[TGA]消費者の物語:ティムと選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARM

Consumer story Tim and selective androgen receptor modulators (SARMs)

26 March 2019

https://www.tga.gov.au/blogs/tga-topics/consumer-story-tim-and-selective-androgen-receptor-modulators-sarms

選択的アンドロゲン受容体モジュレーター(SARMs)はボディビルダーが違法に使用する、実験段階の処方薬であり、オンラインで購入したSARMsの使用は以下3つのリスクがある:

・ヒト用に認可されておらず、研究段階であり、健康リスクが実証され、その他のわからない健康リスクがあるかもしれない。

・オンライン販売の違法な医薬品は販売業者が表示するものを含まない可能性があり、他の危険性のある成分や表示と違った用量を含む可能性がある。

・処方箋、許可あるいは認可なしにSARMsにアクセスすることは違法であり、罰金や懲役になる可能性があり、SARMsは輸入するにも許可が必要である。

以下、ティムの話を例として、SARMs使用のリスクと、医薬品の安全性、効果及び合法性についての信頼できる情報の探し方を説明する。

熱狂的なアマチュアのボディビルダーであるティムは、違法なものや健康を害するものを求めるつもりはなかったが、ボディビルダー用広告で、筋肉増強に役立ちステロイドの望ましくない副作用がないと謳うサプリメントを目にする。そのサイトはSARMsを販売し、服用目安量を含め、類似製品と比較して、SARMsの安全性と効果に関する医学的に聞こえる言葉を並べ、研究目的のみ」で販売しているため、製品は合法であると謳う。ティムはそのSARMsサプリメントを購入したが、製品はオーストラリア税関で押収され、ティムは処方箋も許可もなかったため、法を破ることになりお金を無駄にし、罰金や禁固刑を含む深刻な法的措置を受けることになった。

SARMsとは何かというと、筋肉増強や骨密度の増強を謳う実験的な医薬品であり、ステロイドのような類似製品よりも副作用が少ないと言われている。SARMsはもともと、年配の人及び消耗性疾患の人が力をつけるための治療薬の可能性として開発されていたが、その使用は常に医師の監視のもとであるべきで処方薬のみである。SARMsは完全に研究されておらず、ヒト使用には認可がない。

SARMsの健康に対する長期的な影響の可能性については、リスクはまだ確立されておらず、他の医薬品や症状と相互作用についての情報には限界があり、適切な用量に関する公式のガイダンスはない。2017年、FDASARMsの使用が肝不全に関連があり、心発作あるいは脳卒中のリスクが増すことを警告した。

オンラインの医薬品購入に関する他のリスクだが、オンライン販売の違法な医薬品は、販売業者の表示するものが含まれていない可能性がある。SARMsとして販売される製品は実際に、ステロイドのような他の成分を含んでいることがある。Journal of the American Medical Associationで発表された研究によると、SARMを含むオンライン販売の44製品の52%が実際にSARMsを含んでおり、製品の25%はリストにない成分を含むことがわかった。広告表示の用量と違う量が含まれる、あるいは有効成分が全く含まれていないものもあった。

オーストラリアでは、患者はSARMsを入手するには医師の処方箋が必要であり、入手は州と自治体の法律に従った適切な許可あるいは認可が必要である。SARMsも専門の医師あるいは薬剤師にのみ許可され、医薬品管理オフィス(Office of Drug Control ODC)から輸入の許可が必要である。Cardarineは、オーストラリアではすべての販売、供給及び使用が禁止されている。SARMsの違法な輸入は罰金あるいは懲役という結果になる。

製品が安全かつ合法かは、信頼できるソースを確認することで知ることができる。

・医師や薬剤師は、効果やリスクの可能性も含め、処方箋が必要かも含め、医薬品に関する助言をすることができる。

ODCのウェブサイトは、特定の医薬品が輸入の許可や免許が必要かどうか示す規制物質のリストを掲示するが、SARMsとされるいかなる物質も、このリストに掲載されていなくとも輸入許可が必要になる可能性が高い。

TGAは使用に対する処方医薬品を認可し、オーストラリアの医薬品登録に関し、認可された医薬品を記録するが、SARMs医薬品の使用は認めていない。

 

[HK]食品安全センターは地域のマーケットで購入できる海洋水産物に含まれる有機スズ化合物に関するリスク評価研究結果を発表する

CFS announces risk assessment study results on organotin compounds in aquatic products available in local markets

Wednesday, April 10, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20190410_7405.html

 

[HK]生の牛肉サンプルが二酸化硫黄を含むことがわかった

Fresh beef sample found to contain sulphur dioxide

Wednesday, April 10, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20190410_7408.html

食品安全センター及び食物環境衛生署は、生肉での使用が認められていない保存料の二酸化硫黄が生の牛肉のサンプルから検出されたと発表した。二酸化硫黄の値は80ppmであった。

 

[ヘルスカナダ] カナダのオピオイド関連の過剰投与死に関する更新数値

Updated Numbers on Opioid-Related Overdose Deaths in Canada

April 10, 2019

https://www.canada.ca/en/public-health/news/2019/04/updated-numbers-on-opioid-related-overdose-deaths-in-canada.html

More than 10,300 Canadians lost their lives between January 2016 and September 2018

10,300人以上のカナダ市民が20161月から20189月に死亡した

 

[ヘルスカナダ]ヘルスカナダはネオニコチノイド殺虫剤の最終授粉媒介者再評価決定を発表

Health Canada releases final pollinator re-evaluation decisions for neonicotinoid pesticides

April 11, 2019 -

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2019/04/some-cancellations-and-new-restrictions-to-protect-bees-and-other-pollinators.html

あとで

 

[ヘルスカナダ]ヘルスカナダは若者の電子タバコ使用を減らす新しい方法についての助言を求める

Health Canada is seeking advice on new ways to reduce youth vaping

April 11, 2019

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2019/04/health-canada-is-seeking-advice-on-new-ways-to-reduce-youth-vaping.html

カナダ政府は若者の電子タバコ使用増加傾向を反転させるための対応をしている

オンライン販売の制限や特定のフレーバーの禁止、ニコチン濃度規制などを含むいくつかの対応案について2019411日から525日まで意見募集

 

[FDA]遺伝子組換え植物由来あるいは由来でない食品の任意の表示:企業向けガイダンス

Voluntary Labeling Indicating Whether Foods Have or Have Not Been Derived from Genetically Engineered Plants: Guidance for Industry

Issued November 2015

Revised March 2019

https://www.fda.gov/downloads/Food/GuidanceRegulation/GuidanceDocumentsRegulatoryInformation/UCM632956.pdf

20193月の改訂。そもそも組み換えできないはずの塩などに“non-GMO”と表示するのは誤解をまねくもので望ましくない。

(アメリカのNon-GMOプロジェクトがそういう表示をしている)

 

[FDA]警告文書

Marukyo Co., Ltd. 3/14/19

MAR 14, 2019

https://www.fda.gov/ICECI/EnforcementActions/WarningLetters/ucm635196.htm

酸性化食品基準、Emergency Permit Control法、不正表示、不純品の問題。

 

[FDA]リコール

-SD Import は表示されない成分シルデナフィルのためAphrodisiac Capsulesの自主回収を発表

SD Import Issues Voluntary Nationwide Recall of Aphrodisiac Capsules Due to Presence of Undeclared Sildenafil

April 9, 2019

https://www.fda.gov/Safety/Recalls/ucm635860.htm

SD Import, LLC は消費者レベルまでのAphrodisiac, Capsulesを自主回収。FDAの検査によりシルデナフィルに汚染されていることが分かった。製品写真あり。

 

-Brian Richardson DBA “In Tha Pink”は表示されない成分シルデナフィル及びタダラフィルのためKopi Jantan Tradisional ナチュラルハーブコーヒーの自主回収を発表

Brian Richardson DBA “In Tha Pink” Issues Voluntary Nationwide Recall of Kopi Jantan Tradisional ナチュラルハーブコーヒーDue to Presence of Undeclared Sildenafil and Tadalafil

April 5, 2019

https://www.fda.gov/Safety/Recalls/ucm635520.htm

Ata Int. Inc.は消費者レベルまで13/10/2020消費期限のKopi Jantan Tradisional Natural Herbs CoffeeBを自主回収。FDAの検査によりシルデナフィル及びタダラフィルに汚染されていることが分かった。製品写真あり。

-Morrisonsは誤表示のためTA-DAH! Cakeを回収措置

Morrisons recalls TA-DAH! Cake because of incorrect labelling

9 April 2019 

https://www.food.gov.uk/news-alerts/alert/fsa-prin-13-2019

Morrisonsはラベル誤表示のためTA-DAH! Cakeを回収措置。おもちゃの棒は3歳以下の子供とすべきところを誤って2歳以下の子供には適さないと包装上に表示。

 

[CDC]クラトムが検出された意図しない薬物過剰使用による死亡-27州、20167月から201712

Notes from the Field: Unintentional Drug Overdose Deaths with Kratom Detected — 27 States, July 2016–December 2017

MMWR / April 12, 2019 / 68(14);326–327

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/68/wr/mm6814a2.htm?s_cid=mm6814a2_w

意図しない薬物過剰使用による死亡報告システムにこの間報告された27338人の死亡のうち0.56%152人がクラトム陽性だった。そのうち91人はクラトムが死因だと判定されている。ほとんどの死者から複数の薬物が検出されている

 

[RIVM]地域住民の農薬暴露により良い知見

Better insight into local residents’ exposure to pesticides

04/11/2019

https://www.rivm.nl/en/news/better-insight-into-local-residents-exposure-to-pesticides

球根畑の近くの家の戸外の空気、ドアマットの埃、家の中の埃には残留農薬が検出される。また球根畑の近くに住む成人と子どもの両方の尿からも検出される。空気や尿から検出される量はリスク限度を超えないが、住人にとっての農薬全体のリスクについてさらなる研究が必要である。

近傍住人より栽培農家のほうが家庭環境中農薬濃度が高い

報告書本文はオランダ語

 

[USDA]ベトナムのグリホサート輸入禁止についてのPerdue長官の声明

Perdue Statement on Vietnam's Ban on the Importation of Glyphosate

April 11, 2019)

https://www.usda.gov/media/press-releases/2019/04/11/perdue-statement-vietnams-ban-importation-glyphosate

ベトナム農業地域開発省による、グリホサートの輸入禁止発表に対応したUSDA長官の声明

我々はベトナムの決定に失望している、それは世界の農業生産に破滅的な影響を与えるだろう

(以下略)

 

-CropLife Asiaはグリホサートを禁止するベトナムの決定に反応

CropLife Asia Reacts to Vietnam Decision to Ban Glyphosate

Posted by CropLifeAsia on Apr 10, 2019

http://www.croplifeasia.org/2019/04/croplife-asia-reacts-to-vietnam-decision-to-ban-glyphosate/

本日のベトナム政府のグリホサートを禁止するだろうという発表についてCropLife Asiaは以下の声明を発表する

グリホサートのような安全で有効な除草剤を農家の手から取り上げるのは、ベトナムの農業にとって大いなる進歩と進化の回り道である。

この過程で最もがっかりしたのは農業部門への相談がなく、国や世界の専門家との議論もなく、科学的データもないことである

(ベトナムはフランスの影響が大きいから。とりあえず日本はベトナム産の農作物に別の除草剤がこっそり使われる可能性への対応が必要。ベトナムのような国で、代わりの除草剤無しでこれまで通りの収穫ができるわけがないので)

 

[EVIRA]人々を感染させるレジオネラ最近は有機土壌改良材や培養土によくみつかる

Legionella bacteria infecting people also commonly found in organic soil improvement agents and growing media

April 10/2019

https://www.ruokavirasto.fi/en/organisations/scientific-research/news-about-scientific-research/legionella-bacteria-infecting-people-also-commonly-found-in-organic-soil-improvement-agents-and-growing-media/

調べた検体の90%以上にレジオネラが検出され、一部は数が多かった

 

[Codex]細胞培養食品はいつコーデックスの議題になるか?

When could cell-cultured food products appear on the Codex agenda?

10/04/2019

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1188179/

USDAFSISの主任科学者でコーデックス食品衛生部会の議長Emilio Estebanの説明によると、基本的には生きた動物から筋肉組織をとってそれを実験室で育てる(培養する)ことはできる。細胞の量が一定量になったらプリンターで形を整えてステーキのような三次元にできる。「これは単純化しすぎだが、基本的には動物を使わないでステーキやハンバーガーを実験室で作ることは可能である」

Bath大学の生化学技術者Marianne Ellisは細胞をとってバイオリアクターで増殖・成熟させそれから他の成分と混合してバーガーやソーセージやミートボールを作っている。しかし培養肉技術はまだ初期段階で、技術的課題が残っている。一部の米国企業が培養肉製品が一部の高級食品売り場で来年にも販売されると予想しているが欧州では4-5年はかかると想定されている。Ellisはまた培養肉は食糧安全保障にや環境持続可能性に利点があると主張する。

コーデックスのオブザーバーの国際食肉事務局のHsin Huang事務局長は、この技術はまだ生まれたばかりで、培養肉が大規模で意味のある選択肢になるかどうかまだわからない、という。持続可能なフードシステムについて議論するのは歓迎だが人工肉の費用や必要な資源の多さ、環境影響には疑問があるという。

規制担当者は将来に備える必要がある

培養肉がコーデックスの議題になるのは技術が十分に発達して大量生産できるようになったときだろう、とEstebanは言う。

(培養肉だから抗菌剤等使わないとかいうのは妄想の類じゃないかな。)

 

論文

-NASAの双子研究は宇宙での人体の反応のマルチオミクスな見解を示す

NASA twin study provides multi-omics view of human body's response to year in space

11-Apr-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-04/uoc--nts040819.php

Scienceに発表。一卵性の双子の宇宙飛行士Scott Mark Kellyの研究。

12 April 2019 Vol 364, Issue 6436の表紙

(いろいろすごい。遺伝子から腸内細菌までくまなく調べられていて膨大なデータが発表される、当事者はどんな気持ちなのだろう)

 

-がん患者の1/3は補完代替医療を使っている

One-third of cancer patients use complementary and alternative medicine

11-Apr-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-04/usmc-ooc041119.php

JAMA Oncologyに発表されたCDCの全国健康インタビュー調査のデータ解析。最も多いのはハーブサプリメント、次がカイロプラクティックやオステオパシー。若い人、女性で多い。また29%は代替医療の使用について医師に話していない。著者らはハーブサプリメントに特に懸念。Appleのジョブズにも言及。

 

-減塩して味をキープ

Keeping the taste, reducing the salt

11-Apr-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-04/wsu-ktt041119.php

Journal of Food Scienceに発表された、塩化ナトリウムに塩化カリウムと塩化カルシウムを混ぜてナトリウム濃度を下げた調味の研究。

96.4 % NaCl 1.6 % KCl 2 % CaCl2あるいは78 % NaCl 22 % CaCl2

(やさしおのほうが優秀な気がするんだが??)

 

その他

-抗生物質の後にプロバイオティックサプリメント

Probiotic Supplements After Antibiotics

Published April 11, 2019 by Wellness Letter 

http://www.berkeleywellness.com/supplements/other-supplements/article/probiotic-supplements-after-antibiotics

抗生物質の有害影響を減らすためにプロバイオティックサプリメントに頼らないように。

 

-「ワイン歯」の避け方

How to Avoid 'Wine Teeth'

April 10, 2019 by Wellness Letter 

http://www.berkeleywellness.com/self-care/home-remedies/article/how-avoid-wine-teeth

赤ワインを飲んだ後、色素が歯につくのを避けるために役立つ方法がある。

直感に反するかもしれないが、ワインを飲む前に歯磨きをする。ワインの色素がくっつく汚れを除去するためである。飲んだ後30分はエナメルがワインの酸で柔らかくなっているので磨かない。ワインを飲んだ後は水で口を濯ぐのは役にたつ。飲むときに食べることで酸のバリアになり唾液を出すので色素沈着阻止に役立つ。

 

-世界的ワクチン反対を反転させよ

Scienceエディトリアル

Reverse global vaccine dissent

Heidi J. Larson, William S. Schulz

Science  12 Apr 2019:Vol. 364, Issue 6436, pp. 105

今年WHOがワクチン躊躇を世界の健康への脅威トップ10の一つに挙げた。他は抗菌剤耐性や気候変動、エボラなどである。何がおこった?何故ワクチンに気が進まないことや拒否がこれほど大きなリスクになったのか?

現在の反ワクチン運動を駆動する懸念は多様である。例えば2003年から2004ねんのナイジェリアのKano州のワクチンボイコットはポリオの再興をもたらした。ワクチンに不妊成分が入っているという噂が不信につながりボイコットを強化し、ポリオ対策に追加の5億ドルの支出を余儀なくされた。日本ではHPVワクチン反対により接種はほぼゼロになった。デンマーク、アイルランド、コロンビアでもYouTube動画を介して同様のエピソードが生じた。インドネシアではイスラム教の指導者がワクチンを豚成分が入っているから禁忌だとし、一方でナチュロパシーの「カッピング」がワクチンの代わりになるとフェイスブックで宣伝された。2018年には南インドでWhatsApp Facebookで政治と宗教と代替療法の混じった反ワクチンメッセージが出回り、MRワクチンを阻害した。

ワクチン反対は新しい現象ではない。18世紀のロンドンで配られた反ワクチンパンフレットに書いてあることは現在とほとんど変わらない。しかしその拡散がかつてないほど広範で早い。

英国の医師Andrew WakefieldMMRワクチンの安全性に疑いの種を蒔いてから20年経った。ワクチンへの疑いは世界的になった。しかしWakefieldだけが現在のワクチン不信の原因ではない。Wakefieldが問題の論文を発表した同じ年にGoogleが世界の扉を開けた。まもなくFacebook, YouTube, Twitter, そして Instagramが続いた。

真の疑問やまっとうな不安を尊重しつつ反ワクチンの世界的拡大に対抗するには、複数の専門能力の混合が必要である。テクノロジーの専門家、社会科学者、予防接種や公衆衛生の専門家、そして倫理の専門家がこの課題にそれぞれ異なる役割を果たしながら対応しなければならない。