2019-03-06

[NASEM]新しい報告書ではナトリウムとカリウムの食事参照摂取量を更新し、ナトリウムについて慢性疾患リスク削減に基づく新しいカテゴリーを導入した

Sodium and Potassium Dietary Reference Intake Values Updated in New Report; Introduces New Category for Sodium Based on Chronic Disease Risk Reduction March 5, 2019

http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=25353&_ga=2.184773737.1745559360.1551834318-645473810.1529290877

2005年に設定されたナトリウムとカリウムの摂取助言を更新した。健康なヒトに適切と考えられる最良の推定である適切摂取量Adequate Intakes (AIs)を改訂した。14-50才についてはこれまでと同じ、1-13才については減らし51才以上については増やした。また1才以上のカリウムのAIは減らした

ナトリウムのAI (mg/d)

0-6か月 : 110

7-12か月 :370

1-3 : 800

4-8: 1000

9-13: 1200

14才以上: 1500

 

CDRR

14才以上2300 mg/d

1-13才についても設定

 

カリウムのAI

0-6か月 : 400

7-12か月 :860

1-3 : 2000

4-8: 2300

その他2300-3400(年齢・性別による)

カリウムのCDRRは設定できなかった

 

ナトリウムとカリウムの食事摂取基準

Dietary Reference Intakes for Sodium and Potassium

March 5, 2019

http://nationalacademies.org/hmd/reports/2019/dietary-reference-intakes-sodium-potassium.aspx

 

[FDA]FDAは意図的異物混入ガイダンス案のシリーズ二回目を発表

FDA Publishes Second Installment of Intentional Adulteration Draft Guidance

March 5, 2019

https://www.fda.gov/Food/NewsEvents/ConstituentUpdates/ucm632384.htm

FDAは食品安全近代化法(FSMA)のもとでの意図的異物混入(IA)規則に企業が従うことを支援するためにデザインされたガイダンス文書案の二つめを発表した。

FSMAIA規則はテロを含む、公衆衛生に広範な危害を与える意図で食品に意図的に導入される可能性のあるハザードに対応するようデザインされている。特定の食品やハザードに対応している他のFSMA規則と違って、IA規則では食品企業に食品施設での意図的異物混入に対して脆弱な工程のリスク削減対策を実施するよう求めている。

ガイダンス案は120日間のパブリックコメントを募集するがこの間一つ目の案についての意見も受け付ける。ガイダンス案についての公聴会も予定されている。

企業向けガイダンス案:食品を意図的異物混入から守るための緩和戦略

Draft Guidance for Industry: Mitigation Strategies to Protect Food Against Intentional Adulteration

March 2019

https://www.fda.gov/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/ucm610946.htm

 

[NASEM]米国の核兵器サイトの浄化を加速するには画期的解決法と技術が必要

Breakthrough Solutions and Technologies Needed to Speed Cleanup of U.S. Nuclear Weapons Sites

March 4, 2019

http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=5338&_ga=2.49122852.300295895.1551763896-645473810.1529290877

NASEMの新しい報告書では、米国核兵器サイトの放射性廃棄物、汚染土壌、地下水、施設のクリーンアップを加速するにはエネルギー省の科学技術開発管理のやりかたを変えることを勧める。

 

[NTP]がん化学療法剤への職業暴露と有害健康アウトカム

Occupational Exposure to Cancer Chemotherapy Agents and Adverse Health Outcomes

March 4, 2019

https://ntp.niehs.nih.gov/pubhealth/hat/noms/oeccaaho/index.html

最終モノグラフ発表

系統的レビュー。全部で110の疫学研究が同定された

化学療法剤への職業暴露は流産の頻度増加に関連するという中程度のレベルの根拠がある、特に看護師や薬剤師の研究で。また遺伝子への毒性(染色体異常や小核)増加についても中程度のレベルの根拠があると結論した。がんを含む残りの健康影響についての根拠は、根拠のレベルについての結論を出すには不適切

 

[FDA]ある種の化粧品製品にアスベストが混入していることを確認する2017年の知見とFDAが追求している化粧品安全性改善のための新しいステップについてのFDA長官Scott Gottlieb, M.D.CFSAN局長Susan Mayne博士の声明

Statement from FDA Commissioner Scott Gottlieb, M.D., and Susan Mayne, Ph.D., director of the Center for Food Safety and Applied Nutrition, on tests confirming a 2017 finding of asbestos contamination in certain cosmetic products and new steps that FDA is pursuing to improve cosmetics safety

March 5, 2019

https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm632736.htm

本日汚染のあったClaire’sおよび Justice製品の評価を更新する。この中には新しい独立した検査の結果と、それに関連するClaire’sが販売していたある種の化粧品を使用しないよう消費者に警告する安全性警告も含まれる。また化粧品の安全性をさらに確保するための新しい対策も発表する。

化粧品業界は急速に拡大し革新を続けている。このことは消費者に新しい選択肢を与えるとともに新しい不確実性や複雑さ、リスクももちこむ。一方でFDAの化粧品監視に関わる法、連邦食品医薬品化粧品法は1938年から更新されていない。現行法では化粧品は販売前にFDAの認可やレビューを必要としない。それには理由があり、FDAの立場はリスクに基づくもので、多くの化粧品は事前承認が必要な医薬品ほどのリスクはないからである。

しかし化粧品については業界の速やかな進歩に比べてFDAの権限は長く変わっていない。今現在、化粧品については製品の安全性や表示の責任は企業にある。つまり化粧品製造業者が製品の安全性を調べてFDAに登録することは可能であるが法的要求事項ではない。

FDAに販売前のレビュー権限はないものの安全性を確保するツールはある。市販されている化粧品の監視を行い必要があれば市販後に消費者を守る対応をする責任がFDAにはある。化粧品は「異物混入」や「不正商標表示」されていてはならない。つまり消費者が表示に従って、あるいは通常予期されるとおりに使用した場合に安全で、適切に表示されていなければならない。FDAは現在学術文献をレビューし、消費者や医療従事者から受け取った有害事象報告をレビューし、研究、サーベイランス、教育と広報、違法製品への法の執行を集中的に行っている。

2017年の知見の更新

2017年に第三者検査機関の検査によってClaire’sおよび Justice小売店で販売されていたいくつかの化粧品にアスベスト汚染が報告され自主回収が行われた。FDAはこの結果を確認する独立した試験を開始し今年の2月後半に結果を受け取った。

その結果Claire’sで販売されていた製品のうち3つおよび Justice1つでアスベストの存在を確認した。Justiceの製品は2017年にリコールされていたものだった。FDAClaire’s3製品(アイシャドー、コンパクトパウダー、コントゥアパレット)について使用しないよう安全性警告を発した。

FDAClaire’sに製品のリコールを求めたが同社は拒否した。FDAには強制リコール権限はないため消費者に警告を行った。

我々はこの知見が、消費者や子どもが使ったかもしれない親にとってどれだけ心配なことか理解している。その懸念や我々の消費者を守る義務を深刻に受け止めている。アスベストの健康リスクは十分記述されているため、全ての消費者や保護者にFDAがもっと良く消費者を守るための新しい方法を探ることを決めたことを約束する。

(以下化粧品業界への呼びかけ等略、Claire’sは最初の発見の時からあまり協力的でない、子どもが使う可能性の高い安価な製品を売っている。アスベストは飲料水や食品に入っていてもあまり問題はないが化粧品だと問題

http://d.hatena.ne.jp/uneyama/20180507#p5

 

論文

-MMRワクチンと自閉症に関連はみつからなかった

No link found between MMR vaccine and autism

4-Mar-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/acop-aoi022619.php

Annals of Internal Medicineのプレスリリース。

1999年から2010までにデンマークで生まれた全ての子どもが対象の全国コホート研究

他に職業暴露(メタノールを添加したプロパンの充填作業)としては希なメタノール中毒の症例報告

 

-生肉ドッグフード製品に高濃度の有害な可能性のある細菌がみつかった

High levels of potentially harmful bacteria found in raw meat dog food products

4-Mar-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/b-hlo022819.php

Vet Record。動物とヒトの両方に健康リスクとなる可能性のある細菌が検出された。

イヌ用の生肉、骨や内臓を含む製品60パックを調べた。全てに糞便汚染の指標であるEnterobacteriaceae種が検出された。51%EUの基準細菌5000/gを超過。サルモネラは4検体から、カンピロバクターは3製品から検出された

 

-トウモロコシやその他の重要な作物が今やCRISPRをもつ花粉で遺伝子を編集できる

Scienceニュース

Corn and other important crops can now be gene edited by pollen carrying CRISPR

By Jon CohenMar. 4, 2019

http://www.sciencemag.org/news/2019/03/corn-and-other-important-crops-can-now-be-gene-edited-pollen-carrying-crispr

CRISPRは生物学の多くの分野を大きく変えてきたが、小麦やトウモロコシのような主要作物については植物の強固な細胞壁のために使うのが難しかった。しかしシンジェンタの研究者らが花粉を使うことでこの問題を解決した。最初の実験でトウモロコシの穀粒を増やすあるいは重くするようゲノム編集した。Nature Biotechnologyに発表

 

-「反ワクチン活動家」が米国の科学委員会を攻撃する

Scienceニュース

Antivaxxers’ attack U.S. science panel

By Meredith WadmanMar. 4, 2019

http://www.sciencemag.org/news/2019/03/antivaxxers-attack-us-science-panel

米国の反ワクチン運動は攻撃相手として科学者とその仕事:アメリカ人の予防接種計画を助言する予防接種助言委員会(ACIP)を新たに発見した。昨年の夏以降、CDCで年に3回開催されるACIPの会議に参加して怒りを爆発させたり激しく非難するワクチン反対派の数が増えている。

227日の会議にはインディアナ州から来たSandy Spaettiが「私が神様から授かった子どもたちを米国政府に渡すことに合意などしない」と延べ、何十人もの他の活動家が騒々しく称賛した。ACIPの新しい議長José Romeroは「こうしたことが新たな普通(ニューノーマル)なのかもしれない。わからない。しかしこういうことはこれからもっと多くなるのは確かだ。」という

(中略)

傍聴席に押し寄せる群衆を警察が警備し、委員と一般席の間に初めてロープが張られた。これはこの国のワクチンを巡る議論を反映している。一方は根拠に基づく、私情を排した議論を行い、もう一方は情動に訴えオルタナティブな根拠を持ち出し個人の物語を語る。双方に接点はないように見える

それでも米国の予防接種率は高い

(フェイスブックで動員を呼びかけているそう)

 

-煙突掃除人のがん-環境由来発がんの初期の証拠

Chimney-sweeps' cancer—early proof of environmentally driven tumourigenicity

Nadia Benmoussa et al.,

The Lancet Oncology Perspectives|History of medicine|Volume 20, ISSUE 3, P338, March 01,

(導入部分のみ)

18世紀の欧州ではいわゆる煙突掃除がんが極めてありふれていた。伝統的には煙突掃除には通常孤児や貧しい家庭の若い少年が雇われ、煙突の中に登ってブラシで掃除した。18世紀は欧州と北米全体でよく行われていたが、煙突掃除がんは主に英国の煙突掃除でみられた。多分煙突が狭くてロンドン人はしばしばその狭い煙突に入れる4-7才の若い少年を雇ったからだろう。さらに当時の衛生状態が悪くこうした子どもたちが入浴するのが通常年に一回でしばしば裸で働き何度も煙突の煤に含まれる毒素に皮膚暴露された。当時のイングランドには児童労働を規制する法はなく最少年齢が8才に規制された煙突掃除人法が成立したのは1788年である

(チム・チム・チェリー聞くと煙突掃除がんを連想してしまう・・明るい歌詞に悲しいメロディなのがまた)