2019-07-19

[CFIA]食品安全性検査報告

Food Safety Testing Bulletin

2019-07-17

http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2019-07-17/eng/1561609586052/1561609586286

-子どもの食品プロジェクト-最終報告書-2014年~2015

Children's Food Project - Final report - 2014 to 2015

Date modified: 2019-07-17

http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2019-07-17/children-s-food-project/eng/1559834794201/1559834940909

カナダ食品検査庁(CFIA)は、食品供給が安全でカナダの基準を満たしていることを確認するために、食品中の残留化学物質や汚染物質のいくつかの様々な監視計画を用いている。子どもの食品プロジェクトは、乳児と子供を対象とした、よく食べられる加工食品中の残留化学物質や汚染物質に関する情報を特に収集してこれらの活動を補っている。体重が軽く、発育中で、その摂取パターンにより、幼児や子どもはこれらの化学物質への暴露リスクがより高い可能性がある。

2014年~2015年のCFPの主な目標は、

・情報を収集し、動物用医薬品や農薬の残留物のカナダの基準に対する乳児用食品の遵守を評価すること

・乳児用食品や牛乳を含む粉ミルク中のアフラトキシンM1濃度に関する基本データを収集すること

2014年~2015年のCFPでは、オタワ、オンタリオ、ガティノー、ケベック地域で、全部で221の乳児用食品サンプルを購入した。これらのサンプルには、乳児用シリアル、乳児用粉ミルク、幼児用スナック、ヨーグルト、フルーツピューレ、野菜のピューレ、ジュース、フルーツと野菜のピューレの組み合わせ、肉を含む乳児用ピューレ食品が含まれている。サンプルは残留農薬、動物用医薬品残留物、アフラトキシンM1 (乳製品ベースのサンプル)の分析をした。

農薬や動物用医薬品残留物を検査した乳児用食品サンプルの全体的な規制順守率は100%だった。検査した221サンプルの80%以上は検出可能な残留農薬を含んでいなかった。乳児用粉ミルクあるいは肉や乳製品を含む乳児用食品の51のサンプルのおよそ40%で動物用医薬品残留物は検出されなかった。検出された全ての動物用医薬品残留物はヘルスカナダ(HC)が設定したカナダの最大残留基準(MRLs)に従っており、規制がない場合は検出限界未満だった。

ミルクベースの32サンプル全てのアフラトキシンM1を検査した。アフラトキシンM1はそのサンプルの88%で検出されなかった。アフラトキシン量を検出できるサンプルは全てコーデックス最大量(ML)0.5 ppb未満だった。乳児用粉ミルクに見つかったアフラトキシンM1の量はHCに評価され、乳児の健康への懸念とは考えられなかった。

CFPのような監視計画から得たデータは、カナダの子供の、乳児用食品の残留農薬、動物用医薬品残留物、アフラトキシンM1への食事暴露評価に役立つ。

全データはHCにレビューされ、カナダの乳児に健康リスクは見つからなかった。

 

-食品の食品着色料-201341日~2014331

Food Colours in Selected Foods - April 1, 2013 to March 31, 2014

Date modified: 2019-07-17

http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2019-07-17/food-colours-in-selected-foods/eng/1559845361901/1559845411676

ターゲット調査は潜在的な食品ハザードについての情報を提供し、カナダ食品検査庁(CFIA)の定期的な監視計画を高める。これらの調査は食品供給の安全性に関する証拠を提供し、潜在的な新興ハザードを確認し、制限されるか存在しない食品分野の新たな情報やデータに寄与する。より高いリスクの可能性のある分野の調査に焦点を当てるためにCFIAがよく利用する。調査は傾向を確認するのにも役立ち、企業がカナダの規制にどのように従っているかについての情報も提供する。

加工条件によって天然の色が失われるのを補い、色を強調し、より均一にすることで食品をさらに魅力的においしそうにして消費者の期待に応えるなど、食品着色料は様々な理由で食品や飲料に日常的に添加されている。着色料に焦点を当てたターゲット調査は、加工食品に認可されている着色料に関する潜在的な健康上の懸念により、一部開始されている。DNAへの損傷や発がん性の可能性があるものもあるため、認可されていない着色料の存在は消費者への健康リスクを引き起こす恐れがある。認可されている合成着色料の非表示使用により、合成着色料に対して感受性を示す少数割合の集団に対して懸念となる可能性があり、皮膚の発疹を引き起こしたり、ぜんそくの人のぜんそく反応を引き起こしたりすることがある。

このターゲット調査では、カナダ市場の国内及び輸入品の食品着色料の事例についてさらなる基本調査データを集めた。全部で875のサンプルが食品着色料を検査された。食品着色料は検査したサンプルの585(67%)で検出されなかった。前回の調査年と比較すると、これらの結果は同様の検出割合と順守率(97.8%)を示している。違法残留結果の多くは、製品表示に認可されている食品着色料がないまたは正しく記載されていない、あるいは認可されている着色料が最大量以上存在することによる。認可されていない食品着色料を含むサンプルはたった1つだった。この調査で観察された食品着色料の量は、どのサンプルも許容できないヒトの健康上の懸念を引き起こすことはないとヘルスカナダ(HC)に評価されたため、この調査では製品回収はなかった。

 

-飲料、調味料、スープ、漬物、乾燥スパイスとミックス、油類の食品着色料-201441日~2015331

Food Colours in Beverages, Condiments, Soups, Pickled Vegetables, Dried Spices and Mixes, and Oils - April 1, 2014 to March 31, 2015

Date modified: 2019-07-17

http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2019-07-17/final-report/eng/1560266003764/1560266107096

このターゲット調査では、カナダ市場の国内及び輸入品の食品着色料の事例についてさらなる基本調査データを集めた。全部で980件のサンプルに最大43の様々な食品着色料の検査をした。食品着色料は検査したサンプルの834 (85%)で検出されなかった。以前の調査年と比較すると、これらの結果は同様の検出割合と順守率(98.9%)を示した。違反のほとんどすべて(11)は製品表示に書かれている着色料がないか正しく記載されていないことによる。さらに、これらの違反サンプルのうち2(スパイスミックス)は認可されていない着色料を含んでいた。最大量以上の食品着色料を含むサンプルはたった1つだった。

この調査で観察された食品着色料の量はヘルスカナダの化学物質安全性事務局で評価され、どのサンプルも許容できないヒトの健康上の懸念を引き起こすことはないと結論されたため、この調査による製品回収はなかった。

 

-食品やバニラ抽出物に含まれるシナモン中のクマリン-201441日~2015331

Coumarin in Cinnamon-Containing Foods and Vanilla Extracts - April 1, 2014 to March 31, 2015

Date modified: 2019-07-17

http://www.inspection.gc.ca/food/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2019-07-17/coumarin-in-cinnamon-containing-foods-and-vanilla-/eng/1560182443441/1560182514985

クマリンはシナモンやトンカ豆などの植物に見られる天然成分である。クマリンは毒性の証拠や肝臓への有害影響の可能性があり、食品の利用を中止するまで、長年、食品や香水産業の香料として利用された。天然源のクマリンへの暴露は低いと予想され、健康リスクを示すとは思われない。これらの食品を頻繁に摂取する集団がより多く暴露しないように、リスクとならないように確かめるために、CFIAは一般に入手できるシナモン含有製品やバニラエッセンスのクマリン量を検査することは重要だと考えた。

この20142015年のクマリンに関するターゲット調査では、カナダ市場の国内及び輸入製品のクマリンの濃度に関するさらなる基本調査データを収集した。148の調理用ソース、38の乾燥飲料ミックス、239のシナモンとバニラオイルやエッセンス、104のスパイスミックス、210の茶のサンプルを含む739製品がサンプルとして抽出され、分析された。このサンプルの63%にクマリンが0.2 ppm 2170 ppmの範囲量で検出された。最大量はスパイスミックスと茶のサンプルで検出された。スパイスミックス、乾燥茶、焼き菓子の平均及び最大クマリン濃度は以前のターゲット調査と比較できた。科学的文献に対する調査結果の比較は、カナダの小売り製品に検出されたクマリン量が様々な科学的研究で報告されているものと似ていることを示した。

ヘルスカナダ(HC)はこの調査で観察された食品中のクマリン量がヒトの健康への懸念を引き起こすことは予想されないと決定したため、この調査によるフォローアップ活動はなかった。

 

[BfR]オーダーメイド遺伝子:消費者はどう考える?

Custom-made genetic material: What do consumers think?

15.07.2019

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2019/25/custom_made_genetic_material__what_do_consumers_think_-241486.html

2019810日からゲノム編集に関するBfR消費者会議を始める。728日までに登録

 

[BfR]BfRの若手研究グループ 将来を研究する

Junior research groups at the BfR

Researching the future

https://www.bfr.bund.de/cm/364/junior-research-groups-bfr-printed-extract.pdf

BfRの広報パンフレット

 

[FAO]食品と農業に関連するSDG指標の前進を追跡する

Tracking progress on food and agriculture-related SDG indicators

http://www.fao.org/sdg-progress-report/en/

デジタルレポート

 

[ASA]ASA裁定

-ASA Ruling onAldi Stores Ltdt/a Aldi

17 July 2019

https://www.asa.org.uk/rulings/aldi-stores-ltd-A19-549872.html

新聞広告で「Aldiに代えて節約」という見出しでTescoMoët et Chandon Brut Impérial Non-Vintageシャンパンやその他の製品合わせて32.54ポンドでそれをAldi独自ブランドのVeuve Monsignyシャンパンとその他の商品にすると45%節約できると宣伝。これにTescoがこの比較は公平ではなくTescoの独自ブランドのシャンペンはもっと安い等と苦情申し立て。Aldiは違うブランドを比較しても問題ないと釈明。ASAはこの広告はAldiで買い物をするといつでもTescoより45%節約できるかのように受け取られると判断、比較は意図的にAldiが有利になるように歪めていて広告基準違反。

(マグロの赤身でEPAが何食分とか言っているサプリも意図的に歪めていると思う)

 

-ASA Ruling on Person(s) unknown

17 July 2019

https://www.asa.org.uk/rulings/person-s-unknown-G19-1018125.html

補完代替療法でADHDや不安、PTSDME/CFSなどを治せるという趣旨のウェブサイト。ASAの照会に対し運営者を開示せず「編集委員会」としか名乗らない。またこのサイトでは商品を売っていないので広告基準に従う必要はないと主張。しかしウェブの記述の中に困っていたらここに電話して、すぐに治療できる、といった記述があり宣伝である。

(バイブル商法のウェブ版みたいなもの。)

 

[USDA]加工肉や家禽製品に、これらを頻繁に食べると結腸がんのリスクが上がるという警告を表示することを要求するCSPIからの請願へのFSISの最終対応

FSIS's final response to a petition submitted by Center for Science in the Public Interest requesting that FSIS require labels on processed meat and poultry products warning consumers that frequent consumption of these products may cause increase the risk of colon cancer.

July 15 2019

https://www.fsis.usda.gov/wps/wcm/connect/e0f26a2f-b803-420a-9296-dd2e7cf5f55f/16-07-FSIS-Final-Response-071519.pdf?MOD=AJPERES

201610月にCSPIFSISに加工肉や家禽製品に警告表示を要求する規制を作るように要請する請願を提出し、FSISはそのレビューを完了した。

慎重に検討した結果、FSISはこの請願を却下すると結論した。FSISはこれらの製品は安全で警告を表示しないことは不正商標表示ではないと考える。さらに、要求された警告表示は消費者が適切な文脈でリスクを想定するのに必要な情報を提供するのに失敗していて誤解を招くだろう

(以下いろいろ長い説明。食べ過ぎたら良くないと疑われるもの全てに警告表示がある状況を考えたらどうだろう)

 

[EU]EUニュースレター

Health-EU Newsletter

18 July 2019

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/newsletter-specific-archive-issue.cfm?archtype=specific&newsletter_service_id=261&newsletter_issue_id=16533&page=1&fullDate=Thu%2018%20Jul%202019&lang=en

欧州委員会公衆衛生部長John F. Ryanから、安全で楽しい夏休みを!

夏の間に健康リスクが上がる。皮膚がん、心臓発作、食品汚染、昆虫を媒介とする疾患、オゾン濃度の上昇による呼吸器の問題など。欧州委員会はこれらのリスクを下げるために活発に様々な方法で働いている。旅行者は特に健康上の懸念がある。世界の旅行者向け警告を提供している。しかしリスク増加だけではなく夏休みには健康上のメリットもある。公衆衛生はますます予防と健康増進にシフトしてきている。良い栄養と運動はいくら強調しても足りないが、夏休みには人々は運動量が増える傾向がある。そして夏にはより軽い食品が好ましくなり水を多く飲む傾向がありどちらも健康にとっては好ましい。さらに人々には仕事から離れて家族や友人と過ごしたり、一人になる時間が必要である。充電が必要なのは電話だけではない。欧州委員会は健康的なワークライフバランスを推進している。WHOの健康の定義で有名なように、健康とは単に病気がないことではなく、身体や精神や感情の状態が最適であることである。そしてそのためには人々には夏休みだけではなく定期的にリラックスしてギヤチェンジをし人生を楽しむ必要がある。

(そのわりにお菓子は一切必要ないみたいなこと言うよね)

 

論文

-塩の規制は心血管系疾患9900とがん1500例に関連

Salt regulations linked to 9,900 cases of cardiovascular disease and 1,500 cancer cases

18-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/icl-srl071619.php

英国の食品中塩含量に関する企業規制の緩和は心血管系疾患9900と胃がん1500例追加に関連

Journal of Epidemiology and Community Healthに発表されたImperial College Londonの研究。2003-2010年はFSAが減塩目標を設定して企業の製品を監視していて年に男性0.2g、女性0.12gの減塩ができていたが2011年以降企業が自主目標を設定して企業の責任なってからは減塩ができていない。このことが追加の疾患を生んでいると推定

(直線的に減らし続けるのは難しいし塩と胃がんの関係って高濃度の塩を含む食品についてであって低摂取量領域まで直線的に外挿できるとは思わないけど。公衆衛生上の正義のためなら雑でもおおげさでもいい、みたいな感じ良くない)

 

-二酸化炭素の増加、気候変動が世界の栄養の利用可能性を減らすと予想される

Rising CO2, climate change projected to reduce availability of nutrients worldwide

18-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/ifpr-rcc071719.php

気候変動がない場合に比べてタンパク質、鉄、亜鉛が19.5%, 14.4%および 14.6%減るだろう

Lancet Planetary Healthに発表された国際食糧政策研究所の研究

影響を受けるのは現在栄養不良の国々。

 

-ニューヨーク大学の Benzian が共著のLancetのシリーズが口腔のヘルスケアに「劇的改革」を要請

Lancet series, co-authored by NYU's Benzian, calls for 'radical reform' of oral healthcare

18-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/nyu-lsc071719.php

シリーズはハイテクの高価な治療より予防に集中した統合的医療を支持

虫歯、歯周病、口腔がんなどは世界人口の半数に影響する公衆衛生問題であるが注意されていない。高所得国では主にハイテクでハイコストの治療が主流で低-中所得国では歯科は利用できない。予防を優先する一環として、Lancetシリーズでは砂糖、アルコール、タバコの削減の必要性を検討している

 

The Lancet:巨大砂糖業界とグローバルヘルスコミュニティの無関心が口腔の健康の危機を悪化させている

The Lancet: Big Sugar and neglect by global health community fuel oral health crisis

18-Jul-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-07/tl-tlb071619.php

(こちらはlancetからのプレスリリース。砂糖と食品業界を目の敵に。虫歯の主原因は砂糖(遊離の糖)と断定している。キシリトールや歯磨きの奨励、フッ素添加歯磨き、無糖チューインガムなどは食品業界が砂糖の害悪から注意を逸らすための策略であると言っている。食品業界は研究や政策から徹底的に排除すべきと。

ご飯でも唾液のアミラーゼで分解されるから食べて歯磨かないと虫歯になるし、砂糖なんか滅多に手に入らなかった時代でも歯の状態は良くなかったし。)

 

その他

-Science Vol 365, Issue 6450

19 July 2019

アポロ50周年記念

 

-バナナの真菌がラテンアメリカを警戒状態に

Banana fungus puts Latin America on alert

Erik Stokstad

Science  19 Jul 2019:Vol. 365, Issue 6450, pp. 207-208

恐れられていた、極めて壊滅的なバナナの病気がラテンアメリカに到達したようだ。先週コロンビア農業研究所がコロンビア北部の4つのプランテーションがFusarium 立ち枯れ病 tropical race 4 (TR4)感染疑いのため検疫されていることを確認した

 

-鬱研究者はよく使われるマウスを泳がせる試験を再考

Natureニュース

Depression researchers rethink popular mouse swim tests

18 July 2019 Sara Reardon

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02133-2

この方法が過剰に使われているのではないかという議論の最中に動物の権利団体が強制的に泳がせる試験を終わらせるようにキャンペーンを始めた

鬱の研究をしている科学者は強制水泳試験をよく知っている。マウスやラットを水の入ったタンクに入れてどのぐらいの時間浮いているかを観察する。理論的には、鬱の齧歯類は幸福な場合より早く諦める-抗うつ剤や鬱誘発モデルを作るのに何十年も使われてきた想定である。しかし精神衛生の研究者らはそれが人間の鬱の良いモデルなのかどうかについてますます疑問を持つようになってきた。マウスが泳ぐのを止める理由は失望のせいなのかあるいは泳ぐのを止めるとテクニシャンが救い出すことを学習したせいなのかわからない。水温も影響するようだ。

そして動物の権利団体PATAがこの議論に飛び入りした。PATANIMHに強制水泳試験や類似の行動評価を従業員や研究費受託者に禁止するよう要求している

(水迷路試験はどうなんだろう)

 

-2018年の生きた動物を使った実験についての内務省年次統計への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to Home Office annual statistics of scientific procedures on living animals 2018

July 18, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-home-office-annual-statistics-of-scientific-procedures-on-living-animals-2018/

政府発表へのリンク有り、専門家のコメント略

 

-塩の摂取、公衆衛生責任協定、健康を調べた研究への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to study looking at salt intake, the Public Health Responsibility Deal, and health

July 18, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-salt-intake-the-public-health-responsibility-deal-and-health/

Journal of Epidemiology & Community Healthに発表された研究が、イングランドの食事からの塩の摂取量の削減が、2011年の英国政府による食品企業との自主的協定の導入で減速し、そのせいで2025年までに心疾患/脳卒中で26000人、胃がんで3800人が余分に死亡するだろうという。

英国心臓財団上級栄養士Tracy Parker

塩の摂取量の多さと高血圧の関連についての根拠は豊富にある。この研究は興味深いが過去のデータの観察的モデルでしかない。最近の塩の摂取量低下の速度が遅くなった理由を正確に示しているわけではない。自主的協定以降、平均塩摂取量にポジティブな変化は見られるもののまだ推奨量の16gよりはるかに多く摂っている。まだやるべきことはあり保健大臣が新しい減塩目標を導入すると約束したことは歓迎できる。しかしその新しい計画はほんとうに心血管系疾患を予防する効果を示すためにしっかりしたものでなければならない。

Queen Mary University of London心血管系医学教授Graham MacGregor教授

我々は公衆衛生責任協定が公衆衛生の惨事であることを知っている。これは効果が無く、かつて世界を主導してきた英国の減塩政策に与えた影響をこの研究は明らかにしている。保健大臣は新しい減塩計画を約束した。減塩戦略を取り戻す時である

UCL心血管系生理学と薬理学教授Alun Hughes教授

プレスリリースは論文を正確に記述している。研究の質は良く、将来の公衆衛生戦略にとって意味がある。著者が説明しているように限界はあり、主に同一人物の繰り返し測定ではないこと、サンプルサイズが比較的小さいこと、2003-2010年の間と同じ速度で減塩できるという想定などである。最後の想定はありそうにないが事実でないとも証明できない。同様に、減塩速度の低下による死亡率やコスト、健康の不平等への影響なども、ありそうな想定に基づいてはいるものの予測であり注意して取り扱うべきである。

まとめると、限界はあるもののこの研究は公衆衛生責任協定の減塩への有効性に疑問を提示する。この知見は将来の公衆衛生戦略を考えることに貢献するだろう

King’s College London栄養と食事名誉教授Tom Sanders教授

これはシミュレーションであり、いくつかの疑問のある想定をしていて、塩の摂取量の減少が少ないのにその利益が恐ろしく大きいように見える。減塩は確かに血圧を下げるが全ての人の、ではない。減塩の利益は50才以上の人とアフリカ系黒人で大きい。塩の摂取と脳卒中の関連は中国のように112g以上の塩を摂っている集団で最も明確だが現在の英国のようなもっと少ない摂取量の場合には明確ではない。パンやスープや醤油などの加工食品の減塩は塩の摂取量を減らすのに役にたつものの、料理や食卓での使い方が大きく異なるため人により塩の摂取量は大きく異なる。

さらに重要な限界は、高血圧は何十年もかかって発症し自己増幅するということである。減塩は短期的には平均血圧に小さな影響しかないが何十年にもわたると大きな影響があるかもしれない。ほとんど脳卒中は70才以上で既に高血圧の人でおこっていることから、短期的な減塩で脳卒中が大幅に減ることは期待できない。塩と胃がんの関連にも疑問がある。胃がんにはピロリ菌の感染と過剰飲酒や肥満に関連する食道への酸の逆流などのほうがおそらくより重要だろう。減塩が停滞する理由の一つは塩のない食品が美味しくない消費者が多いことと塩の食品保存における役割であろう。塩化カリウムで代用することのほうが厳しい規制より役にたつかもしれない。