2020-01-20

[EFSA]意見等

-フルキサピロキサドの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for fluxapyroxad according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005

EFSA Journal 2020;18(1):5984 16 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5984

さらなる検討が必要。

 

-チエンカルバゾン-メチルの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for thiencarbazone‐methyl according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005

EFSA Journal 2020;18(1):5957  16 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5957

規制の枠組みに必要なすべての情報が提示され、消費者へのリスクは確認されなかった。

 

-豚肥育用飼料添加物としてのAPSA PHYTAFEED® 20,000 GR/L (6‐フィターゼ)の安全性と有効性

Safety and efficacy of APSA PHYTAFEED® 20,000 GR/L (6‐phytase) as a feed additive for pigs for fattening

EFSA Journal 2020;18(1):5979  16 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5979

 

-新規食品としてのEDTA鉄ナトリウムに関する追加情報の評価のための技術的支援についての技術報告書

Technical report on the technical assistance for the evaluation of additional information on ferric sodium EDTA as a novel food

15 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1776

欧州委員会の要請を受けて、EFSAは、鉄供給源として使用される新規食品成分のエチレンジアミン四酢酸(EDTA)鉄ナトリウムに申請者が提出した追加情報をレビューするよう求められた。この追加情報は、以前EFSAの食品添加物及び食品に添加する栄養源に関するパネル(ANS)が評価した、Ferrazone XF®として商品化されているEDTA鉄ナトリウムから成る製品にナノメートルサイズの粒子がないことを示すことを目的とした。この追加情報は、ヘリウム比重瓶、窒素吸収、動的光散乱、走査電子顕微鏡法、視覚的溶解度によって得られた。分析で得られた体積あたり表面積は、この製品が小さな粒子(ナノ粒子を含む)で構成される可能性が低いことを示した。溶解度データはこの製品が溶けやすいことを示し、不溶性/ 難分解性粒子の存在に対する懸念は排除される。受け取った追加情報に基づき、EFSAは、Ferrazone XF®の摂取によるナノ粒子を含むEDTA鉄ナトリウムの、小さな、不溶性で、生体に長く残る可能性のある粒子への暴露は起こりそうもないと考えた。

 

-遺伝子組換えBacillus licheniformis DP‐Dzr50株由来食品酵素マルトース生成アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme maltogenic amylase from the genetically modified Bacillus licheniformis strain DP‐Dzr50

EFSA Journal 2020;18(1):5972  17 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5972

この食品酵素マルトース生成アミラーゼ(グルカン 1,4‐α‐マルトヒドロラーゼ; EC 3.2.1.133)は、Danisco US Inc社が遺伝子組換えBacillus licheniformis DP‐Dzr50株で生産した。この食品酵素の生産株には既知の抗菌薬耐性遺伝子の複数のコピーが含まれている。だが、この食品酵素の生産生物由来の生きた細胞やDNAがないことに基づき、これはリスクとは考えられていない。この食品酵素は蒸留アルコール生産、グルコースシロップ生産用の澱粉加工、焼成及び醸造工程での利用が意図されている。この食品酵素の残留量は蒸留や澱粉加工により除去されるため、これらの工程に食事暴露は算出されなかった。焼成及び醸造に推奨される最大使用量とEFSAの包括的欧州食品データベースの個別データに基づき、この食品酵素への食事暴露―総固形有機物量(TOS)は最大0.199 mg TOS/kg 体重 (bw) /日と推定された。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性で評価された。パネルは、無毒性量は少なくとも80 mg TOS/kg bw / 日と確認し、推定した食事暴露と比較すると暴露マージンは少なくとも400になる。既知のアレルゲンに対するアミノ酸配列の類似性が調査され、マッチは見つからなかった。パネルは、意図した使用状況で、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、澱粉加工、焼成、醸造では少ないと考えられる。提出されたデータに基づき、パネルはこの食品酵素は意図した使用状況で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-乳児用及びフォローアップ粉ミルク、ベビーフード、加工シリアルベース食品に栄養目的で添加される葉酸源としてのl-メチル葉酸カルシウム

Calcium l‐methylfolate as a source of folate added for nutritional purposes to infant and follow‐on formula, baby food and processed cereal‐based food

EFSA Journal 2020;18(1):5947 17 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5947

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養、新規食品及び食品アレルゲンに関するパネル(NDA)は、EU規則609/2013に従って、乳児用及びフォローアップ粉ミルク、ベビーフード、加工シリアルベース食品に栄養目的で添加される葉酸源として使用されるl-メチル葉酸カルシウムの使用拡大に関する科学的意見を出すよう求められた。2004年にEFSAは、特定の栄養用途の食品、食品サプリメント、一般食品の葉酸源としてのl-メチル葉酸カルシウムの使用を評価した。触媒としてプラチナを用いた栄養源の生産を目的とした新たな代替合成段階は安全上の懸念を生じず、この生産工程は提案された仕様書に従った製品を一貫して作ることが分かった。以前の評価で評価された研究を基にして、l-メチル葉酸カルシウムは遺伝毒性ではなく、ラットの亜慢性及び胚毒性/ 催奇形性の研究で、検査した最大用量で有害影響は明らかにされなかったと結論した。パネルは栄養源に関するさらなる毒性試験は必要ないと考えた。申請者が提出した健康的な乳児での介入研究は、l-メチル葉酸カルシウムあるいは葉酸を補給した乳児用粉ミルクどちらかを摂取した乳児の、生育のや耐性パラメーターに違いを示さず、提案した栄養源で乳児用粉ミルクの安全性や許容性に関する懸念を生じなかった。この研究はまた、l-メチル葉酸カルシウムの生物学的利用能のさらなる証拠となる。パネルは、l-メチル葉酸カルシウムは葉酸が生物学的に利用可能な供給源であると考え、l-メチル葉酸カルシウムは乳児及び幼児への使用目的と使用量で安全だと結論した。

 

[ANSES]ウォータービーズ:飲み込んだとき子どもに危険

Water beads: hazardous to children in the event of ingestion!

26/12/2019

https://www.anses.fr/en/content/water-beads-hazardous-children-event-ingestion-0

フランス当局は、子供、特に5歳以下の子供が飲み込む吸収ゲルビーズのリスクを両親や保護者に警告している。これらの事故は深刻で、時には致命的な結果を招く可能性がある。

ウォータービーズは重量の400倍まで吸水するように作られている。半透明で鮮やかな色で、通常切り花用の花瓶に詰める装飾目的で使用される。幼児を監督する際には、このビーズが手に届かないよう細心の注意を払う必要がある。

最近の死亡者1人を含む、主に5歳以下の子供が関与する深刻な誤飲事故が数件報告されている。保健総局(DGS)、フランス競争・消費・不正抑止総局(DGCCRF)、フランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)は、これらの製品の安全性を改善し、この種の事故を防ぐために関連部門の専門家と協力している。

ウォータービーズの誤飲は、特にビーズが完全に水で戻されていない場合、子供には非常に危険である。

リスクは何?

飲み込んだ後、数時間にわたってかなり膨張し続けることがあり、腸閉塞の原因となる。最も深刻な事例では、これらの事故には大手術が必要となり、迅速に対応しないと致命傷の可能性がある。すべての小さな物体同様、ビーズにも窒息の危険性がある。

誤飲を防ぐ最良の方法とは?

子供はウォータービーズをお菓子と間違えて飲み込む可能性があるので、常時子供の手の届かないところに置いておくことが重要である。

誤飲や誤飲の疑いがある場合にはどうすればよい?

対処法の助言を求めて中毒管理センターに連絡すること。

当局も、ウォータービーズを「おもちゃ」として、特にオンラインで販売・宣伝している小売業者が存在することを消費者に警告している。見かけが魅力的でも、ウォータービーズはお菓子でもおもちゃでもない。そのように提示したがるオンライン小売業者はいるけれど!

なお、アクセサリー玩具と確認された法令違反の危険なウォータービーズがあれば、DGCCRFがそれらを回収/ リコールする。

 

[EU]RASFF Week03-2020

警報通知(Alert Notifications)

インド産旅行用マグからのフタル酸ジブチル(DBP)の溶出(1.8 mg/kg)、ロシア産ビスケットのグリシジルエステル類(5384 µg/kg)、ベルギー産原料オランダ産チョコレートドロップスのカドミウム(0.474 mg/kg)、ドイツ産イヌ用完全飼料のカドミウム(7.15 mg/kg)、スロバキア産ブルーポピーシードのモルヒネアルカロイド高含有(50.2 mg/kg)、イタリア産原料中国産煎ったピーナッツのアフラトキシン(B1 = 12.2; Tot. = 14 µg/kg)、

注意喚起情報(information for attention)

2,4-ジニトロフェノール (DNP)のオンライン販売、ベルギー産生鮮ニンジンのエトプロフォス(0.18 mg/kg)、

フォローアップ用情報(information for follow-up)

エジプト産酢漬けのブドウの葉のクロルピリホス(0.056 mg/kg)・シペルメトリン(0.15 mg/kg)・シプロジニル(0.11 mg/kg)・フルジオキソニル(0.3 mg/kg)・ルフェヌロン(0.33 mg/kg)・アセタミプリド(0.027 mg/kg)・プロピコナゾール(0.042 mg/kg)・チオファネートメチル(1.4 mg/kg)・ラムダシハロトリン(0.18 mg/kg)・インドキサカルブ(0.1 mg/kg)・アゾキシストロビン(0.21 mg/kg)・トリフロキシストロビン(0.6 mg/kg)・ボスカリド(0.055 mg/kg)及び未承認物質ジチオカルバメート(0.15 mg/kg)・カルベンダジム(5.5 mg/kg)・イプロジオン(0.28 mg/kg)・クロルフェナピル(0.055 mg/kg)、スペイン産オランダ経由CBD水の未承認新規食品成分カンナビジオール(CBD)、

通関拒否通知(Border Rejections)

イラン産ピスタチオのアフラトキシン(B1 = 11.9; Tot. = 12.8 µg/kg)、アルゼンチン産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(Tot. = 63 µg/kg)、ウクライナ産食品を入れるのにふさわしくない(錆びた)ドラム缶に保管したオーガニックハチミツ、中国産香港経由未承認新規食品羅漢果、トルコ産ペッパーのピリダベン(0.175 mg/kg)及びアクリナトリン(0.197 mg/kg)、トルコ産乾燥イチジクのアフラトキシン(B1 = 5.7; Tot. = 14.7 µg/kg)、

 

[BfR]良い包装:食品安全と持続可能性を楽しもう

Well wrapped: enjoying food safely and sustainably

14.01.2020

https://www.bfr.bund.de/en/press_information/2020/02/well_wrapped__enjoying_food_safely_and_sustainably-243825.html

BfRは国際緑の週間に食品の取り扱いと包装の助言を提供する

2020年1月17-26日のベルリン国際緑の週間でのBfRの展示

1月21日には国際フォーラムで「植物保護製品を安全に使って健康でいる」をテーマにする

 

[RIVM]食品中ナノマテリアルの健康リスクの可能性:シグナルの同定方法とリスクの優先順位付け

Potential health risks of nanomaterials in food: a methodology to identify signals and prioritise risks

16-01-2020

https://www.rivm.nl/publicaties/potential-health-risks-of-nanomaterials-in-food-methodology-to-identify-signals-and

本文オランダ語

要約のみ英語

食品や飲料水由来のナノプラスチック粒子、ナノ銀、食品のナノカプセル化、食品に鉄を加える際のナノ粒子の使用、乳児用ミルクの針状ナノヒドロキシアパタイトの6つのシグナルについては詳細に記述

 

[HK]回収

ブラジル農業畜産食糧供給省(MAPA)より‐ビール飲酒後、ジエチレン・グリコール中毒の疑いがあるため、ブラジルのCervejaria Backerにより製造されたすべてのビール製品の商品回収の通達 。

The Ministry of Agriculture, Livestock and Food Supply (MAPA) – notices regarding a recall of all beer products manufactured by Cervejaria Backer in Brazil due to suspected diethylene glycol poisoning cases after drinking the beer

17 January 2020

https://www.cfs.gov.hk/english/rc/subject/files/20200117_1.pdf

 

[ヘルスカナダ] リコール:

Viande Richelieu Meat ブランドの馬肉はクレンブテロールのため回収措置

Viande Richelieu Meat brand horse meat recalled due to presence of clenbuterol

January 14, 2020

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/inspection/2020/72147r-eng.php

 

[FSAI]リコール

-アフラトキシン濃度上昇のため、Tesco Halloween Monkey Nutsの回収措置

Withdrawal of Tesco Halloween Monkey Nuts Due to Elevated Levels of Aflatoxins

Friday, 17 January 2020

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/aflatoxin_monkey_nuts.html

Tescoはアフラトキシン濃度上昇発覚のため、Halloween Monkey Nutsを回収措置。製品写真あり。

 

-IKEAはフタル酸ジブチル濃度が高いため、一部のTroligtvisトラベル用マグの回収措置

IKEA Recalls Certain Troligtvis Travel Mugs Due to Migration of Elevated Levels of Dibutyl phthalate

Thursday, 16 January 2020

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Ikea_recall_travel_mugs.html

IKEAはフタル酸ジブチル濃度が高いため、一部のインド製Troligtvisトラベル用マグを回収している。製品写真あり。

 

[PMRA]PMRA年次報告書2018–2019

Pest Management Regulatory Agency Annual Report 2018–2019

2020-01-17

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/consumer-product-safety/reports-publications/pesticides-pest-management/corporate-plans-reports/annual-report-2018-2019.html

(ネオニコチノイドとグリホサートの記述あり)

 

[PMRA]ネオニコチノイド殺虫剤について更新

Update on the Neonicotinoid Pesticides (January 2020)

16 January 2020

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/consumer-product-safety/reports-publications/pesticides-pest-management/fact-sheets-other-resources/update-neonicotinoid-pesticides-january-2020.html

現在進行中のネオニコチノイド殺虫剤評価についての進行状況を報告する。このグループの殺虫剤の評価は極めて複雑で多方面にわたり、各側面での評価の更新状況は以下である

拝啓

受粉媒介者インシデント報告

受粉媒介者評価

A:これまで終わった作業

B:これから終わる作業

C:終わるまでのタイムライン

循環的再評価:イミダクロプリド

水生生物特別レビュー:クロチアニジンとチアメトキサム

A:これまで終わった作業

B:現状

C:終わるまでのタイムライン改訂

循環的再評価::クロチアニジンとチアメトキサム

A:現状

B:終わるまでのタイムライン

 

[Codex]大臣は基準設定機関の役割強化を約束する

Ministers commit to strengthening the role of standard setting organizations

18/01/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1257947/

2020年1月18日(3月って書いてあるけど)に開催された第12回ベルリン農業大臣会合。

 

-食料と農業についての世界フォーラムは全ての人の利益のために国際取引を形作ることの重要性を議論

Global Forum for Food and Agriculture discusses importance of shaping international trade for the benefit of all

16/01/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1257894/

 

[FTC]FTCは「健康で成功」インスタントコーヒーマルチ商法を止めさせる

FTC Acts to Shut Down ‘Success by Health’ Instant Coffee Pyramid Scheme

January 16, 2020

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2020/01/ftc-acts-shut-down-success-health-instant-coffee-pyramid-scheme

富への空約束が参加者に何百万も失わせる

連邦裁判所はFTCに‘Success by Health’として知られるマルチ商法の一時差止と会社と社長の財産の凍結を認めた

被告は消費者から700万ドル以上を集めそのうち130万ドル以上を自分のポケットに入れた。支払った額より多くのお金を受け取った参加者は2%以下だった

主製品は“MycoCafe”というインスタントコーヒーで、キノコ(霊芝と宣伝されている)が入っているから健康に良いと主張されていた

-消費者向けblog

FTCは“Success By Health”はマルチ商法だという

FTC says “Success By Health” is a pyramid scheme

January 16, 2020 by Seena Gressin

https://www.consumer.ftc.gov/blog/2020/01/ftc-says-success-health-pyramid-scheme

もしあなたがMLM参加を計画しているのなら詳しく調べること。まずオンラインで会社の名前と評判、詐欺、苦情のような単語で検索すること。そして参加者をリクルートすることを強調されたらそれはマルチ商法。

-事業者向けblog

FTC alleges “Success By Health” is a pyramid scheme

By: Seena Gressin | Jan 16, 2020

https://www.ftc.gov/news-events/blogs/business-blog/2020/01/ftc-alleges-success-health-pyramid-scheme

 

[FSANZ]緊急時の食品安全

Food safety in an emergency

(January 2020)

https://www.foodstandards.gov.au/consumer/safety/safetyduringemergency/Pages/default.aspx

緊急事態の前、間、後でのやるべきこと

(山火事関連)

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 108–20

17 January 2020

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular108%E2%80%9320.aspx

新規申請と提案

加工助剤としてのGM Trichoderma reesei由来グルコアミラーゼ、加工助剤としてのアルファアミラーゼ、線虫体制除草剤耐性大豆GMB151由来食品

食品基準改定

ハーブとスパイスの食品照射定義、加工助剤としてのTrichoderma reesei由来アルファグルコシダーゼ

など

 

肉の食事助言へのバックラッシュは企業と栄養科学の結びつきに疑問を提示する

Backlash Over Meat Dietary Recommendations Raises Questions About Corporate Ties to Nutrition Scientists

January 15, 2020  Rita Rubin, MA

JAMA. Published online January 15, 2020. doi:10.1001/jama.2019.21441

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2759201

データが発表される前に、研究に否定的な反応があるのは医学雑誌では聞いたことがない。しかし昨年の秋のAnnals of Internal Medicineで編集者が、赤肉を食べることと心血管系疾患とがんの関連は成人に食べる量を減らすよう助言するにはあまりにも弱いことを示したいくつかの研究を投稿しようとしたときにそれがおこった。

Annalsの編集長Christine Laine博士が受信トレーに約2000の電子メールを見た-ほとんどが同じ内容で、30分以内でボットが作ったもののようだった。Laineはメールボックスをシャットダウンするしかなかった。彼女がこの尊敬されている雑誌の編集長として過ごした10年のうちで前例の無い量だっただけではなく、メールのトーンは極めて辛辣だった。

「私たちはたくさんの銃によるけがの予防についての論文を発行してきた。全米ライフル協会(NRA)のほうがこのTrue Health Initiative(THI)よりずっと暴力的ではなかった」とLaineは言う。

THIはDavid Katz医師を長にするNPOでそのウェブサイトでは活動の目的を「世界から予防可能な病気をなくすため、由緒ある根拠に基づいたライフスタイルの基本と医薬品を用いてフェイクファクトと偽りの疑いと戦う」と記述している。THIの理事会メンバーにはWalter Willett, MD, DrPH, や Frank Hu, MD, PhDなどのハーバードの栄養研究者らが名前を連ねている。

JAMAとのインタビューでLaine が語ったところによると、Katzと Willettと Huは論文が出版される前に取り下げるようにLaineに普通でない接触のしかたをした。おそらくそれは驚くべきことではない。「研究者の一部は栄養疫学のキャリアがあり、その仕事の限界を公開の場で暴露され議論されることがいやだったことは理解できる」とLaineは言う。

その後のニュース報道ではこれらの肉の論文の方法論を批判し著者らの一部に牛肉業界との経済的結びつきを疑うものがあった。

しかし多くの部分で見過ごされてきたのはKatzとTHIとその多くの理事会メンバー自身も膨大な業界との結びつきがあるということである。違うのは彼らの結びつきが、人々が赤肉を減らして植物を多く食べることで利益がある企業や団体とのものであることである。牛肉業界と違って、これらの業界は健康とウェルネスのオーラをまとっている、しかしそれは必ずしも根拠に基づいたものではない。

最先端の科学

Annalsは5つの系統的レビューを発表した。そしてエディトリアルでAaron Carroll医師とTiffany Doherty博士が「これは確かに議論になるだろう、しかし現時点で最も包括的な根拠のレビューである」と書いた。CarrollはNYTでも質の高い栄養研究を行うことの難しさを書いている

(略)

うわさがひろがる

論文が出る前にAnnalsに論文を取り下げるよう要求があったということは、雑誌の制限方針が守られなかったことを示唆する。これは重大な違反である。THIのウェブサイトの記事によると彼らは肉の論文をオンライン発表の5日前に入手している。Katzはコネチカットの新聞に毎週コラムを書いているのでプレスリリースリストに入っていたとLaineは言う。Katzは公開したのは論文本文ではなくプレスリリースだけだと主張しているが制限対象にはプレスリリースも含まれる。Katzは制限対象記事を提供されるジャーナリストのリストからは外された。

問題の論文が発表される4日前にKatzと11人のTHIのメンバーがLaineに論文取り下げを要求する手紙を送った。署名した中にはPhysicians Committee for Responsible Medicine (PCRM)の会長Neil Barnard, MDもと米国公衆衛生局長官Richard Carmona, MD, MPH;トロント大学医学部栄養教授 David Jenkins, MD, PhD、タフツ大学Dariush Mozaffarian, MD, DrPHが含まれる。

Laineは「私の母校の人達を含むグループがこれに関係して援助していることを知って私は本当にぞっとした」という

論文が解禁になって数時間後BarnardのPCRMはさらにFTCに「Annals of Internal Medicineの発表した肉に関する間違った声明を修正するよう」請願を行うことまでした。しかしFTCはそれはFTCの役割ではないという。

「情報テロ」

この非難は肉論文出版後数週間続いたがKatzは雑誌のウェブサイトや編集者へのレターのような通常のコメントルートは使っていない。Katzは連載をもっている新聞のコラムでこれらの論文を公衆衛生への「情報テロ」と呼ぶ。

約3週間後、PCRMはAnnalsの編集部があるフィラデルフィア市地方検事に、肉論文の出版によって「思慮無く公衆を危険にさらした可能性を調査する」よう要請した。

さらなる言葉による非難は最近開催された、発表の半分が植物食に関するものだった心臓病予防の学会でのものだ。基調講演でWillettが示したスライドはタイトルが「デマDisinformation」で、いくつかの団体や個人を非難するもので、AnnalsやNYTの記者Gina Kolataなどの「センセーショナルなメディア」、栄養科学者Patrick Stover 博士、NutriRECSの根拠に基づいた科学の提唱者、Gordon Guyatt医師などを名指ししていた。WillettはJAMAの取材メールに「それは食事と健康に関するメディア報道で人々が混乱していることについての私の話の一部だ」と回答している。「一部はその混乱の元になっているデマのトライアングルに関するものだ。同じ戦略が砂糖と炭酸飲料の摂取、気候変動、大気汚染、その他環境ハザードについて使われている」

GuyattはオンタリオのMcMaster大学の著名な教授で、30年前に根拠に基づいた医学の概念を発達させるのに主導的役割を果たした。肉論文が発表された数日後のカナダの放送局CBCとのインタビューで、こうした反応は「完全に予想されていて、感情的なものである」と述べている。

Tufts大学のSheldon Krimsky教授の見方は違う。「まるで政治的キャンペーンのようだ」。アメリカ公衆衛視絵学会の年次会合で公衆衛生への企業の影響についての議論で「かつてモンサントが逆方向で同じことをした」という。

Science-Based Medicineウェブサイトの創始者で編集長であるSteven Novella医師は、長い間Katzを批判してきたが、THIの肉論文反対キャンペーンについてより的を射た指摘をする。Yale大学の神経学者であるNovellaは「それは暗殺作戦である」とJAMAに回答する。「彼らには、自分たちの気に入らない科学的知見を却下するための一定の戦略がある。そのうちの一つが「薄っぺらな」利益相反を訴えることである」

「同時発生Confluence」か利益相反か

THIは肉論文や添加された砂糖や炭水化物の論文の著者らが食品企業から資金提供を受けたことがあると度々利益相反を主張してきた。しかしTHIの理事会メンバーもまた企業との関係はよくある。例えばTHIの「パートナー」にはオリーブ製品の販売促進を目的とした「オリーブウェルネス研究所」や肉代用品を売っているQuornなどが含まれる。そしてKatz自身が個人のウェブサイトで自分を「起業家entrepreneur」と自己紹介している。そして履歴書によるとKatsとHuはカリフォルニアクルミ委員会から資金提供を受けていて彼らの大学ハーバードT.H. Chan School of Public Healthはクルミ団体から数十万ドルの資金を受け入れている。Katzは「企業からお金をもらうことが基本的に悪いことではない」と言う。THI理事会のメンバーでもと米国公衆衛生局長官Richard Carmonaはダイエタリーサプリメント企業のHerbalife Nutritionの理事を務め贅沢なスパ休暇の世界的リーダーであるCanyon Ranchの「健康イノベーション主任」である。

(企業と関係大幅略)

消費者の混乱

栄養研究者のふるまいが良くない場合消費者は負けるか?

THI理事会メンバーでアルバータ大学健康法研究所長Timothy Caulfield, LLMは、2018年にトロントのGlobe and Mail紙で「北米で最も注目されている懐疑主義者」と説明されているが、THIのことを「この理事会にはたくさんの代替医療プラクティショナーや「統合医療」提唱者がいるので科学に基づいたアプローチをやり直すは困難だろう」と注記している。THI理事会を辞任する計画はあるのかと尋ねたところ、Caulfieldは「もう少し考える必要があるだろう。名前を外して欲しいとはまだ言っていないが、既にあまり関与はしていない」と言った。

肉論文を巡る不快な騒音は、根拠の確実な論点をかき消している、とLaineはいう。

「残念ながら重要なメッセージが失われてしまった。かつて信頼できるガイドラインは人々や団体が依ってきた。今や人々は食事について偉大な情報はないことを知るべきである。我々は人々を、赤肉を食べたら心臓発作になるぞとか大腸がんになると脅すべきではない」

 

(薄弱な根拠で強い政策を推進するべきではない、という極めてまともな主張が通用しないのがこの分野。WHOのトランス脂肪ゼロもそうで、取り過ぎは良くないという根拠はあってもゼロにすべきという根拠は無い。)

 

論文

-夕食の二酸化炭素排出量:魚フライはどのくらい「グリーン」か?

The carbon footprint of dinner: How 'green' are fish sticks?

16-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uoc--tcf011620.php

人気のある製品は相当な「漁獲後」の排出があり、魚を捕まえた後に何がおこるのかを測定する必要性を強調する

スケトウダラを魚フライ、かにかまぼこ、魚の切り身に加工することの気候への影響を調べた研究。Elementa: Science of the Anthropocene

(普通ライフサイクルアセスメントはされていないと書いてある)

 

-新しい方法はヒトの尿で有害藻類大発生による毒素暴露を検出する

New method detects toxin exposure from harmful algal blooms in human urine

16-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/fau-nmd011520.php

Florida Atlantic大学のハーバーブランチ海洋学研究所とCDCの協力でヒトの尿からミクロシスチンとノジュラリンを検出する免疫捕捉プロテインホスファターゼ阻害アッセイimmunocapture protein phosphatase inhibition assay (IC-PPIA)法を開発した。この方法で86の尿を調べて0.055, 0.089 および0.052 ng/mL MC-LR 相当量を検出。 Toxins

 

-ローカルの活動家は潰せない、研究が発見。よくても標的を変えるだけ

Local activism can't be crushed, research finds. At most, it changes target

16-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/bu-lac011620.php

Strategic Management Journalに発表されたFabrizio Perretti と Alessandro Piazzaによる新しい研究は、地域の活動家が目標を達成すると彼らは活動を高め、失敗すると消滅するのではなく他の業界に飛び火する

工場や施設建設に反対する地域の活動家の活動サイクルについての研究

予想されたとおり、原子力発電所の建設反対運動に成功すると同様の抗議が活発になる。一方Seabrookでのように原子力発電所が建設されて1976年から始まって1986年までの長引く運動が失敗した場合、目標が達成できなかったにもかかわらず、Seabrookの活動家は地域の人々を巻き込んで大規模抗議運動のモデルとなってAIDS活動団体のような異なる問題への活動につながった

(一度活動家になったら問題に関係なく抗議活動を止めない人が多いってこと?)

 

その他

-Science

禁止は現代の公衆衛生の役に立つ?

Do bans help modern public health?

Lawrence O. Gostin

Science 17 JANUARY 2020 VOL 367, ISSUE 6475  pp. 229

一世紀前の禁酒法から現在の電子タバコや大麻の話に

 

中国の新しいSARS様ウイルスが警鐘を鳴らす

New SARS-like virus in China triggers alarm

  1. 234-235

Jon Cohen, Dennis Normile

現在少しだけ安心感がでているがまだ疑問が多く残る。ウイルスを持っていた動物がわかっていない。いつから、真の患者数は?

 

レター

オーストリアのグリホサート禁止を支持する

Support Austria's glyphosate ban

Wanxi Peng, Su Shiung Lam, Christian Sonne

  1. 257-258

有害除草剤の禁止を可能にするには我々は植物の根の抽出物や作物栽培ローテーションや石けん、脂肪酸、酢などのナチュラルでエコな除草剤代用品に集中しなければならない。最も重要なことは集約的でない農業をしなければならない。

(ほぼ間違いばかりのレター。酢や脂肪酸のほうが害は大きい。グリホサート禁止を主張している人達の農業や科学の認識はこの程度であることを如実に示す)

 

-Natureニュース

壊滅的オーストラリアの山火事は研究を狂わせる

Catastrophic Australian bushfires derail research

Dyani Lewis 17 JANUARY 2020

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00130-4

しかし科学者は侵入性生物種のコントロールや生態系攪乱研究のチャンスだとみる

 

-コンシューマーラボ

チアシードレビュー

Chia Seed Review

1/18/20

https://www.consumerlab.com/reviews/chia-seed-reviews/chia/

調べたチアシード(丸ごと、挽いたもの、発芽種子、種子粉末、ダイエタリーサプリメント)製品のうち一つは鉛汚染があり表示と含まれる栄養成分が大きく異なっていた。

 

-MLMは起業家の夢を食い物にしている

MLMs are preying on the dream of entrepreneurship.

Bushnell M.  Business.com. Aug 22, 2019

https://www.business.com/articles/mlms-target-women-and-immigrants/

マルチ商法企業は女性、移民、低所得の少数民族を標的にする

何かを必死に望む人がいるところにはどこでも、それを餌食にするものたちがいる。

ユタ州に拠点を置くMLM企業が多いのは、ユタ州には自宅にいる母親が多く、モルモン教徒はコミュニティーや大家族に大きな価値をおくためMLMが浸透しやすいためである。

(ビジネスライターの記事。ビジネスを始めたいなら知っておくべきことが書いてある)

 

-バックファイヤー効果。それは存在する?そしてそれはファクトチェッカーにとって問題か?

The backfire effect. Does it exist? And does it matter for factcheckers?

Full Fact, Aug 2019  Sippit A.

https://fullfact.org/media/uploads/backfire_report_fullfact.pdf

Full Factは英国のファクトチェック団体で、この報告はバックファイヤー効果についての文献をレビューしたもの

・「バックファイヤー効果」とは、ある言説の間違いを指摘することがかえってイデオロギー的信念を強化してしまうことを指す

・この効果はしばしばファクトチェックは効果がないと解釈される

・この効果について米国で行われた主要な7つの実験研究をレビューした

・バックファイヤー効果は特定の事例では起こる可能性があるが現在の根拠はそれが普通に起こると言うより希なものであることを示す。一般的には間違いの指摘は人々の信念をより正確にする

・2010-2012年の間に行われた二つの研究で特定の環境下でのバックファイヤー効果についての幾分かの根拠が得られている

・より最近の2015年から2019年の研究ではバックファイヤー効果の根拠は得られなかった

・バックファイヤー効果が見られた事例は特に議論が多いトピックスか、あるいは事実とされる主張が曖昧である傾向がある

・我々の世界観は偽りの暴露が有効なのはどのくらいなのか、に影響する

・我々の行動への神話の否定の影響は複雑である。このまとめはこの詳細については検討していない、間違いを暴くことが信念の正確さにどう影響するのかに焦点を絞った。

・このレビューではファクトチェックは市民に情報を与えることに役立つこと、バックファイヤー効果は普通というよりむしろ希であることを示唆する。どのようなファクトチェック内容が最も効果的かを理解するにはさらなる根拠が必要である。

(そんなにたくさんの研究があるわけではない。事実を伝えられると困る人達がバックファイヤー効果や欠如モデルをことさら強調するような)

 

-あなたはしわ取り目的で高圧酸素チャンバーに入りたい?

So You Want to Pop Into a Hyperbaric Oxygen Chamber to Rid Yourself of Wrinkles?

Jonathan Jarry M.Sc. | 16 Jan 2020

https://mcgill.ca/oss/article/health-pseudoscience/so-you-want-pop-hyperbaric-oxygen-chamber-rid-yourself-wrinkles

いくつかの営利目的のクリニックがこの酸素で満たした金属管を若返りの秘薬として宣伝しているがその根拠はない

 

-THE LANCETエディトリアル

オーストラリアが燃えている

Australia on fire

THE LANCET VOLUME 395, ISSUE 10219, P175-176, JANUARY 18, 2020

 

THE LANCETワールドレポート

山火事はオーストラリアの医療システムの弱点をあらわにする

Bushfires expose weaknesses in Australia's health system

Sophie Cousins

THE LANCET VOLUME 395, ISSUE 10219, P175-176, JANUARY 18, 2020

医師らは準備ができていなかった、気候変動は健康問題とは考えられてこなかった

主な健康影響は呼吸器と心血管系だが精神衛生にも影響する可能性がある

(オーストラリアはもともと頻繁に山火事が起こっていたのだけれど今回はその規模が前例がないほど)