2019-07-01

[EFSA]食品中の残留農薬:EUの状況は?

Pesticide residues in food: what's the picture in the EU?

26 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/190626

現在食品中の残留農薬に関するEU年次報告書の最新版が入手できる。食品サンプルの96%弱に、残留農薬がない、あるいは法的許容量内の痕跡量が含まれることが分かった。

EFSA28加盟国にアイスランドとノルウェーを加えた国々から収集した約88,000件の結果を分析した。

主な調査結果はEFSAが特別に開発したデータ可視化ツールを用いて国や食品により探索できる。

 

・食品中の残留農薬に関する2017EU報告書

2017 EU report on pesticide residues in food

EFSA Journal 2019;17(6):5743  26 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5743

報告担当国が提出した結果に基づき、関連する消費された食品の農薬発生データの詳細な分析が行われ、残留農薬への欧州の消費者暴露に関する食事リスクが推定された。概して、分析した88,247件のサンプルの95.9%は法的限度内だった(84,627件のサンプル)。検査したサンプルの54.1%に、定量可能な残留物は報告されず(定量限界(LOQ)以下の残留量)、一方、分析したサンプルの41.8%には定量可能な残留物や最大残留基準(MRLs)以下の残留物が含まれていた。食事リスク評価から、分析したサンプルでは、残留農薬量に暴露されている欧州市民が健康に悪影響を受ける確率が低いことが示された。2017年の分析結果に基づき、EFSAは高水準で消費者を保護し続けることを確認する欧州の管理システムの効率を上げるために助言を出した。

 

・一目でわかる:食品中の残留農薬

At a glance: Pesticide residues in food

https://www.efsa.europa.eu/en/interactive_pages/Pesticides_report_2017

 

FAQ:今年の報告書について知っておくべき10項目

FAQ: 10 things you need to know about this year’s report

https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/pesticides#group-faq

1.残留農薬とは?

残留農薬とは、測定可能な量の有効成分病気や害虫から植物を保護するために使用する化学物質で、収穫した作物や動物由来食品に見つかる可能性のある代謝物質や分解生成物である。

2.EFSAの農薬報告書とは?

EUには農薬の使用を統治する適切で包括的な立法の枠組みがある。高水準の消費者保護を保証するために、食品に許容できる残留農薬量に最大残留基準(MRLs)として知られる法的規制が設定されている。MRLs370以上の食品の500以上の農薬に設定されている。市販されている食品が法的規制に従っていることを保証するために、EU加盟国は様々な食品のサンプルを取り、それに残留農薬の検査をしている。EUの遵守の概要や欧州の消費者の残留農薬への暴露量を説明するために、EFSAは毎年このデータを分析し発表している。その上EFSAはさらなるモニタリング計画の助言もしている。

3.最新報告書の主な結果は?

2017年に収集された最新データから、食品サンプルの95.9%は残留農薬を含まない、あるいは法的に許容される量以内の痕跡しか含まないことが分かったことが示された。言い換えると、サンプルの4.1%は法定量を超え、2016(3.8%)よりわずかに増えた。この数値は28加盟国とアイスランド、ノルウェーから収集した約88,000件のサンプルから導出した。

4.「残留農薬なし」が意味することは?

これは、サンプルの分析において定量化できる残留物の存在を検出しなかったことを意味する。技術的に言うと、農薬化学物質が定量限界(LOQ)を超える濃度で見つからなかったことを意味する。LOQは許容できる精度で定量化できる物質の最小濃度である。ほとんどの農薬のLOQ0.01 mg/kg 0.05 mg/kgの間である。0.01 mg/kgの濃度とは、おおよそオリンピックサイズのスイミングプールにティースプーン5杯分の砂糖を溶かしたのと等しい。2017年には、サンプルの54.1%に定量化できる残留農薬がないということが分かった。

5.では95.9%という数値はどこから来たのか?

残留物のないサンプル54.1%に加えて、41.8%では法的限度内の残留物しか含まないことが分かった。そのため、全体ではサンプルの95.9%が法的限度内である。

6.2016年より超過が多い理由は?

これはおそらく2017年に取った強制サンプル数が多いことによる(全体の12.1%、対して2016年は4.9%)。強制サンプリングは過去に超過が観察された国からの農薬や食品を対象とするため、残留物の検出は無作為のサンプリングよりも多くなりやすい(質問9を参照)

7..1つ以上の農薬の残留物を含む食品については?

過去数年間同様、2017年には複数残留物はサンプルの4分の1強で報告された。残留物が複数存在しても、個々の残留物が法的制限を超えない限りMRL規制に違反することにはならない。だが、複数の残留物のある製品は国立機関で注意深く評価するべきである(例えば、1つの物質のMRL限度を回避するために、故意に農薬を組み合わせて使用しているかどうかを考慮すること)

8.EU内で生産された商品からとったサンプルと、EU外のものとに違いはある?

検査したサンプルのほとんど(64.3%)EU加盟国、アイスランド、ノルウェーからのもので、28.8%が第三国からの輸入製品である。EU以外の国からのサンプルの7.6%と比較すると、EU及びEEA国からの製品サンプルの2.6%で法的限度を超過した。EU以外の国で認可された農薬がいくつか、EU内外両方のサンプルで見つかった。これらの結果から未承認物質を誤用している可能性があるため、EFSAは加盟国に理由を調査し、適切な修正手段をとるよう助言した。

9.どの食品と化学物質を分析するかを決めるのは誰?

この報告書には2つのデータセットが含まれている。

EU連携プログラム

食品と農薬の共通リストを分析するよう欧州委員会が報告担当国に義務化しているもの。様々な食品グループが3年周期で分析されている。欧州市民が消費した食品の統計学的な代表結果を得るために無作為にサンプルが取られている。

・国家管理プログラム

この範囲は個々の加盟国が決める。このプログラムは「リスクに基づく」もので、法的限度を超える濃度の残留物を含むことが予想される製品に焦点を当てている。これは質問6の強制サンプリングのことである。

95.9%という数値はこの2つの報告書の発見を合わせて導出された。2017年に12食品の11,158件のサンプルをカバーしたEU連携プログラムの結果だけだと、サンプルの98.4%が法的限度内だと示された。

10.このデータは欧州の消費者にリスクがあることを意味する?

この報告書の一部としてEFSAは、加盟国が提出した食品摂取情報とEUがまとめたプログラムからのデータを合わせて急性(短期)及び慢性(長期)食事リスク評価を実施した。2017年のデータを用いて、EFSAは現在の科学的知見により、残留農薬に対する急性及び慢性食事暴露は消費者の健康の懸念を引き起こしそうもないと結論した。EFSAは現在、複数残留物に対する食事暴露を考慮したリスク評価を可能にする方法論を最終化している。EFSA9月に2つのパイロット累積リスク評価を発表する予定である。

 

-2017年に実施した残留農薬分析に関する国家概要報告書

National summary reports on pesticide residue analysis performed in 2017

26 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1666

 

[EFSA]意見等

-食品と接触する物質として使用する、フッ化物変性アルミナで表面処理した二酸化チタンの安全性評価

Safety assessment of the substance, titanium dioxide surface treated with fluoridemodified alumina, for use in food contact materials

EFSA Journal 2019;17(6):5737  26 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5737

EFSAの食品と接触する物質、酵素及び加工助剤に関するパネル(CEP パネル)の科学的意見は、数の上で■■■■■%1–100 nmの直径の粒子を持つ一定の混合物である、フッ化物変性アルミナで表面処理した添加物二酸化チタンの安全性評価である。全てのポリマー種に最大25% w/wで重鎮剤や着色料として使用することを意図している。この添加物を含む物質や素材はいつでもどの温度条件でも全ての種類の食品と接触することを意図している。この添加物粒子はポリアミドなどの膨潤極性ポリマーに埋め込まれた場合ままでも溶出しないことが提出されたデータから論証された。さらに、この添加物粒子は摩耗による剥離に耐え、固形/ドライ食品の模擬物質に移行しなかった。それゆえ、この添加物粒子は食品を通した暴露や毒性学的懸念を生じない。可溶化イオン性フッ化物とアルミニウムの溶出は、添加物粒子の表面から、特に膨れたプラスチックから生じる。いつでもどの温度条件でも、全ての食品種と接触するポリマーにこの物質を最大25% w/wで添加物として使用する場合、消費者の安全上の懸念を生じないとパネルは結論した。だが、3%の酢酸でシュミレーションした食品と接触する膨潤性極性ポリマーでの使用は、100°Cで最大4時間までに限定するべきである。これは、25%で使用し、その後60°C10日間接触した際に、アルミニウムとフッ化物の溶出がそれぞれ1 及び 0.15 mg/kg 食品の特定移行限度(SML)を大幅に超えるという事実による。パネルは、既存のアルミニウムとフッ化物のSMLsはどんな場合でも超過してはならないと強調した。

 

-飼料のニッケルの発生データ及び動物暴露評価

Occurrence data of nickel in feed and animal exposure assessment

EFSA Journal 2019;17(6):5754  24 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5754

 

-ミツバチの健康:EFSAの研究がEU賞で表彰される

Bee health: EFSA’s work recognised at EU awards

27 June 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/190627

今週、EUオンブズマンによる共同優秀賞受賞に際し、ミツバチの健康について意識啓発するEFSAの研究が表彰された。

このオンブズマンの賞はEU内外の人々の生活に目に見えて良い影響があるEUが実施する取り組みやプロジェクトを表彰している。

この賞はブリュッセルでEFSA MUST-BプロジェクトをまとめるAgnès Rortais氏とEUミツバチパートナーシップ代表のStephen Pagani氏に贈られた。

 

[EU]査察

セイシェル―EU輸出用マグロ種由来水産物

Seychelles―fishery products derived from tuna species intended for export to the European Union

13/06/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4137

2018112123日にセイシェルで実施した、マグロ水産物の以前の査察の助言に応えた保証や修正行動を確認し、マグロ種(特に魚油)の生産状況を評価するための査察。2017年のフォローアップは大体満足できるが、扱われなかった1件と、一部しか扱われていない他の2件により、EU輸出証明書モデルの保証を確認する管轄機関の能力に影響を与えている。EU及び欧州自由貿易協定国への魚油の輸出は、2017年の査察以降大幅な変更と改良が行われた。だが、主に施設で指摘された弱点により、EU法の求める要件を満たせていない。

 

[EU]RASFF Week26-2019

警報通知(Alert Notifications

スイス産食品サプリメントの未承認物質テトラヒドロカンナビノール(THC) (24.1 mg/kg)及び未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD) (24400 mg/kg)、チェコ共和国産有機ヘンプオイルのベンゾ(a)ピレン(22.4 µg/kg)及び多環芳香族炭化水素(113 µg/kg)、ウズベキスタン産リトアニア経由レーズンのオクラトキシンA (21.5 µg/kg)、産出国不明ベイリーフのベンゾ(a)ピレン(45.4; 232; µg/kg)及び多環芳香族炭化水素(SUM PAH4: 180.8; 810 µg/kg)、香港産プラスチックカップからのメラミンの溶出(3.4 mg/kg)、オーストリア産成犬用完全飼料のカドミウム(9.5 mg/kg 乾物)、中国産スペインで包装した食品サプリメントの未承認物質シルデナフィル・シルデナフィルチオノ類似物・タダラフィル及びバルデナフィル、スペイン産ドイツで包装したヘンプ製品の未承認物質テトラヒドロカンナビノール(THC) (1720 mg/kg1280 mg/kg)、スペイン産冷凍メカジキステーキの水銀(1.8 mg/kg)、ドイツ産食品サプリメントのビタミンB6の高摂取量(294.2 mg/)、ベルギー産チルド豚食肉のアモキシシリン(> 125; 79.4 mg/kg)、トルコ産煎った塩味ピスタチオのアフラトキシン(B1 = 23.4; Tot. = 25.4 µg/kg)、マレーシア産英国経由食品サプリメントの未承認物質タダラフィル、南アフリカ産オランダ経由レーズンの亜硫酸塩(714 mg/kg)非表示、

注意喚起情報(information for attention

コソボ産砕いたレッドホットパプリカのアフラトキシン(B1 = 20.6; Tot. = 21.7 µg/kg)、インド産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 5.9 µg/kg)、中国産ナツメグ粉のアフラトキシン(B1 = 14.65; Tot. = 21.82 µg/kg)、米国産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 14; Tot. = 15 µg/kg)

フォローアップ用情報(information for follow-up

ポーランド産完全飼料混合物の亜鉛高含有(392.7 mg/kg)、スペイン産英国経由パプリカ粉の未承認施設での照射(疑い)

通関拒否通知(Border Rejections

イラン産トルコ経由レーズンの未承認物質カルベンダジム(3.0 mg/kg)、トルコ産sivri ペッパーのホスチアゼート(0.094 mg/kg)、トルコ産トウガラシのホルメタネート(0.080 mg/kg)及びホスチアゼート(0.349 mg/kg)、トルコ産ペッパーのクロルピリホス(0.102 mg/kg)、トルコ産ペッパーのホスチアゼート(0.088 mg/kg)、アルゼンチン産茹でピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 6.7; Tot. = 14 µg/kg)、米国産野生動物用飼料の殻付きピーナッツのアフラトキシン(B1 = 29.2 µg/kg)、トルコ産ミックスナッツのアフラトキシン(B1 = 9.4; Tot. = 10.2 µg/kg)、米国産殻をとったアーモンドのアフラトキシン(B1 = 25; Tot. = 32 µg/kg)、トルコ産レーズンのオクラトキシンA (34 µg/kg)、中国産殻付きピーナッツのアフラトキシン(B1 = 99.7; Tot. = 106 µg/kg)、インド産ホールレッドチリのアフラトキシン(B1 = 7.4 µg/kg)、アルゼンチン産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 7.5; Tot. = 28.4 µg/kg)、エジプト産殻付きピーナッツのアフラトキシン(B1 = 3.8; Tot. = 4.5 µg/kg)、トルコ産ヘーゼルナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 11.7 µg/kg)、トルコ産煎った殻付きピスタチオのアフラトキシン(B1 = 15.7; Tot. = 17.1 µg/kg)、中国産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 37.1; Tot. = 40.3 µg/kg)

 

[EU]SCCS

-ヘアダイ1,2,4-トリヒドロキシベンゼン (1,2,4-THB)についての最終意見

SCCS - Final Opinion on hair dye 1,2,4-trihydroxybenzene (1,2,4-THB) - A33 (CAS 533-73-3) - Submission VI

https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/consumer_safety/docs/sccs_o_222.pdf

提出されたデータは不十分

 

-予備的意見に意見募集

Preliminary Opinions open for comments

https://ec.europa.eu/health/scientific_committees/consumer_safety/opinions_en

ヒドロキシプロピルp-フェニレンジアミンとその二塩酸塩(染髪剤)

 

[EU]OPSON VIII

OPSON VIII action - further press releases

https://ec.europa.eu/food/safety/food-fraud/coord-act_en#2019

リンク追加 例えば

INTERPOL

Illicit food and drink seized in global operation

21 June 2019

https://www.interpol.int/News-and-Events/News/2019/Illicit-food-and-drink-seized-in-global-operation

(他フランス語とかドイツ語とか)

 

[FDA] 食品中のパー及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)を理解するためのFDAの科学的取り組み及び最新のFDA調査の知見に関する声明

Statement on FDA’s scientific work to understand per- and polyfluoroalkyl substances (PFAS) in food, and findings from recent FDA surveys

June 11, 2019

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/statement-fdas-scientific-work-understand-and-polyfluoroalkyl-substances-pfas-food-and-findings

パー及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)は、食物育成に使用する汚染水や土壌を含め、環境汚染を介して食品中に発生する。この種の汚染は、特定の地域に発生する;例えばPFASを生成する産業施設付近の井戸水や農場あるいは石油精製所、飛行場または消火時PFASを使用するその他の場所である。PFASは食品接触物質として認可された一部のものの使用でも、食品に混入し得る。

PFASの広範な使用と残留性から地下水や土壌に汚染が蓄積し、ヒトや動物にも蓄積する。健康影響についての科学は発達中であるが現在の根拠からはある種のPFASが生物濃縮すると重大な健康被害の可能性があることを示唆する。しかしながら生産と使用が減ったため米国人の濃度は減っている。

FDA検査(要約)

米国のPFAS暴露は国家的な優先事項問題で、様々な機関が環境暴露及び健康リスクの可能性、汚染問題に取り組む。FDAの重要な役割は食品からの暴露の科学的な予測であり、潜在的な汚染問題をより早く発見、評価及び対処できるよう取り組む。

FDAは最新の限定的調査を環境汚染が知られる特定の地域、ニューメキシコの特定の農場の乳製品及びノースカロライナの農産物に対して行った。PFAS検出したサンプルすべての安全性評価を行い、ニューメキシコの農場の牛乳サンプルは健康懸念の可能性ありと結論付け、その牛乳はすべて廃棄され、生産は停止された。FDAはこの問題に引き続きニューメキシコの農務省の規制担当と取り組んでいる。ノースカロライナの農産物サンプルは最新の科学的安全性評価に基づき、検出濃度では健康懸念はありそうにないと結論付けられた。

FDAは検出されたPFAS濃度、食品の摂取及びPFASの最新の毒性情報などの関連情報をレビューし、特に最も影響を受けやすい人が健康懸念を引き起こす可能性について決定する。

昨年、検証を拡大し、サンプルはFDA2017年のトータルダイエットスタディ(TDS)の一環として分析されたが、PFAS化合物は食品の大多数に検出されなかったが、91件中14検体でいろいろな量のPFASが検出された。FDAの安全性評価は、検出された濃度では健康懸念になりそうにないと結論付けた。 FDAはこの検査を引き続き行い、食品からの暴露によるリスクを予測する。

次の対策

以上のFDA科学者の知見は今年の北米環境毒性化学会(SETAC)で発表され、FDAPFAS汚染について世界レベルで取り組む。FDAはヒト及び動物用食品プログラム代表による内部のPFASワークグループを作り、調査データから食品中のPFASベースライン濃度を設定しそれはPFASの総暴露推定に使われるだろう。この作業グループはヒトや動物用食品のPFAS暴露を減らすためにFDAがやるべきことについて同定し優先順位をつけるのに系統的でリスクに基づいたアプローチをする。食品中のPFAS濃度を測定し、食事暴露を推定しそれに関連する健康影響を決めるのは科学の新興分野である。

FDAは食品供給の評価と同時に科学情報を提供し、連邦機関と連携し、地方が汚染に対応する支援をする。新興の公衆衛生問題研究のため、地方自治体、州及び連邦機関のような機関と既存のおよび新しい知識やリソースをシェアすることが重要である。

 

[FDA] FDAは特定の食事とイヌの心臓病の事例の関連性に関する第3次調査状況報告を発表する

FDA issues third status report on investigation into potential connection between certain diets and cases of canine heart disease

June 27, 2019

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-issues-third-status-report-investigation-potential-connection-between-certain-diets-and-cases

本日、FDAは特定のペットフードを食べるイヌにおける拡張型心筋症(DCM)の最新の調査報告を提供する。初めて最も高頻度に報告されているペットフードのブランドを投稿した

(原因はまだ同定できていないようだ、報告数524そのうち犬5159

 

[FDA]FDAはオピオイド中止、痛みの治療及びその他の治療使用目的で販売される未承認のクラトム医薬品製品を違法に販売する企業に警告を発する

FDA issues warnings to companies selling illegal, unapproved kratom drug products marketed for opioid cessation, pain treatment and other medical uses

June 25, 2019

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-issues-warnings-companies-selling-illegal-unapproved-kratom-drug-products-marketed-opioid

FDAはオピオイド中毒及び症状の改善の治療効果について証明のない表示をする、未承認かつ不正表示のクラトム含有医薬品を違法に販売するクラトム製品の販売及び流通業者2社に対し警告文書を発した。

 

[FDA]警告文書

-Fortune Food Product, Inc.

July 19, 2018

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/fortune-food-product-inc-552180-07192018

食品CGMP規則違反、製造、包装または衛生管理、不純品、農産物安全性規則違反、不正表示、の問題。

 

-KratomNC

16/05/2019

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/kratomnc-576964-05162019

未承認の医薬品、不正表示の問題。クラトム含有製品。

 

-Somalabs, Inc 

31/05/2019

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/somalabs-inc-573299-05312019

ダイエタリーサプリメントの不純品、CGMP違反、不正表示の問題。

 

-Cali Botanicals, LLC

June 11, 2019

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cali-botanicals-llc-575320-06112019

未承認の医薬品、不正表示の問題。クラトム含有製品。

 

-Allandale Dairy

June 13, 2019

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/allandale-dairy-582496-06132019

医薬品の残留物管理の問題。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 85–19              

27 June 2019

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular8519.aspx

新規申請と提案

・加工助剤としてのTrichoderma reesei由来グルコースオキシダーゼ

・調整済スポーツ用補充食品のレビュー

認可とフォーラム通知

・加工助剤としてのTrichoderma reesei由来トリアシルグリセロールリパーゼとアスペルギロペプシンISaccharomyces cerevisiae由来ステビオール配糖体としてのレバウジオシドMD、レバウジオシドDの酵素による生産、など

 

[NASEM]国のがん対策は個々のパーツにではなくシステムに対応すべき、と新しい報告書は言う

National Cancer Control Efforts Should Address the System, Not Its Individual Parts, Says New Report

June 27, 2019

http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=25438&_ga=2.137758580.554283334.1561955769-645473810.1529290877

新しい報告書「がん対策をガイドする:転換への道筋」では25の知見に基づく10の結論を提供している

 

-世界の肥満の流行の現状と対応:ワークショップの概要

Current Status and Response to the Global Obesity Pandemic: Proceedings of a Workshop

June 25, 2019

http://nationalacademies.org/hmd/Reports/2019/current-status-and-response-to-the-global-obesity-pandemic-pw.aspx

2018109日に開催したワークショップの概要

 

-肥満対策への健康の平等アプローチ:ワークショップの概要

A Health Equity Approach to Obesity Efforts: Proceedings of a Workshop—in Brief

June 28, 2019

http://www.nationalacademies.org/hmd/Reports/2019/health-equity-approach-to-obesity-efforts-proceedings.aspx

201941日に開催されたワークショップの概要。平均以上の肥満リスクのある人口集団における健康の平等の歴史を探る

 

[NHS] 家庭用の抗菌化学薬品が骨の弱化に関連する

Household antibacterial chemical linked to weakened bones

Wednesday 26 June 2019

https://www.nhs.uk/news/older-people/household-antibacterial-chemical-linked-weakened-bones/

「石鹸や歯磨き粉に含まれる化学物質は女性の骨粗鬆症に関連があった」とDaily Telegraphは報道する。

中国の研究者は体内の化学物質トリクロサン濃度と骨の強度(骨密度)の関連を調べようと、米国の調査資料を使用した。

トリクロサンは石鹸や抗菌ジェル及びマウスウォッシュや歯磨き粉でも使用される抗菌化学物質である。

骨の形成に関与するエストロゲンホルモンと相互作用すると考えられている。

骨密度が一定のレベルを下回る人(一般に閉経後の女性)は骨粗鬆症である、あるいは骨がもろい。これにより、より骨折しやすくなる。

研究者は、尿中トリクロサン濃度が高い米国の女性は骨密度が低い傾向にあることを発見した。

それらの人はまた、大腿骨の1点で測定した場合骨粗鬆症である可能性が高かったが大腿骨の他のポイントまたは脊椎ではそうではなかった。

しかし、この研究はトリクロサンが骨密度を下げるあるいは骨粗鬆症を引き起こすことを証明していない。他の測定されていない要因も含まれる可能性があった。

米国の食品医薬品局(FDA)は最近特定の抗殺菌製品におけるトリクロサンの使用を禁止した。英国ではそのような禁止は今のところない。

トリクロサンの暴露に関して懸念があるならば、抗細菌性と表示ある製品の成分リストを確認すること。

 

[TGA]広告上の制限表現の使用認可の申請

Application for approval to use a restricted representation in advertising

28 June 2019

https://www.tga.gov.au/form/application-approval-use-restricted-representation-advertising

医療品の広告は事前認可あるいは許可がされたもののみ言及、表現あるいは言外の含みとして制限表現として使用できる。

 

-制限表現の使用認可の適用申請のガイダンス

Guidance for submitting an application for approval to use a restricted representation

28 June 2019

https://www.tga.gov.au/guidance-submitting-application-approval-use-restricted-representation

医療品法1989のセクション42DFに基づく制限表現の使用

https://www.tga.gov.au/restricted-representations

 

[HK] 法令違反

-包装ゼリーパウダーが栄養表示規則に違反している

Prepackaged jelly powder not in compliance with nutrition label rules

Thursday, June 27, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190627_7509.html

食品安全センターが検査したところ、ポーランド産のゼリーパウダーにおいて、糖質が11.0g/100gという申告のところ、76.5g/100g検出であった。

 

-食品安全センターは淡水ハタ及び焼きウナギのサンプルにマラカイトグリーンを検出する

CFS finds malachite green in samples of freshwater grouper and roast eel

Friday, June 28, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20190628_7513.html

食品安全センター及び食物環境衛生署は、ハタのサンプルに1.3ppb、焼きウナギのサンプルに26.3ppbのマラカイトグリーンを検出したと発表した。

 

-果物一種に基準値超過の残留農薬

Excessive pesticide residues found in 1 fruit sample

Friday, June 28, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20190628_7512.html

食品安全センターが検査したところ、ドリアンにおいて、エテホンが最大残留基準値2ppmのところ、3.9ppm検出であった。

 

-包装冷凍メカジキのサンプルに基準値超過の水銀が検出された

Sample of prepackaged frozen swordfish detected with mercury exceeding legal limit

Monday, June 24, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20190625_7507.html

食品安全センター及び食物環境衛生署は、ニュージーランド産の包装冷凍メカジキのサンプルに基準値である0.5ppmを超える0.71ppmの水銀を検出したと発表した。

 

[CFIA] カナダは経済競争力を高め、貿易を円滑にし、消費者により多くの選択を与えられるようウォッカの基準を改定する

Canada amends its vodka standard to enhance economic competitiveness, facilitate trade, and create more choice for consumers

June 26, 2019

https://www.canada.ca/en/food-inspection-agency/news/2019/06/canada-amends-its-vodka-standard-to-enhance-economic-competitiveness-facilitate-trade-and-create-more-choice-for-consumers.html

カナダの蒸留業者はウォッカを生産するために、ジャガイモ及び穀物以外の原料作物を使用することができるようになる。

 

[USDA]請願についての更新

Petitions Update

https://content.govdelivery.com/accounts/USFSIS/bulletins/24dca25

「責任ある医療のための医師委員会」による糞を異物として宣言し規制することを要求する請願へのFSISの最終反応

•FSIS's final response to a petition submitted by Physicians Committee for Responsible Medicine requesting that FSIS declare and regulate feces as an adulterant, amend 9 CFR 317.212, 318.125(b)(2)(i), 381.125(b)(2)(ii) and 318.96.

https://www.fsis.usda.gov/wps/wcm/connect/0890f3a4-01de-42ba-bfab-cfd56c37f590/13-02-FSIS-final-response-062119.pdf?MOD=AJPERES

肉に(見えないレベルであっても)糞がついていることにゼロトレランスあるいは糞注意の警告をするよう要求していたが却下されている。

(細菌一個を遮断せよというのは無理だから。

Physicians Committee for Responsible Medicineは微妙な主張が多い団体。この件についてのプレスリリース写真はいかにも。ただ農薬や動物用医薬品の残留がゼロでないと許せないという主張と整合性はあるとも言える。菜食推進、動物実験反対の団体

https://www.pcrm.org/news/news-releases/usda-refuses-protect-consumers-fecal-contamination-chicken-and-other-meat

 

論文

-サプリメントやニュートラシューティカルに新しいタイプのバーコード

Natural ingredients in supplements, nutraceuticals get a new type of barcode

26-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/acs-nii062119.php

購入者がますます天然成分を含むサプリメントや化粧品やハーブレメディを選ぶようになり、それらが多くの店で売られている。しかしその安全性や品質には懸念がある。Journal of Agricultural and Food Chemistryに発表された研究では特有の「化学物質によるバーコード」を用いて植物成分の真正性を確認する方法を開発した。DNAバーコードでは植物は同定できるがその部位まではわからないし科学汚染物質もわからない。そこでDNAではなく化合物をもとにした同定法を開発した

 

-ワインがどうやって作られているかについての情報を多く与えると、消費者がオーガニックに払うお金が減る

Given more information about how wine is made, consumers less likely to pay for organic

26-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/osu-gmi062419.php

オレゴン州立大学によるPLOS ONEに発表された調査。

(どういう情報を与えるかによって変わる)

 

-がんゲノムの突然変異「ホットスポット」は必ずしもがんの増殖を誘導しない

Mutational 'hotspots' in cancer genomes may not necessarily drive cancer growth

27-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/mgh-mi062119.php

マサチューセッツ総合病院がんセンターの研究は、がんの発生とは無関係な遺伝子のDNA構造により誘発される「パッセンジャー」突然変異を発見

Science。特定の腫瘍に高頻度にみつかる特有の遺伝子変異は、その変異ががんの発生や進行に関係するわけではないかもしれない。

 

-抗酸化物質の過剰は肺がん拡大の原因かもしれない

Too many antioxidants may cause lung cancer spread

27-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/nlh-tma062419.php

Cellに発表されたマウスとヒト組織での実験

(抗酸化サプリの根拠はこれ以下だし)

 

-研究者らが乳がん遺伝子検査の拡大を要請する研究を批判

Researchers criticize study calling for expansion of genetic testing for breast cancer

27-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/uoc-rcs062619.php

Journal of Clinical Oncology201812月の「遺伝性乳がん過小診断:遺伝子検査ガイドラインは道具なのか障害なのか?」という論文で27人の米国の研究者らが乳がん診断された全員に遺伝子検査を拡大するよう主張している。同じ雑誌に本日発表されたレターで、その研究の欠陥と著者らの利益相反(遺伝子検査の販売に関与するところからの資金提供)を指摘している。遺伝子検査を拡大すると多数の患者(54%)に意味があるのかどうかわからない変異(VUS)が陽性になる。

(利益が証明されていない検査はしない、のが基本)

 

-恐ろしいマラリアを化学物質無しでコントロールする

Controlling deadly malaria without chemicals

28-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/uoc--cdm062719.php

カリフォルニア大学リバーサイド校のプレスリリース

Nature Communicationsに発表した細菌が作る神経毒素PMP1がハマダラカを殺せるという報告。

(カリフォルニア大学ではタンパク質は化学物質ではないらしい。論文にはもちろんそんなことは書いてない)

 

-学生は水銀暴露のリスクを知らずに食堂でツナを食べている

Students chowing down tuna in dining halls are unaware of mercury exposure risks

28-Jun-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-06/uoc--scd062719.php

調査の結果、ほとんどの大学生は神経毒性のある水銀暴露を知らずに大量のツナを食べていて、一部は推奨量以上を食べていた

カリフォルニア大学サンタクルズ校の研究者らが大学の食堂の外で学生にツナを食べる量、水銀リスクの知識、毛髪水銀濃度を調べた。毛髪水銀濃度はツナを食べる量と関連があった

Environmental Toxicology and Chemistryに発表。この結果の発表前に非常勤准教授Myra Finkelsteinは食堂の責任者に話して新しくツナの水銀についての情報を提示することになった。

(筆頭著者は日本人のようだが、EPAの参照用量0.1 µg/kg body weight/day超過を問題だというなら是非日本でも同じことを)

 

-アルコールは飲酒者以外にも相当な害を与える

Alcohol causes significant harm to those other than the drinker

1-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/joso-acs062619.php

Journal of Studies on Alcohol and Drugsに発表された新しい研究によると、毎年アメリカの成人の5人に1人は-推定5300万人-誰かの飲酒による害を経験する。内容はハラスメント、財産をダメにされる、身体への暴力、交通事故関連、経済的あるいは家族の問題など。