2019-06-13

[EFSA]EFSAはリン酸塩類に関する新たな助言を発表

EFSA issues new advice on phosphates

12 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/190612

食品由来のリン酸塩類の推定総摂取量は、安全性の再評価後にEFSAが設定した安全量を超える恐れがある。EFSAの科学者たちは定期的に摂取する人がリスクにさらされている恐れがあるので食品サプリメントの添加物として使用する際のリン酸塩類含有量を減らすために最大許容量の導入も推奨した。

リン酸塩類は必須栄養素 (リンの一形態) で、天然にヒトの体内に存在し、私達の食事に欠かせない。一般に「リン酸塩類」といわれる物質グループはEUで食品添加物として認可されている。それらは「技術的」機能として広範な食品に添加されている(例えば、乳化剤や抗酸化剤として)。そのうちいくつかは乳児や幼児用食品に使用できる。

リン酸塩類初の「複合」安全摂取量

リン酸塩に関する作業グループ長であるUrsula Gundert-Remy博士は述べた、「パネルはリン酸塩の安全性を再評価し、初めてグループ許容一日摂取量[ADI] 40 mg/kg bw /日を導出した。リン酸塩類は栄養素でもあり私達の食事に欠かせないため、私達のアプローチでは、天然由来や食品添加物を含む様々な供給源からのリン酸塩の摂取を考慮した一つのADIを決めた。」

このADIは体重70kgの平均的成人では1日当たりのリン酸塩摂取2.8gに相当する。

EFSAの食品添加物および香料に関する専門家パネル(FAF)の議長であるMaged Younes博士は述べた、「重要なのは、このADIは、脆弱集団である中程度から重度の腎機能低下のある人には当てはまらないということだ。この結論は腎臓に認められたリン酸塩高摂取の影響に基づいている。」

食事暴露評価

食事暴露は全ての食事源からのリン酸塩類の総量から算出され、製造業者が報告した食品添加物の量に限らない。専門家は、食品添加物はリン酸塩類の総平均摂取量の630%寄与すると推定した。

Younes博士は付け加えた、「食事からのリン酸塩の平均摂取量で、リン酸塩類への食事暴露は、乳児、幼児、子供で新しいADIを超える恐れがあると推定した。これは食事にリン酸塩類が多い青年にも当てはまる。

「私達が持っていたデータでは、リン酸塩類を含む粉ミルクや医療用食品を摂取する生後16週間以内の乳児に安全上の懸念は生じなかった。」

これらの添加物の食品中の既存の最大許容量は食品の種類により食品の500 20,000 mg/kgに及ぶ。

EFSAの科学的助言は、EUの食品添加物としてのリン酸塩類の安全な利用を規制する欧州委員会や加盟国のリスク管理者に情報を提供するだろう。

食品サプリメントのリン酸塩類

現在、食品サプリメントの添加物としてのリン酸塩類は十分量quantum satisで利用できる(すなわち技術的に必要とされるくらい)EFSAの専門家はそのようなサプリメントを定期的に摂取する3歳児以上のヒトでは、推定食事暴露量が腎機能のリスクに関連する量でADIを超える恐れがあることが分かった。

Younes博士は述べた、「暴露評価に基づき、パネルは、quantum satisに代えて食品サプリメントの添加物として使用されるリン酸の数値での最大許容量の導入を助言した。

関係者からの意見

EFSAは、食品添加物リン酸塩の再評価に関連する、腎臓学、鉱質代謝、心臓血管および栄養学の分野の質問に関して利害関係者に意見を募集した。EFSAの科学者は科学的意見の準備でこのフィードバックを検討した。

 

・食品添加物としてのリン酸リン酸塩類-、トリ-、ポリリン酸(E 338–341, E 343, E 450–452)の再評価と使用拡大提案の安全性

Re-evaluation of phosphoric acid–phosphates – di-, tri- and polyphosphates (E 338–341, E 343, E 450–452) as food additives and the safety of proposed extension of use

EFSA Journal 2019;17(6):5674 12 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5674

食品添加物と食品に添加される香料に関するパネル(FAF)は、食品添加物としてのリン酸塩類(E 338–341, E 343, E 450–452)の安全性を再評価する科学的意見を出した。パネルは適切な暴露及び毒性データが入手できたと考えた。リン酸塩類はEUで認可されている食品添加物である。全食事からのリン酸塩類への暴露は主に分析データを用いて推定された。

その値は乳児の251 mg P/ヒト/日から成人の1,625 mg P/ヒト/日、高暴露(95パーセンタイル)は乳児の331 mg P/ヒト/日から成人の2,728 mg Pヒト/日まで幅がある。リン酸塩は全ての生物に欠かせないもので、遊離オルトリン酸として80–90%吸収され腎臓から排出される。パネルは、リン酸塩類は急性毒性が低く、遺伝毒性と発がん性に関する懸念はないと考えた。発達毒性試験での影響は報告されなかった。パネルはリンとして表されるリン酸塩のグループ許容一日摂取量(ADI40 mg/kg体重(bw)/日と導出し、このADIはヒトの集団に保護的だと結論した。パネルは分析データに基づいた推定暴露シナリオで、暴露推定量は平均量で乳児、幼児、他の子供で、95パーセンタイルで乳児、幼児、子供、青年に提案されたADIを超過すると注記した。パネルはまた、食品サプリメントによるリン酸塩類暴露が提案されたADIを超過したことにも留意した。パネルは、入手可能なデータは粉ミルクや医療用食品を摂取する生後16週間以下の乳児の安全上の懸念を生じなかったと結論した。

 

・食品添加物リン酸塩類再評価に関する腎臓学、鉱質代謝、心臓血管および栄養学の分野の医療従事者への質問の結果

Outcome of the questions for health professionals in the fields of nephrology, mineral metabolism, cardiovascular and nutrition medicine on phosphates food additives re-evaluation

12 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1624

 

(キーイベントは腎毒性

限外濾過が再吸収の能力を上回ったとき遠位尿細管でカルシウムとリンの濃度が上がって結晶ができて腎臓の石灰化に

数値として動物実験(ラット)NOAEL 149 mg P/kg bw per day(食事由来 P 91 mg/kg bw per day と補正後のNOAEL 58 mg P/kg bw per dayの合計 )にリン特異的補正係数4(種差で2個体差で2)を用いた

必須栄養素にNOAELと安全係数というのはどうなんだ)

 

[EFSA]意見等

-同じ発達段階での子牛、マイナー反芻動物種、ラクダ科の飼料添加物としてのLevucell SC® (Saccharomyces cerevisiae CNCM I1077)の安全性と有効性

Safety and efficacy of Levucell SC® (Saccharomyces cerevisiae CNCM I1077) as a feed additive for calves and minor ruminant species and camelids at the same developmental stage

EFSA Journal 2019;17(6):5723  12 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5723

 

-GlycoLite™と体重削減支援:健康強調表示

GlycoLite™ and helps to reduce body weight: evaluation of a health claim pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006

EFSA Journal 2019;17(6):5715 11 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5715

因果関係を立証するには証拠不十分だった。

in vitroαアミラーゼ阻害活性のある白インゲン豆抽出物。サプリ売ってるけど)

 

-新規食品としての2’-フコシルラクトース/ジフコシルラクトース混合物の安全性

Safety of 2’fucosyllactose/difucosyllactose mixture as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2019;17(6):5717  11 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5717

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養・新規食品・食品アレルゲンに関するパネル(NDA)は、新規食品(NF)としての2’-フコシルラクトース/ジフコシルラクトース混合物(2’FL/DFL)についての意見を出すよう求められた。このNFは主に2つのオリゴ糖2’FLDFLから成る粉末混合物で、大腸菌K12の遺伝子組換え株で一緒に発酵されて生産される。このNFの製造工程、組成、仕様書に関して提出された情報は安全上の懸念を生じない。申請者は乳児用ミルクとフォローアップミルク、乳児及び幼児用食品、特定医療用食品、食品サプリメントを含む様々な食品にこのNFを加えることを意図している。対象集団は食品サプリメントを除いて一般人で、食品サプリメントの対象集団は1歳以上である。提案した使用量でこのNFからの2’FLDFLの摂取は、母乳を与えられた乳児の体重kg当たりの天然に生じる2’FLDFLの摂取量を越えそうもないため、パネルはこのNF2’FLDFLの混合物は提案した対象集団に提案した使用状況下で安全だと結論した。

 

-鶏肥育用、産卵鶏育成用、産卵期までのマイナー鳥種用doubutuyou飼料添加物としてのBiomin® DCPの安全性と有効性

Safety and efficacy of Biomin® DCP as a zootechnical feed additive for chickens for fattening, chickens reared for laying and minor avian species to the point of lay

EFSA Journal 2019;17(6):5724  11 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5724

 

-キウイとモモのエマメクチンの既存MRLs改訂

Modification of the existing maximum residue levels for emamectin in kiwi and peaches

EFSA Journal 2019;17(5):5710  10 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5710

検証された定量限界(LOQ) 0.01 mg/kgで検討中の作物のエマメクチン安息香酸塩の残留物を管理する適切な実施分析手段が得られた。リスク評価結果に基づき、報告された農業規範によるエマメクチン安息香酸塩の使用から生じる残留物の短期及び長期摂取は消費者の健康リスクになりそうもない。

 

[HK] 法令違反サンプル結果。ボトル入りベジタリアンオイスターソースのサンプルが栄養表示規則に違反している

Bottled vegetarian oyster flavoured sauce sample not in compliance with nutrition label rules

Wednesday, June 12, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190612_7492.html

食品安全センターが検査したところ、香港産のベジタリアンオイスターソースにおいて、タンパク質が1.0g/15g6.67g/100g)という申告のところ、4.0g/100g検出であった。

 

[ヘルスカナダ] 情報更新:ヘルスカナダはゲンチアナ・バイオレットに関連するがんリスクの可能性を市民に警告する

Health Canada warns Canadians of potential cancer risk associated with gentian violet

June 12, 2019

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/70179a-eng.php

へルスカナダはゲンチアナ・バイオレットを含むヒト用健康製品及び動物用医薬品の安全性レビューを終え、これらの製品に暴露するとがんのリスクが高まる可能性があることがわかった。

 

[ODS] NIH援助の試験によりビタミンD2型糖尿病高リスクの人の予防にならないことがわかる

NIH-funded trial finds vitamin D does not prevent type 2 diabetes in people at high riskManganese

Friday, June 7, 2019

https://www.nih.gov/news-events/news-releases/nih-funded-trial-finds-vitamin-d-does-not-prevent-type-2-diabetes-people-high-risk

米国国立衛生研究所(NIH)の一部である国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所 (NIDDK)が援助した研究結果によると、毎日ビタミンDサプリメントを飲むことは、高リスクにある成人の2型糖尿病を予防しないことがわかった。

 

[COT]声明

-葉酸-耐容上限摂取量についての声明

Folic Acid – Statement on the Tolerable Upper Level (TUL)

26 February 2019

https://cot.food.gov.uk/cotstatements/cotstatementsyrs/cot-statements-2019/cot-folic-acid-statement

 

-COT包括声明

COT Overarching Statement

6 February 2019

https://cot.food.gov.uk/cotstatements/cotstatementsyrs/cot-statements-2019/cot-overarching-statement

乳幼児用食品中汚染物質のリスクについて

 

-エネルギードリンクについての声明

COT Statement on Energy drinks

1 February 2019

https://cot.food.gov.uk/cotstatements/cotstatementsyrs/cot-statements-2019/cot-statemet-on-energy-drinks

子どもや青少年の食事中「エネルギードリンク」のリスクについて

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 83–19              

13 June 2019

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular8319.aspx

新規申請と提案

Dacryopinax spathularia(ツノマタタケ)由来長鎖糖脂質(天然糖脂質)を非アルコール飲料の保存料として使用することの認可申請

食用キノコ由来。製品の名前は“Jelly Mushroom Glycolipids”あるいは “NagardoTM”.

酵母やカビの発生を抑制

 

論文

-腸内微生物は似たような栄養表示の食品に異なる反応をする

Gut microbes respond differently to foods with similar nutrition labels

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/cp-gmr060619.php

Cell Host & Microbeに発表された34人の参加者に17日間食べたもの全てを記録してもらって毎日便を集めてショットガンメガゲノミック配列決定を行った研究。参加者の中にはソイレントしか食べていない人が2人いて、彼らの腸内細菌が毎日変化したことから同じものだけ食べても必ずしも腸内細菌が一定ではないことが示唆された。この研究は食物と腸内細菌の関係が複雑であることを示した。

 

-新しいコクランレビューは砂糖入り飲料の摂取量を減らす方法についての根拠を評価する

New Cochrane Review assesses evidence on ways to reduce consumption of sugary drinks

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/w-ncr061019.php

飲む量を減らす根拠があると評価された方法は、信号表示のような見やすい表示、学校での砂糖入り飲料の制限、値段を上げる、チェーンレストランでの子どもむけメニューのデフォルト変更、宣伝と場所、地域キャンペーン、低カロリー飲料や水を自宅で入手しやすくする、など。体重が減ることが示されたのは低カロリー飲料や水を自宅で入手しやすくすること。砂糖入り飲料課税については今回の評価対象ではなく今後レビューされる

 

-赤肉摂取増加は死亡リスクの高さと関連

Increasing red meat intake linked with heightened risk of death

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/b-irm061119.php

赤肉をより健康的な動物や植物代用品に交換するとリスクが下がるかもしれない

ナース健康研究と医療専門家フォローアップ研究のデータを用いた、1986年から2010年末までの米国の赤肉摂取量の変化と死亡率の関連を調べた研究。8年間に週に3.5回以上の赤肉摂取増加は次の8年間の死亡率の10%の高さと関連する

(もともと多いのにさらに増えた?2010年だとまだローカーボブームは関係ないかな)

 

-新米ママの死亡の主因に薬物過剰使用と自殺が入る

Overdose, suicide among leading reasons for deaths of new moms

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/msu-osa061219.php

American Journal of Obstetrics and Gynecologyに発表された新しい研究によると、カリフォルニアで出産後1年以内に死亡する場合の最も良くある理由の中に薬物過剰使用と自殺がある。米国では周産期の母親の死亡率が増加していて、カリフォルニアは全国平均より少ないものの薬物過剰使用が2番目の死因である。自殺は7番目。

 

-ニューヨーク市の子どもたちの学校や家庭の近くの食品アクセスに光をあてる

Food access near schools and homes illuminated for children in New York city

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/p-fan060619.php

PLOS ONEに発表されたニューヨーク大学医学部のBrian Elbelらの研究によると、黒人、ヒスパニック、アジア系の生徒は白人に比べて健康的なものと不健康なもの両方の食品販売店に近い。789520人の幼稚園児から12年生までの学校と住所の正確なデータを用いた研究。科学者は貧しい家庭やマイノリティの学生が不健康な食品の販売店に近く健康的な食品のアクセスが少ないと想定してきたが実際には貧困状態にかかわらずマイノリティの学生は全てのタイプの食品販売店に近い。

(単に白人が郊外の広い家が好きなのではないか疑惑。これまでの想定が事実と違うことを指摘したことは大事)

 

-50年後、DDTは生態系に残存する

Fifty years later, DDT lingers in lake ecosystems

12-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/acs-fyl060719.php

ヘルスカナダによると、病害虫をコントロールするため、カナダのNew Brunswickの森に1952年から1968年の間に航空機でジクロロジフェニルトリクロロエタン(DDT)を6280トン以上散布した。1970年までにDDTの野生生物への有害影響の懸念が高まりこの地域での使用は減った。しかしEnvironmental Science & Technologyに報告された研究によるとDDTは湖の堆積物に残存している

 

その他

-少なくとも31人のインドの子どもがライチの毒素で死亡

At least 31 children in India killed by toxin in lychees

Agence France-Presse Thu 13 Jun 2019

https://www.theguardian.com/world/2019/jun/13/at-least-31-children-in-india-killed-by-toxin-in-lychees

過去10日間、インド北部で少なくとも31人の子どもがライチの実に存在する有毒物質に関連すると考えられる脳疾患で死亡した

Bihar州のMuzaffarpurの二つの病院から報告された。他に少なくとも40人の子どもが同様の症状でICUで治療されている。

この病気のアウトブレイクは1995年以降毎年Muzaffarpurと近隣の地方で夏の間、ライチの季節に報告されている。2014年には150人が死亡した。2015年に米国の研究者らがこの病気をライチの実にある毒素と関連づけた。ライチを育てているバングラデシュやベトナムの地域でも病気が観察されている

 

-砂糖入り飲料の摂取量を減らす方法についての根拠を評価した新しいコクランレビューへの専門家の反応

SMC UK

expert reaction to new cochrane review assessing evidence on ways to reduce sugary drinks consumption

June 12, 2019

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-cochrane-review-assessing-evidence-on-ways-to-reduce-sugary-drinks-consumption/

Teesside大学公衆衛生栄養准教授Amelia Lake博士

これは質の高いレビューで、課税以外の砂糖入り飲料摂取量を減らす様々な方法について入手可能な根拠をレビューした。根拠があるとされた介入はいくつかある(略)。

広告規制は?著者らによると基準にあう論文がなかった

Reading大学消費者行動とマーケティング講師Anna Macready博士

この質の高いレビューは環境対策の有効性についての幾分かの根拠を提示する。しかし著者らも指摘しているように、文脈の一貫性、デザイン、報告の仕方、フォローアップや質など問題がある。従ってこのレビューの価値は、今後の研究計画のや報告に有用な枠組みを提供することである。

UCL上級研究員James Doidge博士

このレビューは環境対策について有用な知見を提供するが関心があるのはこれらの対策が現在多くの政府が検討している課税とどう比べられるかである。残念なことに課税については別のレビューでカバーされる。またこのレビューでは砂糖入り飲料対策の有効性を比較しているが、他の肥満対策との比較もない。この研究が強調したことの一つはこの分野の研究が少ないことである

Glasgow大学代謝医学教授Naveed Sattar教授

根拠は完全ではないが可能な対策をとるよう推進するには十分である。失うものは少ない。

 

-赤肉摂取と死亡リスクを調べた研究への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to study looking at red meat intake and risk of death

June 12, 2019

http://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-red-meat-intake-and-risk-of-death/

BMJに発表された研究が赤肉、特に加工赤肉、の摂取が増えることと死亡リスクの増加が関連することを示した。

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

これは既にわかっていることに幾分加える大規模の新しい研究である。しかし関連の大きさはそれほど大きくはない。使ったデータの種類から、死亡リスクの差の原因が赤肉かどうかを確信することはできない、特に赤肉摂取を減らすことに関しては解釈が困難である。

これまでの研究から赤肉、特に加工肉摂取と死亡リスクに関連があることは見つかっていたが、リスクの増加をもたらすものが本当に肉なのかどうかを確認することはできない。さらに肉の摂取を変えたらリスクがどうなるかもわからなかった。これまでの研究は肉の摂取量の多い人と少ない人を比べていた。新しい研究では時間とともに肉の摂取量が変わったことを観察している。8年間で赤肉や加工肉の摂取量が変わったことと次の8年間での死亡リスクの高さが関連した。赤肉の摂取量を減らした人は死亡がわずかに低下したが統計学的有意差はなかった。この知見で重要なことは、死亡率の変化が肉の摂取の変化によりひきおこされたということはできない、ということである。

(以下英国に当てはめた場合などの長い記述、略)

PHE栄養科学部長Louis Levy教授

我々は皆赤肉と可能肉の量を減らすべきである-食事バランスガイドに従って健康的でバランスのとれた食生活にすべきである。

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

これは米国の二つの大規模観察研究の重要で強力な解析である

(中略)

これらの知見は赤肉の多い高プロテイン食が健康に良いという人気のある神話に疑問を提示し、現行の食事ガイドラインを支持する

Reading大学栄養と健康准教授Gunter Kuhnle博士

これは質の良い観察研究だが結果の解釈は難しい

肉は加工か未加工かに関わらず重要な栄養摂取源であるが摂りすぎは心疾患やがんのリスク増加と関連する。このことは栄養研究と食事助言の難しさを強調する:多くの食品は適正量なら「健康的」であるが摂りすぎ(あるいは不十分)だと健康に有害影響がある

Quadramバイオサイエンス研究所栄養研究者で名誉研究員Ian Johnson博士

重要な新しいところは、成人が食生活を変更することで長く健康的な生活ができる可能性を増やすことができるように見えることである。

(今時一生同じ食生活の人ってそうそういないよね)

 

-予防原則の毒(IUPAC基調講演)

The Poison of Precaution (IUPAC Keynote)

Posted by RiskMonger on June 11, 2019

https://risk-monger.com/2019/06/11/the-poison-of-precaution-iupac-keynote/

2019524日にベルギーのGhentでのIUPAC作物保護世界会議での基調講演録

 

-葉酸:小麦粉に強化する計画に意見募集

Folic acid: Consultation starts on plan to fortify flour

https://www.bbc.com/news/health-48608653

英国。