[EFSA]テトラヒドロカンナビノール(Δ9‐THC)に対するヒトの急性暴露評価
Acute human exposure assessment to tetrahydrocannabinol (Δ9‐THC)
EFSA Journal 2020;18(1):5953 7 January 2020
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5953
デルタ-9-テトラヒドロカンナビノール(Δ9‐THC)は、ヘンプ植物アサ(Cannabis sativa大麻草)由来の天然に生じる精神活性化合物である。2015年にEFSAは急性参照用量(ARfD) 1 μg/kg 体重 (bw) / Δ9‐THCを設定し、牛乳及び乳製品由来の急性食事暴露を評価した。成人と幼児でそれぞれARfDの最大3% と13%という結果だった。食品に存在するΔ9‐THCのモニタリングに関する欧州委員会の助言2016/2115と新しい指令の発行に従って、EFSAはΔ9‐THCへのヒトの急性暴露を評価した。ヘンプ及びヘンプベース製品の摂取の代用として「標準的な」食品分類が使用された。1つの食品分類に基づき12の独立したシナリオが考慮され、急性暴露は乳児を除くすべての年齢集団の摂取日数だけを評価した。この評価では、総Δ9‐THCの含量データ(全部で588サンプル)は、各食品分類の最も信頼できるパーセンタイルまで使用された。EFSAのARfD 1 μg/kg bwは、下限(LB)と上限(UB)シナリオで、ほとんどの検討されたヘンプ及びヘンプ含有製品の成人の多量消費者で超過した。UBで、発生の最も信頼できるパーセンタイルに基づいて成人の多量消費者の急性暴露が推定された。ヘンプシード(P95, 最大 9 μg/kg bw)、ヘンプオイル(P95, 最大21 μg/kg bw)、茶(煎じ液) (P95, 最大208 μg/kg bw)、朝食用シリアル(P50, 最大1.3 μg/kg bw)、パスタ(生) (P75, 最大6.4 μg/kg bw)、パンとロールパン(P75, 最大1.3 μg/kg bw)、ヘンプ粉を用いたパンとロールパン(P90, 最大4.1 μg/kg bw)、シリアルバー(P50, 最大0.3 μg/kg bw)、焼き菓子(P75, 最大5.1 μg/kg bw)、チョコレート(ココア)製品(P75, 最大1.1 μg/kg bw)、エナジードリンク(P75, 最大0.2 μg/kg bw)、食品サプリメント(P75, 最大 9.9 μg/kg bw)、ビール及びビール様飲料(P90, 最大41 μg/kg bw)。ヘンプ及びヘンプ含有製品の摂取には代理値をの代用の使用、限られた数の濃度データ、Δ9‐THCの定量分析の限界は、不確実性の最も重要な原因である。概して、この報告書に提示されている暴露推定量はEUにおけるΔ9‐THCへの急性暴露の過大評価であると予想される。
[ASA]ASA裁定
-ASA Ruling on Sazerac UK Ltd
08 January 2020
https://www.asa.org.uk/rulings/sazerac-uk-ltd-G19-1041900.html
25才以下の人がアルコールの宣伝をするのは基準違反
-ASA Ruling on Nestlé UK Ltd
08 January 2020
https://www.asa.org.uk/rulings/nestle-uk-ltd-A19-1018803.html
ネスカフェゴールドバニララテインスタントコーヒーのパッケージのプロモーションで、あたりの確率を大きく誤認させる
-ASA Ruling on Electrosensitivity-UK
08 January 2020
https://www.asa.org.uk/rulings/electrosensitivity-uk-G19-1029264.html
5Gで男性不妊、鬱、睡眠障害、頭痛、がんなどになると宣伝するポスターに対して誤解を招くと苦情申し立てがあった。ASAの照会に対して広告主のElectrosensitivity-UKがフランスでは学校でWiFiと携帯電話が禁止されているとかBBCが5Gは危険だと報道した等多数の理由を示したがそれらが5Gの健康への悪影響の根拠とは考えられず、ポスターは誤解を招くものであり広告基準違反と判断
（Electrosensitivity-UKは電磁波過敏症を啓発している団体）
-ASA Ruling on Fischer Future Heat UK Ltd
08 January 2020
https://www.asa.org.uk/rulings/fischer-future-heat-uk-ltd-A19-1033945.html
夜間蓄熱暖房機が健康に有害な電磁波を出していてそのせいでがんなどの病気になるがFischer Future Heat社の製品なら電磁波が減らせる、趣旨の宣伝に根拠が無い
[NASEM]新しい報告書はハリケーンHarvey, Irma, Mariaの教訓をもとに、ハリケーン後のサプライチェーンを強化する方法を助言
New Report Recommends Ways to Strengthen the Resilience of Supply Chains After Hurricanes, Based on Lessons Learned From Hurricanes Harvey, Irma, Maria
Jan. 8, 2020
NASEMの新しい報告書は、ハリケーンやその他の災害の後に、人々に必須の食品や水燃料、、医薬品などのモノやサービスを提供するサプライチェーンをより回復食の高いものにする方法について助言した。
FEMAからの要請により作成したこの報告では、FEMAやその他の機関に、緊急用サプライチェーンを延長する古典的アプローチよりも、通常のサプライチェーンを可能な限り早く回復することに集中することを勧めた。他に重要な戦略は、緊急事態管理者がローカルサプライチェーンのダイナミクスをよりよく理解し、官民の情報共有と協調を改善し、緊急事態管理者にサプライチェーンダイナミクスと優良行動規範の訓練を行うこと。
論文
-がんの死亡率は安定して下がり続けている、肺がん対策の進歩によって
Cancer mortality continues steady decline, driven by progress against lung cancer
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/acs-cmc010620.php
CA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表されたがん統計2020によると、1991年から2017年の間にがん死亡率は29%減り、2016年から2017年の間は2.2%と単年度としては最大の減少だった。肺がん死亡率は1990年から男性で51%減少、2002年から女性で26%減少。アメリカ
-デンマークの大規模研究で過体重と肥満ががんリスクの高さと関連
Overweight and obesity linked to higher cancer risks in large Danish study
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/w-oao010620.php
Journal of Internal Medicineに発表されたデンマークの40年の研究。過体重または肥満の成人313321人のうち20706人ががんで、一般人に予想される18480人より12%リスクが高い。過体重または肥満に加えて2型糖尿病あるいはアルコール依存症関連疾患があるとさらにがんリスクが高いことと関連する
-研究が子どもの体重と青年期の肥満を吟味する
Study examines childhood weight and obesity in adolescence
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/w-sec010620.php
Pediatric Obesityに発表された日本の研究。1581組の母子で、3才時点での過体重や肥満は15才の時の過体重や肥満リスクが4.2倍高いことと関連し、母親の過体重または肥満は2.4倍リスクが高いことと関連する。出生時の体重は関連が無かった。
（15才時点で過体重/肥満なのは女の子81男の子86の合計167人で10.6%。肥満専門誌だからだろうけれど15才の女の子が含まれる研究で肥満の側面しか考えないのは日本の現状の正確な発信にはならない。欧米の問題意識に乗っかる形の研究が成果になりやすいという構造がある。）
-教育と栄養不良に関する知見は「極めて気がかり」
Findings on education, malnutrition 'deeply disturbing'
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/ifhm-foe010720.php
2017年、低から中所得国の20-24才の女性の6人に1人は小学校を卒業していない
Natureに発表されたIHMEの地方別SDG指標マッピング
-食べないで：小麦粉粘土や乾燥パスタは遊びに使った場合グルテンをほとんど移行しない
Just don't eat it: Play Doh, dry pasta show little gluten transfer when used for play
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/cnh-jde010720.php
研究は学校でよく使われているものに関連したグルテン移行リスクの根拠を提供
Journal of Pediatric Gastroenterology and Nutrition
これまでセリアック病の子どもの家族にはグルテンを含むものには触らないように助言してきたが、特に小さい子どもではそれは困難だった。この知見は簡単な識別法を提供する－乾燥したものやくっつかないものはグルテンの移行は極めて低く、水分が多くペースト状のものは手やテーブルに重度にくっつく。全ての場合で適切な手の衛生と洗浄をすればグルテンの移行はほとんど防げる。
（食べ物で遊ぶことに抵抗があるのは何だろうな。乾燥パスタとお手玉の小豆で抵抗感が違うのは何故だろう－アメリカと日本は違うんだろうか。）
-研究者らはがんサバイバーの飲酒の多さに驚く
Researchers surprised by high levels of alcohol consumption among cancer survivors
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/nccn-rsb010820.php
JNCCNに発表されたがんサバイバーの飲酒習慣についてのかつてない大規模研究が、1/3以上がほどほどレベルを超えて飲酒し、5人に1人が暴飲していることを発見した
2000-2017年の全国健康インタビュー調査（NHIS）のデータを使って、がんと診断された人の自己申告による飲酒習慣を検討した。調査対象34,080人のうち56.5%が現在飲酒中で34.9%がほどほどを超えて飲んでいて21%は暴飲している。アルコールががんのリスク要因で2012年のがん死亡のうちの5.8%に寄与することを考えると、研究者らはどうしてこんなに多いのか驚いた。さらにがんサバイバーの16.7%は喫煙している。
-殺人事件の犠牲者から検出されるマリファナが約2倍になった
Marijuana detected in homicide victims nearly doubles
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/cums-mdi010820.php
2016年の15-20才の犠牲者の2/3以上が陽性
殺された人から検出されるアルコールと大麻の時間的傾向の研究がInjury Epidemiologyに発表。大麻が2004年には22%だったのが2016年には42%になった。一方アルコールは40%から35%に僅かに減少した。9州での30,433人の記録のうち解析可能なデータがある12,638人のデータを使った。女性より男性の方が両物質で陽性の率が高い
-科学のダブルチェック
Double-checking the science
8-JAN-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uom-dts010720.php
事実を確認することはしばしば役に立つ。あなたはその発見に驚くかもしれない。
過去十年にわたって、有名ないくつかの科学研究が珊瑚礁に住む熱帯魚が気候変動による海の酸性化で有害影響を受けていると報告してきた－つまり大気中二酸化炭素の溶解量に依存して行動がおかしくなり捕食されやすくなっているという。しかし新しい研究ではそうではないことが示唆された。実際のところ魚の行動に影響はない。Natureに発表
「この知見に驚く人がいるかもしれないが、これは科学において通常のことである。出版された結果には疑問が提示されしばしばそれは疑問に耐え、時には否定される。結局のところ問題なのは根拠の蓄積である」
（だからメディアには個々の論文を一般向けに報道する意味を考えて欲しい）
その他
-大豆はいまだに良い？
Is Soy Still Good for You?
by WELLNESS LETTER
https://www.berkeleywellness.com/healthy-eating/food/article/soy-still-good-you
かつて大豆食品は概ね健康食品店でのみ扱われていたが今やアメリカの主流になった。幼児が枝豆を食べ、カフェでは豆乳ラテが標準メニューになり大豆ベースのヨーグルトやチーズや肉の代用品がスーパーの棚を占める。豆腐とテンペの売り上げが増え、消費者は植物タンパク質をますます探している。
大豆の人気上昇には1999年のFDAの後押しがあった。飽和脂肪とコレステロールが少なく大豆タンパク質を一食あたり6.25g以上含む製品に、「飽和脂肪とコレステロールが少ない食生活の中で1日合計25gの大豆タンパク質は心疾患リスクを減らすかもしれない」という健康強調表示を認めたのだ。この文言を含む数百の食品が販売され大豆食品の販売が劇的に増加し、1996年から2013年の間に4倍以上になった。
しかしそれらは風前の灯火である。2017年10月、FDAは大豆の健康強調表示を「1999年以降に発表された研究知見が一貫しないため」取り消した。この変更案へのパブリックコメントは2018年3月まで募集され大豆業界からの強い反対意見があった。FDAはまだ最終決定をしていない。2019年11月時点でFDAの広報は我々にFDAがまだコメントをレビュー中であると語った。
その間にも大豆食品メーカーは大豆タンパク質を囲む健康ハローへの打撃に身構え、消費者は混乱している。
大豆はいまだ健康的選択肢？そのベネフィットは誇大宣伝？心臓以外に大豆タンパクを選ぶ理由はある？
ここで複雑でいまだ変わり続けている大豆の物語を見てみよう
（長い文献紹介略）
基本
FDAが大豆と心臓の健康についてどんな決定をしようとも、あなたが好きなら食生活に大豆を含めるのは健康的な選択肢である、特に丸ごとの加工の少ないものを選んで飽和脂肪の多いタンパク源の代わりに食べるなら。大豆の植物エストロゲンは心臓以外のメリットがあるかもしれないがさらなる研究が必要である。大豆イソフラボンサプリメントは勧めない。
（豆腐やがんもどきが加工度が高いから悪いなんてことはない）
-スライムゲート2/7: Predatorts（違法捕食者？）2.1/4:グリホサート強請騒動
SlimeGate 2/7: Predatorts 2.1/4: The Glyphosate Extortion Racket
Posted by RISKMONGER on JANUARY 8, 2020
https://risk-monger.com/2020/01/08/slimegate-2-2-1-the-glyphosate-extortion-racket/
科学を尊重し米国のゆがんだ司法システムに懸念を抱く人達は、最近のグリホサートやくざTimothy Litzenburgの逮捕を歓迎しただろう。この弁護士は除草剤成分を作っているある匿名企業から2000万ドルを強請ろうとして2019年12月17日に逮捕された。
Litzenburgの計画はシンプルである：もし会社が彼に（相談料として）2000万ドルを支払わなかったら、数千人のがん患者原告を会社に向かって解き放つだろう（恐るべきものたちのパレード“parade of the horribles“と言及されている）。お金を払えば、その会社を訴えないでおいてやろう。
噂では（US Right to KnowのCarey Gillamによると、彼女は企業の名前をツイッターでリークもしている）問題の製品はポリエトキシ化獣脂アミン(POEA)で、POEAは多くの除草剤製剤には最早使われていないが有機農業ではまだ使われている界面活性剤である。
犠牲者：恐るべきものたちのパレード“parade of the horribles“あるいは地獄の猟犬“Hounds of Hell”
先の章で私はStephen Tilleryがアトラジンの件でシンジェンタを脅迫しようとしたことについて説明した。彼はシンジェンタに対して地獄の猟犬“Hounds of Hell”を放つと脅迫した。最終的にシンジェンタはTilleryを満足させるお金を払ったが、彼のクライアントが受け取ったのは支払額のたった0.005%である。このことは有害な不法弁護士たちが彼らの原告を実際にどう思っているのかを示す
まだ答えの無い疑問
一連のグリホサート裁判にはまだたくさんの疑問がある
何故モンサントだけ？
グリホサートを製造販売している会社は少なくともあと12はある
何故グリホサートだけ？
どのくらいの不法法律事務所が関係している？
42700以上の訴訟に
これらはグリホサート計画として練られてきたものである。
しかしもしこの協調計画に従わない弁護士が出てきたら？つまりグリホサートとモンサント以外に、POEAや他の会社に手を出したらどうなる？42700以上の訴訟が破綻してしまう。
だからLitzenburgは止めなければならなかった。
LitzenburgがPOEAに手を出し始めると、彼の雇い主である法律事務所The Miller Firmは彼を解雇した。「ジャーナリスト」Carey GillamはTimothy Litzenburgを薬物中毒で無責任な弁護士だと非難しラウンドアップ裁判にとって些末な人物だったことにしようとした。しかし裁判勝訴の写真でTimothyが原告Dwayne Johnsonの隣、真ん中に写っている。LitzenburgはMiller法律事務所のためにがん患者を探していた。法律事務所とLitzenburgはその後お互いに訴えている。しかし裁判で争う前にLitzenburgは強請で逮捕された。
（いろいろ略。弁護士にとってがん患者は金儲けの道具でしか無く、活動家にとって消費者は正当化のための道具。）
-米国の消費者は今年遺伝子組換えサーモンを初めて味わうかも
U.S. Consumers Might Get Their First Taste of Transgenic Salmon This Year
05 Jan 2020 By Amy Nordrum
AquAdvantageサーモンは野生のサーモンが3年かかるところ18ヶ月で4.5kgになり販売できる。カナダでは2017年から販売されている。米国向けに育てられているサーモンの最初の収穫時期が2020年最後の月になる予定
