2019-09-30

[EFSA]EFSA NEWS

パブリックコメント募集:農薬の累積リスク評価

Public consultation: cumulative risk assessment of pesticides

17 September 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/public-consultation-cumulative-risk-assessment-pesticides

EFSAは食品中の複数の農薬の残留物がヒトに引き起こすリスクのパイロット評価についてパブリックコメントを募集している。

利害関係者は、1つは甲状腺システムに関する慢性影響を検討し、もう1つは神経系に関する急性影響を考察する2つの評価についてのコメントを1115日までに提出する必要がある。

この評価案はEFSAとオランダ国立公衆衛生環境研究所(RIVM)との複数年に渡る協力の集大成である。

両方の評価の全体的な結論案は、食事累積暴露による消費者リスクは対象となる全ての人口グループの規制措置を引き起こす閾値未満である。

このパブリックコメント募集に寄与したい関係者を支援するために、EFSAはブリュッセルで、EFSAの科学者と外部の専門家が主な要素やパイロット評価の知見を提示し議論する特別会合を開く。現在このイベントの登録が開始されている。

背景

この評価で検討される物質は、農薬を分類するために特別に考案された方法論「累積評価グループ」(CAGs)を用いてEFSAの農薬の専門家によって同定された。この方法論は同じ特定の影響を引き起こす農薬は累積毒性を生じることがあるという仮定に基づいている。

食品中の農薬の最大量(MRLs)に関するEU規則は、そのような影響を評価する方法が得られるようになったら、MRLsの決定は農薬の累積効果を考慮する必要があると規定している。さらに、市販される農薬を対象とする規制は、農薬は累積影響も含めてヒトに有害影響があってはならないと規定している。

さらなる情報はFAQを参照のこと。

(あとで)

 

[EU]RASFF Week39-2019

警報通知(Alert Notifications

インド産飼料用ヒエの禁止物質DDT (0.62 mg/kg)、トルコ産オレガノのピロリジジンアルカロイド(22167.4 mg/kg)(注:記載通りだがµg/kgの間違いではないかと思う)、ギリシャ産赤い生食用ブドウのエテホン(2.1 mg/kg)、ドイツ産イヌ用完全飼料の鉛(32.54 mg/kg)、中国産ベルギー経由ナイロン製台所用品からの一級芳香族アミンの溶出(アニリン: 943; 4,4'MDA: 40000 µg/kg)

注意喚起情報(information for attention

中国産竹製マグからのホルムアルデヒドの溶出(最大 207.8 mg/kg)、スペイン産チルドキハダマグロロインの水銀(1.39 mg/kg)、トルコ産飼料用酸化亜鉛のヒ素(132 mg/kg)、エジプト産カブの酢漬けの未承認着色料ローダミンB (7.6 mg/kg)、イタリア産生きたイガイの下痢性貝毒(DSP)オカダ酸( >320 µg/kg)、ベトナム産冷凍カイヤンステーキの未承認物質オフロキサシン(1.19; 1.42 µg/kg)

フォローアップ用情報(information for follow-up

スペイン産飼料用魚肉のカドミウム(3.20 mg/kg)及び水銀(1.42 mg/kg)、オランダ産CBD含有製品の未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、フランス産飼料用ヒマワリの種子のアフラトキシン(B1 = 34.7 µg/kg)

通関拒否通知(Border Rejections

トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(B1 = 32.43; Tot. = 58.86 µg/kg)、トルコ産パプリカのホルメタネート(0.085 mg/kg)、米国産殻をとったピーナッツのアフラトキシン(B1 = 22.1 µg/kg)、トルコ産パプリカ(carliston)の未承認物質カルベンダジム(0.367 mg/kg)、イラン産トルコから発送したピスタチオのアフラトキシン(Tot. = >24 µg/kg)、中国産乾燥レーズンのオクラトキシンA (21.91 µg/kg)、トルコ産乾燥アプリコットの亜硫酸塩高含有(2190 mg/kg)、米国産飼料用ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 33.6 µg/kg)、中国産電気フライヤーグリルからの鉄の溶出(98.3 mg/kg)及び高濃度の総溶出量(69 mg/dm²)、アルゼンチン産茹でピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1 = 2.4 µg/kg)、トルコ産ペッパーのホルメタネート(0.182 mg/kg)、トルコ産ビターアプリコットカーネルのシアン化物高含有(270 mg/kg)、米国産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 7.3 µg/kg)、ベトナム産香港から発送した冷凍パン粉をまぶしたバナメイエビの未承認成分(エゴマ)、ボリビア産ブラジルナッツのアフラトキシン(B1 = 8.44; Tot. = 11 µg/kg)、中国産トルコから発送した食品と接触する物質(steel AISI 201)として使用に適さないトースター、トルコ産ザクロのアセタミプリド(0.104 mg/kg)

 

[FSAI] CBDオイルと大麻オイル-法的地位

CBD Oils and Hemp Oils - Legal Status

23/9/2019

https://www.fsai.ie/faq/cbd_oils_and_hemp_oils_legal_status.html

移行措置は、非水性抽出で製造したCBD製品も適用になるのかと、THCが食品で使用可能かに関しての情報追加。

(食品にはTHCを含んではならない)

 

[FSAI]寿司の製造販売は懸念-監査結果発表

Sushi Production and Outlets Cause for Concern - Audit Published

Thursday, 26 September 2019

https://www.fsai.ie/news_centre/press_releases/sushi_audit_26092019.html

FSAIは本日アイルランドの寿司の製造販売の法令違反は許容できないレベルであることを示した監査結果報告書を発表した

(微生物の話なのだが面白い。例えば寄生虫管理のために魚を冷凍する決まりを75%が守っていない、とか。寿司はハイリスク食品なので安全のためのきまりがいろいろある、それを厳密に守っていない日本の店もかなりあるだろう。和食の評判をあげたいならこういうところをちゃんとやらないと)

 

-魚の寄生虫

Fish Parasites

25/9/2019

https://www.fsai.ie/faq/fish_parasites.html

魚介類に関する寄生虫についての情報更新。

 

-スシの安全な製造

Safe Production of Sushi

26/9/2019

https://www.fsai.ie/faq/safe_production_sushi.html

新規追加。スシ製造に関する安全情報。

 

[FDA] 食品同定基準の現代化に対するホライズン・アプローチに関する公聴会でのDr. Susan Mayneの発言

Remarks by Dr. Susan Mayne at the Public Meeting on Horizontal Approaches to Food Standards of Identity Modernization

September 27, 2019

https://www.fda.gov/news-events/speeches-fda-officials/remarks-dr-susan-mayne-public-meeting-horizontal-approaches-food-standards-identity-modernization

FDA は次のようなやり方で、食品の同定基準プログラムの近代化を模索している:

・経済目的の異物混入から消費者を保護

・食品の基本的な特性、必須の特徴、栄養学的な完全性を維持

・製造業者がより健康的な食品を製造するよう促すため、産業革新の推奨と融通性の提供

 

[RIVM]オランダの環境中GenX物質:2013-2018測定データ

GenX substances in the environment in the Netherlands : Measurement data 2013-2018

25-09-2019

https://www.rivm.nl/publicaties/verspreiding-van-genx-stoffen-in-milieu-metingen-in-nederland-2013-2018

フルオロポリマー。オランダ語。要約のみ英語

 

[CDC]THC製品が電子タバコ使用に関連する肺疾患アウトブレイクに関与しているかもしれない

THC Products May Play a Role in Outbreak of Lung Injury Associated with E-cigarette Use, or Vaping

Friday, September 27, 2019

https://www.cdc.gov/media/releases/2019/p0927-thc-vaping.html

調査は進行中、全ての事例に関連する単一製品はないが、パターンは見えてきた

77%THC含有製品を使っていた

 

[ProMED]電子タバコ関連疾患-北米(第一報):カナダ、米国、CDC更新

Vaping-related illness - North America (01): Canada, USA, CDC updates

2019-09-28

http://www.promedmail.org/post/6699608

(北米更新でまとめて「第一報」。電子タバコの呼吸器疾患のニュースはこれまでも取り上げられている)

[1] カナダ(ケベック)で症例が報告される 50代の男性、高校生

[2] CDCアウトブレイクの概要 (USA) - MMWR

[3] 米国での製品使用状況調査 (Illinois, Wisconsin) - MMWR

[4] CDC記者会見とメディア報道 CDCが初めてTHCとの関連を疑っていると言う

最も多いブランドが"Dank Vapes"

 

[ProMED]鉛中毒-米国:(ニューヨーク)ウシ、ヒト

Lead poisoning - USA: (NY) cattle, human

2019-09-27

http://www.promedmail.org/post/20190927.6696894

Date: Wed 25 Sep 2019 Source: JAVMA News [edited]

乳牛や肉牛が環境あるいは飼料から鉛を摂取することがある。それがミルクや内臓肉を汚染することがある。ニューヨーク州動物健康診断ラボの診断毒性学者Karyn Bischoff博士はワシントンでこの8月に開催されたAVMA学会で、古い塗料や壊れたバッテリーなどのウシの鉛汚染源とヒトリスクについて説明した。CDCによると血中鉛の安全な濃度は同定されていない。鉛中毒の神経や消化管症状は明確ではなくしばしば見逃されている。

Bischoff博士の経験したある事例では、乳牛が餌として与えられたサイレージトウモロコシの茎に埋まっていた鉛の銃弾で鉛暴露しそのウシのミルクに鉛汚染が生じた。別の農家では古い1920年代の小屋の鉛入り塗料をオーナーが強力な洗浄機で洗い、鉛を含むダストが拡散してウシが中毒になった。別の農場ではウシがゴミの山のバッテリーを踏んで開けて中の鉛のプレートを舐めた、など。鉛含有ミルクは通常薄められるがBischoff博士はどんな量の鉛でも子どもには有害だとCDCが言っていると注記する。またウシの鉛中毒が人間の鉛暴露の歩哨になる場合もある。ある牧場では牛の鉛濃度の上昇が発見されたことで妊婦を含む家族の鉛暴露が発見された。牛小屋と自宅に鉛塗料が使われていた。

 

-鉛中毒-米国(第2報):(ニューヨーク)ウシ、ヒト

Lead poisoning - USA (02): (NY) cattle, human

2019-09-28

http://www.promedmail.org/post/6699654

Date: Sat 28 Sep 2019 From: Kary Bischoff [edited] via Mod.TG

927日にAVMAニュースの鉛中毒をProMEDで取り上げたがそれは20198月のAVMA学会での1時間にわたる発表をもとにしたものである。その発表は複数の論文と15年のニューヨーク州動物健康診断ラボでの分析結果に基づく。ニュースは省略してあるので追加情報をAVMAニュースから追加する。

ウシの群れの大きさは肉牛が4-22頭、乳牛が24-150頭である。牛乳の場合、多くのウシのミルクを集めたバルクタンクの鉛濃度は約0.1 mg/Lであるが個々のウシを測定すると一部は5倍高濃度だった。通常複数の農家からバルクタンクのミルクを集荷して混合するので市販のミルクの鉛濃度が高くなることはあまりない。しかし地域の小規模の酪農家から直接ミルクを買って子どもに飲ませる場合には問題になる。古い田舎の家で趣味の酪農をしていた場合に塗料の鉛由来で中毒になった事例がある。しかし当時胎内にいた少女は数年前に合ったときに高校を成績優秀で卒業した。

最も重要なことは、鉛に暴露されたウシに中毒の症状はみられない、ということである

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 96–19              

30 September 2019

http://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular9619.aspx

・認可とフォーラム通知

加工助剤としてのBacillus licheniformis由来プルラナーゼ、テキーラの最小アルコール濃度削減、フォローアップミルクの最小タンパク質

 

 

論文

-研究はフランスの食品添加物禁止は時期尚早である可能性を示唆

Study suggests French ban on food additive may be premature

26-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/msu-ssf092619.php

ミシガン州立大学とネブラスカ大学医学センターの研究者らがフランス政府の資金提供による二酸化チタンがラットの消化管に炎症と病変を誘発するという研究を否定した。

Food and Chemical Toxicologyに発表された研究ではフランスの結果は再現できず、健康への悪影響は確認されなかった。フランスの研究の最大の欠点はヒトの摂取方法と違う飲料水で投与したことで、この研究では食品を介して投与した。二酸化チタンは水に溶けないので飲料水中に砂のように沈降する。さらにフランスの研究では二酸化チタン投与前に強力な遺伝毒性物質であるジメチルヒドラジン(DMH)で前処理していてそれに対する対照群がないため単純にDMHの影響をみているだけである可能性がある。

 

-研究がコツェブー湾の魚の水銀量は安全であると発見

Study finds safe mercury levels in Kotzebue Sound fish

27-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/uoaf-sfs092719.php

Alaska Fairbanks大学が297の生活に必要な魚を検査したところ安全な量だった。地元住民が最近Red Dog 鉱山からの廃水を原因に水銀濃度を懸念していた。15年前と比べても水銀濃度は増加していない。Environmental Research

 

-研究が高齢者の飲酒と認知症リスクを調べる

Study examines alcohol consumption, risk of dementia in older adults

27-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/jn-sea092419.php

72才以上の3021人を約6年フォローアップした研究。JAMA Network Open。飲酒と認知機能低下の関連は研究開始時に軽度認知機能低下(MCI)があったどうかで変わる。最も大きく低下したのはMCIがあって週に14単位以上飲む人達。

 

-食卓塩にはタバコのような健康警告をすべき、と専門家が言う

Salt shakers should carry tobacco-style health warning, say experts

27-Sep-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-09/gifg-sss092619.php

Journal of Clinical Hypertensionに発表された意見表明で、世界高血圧同盟と主導的健康団体はスーパーマーケットで販売されている塩とレストランのソルトシェーカーには包装表面にタバコのような健康警告をすべき、という。減塩には今やもっと厳しい対応が必要。

提案している文言は「塩のとりすぎは血圧を上げる原因となり胃がんを促進する。使う量を制限せよ」

 

その他

-トルコの科学者が環境研究を発表したことで15か月の刑

Scienceニュース

Turkish scientist gets 15-month sentence for publishing environmental study

By Kristen McTighe Sep. 27, 2019 ,

https://www.sciencemag.org/news/2019/09/turkish-scientist-gets-15-month-sentence-publishing-environmental-study

トルコの食品技術者で人権活動家Bülent Şıkがトルコ西部のがんと有害汚染物質を結びつけた研究結果を発表して15か月の拘留判決を受けた。Bülent ŞıkAkdeniz大学の食品安全農業研究センターのもと副所長で、20184月にトルコの新聞に4部作からなる結果を公表した後極秘情報を暴露したことで有罪となった。彼を弁護したCan Atalayは「Bülent Şıkは市民と科学者としての義務を果たし、表現の自由権を行使した」と述べた。

問題の研究はトルコの保健省が委託したもので、土壌や水、食品の汚染とトルコ西部のがんの多さに関連があるかどうかを調べるものだった。5年の研究を経て、Bülent Şıkらのチームはトルコ西部のいくつかの地方で複数の食品や水に危険な量の農薬、重金属、多環芳香族炭化水素を発見した。またいくつかの地域の水には鉛、カドミウム、クロム、ヒ素汚染があって飲用に適さないことがわかった。2015年にこの研究が終わって、Şıkは研究成果の議論の中で、政府に対応するよう強く求めた。しかし3年経って対応が行われなかったためイスタンブールの新聞Cumhuriyetに知見を発表することにした。(Bülent Şıkの兄弟のAhmet Şıkは議会の野党議員でCumhuriyetのもと記者で政府を批判したことで実刑を受けた経験がある)

この事例で最も特徴的なことは保健省がBülent Şıkの公表内容が事実でないとは主張していないことである、とトルコでキャンペーンをしているアムネスティインターナショナルのMilena Buyumは言う。Buyumは政府がこの情報を秘密扱いしたということは健康に実害があることを示唆する、という。

Bülent Şık2016年にトルコ軍とクルド過激派の和平を求める請願に署名して大学の職を失っている。控訴はできる

(どんな値がでているのか知りたいところだけれどこの人が著者の科学論文がほとんどみつからない。)

 

-製品レビュー コラーゲンサプリメントレビュー

コンシューマーラボ

Collagen Supplements Review

9/28/19

https://www.consumerlab.com/reviews/Collagen_Supplements_Review_Peptides_Hydrolysate/collagen/

カドミウム汚染と判断されたものが1

 

-Science 27 September 2019Vol 365, Issue 6460

特集は遺伝型から表現型へ

Genotype to Phenotype

ヒトゲノムの操作に関して

 

-エディトリアル:緊急性を伝えるために飛行機に乗るのを減らそう

Fly less to convey urgency

Peter Kalmus

Science  27 Sep 2019: Vol. 365, Issue 6460, pp. 1355

先週国連気候サミットがニューヨークで開催される前日、世界中の学生がこの最大の人道的脅威への不対応に抗議した。気候変動はデータや洗練された解析やモデル無しには完全に理解できない。それは公衆や政治家にとって理解するのは困難なのは理解できる。そのため科学者は人々に警告する倫理的責任がある。理想的世界ではその警告はIPCC報告書のような科学報告でできる。しかし1990年から発表されているこの報告は意味のある行動につながらなかった。気候の危機がますます激しくなり、科学者は社会を説得するのに他の方法を探している。

私個人の科学者としての経験だが、コミュニケーションの成功には事実と情動と個人の行動が必要である。科学者が科学の言葉で事実しか語らないとそのメッセージが届くのは他の科学者に、である。科学的訓練を受けていない人々は科学者を信頼するために情動的きっかけと理由が必要で、それがないと科学者の懸念レベルが過小評価される。

2010年に私は5万マイルほど飛行機で移動しほとんどが学会だった。私の炭素排出量を計算したら全体の3/4が飛行機だった。それから2年、私は飛行機を減らした。全ての科学者が飛行機を止めることはできないだろうが、科学コミュニティは飛行機を使って移動して合うことの代用を探す時期である。オンラインやVR技術がある。それは低所得国や学生の参加を促し社会へのメッセージにもなるだろう。

 

-ニュースを一目で

News at a glance

Science  27 Sep 2019:Vol. 365, Issue 6460, pp. 1356-1358

大使の病気が殺虫剤と関連

キューバで大使が謎の病気になった原因は超音波兵器ではなく殺虫剤だろうと先週研究者が言った。カナダのDalhousie大学の研究チームが25人のハバナで働いた大使館職員の調査をして、脳の病変は神経毒暴露と一致し、血清から微量のピレスロイドや有機リンが検出されたという。2016年からキューバではジカウイルス対策として頻繁に薫蒸を行っている。大使館の記録では症状が重い人と薫蒸の多さに関連がある。キューバはカナダからの共同でのフォローアップ調査に合意した。

 

-科学者がシリアのサリン攻撃論文を巡って衝突

Scientists clash over paper on Syrian sarin attack

Kai Kupferschmidt

Science  27 Sep 2019:Vol. 365, Issue 6460, pp. 1362

2017年の44日の化学兵器攻撃でシリアのKhan Shaykhunの町で80人以上が死亡し、その後トランプ大統領がシリアの空軍基地を爆撃し米国のインテリジェンス機関はシリア政府が神経ガスサリンを積んだ爆弾を落とした明確な根拠があると言った。その後国連と化学兵器禁止機関の合同調査が行われた。

その結論に異議を唱える論文が現在過熱した議論を引き起こしている。今週までその論文はScience & Global Security (SGS)に発表される予定だったがエディターが激しい批判を受けて発表を一時中止した

 

-キノコの季節、でも毒キノコには気をつけて

Gallery: It's mushroom season but beware poisonous fungi

27.09.2019

https://news.err.ee/986189/gallery-it-s-mushroom-season-but-beware-poisonous-fungi

エストニア全土で、森は食用と有毒の両方のキノコに溢れている。これまでのところ中毒センターは今年少なくとも24のキノコ関連重症事故の相談を受けている

国立自然史博物館のキノコ展示キュレーターで植物学者のMarja-Liisa Kämäräは水曜日にキノコを見分けるのはとても難しいと述べた

(英語のエストニアのニュースって珍しいと思って。リンク先は全く読めないんだが)

 

-アルコールと認知症および認知機能低下を調べた研究への専門家の反応

SMC UK

expert reaction to study looking at alcohol and risk of dementia and cognitive decline

September 27, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-alcohol-and-risk-of-dementia-and-cognitive-decline/

JAMA Network Openに発表された研究が、ゼロではなくほどほど飲酒が認知症発症リスクを減らすことと関連すると報告

UCL上級統計学者Graham Wheeler博士

この研究結果は飲酒が認知症リスクを減らすことを決定的に示したわけではない。週に7-14杯飲むヒトと比べて週に最大1杯飲むヒトの認知症発症リスクが平均37%低いと推定しているがこれは6%増加から62%減少の間のどこかである。MCIのヒトでは根拠はほとんど無い。飲酒は自己申告であり信頼できるものではないだろう。さらに飲酒はビール・ワイン・リキュールを考えて測定しているが、飲み物の種類によるアルコール含量の違いは考慮されていない

アルツハイマー研究UK研究部長Sara Imarisio博士

大量飲酒と認知症リスクに関連があることはよくわかっているが、ほどほど飲酒が全く飲まない場合と比べて脳の健康に影響があるかどうかは難しい。一部の禁酒者はかつて大量飲酒していた可能性があり、そのことが関連をわかりにくくする。この研究は高齢になってからの飲酒しか調べていない。研究では中年時の飲酒が将来の認知症リスクに与える影響が最も大きいことが示唆されている。飲酒量に気をつける理由はたくさんある。現在の飲酒ガイドラインは男女とも週に14ユニットを超えないこと、である