[EFSA]意見等
-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるVacurema Primeテクノロジーに基づく‘Jász‐Plasztik’プロセスの安全性評価
Safety assessment of the process ‘Jász‐Plasztik’, based on Vacurema Prime technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials
EFSA Journal 2019;17(3):5627 7 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5627
このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても、安全上の懸念とはならない。この PETで作られたトレーは電子レンジとオーブンで使用することを意図しておらず、そのような使用はこの評価に含まれていない。
-牛肥育用、乳牛用、離乳子豚用、雌牛用の飼料添加物としてのActisaf® Sc47 (Saccharomyces cerevisiae CNCM I‐4407株)の安全性と有効性
Safety and efficacy of Actisaf® Sc47 (Saccharomyces cerevisiae CNCM I‐4407) as a feed additive for cattle for fattening, dairy cows, weaned piglets and sows
EFSA Journal 2019;17(3):5600 7 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5600
Actisaf® Sc47はSaccharomyces cerevisiae株の生細胞を含み、3つの形態で販売されている。飼料に同量の微生物を供給するために使用するのに、入手可能な3つの形態は同等と考えられる。この活性剤は安全性評価のための適格な安全性の推定アプローチの要求を満たしている。この添加物が活性剤のみでできているため、Actisaf® Sc47も、対象動物、治療された動物由来製品の消費者、環境に安全だと思われる。この添加物は推奨量5 × 10^9 CFU/kg 飼料で子豚に利益があるため、離乳子豚と雌牛に有効な可能性がある。証拠不十分で乳牛や牛肥育用の添加物の有効性の結論は出していない。
-食品添加物としてのキラヤ抽出物 (E 999)の再評価と提案する拡大使用の安全性
Re‐evaluation of Quillaia extract (E 999) as a food additive and safety of the proposed extension of use
EFSA Journal 2019;17(3):5622 6 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5622
使用する際のキラヤ抽出物 (E 999)についての科学的意見と、香料の食品添加物として提案した使用拡大の安全性評価を提出した。食品科学委員会(SCF)は1978年に、E 999の許容一日摂取量(ADI) 0–5 mg 噴霧乾燥抽出物/kg 体重(bw) /日を設定した。国連食糧農業機関/世界保健機関合同食品添加物専門家委員会(JECFA)は最新評価の中で、タイプ1とタイプ2のキラヤ抽出物をキラヤサポニンと表現し、グループADI 0–1 mg/kg bw/日を設定した。完全なキラヤ抽出物サポニンは吸収率が低く、胃腸(GI)管で加水分解され、アグリコンは限られた量しか吸収されない。パネルは得られた遺伝毒性データから遺伝毒性の懸念は示されないと考えた。入手可能な毒性学的データベースを考慮して、ADI導出に関連する様々な無毒性量(NOAELs)が確認された。パネルは、ラットの2年試験が最も頑強で、NOAEL 1,500 mgキラヤ抽出物/kg bw /日がE 999のADIの導出に使用できると考えた。報告された有害影響がこの抽出物のサポニンの存在によることや、サポニンがキラヤ抽出物タイプ1に存在する(およそ20%)ことを考慮し不確実性係数100を用いて、パネルはE999のADI 3 mg サポニン/kg bw /日を導出した。詳細ブランドロイヤルシナリオの様々な年齢集団の暴露概算がADI 3 mg サポニン/kg bw /日を超えるものはなかった。提案された使用拡大は、この詳細シナリオのADIを超える結果にはならなかった。パネルは、特にサポニン含有量によるキラヤ抽出物を区別するために、E 999のEU仕様書の改訂を検討し、この食品添加物をよりよく特性を示すために他のパラメーターを含むよう、欧州委員会の助言をいくつか提案した。
-生食用雌豚と雌牛の共役リノール酸(t10,c12 異性体)のメチルエステルの有効性
Efficacy of methyl ester of conjugated linoleic acid (t10,c12 isomer) for sows and cows for reproduction
EFSA Journal 2019;17(3):5614 5 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5614
等比率のメチル化共役リノール酸(CLA)異性体(t10,c12 とc9,t11)の混合物について。試験の期間や観察された影響の生物学的妥当性の低さなどの方法論的欠点により、繁殖用雌牛のCLA (t10,c12)‐MEの有効性を結論できなかった。FEEDAPパネルは繁殖用雌牛の添加物の有効性に関する結論を出す立場ではない。
-鶏肥育用及び七面鳥肥育用のRobenz® 66G (塩酸ロベニジン)の安全性と有効性
Safety and efficacy of Robenz® 66G (robenidine hydrochloride) for chickens for fattening and turkeys for fattening
EFSA Journal 2019;17(3):5613 5 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5613
抗コクシジウム薬Robenz®66Gは安全性のマージン約2.5で最大提案量36 mg ロベニジン HCl/kg 完全飼料で鶏肥育用に安全だと考えられている。この結論は七面鳥肥育用に外挿される。ロベニジンHClはグラム陽性菌に効果があるが、グラム陰性菌には効果がない。飼料添加物としてのロベニジンHClの使用は、最大提案量36 mg/kg 完全飼料で消費者、陸生や水生区画に安全で、ヒトや動物の治療に使用される抗菌剤への耐性あるいは交差耐性を引き起こすとは予想されていない。両鳥類種の既存の最大残留基準は確認されている。生物濃縮のリスクは除外できない。二次中毒リスクはおこりそうもない。Robenz® 66G由来36 mgロベニジンHCl /kg 完全飼料は野外で鶏肥育用のコクシジウム病の管理に有効な可能性があるが、七面鳥肥育用のロベニジンHClの有効性は結論できない。可食部組織中のオフフレーバーを避けるため、現行の5日間の休薬期間は維持するべきである。
-子豚用、豚肥育用、他の豚種用飼料添加物としてのBeltherm MP/ML (エンド-1,4-βキシラナーゼ)の安全性と有効性
Safety and efficacy of Beltherm MP/ML (endo-1,4-betaxylanase) as a feed additive for piglets, pigs for fattening and other porcine species
EFSA Journal 2019;17(3):5610 5 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5610
家禽種に使用される際のこの添加物の安全性と有効性は、以前、動物用飼料に使用される添加物及び製剤あるいは物質に関するEFSAのパネル(FEEDAP パネル)が、消費者、環境、使用者の安全性を評価した。離乳子豚用、豚肥育用、マイナー豚種肥育用の畜産学的添加物としての使用は、未検討のハザードをもたらさないため消費者と環境に安全である。離乳子豚の試験では、この動物は申請者による飼料推奨量の200倍良好な耐容性があるため、この添加物が離乳子豚、豚肥育用、マイナー豚種に推奨量で安全だと結論した。離乳子豚と豚肥育用の添加物の有効性を支持する提出されたデータに基づき、この添加物がこれらの種類/分類の推奨量で有効である可能性がある。離乳子豚と豚肥育用の安全性と有効性についての結論はマイナー豚種に外挿される。
-全ての動物種用Corynebacterium glutamicum CGMCC 11675株を用いて生産したl‐バリンの安全性と有効性
Safety and efficacy of l‐valine produced using Corynebacterium glutamicum CGMCC 11675 for all animal species
EFSA Journal 2019;17(3):5611 4 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5611
元の生産株の遺伝子組換えの可能性に関する不確実性により、FEEDAPパネルはC. glutamicum CGMCC 11675で生産したこの添加物の、対象種、消費者、使用者、環境への安全性を結論できなかった。バリン含有添加物の飼料と飲料水からの同時経口投与には対象種の安全性に懸念がある。この製品は全ての動物種のアミノ酸l‐バリンの有効源だと考えられている。反芻動物でも非反芻動物と同様に有効であるためには、第一胃の分解から保護する必要がある。
-食品添加物としてのソルビン酸(E200)及びソルビン酸カリウム(E202)の再評価のフォローアップに関する意見
Opinion on the follow‐up of the re‐evaluation of sorbic acid (E200) and potassium sorbate (E202) as food additives
EFSA Journal 2019;17(3):5625 1 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5625
EFSAの食品添加物および香料に関するパネル(FAFパネル)は、2015年に食品添加物及び食品に添加される栄養源に関するパネル(ANS パネル)が設定したソルビン酸(E 200)とソルビン酸カリウム(E 202)の暫定グループ許容一日摂取量(ADI)を再検討するかどうか決めるために、拡張一世代繁殖毒性試験(EOGRTS)の科学的評価を行うよう欧州委員会に要請された。FAFパネルはEOGTRSから、ベンチマーク用量(BMDL)の信頼下限値1,110 mgソルビン酸/kg 体重 (bw) /日を確認した。デフォルトの不確実係数100を適用することで、パネルはソルビン酸(E 200)とカリウム塩(E 202)に11 mg ソルビン酸/kg bw /日と表されるグループADIを設定した。さらに、欧州委員会は企業がEFSAに提出した「食品加工及び保管中のソルビン酸(E 200)とカリウム塩(E 202)の安定性」についての報告書をレビューするよう求めた。この報告書で新情報は出されなかったので、この意見で食品中のソルビン酸の安定性に関する2015年のANSパネルの意見は再評価されない。
-全ての家禽種用Calsporin® (Bacillus subtilis DSM 15544株)の安全性と有効性
Safety and efficacy of Calsporin® (Bacillus subtilis DSM 15544) for all poultry species
EFSA Journal 2019;17(3):5605 1 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5605
鶏肥育用に認可された濃度を5 × 10^8 CFU/kg 飼料から3 × 10^8 CFU/kg飼料に、また全ての家禽種の添加物の完全飼料の最小含有量を減らすための認可改訂を要請するための意見。この活性薬剤は安全性適格推定(QPS)アプローチの要求を満たし、この添加物の他の成分から懸念は予想されないため、Calsporin®は対象動物、消費者、環境に安全だと考えられる。この添加物は3 × 10^8 CFU/kg完全飼料で鶏肥育用の餌に畜産添加物として有効な可能性がある。同量での有効性が産卵鶏と七面鳥に見られることから、この結論は全ての家禽種と分類に外挿される。
-鶏肥育用、産卵鶏育成用、七面鳥肥育用、七面鳥交配のための育成用、交配目的の七面鳥用、マイナー家禽種用飼料添加物としてのBeltherm MP/ML (エンド‐1,4‐β‐キシラナーゼ)の安全性と有効性
Safety and efficacy of Beltherm MP/ML (endo‐1,4‐beta‐xylanase) as a feed additive for chickens for fattening, chickens reared for laying, turkeys for fattening, turkeys reared for breeding, turkeys for breeding purposes and minor poultry species
EFSA Journal 2019;17(3):5609 1 March 2019
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5609
最終添加物にこの生産株の生きた細胞は検出されなかったが、この生産株由来の組換えDNAが検出された。この生産株が懸念される遺伝子配列を持たないことから、このDNAの存在は、それ自体安全上の懸念とはならない。この添加物の対象種、消費者、環境の安全性は立証された。この添加物は鶏肥育用に有効で、産卵鶏育成用やマイナー家禽種肥育用に拡大/外挿される可能性がある。新たなガイダンスに基づき、鶏肥育用の有効性に関する結論は肥育用/交配目的の育成用の七面鳥に外挿できると結論した。交配目的の七面鳥の有効性の結論は出なかった。最終的に、申請者は現提案で最終製品の生産株由来のDNAの存在を除去するために製造工程の改訂を提案し、分析により除去が確認された。
[EU]査察
バングラディシュ―生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質
Bangladesh―Residues and contaminants in live animals and animal products
20/02/2019
http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4093
2018年11月6~15日にバングラディシュで実施した、EU輸出用生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質の公的管理の効果を評価するための査察。残留物監視計画や適切な他の監視プログラム(輸出前検査計画、飼料検査計画、研究所の残留物監視計画)が全て適時に実行された。フォローアップ行動は(免疫測定法に基づく)スクリーニング検査で検出された法令違反結果の想定段階で着手、継続し、全て確認済の違法結果として包括的に実施される。研究所の分析結果の信頼性を弱める点に注意が払われた。
[EU]SCCS エチルジンゲロン-‘ヒドロキシエトキシフェニルブタノン-についての最終意見-提出II(眼刺激)
SCCS - Final Opinion on Ethylzingerone - ‘Hydroxyethoxyphenyl Butanone’ (HEPB) - Cosmetics Europe No P98 - Submission II (eye irritation)
化粧品用保存料。
2015年の申請に対して眼刺激の根拠が必要とされたため新たなデータが提出されそれを評価したもの
最初の申請では牛の眼(屠殺場から集めて調整したもの)の角膜を使ったBCOP試験(OECD 437)を提出していて、追加では再構成ヒト角膜様上皮(RhCE)試験法(OECD 492)でのデータを提出している
[FSAI] FSAIが新DNA食品スキャンツールを最初に
FSAI First With New DNA Food Scanning Tool
Monday, 18 February 2019
https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/DNA_based_food_scanning_tool_18022019.html
FSAIはひとつの食品のすべてのDNAの内容を確認する新DNAスキャンツールを公表した。これにより、食品中のすべての成分や生物を確認でき、食品ラベルの不正表示や誤表示に関して消費者保護の点で規制当局の後押しとなると思われる。FSAIは「次世代シークエンシング」として知られる比較的新しいDNA配列決定技術の適用について2年間民間ラボ(Identigen)とともに取り組んできた結果、ラベル上に記載ある成分と、DNA分析結果による食品中の実際の成分が比較できるようになり、これまでの検査対象DNAの事前特定が必須ではなくなった。
Food Science and TechnologyのチーフスペシャリストであるDr Pat O’Mahonyによると、「この次世代シークエンシングの規制の文脈での応用はユニークなもので、食品に含まれるものを正確に同定しそれがラベルとマッチするかどうか確認するために、FSAIにとって意義ある資産である。
FSAIはこれまでの制約下でも食品アレルゲンや遺伝子組み換え生物を検出し、魚製品の不正表示を立証し、また、牛肉製品中の馬肉も的を絞ったDNA分析の方法を使用し発見した。」
次世代DNAシーケンシング(NGS)は最新のDNA食品スキャンツールの土台で、アイルランドの健康食品店やスーパーマーケットの45種の植物由来食品と食品サプリメントを検査し、その食品に表示されない植物種を含む可能性のある14の食品を検出した。
14製品の追加の調査では、1つは相当量の表示されないマスタードを含むことが確認された。 マスタードはEUとアイルランドの食品法ですべての食品に表示されなければならない14食品アレルゲン成分の1つである。別の製品(オレガノ)は2種類の表示されない植物種のDNAを、1つは相当量、含むことがわかった。3つ目の製品はラベル上に表示された植物種のDNAをもたないことが分かったが、代わりにコメのDNAが確認された。3製品すべては追加の調査中である。
「我々のプロジェクトは、次世代シークエンシングが表示されない植物種を含む様々な植物由来食品を検査することができることを証明した。初期解析のいかなる結果も、より確立された解析方法によって常に裏付けられる必要がある。食品全体のDNAの解析により、生物成分の置換や隠ぺいが難しくなる。将来的に肉、鶏肉及び魚製品の検査にも同様の技術を適用することになるだろう」とDr O’Mahony.は締めくくった。
報告:最新のDNAベースの食品スキャンツール
https://www.fsai.ie/DNA_based_food_scanning_tool/
[HK] 法令違反サンプル結果
-2つの野菜サンプルに超過残留農薬が検出される
Excessive pesticide residues found in 2 vegetable samples
Thursday, March 7, 2019
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190307_7370.html
食品安全センターが検査したところ、野菜のサンプルにおいて、カルボスルファンが最大残留基準値0.1 ppmのところ、それぞれ0.25 ppm、0.38ppm検出であった。
-ツナ缶が栄養表示規則に違反している
Canned Tuna Chunks not in compliance with nutrition label rules
Thursday, March 7, 2019
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190307_7371.html
食品安全センターが検査したところ、タイのSelectブランドのTuna Chunks In Extra Virgin Olive Oilにおいて、ナトリウムが280mg/100g という申告のところ、540mg/100g検出であった。
[CDC]フィールドからの報告:予防接種を受けていない子どもの破傷風-オレゴン2017
Notes from the Field: Tetanus in an Unvaccinated Child — Oregon, 2017
MMWR March 8, 2019 / 68(9);231–232
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/68/wr/mm6809a3.htm
6才の少年の症例。57日間入院、そのうち47日はICU。治療費は$811,929(約9000万円、救急空輸やリハビリ、フォローアップを除く)。両親は予防接種を拒否していた
[FDA]USDAとFDAは家畜や家禽の細胞系統由来細胞培養食品の規制について正式合意を発表
USDA and FDA Announce a Formal Agreement to Regulate Cell-Cultured Food Products from Cell Lines of Livestock and Poultry
March 7, 2019
https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/PressAnnouncements/ucm632916.htm
USDAのFSISとHHSのFDAは家畜や家禽の細胞由来のヒト食品の生産については合同で監視することに公式に合意したことを発表する
FDAは細胞の収集、細胞バンク、細胞増殖、分化を監視する。FSISへの監視の移行は細胞を収穫(ハーベスト)するときにおこる。FSISは家畜や家禽細胞由来ヒト食用製品の生産と表示を監視する
公式合意文書は以下
Formal Agreement Between FDA and USDA Regarding Oversight of Human Food Produced Using Animal Cell Technology Derived from Cell Lines of USDA-amenable Species
[NTP]NTPニュースレター
NTP UPDATE
March 2019
https://ntp.niehs.nih.gov/update/index.html
化学療法労働者のリスク、安全な取り扱いで減らす
NTP理事会、予想科学へ転換する分野の中でのNTPの役割を探る
サリンの長期健康リスク
SOT年次会合発表予定リスト
など
[WHO]科学と健康分野の女性リーダーを祝福する
Celebrating women leaders in science and health
6 March 2019
https://www.who.int/news-room/feature-stories/detail/celebrating-women-leaders-in-science-and-health
国際女性デーによせて
[IARC]実験と広範ながんゲノムの解析によりヒトのがんにアクリルアミドの暴露が広範に寄与していることが明らかになった
Experimental and pan-cancer genome analyses reveal widespread contribution of acrylamide exposure to carcinogenesis in humans
8 March 2019
Genome Researchに発表された新しい研究が、アクリルアミドの代謝物であるグリシダミドによってゲノムに導入された腫瘍特異的突然変異スペクトラムを報告した。人々は食事やタバコの煙から日常的にアクリルアミドに暴露される
このIARCの分子メカニズムとバイオマーカーグループの主導した協力研究は、ゲノムにグリシダミド誘発性変異の特異的指紋があることを確立した。
SMC UK
アクリルアミドのヒトでの突然変異誘発影響への専門家の反応
expert reaction to mutagenic effects of acrylamide in humans
March 7, 2019
http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-mutagenic-effects-of-acrylamide-in-humans/
Genome Researchに発表された研究が、アクリルアミドはヒトで腫瘍特異的突然変異を導入する可能性があることを示した
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
アクリルアミドがヒトでがんリスクに影響する可能性があるという合理的な根拠はあるが、実際にヒトで、日常生活で暴露される典型的な量でがんを起こすかどうかは別の問題である。それについての根拠は限定的で一般的に決定的ではない。この新しい研究ではヒトがんとアクリルアミドについての知見を加えたが、この結果がアクリルアミドとヒトがんリスクの間に明確な関連を確立できないことを理解することが重要である。
この研究ではマウス細胞を使ってアクリルアミドの代謝産物であるグリシダミドが特定のパターンの変異を誘発するかどうか調べた。それからこのパターンがヒトのがんのゲノムで観察されるかどうか探し、いくつかの異なる種類のがんでパターンを検出した。これはグリシダミドが一部のがんで見られるDNAの変化をおこすことができることを示すが、実際にこの変化ががんの原因だと言うことはできない。有用な情報だがまだ不明である。
だからプレスリリースの一行目、「実験と広範ながんゲノムの解析によりヒトのがんにアクリルアミドの暴露が広範に寄与していることが明らかになった」は極めて誤解を招くもので誇大である
RMIT大学分析化学准教授Oliver Jones准教授
この研究は注意深く行われた興味深いものであり我々の知見を増すが、ほとんどの人にとってはこれで日常生活が変わることはないだろう。たまたま何かがおこる可能性があるからといってそれがおこるとは限らない。この分野ではたくさんの研究が行われているにも関わらず、毎日の食事中アクリルアミドとがんの関連は確実ではない。
Manchester大学分子生物学教授Andrew Sharrocks教授
この論文はアクリルアミド暴露とがんの関連が分子的足跡があることを同定して単なる関連だけではないことを示した。証明には個人の過剰なアクリルアミド暴露が突然変異足跡の頻度を増やすかどうかを示す必要があるだろう。その可能性はあることを示唆する。
Imperial College London抗がん薬と腫瘍学NIHR研究教授Justin Stebbing教授
この研究は分子レベルでの理解に役立つものの、アクリルアミドが直接ヒトのがんの原因であると言える段階ではない。
該当論文
Experimental and pan-cancer genome analyses reveal widespread contribution of acrylamide exposure to carcinogenesis in humans
https://genome.cshlp.org/content/early/2019/03/05/gr.242453.118
論文等
-カナダ人の野菜果物摂取は11年で13%減った
Canadians' consumption of fruit and vegetables drops 13 per cent in 11 years
8-Mar-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/uobc-cco030719.php
Nutrientsに発表されたブリティッシュコロンビア大学の、2004年と2015年の調査を比べた研究
-Science
カリフォルニア大学がオープンアクセスの立場を明確にする
University of California takes a stand on open access
Alex Fox, Jeffrey Brainard
Science 08 Mar 2019:Vol. 363, Issue 6431, pp. 1023
何ヶ月にも及ぶ交渉が決裂し、カリフォルニア大学(UC)はElsevierの発行する雑誌にはお金を払わないことを発表した。大学によると購読料を優遇しながらUCの著者の論文は直ちに世界中の読者に読めるようにする包括協定に合意できなかった。
大学とElsevierは交渉の決裂についてお互いを非難しあっている
特集 疑わしい診断
Dubious diagnosis
Charles Piller
Science 08 Mar 2019:Vol. 363, Issue 6431, pp. 1026-1031
「前糖尿病」対策は何百万人もの新しい患者と製薬会社にとっての魅力的なチャンスを作りだした。しかしこの病気はどのくらいリアルなのか?
米国糖尿病協会(ADA)とCDCは前糖尿病が糖尿病への最初のステップであるとし前糖尿病への戦いを宣言した。医学においては通常予防は純粋な良いことだとみなされる。しかしこの場合、他の糖尿病専門家によると医学的疫学的データによる支持は弱かった。WHOや他の医学機関は前糖尿病を診断カテゴリーとしては認めなかった。University College Londonの糖尿病研究者John YudkinはCDCとADAによる前糖尿病への警告は「恐怖を煽るもの」だと記述している。
一方ADAは徐々に前糖尿病の定義を拡大しますます多くの人を含むようにしていった。「今や3人に1人が何らかの血糖異常」とADAのWilliam Cefaluは言う。CDCもそれに従った。2005年から2009年の間にCDCの糖尿病予防主任だったAnn AlbrightはScienceへの声明で書いている(取材は拒否された)「過去にCDCは前糖尿病を治療しないと5年以内に15-30%が糖尿病になると言っていた。それが広く広報された。今はもう使っていない。」実際のところCDC自身のデータで前糖尿病から糖尿病に進行するのは年に2%以下、あるいは5年で10%以下であることが示されている。
(以下お金の問題も含む長い記事略。病気でない人に病気だと言ってサプリメントを売るのは常套手段だし、過剰診断の問題とも重なる。)
放射性降下物(原子力の副産物)
Nuclear fallout
Elena Aronova
Science 08 Mar 2019:Vol. 363, Issue 6431, pp. 1044
Kate Brownの「Manual for Survival: A Chernobyl Guide to the Futureの書評
ウクライナのPripyatにある原子力発電所が爆発して32年、チェルノブイリは原子力災害の同義語になった。史上最悪の原子力事故と認識されているにもかかわらず、その健康影響についてはいまだに明確ではない。事故の20年後にIAEA、WHO、放射線影響に関する国連科学委員会は、放射線が直接的原因で死亡したのは50人以下でそのほとんどは大量被曝した緊急対応者であると結論した。さらにその後、国連機関はより広範なチェルノブイリ関連の健康影響について認めたが長期ヒト健康影響はないという考えは残っている。UN-WHO-IAEA評価は何度も繰り返され引用された。
2011年の福島原子力発電所事故後、地域住民には多くの機関の専門家から被曝量が少ないので直接的長期健康影響はないだろうと語られた。チェルノブイリ後に原子力爆弾生存者生涯研究に相当するようなものはないため、日本の原爆生存者のデータが国際原子力規制のゴールドスタンダードのままだった。しかしそのようなデータはないという考えは完全に事実というわけではない。Kate Brownはチェルノブイリ後の長期健康影響について記述するためにウクライナとベラルーシの科学者や医師の環境や医学記録を復元した。原爆投下から5年後に始まった日本の原爆生存者の生涯研究と違って、ソビエトの医師らは事故直後から汚染地域で働いた-多くの住人が放射線に暴露されていることを知らずに住んでいた。何年にも渡ってソビエトの科学者は低線量被曝のがん、貧血、消化管障害、肝、腎、甲状腺その他の臓器の障害、を含む広範な健康影響について膨大な根拠を集めた。こうしたデータを集めた人々は彼らのキャリアや生命をリスクにさらし、地域の政治家やソビエトの秘密警察からの嫌がらせに耐え、自分自身が被曝した。
ソ連が崩壊した後、国際機関が科学者を派遣し独立した評価を行った。おそらくこの本の最も暴露的な部分として、Brownは国連機関とIAEAがソビエトのデータを脇に追いやる努力をしたことを記述している。そのロジックは、一部、政治的である
1990年代初期に、ウクライナとベラルーシの科学者が広範な公衆衛生上の惨事の根拠を発表するようになり、米国や他の原子力発電所が、原爆試験サイトの放射性降下物に毒されたと信じる「風下の住民」から一連の裁判に訴えられるようになった。ウクライナやベラルーシで記述された症状がチェルノブイリの放射線に関連すると認めることは米国やフランスや英国に膨大な支払いを求めることになる。タバコや石油産業と同様の戦略の一部を使って国際機関はソビエトのデータを却下しようとした。
ソビエトのデータを傍流に留める理由は認識論的なものでもあった、とBrownは説明する。ソビエトの科学者は西洋のリスク推定方法を使わず、批判的だった。西洋の科学者は一方ソビエト医学を退けた。またソビエトの生物学者の使う科学的手法も信じなかった、ソビエトの生物学はTrofim Lysenkoと関連し、何十年にもわたり遺伝学を妨害してきたから。
ルイセンコが「ソビエトの科学の政治化の提喩」なら、チェルノブイリの物語は国際核科学の政治化の提喩だろう。この本はチェルノブイリの地域への及び世界への影響を理解したい人にとっては必読だろう。
(natureでも取り上げられていた本。冷戦時代の名残が福島を苦しめている構図。ルイセンコ周辺のことをどこまで知っているかで評価は変わりそう。ロシアの生物学ってパブロフがピーク。兵器の研究は進んでいるのだけれど)