[NHS]医療用大麻が精神疾患に役立つというエビデンスはない
No evidence that medical cannabis helps mental health conditions
Tuesday 29 October 2019
医療用大麻を使用した精神疾患治療に関する研究の発表について、「メンタルヘルス治療のための大麻使用のリスクは利点を上回る」とGuardianは報道する。
医療用大麻は慢性的な痛み、てんかん及び抑鬱や不安症のような特定の精神疾患を含め様々な症状を治療するための使用が増えつつある。最近、これらの医薬品入手の困難さについて多くのメディアが報道している。
今回、大規模なレビューにより、精神疾患を治療するための医療用大麻の使用に対するエビデンスを調査した。研究者はレビューした83件の研究の多くが小規模で低品質であったと述べた。
研究者は、医療用大麻が抑鬱、精神病、注意欠陥障害(ADHD)、心的外傷後ストレス障害(PTSD)あるいはトゥレット・シンドロームの症状を改善するエビデンスを発見しなかった。いくつかの試験で、不安症状の少しの改善が見られたが、エビデンスの質は非常に低いものであった。
医療用大麻の使用は、精神疾患の症状の悪化を含め、副作用との関連があった。
精神疾患を治療するための医療用大麻の使用を裏付ける十分なエビデンスは現在のところない。さらに高品質の研究が必要である。
「ストリート大麻」―特に大麻の一種で非常に強力なスカンク―の定期的な使用は統合失調症のような精神病を発症するリスクを増加させる可能性があることが確実にわかっている。大麻に関しての詳細は以下。(https://www.nhs.uk/live-well/healthy-body/cannabis-the-facts/)
[EU]EUニュースレター
Health and Food Safety Edition 54 - October 2019
岡山でのG20保健大臣会合、AMR、動物福祉プラットフォーム会合、世界食糧デー、食品廃棄など
[HK]包装冷蔵鶏肉のサンプルに動物用医薬品残留が検出された
Prepackaged chilled chicken sample found to contain veterinary drug residue
Monday, October 28, 2019
https://www.cfs.gov.hk/english/press/20191028_7667.html
食品安全センター及び食物環境衛生署は、中国本土の包装冷蔵鶏肉サンプルに動物用医薬品ドキシサイクリンの残留190ppbが検出されたと発表した。
[TGA]オーストラリアにおける医療用大麻規則の紹介
Introduction to medicinal cannabis regulation in Australia
29 October 2019
https://www.tga.gov.au/blogs/tga-topics/introduction-medicinal-cannabis-regulation-australia
医薬品としての大麻(cannabis)のエビデンス、医師の適切な患者への提供の仕方に関して。
[ヘルスカナダ] 情報更新:ハロウィンを安全に
Staying Safe on Halloween
October 29, 2019
https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/71453a-eng.php
ハロウィンにおける安全上の注意喚起。
[FDA] 消費者情報。抗菌剤耐性との闘い
Combating Antibiotic Resistance
10/29/2019
https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/combating-antibiotic-resistance
抗菌剤耐性の情報とFDAが抗菌剤耐性に対応するために行っていることについて。
[CPSC]ハロウィンに怪我でびっくりしないように;子供たちを害から保護するためのCPSCのコツ
Don’t Be Spooked by Injuries This Halloween; Follow CPSC’s Tips to Protect Children from Harm
October 24, 2019
2018年10-11月に、病院で治療したハロウィーン関連傷害は4500と推定される。
44%がかぼちゃを彫るとき、25%は飾り付けの時の転落や歩いているときに衣装がひっかかる
(かぼちゃって何であんなに堅いんだろう)
[ASA]ASA裁定
-ASA Ruling on Protein Revolution Ltd
23 October 2019
https://www.asa.org.uk/rulings/protein-revolution-ltd-A19-564759.html
Georgia Harrison(TVパーソナリティー)のインスタグラムの投稿でv24グミが減量に役立つ、グルコマンナンで空腹にならない等宣伝。認可されている健康強調表示と同じ意味でなければならないが確認できない(一回量あたりグルコマンナン1g以上、窒息リスクに関する警告等条件がある)。さらにこの宣伝と同時に投稿されているGeorgia Harrisonの写真がウエストを細く見せるよう加工されているようで実際の彼女と違う。このようなやり方は極めて無責任で広告基準違反。
(細かく見てるんだな。インスタの写真が実物と違うって公的に指摘されるってどうよ)
-ASA Ruling on Marlow Foods Ltd
30 October 2019
https://www.asa.org.uk/rulings/marlow-foods-ltd-G19-1017822.html
肉の代用品Quornのテレビ広告について、「ヘルシープロテイン、ヘルシープラネット」という文言がQuornのロゴとともに表示される。この「ヘルシープラネット」が誤解を招くものだという苦情申し立てがあった。ASAは肉をQuorn(マイコプロテイン)で置き換えることが環境負荷を減らすことについて一般的に科学コミュニティで合意されていると判断し、Marlow Foods社からもライフサイクル全体の炭素排出に関する情報を提供された。「ヘルシープラネット」は誤解を招くものではなく、申し立ては却下
[FTC]FTCは高齢者を標的にしてインチキ糖尿病治療とお金儲け計画を売っていた出版社を訴える
FTC Sues Publisher for Targeting Seniors With Phony Diabetes Cure and Money Making Schemes
October 29, 2019
Agora Financial社とそのアフィリエーターは、糖尿病の治療法と政府から数千ドルを受け取る方法、という嘘で高齢者のお金を盗んだ。「28日で糖尿病を元に戻すためのドクターズガイド」という出版物を249ドルでオンライン販売していた。この内容は糖尿病の原因は携帯電話やパソコンやテレビなどの電子機器から出る電波で、天然の「ヒマラヤのシルク」「Epsom Blue」「Chromanite.」の組み合わせで100%完治するというもの
(他にも虚偽情報の出版物)
論文
-血液凝固抑制剤を使用している人の33%が重大な相互作用の可能性がある市販のサプリメントを使用している
33% of people on anticoagulants take OTC supplements with potentially serious interactions
28-Oct-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/uoc--3op102419.php
Journal of the American Geriatrics Societyに発表された791人のアピキサバンを処方された英語又はスペイン語を話す患者への調査。
-良くある市販のコレステロールを下げるビタミンに関連する目の障害は回復できる
Eye damage linked to popular over-the-counter vitamin that lowers cholesterol can be reversed
29-Oct-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/tmsh-edl102819.php
Journal of VitreoRetinal Diseasesに発表された、自己判断によるナイアシンの高用量使用で重症視覚障害になったがビタミンの使用をやめたら回復した61才男性の症例。ナイアシン誘発性嚢腫状黄斑変性症。患者ははじめのうち医師に使用しているサプリメントの情報を提供しなかった。開示後計算したら1日3-6gのナイアシンを摂っていてそのリスクを知らなかった。この事例はサプリメントを使用する前に医師に相談することの重要性を再確認する。
-地球温暖化の栄養不良への影響
Global warming's impact on undernourishment
29-Oct-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/p-gwi102819.php
PLOS Medicine。ブラジルでの、気温が上がると栄養不良での入院が増えるというデータから暑さで栄養不良の人々の消化吸収機能が減衰するのではないかと考察。
-職場での砂糖入り飲料の販売禁止はポジティブな健康影響を示した
Workplace sales ban on sugared drinks shows positive health effects
28-Oct-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/uoc--wsb102419.php
参加者の約70%がウエストサイズが減り摂取量は平均半分近くに
JAMA Internal Medicineに発表されたカリフォルニア大学サンフランシスコ校で働く人での10か月の研究。対照群はなく、自宅から持参したり余所で購入したものを持ち込むことは可能だった。
-老化細胞は近隣細胞を餌にする
Natureニュース
Senescent cells feed on their neighbours
28 October 2019 Michael Overholtzer
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03271-3
がん細胞を化学療法処置すると老化といわれる分裂しない状態になるが、それでもがんの増殖を促進できる。これらの細胞が近くの細胞を食べるという知見は老化細胞がいつまでもあるメカニズムを明らかにする
多細胞生物は個々の細胞に、生物にとって利益となるような協調を要求する。ダメージを受けたり機能を失ったりして非協力的な細胞や脅威となるような細胞は、細胞死によって排除されるかあるいは通常不可逆的な成長停止である老化という状態になる。老化細胞は典型的には分裂しないが組織に残り加齢やがんに関与することがある。Tonnessen-Murray らがJournal of Cell Biologyにこの残存する老化細胞による恐ろしい活動を明らかにしている-それらは近傍の細胞を食べる。
Cellular cannibalism(細胞の共食い)というタイトルの図。死んだ細胞ではなく、生きた細胞が食べられている
-研究概要:栄養のある食品は不健康な食品より環境影響が低い
Research brief: Nutritious foods have lower environmental impact than unhealthy foods
28-Oct-2019
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-10/uom-rbn102819.php
PNASに発表されたミネソタ大学とオックスフォード大学の研究。
・全粒穀物、野菜、果物、豆、ナッツは環境影響が低い
・肉は環境影響がネガティブ
・より健康的な魚は中程度、砂糖入り飲料は環境影響が低い
(栄養不良の国にとっては消化が悪く時には有毒な、処理しない作物は「健康的」ではないのに欧米エリートはこれが国連の目指すべきことだと主張する。あなた方はそれでいいけど何故世界全体に要求するの?)
その他
-FDAが認可した食べられる綿実はGMO, CRISPR-編集作物がどのように世界の飢餓と闘えるかを示す
FDA-approved edible cotton seeds show how GMO, CRISPR-edited crops can battle global hunger
Kevin Folta | October 29, 2019
綿は世界80ヶ国2000万人以上の農家が栽培していて途上国では相当な現金獲得手段である。主な目的は繊維で、種子は質の高いカロリーを含むものの毒素のせいで使えなかった。この毒素、ゴシポールは中国で1930年代から40年代に広範な不妊の原因となっている。
綿は繊維をとった後、種子を綿実油と綿実ミールとに分離する。綿実油からはゴシポールが除去されるが綿実ミールはゴシポール濃度が高くそのタンパク質を有効利用できない。
遺伝子組換えにより研究者らはゴシポールの除去に成功し種子の栄養を利用できるようになった。
このアイディア自体は古くからあり、ゴシポール濃度の低い綿を交配で作る試みは何十年も行われてきた。しかしゴシポールが少ないと害虫に攻撃されやすくなる。この問題を解決したのはTexas A&M 大学のKeerti Rathore博士で、ゴシポールを種子だけで排除した。20年にわたる努力で昆虫の侵入に抵抗しつつ種子に毒のない植物を得たのだ。この発明は2018年10月にUSDAから規制解除され今月FDAが規制解除した。
種子特異的タンパク質のプロモーターを使って作動するRNA干渉技術を使っている。
- Natureニュース
カリフォルニアの科学者は山火事と停電による困難に耐える
California scientists weather disruptions from wildfires and power outages
29 October 2019 Jeff Tollefson
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03302-z
停電と炎で大学が閉鎖されいつ平常化するのか不明
ここ数日、ハリケーンの強風に備えた避難と予防的停電のため、カリフォルニア大学などの研究所は一ヶ月の間に二回目の停電に耐えている。前回より今回の方がスムーズにいったが、このようなことが将来も繰り返されないよう設備投資が必要、と研究者が言う。
韓国は恐ろしい豚ウイルスを回避するためにスナイパーとドローンを配備
South Korea deploys snipers and drones to fend off deadly pig virus
29 October 2019 Mark Zastrow
https://www.nature.com/articles/d41586-019-03237-5
アジアでアフリカ豚コレラが数百万頭の豚を殺してきた。そしてこのウイルスが北朝鮮との国境付近の野生イノシシに検出された
韓国は北朝鮮との非武装地帯に軍のスナイパーとドローンを動員してアフリカ豚コレラ感染イノシシを食い止めようとしている。韓国での野生イノシシや養豚場でのアフリカ豚コレラ感染は先月から確認され始めている。これまで野生イノシシで15頭、家畜の豚で14頭が確認されている。また15万頭以上の豚を屠殺した。防衛省は10月15日に北朝鮮国境付近のイノシシを駆除するためにスナイパーと市民からなるハンターを動員した。イノシシの追跡には熱感知ドローンを使っている。
一方10月17日にScienceに中国の科学者がこのウイルスの詳細を報告した。ワクチン開発に繋げることを期待されているがメディアによるとHarbin獣医学研究所では現在二種類のワクチンが開発中である
-食品の砂糖含量を減らす進歩は、人々がたくさん買うので「失われる」、PHEが警告
Progress in reducing food sugar content ‘lost’ as people buying more, Public Health England warns
Luke Powell
「我々のデータを見れば、問題の一部は砂糖の多い商品がより多く売られていることだとわかるだろう」
PHE長官のDuncan Selbieが健康社会福祉委員会で政府の子どもの肥満防止計画の進行状況について尋ねられた。2016年の計画では2020年までに重要な食品カテゴリーの砂糖含量を20%減らす目標だったが現状は2.9%と残念な状況である。さらに一部の製品は砂糖含量を減らしたが、より多くの商品が宣伝広告されて提供されている
(食べる量を減らさずに肥満対策ができるとは思えないんだが)
-「馬鹿馬鹿しい」:インフルエンサーのシャンプーに関するとっぴな主張が専門家に批判される
‘Ridiculous’: Influencer’s wild shampoo claim slammed by experts
October 30, 2019
健康インフルエンサーは、専門家に批判されてもシャンプーが体重増加の原因だという主張を支持し続ける
Gut Rehab Blueprintの創設者でインスタグラムの11000人のフォローワーをもつインフルエンサーEleni Chechopoulosがシャンプーなどに含まれる“肥満原因物質obesogens”のせいで太ると主張。「どんなに健康的な食生活をして毎日運動しても、シャンプーのせいで体重と戦わないといけない」と書いている。
(写真がパンテーン)
-ホメオパシーは専門職認証を取り消すべき、NHSのリーダーが強く主張
Homeopathy should have professional accreditation revoked, NHS leaders urge
BMJ 2019;367:l6248
https://www.bmj.com/content/367/bmj.l6248.full
NHSイングランドのSimon Steven最高責任者とStephen Powis医務部長が保健社会保障のための専門家基準局(PSA)に書いた手紙で、ホメオパシー学会を再認証することについて「重大な懸念」を表明
-より多くの妊娠女性が大麻を使っている、研究が示す
More Pregnant Women Are Using Cannabis, Research Shows
October 28, 2019 Tonya Mosley, Allison Hagan
https://www.wbur.org/hereandnow/2019/10/28/pregnant-women-using-cannabis
妊娠中の大麻使用が増えているため、FDAの新しいガイドラインで妊娠女性は妊娠中は大麻を避けるようにと助言している。
Kaiser Permanenteの臨床心理学者Kelly Young-Wolffによると、妊娠中の大麻検査陽性は2009年には約4%だったが2018年には2倍の8%になっている。若い世代の増加はさらに急で、十代妊婦は22%、若年成人妊婦は19%が大麻陽性である。これは警告すべき事態である。
オンラインでの間違った情報に溺れていると思われる