDCMETはEU’s Horizon 2020の一環であり、「内分泌影響のある化学物質の同定のための新しい検査法及びスクリーニング法」という分野の8課題のうち1つである。

 

[ANSES]コハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)殺菌剤:ANSESは専門家による評価結果を公表

Succinate dehydrogenase inhibitor (SDHI) fungicides: ANSES presents the results of its expert appraisal

News of 15/01/2019

https://www.anses.fr/en/content/succinate-dehydrogenase-inhibitor-sdhi-fungicides-anses-presents-results-its-expert

最近、ある科学者グループが、農業においてコハク酸脱水素酵素阻害剤(SDHI)殺菌剤を使用することの潜在的な健康リスクについて警告した。これを踏まえ、ANSESは独立した専門家グループに、これらの科学者によって提唱された仮説を検討するように依頼した。専門家は入手可能なすべての科学データを検討し、特にこの根拠が健康への警告であるかどうかの判断を行った。検討後、ANSESは、提示された情報と仮説は、これらの殺菌剤の農業使用に関連し、販売承認の変更や撤回を正当化するようなヒトおよび環境に対する健康警告を裏付ける根拠とはならない、と結論付けた。とはいえ、ANSESはこの問題を解決済みとはせずに調査を続けている。

SDHIは、農作物に影響を及ぼす特定の真菌およびカビを防除するために殺菌剤製品に使用される有効物質である。SDHIは、細胞呼吸に関与する酵素:コハク酸脱水素酵素(SDH)を阻害することによってそれらの発生を防ぐ。この分類から11の有効物質が現在フランスで認可されている植物保護製品に使用されている。

ある科学者グループがこうしたSDHIに関するリスクの可能性を論文発表で警告したため、ANSESは専門家らに調査を依頼した。専門家らは、毒性に関与するかもしれないすべての経路と作用機序について、哺乳動物の毒性と発がん性とともに、欧州の規則に従って作成された有効物質評価書類からのデータ、および製品の使用ごとに関連するヒトの健康リスクに関するデータを分析した。国際的な科学文献およびデータベースからのデータ、ならびにサーベイランス(主に環境汚染および食品汚染)、ビジランスおよび管理に関するデータもANSES専門家グループによって調査された。調査の結果、これらの殺菌剤の農業使用に関連し、販売承認の変更や撤回を正当化するようなヒトおよび環境に対する健康警告を裏付ける根拠はなかった。

実際に、総食事曝露のレベルは現在の毒物学的閾値と比較して低く、またこれらの有効物質の残留値が最大基準を超えるのは例外的な場合のみである。さらに、これらの物質は急速に代謝され、排泄される。また、これらのSDHI化合物が長い間市場に出回っているにもかかわらず、遺伝子変異のないヒト(例えば、暴露の高い職場の人間)におけるSDH欠乏症に関連した特定の癌の発生率の増加を示唆するデータも、環境生物への影響を示唆するデータもなかった。

とはいえ、ANSESはこの問題を解決済みとしたわけではない。フィトファーマコビジランス(phytopharmacovigilance)計画の一環として、ANSESはすでにSDHIへの内部被ばく量(体内における物質の量)を決定し、特に農業従事者においてさらなる疫学的調査を実施するための調査を進めている。専門家はまた、SDHIに関する研究および植物保護製品の使用に関連したリスクを評価するための方法論に関する研究をさらに進めることを勧告しており、そこにおいてもANSESは既に関与している。

 

[ANSES]リヨンのフランス行政裁判所による判決:ANSESは評価の誤りについては異議を唱える

Ruling by the French administrative court of Lyon: ANSES contests any error of assessment

News of 17/01/2019

https://www.anses.fr/en/content/ruling-french-administrative-court-lyon-anses-contests-any-error-assessment

 ANSESはリヨンのフランス行政裁判所がRoundup Pro 360の販売承認決定を無効とした2019年1月15日の判決について検討した。

ヒトと環境の健康を守るために、規制された製品(植物保護製品、殺生物剤および動物用医薬品)の販売承認に関して、欧州規則を国内レベルで実施する責任がANSESにはある。また、これらの規則をより効果的で透明性のあるものにすることで、規則の改善にも貢献している。

ANSESは日々、独立した科学専門家委員会によって実施される厳格なリスク評価を通して予防原則を適用している。

ANSESは、2016年という早い時期に、遺伝毒性の可能性がある補助剤を含むグリホサートを原料とした126製品の販売承認を取り消した最初の国家機関である。

ANSESは現在、フランスで販売されているすべてのグリホサートを含む製品を再評価しており、政府の約束に従って、グリホサート使用に代わるものの評価に全力で取り組んでいる。

リヨンのフランス行政裁判所による判決に関して、ANSESは国内や欧州の規則の申請時における評価の誤りについては異議を唱える。

 

[FSANZ]イチゴの異物混入事件

Strawberry tampering incident      

http://www.foodstandards.gov.au/publications/Pages/Strawberry-tampering-incident.aspx

 食品安全はオーストラリアにとって基本的に重要で、消費者が消費する食品の信頼は極めて重要である。この報告書で議論されているような食品安全事件は、公衆衛生や安全性、リスクだけでなく消費者の懸念も大きくさせ、リコール及び業務の混乱による重大な金銭的なものも含みオーストラリアの食品業界に多大な負の影響を与える可能性がある。そのような事故は国際貿易においてもオーストラリア製品の信頼と評判に負の影響を与え得る。

 2018年9月に発生したオーストラリア産イチゴの異物混入に関するこの報告書は、FSANZが保健大臣の依頼により作成した。その依頼とは、「サプライチェーンに弱点があるのか、警察を援助するために我々に出来ることはあるのか、必要とされる体系的変更はあるのかについて調査すること」というものである。

この報告でFSANZは政府や業界関係者と意見交換を行った。報告書には次のことを要約している。

           事件への対応として食品規制機関、警察、業界が行った措置について

           サプライチェーンの脆弱性、対応手順、コミュニケーションについて食品規制機関/警察/業界関係者が特定した問題

           現行を改善するために会合で提案された勧告

報告書は、オーストラリアの国内事故対応の枠組み、国内のイチゴ生産や関連の業界団体に関する一般的なバックグラウンド情報をも提供する。

 この食品事故への政府の対応は公衆衛生を保護する上でタイムリーであり、政府と業界関係者は改善のためにいくつかの鍵となる点を同定した。その中には、警察を含む全ての関係政府機関を網羅するために事故調整機能を中央集権的にすることや、事故についてのコミュニケーションの一貫性と伝達について改善することなどが含まれる。調査は、複雑なサプライチェーンを明らかにし、イチゴ業界(又はその他のハイリスク園芸部門)でのトレーサビリティーの強化や緊急時の対策が必要であることを明らかにした。食品を意図的汚染から保護するための戦略には、影響の深刻さや規模だけでなくサプライチェーンの異なる段階で製品にアクセスできる度合いも含めた脆弱性評価による情報が必要である。次の勧告がまとめられた。

           全ての管轄で自らの食品事故対応手順を見直すべきである。特に、規制担当者、衛生部門及び警察との間の公的な連携が、意図的汚染を含む事故のために設置されているかについて。

           食品異物混入事件が管轄をまたいで発生した場合に、中央機関が事件に関連するメッセージと情報の国内調整を担うようにすべきである。

           意図的食品異物混入がある場合には、国内食品事件デブリーフィングに警察を含めるべきである。

           国内食品事故対応プロトコール(National Food Incident Response Protocol: NFIRP)のもとで実施する食品の意図的汚染への発動や管理について、食品規制システムにより見直すべきである。

           園芸業界の代表団体の設置が、当該部門における危機管理と対応を支援するために求められている。

           園芸部門でのトレーサビリティー措置を強化する必要がある。トレーサビリティーを強めるため、役割の現状図を描き、選択肢とツールを同定するためには政府と業界が協働しなければならない。

トレーサビリティーに関する作業では、サプライチェーンを通じた品質保証を改善するための技術や革新的解決策を評価するために、研究機関や他の関係者の協力も含めるべきである。

FSANZは、2019年前半期にイチゴ異物混入事件に関して業界・管轄機関・警察の合同デブリーフィングを開催し、事件をさらに熟考して体系的に変更すべき点を確認する予定である。

*報告書

http://www.foodstandards.gov.au/publications/SiteAssets/Pages/Strawberry-tampering-incident/FSANZ%20Strawberry%20Report%20doc.pdf

 

論文

-肥満と栄養不良と気候変動の世界同時流行:The Lancet委員会報告

The Global Syndemic of Obesity, Undernutrition, and Climate Change: The Lancet Commission report

https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)32822-8/fulltext?utm_campaign=tlobesity19&utm_source=HubPage

肥満の問題を四つの部分に再分類した:一つ目、肥満が世界中で増加していてどの国でもその傾向を逆転させるのに成功していない、二つ目、多くの政策が推奨されてきたが意味のある形で実現されていない、三つ目、肥満の問題が喫緊の問題だと認識されておらず政治的意志が不十分、最後に肥満が歴史的に主要な世界の課題だと考えられてこなかった。

 

-カナダの更新フードガイドは思慮深い食生活を薦める

Canada's updated food guide promotes mindful eating

Paul Webster

World Report|Volume 393, ISSUE 10170, Pe5, February 02, 2019

 

-科学的利益相反と大食品企業

Scientific conflict and big food companies

Sarah Boseley

Perspectives|Book|Volume 393, ISSUE 10170, P395, February 02, 2019

Marion Nestle の本Unsavory Truth: How Food Companies Skew the Science of What We Eatの書評

(どうも「肥満危機」が日本にあてはまらないことばかりで共感できなくて困る。全体的により健康的製品を販売するよう誘導するところまでならいいんだけどこの世からお菓子を無くせ、みたいになるとついていけない)

 

-WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization

Volume 97, Number 2, February 2018, 73-168

https://www.who.int/bulletin/volumes/97/2/en/

特別テーマ:非伝染性疾患の予防と管理

エディトリアル:非伝染性疾患の内なる課題と外からの脅威を克服する

内なる課題として大気汚染削減対策、気候変動緩和策、健康的な食生活推進(砂糖税)、運動推奨。外からの脅威として食品企業(ペーパーで取り上げられているのはパーム油業界)をタバコ企業になぞらえている

 

-過体重と肥満の予防と管理における低カロリー甘味料の役割:根拠対憶測

The role of low-calorie sweeteners in the prevention and management of overweight and obesity: evidence v. conjecture.

Rogers PJ.

Proc Nutr Soc. 2018 Aug;77(3):230-238

砂糖の代わりに低カロリー甘味料を使った場合の総エネルギー摂取量について、小さいながらも減るという根拠があるにも関わらず、かえってエネルギー摂取量が増えるという憶測に基づく主張がされている

 

-味覚異常と松の実の摂取

[Cacogeusia and ingestion of pine nuts].

Rando-Matos Y, Pacheco-Sena R.

Semergen. 2018 Jul - Aug;44(5):365-367.

スペイン語

 

-ニンニク摂取と胃がんリスク:米国の二つの大規模前向きコホート研究の結果

Garlic intake and gastric cancer risk: Results from two large prospective US cohort studies.

Kim H, et al.

Int J Cancer. 2018 Sep 1;143(5):1047-1053.

結果はニンニクが胃がんリスクを下げるという仮説を支持しない

 

-異なる野菜硝酸摂取シナリオの健康影響の可能性とイラン集団のためのリスク管理戦略

Potential health impacts from different vegetable nitrate intake scenarios and providing strategies to manage the risks for Iranian population.

Haftbaradaran S, et al.

Environ Sci Pollut Res Int. 2018 Sep;25(25):25432-25442.

主な硝酸摂取源がレタスなのでレタスの管理に集中することを提案(レタスの摂取量制限や栽培方法の管理)

 

-ビタミンの流行:害や価値の根拠は?

The vitamin epidemic: what is the evidence for harm or value?

Kennedy M.

Intern Med J. 2018 Aug;48(8):901-907.

 

-ハーブ及びダイエタリーサプリメント誘発性肝障害のデータベース開発

The Development of a Database for Herbal and Dietary Supplement Induced Liver Toxicity.

Zhu J, et al.

Int J Mol Sci. 2018 Sep 28;19(10). pii: E2955.

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6213387/

図1:米国のダイエタリーサプリメントの売り上げの増加に伴って肝障害の報告も増加。

肝障害に関連することが最も多いのはハーブ、減量用製品

データベースは現在FDAユーザーにのみ

 

-鬱症状と菜食主義:Constancesコホートからの結果

Depressive Symptoms and Vegetarian Diets: Results from the Constances Cohort.

Matta J, et al.,

Nutrients. 2018 Nov 6;10(11). pii: E1695.

フランスの集団ベースのConstancesコホート90380人の横断データ。食品の種類に関わらず、排除する食品が多くなればなるほど鬱症状は増加する

(まあそうだろう。原因か結果かはわからないがあれもダメこれもダメという人は生きるのが大変だろう)

 

-プロバイオティクス摂取後の感染性合併症:過小評価されている可能性のある問題?報告と症例シリーズの系統的レビュー

Infectious complications following probiotic ingestion: a potentially underestimated problem? A systematic review of reports and case series.

Costa RL, et al.,

BMC Complement Altern Med. 2018 Dec 12;18(1):329.

症例報告60と症例シリーズ7の合計93人の患者を同定。最も多いのは真菌血症。酵母感染が最も多く次いで乳酸菌、ビフィズス菌。結論としてプロバイオティクスをリスクがないと考えるべきではない

 

-母と祖母が子どもの食事で意見が違うときに平和を維持する

Keeping the peace when mom and grandma disagree on feeding the kids

1-Feb-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-02/uoc--ktp020119.php

子どもの栄養教育プログラムには、世話をする家族全員を組み入れるべき

Global Qualitative Nursing Researchに発表