2020-01-21

[EFSA]意見等

-遺伝子組換えAspergillus luchuensis Inui RF7398株由来食品酵素キシラナーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme xylanase from the genetically modified Aspergillus luchuensis Inui strain RF7398

EFSA Journal 2020;18(1):5971  20 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5971

この食品酵素キシラナーゼ(4‐β‐d‐キシラン キシラノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.8)は、AB Enzymes GmbH社が遺伝子組換えAspergillus luchuensis Inui RF7398株で生産した。この遺伝子組換えは安全上の懸念を生じない。この食品酵素に生産生物の生きた細胞や組換えたDNAは含まれない。この食品酵素は焼成及びシリアルベース工程で使用することを意図している。最大使用量に基づき、この食品酵素への食事暴露―総固形有機物量(TOS)は欧州人で最大0.008 mg TOS/kg 体重(bw)  /日と推定された。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を試験した最大量の1,000 mg TOS/kg bw /日と確認し、これを推定した食事暴露と比較すると、暴露マージンは少なくとも125,000となった。既知のアレルゲンに対するこの食品酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図した使用状況で、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、これが起こる可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、意図した使用状況で、この食品酵素は安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-遺伝子組換えダイズSYHT0H2の食品及び飼料としての使用、輸入、加工のための評価(認可申請 EFSA‐GMO‐DE‐2012‐111)

Assessment of genetically modified soybean SYHT0H2 for food and feed uses, import and processing, under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA‐GMO‐DE‐2012‐111)

EFSA Journal 2020;18(1):5946  20 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5946

この申請で記述されているダイズSYHT0H2は、ヒトと動物の健康と環境への潜在的な影響に関して、従来対象種及び検査した非GMダイズ参照種と同様に安全である。

 

-Bacillus amyloliquefaciens BANSC株由来食品酵素α-アミラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme α‐amylase from Bacillus amyloliquefaciens strain BANSC

EFSA Journal 2020;18(1):5976  20 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5976

この食品酵素α‐アミラーゼ (4‐α‐d‐グルカン グルカノヒドロラーゼ; EC 3.2.1.1)はAdvanced Enzyme Technologies Ltd社が非遺伝子組換えB. amyloliquefaciens BANSC株で生産した。このα-アミラーゼは醸造及び焼成工程、グルコースシロップ生産や他の澱粉加水分解物の澱粉加工での使用を意図している。この食品酵素の残留量はグルコースシロップ生産の澱粉加工中に除去されるため、食事暴露の推定から除外されている。醸造及び焼成工程の最大推奨使用量とEFSAの包括的欧州食品データベースの個別のデータに基づき、食事暴露―総固形有機物量(TOS)は最大0.468 mg TOS/kg 体重 (bw) /日と推定された。親株は安全性適格推定(QPS)生物とみなすのに必要な資格を満たしており、それゆえ安全だと推測される。この食品酵素の安全性の結論は、製造条件をさらに考慮して、生産株に関するQPSアプローチに従って作られた。その結果、パネルはアレルゲン性の評価以外の毒性学的研究は必要ないと考えた。パネルは、意図した使用状況で、この食品酵素に対する食事暴露上のアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、そのような可能性は低いと考えた。この生産株のQPSステータス及び提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用状況で、安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-遺伝子組換えStreptomyces rubiginosus DP‐Pzn37株由来食品酵素キシロースイソメラーゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme xylose isomerase from the genetically modified Streptomyces rubiginosus strain DP‐Pzn37

EFSA Journal 2020;18(1):5978 20 January 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/5978

この食品酵素はDanisco US Inc社が遺伝子組換えStreptomyces rubiginosus DP‐Pzn37株で生産したd‐キシロース アルドース‐ケトース‐イソメラーゼ (EC 5.3.1.5)である。この生産株には抗生物質耐性遺伝子が含まれているが、この食品酵素はその生産生物の生きた遺伝子やそのDNAがないことが示された。この食品酵素は高フルクトースシロップ生産のためのグルコース異性化の固定化型での使用を意図している。総固形有機物量(TOS)の残留量は、固定化した食品酵素の使用により除去され、固定化した酵素を用いた高フルクトースシロップ生産中に適用される精製段階でさらに取り除かれる。その結果、食事暴露は算出されなかった。遺伝毒性試験は安全上の懸念を生じない。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは、無毒性量を、検査した最大用量の85.2 mg TOS/kg bw / 日と確認した。既知のアレルゲンに対するアミノ酸配列の類似性が調査され、マッチは見つからなかった。パネルは、意図した使用状況で、この食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、そのような反応が生じる可能性は低いと考えた。提出されたデータ、固定化工程、高フルクトースシロップ生産中の総固形有機物量の除去に基づき、パネルはこの食品酵素は意図した使用状況で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

ルクセンブルグはグリホサートの使用を禁止する最初のEUの国になる

ルクセンブルグ政府プレスリリース

Luxembourg, the first EU country to ban the use of glyphosate

Press release16.01.2020

https://gouvernement.lu/en/actualites/toutes_actualites/communiques/2020/01-janvier/16-interdiction-glyphosate.html

グリホサートは2020年12月31日までに廃止

・有効成分グリホサートを含む製品の認可は2020年2月1日から取り下げ

・ストックの使用は2020年6月30日まで認められる

・猶予期間は2020年12月31日まで

EUレベルでの認可は2022年12月15日まである

グリホサートの使用を諦めた農家には補償金が提供される

 

[FAO]東アフリカのバッタの増加と戦うには膨大な、国境を越えたキャンペーンが必要

Massive, border-spanning campaign needed to combat locust upsurge in East Africa

20 January 2020, Rome/Nairobi

http://www.fao.org/news/story/en/item/1257973/icode/

サバクトビバッタがエチオピア、ケニア、ソマリアを覆っている-既にその規模は前例が無く、対策をしなければ他の東アフリカの多くの国に破壊的影響が広まる可能性がある、とFAOが本日警告した。

地域は既に対策を始めているが脅威の規模と緊急性を考えると追加の財政支援が必要。

 

[COT]2020年1月28日の会合の議題とペーパー

COT Meeting: 28 January 2020

https://cot.food.gov.uk/cot-meetings/cotmeets/cotmeets/cot-meeting-28-january-2020/cot-meeting-28-january-2020

・EFSAのオクラトキシンAの意見募集

・WHOのEHC240の意見募集

・カンナビジオールについて更新

・6ヶ月から5才の子どものオート麦ドリンクのマイコトキシン汚染の健康リスクについて

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/tox202003oatdrinks.pdf

牛乳やその他の動物の乳の代用品としての植物ベースの飲料(米、オート麦、アーモンド、ヘーゼルナッツ、麻など)の販売が増加している。乳糖不耐やグルテン不耐などのために、あるいは菜食主義のために飲んでいる可能性がある。英国では2014年に15万人だったビーガンが2019年は60万人に増加している

T-2およびHT-2毒素の推定摂取量は推定値では乳幼児のARfDおよびTDI未満、n=1の測定値を使うと超過

・生体異物とヒト微生物叢の毒性学的相互作用

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/tox202004microbiotastatement.pdf

ヒトの腸内細菌叢の組成には相当な個人による多様性があるため実験動物での結果を当てはめるのは困難である、さらに細菌の分類学的変化と全身疾患の関係は因果関係ではなく相関関係であろう。ヒト微生物叢への生体異物の影響について調べるには異なる年齢集団での長期前向き研究が必要であろう。そうした研究では腸の場所によって細菌叢の組成が天然に異なるために特定の消化管部位に標的を絞る必要がある。概要と現状については同意

本文は最新の文献レビューになっている

結論として

消化管の微生物コミュニティは複雑で少数の門の膨大な種からなりその数や種類の範囲は状態や腸の場所により、主な貯蔵場所は大腸、特に盲腸

生体異物の腸内細菌叢への影響についての研究はほとんどが動物実験

動物実験から、腸の移動する内容物の微生物はより固定された粘膜近くの細菌とは違うことがわかっており、従って糞便中微生物の変化は全体のコミュニティを反映していない

動物実験で報告されている変化が病気なのか自然の適応なのかについてはほとんど根拠が無い

ヒトでも測定可能な微生物の変化が観察されているが抗生物質の経口摂取による影響より小さい

食べたものは全て腸内細菌に影響を与える可能性はある

腸内細菌は摂取したものの活性化や不活性化両方の作用があるようだ

一部の細菌は宿主の健康状態と関連することが示されているがこれまでのところ関連のみで因果関係の決定的根拠は無い

個別化医療への関心の高さから、個人の腸内細菌叢を利用した治療法が試みられる可能性はあるが、それには因果関係のある生物の知識が必要で、現時点でそれは存在しない

・電子タバコの毒性学的リスク

・ホライゾンスキャニング

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/tox202009horizonscanning.pdf

現在進行中のもの

1-5才の子どもの補完食

電子タバコ

強さを推定する方法の開発

PFOAのPBPKモデリングプロジェクト

マイクロプラスチック

マイクロバイオーム

ダイオキシン

母親の食事

植物ベースの飲料

SETEサブグループ

他に食品中ヒト医薬品、プラスチック包装代用品

・2019 COT年次報告書

 

[ASA]非侵襲性出産前検査(NIPT)-ASAの裁定から考える

Non-Invasive Prenatal Testing (NIPT) – A look at the ASA’s rulings

CAP News 16 Jan 2020

https://www.asa.org.uk/news/non-invasive-prenatal-testing-nipt-a-look-at-the-asa-s-rulings.html

統計は厄介である。たとえ真実であっても誤解を招くことがあるのは最近のNIPT販売業者への一連の裁定で示された。NIPTは妊娠女性が胎児にダウン症のような遺伝的病気があるかどうかを調べる検査である。

この成長するセンシティブな分野の業者が新しいガイドラインに従うようにCAPのコンプライアンスチームは事業者に連絡をとっている。

今回のUltrasound Direct, My Baby Enterpriseおよび The Birth Companyの三社への広告基準違反の判断は、「検出率」99%と宣伝することで消費者を誤解させたというものである。この検出率は、全ての胎児に実際に病気がある場合にその検査が病気であると同定できる率のことである。

この検出率そのものは真実で医療の専門職は使っているものの、ウェブサイトで他に説明することなく使うことは消費者を誤解させる可能性が高いとASAは判断した。消費者はこの「検出率」を、もし検査で陽性だったら胎児がその病気である可能性のことだと理解するだろう、とASAは考えた。しかしこの数字はそのNIPTが、実際に病気でない胎児をどのくらい陽性と判断するのかについての情報は全くない。その統計の名前は「陽性適中率Positive Predictive Value」というもので、これは検出率より相当低い。例えばある系統的レビューではダウン症陽性のNIPTのうち82%がダウン症だった。これは広告の99%より低い。Edwards症候群では37%、Patau症候群では49%である。

従ってASAはこれらの広告が誤解を招くものであると判断した

(こういうのもASAならノーと言ってくれるだろう。

http://xn--icktbzci4u.com/

 

[WHO]喫煙は手術後の合併症リスクを大きく増やす

Smoking greatly increases risk of complications after surgery

20 January 2020

https://www.who.int/news-room/detail/20-01-2020-smoking-greatly-increases-risk-of-complications-after-surgery

WHOとオーストラリアNewcastle大学と麻酔科専門医学会世界連合の協同研究で、手術の前に4週間以上禁煙すると術後6ヶ月の結果が改善されることを示した

 

論文

-絶滅危惧種とは何か?

What is an endangered species?

17-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/mtu-wia011720.php

Environmental Research Lettersに発表された許容できるリスクについての考察

 

-The Lancet:新しい規制にも関わらず、米国の臨床試験の半分以下しか結果を報告する法に従っていない

The Lancet: Fewer than half of US clinical trials have complied with the law on reporting results, despite new regulations

17-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/tl-pss011620.php

2020年1月は、臨床試験結果は完了から1年以内に報告するよう定めた米国の新しい規制の3周年である。しかしコンプライアンスは低いまま。 The Lancetに報告。特に政府の資金提供を受けた研究のコンプライアンスが悪い。企業がお金を出した大規模研究のほうがパフォーマンスが良い

 

-アメリカで最も広く摂取されている油が脳の遺伝子変化をおこす

America's most widely consumed oil causes genetic changes in the brain

17-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uoc--amw011620.php

Endocrinologyに発表されたマウスに大豆油、低リノレン酸大豆油、ココナツオイルの多い餌を与えた研究

(このチームはずっと大豆油がいろいろな点で悪いという研究をしているらしい。餌は40%脂肪、非常に多い。雄のCC57BL/6Nマウス。RNAの発現を調べているので遺伝子が変わったとは言わないような)

 

-食品へのアクセスが不適切な人々は10% から 37%早期に死亡する可能性が高い

People with inadequate access to food 10% to 37% more likely to die prematurely

20-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/cmaj-pwi011420.php

経済的な理由で食料を十分入手できない成人は食料が十分な人に比べて10% から 37%早期に死亡する可能性が高い。CMAJに発表されたカナダの国民健康調査データからの研究

 

-貧しい英国人の健康は一世紀前に生まれた人達より悪い

Health of poor Brits worse than that of those born a century ago

20-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/b-hop011620.php

大規模研究は豊かな人達と貧しい人達の健康ギャップが拡大していることを示す

Journal of Epidemiology & Community Health

 

-医療用大麻は長期的には睡眠の問題を緩和しない

Medicinal cannabis may not ease sleep problems in the long run

20-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/b-mcm011620.php

BMJ Supportive & Palliative Care。耐性を獲得すること、がん関連の痛みにはカンナビノイドは関係ない

 

-出産前の飲酒と喫煙の組み合わせは大幅にSIDSリスクを上げる

Combined prenatal smoking and drinking greatly increases SIDS risk

20-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/nioa-cps011720.php

EclinicalMedicineに発表された南アフリカケープタウンと米国5カ所(インディアン居留地二カ所を含む)でのデータ。妊娠最初の三ヶ月以降喫煙も飲酒もしない場合と比べて喫煙を継続した場合5倍、飲酒を継続した場合4倍、両方だと12倍SIDSリスクが上がる

 

-トキシコ-エピゲノミクスの約束と課題:環境化学物質とそのエピゲノムへの影響

IARC

The promises and challenges of toxico-epigenomics: environmental chemicals and their impacts on the epigenome

20 January 2020

https://www.iarc.fr/news-events/the-promises-and-challenges-of-toxico-epigenomics-environmental-chemicals-and-their-impacts-on-the-epigenome/

IARCの研究者らがEnvironmental Health Perspectivesに発表した環境中有害物質のエピゲノム撹乱作用についてのレビュー。エピゲノムデータを毒性学やリスク評価に使うことは組織や集団によるエピゲノムの多様性がわからなかったため限定的だった。最近開発された新しいツールでエピゲノム多様性の包括的地図を作り、メカニズムの理解も増した。これらの進歩が現在の障害を乗り越えることを期待したい

 

SMC UK

-健康な男性で魚油サプリメントと精巣の機能を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at fish oil supplements and testicular function in healthy young men

JANUARY 17, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-fish-oil-supplements-and-testicular-function-in-healthy-young-men/

JAMA Network Openに発表された研究が魚油サプリメントは若い男性の精巣機能にポジティブな影響があるかもしれないと報告する

Sheffield大学男性学教授Allan Pacey教授

これは興味深い研究で精子を作るための重要なホルモンについても調べている。健康な一般人(軍人から)で調べていることがさらに興味深い。簡単にまとめると、精子を採取する前に3ヶ月間魚油サプリメントを使用すると僅かに精巣が大きく射精される精子数が多く血中LHとFSHのプロファイルが健康的なように見える。それは受精能力のために良いことを示唆する。しかしタラ肝油に手を出す前に、この研究は無作為化されていないことに注意する必要がある。従ってこの改善が魚油のせいだとは結論できない

生殖受精学会会員Edinburgh大学生殖健康のためのMRCセンター研究グループリーダーRod Mitchell博士

これまでの研究では不妊男性でオメガ3脂肪酸は精子のパラメーターを改善することが示されているがこの研究は健康な男性でのものである。精子数や精巣の大きさが魚油を使っていた男性の方がマルチビタミンサプリメントを使っていた人やサプリメントを使用していない人より大きかった。この研究は自己申告によるもので直接測定していないのでどのくらい摂取したのかはわからない。詳細な食事情報もないので食事由来の魚油摂取量は不明である。精子数の違いは小さく臨床的意味は不明である。興味深いことに魚油サプリメントを使用している男性は喫煙者である可能性が低く、この研究では調整しているもののライフスタイル要因は男性の受精能力にとって重要な要因であることにかわりはない

Queen’s University Belfast生殖医学名誉教授Sheena Lewis教授

この研究から不妊男性が魚油をとることに利益があるとはいえない

内分泌学会会員Imperial College London生殖内分泌准教授Channa Jayasena博士

この研究は観察研究で、魚油サプリメントをとっている男性は他の男性とライフスタイルが違う。従って魚油そのものが男性受精能力に直接影響することを証明したものではない

英国不妊学会委員会メンバー男性学相談医Kevin McEleny博士

内分泌学会会員Edinburgh大学生殖健康のためのMRCセンターRichard Sharpe教授

英国栄養士会広報で栄養士Frankie Phillips博士

(概ね同様。健康的な食事大事)

 

-電子タバコと米国の若者のEVALI(電子タバコ関連肺傷害)についての展望への専門家の反応

expert reaction to perspective on vaping and EVALI (e-cigarette or vaping product use-associated lung injury) in young people in the US

JANUARY 17, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-perspective-on-vaping-and-evali-e-cigarette-or-vaping-product-use-associated-lung-injury-in-young-people-in-the-us/

NEJMにEVALIについてのコメントが掲載された

Dundee大学心血管系医学と治療薬教授Jacob George教授

この声明は英国の専門家が既に確信している米国でのEVALIの流行は英国の主流店で販売されているニコチン含有電子タバコではなく大麻オイルに使われたビタミンE酢酸エステルに関連するということを確認した。さらに電子タバコの製造や表示に関わる規制はEUと英国では堅牢でしっかりしている。また非喫煙者、特に若い人は無害だと思って電子タバコを使用すべきではないことも確認した。慢性の喫煙者はタバコ暴露削減対策として電子タバコに切り替えることに利益がある。

 

-医療用画像診断の低線量放射線と培養細胞の突然変異を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at low doses of radiation in medical imaging and mutations in cell cultures

JANUARY 16, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-low-doses-of-radiation-in-medical-imaging-and-mutations-in-cell-cultures/

PLOS Geneticsに発表された研究が医療用画像診断に使われている低線量放射線が培養細胞の突然変異につながるかもしれないと報告した

Imperial College London分子病理学教授Geraldine Thomas教授

この論文を低線量放射線を診断に使った場合にDNA組み込みがおこる、あるいは低線量放射線暴露がヒトがんにつながる根拠と見なすべきではない。

培養細胞での結果がまるごとのヒトでおこると解釈する前に注意が必要である。著者自身が注意を呼びかけている

UCL医療用画像科学教授Derek Hill教授

放射線が高線量で重大な疾患をおこすことはたくさんのデータがある。それらを外挿して低線量のリスクを推定してきた。この論文はその低線量の問題を扱った。その結果予想より多くのダメージがあった。しかし著者自身が述べているようにこれは低線量でがんが起こる可能性についての実験ではない。さらなる研究が必要である

Portsmouth大学環境科学教授Jim Smith教授

この研究はイオン化放射線による遺伝的傷害へのについての知見を加えさらなる研究への道のりを示す。しかし著者らの主張する、低線量放射線はこれまでDNAに全く傷害を与えないと考えられてきたというのは間違っている。現在の生物学的理解も放射線防護規則も、どんなに低い線量でも遺伝子突然変異をおこすと想定している。医療診断用の低線量放射線には小さな健康リスクがある。現行ガイドラインでは医師や放射線技師はこの低いリスクと医学上のベネフィットを検討すべきとされている。私はこの研究が診断のためにX線やCTスキャンを受けようとする患者の懸念とされるべきではないと思う

Oxford大学病院NHSトラスト医療物理学と臨床工学部長Malcolm Sperrin教授

どんな複製する細胞でもイオン化放射線暴露はリスクとなることが何十年も受け入れられてきた知恵であり通常使われるモデルは線形閾値無しモデル(LNTM)で、それによりどんなに小さな暴露でもリスクを計算できる。一方治療や診断のための放射線暴露の副作用は患者の病気の状態の文脈でよく管理されてきた。この研究はDNA傷害のダイナミクスへの知識を得る意味で価値があるが生きているヒトの身体と同じではない

医療物理工学研究所医療放射線防護専門家Jim Thurston氏

プレスリリースは科学を正確に反映しているか?

イエス

質の高い研究か?結論はしっかりしたデータに裏打ちされているか?

私は細胞生物学者ではないがそう見える。しかし放射線の使用条件にもう少し詳しい情報があるほうがいい

既存の根拠に適合するか?

これまでの知見に追加する

著者は交絡を考慮しているか?限界は?次は?

著者もプレスリリースもこれは培養細胞での実験でヒトにあてはめるにはさらなる研究が必要だと指摘している。交絡は考慮していない

現実世界での意味は?

注意している

放射線科医学会放射線安全性アドバイザーStewart Redman博士

放射線防護学会医療委員会長David Dommett氏

(概ね同様の内容)

 

その他

-NetflixのGoop Labは悪い科学に陥るのはどんなに簡単かを示す

The Goop Lab on Netflix shows how easy it is to fall for bad science

17 January 2020 By Clare Wilson

https://www.newscientist.com/article/2230459-the-goop-lab-on-netflix-shows-how-easy-it-is-to-fall-for-bad-science

サイキック・リーディング(超能力による予知)、エネルギーヒーリング、吸血鬼美顔術(多血小板血漿注射のことらしい)。これらは女優で健康教祖Gwyneth PaltrowとそのチームがNetflixのシリーズであるGoop Labで予告しているアドベンチャーの一部である。Paltrowのナチュラルヘルス企業Goopは既に歯止めの無い欲望の代名詞になっているが、この動画シリーズはさらに次のレベルに達している

 

-如何にして合法大麻ショップが電子タバコクライシスに寄与したか

How Legal Weed Shops Feed the Vaping Crisis

By Kevin Sabet Jan. 20, 2020

https://www.wsj.com/articles/how-legal-weed-shops-feed-the-vaping-crisis-11579554025

州が認可したマリファナショップがこれまで考えられていた以上の高率での肺疾患と死亡の増加に貢献した

大麻産業の推奨者は肺疾患と死亡をおこした「大麻吸入危機」を違法な市場の逸脱者のものだとして無視してきた。合法大麻は規制されているので最近の問題には関係ないと。CDCが全ての大麻吸入製品を使用しないよう警告すると業界は異議を申し立てその警告を陰謀だと言った。

しかし今やCDCはそれを証明するデータを持っている。新しく発表された報告によると、州が認可した大麻ショップが肺疾患と死亡の増加に寄与している。さらに大麻を合法化した州からの密輸の増加がCDCのリアルタイムでのデータ追跡をほぼ不可能にしている。

大麻業界の継続する大量の宣伝のおかげで全国で大麻の使用率が上がっている

 

-HPVワクチンは解析の結果子宮頸がんをおこすウイルスからの保護作用が99.8%にもなり「完璧に近い」

HPV vaccine is 'near perfect' as analysis shows the jab is up to 99.8% effective at protecting against cervical cancer-causing viruses

20 January 2020

https://www.dailymail.co.uk/health/article-7908801/HPV-vaccine-near-perfect-99-8-effective-study-finds.html

(大衆紙の見出しがこんな感じなのは日本とかなり違うなと思って)

 

-中華料理のMSGは不健康ではない、あなたは単なる人種差別主義者、活動家が言う

MSG in Chinese food isn't unhealthy -- you're just racist, activists say

January 19, 2020

https://edition.cnn.com/2020/01/18/asia/chinese-restaurant-syndrome-msg-intl-hnk-scli/index.html

MSGとして知られるグルタミン酸ナトリウムは何年もの間主に中華料理に入っている不健康な加工成分だと烙印を押されてきた、科学的根拠がないにも関わらず。この認識は時代遅れで人種差別的であるが、あまりにも広まっていてMerriam-Websterの辞書にも「中華料理店症候群」という言葉が収載されている。意味は「MSGをたくさん使った中華料理を食べた人がおこすとされるめまいや動悸のようなある種の症状」と。

今回活動家が「中華料理店症候群の再定義」というキャンペーンを開始した。味の素が主導するものでMerriam-Websterの記述を科学的コンセンサスを反映したものにするよう求める

以下MSGと米国におけるアジア差別について。フレンチやイタリアンは高級で中華料理やタイ料理は質が悪く安ものだと見なされるのは何故?といった話。

 

-2019 ILSI年次報告書

2019 ILSI Annual Report

https://ilsiweb.s3.amazonaws.com/ilsi/wp-content/uploads/2020/01/AR/index.html#1

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