2020-01-31

[HK]ニュースレターから

-食用油脂のエルカ酸

Erucic Acid in Edible Fats and Oils

Last revision date: 16 Jan 2020

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_162_02.html

前号では生産工程で食用油脂に形成される可能性のある汚染物質の1つであるベンゾ[a]ピレン(B[a]P)を調べた。今回は、油に安全上の懸念を引き起こす可能性もある、天然に生じる化学物質、エルカ酸に焦点を当てる。

図表3 キャノーラ油は菜種植物の自然交配で開発された植物から作られていて、エルカ酸の量はとても少ない。

エルカ酸とは、その安全上の懸念とは?

食用油脂は、飽和脂肪酸から一価不飽和脂肪酸や多価不飽和脂肪酸まで、様々な脂肪酸から作られている。エルカ酸は、オメガ9位に二重結合を1つ持つ22炭素鎖長一価不飽和脂肪酸の一種である。

エルカ酸はアブラナ科(Brassicaceae)種の油を多く含む種子に天然に生じる。主に菜種油やカラシ油にある。エルカ酸は天然の菜種やカラシの種子の総脂肪酸の約30 – 60%を占める可能性がある。海洋動物油にも報告されている。

心臓病のリスクを減らす可能性のある他の一価不飽和脂肪酸とは異なり、過剰なエルカ酸が含まれる油を使った食事暴露は、心臓を主な標的器官とした健康有害影響となる可能性が実験動物研究で示されている。実験動物における最も一般的な影響は、心筋の収縮力を低下させる可能性のある、心筋繊維に脂質が蓄積する心筋リピドーシスである。とはいえ、エルカ酸の食事暴露が心筋リピドーシスと相関しているという証拠は、今のところまだヒトでは立証されていない。

国民の健康を守るために、食品中のエルカ酸の量はすでに適切に現地の法定要件で管理されている。現在香港では、全ての油脂及び油脂が添加された食品は、総脂肪酸の5%以上の濃度のエルカ酸を含んではいけない。

低エルカ酸菜種油

菜種中のエルカ酸濃度の高さに関連した潜在的な安全上の懸念に応えて、低エルカ酸品種を生産する努力がなされている。

今日では、菜種油、カラシ油、キャノーラ油など、エルカ酸の少ない菜種油が市販されている。それらはBrassica napus L.種、 Brassica rapa L. 種、Brassica juncea L. 種、由来栽培品種の低エルカ酸採油原料から作られている。コーデックスによると、これらの油に含まれるエルカ酸は総脂肪酸の2%未満である。

キャノーラ油

「キャノーラ」という言葉は「低酸性カナダ油 (Canadian oil, low acid)」に由来する。菜種植物(花は黄色で4つの花弁を持つ)の従来の交配育種により望ましくない性質がなくなるよう作られた。1970年代にカナダで商標登録されていたが、現在では、キャノーラは油のエルカ酸が2%未満の食用菜種品種の一般的な用語として国際的に認められ、使用されている。(図表3参照)

事実、低エルカ酸菜種油は飽和脂肪酸含有量が少なく、不飽和脂肪酸の割合が高い。私達の食事の、より健康的な油の1つだと考えられる。

 

-日本のラーメン―高ナトリウムの罠?

Japanese Ramen – A High SodiumTrap?

Last revision date: 15 Jan 2020

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_162_04.html

日本のラーメンはレストランや家庭ですぐに出される人気料理である。最新の日本の研究では、ラーメン店の普及は日本の都道府県の脳卒中死亡率と関連すると報告された。実際、ラーメンの調理にはしょうゆや塩分が豊富な他の調味料が良く使用されている。

高ナトリウム摂取は高血圧などの有害影響に寄与する。私達のセンターの研究で、ラーメンに含まれるナトリウムは鉢1杯につきおよそ2000- 4000mgだと明らかになった。このナトリウム含有量の約半分はスープに由来する。スープと一緒に麺1杯を食べると、世界保健機関の推奨するナトリウムの最大一日摂取量(すなわち 2000mg/日)を超えるナトリウム摂取量になる可能性がある。

改良製品や塩分控えめ製品を選ぶことで顧客はナトリウム含有量を減らすことができる。麺をスープにつけすぎないように、またスープを飲まないようにして、できるだけ早く麺を食べるよう勧める。

(リンク先はアジアンスタイルスープ麵のナトリウムとエネルギーの調査結果)

 

[ヘルスカナダ]ヘルスカナダは食用アプリコットカーネルに関連するリスクを軽減するための新たなシアン化合物上限を設定する

Health Canada sets new cyanide limit to mitigate risks associated with eating apricot kernels

January 24, 2020

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2020/72195a-eng.php

カナダで販売される食用アプリコットカーネルの抽出可能なシアン化合物総量の最大濃度(ML)を20ppmに設定した。

製品:アプリコットカーネル

論点:ヘルスカナダはカナダで販売される食用アプリコットカーネルの抽出可能なシアン化合物総量の最大濃度(ML)を20ppmに設定した。2020年1月25日現在、MLを超えるアプリコットカーネルはカナダでの販売を許可されていない。

すべきこと:特定の食品がMLを満たしているかどうか疑問に感じるカナダ人は、製造業者や販売業者に直接連絡した方が良い。2020年1月25日以前にアプリコットカーネルを購入したカナダ人は、成人は粉末や他の食品と混ぜた物も含めて1日3個以下、子供は1つも食べてはならない。シアン中毒に関連した症状を経験したカナダ人は、すぐに医師の診察を受ける必要がある。

 

オタワ―昨年7月に発表されたように、ヘルスカナダは食品としてカナダで販売されているアプリコットカーネルの抽出可能なシアン化合物総量の最大量を20ppmに設定している。

ヘルスカナダとカナダ食品検査庁は、MLが発効すると、MLを満たさないアプリコットカーネルは店舗での販売や他の食品への使用はできないと企業に通知している。

小売店は2020年1月25日までに法令を満たさない製品を取り下げて処分しなければならない。特定の食品がMLを満たしているかどうか疑問に感じるカナダ人は、製造業者や販売業者に直接連絡した方が良い。

2020年1月25日以前にアプリコットカーネルを購入したカナダ人は、成人は粉末や他の食品と混ぜた物も含めて1日3個以下、子供は1つも食べてはならない。

シアン中毒に関連した症状を経験したカナダ人はすぐに医師の診察を受ける必要がある。症状には、衰弱、混乱、不安、情緒不安定、頭痛、吐き気、呼吸困難、息切れ、意識消失、発作、心肺停止などが含まれる。

カナダ人はカナダ食品検査庁に食品の安全性や表示に関する懸念を報告することを奨励されている。

 

[NHS] 新たなエビデンスが妊娠中に飲酒しないよう勧める助言を裏付けする

New evidence supports advice not to drink alcohol in pregnancy

Wednesday 29 January 2020

https://www.nhs.uk/news/pregnancy-and-child/new-evidence-supports-advice-not-drink-alcohol-pregnancy/

「妊娠中の飲酒は胎児の脳機能不全に確実につながる、と研究は確認する」とMail Onlineは報道する。

英国の主席医務官は現在、胎児へのリスクを最小限にするため、妊娠中はいかなる時期も飲酒しないよう女性に助言する。新たな研究レビューにより、妊娠中の飲酒は後に子供の思考能力に影響をあたえ、低体重を引き起こす可能性があることを示唆するいくつかのエビデンスを発見した。

しかし、研究者はこのレビューに含まれる研究は、バイアスがある可能性があり、結果は慎重に扱うべきであると述べた。このレビューは妊娠中の安全な低量のアルコール摂取量があるかどうかの問いに答えていない。

英国政府の妊娠中のアルコールに関する助言は変わらない。この研究によるエビデンスはアルコールが胎児に有害な可能性があるという懸念に追加され、最も安全な選択肢は妊娠中いかなる時期も飲酒しないことである。

妊娠中のアルコールに関して以下。(https://www.nhs.uk/conditions/pregnancy-and-baby/alcohol-medicines-drugs-pregnant/

 

[EU]ファクトシート:化粧品中ナノ物質の安全性評価についてのSCCSガイダンス

The SCCS Guidance on the safety assessment of nanomaterials in cosmetics

https://ec.europa.eu/health/sites/health/files/scientific_committees/docs/citizens_guidance_nano_en.pdf

2019年10月に発行されたガイダンスに基づくファクトシート

 

[BfR]新型コロナウイルスによる呼吸器疾患(2019-nCoV):食品の摂取や消費者製品を介したウイルス伝染はありそうにない

Respiratory tract disorders due to new type of coronavirus (2019-nCoV): Virus transmission through the consumption of food products or contact with consumer goods is unlikely

30.01.2020

https://www.bfr.bund.de/cm/349/respiratory-tract-disorders-due-to-new-type-of-coronavirus.pdf

普通の衛生的取り扱いの勧め

肉はしっかり加熱

 

[BfR]MEAL研究

The BfR MEAL Study: What´s in your food

http://www.bfr-meal-studie.de/en/meal-homepage.html

・食品のコールドショック:液体窒素がホモジナイゼーションを促進する

クマのグミとマグロとブロッコリの共通点は?これらは前処理しないとMEAL研究用の均一な検体にならない。そこで液体窒素でマイナス196度に冷やす。それにより含まれる物質の量を変えること無く均一にできる。

またミキサーでのホモジナイゼーションの間に一定量の熱が発生するがそれが研究結果に影響しないようここでも液体窒素が使われる。またある種のビタミンのような不安定で分解しやすい成分を調べるにも液体窒素で7日以内の保管という方法がとられる

 

[FSS]FSSの食品犯罪への取り組み方

How Food Standards Scotland is tackling food crime

29 January 2020

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/how-food-standards-scotland-is-tackling-food-crime

FSSのスコットランド食品犯罪及び事件担当のRon McNaughtonは食品犯罪への取り組みに関してパートナーとの協力の重要性及びその他の人々の関わり方について述べる。

 

[SFA]食品施設への衛生に関する助言

Sanitation and Hygiene Advisory for Food Establishments

29 January 2020

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/advisory-to-food-establishments_final.pdf

シンガポール国家環境庁(NEA)及びシンガポール食品庁(SFA)は、武漢のウィルス感染リスクを最小限にするため、食品衛生管理に関する予防措置を強く求める。

(食品施設向けの食品衛生を徹底するようにという通知。

 

[ODS] ファクトシート更新

-プロバイオティクス

Probiotics

Fact Sheet for Health Professionals

January 29, 2020

https://ods.od.nih.gov/factsheets/Probiotics-HealthProfessional/

安全性の項目に、プロバイオティクス使用と菌血症のリスクについての情報追加。

https://ods.od.nih.gov/factsheets/Probiotics-HealthProfessional/#change

 

[FDA] ゲーム大会の日にどう食品安全に取り組むか

How are you tackling food safety on game day?

https://www.fda.gov/food/buy-store-serve-safe-food/serving-safe-buffets

ビュッフェなどに関する基本的な食品安全に関する注意の再喚起。

 

[FSA] Lidl GBは高濃度のピロリジジンアルカロイドのため、Kania Oreganoを回収措置

Lidl GB recalls Kania Oregano because of the possible presence of high levels of pyrrolizidine alkaloids

28 January 2020

https://www.food.gov.uk/news-alerts/alert/fsa-prin-04-2020

(濃度記載なし。スパイス瓶に入った7.5gの製品で,肝疾患につながる可能性があると)

 

[ODS]2020 ODS 演習

2020 ODS Practicum

January 28, 2020

https://odspracticum.od.nih.gov/

2020年6月10–12に、Mary Frances Piccianoダイエタリーサプリメント研究演習が行われる。健康分野の専門家向け

 

[FDA]警告文書

- Cerreta Candy Company, Inc.

January 21, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cerreta-candy-company-inc-593983-01212020

食品CGMP規則違反、製造、包装または保管に関する衛生管理、不良品の問題。

ペパーミントスノーミント、シナモンハニーピーナッツバターなどの製品の原材料全てのハザード評価が行われていないので違反(環境中微生物、重金属、残留動物用医薬品や食品添加物)。原料などの仕入れにリスクに基づいたサプライチェーン計画が実施されていない,アレルゲン管理等。

(具体的に細かく指摘されている。ここまでやらないと輸出はできないよ、という参考になる。)

 

- Wave Miami LLC

January 13, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/wave-miami-llc-590422-01132020

未承認の医薬品、不良品の問題。ダイエタリーサプリメントとして販売していた“Lipro Dietary Capsule”にタダラフィルを含む。

 

[FSANZ]食品基準通知

Notification Circular 110–20

31 January 2020

https://www.foodstandards.gov.au/code/changes/circulars/Pages/NotificationCircular110%E2%80%9320.aspx

新規申請と提案

・加工助剤としてのGM Trichoderma reesei 由来グルコアミラーゼ

・加工助剤としてのアルファアミラーゼ Alpha-amylase as a processing aid (enzyme

・収量が多く除草剤に耐性のトウモロコシ系統DP202216由来食品

 

[FAO]FAOはアフリカの角での急増するサバクトビバッタとの戦いへの緊急支援を呼びかける

FAO appeals for urgent support to fight worsening Desert Locust upsurge in the Horn of Africa

30 January 2020

http://www.fao.org/news/story/en/item/1259082/icode/

 

-アフリカの角で新世代のサバクトビバッタが交配を始め,警告

Alarm over Desert Locusts increases as new generation of the destructive pests starts breeding in Horn of Africa

29 January 2020

http://www.fao.org/news/story/en/item/1258877/icode/

 

[RIVM]動物飼料中有害物質の移行モデルをオンラインに

Transfer models for harmful substances in animal feed online now

01/28/2020

https://www.rivm.nl/en/news/transfer-models-for-harmful-substances-in-animal-feed-online-now

feed-food transfer models

https://www.feedfoodtransfer.nl/en

乳牛のアフラトキシンとダイオキシン、産卵鶏のダイオキシン、豚のカドミウムとダイオキシン

 

[RIVM]葉酸と妊娠、2008年からのオランダのデータ

Folic acid and pregnancy, data in the Netherlands from 2008

28-01-2020

https://www.rivm.nl/publicaties/foliumzuur-rondom-zwangerschap-gegevens-in-nederland-vanaf-2008-technische-rapportage

本文オランダ語、要約のみ英語

女性は妊娠4週間前から葉酸を摂るよう助言されているが、2012-2016の食品摂取調査では約1/3から1/4の妊娠可能年齢の女性の葉酸摂取量は適切ではない。情報提供で葉酸サプリメントを摂るようになる女性が増えるように見える。先天障害は2014から2016年の間に減ったがこの理由は明確ではない

 

[IARC]IARC隔年報告2018-2019

IARC Biennial Report 2018–2019

28 January 2020

https://www.iarc.fr/news-events/iarc-biennial-report-2018-2019/

 

[Codex]コロナウイルス/コーデックスは中国での添加物と農薬の会合について事態を監視している

Coronavirus / Codex monitoring situation for additives and pesticide meetings in China

29/01/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1259068/

(さて)

 

[Codex]EFSA/コミュニケーションと共通の土台が一緒に働くのに重要

EFSA / communication and common ground key to working together

28/01/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1258887/

 

[FSSAI]メディアコーナー

Doon食品安全部はレストランやオンライン食品配達業者に従業員が薬物を配達していないことを確実にするよう頼む

Doon food safety dept issues notices to restaurants, online food delivery cos, asks them to ensure their personnel aren’t delivering drugs  

28-01-2020

https://fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_News_Doon_TOI_28_01_2020.pdf

Dehradun地方食品医薬品局はホテルやレストラン、オンライン食品配達事業者に、配達人が違法麻薬配達に関与しないよう確認するよう通知を出した。またオンライン食品配達チェーンは、「禁止薬物を配達していた場合直ちに対応できるよう」配達協力者をFSSAIに登録しなければならないと加えた

(なんだそれ)

 

[WHO]2019-nCoVのアウトブレイクに関するIHR(2005)緊急委員会の第二回会合についての声明

Statement on the second meeting of the International Health Regulations (2005) Emergency Committee regarding the outbreak of novel coronavirus (2019-nCoV)

30 January 2020 Statement

https://www.who.int/news-room/detail/30-01-2020-statement-on-the-second-meeting-of-the-international-health-regulations-(2005)-emergency-committee-regarding-the-outbreak-of-novel-coronavirus-(2019-ncov)

 

[USDA]抗酸化物質の詰まった玄米品種

ARS

Brown Rice Variety Packs Antioxidant Punch

By Jan Suszkiw January 28, 2020

https://www.ars.usda.gov/news-events/news/research-news/2020/brown-rice-variety-packs-antioxidant-punch/

ARSの科学者が特徴のあるGEDrew玄米にアルファトコフェロール、トコトリエノール、ガンマオリザノールが多いことを報告。GEDrewは10年以上前に行われたコメの交配計画での突然変異の産物。胚が大きい

(アメリカのコメの研究センターの成果の紹介。)

 

論文

-発酵大豆製品が死亡リスクの低さに関連

Fermented soy products linked to lower risk of death

29-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/b-fsp012720.php

BMJに発表されたがん研究センターの研究

大豆食品、発酵性大豆食品の摂取量と死亡リスクの関連

―多目的コホート研究(JPHC研究)からの成果報告―

https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8438.html

(男女どちらも一番摂取量の少ない群が他の集団と違うように見える。用量相関はあまりなさそうなので、食べない群になにかがあるのでは

大豆食べる量が少ない人は喫煙・飲酒率が高くコーヒーも多く飲む。高血圧は逆に大豆製品多く食べる方が多い。塩かな。全体的に一日あたりの納豆を食べる量(g)より味噌を食べる量のほうが多いのが気になる。降圧剤がなかったら全然違う結果になる気がする)

 

-The Lancet:子宮頸がんは最も影響のある国々から根絶可能で2120年までに6200万人の女性の命が救える

The Lancet: Cervical cancer could be eliminated in countries worst affected by the disease, and 62 million women's lives could be saved by 2120

30-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/tl-pss013020.php

 

妊娠中の飲酒: #DRYMESTERのみが安全なアプローチ

Drinking alcohol during pregnancy: #DRYMESTER the only safe approach

28-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uob-dad012720.php

International Journal of Epidemiologyに発表されたレビューによると妊娠中の飲酒は子どもの認知機能低下につながる。この知見は英国医務主任の#DRYMESTERガイドライン、つまり妊娠中は飲酒しない、を再確認する

 

-亜鉛トローチは風邪の期間を短縮しない

Zinc lozenges did not shorten the duration of colds

28-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uoh-zld012820.php

BMJ Openに発表された酢酸亜鉛トローチのRCT。ヘルシンキで88人に、風邪の症状が出始めたらすぐに1日6つの亜鉛トローチ(総亜鉛量78mg)を5日間。5日間の回復はプラセボと差が無く、治療終了後はむしろトローチ群のほうが回復が遅かった。主な苦情は味が悪いこと

(亜鉛トローチや気付け薬は文化依存なんだろう。)

 

-あなたの水には何が入っている?

What's in your water?

28-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/jhu-wiy012820.php

飲料水の新しい有毒殺菌副生成物を同定

Environmental Science & Technology。水に塩素を入れてそれからアミノ酸N-α-アセチル-リジンを加えて1日後に質量分析。2-ブテン-1,4-ジアール (BDA) とクロロ-2-ブテン-1,4-ジアール を同定。これらはこれまで塩素を入れた水から検出されたことはない。実際の水道水での評価は行っていない。他にフェノール類と塩素の反応物も同定

(検出された濃度の記載は無く現実の水道水で測定していないのに「発がん性」で「塩素殺菌に疑問」と主張)

 

-Nature

コメント

排出-「いつものような」物語は誤解を招く

Emissions – the ‘business as usual’ story is misleading

29 JANUARY 2020

Zeke Hausfather & Glen P. Peters

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00177-3

気候温暖化における最悪シナリオを最もありそうなこととして話すのは止めよう。より現実的なベースラインで話す方がより良い政策につながる

(大げさに言うのが当然になってしまうとコミュニケーションは難しくなり落とし所が見つかりにくくなる。科学者がプレスリリースでそういう癖をつけるのは良くない)

 

英国がEU離脱した:それは科学者にとって何を意味する?

Brexit is happening: what does it mean for science?

29 JANUARY 2020

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00215-0

 

ニュース一覧

サバクトビバッタの警告、科学的厳密性、そしてリスクの高い病気の実験を巡る議論

Locust alarm, scientific rigour and a debate over risky disease experiments

29 JANUARY 2020

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00172-8

 

Natureニュース

社会科学者はオンラインのおしゃべりから知見を集めるためにボットと戦う

Social scientists battle bots to glean insights from online chatter

28 JANUARY 2020  Heidi Ledford

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00141-1

ソーシャルメディアの自動投稿生成は研究を混乱させる可能性がある

ソーシャルメディアのボットがますます洗練されてきている

これまでソーシャルメディアのボットは選挙に影響を与えデマを拡散して公衆衛生に害を与えると批判されてきたが、一部の社会科学者は新たな非難を加えた:ボットはソーシャルメディアの情報を使った人の健康や行動研究にも干渉する

 

エッセイ

Isaac Asimov:偉大なる説明者の100周年

Isaac Asimov: centenary of the great explainer

David Leslie

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00176-4

Isaac Asimov:ロシア生まれの化学者でサイエンスフィクションの巨像(1920–92)

約500冊の本を出版した

 

-Science

ニュースを一目で

News at a glance

Science  31 Jan 2020:Vol. 367, Issue 6477, pp. 490-491

・ブラジルの大学の規制機関CAPESのトップに創造論提唱者Benedito Guimarães Aguiar Netoが任命されたため,ブラジルの科学者が憤慨している。Aguiar Netoは最近インテリジェントデザイン論をブラジルの基礎教育カリキュラムに「進化論の対抗理論として」導入すべきだと言っている。大統領Jair Bolsonaroがキリスト教福音主義者からの強い支持を歓迎している

・WHOの電子タバコの立場に強い憤り

先週WHOが発表した電子タバコへの警告に対して英国の公衆衛生専門家が強く反対。英国はタバコより安全な禁煙用として規制下で使用しているのに対し米国CDCは肺疾患の流行を受けて「若者は全ての電子タバコを吸うべきではない」と助言していてWHOはCDCに同調した

 

新型コロナウイルスの脅威が科学者を奮い立たせる

New coronavirus threat galvanizes scientists

Science  31 Jan 2020:Vol. 367, Issue 6477, pp. 492-493

Jon Cohen

https://science.sciencemag.org/content/367/6477/492

どこから来た?既存の医薬品は効く?ワクチン開発が間に合う?

 

ミツバチのための微生物叢特効薬

A microbiome silver bullet for honey bees

Robert J. Paxton

Science  31 Jan 2020:Vol. 367, Issue 6477, pp. 504-506

セイヨウミツバチの重大なストレス要因である病原体への対策として,ミツバチの腸内細菌を遺伝子組換えしてRNA干渉による防御力を与えることが効果的で安価で長く続く解決法になる可能性があると今週のSciecenに報告された。

 

組換え細菌がミツバチを病原体から守る

Bacteria engineered to protect bees from pests and pathogens

30-JAN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-01/uota-bet012320.php

テキサス大学オースチン校の科学者らがScienceにCCDのような恐ろしい傾向からミツバチを守る新しい戦略を開発した。ミツバチの腸内の細菌をVarroaダニ と deformed wing ウイルスから守る医薬品を作る化学工場にする

(この発見への反応を見れば真の目的がミツバチをまもれなのか農薬反対なのかわかるんじゃないかな)

 

その他

-クロムはその輝きを失った?

Has Chromium Lost Its Luster?

by WELLNESS LETTER  Published January 28, 2020

https://www.berkeleywellness.com/supplements/minerals/article/has-chromium-lost-its-luster

クロムは必須微量ミネラルで、細胞がインスリンに適切に反応するのに役立つ。多くの食品には少量から中程度の量のクロムが含まれる。代謝に重要な働きをすることからクロム、特にピコリン酸クロムは人気のサプリメントになり販売業者はたくさんの健康効果を謳っている。クロムの人体での作用機序はあまりよくわかっておらず健康にとって最適の必要量は明確ではない。そのため推奨食事許容量(RDAs)は設定されておらず適切摂取量の成人20-35 microg/dのみが設定されている。米国ではクロム欠乏は希である。しかし人々のクロムの状態を診断するのは困難である。何故なら血液、尿、毛髪のクロムは体内のクロム貯蔵量を反映せず、信頼できる生化学的指標もないからである。

クロムサプリメントは純粋なクロムではなくいくつかの形態で販売されている。ピコリン酸クロムの他、塩化クロム、ニコチン酸クロム、高クロム酵母など。ピコリン酸とニコチン酸の形態が他のものより吸収率が良いようだ。ほとんどのマルチビタミン/ミネラル錠剤は20-180マイクログラムのクロムを含む

糖尿病にクロム?

他のクロム研究

(文献紹介)

基本

最も安全で最良のクロム摂取方法は食品からである。クロムサプリメントの研究の多くは小規模・短期間でその結果も矛盾するためサプリメントに利益があるのかどうかわからないのでクロムサプリメントは勧めない。あなたが糖尿病でクロムサプリメントを使用しているなら、血糖コントロールに影響する可能性があるので医師に相談すること。

 

-気付け薬は効果がある?

Do Smelling Salts Work?

by LAURIE SALOMAN  Published January 27, 2020

https://www.berkeleywellness.com/self-care/over-counter-products/article/do-smelling-salts-work

Q: おばあさんが棚に気付け薬を常備していた。それは本当に役に立つ?

A: アンモニア吸入剤、別名気付け薬は気を失いそうな人あるいは気絶した人をおこすのに昔から使われてきた。炭酸アンモニウムは有害でその匂いを嗅ぐと鼻を通るときに刺激性が強く吸入反射を引き起こす。この反射が呼吸を速くし心拍数を上げる。それが意識を取り戻すきっかけになるのだろう。

しかし近年アスリートが試合の前の活気づけに使うことが見られるようになってきた。効果があるという根拠はない。さらに心配なのは頭部損傷などの結果として放心状態になっている選手にトレーナーが使っていることである。これは選手の適切な診断を妨げる可能性があり傷害の深刻さを隠す可能性がある。さらに傷害を負った選手がアンモニアを嗅ぐことで頭部を急激に動かして傷害が悪化するかもしれない。

FDAは気付け薬を失神治療用に認めている。とはいえその医療での使用は限られている。さらに高用量の炭酸アンモニウムの吸入は呼吸障害や重症肺傷害を引き起こす可能性がある

 

-BBC特集  

ビーガン食はあなたの知能にどう影響するか

How a vegan diet could affect your intelligence

By Zaria Gorvett 28th January 2020

https://www.bbc.com/future/article/20200127-how-a-vegan-diet-could-affect-your-intelligence

ビーガン食は重要な脳の栄養のいくつかが少ないあるいは全くない。これらの欠点がビーガンの思考能力に影響しているのか?

 

何故ビーガンジャンクフードは健康にはむしろ悪いかもしれないのか

Why vegan junk food may be even worse for your health

By William Park 30th January 2020

(肉へのこだわりがすごい・・)

 

-ヒトと農業のゲノム編集:規制と目録

GLP

Human and Agriculture Gene Editing:Regulations and Index

https://crispr-gene-editing-regs-tracker.geneticliteracyproject.org/

世界中のゲノム編集関連応用分野の規制や開発中のもののリスト

地域ごとおよび時系列

 

SMC

NZ

-新型コロナウイルスと国境審査-専門家の反応

Novel coronavirus and border screening – Expert Reaction

Published: 30 January 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/01/30/novel-coronavirus-and-border-screening-expert-reaction/

 

UK

-フラボノールとアルツハイマー病を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at flavonols and Alzheimer’s disease

JANUARY 29, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-flavonols-and-alzheimers-disease/

Neurologyに発表された研究が抗酸化フラボノールはアルツハイマー病リスクの低さと関連するかもしれないと報告する

Glasgow大学公衆衛生栄養講師Ada Garcia博士

この研究は高齢の,特に女性で約一杯の紅茶に含まれる量の15mgのフラボノールを含む食品を食べていると自主申告した場合、6年間のアルツハイマー発症リスクが約44%少なかったことを示す。しかしオメガ3やビタミンEや葉酸やルテインなどの影響を考慮するとフラボノイドの保護作用は消失した。この種の研究は情報源にはなるが公衆衛生助言をする前に慎重に検討する必要がある。

特定の栄養素に注目するのではなく、多様な野菜や果物,油分の多い魚、種子、豆、ナッツなどを含む健康的な食事パターンが慢性疾患予防のための良いアプローチである。一般の人はこの研究を間違って解釈し「抗酸化物質」のような単語を認知症予防の特効薬のように考えるかもしれないのでこのことは重要である。単離されたフラボノールやフラボノールの多い食品を摂取してもそれだけで疾患リスクを減らすことはなく、高用量では健康に悪影響がある可能性もあることを忘れずに。

UK認知症研究所部長Bart De Strooper教授

食品と健康の関係は常に注目される。この種の研究は関連のみを記述するもので,関連は必ずしも因果関係を示す、ものではない。多くの研究が再現されない。従って一般的にこのような知見は誇大宣伝すべきでない

UK認知症研究所部長Adrian Ivinson博士

アルツハイマー学会研究部長James Pickett博士

Kings College London栄養科学講師Ana Rodriguez-Mateos博士

この研究のフラボノールの摂取量は5-15mg/dととても少ない。英国人の推定フラボノイド摂取量は500-1000mg/dでフラボノールの臨床試験で使われる典型的な量は100-700mg/dである

Edinburgh大学脳科学発見センター副部長UK認知症研究所プログラム主任Tara Spires-Jones教授

Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授

フラボノールとフラボノイドにはたくさんの誤解がある。何より最初にそれらは人体では抗酸化物質として作用しない。二つ目はそれら化合物はたくさんありそれぞれ作用が異なる

NHS栄養士Catherine Collins氏

Aston大学医学部上級講師で登録栄養士Duane Mellor博士

UCL遺伝学研究所名誉教授David Curtis教授

アルツハイマー研究UK研究部長James Connell博士

(同様のコメント等略、全員同じようなことを言っているのにこの手の研究の誇大報道が続く)

 

-作物を保護するために遺伝子組換え蛾を野外放出した研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at field release of genetically engineered moth for crop protection

JANUARY 29, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-field-release-of-genetically-engineered-moth-for-crop-protection/

Frontiers in Bioengineering and Biotechnologyに発表された研究が作物保護のためのGM蛾の使用について報告する

Oxford大学数理生物学教授Michael Bonsall教授

この研究は自己増殖しないコナガと野生の蛾を野外で比較した。この研究はしっかりしたものでGM蛾の放出でコナガの集団が減ったことを示すが、この仕事の現実的なベネフィットの一つはこうした技術が化学/生物農薬のような他の管理手段への耐性管理にも使えることを理解することである。GM放出を介して化学/生物農薬への感受性を再導入できる。これは多数の管理手段をもてるので現代農業にとって極めて有用である

(Oxitec)