2019-03-20

[ヘルスカナダ]ヘルスカナダは飲料水中の鉛の新しいガイドラインを設定

Health Canada Sets New Guideline for Lead in Drinking Water

March 8, 2019

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2019/03/health-canada-sets-new-guideline-for-lead-in-drinking-water-latest-in-series-of-government-actions-to-protect-canadians-from-exposure-to-lead.html

ニュースリリース

鉛暴露からカナダ人を守る政府の一連の措置、最新ニュース

 カナダ政府は、全てのカナダ人の健康を守り、鉛を含む有害物質から環境を保護することを約束している。最新の科学に基づき、カナダ保健省は、州、準州及びその他の連邦機関と協力し、飲料水ガイドラインを更新して、1992年に設定された最大許容濃度0.01 mg/Lを0.005 mg/Lに引き下げた。

カナダ人における鉛濃度は過去30年で大きく減少している。これは、以下における鉛の使用制限を含むカナダ政府による鉛暴露を減らすための強力な措置のおかげである。

製錬所、製鉄所、製油所及び鉱業

ガソリン

塗料、陶磁器、ガラス製品、やかん、コード付きウィンドウカバー、化粧品及び医薬品

その他のナチュラルヘルス製品および消費者製品、特に子供向け

鉛濃度が大幅に削減されている一方で、この金属はいまだ我々を取り巻く世界で見つけることができる。鉛は通常、配水及び配管システムの部品から浸出して飲料水中に存在する。鉛は歴史的にサービスライン(家や仕事場を道路の水道本管に接続するパイプ)と接続金具及びはんだで使用された。1975年まで、鉛はカナダのNational Plumbing Codeに基づくパイプの許容材料であったため、より古い家や古い地域に存在する可能性が高い。鉛はこれらの配管システムの部品に長年使用されてきたため、カナダの飲料水システムには現在でもこれらの鉛成分の一部が残っている可能性がある。そのため、全ての管轄区域が飲料水中の鉛の最大濃度に関する新しいガイドラインに適合できるようになるまでには時間がかかると予想される。

カナダにおける全ての管轄区域は鉛への曝露を減らす必要性に同意している。カナダ保健省は、新しいガイドラインの実施について、州、準州及びその他の連邦機関を引き続き支援する。我々はまた、州、準州、およびカナダ先住民サービスを含むその他の連邦機関と協力し、飲料水における鉛濃度の健康影響について懸念する自治体及びカナダ人に正確で適切な情報を提供する。

 

カナダの飲料水水質に関するガイドライン:ガイドライン技術文書-鉛

Guidelines for Canadian Drinking Water Quality: Guideline Technical Document – Lead

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/publications/healthy-living/guidelines-canadian-drinking-water-quality-guideline-technical-document-lead.html

1.0 ガイドライン

飲料水中の総鉛の最大許容濃度(MAC: maximum acceptable concentration)は、水道で採取した水のサンプルに基づき、またサンプリングする建物の種類に適したプロトコルを使用した上で、0.005 mg / L(5 µg / L)となっている。飲料水中の鉛濃度を合理的に達成可能な限り低く(またはALARA)維持するため、あらゆる努力を惜しむべきではない。

2.0 エグゼクティブ・サマリー

鉛は通常、配水および配管システムの構成要素からの浸出の結果として飲料水中に存在し、特に攻撃性の(腐食性の)水で見られる。鉛は歴史的にサービスライン、はんだ及び接続金具で広く使用され、そのためより古い家や地域で飲料水中に存在する可能性が高い。

このガイドラインの技術文書は、飲料水中の鉛に関連して特定された全ての健康リスクを見直し評価する。文書はまた新しい研究とアプローチを評価し、適切な対策と分析技術の有用性と限界を考慮する。この文書に含まれる情報は、飲料水配水システムにおける腐食防止に関するガイダンスにある情報を補足するものである。

2.1 健康影響

無機鉛化合物は、実験動物での所見に基づき、おそらくヒトに対して発がん性ありと分類されている。しかしがんは、ヒトで懸念される主な健康影響ではない。

 ヒトにおける鉛の毒性は、血中鉛濃度(BLL: blood lead levels)に基づき広く文書化されている。これまでに研究されてきた影響には、成人の血圧上昇および腎機能障害、並びに子供の認知および行動における有害影響が含まれる。今日までに観察された最も強い関連は、子供におけるBLLの増加と知能指数(IQ)スコアの減少との間にあり、これが懸念される重要な健康上のエンドポイントである。その濃度以下では有害な神経発達作用と関連しなくなるとする鉛の閾値は同定されていない。MAC(最大許容濃度)は子供の神経発達影響に関連する飲料水濃度を超えるため、飲料水中の鉛濃度は合理的に達成可能な限り低く(またはALARA)維持するために、あらゆる努力をするべきである。

2.2 暴露

鉛は自然に、またヒトの活動の結果として、環境中に一般に存在する。カナダ人は、水、食料、空気、土壌および消費者製品中に存在する少量の鉛に暴露されている。鉛は歴史的に飲料水の分配や配管システム、塗料やガソリンの添加剤として使用されてきた。ガソリンや塗料などの製品から鉛が大幅に減少したことは、平均的な成人集団にとって食料や飲料水がより重要な鉛暴露源になったことを意味する。有鉛ガソリンがまだ使用されている可能性がある競馬場や空港など、特定の汚染源の近くに居住する個人にとっては、吸入もまた重要な暴露源となり得る。

2.3 分析および対策

飲料水ガイドラインの確立には、汚染物質を測定する能力を考慮しなければならない。 飲料水中の総鉛の分析にはいくつかの方法があり、MAC以下の飲料水中の総鉛を確実に測定するための分析方法が利用可能である。

 ガイドライン策定プロセスでは、MACに適合するよう飲料水から汚染物質を除去する能力についても考慮している。処理工場で鉛を効率的に除去する処理技術はあるが、地方自治体の処理だけでは水道水の鉛をMAC以下の濃度へ減らすための有効な戦略ではないかもしれない。これは、配水および配管システムに鉛が含まれている可能性があるためで、これらのシステムでの腐食により鉛は水中に浸出する可能性がある。したがって、地方自治体レベルで飲料水からの鉛への暴露を最小限に抑えるための最善の方法は、全サービスラインを廃棄し、配水および処理システムの腐食を抑制することである。

 飲料水の鉛の主な発生源は配水および配管システムの部品からの浸出であるため、飲料水処理装置は、住居レベルでの飲料水からの鉛への暴露を減らすための効果的な選択肢である。ただし、フィルターは定期的に交換する必要があり、システムは継続的なメンテナンスを必要とするため、これらの使用を恒久的な解決策と見なすべきではない。

2.4国際社会の判断

飲料水に関する諸外国や国際機関のガイドライン、基準、及び/又はガイダンスは、評価の時期、主要な研究の選択、異なる消費率、体重、配分係数の使用など、方針やアプローチの違いによって異なると考えられる。

 さまざまな組織が飲料水中の鉛の値を設定している。US EPAは、飲料水中の鉛の最大汚染濃度を設定していないが、最大汚染濃度の目標値をゼロに設定し、処理に基づく鉛及び銅の規則(Lead and Copper Rule)の中でアクションレベルを0.015 mg/L(15 µg/L)に設定している。 ただし、この規則は現在見直し中である。WHOは0.01 mg/L(10 µg/L)の暫定飲料水水質ガイドラインを設定し、EU指令は0.01 mg/L(10 µg/L)のパラメーター値を含み、そしてオーストラリア国立保健医療研究委員会は、飲料水中の鉛について0.01 mg/L(10 µg / L)のガイドライン値を設定している。

 

飲料水:鉛についてどう思う?

Drinking water: what about lead?

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/environmental-workplace-health/reports-publications/water-quality/what-about-lead.html

 消費者向けの概要。

 

[ANSES]食物アレルギー:リスクを予防するために情報を改善

Food allergies: improve information to prevent risks

15/02/2019

https://www.anses.fr/en/content/food-allergies-improve-information-prevent-risks

 食習慣の絶え間ない変化と新規食品の販売により、食物アレルギーは常に公衆衛生上の懸念である。専門家による評価の結果、フランスでは食物アレルギーの有病率に関するデータが不足していることが判明した。そこで食物アレルギーをより確実に監視するため、ANSESは一連の勧告を出すこととし、また食物アレルギーの影響を受ける消費者同様、医師にもまたより良い情報を提供することを推奨する。

 新しい習慣、新しい食べ物、新しい加工方法はすべて、食物アレルギーに影響を与える可能性がある。アレルギーの発生を測定し、新しいアレルゲンを特定することは、食品由来のアレルギーリスクへの予防ならびに最も深刻な症状であるアナフィラキシーショックの予防に役立つかもしれない重要な公衆衛生上の問題である。このような背景からANSESは、新しい科学的データを検討し、この問題への対応を改善するためのガイドラインを提案するよう保健省から求められた。

フランスにおける食物アレルギーの頻度をより理解する

専門家による評価報告書の中で、ANSESはフランスにおける食物アレルギーの有病率の進展は現時点で利用可能なデータに基づいて決定することはできないと強調した。確かに、アレルギーのこうした進展を監視する仕組みはなく、現在の研究では有病率の値を比較することはできない。重篤なアレルギー反応に関するデータを含む発生率データは不十分で、そのためデータは国家の状況を正確に描いていない。

こうした見解に基づき、ANSESは、食物アレルギーに関する研究および調査をより効果的に導くために、公的機関が食物アレルゲンに関するデータを収集するための仕組み、ならびにアレルギーの発生率または有病率の評価を改善するべきであると勧告する。

新たなアレルゲンの同定

Allergo Vigilance® Network(RAV)が受け取った報告により、いくつかの新興アレルゲンを特定することが可能となった:ソバ、小型反すう動物(山羊や羊)のミルク、キウイ、松の実、α-ガラクトース(哺乳類の肉に含まれる)、エンドウ及びレンズ豆である。これらのアレルゲンは、アナフィラキシー、すなわち重篤なアレルギー反応のリスクがあり、そのリスクは時に欧州規制No.1169/2011のAnnex IIへの記載が義務付けられている特定アレルゲンのリスクよりも高い。従って、ANSESは、重篤なアレルギーリスクの予防のため、報告義務のある食品アレルゲンのリストを定期的に更新することを勧告する。

この評価では、アルコールやタバコなど、RAVに報告された成人の重症アナフィラキシーの症例における悪化要因も強調している。

医師および消費者への情報の改善

食物アレルギーに関する公式の勧告がない限り、ANSESは専門センターの範疇にないアレルギー患者のケアとフォローアップを改善するため、医師のための適正実施ガイドの作成が適切であると考える。

消費者への情報に関しては、アレルギーを持つ人々が自宅以外での食事に関する情報にアクセスできるようにすることが不可欠であり、欧州ではすでに集団的飲食およびケータリング販売のための規定が存在する(欧州規制No.1169/2011)。専門家による評価では、海外旅行中に食事をする時、アレルギーのある人々のリスクが増大することも明らかとなった。この意味で、ANSESは、海外旅行または飛行機で旅行する場合のアレルギーのある人々のためのガイドを起草することを提案する。

より一般的には、人間工学、情報へのアクセスのしやすさ、消費者行動への影響、および情報要件の対象となる製品の妥当性、特に予防的ラベリングの実施における妥当性、などに関する規則の効果について評価を行うことを勧告する。

 

[ANSES]「代替」清缶プロセス:ANSESの助言

(清缶とは配管内のスケールの発生や腐食を抑制すること)

"Alternative" anti-scale processes: ANSES's recommendations

21/02/2019

https://www.anses.fr/en/content/alternative-anti-scale-processes-ansess-recommendations

本日、ANSESは飲料水分配システムにおけるいわゆる代替清缶(Alt-AS)プロセスに関する意見と報告を発表する。我々はまず、Alt-AS製造業者および販売業者は、自らが販売するプロセスおよび製品の安全性および有効性の根拠を提供する責任があることを強調したい。そしてこの点に関し、利用可能なデータが限られていることに失望を表明する。ANSESは、消費者が飲料水処理製品およびプロセスを購入する際に情報に基づいた選択を可能にするために消費者に提供される情報を改善すること、これらのプロセスの標準化および認証化を開発すること、そして規制を更新することを推奨する。

 飲料水は栄養バランスに必須な栄養素、カルシウムの潜在的な供給源である。 しかし、過剰なカルシウム、炭酸塩および炭酸水素塩を含有する水は、特に家庭用給湯配管および機器においてライムスケール(limescale: 石灰鱗)の堆積を引き起こすこともある。このライムスケールは、技術的および経済的な悪影響(配管内の水圧障害、機器の誤動作、より高いエネルギー消費、機器の寿命の短縮)をもたらす可能性がある。このような配管や機器への「硬」水の影響を減らすために、清缶水処理製品およびプロセス(WTP&Ps)が使用されている。

 これらのWTP&Pには、水道水質への測定可能な影響(pHの低下、ならびにカルシウムおよびマグネシウム濃度の低下)に基づいて保健省によって承認された、いわゆる「従来の」装置が含まれている。新しい清缶プロセス(代替またはAlt-ASとして知られている)の出現と急増により、保健総局(Directorate General for Health)はそれらの使用に関連する健康上のリスクを評価するようANSESに公式に要請することとなった。ANSESの専門家による評価は、水の化学組成を変化させる可能性がある技術である犠牲陽極電解または触媒作用を使用したAlt-ASプロセスに焦点を当てた。

ANSESの結論と推奨

 科学文献においても、または業界の専門家によって提供された根拠においても、これらのシステムの安全性または有効性に関する十分なデータがないため、ANSESは亜鉛陽極電解または触媒作用を使用するAlt-ASプロセスの安全性および有効性に関して結論を出すことはできない。 それでも、専門家らは、利用可能な根拠からこれらのシステムの安全性と有効性を評価するための推奨事項をいくつか作成した。

 専門家の評価では、ライムスケールの蓄積という水の特性に効果的に作用するAlt-AS処理が、たとえ全体の化学組成を変えないとしても、炭酸カルシウム(CaCO3)粒子の放出を促進し、濁度(水の曇り具合)を増し、腐食およびバイオフィルムの堆積を緩和することによって水質に間接的な効果をもたらすことを示した。

 ANSESはこうした所見を考慮した上で、Alt-ASプロセスには、いわゆる「従来の」WTP&Psと同様に、水質に対する影響における有効性と安全性に関して、直接および間接的影響の両方を考慮した十分な実証が必要だと考える。

 ANSESはまた、標準化と認証の開発を奨励する。これは、家庭内の配管に配置され、すでに水質要件を満たしている水に使用される機器を評価および承認するためのスキームの中心になるかもしれない部分である。

 これを達成するために、ANSESは飲料水処理製品とプロセスに適用される規制を更新することも推奨する。なぜならそれらはまだ "Alt-AS"プロセスを考慮に入れていないからである。

 最後に、ANSESはユーザーに情報を提供する努力を継続し倍増する必要性を強調する。これは、家庭用WTP&Psを購入するとき、蛇口から出る飲料水の品質に関して彼らが情報に基づいた選択ができるようにするためである。専門的な知識が不足していることが多い、この広範囲に多様な人々に対し、次のことを通知する必要がある:

           自宅に供給される飲料水の質を理解する重要性について。

           供給される水の質および保全が必要な機器に関して、自宅のシステムに追加のWTP&Pを設置することの実用性を検証する必要性について;例えば、水の硬度が15°f (フランスの尺度 - 水の硬度の測定単位)未満の場合、従来のまたは代替清缶プロセスの使用が正当化されることはほとんどない。

           購入しようとしているWTP&Pの有効性と安全性。それらを販売している会社の強調表示は自分たちの必要性と一致しているかどうかを確かめるため。

           飲料や食料として使うために、こうした処理を受けていない冷水の供給を維持する必要性。

           相互接続や逆流のリスクを防ぐために守るべき技術的な設置規則。

           処理システムの適切かつ定期的なメンテナンスの必要性。

 

[ProMED]抗生物質耐性-米国:柑橘の木にストレプトマイシン散布、EPA

Antibiotic resistance - USA: spraying streptomycin on citrus trees, EPA

2019-03-19

http://www.promedmail.org/post/6372775

Date: Fri 15 Mar 2019 Source: Consumer Reports Advocacy [edited]

コンシューマーレポートがEPAに柑橘類の病気の治療用にストレプトマイシンを使うことを認める決定案を取り消すよう強く求める。EPAに提出した意見で、耐性ができてヒトの病気の治療効果が減ると言っている。

(編集注に関連リンク多数)

 

Natureニュース

フロリダの困っている果樹園に抗生物質が大量に散布される計画

Antibiotics set to flood Florida’s troubled orange orchards

19 March 2019

https://www.nature.com/articles/d41586-019-00878-4

柑橘類の災難と戦う必死の計画に公衆衛生提唱者と科学者が懸念

来月にもフロリダのオレンジの木は白い花を咲かせ次の季節の始まりを告げるだろう。しかし今年は風に乗っていつもと違うものが吹き付けられるだろう。農家はフロリダの柑橘類を10年以上殺してきた細菌病であるカンキツグリーニング病と戦うために二種類の抗生物質を数万キログラム散布する予定である。

EPAが生産者にストレプトマイシンとオキシテトラサイクリンをルーチンの処理方法として認める手続き中で、この春の最初の若葉から年に数回散布する。最終的に44万キログラムの薬物を使う可能性がある。これら抗生物質はヒトの治療薬として使われ、他の作物にも使われたことはあるが今回のスケールは大きく、公衆衛生活動家や研究者は警鐘を鳴らしている。

EPAの計画に公式に反対しているKeep Antibiotics Working(抗生物質の効果を温存しよう)の上級アナリストSteven Roachは「監視の乏しい巨大な実験をしようとしている」という。これまで抗生物質使用量を減らそうという対策が10年以上続けられてきた中で生産者が抗生物質の使用を増やすよう求めるのは驚きである。この計画で一部のヒトの病原体に抗生物質耐性が増加する可能性も懸念される

一方で生産者はどんなことでもやってみたい。カンキツグリーニング病はフロリダの柑橘産業を損なってきた。病気が流行してから栽培面積は半分になりある推定によると州の柑橘類の90%が感染している。絶望は深刻である。

抗生物質を作物に長期間使用した場合の科学的根拠はあまりない。害についても研究者により意見は分かれる

長期的には病気に耐性のある木を科学者が交配できることが希望だが、すぐにはできないだろう。それまで業界が生き残る方法を探るしかない。

(いろいろ略。今のままだと日本はフロリダの柑橘類輸入できなくなるけど。)

 

[WHO]WHO専門家委員会はヒトゲノム編集についての強力な国際的管理への道を拓く

WHO expert panel paves way for strong international governance on human genome editing

19 March 2019

https://www.who.int/news-room/detail/19-03-2019-who-expert-panel-paves-way-for-strong-international-governance-on-human-genome-editing

 

[FSSAI]ガイダンスノート:豆とベサン(ひよこ豆粉)の安全性確保

Guidance Note related to "Ensuring safety of pulses & besan". (Uploaded on: 15.03.2019)

https://fssai.gov.in/dam/jcr:3097c018-dd08-4e98-a14e-36ca47a6390e/Guidance_Note_Pulses_Besan_15_03_2019.pdf

豆はインドの食事の多くを占め、菜食者にとっては主なタンパク源である。しかししばしば石や小石が意図的に加えられる。またキマメ(Cajanus cajan)を見た目が似ていて安価なグラスピー(Lathyrus sativus、有毒)と混ぜられる。色素で着色されることもある。見た目を良くするため健康に悪いメタニルイエローなどが使われる。

ベサンはベンガルグラム(ひよこ豆)の粉でありインド料理によく使われているが値段が高いのでしばしばトウモロコシやコメやグラスピーの粉と混ぜられている。色を良くするためメタニルイエローなどが使われる。この文書は異物混入された豆やベサンを買わないように消費者を啓発する

(混入物は他に昆虫、齧歯類の糞、バッカク、チョウセンアサガオの種、クロム酸鉛など。

食品だから安全です、みたいなノーテンキなことは言えない)

 

論文

-The Lancet Psychiatry:強力な大麻の毎日の使用は精神病の率の高さと関連

The Lancet Psychiatry: Daily use and high potency cannabis linked to higher rates of psychosis

19-Mar-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/tl-pss031819.php

欧州11ヶ所での症例対照研究

 

-たとえ低用量の合成カンナビノイドでも認知能力を低下させる

Even low doses of synthetic cannabinoids can impair cognitive performance

19-Mar-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-03/mali-eld031919.php

合成カンナビノイドJWH-018を2mg吸入すると思考や記憶を有意に障害し反応時間を遅くし混乱と解離を増やす。Cannabis and Cannabinoid Researchに発表されたプラセボ対照クロスオーバー試験。JWH-018はスパイスやK2と呼ばれる違法薬物に検出されている。

 

その他

-議論の多い栄養士をメルボルン大学に入れるなという呼びかけ

Calls to ban controversial nutritionist from University of Melbourne

By Henrietta Cook March 19, 2019

https://www.theage.com.au/national/victoria/calls-to-ban-controversial-nutritionist-from-university-of-melbourne-20190319-p515fa.html

科学者や医師らが、高脂肪食ががんを「飢えさせる」と主張する栄養士によるセミナーをキャンセルするようメルボルン大学に要請している

「Bring Back The Fat脂肪を呼び戻せ」の著者Christine Cronauが全国講演会の一環としてこの高名な大学で低炭水化物高脂肪食の利点を話す予定である。それに対して1200名の科学者や医師などからなるFriends of Science in Medicineが大学にイベント中止を求める文書を送った。2017年にはCronau 氏はMurdoch, Adelaide, South Australiaおよび Edith Cowanの4大学でセミナーを計画していたが同様に抗議を受けてキャンセルしている

 

-培養肉:未来のチキンの味覚試験

Lab-grown meat: Taste-testing chicken of the future

by  Lexy Savvides   | March 19, 2019

https://www.cnet.com/news/visit-to-nearby-asteroid-bennu-reveals-rubble-trouble-and-the-seeds-of-life/

培養鶏肉で作ったチキンナゲットの味見(動画)

(鶏ほど飼料効率の良い家畜の、しかもナゲットに、培養肉なんてわりにあわない。動物を殺さないことだけを求めているんだな)

 

-子どもの予防接種義務化に反対していた政治家が水痘で入院

Politician opposed to mandatory childhood vaccinations hospitalised with chickenpox

March 20, 20192

https://www.news.com.au/lifestyle/health/politician-opposed-to-mandatory-childhood-vaccinations-hospitalised-with-chickenpox/news-story/3fb2b6fb4b5008d7b998dec3e28176dd

イタリアの極右政党のMassimiliano Fedrigaが水痘で4日間入院していた。さらに自分の子どもには予防接種をしていたことも発覚

 

-ワクチン反対活動家が子どもを亡くした母親を攻撃

Anti-vaxers attack mothers whose children have died

https://edition.cnn.com/videos/health/2019/03/19/anti-vax-harassment.cnn/video/playlists/top-news-videos/

インフルエンザで子どもを亡くし、予防接種の大切さを訴える母親に対して反ワクチン派が攻撃しているというニュース。

(反ワクチン運動の酷さを強調するニュースが増えた。)

 

-遺伝子編集食品は安全、日本の委員会が結論

Scienceニュース

Gene-edited foods are safe, Japanese panel concludes

By Dennis Normile Mar. 19, 2019

http://www.sciencemag.org/news/2019/03/gene-edited-foods-are-safe-japanese-panel-concludes

日本では、遺伝子組換え食品は表示しなければならないが、助言委員会はそれが遺伝子編集食品にもあてはまるかどうかは言わなかった

日本は、昨日の助言委員会の合意が厚生労働省に採用されれば、ある基準にあてはまる限り、遺伝子編集食品を安全性評価無しに消費者に販売することを認めるだろう。NHKに対して新潟大学の内分泌学者で委員会の議長Hirohito Soneは「伝統的交配法と遺伝子編集に安全性についてはほとんど違いはない」と語った。

遺伝子編集食品の規制については世界的に議論が盛んである。科学者や規制担当者は別の生物から遺伝子を移す遺伝子組換えと、CRISPRのような新しい技術を使って生物の中のある種の遺伝子を失活させたり変えたりする遺伝子編集との違いを認識している。だからFDAは昨年ほとんどの遺伝子編集食品は規制対象ではないだろうと結論した。しかし欧州司法裁判所は遺伝子編集作物をこれまでの遺伝子組換え植物と同じ長期にわたる認可プロセスを経なければならないと判断した。今回日本は米国に倣った。

消費者団体はこの助言案に反対している。日本消費者連盟は「遺伝子組換え食品はいらない!」をスローガンに全ての遺伝子編集作物の規制と安全性評価と表示を要求する署名を集めている。消費者が新しい技術を受け入れるかどうかはまだわからない。日本はGM食品の販売を認めているが人々の慎重さが摂取を制限し農家は栽培していない。しかし相当量のGM加工食品や飼料を輸入している。日本の研究者はゲノム編集ジャガイモやコメやチキンや魚を研究していると報告されている。「懸念を緩和するには新しい技術の丁寧な説明が必要だろう」とSoneは言う。

(消費者団体はマイナーな日消連ではなく消団連をとりあげて欲しかったかも)