2019-12-05

[BfR] 食品中マイコトキシンを懸念している人が増加している

An increased number of people are worried about mycotoxins in food

44/2019, 18.11.2019

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2019/44/an_increased_number_of_people_are_worried_about_mycotoxins_in_food-243236.html

抗菌剤耐性、マイクロプラスチック、サルモネラあるいはマイコトキシン、どの健康リスクを人々は知っていて、どれを心配するか?代表的な住民調査として、BfR消費者調査は、6か月ごとにドイツ国民が健康リスクをどう考えるかの知見を提供する。BfRは、この調査で、ドイツの一般世帯に住む14歳以上の約1,000人の人に電話調査を行う。

回答者はいまだに質の悪い不健康な食事、気候及び環境汚染、そして喫煙を最も大きな健康リスクと考えている。初めて、回答者の5%が自発的に世話、加齢及び退職後の分野をリスクとして名を挙げた。選択されたテーマについて聞かれると、食品中のサルモネラ、遺伝子組み換え食品及び抗菌剤耐性が消費者意識の上位であった。これらのテーマに続き、マイクロプラスチック、食品中の植物保護製剤の残留及び食品包装や容器のアルミニウムが挙がった。

前回までの調査同様、抗菌剤耐性とマイクロプラスチックはいまだ多くの回答者が懸念する問題である。しかし、昨年の調査と比較し、国民には食品中のマイコトキシンについての懸念が相当増えている:今回、その数は13%ポイント上昇し46%になった。同様に、多くの回答者は例えば食品中のサルモネラが懸念の原因であると考える。食品中のリステリアに関するテーマは今回初めて調査に採用されたが、回答者の半数弱しか知らないテーマであった。

「EUの食品安全」というユーロバロメーターの特集において、EU加盟28ヶ国の約28,000人が参加した調査が2019年4月に実施され、EU内のリスク認知の差異が明確になった。欧州諸国民と比較すると、ドイツ国民は「肉中の抗菌剤、ホルモン剤あるいはステロイド剤の残留」に関する懸念が61%で、欧州の平均(44%)と比べはるかに高かったことを示す。逆に、ドイツ国民は「細菌性の食品中毒」についての懸念(22%)がEU諸国全体(30%)に比べ低かった。最新のBfR消費者意識調査は、回答者の半分以下しかしらない例えばリステリアあるいはカンピロバクターのような食品中の細菌について比較的懸念がないことも示す。

2019年ユーロバロメーター「EUの食品安全」については以下。(https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/corporate_publications/files/Eurobaromet  er2019_Food-safety-in-the-EU_Full-report.pdf

 

[BfR]3D印刷:健康リスクについてのプロジェクト開始

3D printing: Research projects on health risks launched

https://www.bfr.bund.de/cm/349/3d-printing-research-projects-on-health-risks-launched.pdf

今や個人の家庭に3Dプリンターがある。これらプリンターは自宅でスペア部品や家庭用品、贈り物などを作るのに使える。子どもがおもちゃを作れるものもある。

BfRはその健康リスクの可能性を評価し助言を提供するための各種研究を行っている。

(プラスチックの加熱時に生じる粒子状物質と揮発性化合物を懸念している)

 

[CFIA]情報共有を増やし、より安全に

More sharing, more safety

2019-11-27

http://www.inspection.gc.ca/about-the-cfia/chronicle-360/food-safety/more-sharing-more-safety/eng/1574450091524/1574450091977

食中毒は毎年カナダ人の8人に1人に影響している。事件が起こると、カナダ食品検査庁(CFIA)の職員は、連邦、州、準州のパートナーと一緒に夜昼なしに働く。彼らの使命は、カナダ人の影響を最小化し、アウトブレイクの原因を調査することである。

予防は治療に勝る

俗にいうように、「予防は治療に勝る」。

カナダ食品安全情報ネットワーク(CFSIN)は、そのため、共有データの力を利用して、CFIA、連邦、州、準州に食品の安全性を与え、公衆衛生パートナーが食品安全性イベントや緊急事態に対して、よりよく予測、検出、反応できるようにするための新しいデジタルツールを導入する。

「パートナーが全カナダのデータを組み合わせて共有できる作業を行うことに興奮している。私達やパートナーが食品の安全性問題により早く警告を出せるようになり、問題が生じたらより統一した方法でアウトブレイクに応えられるようになる。」とCFSIN事務局長Christiane Villemure氏は述べた。

連携を促進する最新ツール

CFSINはカナダ中の食品の安全性機関や食品検査研究所の強化ネットワークを促進している。彼らは、州や準州の境をさらに簡単に超えて協力するために一連のデジタルツールへアクセスする。

これらのパワフルなツールの1つは、最大9言語でニュース記事、学術資料、ソーシャルメディアチャンネルなど、30,000件以上の情報源を分析でき、世界中の食品の安全性リスクの傾向を食品安全性専門家に分類して通知するための、環境スキャニングソフトウエアである。このツールは、人工知能の一種である機械学習を用いて、データに優先順位をつけ、最も高いリスク分野を専門家に知らせる

環境スキャニングは、CFIA、カナダの国立研究カウンシル、州当局間のパートナーシップで開発された。

過去は未来を予測できる

環境スキャニングの目的は現在あるいは新興リスクを特定することであるが、他のツールは未来を予測するために過去を見ている。予測分析は未来の行動や結果の可能性を予測するために大量の過去のデータを使用している。例えば、保険会社は特定のドライバーがどのくらいの確率で事故を起こすかに基づいて保険料を増額した。

CFSINでは、予測分析は、CFIAの検査官や他のカナダ中のパートナーが食品のサンプリングや検査から収集したデータを使用する。特定の食品の組み合わせ、環境要因、集団、ハザードに関連した歴史的なデータと傾向を考慮して、ツールは、傾向とパターンを確認するために機械学習を用い、食品安全性問題が生じる可能性がある時に職員に警告する。

「このデータと分析ツールを最大限に活用すれば、CFIAとパートナーは食品調査により予防的アプローチで作業できるようになる。CFSINの目標は、カナダの食中毒をよりよく理解し、予測し、反応するために、共有する専門知識や取り組みを最大化することで、食品の安全性や公衆衛生機関がカナダ人をよりよく守れるようにすることである。」とVillemure氏は述べた。

CFSINへの質問があればCFIA.CFSIN-RCISA.ACIA@Canada.ca.に連絡してください。

 

[EFSA]パブリックコメント募集:オクラトキシンA

Public consultation: Ochratoxin A

4 December 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/news/public-consultation-ochratoxin

EFSAは、食品中のオクラトキシンA(OTA)―アオカビやコウジカビ種などの菌類で天然に生産されるマイコトキシン―の存在に関する公衆衛生リスクについての科学的意見について、関係者からのフィードバックを求めている。

コメント提出締め切りは2020年1月24日である。

OTAは、穀物、穀物製品、調理済肉、生鮮及びドライフルーツなど様々な食品に含まれている。母乳にも含まれている。

EFSAは以前、2006年に食品中のOTAに関する公衆衛生リスクを評価した。専門家は、OTAは腎臓に蓄積し、この器官に特に有毒だと結論した。高用量のOTAはラットの腎臓腫瘍も引き起こす。EFSAは、耐容週間摂取量(TWI) 120ナノグラム/kg体重を設定した。

その後、OTAに遺伝毒性と発がん性の恐れがあることを示す詳細情報が入手できた。そのような場合、EFSAの専門家は消費者への暴露マージン(MOE)を算出する。

一般にMOEが高いほど消費者の懸念レベルは低くなる。OTAに推定されるMOEは、ほとんどの消費者グループで10,000未満で、健康上の懸念となる可能性を示唆する。

MOEとは?

MOEは、食品や飼料中に存在する可能性のある遺伝毒性及び発がん性の物質に、暴露によるリスクを記述するためにリスク評価者が使用するツールである。食品中の物質の存在について安全上の懸念のレベルを示すために出されるが、リスクを定量化しない。

MOEは、少ないが測定可能な有害影響が観察される用量と、物質への暴露量の2つの要因の比率である。

・パブリックコメント募集:食品中のオクラトキシンAの存在に関する公衆衛生リスクについての科学的意見

Public consultation: Scientific Opinion on the risks to public health related to the presence of ochratoxin A in food

4 December 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/consultations/call/public-consultation-scientific-opinion-risks-public-health-related

 

[EFSA]意見等

-EU規則2015/2283に従う新規食品としてのラクト‐N‐テトラオース (LNT)の安全性

Safety of lacto‐N‐tetraose (LNT) as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2019;17(12):5907  3 December 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5907

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養、新規食品、食品アレルゲンに関するパネル(NDA)は、EU規則2015/2283に従って、新規食品(NF)としてのラクト-N-テトラオース(LNT)に関する意見を出すよう求められた。このNFは主にLNTから成る粉末混合物だが、d-ラクトース や、パラ-ラクト-N-ヘキサオース-2 (パラ-LNH-2)、ラクト-N-トリオース II 、他の炭水化物のごく一部などの他のオリゴ糖も含んでいる。Escherichia coli K‐12の遺伝子組換え株で発酵して生産されている。このNFの製造工程、組成、仕様書に関して提出された情報は安全上の懸念を生じない。申請者は乳児用及びフォローアップミルク、乳幼児用食品、特定医療用食品、食品サプリメントを含む様々な食品にこのNFを添加しようとしている。食品サプリメント以外の対象集団は一般人で、食品サプリメントの対象集団は1歳以上の人である。提案した使用量でのこのNFからのLNTの摂取は、体重ベースで、母乳を与えられている乳児に天然に生じるLNTの摂取量を超えそうもない。LNTに構造的に関連する他の炭水化物種の成分の摂取に安全上の懸念はないと考えられている。パネルは、提案した対象集団に提案した使用条件でこのNFは安全だと結論した。

 

-全ての動物種用Corynebacterium glutamicum KCCM 80184株と Escherichia coli KCCM 80096株で発酵して生産したl‐メチオニンの安全性と有効性

Safety and efficacy of l‐methionine produced by fermentation with Corynebacterium glutamicum KCCM 80184 and Escherichia coli KCCM 80096 for all animal species

EFSA Journal 2019;17(12):5917  3 December 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5917

 

-全ての動物種用グリークオレガノ(Origanum vulgare ssp. hirtum (Link) Ietsw.)由来エッセンシャルオイルの安全性と有効性

Safety and efficacy of an essential oil from Origanum vulgare ssp. hirtum (Link) Ietsw. for all animal species

EFSA Journal 2019;17(12):5909 2 December 2019

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5909

 

[HK] 法令違反

-レタスサンプルに基準値超過の残留農薬

Pesticide residue exceeds legal limit in Lettuce Leaf sample

Monday December 2, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20191202_7720.html

食品安全センターが検査したところ、レタスにおいて、シハロトリンが最大残留基準値0.2ppmのところ、0.63ppm検出であった。

 

-サンドビスケットが栄養表示規則に違反

Sandwich Biscuits not in compliance with nutrition label rules

Wednesday, Dec 4, 2019

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20191204_7724.html

マレーシア産チョコレートサンドビスケットから飽和脂肪酸6g/100g含有という申告のところ、12.1g/100g検出された。

 

[ヘルスカナダ] リコール

-Smart Cakeブランドのケーキ製品は金属くずのため、回収措置

Smart Cake brand cake products recalled due to metal shavings

December 3, 2019

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/inspection/2019/71820r-eng.php

 

-ハーバライフマルチビタミン (2019-11-20)

Herbalife Multivitamin (2019-11-20)

November 20, 2019

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/71774r-eng.php

製品は子供が操作できないよう包装していないため、回収措置。

 

[ヘルスカナダ] 情報更新:ヘルスカナダは未承認の健康製品の危険性について市民に再喚起する;必要ならば、法的措置をとることをためらわない

Health Canada reminds Canadians of the dangers of unauthorized health products; it will not hesitate to take enforcement action if needed

December 4, 2019

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2019/71800a-eng.php

ヘルスカナダは未承認の健康製品の危険性について市民に再喚起する。カナダ市民に健康及び安全リスクのある健康製品の違法な製造販売には法的措置をとることをためらわない。

2019年9月23日にはMaria D’Onofrioに処方薬の違法輸入販売で有罪判決

2019年10月28日にはRobert Lambertonが許可なくナチュラルヘルス製品(各種サプリメント)を製造販売したことで有罪判決

 

[SFA]食品情報 

Food Information  

Friday, November 15, 2019

https://www.sfa.gov.sg/food-information/food-safety-education

「食品安全は共同責任」、「食品安全の公的教育計画」に関して

 

[FDA]公示:Detox Plusは表示されない医薬品成分を含む

Public Notification: Detox Plus contains hidden drug ingredients

12/04/2019

https://www.fda.gov/drugs/medication-health-fraud/public-notification-detox-plus-contains-hidden-drug-ingredients

FDAは消化の健康製品として販売されているDetox Plusの購入、使用をしないよう消費者に助言する。製品にタダラフィル、パイナンテイン(Paynantheine、クラトムに含まれるアルカロイド)、ミトラギニンを含む。

 

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 104–19

5 December 2019

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular104.aspx

意見募集

・各種MRL

APVMAや貿易相手国、コーデックスの要請で各種MRLを評価し変更案を提案している

 

-食品基準改定

Amendment No. 188 – 5 December 2019

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/gazette/Pages/Amendment188.aspx

 

[FSSAI]メディアコーナー

ムンバイ中央駅が国内初の「正しく食べる駅」として認証された

Mumbai Central Gets Certified As The First 'Eat Right Station' In The Country

December 04, 2019

https://fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_News_Mumbai_Republic_04_12_2019.pdf

FSSAIが火曜日にムンバイ中央駅を'Eat Right Station'として四つ星に認証

食品安全と衛生、健康的食事の提供、食品の取り扱い、食品廃棄の管理、地元産の季節の食品を勧めること、食品安全と健康的食事を啓発することなどをもとに認証する。

2018年から推進されている正しく食べる運動の一環としてインド鉄道各社とFSSAIが協力して始めた

 

論文

-ピーナッツと卵を早期に導入することはハイリスク乳児の食物アレルギーを予防できる

Introducing peanuts and eggs early can prevent food allergies in high risk infants

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/kcl-ipa120219.php

Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表された一連の論文で、順守率は低いもののアレルギー誘発性食品の早期導入は特定のグループの乳児の食物アレルギー予防に有効であることを発見した。また早期導入の障害も強調した。

この研究はイングランドとウェールズの1300人以上の3か月の乳児の参加したEnquiring About Tolerance (EAT)研究の継続である。二群に分け、一方は6つのアレルギー源となる食品を3か月から導入する早期導入群(EIG)、もう一方は6か月までは母乳のみ、の標準群(SIG)である。

・なんらかの食物アレルギーになったのはSIGで34.2%、EIGで19.2%

・参加時にピーナッツに感作されていた乳児のうちSIGは33.3%がピーナッツアレルギーになったがEIGでは14.3%

・参加時に卵感作されていた乳児ではSIGの48.7%が卵アレルギーになったがEIGでは20.0%

EIG群ではプロトコール通りに与えることができたのはたった42%だったがそれでも結果は明白である。計画通りにできなかった割合が多いのは母親の年齢が高い、非白人、母親のQOLが低い集団。

一つの論文では早期導入できない要因を解析し、三つのテーマが浮き彫りになった。子どもが拒否する、保護者のアレルギーになるのではないかという心配、現実的なライフスタイル上の制約。これらについては乳児への食事の与え方についての助言を更新するなら対応する必要がある。

(これまで与えるなと言われてきたものを与えるのに抵抗があるのは理解できる。間違いを薦めてきてしまったことについては率直に認めるしかないのだけれど)

 

-妊娠中の料理は子どもの多動に影響するかもしれない

Cooking practices during pregnancy may affect hyperactivity in children

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/w-cpd120219.php

Indoor Air に発表された中国深センの45518人の母親の研究。妊娠中に料理のヒュームに暴露されることは子どもが3才の時の多動リスク増加に関連する。調理に石炭やガスを使うことは電気を使うより多動リスクが高いことに関連する。また換気の悪さも高いリスクと関連する。

 

-電子タバコの使用者に金属労働者に典型的にみられる稀な肺の瘢痕形成があった

E-cigarette user found to have rare form of lung scarring typically found in metal workers

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/elf-euf120319.php

欧州呼吸器学会は禁煙のために電子タバコを使用しないよう警告

European Respiratory Journalに、金属暴露のない硬質金属塵肺症例報告が掲載され、同じ号のエディトリアルで電子タバコを進めないと説明。

 

-田舎の女性は命に関わる妊娠合併症リスクが高い

Rural women at higher risk of life-threatening pregnancy complications

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/mm-u-rwa120419.php

研究が都市部と地方の危険な出産経験の格差を明らかにする

Health Affairsに発表されたアメリカの研究。リスク要因は医療アクセスの悪さ。

 

-より厳しいアルコール政策ががんリスクの低さと関連

Stricter alcohol policies related to lower risk of cancer

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/bmc-sap120419.php

新しい研究はアルコール規制強化ががんによる死亡を減らす期待できる方法かもしれないことを発見。Chemico-Biological Interactions.

 

-数百人の米国の環境健康専門家が課題と研究の必要性を報告

Hundreds of environmental health professionals in US report challenges, research needs

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/bu-hoe120419.php

Environmental Health Perspectives。6つの分野―飲料水、排水管理、健康的な家、食品安全、公衆衛生病害虫、新しい施設型のボディアートや大麻入り製品などの新興問題  

 

-より暖かい温度はコメのヒ素濃度をあげる、研究が示す

Warmer temperatures will increase arsenic levels in rice, study shows

4-DEC-2019

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2019-12/uow-wtw120419.php

ワシントン大学の学会発表のプレスリリース

(写真が3枚。日本の田んぼを見慣れていると雑草多いとか思ってしまう。そういうところなんだろうな、過剰と言われるの)

 

-アテンションエコノミー(情報量が増えたために人間の関心をいかにひくかが重要になる)の中で偽情報を収益にする:GMOの事例

Monetizing Disinformation in the Attention Economy: the case of genetically modified organisms (GMOs)

Camille D.Ryan et al., European Management Journal

Available online 29 November 2019

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0263237319301446

ソーシャルメディアが至る所にあることはビジネスや社会にとってチャンスと課題の両方を生み出した。製品やアイディアや啓発がソーシャルメディアで力をもつためには注目を集めなければならない。それはしばしば人の心をつかむ情報、嘘情報でも、を作って拡散することによって達成される。このアテンションエコノミーの策士はしばしば明示的ではない。ここではGMOに関する嘘情報をお金にする事例を探った。94993のオンライン記事を解析し、予備的結果からは少数の代替健康法と陰謀論サイトがGMOの話題については他の通常のメディアより多くソーシャルメディアで取り上げられていることが示唆された

 

その他

SMC UK

-乳児へのアレルギー源となる食品の早期導入を調べた3つの研究への専門家の反応

expert reaction to three studies looking at early introduction of allergenic foods to infants

DECEMBER 4, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-three-studies-looking-at-early-introduction-of-allergenic-foods-to-infants/

The Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表された3つの研究が乳児へのアレルギー源となる食品の早期導入について報告する

政府の化学者ラボ(LGC)の相談レフェリーアナリストMichael Walker氏

Perkinらの最新研究知見は、1303人の3か月の乳児を調べたオリジナルのEAT試験のフォローアップである。この研究グループはこの分野で良い追跡記録をもつことで尊敬されている。この研究は血液検査データ(IgEの結果)についてオリジナルのEAT試験のより詳細な統計解析をしている。

この結果は、食物アレルギーになるリスクが高い乳児が早期導入で利益があることを示す。同様に重要なことは、ハイリスクでない乳児にアレルギー源となる食品を早期に導入しても食物アレルギーリスクは増加しないということである。

この研究グループはこの研究の限界についても開示している。また遵守率の低さも別の限界で、それは実生活で対応されるだろう。

保護者は赤ちゃんに卵やピーナッツを与えるべきか?イエス。ピーナッツには窒息リスクがありピーナッツバターのほうがいいが、離乳時にはバランスのとれた食事の範囲内での広範な固形食品を与える。しかし特にリスクの高い場合は先に医師に相談すべきである。

 

-大麻電子タバコを使用して肺疾患になった個人の症例研究への専門家の反応

expert reaction to case study of an individual who developed a lung disease following use of a cannabis e-cigarette

DECEMBER 5, 2019

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-case-study-of-an-individual-who-developed-a-lung-disease-following-use-of-a-cannabis-e-cigarette/

European Respiratory Journalに、大麻電子タバコを使用して肺疾患になった症例研究が発表された

Nottingham大学呼吸医学相談医で英国タバコ&アルコール研究センター長John Britton教授

この症例は巨細胞性間質性肺炎を説明していて、著者は電子タバコからのコバルト暴露のせいだと結論している。コバルトは確かにこの病気の原因にはなるが、患者の肺からコバルトが検出されていないのにどうしてこの結論になったのかはわからない。この症例は大麻を吸うのに電子タバコを使って重大な肺疾患になった例ではあるが極めて珍しいので煙草の代わりにニコチンを吸入している人のリスクはとても低い。

ERJのエディトリアルは7つの主張のすべてで間違っている。これまでの禁煙方法が有効だと主張しているが電子タバコはそれを置き換えるものではなく追加する。電子タバコで禁煙できる根拠はないと主張しているが根拠はある(以下ひとつひとつ否定)

Imperial College London呼吸器医学准教授Nick Hopkinson博士

米国での大麻オイル吸入と関連する肺疾患のアウトブレイクに続き、この症例はさらにそれを避ける理由になる。英国では電子タバコの使用者はMHRAの規制しているもののみを使っている。電子タバコはタバコより安全とはいえ長期的にはやめるべきである、ただし喫煙にもどるべきではない。

 

-満杯の畜産経営による窒素危機がオランダ経済を「麻痺させた」

Nitrogen crisis from jam-packed livestock operations has ‘paralyzed’ Dutch economy

By Erik Stokstad Dec. 4, 2019

https://www.sciencemag.org/news/2019/12/nitrogen-crisis-jam-packed-livestock-operations-has-paralyzed-dutch-economy

先週オランダの全国の農家がトラクターを高速道路に止めて抗議を行った、10月から3回目である。抗議しているのは5月の高裁の、窒素化合物で大気を汚染し自然を害する建設プロジェクト認可の停止決定に、である。この凍結によりアンモニアの形態で窒素を排出する乳牛、豚、家禽農場の拡大が停止された。また新しい家や道路などを作る計画も建設機械が窒素を出すという理由で停止された。このシャットダウンにより140億ユーロほどのプロジェクトが危機にある。「この国を麻痺させてしまった」と政治科学者Jeroen Candel,はいう。

窒素排出を減らすには、世界で最も密度が高いオランダの畜産部門は縮小し窒素をリサイクルしなければならない。窒素排出は主に農業部門だが、他の部門も窒素排出を抑制しなければならない

(以下略。)

 

-食べすぎと脳

Overeating and the Brain

December 04, 2019 by UCB HEALTH & WELLNESS PUBLICATIONS

https://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/diet-weight-loss/article/overeating-and-brain

もしあなたが朝のペストリーを二つ三つと食べずにいられない、あるいはアイスクリーム500mL入りを全部食べてしまうなら、良い仲間がいる。問題はあなたの意志の力ではないかもしれない。衝動的食べすぎは神経系の影響の大きい複雑な現象であることが示唆される研究がますます増えている。この分野が一部の人が食事助言に従えない理由を説明するのに役立つかもしれない。食欲を減らし衝動に耐える新しい戦略を提供する研究もある。

食べすぎは意志の力が弱いからという信仰はよくあるが、新しい根拠は食べすぎの人の脳の活動は飲酒や薬物の依存に類似することを示してきた。しかしそれが「食べ物への依存」かどうかについては科学コミュニティで議論がある。

たくさんの研究から(紹介略)減量戦略に相当な進歩があった。伝統的助言は一食分のサイズを小さくし、カロリーを計算し、砂糖や高脂肪の食品を避けること、だがそれは一部の人には難しい。彼らにとって意志の強さをあてにした方法はほぼ確実に失敗する。新しいアプローチは過食に関係する合図への脆弱性を減らし食品への反応をコントロールする能力を強化する。好きなお菓子を食べたくなったらそれを食べないことによる長期的メリットを想像してみる-体重だけではなく、例えばコレステロールやその他の健康へのポジティブな結果を。薬物依存治療薬や脳深部の電気刺激を研究している人もいる。

減量のために、神経科学反応の引き金を引く食品環境変えることを強調する専門家もいる。視覚、におい、味などのキューを無くし同時にライフスタイルを変える、つまりバザーや食べ放題には行かないことだ。

食べたい衝動を宥めるための4つの戦略

・よく寝る

・もっと運動する

・朝食にタンパク質の多いものを

・ゆっくり食べてよく噛む

(研究論文がどれだけ出てもアメリカ人の肥満は全然減っていないのであまり役に立っていないのではという疑問が。)