2019-03-25

[EU]RASFF Week12-2019

警報通知(Alert Notifications

英国産食品サプリメントの未承認物質シルデナフィル及びタダラフィル、スペイン産冷凍メカジキのカドミウム(0.23 mg/kg)及び水銀(1.99 mg/kg)、フランス産ポリアミドケーシングからの環状オリゴマーの溶出(14.3 mg/kg)、産出国不明ドイツ産有機玄米のアフラトキシン(B1 = 7.1 µg/kg)、フランス産冷凍ケシの実パンのモルヒネ高含有(2.43; 5.2; 4.8 mg/kg)、中国産オランダ経由干し芋の亜硫酸塩高含有(80 mg/kg)、オランダ産セントジョーンズワートのピロリジジンアルカロイド(3307 µg/kg)、ニカラグア産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 5.8; Tot. = 6.3 µg/kg)、ドイツ産犬用完全飼料のビタミンD高含有(10700 IU/kg)、ベルギー産冷凍キジむね肉フィレの鉛(2.4; 2.6; 1.2; 1.0 mg/kg)、産出国不明ドイツ経由食品サプリメントの未承認物質1,3-ジメチルブチルアミン (nor-DMAA) 2-アミノ-6-メチルヘプタン (DMHA)・ヒゲナミン及びホルデニン、米国産スペイン経由カンナビジオール入り有機チューインガムの未承認物質テトラヒドロカンナビノール(THC) (1050 mg/kg)及び未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、中国産スペイン経由乾燥海藻のヨウ素高含有(175 mg/kg)

注意喚起情報(information for attention

トルコ産スイカの種のアフラトキシン(B1 = 6.6; Tot. = 7.3 µg/kgB1 = 11.6; Tot. = 12.9 µg/kg)、米国産食品サプリメントの未承認新規食品成分イカリソウ・ジャショウ(Cnidium monnieri)・トンカットアリ(Eurycoma longifolia)及びヨヒンベ樹皮抽出物、イラン産レーズンの調理に使用したミネラルオイル(86.1 mg/kg)、中国産冷凍イカのカドミウム(7.7 mg/kg)、インド産ザクロのクロルピリホス(0.181 mg/kg)、アルバニア産キュウリのフェナミホス(0.136 mg/kg)、オランダ産チルドメカジキフィレの水銀(1.5 mg/kg)

フォローアップ用情報(information for follow-up

英国産ビタミンB複合体からのビタミンB6の高摂取量(50 mg/)、オーストリア産犬用マウスペーストの未承認飼料添加物カンナビジオール(CBD)、フィリピン産オランダ経由ビーフ味インスタント麺スープの未承認照射、エジプト産オランダ経由オレンジの未承認物質フェントエート(0.078 mg/kg)

通関拒否通知(Border Rejections

中国産茹でピーナッツのアフラトキシン(B1 = 24.7; Tot. = 30.4 / B1 = 25.2; Tot. = 29.8 / B1 = 29.8; Tot. = 31.1 µg/kg)、セルビア産キュウリのオキサミル(0.042 mg/kg)、中国産未承認遺伝子組換え(35S)米、エジプト産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 6.9 µg/kgB1 = 6.8; Tot. = 8.3 µg/kg)、中国産各種メラミン樹脂製食器からのホルムアルデヒドの溶出(26.1 mg/kg)、アルゼンチン産鳥餌用ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 99 µg/kg)、インド産バスマティ米の未承認物質トリシクラゾール(0.017 mg/kg)、パキスタン産グリーンチリのテブコナゾール(0.68 mg/kg)・未承認物質カルボフラン(0.044 mg/kg)及びクロルフェナピル(0.81 mg/kg)、アルゼンチン産飼料用ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 46.8 µg/kg)

 

[EU]査察

インドネシア生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質

Indonesia―Residues and contaminants in live animals and animal products

06/03/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4099

201810212日にインドネシアで実施した、EU輸出用生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質の公的管理を評価するための査察。残留物監視計画に、存在する薬理学的有効成分のいくつかが水生動物に最も利用されそうな登録済動物用医薬品に含まれていない一方で、残留物監視計画はEC指令に従って実行している。だが、残留物監視対象外の特定の優良農業規範(GAP)で保証された農場や孵化場、サンプリングをしていない非常に多くの農場や池が、監視計画の効果を弱めている。

 

[EFSA]意見等

-子羊と馬の飼料添加物としてのLevucell SC (Saccharomyces cerevisiae CNCM I1077)の認可更新申請の評価

Assessment of the application for renewal of authorisation of Levucell SC (Saccharomyces cerevisiae CNCM I1077) as a feed additive for lambs and horses

21 March 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5639

この製品は現在、馬、子羊、酪農羊、酪農ヤギ、乳牛、牛肥育用の飼料への使用が認可されている。S. cerevisiaeは安全性適格推定(QPS)アプローチに適している。この添加物に存在する株は同定されており、この添加物の他の成分から懸念は予想されないので、Levucell® SCは、対象種、この添加物を与えられた動物由来製品の消費者、環境に安全だと考えられている。以前の結論を再考させるような新たな証拠は見つからなかった。

 

-全ての動物種用Escherichia coli CGMCC 11674で生産したlトリプトファンの安全性と有効性

Safety and efficacy of ltryptophan produced with Escherichia coli CGMCC 11674 for all animal species

21 March 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5642

この生産株は安全上の懸念を生じなかった。1,1’エチリデンビスlトリプトファン (EBT)などのトリプトファンに関する不純物により、対照種と消費者の安全性を結論できなかった。飲料水と飼料からのl-トリプトファンの同時経口投与の安全性には懸念がある。保護されていない形状のトリプトファンの反芻動物への使用はリスクとなる可能性がある。この添加物は、扱う人にエンドトキシン暴露による吸入リスクを起こす。動物の栄養への使用は環境へのリスクを起こさない。この添加物は、全ての非反芻動物種のアミノ酸l-トリプトファンの有効源だとされている。この製品l-トリプトファンを反芻動物に使用するなら、反芻動物の第一胃から保護する必要がある。

 

-グループ化とリードアクロス法促進のための農薬の遺伝毒性予測や遺伝毒性に関する相似解析への既存の(Q)SARモデルの適応性の評価

Evaluation of the applicability of existing (Q)SAR models for predicting the genotoxicity of pesticides and similarity analysis related with genotoxicity of pesticides for facilitating of grouping and read across

21 March 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1598

食事リスク評価のための残留物定義に関するガイダンスの現実的実施を促進するために、EFSAは、農薬やその代謝物質、代謝による構造変化の遺伝毒性に与える影響の分析を含む、の遺伝毒性を予測する既存のin silicoモデルの適用可能性の評価をまとめた。in vitro 及び in vivo試験への(Q)SARsの予測可能性が評価された。

エームス試験では、全ての(Q)SARモデルは、その検査の実験的な変動と同程度の統計的に有意な予測をたてた。一方in vitro細菌変異原性と異なるアッセイ/エンドポイントについては、(Q)SARモデルの信頼性は最適とはかけ離れているようだ。次に、エームス変異原性とin vitro 染色体異常を予測するために、2つの新たなリードアクロス法が適用された。リードアクロスはエームス試験結果を予測するのに概ね成功しているが、in vitro染色体異常ではそれほどでもない。エームスと異なるエンドポイントでの結果が悪いのは実験プロトコールと結果の評価のいくつかの改訂によりデータベースが定量性が均一でないためモデル化には適さないことが原因かもしれない。この調査の3つ目の側面は、その物質の遺伝毒性に与える、代謝あるいは分解工程の結果による構造変化の影響の評価である。エームス変異原性の変化の原因となる、ならない親化合物/代謝物質の構造の違い(既知の構造アラートを超えた)が同定され分類された。さらに、専門家の監督のもとで適用される構造アラート解析は、大部分の遺伝毒性のパターンの変化を合理的に説明できた。

この作業の知見は証拠の重み付けや段階的評価に組み入れることができる。人間の専門家の知見の重要性が特に強調されている。

 

[IARC]新しい研究の目的と結果と結論についての疑問

Questions on the aims, results and conclusions from the new study

20/03/2019

http://agricoh.iarc.fr/agricoh_qa.php

18 March 2019AGRICOHコンソーシアムのプール解析のプレスリリース(https://uneyama.hatenablog.com/entry/2019/03/19/180457)の後に加えられたQ & A

グリホサートの評価との関連について言い訳をしている

「がんのハザードやリスクの評価は研究を総合的に考慮するものであって、たった一つの観察研究に基づくものではない」

(この文章自体は全くその通り、なのだが実際にIARCがグリホサートについてやったことは特定の研究の排除なのだからあきれる。)

 

[COC]COC 2019328日の会議の議題

Committee on Carcinogenicity of Chemicals in Food, Consumer Products and the Environment

28 March 2019: agenda and papers

https://www.gov.uk/government/groups/committee-on-carcinogenicity-of-chemicals-in-food-consumer-products-and-the-environment-coc

・化学発がん再び-興味ある一連の論文

Regulatory Toxicology and Pharmacologyに発表された3論文について

Wolf DC et al., (2019) Chemical carcinogenicity revisited 1: A unified theory of carcinogenicity based on contemporary knowledge. Regulatory Toxicology and Pharmacology 103, 86-92.

Doe JE, et al., (2019) Chemical carcinogenicity revisited 2: Current knowledge of carcinogenesis shows that categorization as a carcinogen or noncarcinogen is not scientifically credible. Regulatory Toxicology and Pharmacology 103, 124-129.

Cohen SM et al., (2019) Chemical carcinogenicity revisited 3:Risk assessment of carcinogenic potential based on the current state of knowledge of carcinogenesis in humans. Regulatory Toxicology and Pharmacology 103, 100-105.

これらの要約

「がんの発生と病因の理解は化学物質の発がん影響対策に大きな意味がある。過去40年間、我々は一つの細胞あるいは一群の細胞が制限無しに増殖し始めることをがんと定義し、そこに細胞を正常から異常にプログラム変更するDNAのコードの間エラーがあることを理解してきた。がんは変異原性イベントによる直接的あるいは細胞増殖、それが特に継続すると、により間接的に生じるDNAコードのエラーの帰結である。化学物質はDNAとの直接的相互作用で細胞分裂によって伝えられる突然変異をおこしてがんを誘発する。非遺伝毒性発がん物質は増殖を誘発するような環境を維持して長期的に新生物を生じさせる。細胞増殖を誘発する化合物は二つのカテゴリーに分類できる:受容体を介して細胞増殖を誘発するものと、細胞傷害性のように非特異的メカニズムで作用するもの、である。

このことは1970年代の概念である化学物質を「発がん物質」か「非発がん物質」のどちらかに分類することの土台を崩す。がんを誘発する能力は、発がん性がある(発がん物質)とない(非発がん物質)との柔軟性のない二分法で分類すべきではない。長期齧歯類発がん性試験は、ヒトの発がん性を評価したりリスク管理の意志決定に情報を提供するためには適切でも効果的でもない。予測性に疑問があり、お金がかかり、時間がかかり、何百もの動物を使う。50年以上にわたって実際に使われてきたものの、現在使用されている化学物質の5%以下の評価にしか使われていない。さらにそのプロセスの用量の制限や試験デザインと確率論的性質のために、再現性がない。腫瘍発生につながる作用機序は既に他のハザード性質分類(変異原性/遺伝毒性/標的臓器毒性)で検討されていて、発がん性という別のカテゴリーは要求されておらず公衆衛生に追加の保護を提供しない。

我々は今やより広範な化学物質について、バイオアッセイから、がんは変異原性イベントにより直接的にあるいは持続する細胞増殖により間接的に生じたDNAのコードのエラーの帰結であるという前提に基づき、より良い予測可能性をもつ、意志決定樹マトリクスへの移行を薦める。最初のステップはin silicoin vitroでの変異原性(DNA反応性)の評価である。変異原性なら、他の根拠がない限り発がん性とみなす。変異原性がなければ、次のステップはヒトの暴露量と毒性学的懸念の閾値(TTC)との比較である。もしヒト暴露量がTTCを超えるなら、細胞増殖の増加や免疫抑制、相当なエストロゲン活性のような発がん性プロセスにとって重要な前段階となる影響に関連した試験をする。これらの前駆影響のNOEL以下にヒトの暴露量を制限すればヒト健康影響は守れるだろう。この決定木マトリクスは動物を節約し費用対効果が高く、我々のがん形成プロセスについての理解の進化と歩調を合わせたものである」

(変異原性陽性ならがん原性試験いらないっていう主張は30年前に見た。螺旋階段で一段上がって似たようなところに来たってことなのかな。その時その時必死で考えたことって無駄にはならないのかも)

・更新ガイダンス案:発がん化学物質のリスク評価連略

・「発がん性における化学物質複合影響のリスク評価の課題」案

・「生涯より短い時間の暴露によるリスクを検討する枠組み」改訂案

・最近の論文:実験的および汎がんゲノム解析により明らかになったヒト発がんにおけるアクリルアミド暴露の広範な寄与

・ホライズンスキャンニングトピックスのフォローアップ

COC年次報告2018

 

[ProMED]ゼアラレノン インド:(ウッタラプラデシ)穀物

Zearalenone - India: (UP) cereal grain

2019-03-21

http://www.promedmail.org/post/6380012

Date: Thu 21 Mar 2019 Source: Daily Pioneer [edited]

インド毒性学研究所(IITR)の研究者らがウッタラプラデシで調べた穀物の84%からゼアラレノンを検出した。Journal of Food Scienceに報告。平均的穀物摂取量だと一日のゼアラレノン摂取量はコメでEFSAの設定した量の17倍、小麦で8倍。インドは温かく湿度が高い気候で作物のカビが生えやすい

Rai, A, Dixit, S, Singh, S P, Gautam, N K, Das, M and Tripathi, A: Presence of Zearalenone in Cereal Grains and Its Exposure Risk Assessment in Indian Population. Journal of Food Science. 2018; 83: 3126-3133

 

[ProMED]原因不明の中毒 マレーシア:(ジョホール)

Undiagnosed poisoning - Malaysia: (JH)

2019-03-20

http://www.promedmail.org/post/20190320.6377211

Date: Thu 14 Mar 2019, 12:50 PM Source: The Indian Awaaz [edited]

有害廃棄物を川に捨てたことにより数百人が病気になって100以上の学校が閉鎖されたとマレーシア当局が言う。ヒュームを吸い込んだ500人以上、その多くが生徒達、が治療を受けた。先週トラックが廃棄物を捨てたあと、広範な地域に有害なヒュームが生じた

 

-原因不明の中毒 マレーシア(第2報):(ジョホール)有害廃棄物

Undiagnosed poisoning - Malaysia (02): (JH) toxic waste

2019-03-21

http://www.promedmail.org/post/6379996

[1]Date: Wed 13 Mar 2019 Source: New Straits Times [edited]

201937日にPasir GudangSungai Kim Kimでの違法化学物質の廃棄が、2019314日に起訴されるだろう。エネルギー科学技術気候変動大臣のYeo Bee Yinが環境部(DoE)は調査報告書を完成させて検察に送ったという。容疑者はタイヤリサイクル工場のオーナー。DoEの調査は続くが、川に捨てられた物質の検体から8つの化合物を同定している。メタン、塩化水素、アクリロニトリル、アクロレイン、ベンゼン、トルエン、キシレン、リモネン。

[2]Date: Wed 20 Mar 2019 Source: New Strait Times [edited]

Sungai Kim Kimでの汚染により有毒ヒュームを吸い込んだ合計5848人が治療を求めた。そのうち951人が入院し25人がICUに入った。残りは外来治療

(濃度不明)

 

[EVIRA]豚農家の行動が豚生産チェーンの抗生物質耐性に影響する

Pig farms’ own practices affect the resistance to antibiotics in the pork production chain

March 20/2019

https://www.ruokavirasto.fi/en/organisations/risk-assessment/news-about-risk-assessment/pig-farms-own-practices-affect-the-resistance-to-antibiotics-in-the-pork-production-chain/

あとで

 

[ASA]何故自閉症を「治癒」すると宣伝するいわゆるCEASE療法をほんとうに止めなければならないのか

Why so-called CEASE Therapy claims to 'cure' autism really have to stop

ASA News  | 22 Mar 2019  | Guy Parker

https://www.asa.org.uk/news/cease-therapy-claims-must-stop.html

自閉症はたった一つの病気や症状ではなく、完治することはない。だから自閉症を「治癒」できるという人は深刻な問題である。誤解を招くことや偽りの希望を与えること以外にも実害がある。CEASE療法では、医薬品やワクチンによって引き起こされた「有害なすり込み」を除去すると主張している。それを「オーソモレキュラー(分子整合)」が栄養サプリメントの形で支持し、通常高用量ビタミンCや亜鉛を、栄養制限とともに「患者」に処方している

一見医学的な用語が印象的かもしれないが、その主張には科学的信頼性はない。またNHSのガイドラインと矛盾する。

子どもの予防接種を忌避することは命に関わる結果をもたらす。CEASEセラピストになるのは簡単で各種ウェブサイトが3-5日間のコースを提供している

我々は英国に150人程度のCEASEセラピストが操業しているのに気がついている。我々のコンプライアンスチームは全員に執行通知を発行してウェブを含め効果があるかのような宣伝はできないことを明確にしている。従わない場合にはさらなる制裁の標的となる

(いろいろ略

こんなインチキを大学公式トレーニングコースにしているようなところがある

https://www.m-a-univ-ce.com/program/10190121/

 

[FDA]FDAの自主的植物バイオテクノロジー相談計画は市場への道のりを容易にする

FDA's Voluntary Plant Biotechnology Consultation Program Eases Pathway to Marketplace

03/22/2019 

By: Susan Mayne, PhD., and Dennis Keefe, PhD.

https://www.fda.gov/NewsEvents/Newsroom/FDAVoices/ucm634021.htm

あとで

 

[USDA]豚肉は基本的に残留動物用医薬品を含まない

ARS

Pork Essentially Free of Veterinary Drug Residues

By Kim Kaplan March 21, 2019

https://www.ars.usda.gov/news-events/news/research-news/2019/pork-essentially-free-of-veterinary-drug-residues/

ARSの科学者がFood Additives & Contaminants: Part A.に発表した研究によると、数千以上の豚の腎臓の基礎的調査の結果、ほとんど残留医薬品は検出されず、検出された場合でも規制値以下であった。この結果は米国の養豚業者が動物用医薬品を適切に使っていることを示す。中西部の4つの小売店から1040個の豚の腎臓を購入し、フルニキシン、ペニシリンG、ラクトパミン、スルファメタジン、テトラサイクリンを調べた。豚の腎臓は筋肉より薬物を濃縮しやすいため指標として使われる。スクリーニング検査で薬物が検出されたのはわずか4検体であった。さらに感度の高いELISA法で4つの残留物質を調べたところ、スルファメタジンの極微量が検出されたのは4%、テトラサイクリンの痕跡は10%、ラクトパミン陽性は22%だった。いずれも米国規制値を下回っている。

 

その他

-ケルセチンサプリメントレビュー

コンシューマーラボ

Quercetin Supplements Review

Initial Posting: 3/23/19

https://www.consumerlab.com/reviews/quercetin-supplements/quercetin-supplements/

全てのケルセチンサプリメントが表示されているものを含むわけではない

ケルセチンはタマネギやケールやリンゴに含まれるフラボノイドで、各種効果を宣伝されてサプリメントとして販売されている。検査の結果2製品は14および12%表示より少なく、同じ量のケルセチンを得る費用は11セントから1.17ドルまでだった。

(ケルセチンといえばNTPの発がん性試験陽性で問題になっていたことがある

伊東先生の書いたもの

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5918804/pdf/CAS-83-312.pdf

食品添加物や農薬だったら悪者扱い間違いなしだろうに、天然物ならサプリメントで大量に摂って喜ぶという・・)

 

The Lancet

-ベネズエラの公衆衛生危機:地域の緊急事態

Venezuela's public health crisis: a regional emergency

Kathleen R Page et al.,

The Lancet, Volume 393, ISSUE 10177, P1254-1260, March 23, 2019

レビュー

ベネズエラの経済危機は医療インフラを侵食し公衆衛生を脅かしている

(政治経済政策の間違いでここまで国の基盤が破壊され人々が死んでいくというのは恐るべきこと)

 

-英国のEU離脱後の食品基準

Post-Brexit food standards

Tim Lang, Erik P Millstone

The Lancet, Volume 393, ISSUE 10177, P1199, March 23, 2019

2019228日に、米国通商代表部(USTR)が、英国のEU離脱後の米英取引協定に関する立場を発表した。USTRは英国がEUの厳しい食品安全と動物の福祉と環境保護基準を破棄すべきだという立場を明確にしている。32日には米国大使が欧州の食品と農業を博物館と呼んでEU基準を批判した。

食品の品質基準は既に英国のEU離脱においてデリケートな問題になっている。基準の変更は輸入を増やすだろう。我々は既に米国の家禽を殺菌剤で洗うことと牛にホルモン埋植剤を使うことを批判してきた。さらに著者らが主導したEAT–Lancet委員会の報告にあるように、高所得国の食生活は変わらなければならないがその変化は決して米国の方向に、ではない。

(いろいろ略。もともと肉については欧州と米国はずっと争ってきたから。日本から見ると欧州は安全性と関係ない自分たちの思想を押しつけすぎだし、米国は食べ過ぎ。かといって国際舞台で日本が上手に調整できるかというと難しい)

 

-アルコールに好意的な研究への政府支援を止めよ

End government support for pro-alcohol research

Saul J Newman

Volume 393, ISSUE 10177, P1200, March 23, 2019

1960年代に豪州の主要科学機関CSIROが公的資金を使ってブドウの収穫機を開発し輸入した。それから政府の支援によってオーストラリアのワイン生産は世界の1%以下から五番目に躍進した。政府によるアルコール業界への支援は続いている。2016年にはCSIROの最も名誉あるメダルが、科学的メリットがほとんどないグルテンフリービールに与えられた。政府がアルコール業界を支援する経済的メリットはほとんどない。アルコールの害によるコストのほうが大きいからだ。残念ながら同様の状況は世界中でみられる。政府はアルコールに好意的な計画への資金提供を止める時期である。

(公衆衛生対策としてタバコ業界の次に標的になるのは食品業界よりはアルコール業界が先だろう)

 

-ワクチン躊躇を克服する方法

Methods to overcome vaccine hesitancy

Rajasekharan K Nayar et al.,

Volume 393, ISSUE 10177, P1203-1204, March 23,

インドから。

イスラム教徒の多いケララ州での調査から宗教が問題なのではなく、信頼の無さが重要とのこと。副反応の経験、ソーシャルメディアで出回る情報、医療従事者に質問しても適切な答えが返ってこないこと。予防接種をしないことを正当化する、ワクチンは人口を減らすための不妊方法だという陰謀論まで。