2019-09-11

[EU]査察報告

-オーストリア生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質

Austria―Residues and contaminants in live animals and animal products

05/09/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4172

201931222日にオーストリアで実施した、生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質の監視や、食品生産動物の動物用医薬品の使用の、予防、除去、ヒトと動物に直接あるいは環境を通した許容量まで削減することにおける、公的管理の効果を評価するための査察。オーストリアの残留物監視の計画及び実行は効果的で、よく機能する管轄機関、信頼できる研究所ネットワーク、包括的なフォローアップ調査、食品生産動物の動物用医薬品の認可、流通、使用を統治する適切なシステムに支えられている。

 

-コロンビアツナ由来水産物

Colombia―Fishery products derived from tuna species

04/09/2019

http://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4171

201931820日と45日にコロンビアで実施した、2016年のツナの水産物査察の助言への是正処置を確認するための査察。助言の大半はほぼ、あるいは一部対処され、全体的な状況は改善された。EU適合製品と不適合製品の「分割システム」の管理の実行が不完全で、コロンビアは必要とされる基準を満たす保証を提供できていない。また、燃料で汚染されている恐れがあり、そのため食品としても飼料グレードとしてもEU輸出に適合していない副産物から生産された魚油が、EUに輸出されていた。

 

[EFSA]意見等

-ナトリウムの食事摂取基準

Dietary reference values for sodium

EFSA Journal 2019;17(9):5778  4 September 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5778

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養、新規食品、食品アレルゲン(NDA)に関するパネルは、ナトリウムの食事摂取基準(DRVs)を導出した。ナトリウムやナトリウム摂取量と健康結果との関連性に関するバランス試験の証拠、特に循環器疾患(CVD)に関するエンドポイントや骨の健康が再検討された。このデータは平均必要量(AR)や集団基準摂取量(PRI)を導出するには不十分だった。しかし、入手可能な証拠や関連する不確実性をまとめると、パネルは、ナトリウム摂取量2.0 g/日は一般的な成人集団でCVDリスクを減らす十分な確信があるナトリウム量を示すと考えた。さらに、ナトリウム摂取量2.0 g/日は、一般的な成人集団のほとんどにナトリウムバランスを維持できるようにする可能性がある。そのため、パネルは2.0 gナトリウム/日は一般的なEUの成人集団に安全で適切な摂取量だと考えた。同じ値が妊婦と授乳中の女性に適用される。子供に安全で適切だと考えられるナトリウム摂取量は成人の値から外挿され、成長要因を含み、それぞれのエネルギー必要量に合わせて、13歳児に1.1 g/日、46歳児に1.3 g/日、710歳児に1.7 g/日、1117歳児に2.0 g/日とした。711か月の乳児には、もっぱら母乳を与えられる06か月の乳児の推定ナトリウム摂取量の上向きの外挿に基づいて、0.2 g/日の目安量が提案された。

 

-塩化物の食事摂取基準

Dietary reference values for chloride

EFSA Journal 2019;17(9):5779  4 September 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5779

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養、新規食品、食品アレルゲン(NDA)に関するパネルは、塩化物の食事摂取基準(DRVs)を導出した。塩化物状態の適切なバイオマーカーや、塩化物のDRVs設定に利用できる塩化物の摂取と健康結果との関連性に関するバランス試験及び十分な証拠はない。体内のナトリウムと塩化物のバランスには密接な関係がある。塩化ナトリウムは欧州人の食事の両方の電解質の主な供給源で、ナトリウムと塩化物の類似した尿中排泄量(モル基準で)が、西側の集団で典型的に観察されている。そのため、パネルは塩化物の参照値が全人口集団のナトリウムの参照値と等モル値で設定できると考え、13歳児に1.7 g/日、46歳児に2.0 g/日、710歳児に2.6 g/日、1117歳児に3.1 g/日、妊婦と授乳中の女性を含む成人に3.1 g/日とした。塩化物の主な食事摂取源が塩化ナトリウムであることを考慮すると、ナトリウムの参照値と一致して、これらの塩化物摂取量は安全で一般的なEU人に適切だと考えられる。711か月の乳児には、目安量0.3 g/日が設定された。

 

-ナトリウムと塩化物の食事摂取基準に関するEFSAの栄養、新規食品及び食品アレルゲン(NDA)に関するパネルの科学的意見についてのパブリックコメント募集結果

Outcome of public consultations on the Scientific Opinions of the EFSA Panel on Nutrition, Novel Foods and Food Allergens (NDA) on Dietary Reference Values for sodium and chloride

4 September 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1679

NDAパネルは受け取ったコメントを検討してナトリウムのDRVsの科学的意見の更新版を作成した。この科学的意見は201973日のNDA本会議で採択され、EFSA Journalで発表された。

 

[WHO]自殺:40秒に1人死ぬ

Suicide: one person dies every 40 seconds

9 September 2019

https://www.who.int/news-room/detail/09-09-2019-suicide-one-person-dies-every-40-seconds

一部の国では自殺予防活動に進歩がみられるが、もっと必要

 

[USDA]食品廃棄の心理学:Brian Roe Laura Morenoのインタビュー

The Psychology of Food Waste: An Interview with Brian Roe and Laura Moreno

Posted by Jimmy Nguyen, Program Analyst, USDA Food and Nutrition Service in Initiatives

Sep 09, 2019

https://www.usda.gov/media/blog/2019/09/09/psychology-food-waste-interview-brian-roe-and-laura-moreno

食品廃棄の背景にある心理はどんなものでどうすれば行動を変えられる?このインタビューではオハイオ州立大学の食品廃棄共同計画のBrian Roe教授とカリフォルニア大学で食品廃棄研究で学位を得たLaura Morenoの知見を取り上げる

 

[FTC]FTCCBD含有製品をがんやアルツハイマー、多発性硬化症などの重大な疾患の治療用に宣伝していた企業に警告文書を送付

FTC Sends Warning Letters to Companies Advertising Their CBD-Infused Products as Treatments for Serious Diseases, Including Cancer, Alzheimer’s, and Multiple Sclerosis

September 10, 2019

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2019/09/ftc-sends-warning-letters-companies-advertising-their-cbd-infused

カンナビジオールを含むオイル、チンキ、カプセル、グミ、クリームなどを売っている3つの企業に警告

 

-消費者向けブログ

CBD製品の重大な健康強調表示には証明が必要

Serious health claims for CBD products need proof

September 10, 2019 by Bridget Small

https://www.consumer.ftc.gov/blog/2019/09/serious-health-claims-cbd-products-need-proof

 

-事業者向けブログ

CBDに健康強調表示をする?発信前に注意

Making CBD health claims? Careful Before Disseminating

By: Lesley Fair

https://www.ftc.gov/news-events/blogs/business-blog/2019/09/making-cbd-health-claims-careful-disseminating

FDAFTCが警告文書を送っても消費者は騙され続ける。本当にそれが対応?というコメントがついている。実際悪徳業者は警告も罰金も苦にしないので、消費者が賢くなるしかない)

 

論文

-世界最大の根拠のレビュー:精神衛生のための栄養サプリメント

World's largest evidence review: Nutritional supplements for mental health

9-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/nhri-wle090619.php

World Psychiatryに新しい国際的研究が発表された

33RCTのメタ解析。鬱、ストレスや不安障害、双極性疾患、パーソナリティ障害、統合失調症、注意欠陥/多動疾患を含む。ほとんどの栄養サプリメントで精神衛生を有意に改善しなかったがある種のサプリメントは通常の医療のサポートに有効であるという根拠を発見した。最も強い根拠があったのはオメガ3サプリメントを大鬱の補助治療に使うこと。

ビタミン類やミネラル類にはどんな疾患にも使用を支持する根拠はない。

 

-研究は背の低い人は2型糖尿病リスクが高いことを示す

Study shows shorter people are at higher risk of type 2 diabetes

9-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/d-sss090619.php

Diabetologiaに発表された新しい研究によると身長の10cmの違いは男性で41%女性で33%のリスク減少に関連する。背が低い人のほうが肝脂肪含量が多いことによる可能性があると著者らは言う。EPICデータを使った研究。

 

-ヒ素基準厳格化は望ましい影響を示した:公共飲料水はより安全になった

Tougher arsenic standard shows desired effect: Public's drinking water is safer

10-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/osu-tas090619.php

2001年に公共水の連邦ヒ素基準が50ppmから10ppmに引き下げられた(2006年発効)。基準が厳しくなったにも関わらず、基準違反は2008年の1.3%から2017年の0.55%に下がった。Environmental Science and Technology

 

-日系アメリカ人の糖尿病が約二倍

Diabetes nearly double for Japanese-Americans

10-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/uot-dnd090919.php

カリフォルニアに住む肥満ではない日系アメリカ人と、肥満ではない非ヒスパニック白人成人を比較した研究。Advances in Preventive Medicine 。糖尿病の有病率は8.0% vs. 4.5%。最も強いリスク要因は年齢。

 

-幼児期の食糧不足は健康状態の悪さとは関連するが肥満とは関連しない

Food insecurity in toddler years linked to poor health, but not obesity

10-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/uoms-fii090919.php

Pediatricsに発表された米国の低所得家計を調べた研究

 

-小児がんの世界疾病負担:増加しているがコントロール可能

Global burden of childhood cancer: growing, but controllable

Charles A Stiller

The Lancet Oncology Volume 20, ISSUE 9, P1184-1185, September 01, 2019

https://www.thelancet.com/journals/lanonc/article/PIIS1470-2045(19)30424-3/fulltext

2017年の世界の小児および若年がんの疾病負担:2017世界疾病負担研究の解析

The global burden of childhood and adolescent cancer in 2017: an analysis of the Global Burden of Disease Study 2017

GBD 2017 Childhood Cancer Collaborators

Volume 20, Issue 9, September 2019, Pages 1211-1225

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1470204519303390?via%3Dihub

コメント及び本文オープンアクセス

 

その他

-米国EPA2035年までに全ての動物実験を排除する

Scienceニュース

U.S. EPA to eliminate all mammal testing by 2035

By David GrimmSep. 10, 2019

https://www.sciencemag.org/news/2019/09/us-epa-eliminate-all-mammal-testing-2035

本日EPA2035年までにほ乳類での試験の実施や資金提供を止めると発表した。この動きは、既に動物実験反対支持団体に強い反応を惹起しているが、EPAを動物実験の段階的廃止に確実な期限を設けた最初の連邦機関にする。

ワシントンの動物活動家団体White Coat Waste Projectの副会長Justin Goodmanはこの決定を「納税者と動物と環境の勝利」と言うが環境団体NRDCの上級科学者Jennifer Sassは「危険な可能性のある化合物を環境や消費者製品に認めることになり極めて残念で苛立たしい」という

EPA長官Andrew Wheelerの発表によると「動物での試験はお金と時間がかかり」、科学の進歩で動物実験をしなくても化学物質を評価できるようになった。EPA2025年までに動物実験を30%減らし2035年には全ての動物実験を排除する。また同時に動物を使わない代替法の開発に425万ドルを出資する。

記者会見でWheelerはこの方針のシフトへの化学企業の影響を否定した。そうではなく、動物を愛する彼の母親と、動物学者と獣医の姉妹の影響だという。またEPAは最近動物愛護団体のPETAとチームを作り、PETAの代表、White Coat Waste Project、米国動物愛護協会が記者会見に同席した。

Jennifer Sassはたとえ動物を使わない代替モデルの科学が大きく進歩しても、まだ本物とは合致しない、という。自己免疫疾患のような病気をおこす化合物の影響を見るには、培養皿の中の数個の細胞やコンピュータ上での計算だけではなく免疫系全体への影響を見る必要がある。そして鉛による学習障害のような影響は動物実験無しでは検出できなかっただろう。

(動物愛護過激派とヒト健康保護過激派が対立する図は珍しい。)

 

Efforts to Reduce Animal Testing at EPA

September 10, 2019

https://www.epa.gov/environmental-topics/efforts-reduce-animal-testing-epa

 

-登録報告の次は?

Natureニュース

What’s next for Registered Reports?

10 September 2019

Chris Chambers

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02674-6

結果が出る前に研究計画をレビューし受理するのは結果の歪曲に対抗できることがわかっている。Chris Chambersが改善のための3つの方法を提示する

研究者がコントロールできないままにしておく必要がある研究の部分はどこだろうか-仮説、方法、結果、ディスカッション?答えはもちろん結果だがそれこそが有名雑誌に載り研究者としてのキャリアを築くのに最も重要になる。そのことが結果をできるだけ目立つように歪曲する可能性につながり十分吟味する必要を意味する。ネガティブな結果は発表されず、そのせいで他の研究者がよけいな研究をすることにもつながる。我々はそれを変える必要がある

以下事前登録報告Registered Reportの解説

 

-免疫細胞パイオニアが高名なラスカー賞を受賞

Natureニュース

Immune-cell pioneers win prestigious Lasker medical award

10 September 2019 Ewen Callaway

https://www.nature.com/articles/d41586-019-02710-5

T細胞とB細胞を発見したJacques Miller Max Cooperが基礎研究に与えられる賞を分け合う

1950年代から60年代の研究

 

-加工食品について、みんな落ち着いて。

Let's All Just Chill About Processed Foods

09.09.2019 Matt Simon

https://www.wired.com/story/processed-foods/

加工食品は悪い、ほんとに?それなら超加工された植物ベースの肉は恐ろしい?どちらもちょっと待って。

私達は先祖が食品を加工する方法を学習したおかげで今生きている。肉を調理しパンを作り、さらに重要なのはビールを造ったおかげで脳が発達し腸が変わってきた。しかし「加工食品」という単語が今や新しい恐怖となった。例えばImpossible Burgerは挽肉を再現しようと加工に加工を重ねているがそれを加工しすぎと言う人達もいる。

しかし加工食品について事実を確認しよう。ひとつは加工イコール不健康ではない。二つめは加工により食品を保存し捨てずにすむ。三つ目は人口が増え土地が足りなくなると新しい食料源を作る必要がある、特にタンパク質。

加工食品の混乱の核心は定義である。食品技術研究所によると洗ったり混ぜたり冷やしたりすることから照射や電子レンジまで全て加工である。つまりあなたが口に入れるものはほぼ全てが加工食品である。

(以下Impossible Burgerの考察等略。)

 

-メキシコから輸入された汚染スキンクリームがカリフォルニア北部の女性を半昏睡状態にし、健康警告が出される

Tainted Skin Cream Imported From Mexico Leaves NorCal Woman in Semi-Comatose State, Prompts Health Warning

September 10, 2019 

https://ktla.com/2019/09/10/tainted-skin-cream-imported-from-mexico-leaves-norcal-woman-in-semi-comatose-state-prompts-health-warning/

Pond’sと表示されたクリームはメチル水銀汚染があった。当局によると水銀は製造業者が加えたのではなく購入後別の人達が入れた。

Tainted Skin Cream Results in Mercury Poisoning  9/10/2019

https://www.saccounty.net/news/latest-news/Pages/Tainted-Skin-Cream-Results-in-Mercury-Poisoning.aspx

カリフォルニアでは過去9年で、外国のブランドの、表示されていないあるいは自家製皮膚クリームに関連する60以上の中毒が報告されている

 

-スーパーマーケットで販売されている完全菜食主義者向け製品には不健康な量の塩が含まれる

Vegan products sold in supermarkets loaded with unhealthy amounts of salt

Wed 11 Sep 2019

https://www.theguardian.com/australia-news/2019/sep/11/vegan-products-sold-in-supermarkets-loaded-with-unhealthy-amounts-of-salt

オーストラリアの菜食主義者用の「肉代用品」(肉を使っていないベーコンやソーセージなど)は塩が多い