2019-07-16

[BfR]国の研究所の科学的研究にも著作権はあてはまる

BfR: Copyright must also apply to the scientific studies of state research institutes

04.07.2019

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2019/24/bfr__copyright_must_also_apply_to_the_scientific_studies_of_state_research_institutes-241459.html

BfRはBfRの研究論文を公表・配布しているインターネットプラットフォームのユーザーにその行為を禁止する仮処分を得た。著作権法により、第三者は同意無く他人の論文を発表してはならない。

(グリホサートの件。法廷闘争中)

 

[RIVM]農地や畜産用地にPFASを含む土壌や浚渫土壌を使う場合の土壌リスク限度

Soil risk limits for the use of soil and dredging spoil containing PFAS for arable farming and livestock breeding

15-07-2019

https://www.rivm.nl/publicaties/risicogrenzen-voor-toepassen-van-pfas-houdende-grond-en-bagger-voor-akkerbouw-en

PFOSやPFOAが土壌や地表水や沈降物に存在する可能性があるが、土壌や浚渫物のPFASについての国の基準がないためリスク限度を設定した。

(本文オランダ語)

 

[FDA]熱帯低気圧Barryによる洪水地域の食糧生産者向けリソース

Resources for Food Producers in Flooded Areas Due to Tropical Storm Barry

July 12, 2019

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/resources-food-producers-flooded-areas-due-tropical-storm-barry

FDAの企業向けガイド:洪水に影響された食用作物のヒト摂取用の安全性評価で情報を提供している

 

[WHO]世界の飢餓は3年経ってもまだ減らず肥満はなお増え続けている-国連報告

World hunger is still not going down after three years and obesity is still growing – UN report

15 July 2019

https://www.who.int/news-room/detail/15-07-2019-world-hunger-is-still-not-going-down-after-three-years-and-obesity-is-still-growing-un-report

世界では8億2000万人が飢えている

2018年には8億2000万人が食べるものが十分ではなく、前年の8億1100万人より増えていて3年連続の増加である。これは2030年までに飢餓を無くすという持続可能開発目標を達成するためには膨大な努力が必要であることを強調する。本日発表された世界の食糧安全保証と栄養の状態最新版。

重要な事実と数字

・2018年の世界の飢餓人口は8億2160万人(あるいは9人に1人)、アジアで5139万人、アフリカで2561万人、ラテンアメリカとカリブで425万人

・中程度から重度の食糧不足は20億人(26.4%)

・低体重で生まれる赤ちゃんは2050万人(7人に1人)

・発育阻害(年齢に対して身長が低い)の5才未満は1億4890万人(21.9%)

・衰弱(年齢に対して体重が少ない)の5才未満は4950万人(7.3%)

・過体重(年齢に対して体重が多い)の5才未満は4000万人(5.9%)

・過体重の就学年齢の子どもや青少年は3億3800万人

・肥満の成人は6億7200万人(13%あるいは成人8人中1人)

 

[WHO]WHO/欧州地域事務所の研究はベビーフードの砂糖が多く赤ちゃんに不適切にマーケティングされていることを発見

WHO/Europe studies find baby foods are high in sugar and inappropriately marketed for babies

Brussels, Belgium, 15 July 2019

http://www.euro.who.int/en/media-centre/sections/press-releases/2019/whoeurope-studies-find-baby-foods-are-high-in-sugar-and-inappropriately-marketed-for-babies

WHO/欧州地域事務所の二つの研究は、ベビーフードの多くが6か月未満の乳児に適すと不正確に宣伝されていて多くが砂糖の量が不適切に多いことを示す。

WHOが長い間変わらず助言しているのは子どもは6か月まで母乳のみで育てるべきである、である。2016年の乳幼児への不適切な食品の宣伝を終わらせることについてのガイドでは市販の離乳食は6か月未満の乳児には広告すべきではないと述べている。

WHO欧州事務所はオーストリア、ブルガリア、ハンガリー、イスラエルの市販ベビーフードや飲料7955点のデータを評価した。4つの都市で28-60%が6か月未満の乳児に適していると宣伝されていて、これはEUの法律では認められているがWHOの母乳代用品広告基準を守っていない。また3都市では半分以上の製品がカロリーの30%以上が砂糖であった

(6か月まで母乳以外はなにひとつ口にするなというのは栄養上もアレルギー予防上も常にベストではないというのは現在の主流なのだが断固拒否するんだな母乳信者は)

 

[FTC]FTCはGerber Products社に対して規定命令和解を認める

FTC Approves Stipulated Order Settling Charges against Gerber Products Company

July 15, 2019

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2019/07/ftc-approves-stipulated-order-settling-charges-against-gerber

FTCは2014年にガーバープロダクツ社、ネスレニュートリションとしても事業をしている、にGood Start Gentle乳児用ミルクをアレルギーの家族歴のある家庭にアレルギー発症リスクを提言すると詐欺的宣伝をしたことについて苦情を申し立てていた。ガーバーとFTCは本日規定命令のとおり和解した。

(FDAの限定的健康強調表示の内容を誤解させる宣伝。蛋白質の加水分解物でアレルギー予防という説は論文捏造だった人がたくさん出していた。ネスレは業界最大手なだけに非常に残念な事例)

 

[Codex]FAO/WHO食品管理システム評価ツール

FAO/WHO Food Control System Assessment Tool

15/07/2019

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1201886/

CAC42の能力構築イニシアチブサイドイベントの紹介

 

[USAD]APHISは遺伝子組換え(GE)小麦の検出について更新情報を提供

APHIS Provides Update on Detection of Genetically Engineered (GE) Wheat

Jul 12, 2019

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/2019/sa-07/ge-wheat

ワシントン州でみつかったGE小麦がモンサント社の開発したMON 71300とMON 71800であることを突き止めた。FDAはMON 71800について数年前に任意の安全性評価を完了していて市販のGEでない小麦と同様に安全であると結論している。MON 71300はMON 71800と同じグリホサート耐性遺伝子をもち、FDAが以前評価している。FDAは食品供給網にMON 71300やMON 71800が微量存在することによる安全上の懸念はないだろうと述べている。さらにAPHISはMON 71300の検出キットを提供するだろう。これまでのキットはオレゴン州で2013年にみつかったMON 71800 とワシントン州で2016年に見つかった MON 71700を検出できる

 

論文

-健康的なライフスタイルは遺伝的リスクに関係なく認知症リスクの低さと関連するか?

Is healthy lifestyle associated with lower risk of dementia regardless of genetic risk?

14-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/jn-ihl071219.php

UK Biobankの遺伝情報を使った観察研究。196383人の60才以上の認知症のない欧州人を8年フォローし新たな認知症の事例は1769だった。不健康なライフスタイルと遺伝的リスク要因はそれぞれ独立した認知症リスク要因であることが示唆された。JAMA。

 

-インドの室内空気汚染を減らす

Curbing indoor air pollution in India

15-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/iifa-cia071219.php

インド政府が2016年に調理用の燃料としてLPGを使うようにする大規模キャンペーンを開始した。開始から35か月で主に地方の貧しい女性約7000万人に利益があった。Nature Energyに発表された研究ではこの計画によるLPGの採用や使用について解析した。

(あっても常用しない人達が多いらしい、お金かかるし)

 

-六本足のスーパーフードをどうぞ:抗酸化物質が最も多いのはバッタ

Meet the six-legged superfoods: Grasshoppers top insect antioxidant-rich list

15-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/f-mts071219.php

バッタやカイコはフレッシュオレンジジュースと同等の抗酸化能がある、と研究が言う

Frontiers in Nutrition.

(昆虫食推進、そうきたか。)

 

その他

-砂糖入り飲料はがんの原因か?

Do Sugary Drinks Cause Cancer?

By Angela Dowden — July 14, 2019

https://www.acsh.org/news/2019/07/14/do-sugary-drinks-cause-cancer-14152

最近のCNNの見出しが「一日小さなコップ一杯のジュースやソーダががんリスクを上げる」と叫ぶ。DailyMailは「一日たった一杯のフルーツジュースや砂糖入りお茶が劇的にがんリスクを上げる、と大規模研究が示唆する」という。これらの見出しの背景にある研究はこれ(リンク)で、文脈に従えばこれは砂糖と健康と病気の科学に貢献するものである。ただしそれは文脈に従えば。

砂糖とがんの関連についての観察研究は過去10年ほどで山ほどあり、それは2018年のこの系統的レビュー(リンク)で良くまとめられている。しかし最新の研究がジグソーパズル全体のどこにあてはまるのかを探すことはいつでも推奨される。そして以下の@dnunan79 がツイッターに投稿した図はとてもよく整理されている:(図)

この図では新しい研究の結果を既存の根拠に加えている、特に最も関連が強そうに見える乳がんについて。グラフが示すように、既存の研究の多くは食品と飲料の全てからの砂糖の摂取と乳がんについて調べた時には関連が無く、砂糖入り飲料を調べると悪影響が示唆されている。最新の研究は砂糖入り飲料が特有のがんリスク増加要因であることを示唆することの重みを増すか?おそらくそうではない。

もう少し研究をよく見てみよう。フランスのNutriNet-Santé研究グループは10万人以上のフランス成人の食事とライフスタイルを最大9年監視している。食事摂取記録は他の食事評価記録よりしっかりしている。5%以上の砂糖を含むものは全て砂糖入り飲料とみなされ、純フルーツジュース、炭酸飲料、エネルギードリンク、砂糖を入れたホットドリンクやミルクシェークを含む。研究者らはより多くのこれら飲料を飲んだ参加者ががんになりやすいかどうかを調べた。結果は、この集団は78%が女性なので、乳がんについてだけ最も多く砂糖入り飲料を飲んだ閉経前女性は28%、閉経後女性は44%増加した。直腸結腸や前立腺がんでは関連は見られなかった。がん全体では1日100mLの砂糖入り飲料の摂取量増加は18%のがんリスク増加と関連した。これは1000人について5年間に4例余計にがんができることに相当する。もちろんそれは関連が真の因果関係であれば、である。これについては十分な情報がない。著者らがいろいろな交絡要因を調整しようと試みてはいるが全ては無理である。それは飲料中の砂糖はがんの原因になるが食事全体からの砂糖はがんの原因ではないというのは奇妙だ、というだけではない。増えた砂糖の摂取量がこのがんリスクの増加を説明できるように見えないからである。この研究では最も砂糖入り飲料摂取量の少ない群の飲料からの砂糖摂取量は毎日3gである。そして最も多い群は1日19gである。しかしがんの増加が観察されるのは4分割中3番目の群からで、その群は1日10gである。つまり1日7gの砂糖の摂取でほんとうにがんリスクが上がるのだろうか、特に肥満が関係ない集団で?それは生物学的にありそうにないように見える。

むしろ何か別の要因が関係している方がありそうである。砂糖入り飲料を多く摂っている集団はカロリーと塩の摂取量が多くアルコールが少なく、食生活が違うことが示唆される。砂糖入り飲料は食事の違いの指標に過ぎないのかもしれない、あるいは食事とは関係のない他の要因があるのかもしれない。

 

-規制担当者は室内空気汚染について対応しなければならない

The Lancetエディトリアル

Regulators must work on indoor air pollution

Editorial|Volume 394, ISSUE 10193, P94, July 13, 2019

2019年6月28日にNICEが家庭での室内空気の質に関するガイダンス案を発表し、おそらく一部の人達は予期せぬ空気汚染源があることを強調した。Lancetはしばしば屋内で燃料を燃やす地域の室内空気汚染についてとりあげてきたが、NICEのガイダンスは世界中の家庭で影響がある可能性のある汚染問題を考察している。

このガイダンスでは料理や掃除のような日常の活動や湿気のような持続する問題をカバーし、見えない室内空気汚染が最も脆弱な人達、特に質の低い家に住んでいる人達に重くのしかかっていることを示唆する。それらは特に既往症のある人にとっては問題となる。重要なことは家の換気である。

(以下略。)

 

-家庭の有害化学物質に関する環境監査委員会の新しい報告書への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to new report from the Environmental Audit Committee on toxic chemicals in the home

July 16, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-new-report-from-the-environmental-audit-committee-on-toxic-chemicals-in-the-home/

下院環境監査委員会が発表した報告書は化学汚染の拡大する問題と政府がとるべき対応を示す

エジンバラ大学小児内分泌名誉相談医MRC生殖健康センター研究グループリーダーRod Mitchell博士

環境化学物質への暴露とそのヒト健康影響はよくわかっている。英国人がどのくらい暴露されているのかを調べるバイオモニタリング計画をはじめることは歓迎すべきだろう。

ヒトの病気と化学物質暴露の関連を同定することは重要だが因果関係やメカニズムの研究も緊急に必要である。「有害な可能性のある」化合物を別のものに置き換えることはヒト健康影響を減らすのに役にたつ可能性もあるが、代用品がもともとの化合物より安全であることを確認することも重要である。

 

-マーシャル諸島の放射線-専門家の反応

SMC NZ

Radiation in the Marshall Islands – Expert reaction

Published: 16 July 2019

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2019/07/16/radiation-in-the-marshall-islands-expert-reaction/

新しい研究によると、1940年代と50年代の原爆実験による放射能がマーシャル諸島の一部にいまだに残留している

PNASに発表された三論文のうちの一つで、バックグラウンドレベルは現在住んでいる住人に安全な量ではあるものの、ビキニ環礁やその他のグランドゼロ試験場所のガンマ線は残存しているという。二番目の論文ではマーシャル諸島北部で栽培されたココナツを含む果物に、チェルノブイリや福島の近傍でみつかっているものより高レベルの放射性セシウム汚染があることを報告している。三番目の論文ではマーシャル諸島ビキニ環礁で実験された最大の水爆の爆弾穴の土壌の上部25cmはいまだにプルトニウムやその他の放射性同位元素が意味のある量存在することを発見した。

SMCは専門家のコメントを求めた

オークランド大学物理学部David Krofcheck博士

コロンビア大学原子力研究センターからの三報は、1946年から1958年に米国がマーシャル諸島で行った核兵器の試験による放射性同位体についての葉いじめての大規模測定である。

調べた食品、ココナツやタコノキ、の放射能レベルは様々で、最も低かったのは試験場所から最も遠いところの果物だった。最も多くの試験が行われた北部環礁は放射能レベルが高かった。ビキニ環礁は相当大きな値で、国際食品安全基準の多くは上回る。地元のシーフードについても研究が必要だろう。

ビキニもNaen 環礁も土壌の放射能は南部の環礁より高く、多くがガンマ線である。1946年以前は最も人口が多かったビキニは再移住するには汚染が高すぎるだろう。

ほとんどのマーシャル諸島住人が暮らすMajuroの南部の都市は、ニューヨークのセントラルパークと同程度のバックグラウンド放射線レベルで、近傍の食品も国際基準未満で安全な量である。

これらのデータは全て、少なくともマーシャル諸島の一部の移住の可能性を考えると重要である。将来のためにもそのような測定は定期的に続けるべきである。

ESR国立放射線研究室上級科学者Cris Ardouin & Michael Lechermann

核兵器実験による放射性降下物は地球規模で環境に入った。マーシャル諸島のようにかつて試験場だったところは放射能レベルが高いことが知られている。報告された量の環境放射能に関連する放射線暴露は一般的に低い、あるいは天然のラドンや宇宙船、医療機器などの放射能暴露と同程度である。国立放射線研究室はニュージーランドと南太平洋地域の環境放射能を1960から継続して測定している。核実験が行われなくなってから、放射性降下物の量は予想通りに減少し続けている。ESRはさらに包括的核兵器禁止条約の技術的サポートをしている

(アメリカの研究なのでレムとキュリーで書いてあって面倒だ~と思ったけど一応キュリーはベクレル併記してあった)

 

-気候変動委員会の助言-専門家の反応

Climate change committee’s recommendations – Expert Reaction

Published: 16 July 2019

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2019/07/16/interim-climate-change-committees-recommendations-expert-reaction/

政府が暫定気候変動委員会の報告書とその助言への対応計画を発表した

助言の核心は2025年までに農場からの排出を測定し考慮し価格をつけること

政府は対策の選択肢についてパブリックコメントを募集している

専門家からの反応略

(農業が温室効果ガスの排出源なので農家に適応を迫っている。水田のメタンも考えると日本は大変になるだろうけど・・)