2019-07-12

[BfR] ミルクのマイクロRNA:健康リスクはありそうにない

Micro-ribonucleic acid in milk: health risk very unlikely

BfR Opinion No 020/2019 of 29 Mai 2019

https://www.bfr.bund.de/cm/349/micro-ribonucleic-acid-in-milk-health-risk-very-unlikely.pdf

リボ核酸(RNA)は動植物の細胞に発生し、多くの生体機能をもつ。RNAは遺伝物質の読み取りにおいて中心的な役割を果たし、それにより、細胞にとって重要な物質が生成されることを確実にする。 とりわけ、細胞が必要とするタンパク質の形成を確実にする。様々な機能を持った様々な種類のRNAが存在する。

1つに、マイクロRNAmiRNA)という種類があり、細胞内の数多くの作用を調整する働きをする。しかし、これらのマイクロRNAのいくつかは腫瘍及び他の健康問題の出現に関与すると示唆されてきた。

ドイツ連邦リスクアセスメント研究所(BfR)は、牛のミルクや乳製品に含まれるマイクロRNAの健康リスクの可能性を評価するよう求められた。マイクロRNA摂取量のようなデータが正式なリスクアセスメントに緊急に必要であるが、現段階では利用できるデータがない。現在利用できるデータでは、ミルクのマイクロRNAが健康リスクを引き起こすという結論は認められない。

マイクロRNAに関する利用できるデータに基づき、BfRはミルクと一緒に摂取されたマイクロRNAは、ヒトの健康に何らかの影響があるということは非常にありそうにないと見なす。現在の科学知識では、ドイツで一般的な推奨量のミルクや乳製品摂取を控えるよう一般市民に助言する根拠がない。

 

[NHS] 甘い飲料はがんに関連する

Sugary drinks linked to cancer

Thursday 11 July 2019

https://www.nhs.uk/news/cancer/sugary-drinks-linked-cancer/

1日に3分の1炭酸飲料を飲むと『乳がんのリスクが22%上昇する』果汁飲料も同様に危険である」とSunは報道する。

見出しは、フランスで10万人以上の成人における砂糖及び人工甘味料入りの飲料摂取を評価した大規模な現在進行中の研究に基づいている。

100%果汁飲料及び砂糖入り炭酸飲料を含む、砂糖の量が多いすべての飲料が考慮された。

研究者はこれらの飲料を多く飲む人ががんを発症する可能性がより高いか調べるために長い期間をかけて参加者を追跡調査した。

研究者はどんな種類でも砂糖入り飲料を1日に100ml多く飲む人は、がんのリスクが18%上昇することを発見した。

がんのリスクの上昇は100%果汁飲料でも見られたが、人工甘味料入り飲料では見られなかった。

18%のリスク上昇はかなり高いように思えるかもしれないが、5年間に1,000人あたり4件のがん件数の増加に相当する。

これは質の高い研究であったが、健康に関する人の食生活の一部の影響を特定することは難しい。理想はこの関連を評価するために追加の研究が必要とされる。

しかし、砂糖の摂り過ぎは健康によくないことはすでに分かっている。

燃焼する以上にカロリーを摂取する(どんな形であれ)と、過体重になり、過体重はがんのリスクを増加させる可能性がある。

砂糖入り飲料を飲みすぎることは歯にもよくない。

健康的な食生活に変えることはがんのリスクを減らすための最も効果的な方法である。

これらは定期的な運動、健康的な食生活、禁煙及びアルコールを摂取しすぎないことを含む。

 

[TGA] 一般に広告する場合の'natural'(天然)表示

Using 'natural' claims when advertising to the public

11 June 2019

https://www.tga.gov.au/media-release/using-natural-claims-when-advertising-public

TGAは一般向けに医薬品や医療機器を広告する場合、'natural'(天然の)やそれに関連する表示の使用に関するガイダンスを発表した。以下、このガイダンスを発表する理由及びどのようにして作成したかについて述べる。

消費者が誤解しないようにする

医薬品が'natural'(天然)である、あるいは医薬品や医療機器における成分が'natural'(天然)であるという表示は、一般向けの広告(ラベル表示や包装上を含め)において広く使用されている。

広告が、販売される特定の製品に関する'natural'(天然)という用語が('naturally occurring'(天然素材の)'sourced from nature'(自然の)及び'naturally derived'(天然由来の)のような関連する表示も同様に)意味するところを説明しないならば、特に'natural'(天然)が単独の表示として使用される場合、消費者の解釈にばらつきが生じるだろう。

消費者は表示が意味するところを知る必要があり、さもないと誤解するだろう。誤解を招く広告はTherapeutic Goods Advertising(the Code)(医薬品広告規約)に違反することになる。

広告主が'natural'(天然)表示を使用する場合、その表示を説明する十分な情報を提供あるいはTGAのガイダンスにある定義に沿った使用をしなければならない。これは、より正確な広告、あるいは表示が正確でない場合に'natural'(天然)表示の意味の理解の向上を通して、消費者に役立つ。医薬品及び医療機器に関連する'natural'(天然)表示の使用について消費者向けの具体的な情報は、今後数週間で公表される予定である。この情報により消費者は、明確な情報が広告主により提供されない場合、'natural'(天然)表示をするのに必要なものを知ることができる。

業界の明確さを確実にする

このガイダンスはどのような'natural'(天然)用語がthe Code(規約)を違反せずに使用できるかについての状況に関し、広告主にわかりやすく作成された。もし広告主がTGA定義に沿わない'natural'(天然)表示を使用したいと思い、その表示を使用するならば、製品の広告上及びラベル上にその表示の意味の十分な説明がされなければならない。

このガイダンスは、広告の法令遵守を評価する場合の'natural'(天然)および関連表示を解釈する政策的枠組みになる。製品に関する'natural'(天然)表示のいかなる苦情もガイダンスに沿って検討されるだろうが、広告上表示されるすべての物質('natural'(天然)を含め)に対するエビデンスを挙げることを含め、広告主は、the Code(規約)の関連側面すべてに従う必要があることに留意しなければならない。'natural'(天然)という用語がTGAの定義に従った方法で使用される場合であっても、広告主はそのような表示を立証することができるエビデンスを持っておかねばならない。

意見募集

TGAは、the Code(規約)を支援するためのガイドラインに関する2018年の公聴会の一環で、広告における'natural'(天然)表示の使用に対する最初の提案について意見を募集した。TGAは受け取った反応を考慮し、位置づけを改訂し、的を絞った意見募集を実施した。業界、消費者及び医療関係者の代表組織が、'natural'(天然)という用語の意味の明瞭さの必要性及び提案されたガイダンスの内容の両方に関して意見を出すよう求められた。

協議に参加した人の大多数はTGAが発表するガイダンスに賛成であったが、提案されたガイダンスは非常に複雑で専門的、不明瞭、かつ強制的な規制負担であり、他の機関(例えば、オーストラリア競争・ 消費者委員会(ACCC)や国家工業化学品届出審査機構)あるいは関連あるオーストラリアの判例と足並みをそろえていないという明確な意見があった。

公表ガイダンス

公表されたガイダンスは的を絞った意見募集バージョンから大幅に改訂された。複雑さや長文を削減し、明確な事例を載せた。用語の辞書の定義を引き合いに出し、食品広告に関連する天然表示の使用について可能な限りACCCのガイドラインと一致させている。注意すべきことは、食品と医薬品に関連する天然表示の間には違いが内在するということである。

さらに、以前のガイドラインでは'natural'(天然)や'naturally derived'(自然由来の)の両方を定義しようと試みたが、公表されたガイドラインでは'natural'(天然)という用語のみ定義している。TGAはこれらの用語が医薬品の広告で使用される場合、消費者は'natural'(天然)と'naturally derived'(自然由来)を含む関連用語を区別しそうにないと考えている。

 

[ODS] ファクトシート更新

-モリブデン

Molybdenum

Fact Sheet for Health Professionals 

July 11, 2019

https://ods.od.nih.gov/factsheets/Molybdenum-HealthProfessional/

新規追加

 

-ビタミンA、ビタミンB12、ビタミンB6、カルシウム、コリン、ビタミンC、葉酸、マグネシウム、ナイアシン、パントテン酸、カリウム、リボフラビン、セレン、チアミンの項目

Vitamin A, Vitamin B12, Vitamin B6, Calcium, Choline, Vitamin C, Folate, Magnesium, Niacin, Pantothenic Acids, Potassium, Riboflavin, Selenium Thiamin

Fact Sheet for Consumers 

Updated: July 11, 2019

USDAFoodData Centralへのリンク付け追加

 

[IARC]出版物 WHO腫瘍分類第5版 第1巻:消化器系腫瘍

Publication of WHO Classification of Tumours, 5th Edition, Volume 1: Digestive System Tumours

11 July 2019

https://www.iarc.fr/news-events/publication-of-who-classification-of-tumours-5th-edition-volume-1-digestive-system-tumours/

 

[USDA]フードデータセントラル

FoodData Central

https://fdc.nal.usda.gov/

それぞれ異なる目的の食品と栄養に関する情報を含む5種類のデータを含む

 

論文

-栄養不良のこどもたちに、新しい治療食は腸内細菌叢を増やし健康な発育を促す

For malnourished children, new therapeutic food boosts gut microbes, healthy development

11-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/wuso-fmc070819.php

バングラデシュで初めて行われた臨床試験で、腸内細菌叢を修復するように特別にデザインされた新しいタイプの治療食が、標準的治療より優れている。Scienceに2報発表。

栄養十分な子どもと栄養不良な子どもの腸内細菌を比較し、無菌マウスと無菌豚を使って地元の食品で腸内細菌コミュニティを改善できる食品をスクリーニングしてマイクロバイオーム指向性補完食品プロトタイプを作った。これを二重盲検RCTに用いた。二つ目の論文ではヒトの腸内細菌コミュニティの変動を解析するコンピュータを使った方法の開発を記述した。「ヒトマイクロバイオーム研究の目的は単に微生物コミュニティの一部だけを記述することではなく、それらがどう相互作用してコミュに的全体の機能を形作っているのかを明らかにすることである」。現在さらに規模の大きい長い試験が行われている

(もりだくさんのプレスリリース、一部のみ紹介。ヨーグルトでどうこうという話はお呼びではない)

 

-母乳を与えるために舌小帯手術が常に必要なのかに疑問

Study questions if tongue-tie surgery for breastfeeding is always needed

11-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/meae-sqi070919.php

新しい研究は舌小帯切除手術適のため紹介された乳児の多くは母乳を飲むことができて複数の専門家による評価によって手術は避けられることを示す

JAMA Otolaryngology--Head & Neck Surgery。舌小帯切除手術が全国で劇的に増えているがそれが母乳を与えるのに有効だという根拠はない。世界中で多くの団体が母乳を勧めているが、母乳を与えることに困難があると多くの新米両親がなんとかしてほしいと相談し、それが手術につながっている。米国の子どもの入院患者データベースによると、舌小帯切除手術は1997年の1279件から2012年の12406件に10倍に増加したと推定している

(母乳推進のダークサイド。日本では一部の助産師が勧めていて問題になってたんだけど米国は今流行っているのか・・。母乳がうまくいかないならミルクでもいいんだよ、と言ってはならないというWHOの偏狭な母乳教が問題なんだけど。お腹を空かせた上に手術までされる赤ちゃんかわいそう)

 

-中国の塩摂取量は過去40年間世界で最も高い部類

Salt intake in China among highest in the world for the past 4 decades

11-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/qmuo-sii071019.php

Queen Mary University of Londonの研究によると中国人成人の平均塩摂取量は一貫して110g以上で、世界で最も多いうちに入る

Journal of the American Heart Associationに発表された系統的レビューとメタ解析

著者は中国減塩対策Action on Salt Chinaの部長

(日本も多いのだけれどこういう活動がない・・)

 

-2007–2017のハワイの住血線虫症症例レビュー

Review of Cases of Angiostrongyliasis in Hawaii, 2007–2017

David I. Johnston et al. , The American Journal of Tropical Medicine and Hygiene

http://www.ajtmh.org/content/journals/10.4269/ajtmh.19-0280;jsessionid=SS2Y6bUrgAj_DbfT6LqMSQI4.ip-10-241-1-122

広東住血線虫Angiostrongylus cantonensisによる住血線虫症がハワイ州で報告対象になったのが2007年で、2007-2017年の間に82例が確認できた。年に7例が中央値で57%1月から4月で83%はハワイ島。

 

関連

当局は今年はハワイで住血線虫症が6例であることを確認

Officials confirm 6 cases of rat lungworm disease in Hawaii this year

July 12, 2019

https://www.ctvnews.ca/health/officials-confirm-6-cases-of-rat-lungworm-disease-in-hawaii-this-year-1.4505094

住人3人旅行者3人。感染源は不明だが果物を洗わずに食べた

(野菜や果物についているナメクジを知らずに食べて感染することがあるらしい。とにかく洗え、加熱してあればさらに良し)

 

その他

-Nature

今週のニュース

SEVEN DAYS

· 10 July 2019

The week in science: 5–11 July 2019.

日本が商業捕鯨を再開

日本の領海でのミンククジラのような小型のクジラを獲ることに限定される

 

ニュースを一目で

News at a glance

Science  12 Jul 2019:Vol. 365, Issue 6449, pp. 104-105

・ハンガリーのアカデミーはコントロールを失う

ハンガリーのポピュリスト政府は先週この国の科学アカデミーをさらに管理するための法を施行した。政府はこの法により効率的になるというが批判者は学問の自由を奪いViktor Orban大統領への批判を封じるためだという

・インドが科学財団設立を検討

・オーストリアがグリホサートをもうすぐ禁止

立法者が先週グリホサートの全ての使用を禁止する投票をした。予想通り上院で成立すればこの国はEU初のグリホサート禁止国になる。多くの農家と、一部の環境保護主義者がグリホサートは土壌保全のために必須であるという。

 

-Science

腸内微生物が栄養不良の子ども達の役にたつかも

Gut microbes may help malnourished children

Elizabeth Pennisi

Science  12 Jul 2019: Vol. 365, Issue 6449, pp. 109

食糧援助の標準である粉ミルクやコメはあまり微生物の成熟に影響せず、ひよこ豆、バナナ、大豆、ピーナッツ粉が役にたった

 

油糧ヤシで平和をつくる

Making peace with oil palm

Dyna Rochmyaningsih

Science  12 Jul 2019:Vol. 365, Issue 6449, pp. 112-115

ある科学者はパームのプランテーションをより環境に優しくすることを手伝っている。他の人はそうすることでこの破壊的産業を合法的なものにするという

 

-エネルギードリンクの危険性は致死的な可能性がある-特に十代に

The dangers of energy drinks can be fatal—especially for teens

By Sara TalposJuly 10, 2019

https://qz.com/1661390/how-bad-are-energy-drinks-like-red-bull-for-teens/

今年はじめ、コネチカット州NaugatuckCity Hill中学校の生徒6人が理科の先生と一緒に州都に行って、エネルギードリンクの16才未満への販売を禁止する法案を支持する証言をした。生徒達はエネルギードリンクについて3か月勉強して「エネルギードリンクは致死的な場合もある、特に青少年に」という結論に達した。

2018年の報告によるとアメリカの10代の40%以上が過去3か月以内にエネルギードリンクを飲んだことがある。別の調査ではEUの青少年の28%が過去3日以内に摂取している。これだけ人気があるが、小児科学会やスポーツ医学会は若者は避けるべきだとしている。米国政府の報告では2007年から2011年の間にエネルギードリンクが関係する救急来訪者数は二倍以上の21000近くになった。

一方エネルギードリンクの製造業者は彼らが不公平に標的にされていると主張する。一部のコーヒーはレッドブルよりカフェインが多い。

エネルギードリンクについての議論は続く。

歴史的にはカフェイン含有飲料の規制には一貫性がない、一部の理由は我々がそれを好きだから。1980年にFDAは健康上の懸念からソフトドリンクからカフェインを排除しようとした。しかし事業者はカフェインを風味増強剤と主張した。FDAはコーラタイプのソフトドリンクにのみ0.02%までと上限を規制した。もしFDAがカフェインを風味増強剤ではなく向精神成分だとみなしていたらソフトドリンクは薬物として規制されているだろう。

1990年代後半から2000年代初期にアメリカに初めてエネルギードリンクが現れたとき、一部の業者はダイエタリーサプリメントだと主張した。カフェイン入りの薬物には警告が必要なのにダイエタリーサプリメントには必要ない。

2009年以降スポーツや医学団体は若い人達のエネルギードリンク摂取を減らすよう意見を出している。2013年には議会でも取り上げられた

(以下略。詳細な調査報道)

 

-フロリダがウォルトディズニーワールドの一部に狂犬病警告を発表

Florida issues rabies alert for part of Walt Disney World

By Hannah Sampson July 11 at

https://www.washingtonpost.com/travel/2019/07/11/florida-issues-rabies-alert-part-walt-disney-world/?noredirect=on&utm_term=.3a52cd97f2a2

野生の猫が狂犬病であることが見つかった。その猫はディズニーの従業員2人を引っ掻いたが彼らは狂犬病にはなっていない。この地域の他の動物も狂犬病をもっている可能性があり住人や旅行者に警告。半径2マイルの区間に60日間。

 

-若いカフェイン愛好家男性の過剰使用による死亡で緊急の安全性レビューにつながった

Young man’s freak caffeine overdose death sparks urgent safety review

https://www.news.com.au/lifestyle/health/health-problems/young-mans-freak-caffeine-overdose-death-sparks-urgent-safety-review/news-story/6236c1e1dbf72e8b03effa07e76f7e17

若い男性が死亡してフィットネスサプリメントが精査されることになった、批判者は致死的な粉末が簡単に入手できることが「クレージー」だという

月曜日に報道されたように、ニューサウスウェールズのLachlan Footeが粉末カフェインを入れた自作プロテインドリンクを飲んで浴室で倒れていて意識を取り戻すことはなかった。

ティースプーン1杯で恐ろしく強力だが合法で広く販売されている、特にフィットネス業界では。政府はFSANZに調査を依頼した。

(これだけ明確なリスクがあってもサプリとか食品は誰かが死なないと動かない、)