2019-05-30

[EU]査察報告書

-ブルガリア―抗菌剤耐性に関する政策を議論するためのブルガリアへのOne Health各国訪問報告書

Bulgaria―Report of a One Health country visit to Bulgaria to discuss policies relating to antimicrobial resistance

29/05/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4132

欧州疾病予防管理センター(ECDC)及び欧州委員会の保健及び食品安全総局は共同で2018年10月15~19日までブルガリアへの国家訪問を実施した。「One Health」の考え方に基づいて抗菌剤耐性(AMR)を扱う国家戦略準備の支援をするためである。ブルガリアのAMR対処に向けたアプローチは、獣医学及びヒトの健康分野両方で非常に多くのギャップと弱点があり、他の加盟国の状況と比べて見劣りする。特にOne Healthの考え方における獣医学、ヒトの健康、環境当局間のコミュニケーションと協力は相当不足している。部門間のOne Health調整メカニズムはなく、動物の健康とヒトの健康用の国家行動計画案は、開発の様々な段階にあるが別々に開発されている。ヒトの分野では、全てのレベルで医療専門家のAMRについての知識が限られているようだ。

 

-イタリア―輸入管理-国境検査所

Italy―Import controls-border inspection posts

29/05/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4131

2019年2月18日にイタリアで実施したヴェローナ空港の国境検査所(BIP)施設の適合性と準備を評価するための査察。この管轄機関はHC(2)区分でのヒト摂取用パック済み動物由来製品の公的管理のBIPへの記載を申請している。施設と設備は関連するEU規則の条件や使用準備に従い、管理職員は輸入条件についての教育を受けており、規則、ガイダンス、手順は輸入検査を実施する職員の支援ができている。動物用医薬品検査を必要とする全ての積送品が販売前に輸入管理職員に確実に提示されるよう、税関との協定が設定されていた。上記を踏まえて、ヴェローナ空港のBIPは、HC(2)区分でヒト摂取用パック済み動物由来製品区分の承認を委員会指令2009/821/ECに記載する準備ができている。

 

-スウェーデン―輸入管理システム(生きた動物、動物及び非動物由来食品)

Sweden―Import control system (live animals, food of animal and non-animal origin)

29/05/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4130

2018年11月20~28日にスウェーデンで実施した、商業動物の輸入や動物及び非動物由来製品の公的管理を評価するための査察。国境検問所(BIPs)、入国検査所(DPEs)/輸入検査所(DPIs)の施設や設備も評価した。輸入管理の枠組みは目的に合い、よく教育された職員が実行し、詳細なガイダンス文書や情報技術システムに支えられている。施設に関しては概ね適切だが、1か所のBIPで管轄機関の協力が懸念され改善の余地がある。生きた動物及び動物と非動物由来両方の輸入製品の公的管理の実行はEU規則に従っている。輸入食品及び飼料の年次リスク監視計画は適切で、計画に従って実行されている。BIPs/DPE構内の施設、設備、衛生状態は一般的に適切だが、1施設で適切に維持されていなかった。

 

[HK] パパイヤのサンプルの残留農薬が基準値超過

Pesticide residue exceeds legal limit in Papaya sample

Wednesday May 29, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190529_7472.html

食品安全センターが検査したところ、パパイヤのサンプルにおいて、チアメトキサムが最大残留基準0.01 ppmのところ、0.33 ppm検出であった。

 

[ヘルスカナダ] Konsar Future Nutrition Inc.製造の健康製品は深刻な健康被害を引き起こす可能性がある

Health products manufactured by Konsar Future Nutrition Inc. may pose serious health risks

May 29, 2019

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/70049a-eng.php

ヘルスカナダは製造所を検査し、深刻な衛生環境及び品質管理の問題を発見した。Konsar Future Nutrition Inc製造のすべての製品が深刻な健康被害を引き起こす可能性があると市民に警告を出している。

 

[ProMED]ホスフィンガス中毒 UAE:致死

Phosphine gas poisoning - United Arab Emirates: fatal

2019-05-29

http://www.promedmail.org/post/6491781

Date: 27 May 2019 Source: Khaleej Times [edited]

近所のアパートで使用された禁止殺虫剤リン化アルミニウムがAl Nahdaの10才の少年の死亡原因となった。双子の女のきょうだいが重体

アパートの住人が休暇で外国に行く前に殺虫剤を使って鍵をかけていた。そこから有毒ガスが出ていた。

Sharjah自治体の担当者によると、ここ数年で違法殺虫剤の使用による死亡や病気が多数でたため害虫コントロール業者の規制を強化した。取り締まり強化で違法企業は50%以上減った。しかし違法企業はオンラインで違法殺虫剤を販売している。そしてたくさんの人々がオンラインあるいはソーシャルメディアプラットフォームでそのリスクを知らないまま殺虫剤を買っている。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 81–19              

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular8119.aspx

新規申請と提案

総食物繊維の新規分析法としてAOAC 2017.16を加える

 

論文

-超加工食品と一連の健康リスクを関連づける新しい根拠

New evidence links ultra-processed foods with a range of health risks

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/b-nel052419.php

BMJに発表されたフランスNutriNet-Santé研究とスペインSeguimiento Universidad de Navarra (SUN)研究の解析

(BMJはこの路線でいくことにしたのだろうか?)

 

-エネルギードリンクは心機能異常と血圧の変化リスクを増やすかもしれない

Energy drinks may increase risk of heart function abnormalities and blood pressure changes

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/aha-edm052419.php

Journal of the American Heart Associationに発表された18-40才の34人の健康なボランティアに市販のエネルギードリンク32オンスを飲んでもらった研究。

 

-ヒトマイクロバイオームプロジェクトの新しい知見は炎症性腸疾患でマイクロバイオームがどうかく乱されているのかを明らかにする

New findings from Human Microbiome Project reveal how microbiome is disrupted during IBD

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/htcs-nff052819.php

nature。132人の参加者を1年間フォロー。クローン病と潰瘍性大腸炎のヒトと対照群を比較。参加者は二週間に一回便を提供し血液は年4回、研究開始時には結腸生検をしている。総検体数は2965

 

-クラトムの痛みの緩和作用はその代謝物による可能性

Kratom's reputed pain-relief benefits could come from one of its metabolites

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/acs-krp052919.php

ACS Central Scienceに発表された細胞とマウスを使った実験で、ミトラギニンより7-OHミトラギニンのほうが効果が強いこと、ヒトとマウスの肝臓調整物がミトラギニンを7-OHミトラギニンに代謝することを発見した。

 

-コンポスト可能な食品容器は環境中にPFASを放出する可能性がある

Compostable food containers could release PFAS into environment

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/acs-cfc052419.php

生分解する食品容器は良さそうに思えるが、それらの多くは撥水性や耐油性のためにPFASを使っている。ACSのEnvironmental Science & Technology Lettersに発表された報告によるとPFASが容器からコンポストに溶出することが示された。5州から10の検体、そのうち9つは産業施設、もう一つは家庭の裏庭の、を分析した。コンポスト可能な食品容器を受け入れているコンポストのPFAAs量は他より多かった。多くは短鎖PFAAであったがPFOAとPFOSも検出された。

 

-大麻の遺伝子解析はここに

Genetic analysis of cannabis is here

29-May-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-05/wsu-gao052919.php

9つの市販の大麻系統の遺伝子配列の解析をPlant Physiologyに発表

 

その他

-ゲノミクス研究所が世界を主導する動物施設を閉鎖

Natrueニュース

Genomics institute to close world-leading animal facility

29 May 2019 Holly Else

https://www.nature.com/articles/d41586-019-01685-7

Wellcome Sanger Instituteは世界中の遺伝学研究者にマウスを供給してきたラボを閉鎖することを決めた。遺伝学研究で動物の代わりに細胞系統やオルガノイドのような代替法を使う方向への動きの帰結である。

 

-統合的ヒトマイクロバイオームプロジェクトの後、マイクロバイオームコミュニティの次の目標は?

Natureエディトリアル

After the Integrative Human Microbiome Project, what’s next for the microbiome community?

29 May 2019

https://www.nature.com/articles/d41586-019-01674-w

この野心的取組は炎症性腸疾患、2型糖尿病の発症、早産について重要な知見を提供した。しかし完全に学際的な協力研究はマイクロバイオームの知識を臨床に使えるように変換する必要がある

20年前は、ヒトマイクロバイオームはまだ未熟な分野だった。今や花盛りの研究分野である。2007年に10年計画でヒトマイクロバイオームプロジェクトが始まり、初期の最大の成果の一つは人体の微生物叢の分類学的組成は、病気への感受性のような宿主の表現型の信頼できる予想因子ではない、ということである。このことから、宿主とマイクロバイオームの両方のより包括的解析の必要性が生じ、第二期として統合的ヒトマイクロバイオームプロジェクトができた。その重要な結果が今週natureとnature medicineに発表された。

(3論文の紹介等。ヨーグルトでどうこうとか言っている人たちはお呼びじゃない)

 

-UK SMC

高度に加工された食品と心血管系疾患を調べた二つの研究への専門家の反応

expert reaction to two studies looking at highly processed foods and cardiovascular disease

May 29, 2019

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-two-studies-looking-at-highly-processed-foods-and-cardiovascular-disease/

The BMJに発表された二つの研究が高度に加工された食品と心血管系疾患と死亡リスクの正の関連を示した

英国心臓財団上級栄養士Victoria Taylor

この手の観察研究は関連を示すのみであることを忘れないのが重要である。その背景に何があるのかはわからない。研究者らが使用している超加工食品の分類は非常に広範で、そんためコレラの食品が健康と関連する理由はたくさんある。助言や政策を変えることを考える前にこのことを良く理解するのが重要である。

我々は既に人々に果物、野菜、魚、ナッツ、種子、マメ、全粒穀物などのたくさんの最小限に加工された食品を含む地中海風の食生活を採用するよう勧めている。これに加えて運動と禁煙が心臓や循環器疾患のリスクを下げるのに有益であることが示されている。

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

これは興味深い研究でそのデータの統計解析は適切なようである。しかしこの知見について何をするべきかにはまだいくつかの重大な問題がある。何が何の原因であるかという問題がある。他の集団にあてはまるのかという問題がある。この知見からどんな助言が示唆されるのかという問題がある。最後に私はこの研究報告は科学研究と運動(キャンペーン)の境界についての問題を提示する。

研究論文とプレスリリースのどちらでも明確にこれは超加工摂取と健康の因果関係を証明したものではないと述べている。なぜならば超加工食品を比較的大量に食べている人と比較的少量食べている人では食品以外にも多くの違いがあるからである。例えば、平均して喫煙率が高い。こうした違いは健康状態の悪いリスクや早期死亡の差の原因かもしれない。その差の一部は統計的に調整でき、どちらの研究もいくつかの調整は行っている。しかし全ての関連要因が調整できるかどうかはわからないし単純にデータがなければ調整はできない。

一般的にどんな観察研究でも一つでは因果関係は証明できない。超加工食品摂取が健康状態の悪さの原因であることへの確信は、もしより多くの違う種類の研究で同じような結果が見られ続ければ増えるだろう。しかしこれらの研究は、そして以前の研究も、概ね同じ種類の研究で、どうして超加工食品が健康に悪いのかの理由には光をあてていない。両研究はいくつかの示唆をしているが示唆以上のものではなく、一部の想定は自分たちの研究データから直接導いたものではない。また、人々を追跡観察した入手可能な研究のほとんどは、これらと同じ二つの集団-フランスのNutriNet-SantéとスペインのSUNコホートに基づくものである。従って実際には独立した確認にはなっていない。さらに、どちらのコホートもその国内であっても典型的な集団ではない。平均より教育レベルが高く(スペインコホートは全員大卒)、健康状態が良く、圧倒的に女性が多い。フランスのコホートは栄養と健康の関係を調査するために募集した。そのような研究に応募する人は全人口集団の典型的な人である可能性は低い。

(いろいろ指摘多数、略)

最後に、これらの研究者の報告のしかたや書き方から、著者らは超加工食品をできるだけ食べないようにするべきだと信じていることが明らかである。結構、そして彼らはこの問題については私よりよく知っているのだろう、しかしフランスの論文の要約の結論部分で著者らはこう書いている「いくつかの国の公衆衛生当局は最近加工しない食品あるいは最小限の加工を勧め、超加工食品は減らすよう推進し始めた」。これはフランスとブラジルではそうかもしれないが、この研究の結論ではない。そして研究論文のアブストラクトの結論部分でそのような記述をすることは、科学的報告とキャンペーンの境界線を踏み越えている。

Reading大学栄養と健康准教授Gunter Kuhnle博士

これら二つの研究は質の高いもので「超加工」食品を非常に多く食べることは疾患リスクが高いことと関連することを示す。心血管系疾患リスクの増加はどちらかというと小さく、30%以上が超加工食品である(研究集団の1/4以下)の人でのみ観察されているものの心疾患やがんによる死亡の増加は見られない。そして死亡率の増加は「超加工」食品を1日あたり4食分以上食べている人でしか観察されていない。

この研究の大きな限界の一つは「超加工」食品に焦点を絞ったことである。この用語は「不健康な食品」のイメージを作るのには便利であるが、特異性がなく公衆衛生に情報を与えたり食事助言をする祭に有用でもない。「超加工」は加工の程度が多いものと一般的に想定されるが実際には加工の少ないもの(例えばハンバーガーやポテトチップスや魚のフライなど)も含まれる。何故サラミが超加工食品なのにそれより何段階も多くの加工を経て食品添加物も使うチーズは超加工食品ではないのか明確ではない。この分類は健康への影響が異なる一連の食品を組み合わせているため助言の根拠としての利用度が限定される

超加工食品の摂取が全体として「不健康な」ライフスタイルの指標である可能性が高い。」実際超加工食品を最も多く摂取している集団は一般的に不健康で喫煙率が高く運動不足であることには注目すべきだろう。こうした背景原因に取り組むことのほうがより重要だろう。