2020-03-12

[EFSA]トリアジンアミン(いくつかのスルホニル尿素活性物質に共通の代謝物質)の遺伝毒性の可能性についての植物保護製品とその残留物に関する科学的パネル(PPR パネル)の科学的意見

Scientific Opinion of the Scientific Panel on Plant Protection Products and their Residues (PPR Panel) on the genotoxic potential of triazine amine (metabolite common to several sulfonylurea active substances)

EFSA Journal 2020;18(3):6053  9 March 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6053

パネルは、申請者が提出した入手可能な情報に基づき、トリアジンアミンの遺伝毒性の可能性を評価するよう欧州委員会から委託を受けた。入手可能な情報にはトリアジンアミンの実験的遺伝毒性データ、定量的構造活性相関(QSAR)分析、構造的に類似した化合物でのリードアクロス法が含まれている。パネルは、全体的な証拠の重みに基づいて、分野横断する遺伝毒性の作業グループで同意し、遺伝子変異や染色体異常誘発性に懸念はないと結論した。しかしながら、異数性誘発性は適切に調査されなかった。結論として、トリアジンアミンのin vitro小核試験検が必要である。

 

[CFIA]2020-03-09 食品安全検査報告

2020-03-09 Food Safety Testing Bulletin

March 2020

https://www.inspection.gc.ca/food-safety-for-industry/chemical-residues-microbiology/food-safety-testing-bulletins/2020-03-09/eng/1582133550289/1582133738494

-選出した缶入り食品と乳児用粉ミルク中のビスフェノールA及びBPA代替品-2018年4月1日~2019年3月31日

Bisphenol A and BPA Alternatives in Selected Canned Foods and Infant Formula - April 1, 2018 to March 31, 2019

ビスフェノールA(BPA)はビスフェノールAジグリシジルエーテル(BADGE)エポキシ樹脂や鉱質プラスチック容器を作るのに使用される化学物質である。BADGEエポキシ樹脂は食品と金属の直接の接触を避けるために缶の内側にコーティングされることが多く、食品企業での利用が一般的である。これらの化合物は、特に高温で食品に溶出する可能性がある(例えば、ホット充填や加熱工程される缶入り食品で)。

これらの化合物の健康への悪影響を防ぐために、一部の製造業者はビスフェノールFやビスフェノールSなどのBPA代替品に変えている。缶入りや瓶入り食品中のBPA代替品の使用について得られるデータは少ないが、この調査に含まれている。

全部で381のサンプルがカナダの6都市の小売店から集められた。集められたサンプルは、缶に保存されているココナッツミルク、パイの詰め物、トマトベースのソース、缶やプラスチック容器に保存されている乳児用粉ミルクなどである。BPAは調査サンプルの43%に検出され、BADGEは12%に検出された。BPF やBPSが検出されたサンプルはなかった。

最大平均及び最大濃度のBPAはココナッツミルクのサンプルで報告され、最小は乳児用粉ミルクだった。BADGEを含むサンプルは全てココナッツミルクのサンプルだった。これらのサンプルは全てBPAも含んでいた。この調査結果は国際調査や様々な科学的研究で見つかったものと同等だった。

この調査で観察されたBPA、BADGE、BPF、BPSの濃度は、このサンプルが許容できない人の健康上の懸念を引き起こすことはないとヘルスカナダ(HC)によって評価され、その結果この調査によるリコールはなかった。

 

-選出した食品中の多環芳香族炭化水素類-2018年4月1日~2019年3月31日

Polycyclic Aromatic Hydrocarbons in Selected Foods - April 1, 2018 to March 31, 2019

多環芳香族炭化水素類(PAHs)は、石炭、油、ガス、木材、炭火焼肉などの材料の不完全燃焼の生成物である。それらは一般的な空中汚染物質で、作物を汚染することが多い。

PAHsは熱処理中に食品に形成されることもある。この調査では、4つの最も毒性の強いPAHs、すなわち国際がん研究機関(IARC)が「ヒトに対する発がん性がある」と分類しているベンゾ[a]ピレンや、IARCが「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」と分類しているベンゾ[a]アントラセン、ベンゾ[b]フルオランテン、クリセンを分析する。

このターゲット調査はカナダ市場の国産及び輸入品のPAHsの発生に関するベースライン監視データを作り出した。CFIAは142の焼成製品、78の油類、67の焼き野菜製品を含む287製品のサンプルを集め分析した。PAHsは調べたサンプルの46%に検出され、総PAH量は0.001 ppb~9.17 ppb TEQ(毒性等量)だった。焼き野菜製品が最も高い最大及び平均PAH濃度だった。以前の調査や科学的文献と調査結果の比較から、カナダの小売店のPAHs濃度は様々な科学的研究で報告されたものと同等であることが示された。

カナダでは食品中のPAH濃度の規制がない。この調査で調べた製品に見つかったPAHの全ての濃度がヘルスカナダ(HC)に評価され、カナダ人が摂取しても安全だとみなされた。製品のリコールは必要なかった。

 

[FDA] FDAはタルク含有化粧品のアスベストについての1年にわたるサンプリングのデータを発表

FDA Releases Data from the Agency’s Year-Long Sampling Assignment to Test Talc-Containing Cosmetic Products for the Presence of Asbestos

March 9, 2020

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-releases-data-agencys-year-long-sampling-assignment-test-talc-containing-cosmetic-products

米国食品医薬品局(FDA)はAMA Analytical Services社(AMA)により実施された、アスベストの有無を確認するためにタルク含有化粧品を調査する、FDAの一年にわたるサンプリングによる6部構成からなる最終報告を発表した。

2018年9月、AMAはタルク含有化粧品のアスベスト繊維調査1年契約をした。AMAはこれまでの調査実績とアスベスト調査において専門技術と知識があり、選ばれた。このサンプリングでは、FDAが選択して購入し、盲検サンプルとしてAMAに提供されたタルク含有粉末化粧品を検査す。結果は43のサンプルが陰性で、9つが陽性であった。

製品は以下を含む様々な要因に基づき選択された:タルク含有粉末化粧品の種類、価格帯(低価格から高価格の製品まで)、ソーシャルメディアや広告において人気のある製品、子供用の製品、第三者によってアスベストで汚染されていると報告があった特定の製品。

そのため、2019年検査における陽性サンプルの発生は、市場における陽性サンプルの全体的頻度を反映すると解釈するべきではない。  

サンプルが陽性の場合、FDAがAMAから検査結果を受け取ると、FDAは即座に結果を一般に通知し、それに続く回収措置に関して対象の企業と緊密に協力した。

検査では、ある形態のアスベストと疑わしき鉱物粒子を発見し、定量化するために、AMAは偏光顕微鏡法(PLM)と透過電子顕微鏡法(TEM)を使用した。TEMは現在、アスベスト鉱物の発見と定量化にとって最も精度の高い検査方法である。

FDAは、2020年はAMA盲検用に選択された50サンプルも一緒に、タルクサンプリングを引き続き行うことを計画している。その最終的な結果は2021年早期に公表され、閲覧可能になる予定である。FDAが陽性サンプルを発見すると、FDAは結果を一般に通知し、その対象製品を市場から撤収するために関連企業と緊密に協力する。

追加情報:

・FDA In Brief

https://www.fda.gov/news-events/fda-brief/fda-brief-fda-releases-final-report-talc-containing-cosmetic-products-tested-asbestos

・Talc Web Page

https://www.fda.gov/cosmetics/cosmetic-ingredients/talc

・Cosmetic Recalls & Alerts

https://www.fda.gov/cosmetics/cosmetics-compliance-enforcement/cosmetics-recalls-alerts

 

[HK] 日本政府消費者庁より‐日本丸美屋の拌飯料 (ソフトふりかけ 味わかめ<しそ>)に針穴が見つかったため、食品腐敗になる恐れがあるとして回収措置の通知

The Consumer Affairs Agency of the Government of Japan – A notice regarding a recall of rice seasoning (拌飯料 (ソフトふりかけ 味わかめ<しそ>)) in Japan by Marumiya (丸美屋) due to the needle hole found on the packing which could result in food spoilage.

11 March 2020

https://www.cfs.gov.hk/english/rc/subject/files/20200311_1.pdf

 

[HK]基準値超過の残留農薬がサイシンサンプルに検出された

Pesticide residue exceeds legal limit in Choisum sample

Wednesday March 11, 2020

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20200311_7858.html

食品安全センターが検査したところ、サイシンにおいて、クロルピリホスが最大残留基準値0.1ppmのところ、0.46ppm検出であった。

 

[FSA] FSA理事会:2020年3月11日

FSA Board meeting: 11 March 2020

11 March 2020

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-board-meeting-11-march-2020

本日のFSA 理事会のウェブ放送。

 

[FSAI]手洗いと食品安全

Hand Washing and Food Safety

11/3/2020

https://www.fsai.ie/faq/hand_washing.html

食品を扱う場合の手洗いの重要性に関して。

(微生物、参考。手袋の問題点についても)

 

[FSAI]コロナウィルスに関して

COVID-19 (Coronavirus)

11/3/2020

https://www.fsai.ie/faq/coronavirus.html

コロナウィルスに関する情報更新。

サプライチェーンに問題がおこって成分や包装材を変える場合の注意点。使用するものの変更に伴うリスクを適切に評価し管理し文書に残す義務がある

 

[PHE]意見募集 2型糖尿病の成人のための低炭水化物食:報告書案

Lower carbohydrate diets for adults with type 2 diabetes: draft report

5 March 2020

https://www.gov.uk/government/consultations/lower-carbohydrate-diets-for-adults-with-type-2-diabetes-draft-report

2020年4月30日まで

現在の英国政府の助言は、一般人に対しては総エネルギー量の約50%を炭水化物から、主に食物繊維の多いデンプン質の食品や全粒穀物からとること、遊離の糖は総エネルギーの5%以内、食物繊維は1日30g以上、となっている。2型糖尿病患者向けに特別な助言はない。この報告書では2型糖尿病患者で食事中炭水化物を減らすことの根拠をレビューした。

体重に関しては炭水化物が多くても少なくても長期的には差が無い

HbA1cに関しては、短期的には低炭水化物食の方が大きな減少であるが長期的には一貫しない。

 

[ASA]ハンドサニタイザーとサージカルマスク

Hand sanitisers and surgical face masks

Advice online 10 Mar 2020

https://www.asa.org.uk/advice-online/anti-bacterial-products.html

ハンドサニタイザーのような局所用製品を使うことでCOVID-19の予防や治療になるといった主張は医療宣伝と見なされる可能性があり未承認製品の販売に相当する

マスクのような物理的障害だけで感染予防を意図すると医療機器に分類される場合がある。PHEはマスクがコロナウイルス感染予防になるという根拠はなく、ウイルス対策として使用を勧めてはいない

 

[USDA]揺れる学校給食

School Meals that Rock

Mar 11, 2020

https://www.usda.gov/media/blog/2020/03/11/school-meals-rock

USDA食品栄養サービスが2017年11月に新しい学校給食柔軟性を公表したとき、南カリフォルニア食品栄養サービス部長のKristin Hillemanは安堵のため息をついた。

「大きな変更ではなかったが、柔軟性を与えることは良いことだ、特にスパゲティのような食事の計画をするときにナトリウムや全粒でない小麦粉を使うことなどについて」、とHillemanは言う。Hillemanは2006年からオレンジ郡のCapistrano合同学校区の食品栄養サービス部長を務めていてその前はヘルスケア業界にいた。

「もちろん、子どもたちには提供された食事を食べて欲しい。でもそれは美味しくて魅力的で健康的である必要がある。しばしばそれは簡単ではない。バランスが鍵である」

「今年はシェアリングステーションを設置した。これは食べたくないものがあったときにそれを他の生徒にのこしておくという考えである。もっと食べたい生徒がそれを食べられる。これは食品廃棄を減らす方法を示す」

(この件、こんな感じ。あまりにも厳しい基準を要求してそれにしたがわないものをゴミだとか頭悪いとか言っちゃうから支持されにくいんだけど

https://ellegirl.jp/article/c_michelle_obama_on_donald_trump_school_lunche_decision_17_0518/

 

論文

-重いストレスとライフスタイルが寿命を予測する

Heavy stress and lifestyle can predict how long we live

11-MAR-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-03/nifh-hsa031120.php

フィンランド国立健康福祉研究所の研究者らがフィンランド全国FINRISK研究のデータをもとに複数のリスク要因の男女の寿命への影響を計算した。

30才の男性の寿命低下の最大要因は喫煙と糖尿病で、喫煙で6.6年、糖尿病で6.5年寿命が短くなる。重いストレスは2.8年。運動不足は2.4年。一方果物を食べることは1.4年、野菜を食べることは0.9年寿命を延ばす。

30才の女性では喫煙は5.5年、糖尿病は5.3年、重いストレスは2.3年寿命を短くする。

ストレスは、それをその人が適切あるいは他の人と同じくらいだと感じる場合には寿命を長くする。それより多くても少なくても寿命が短くなる。他のリスク要因を同じにすると教育レベルによる寿命の差はわずかになる

 

-高周派電磁界(EMF)暴露の更新ガイドラインがHealth Physicsに発表された

Updated guidelines for exposure to high-frequency electromagnetic fields published in Health Physics

March 11 , 2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-03/wkh-ugf031120.php

100 kHzから300GHzの範囲

暴露による主な有害の可能性のある影響は組織の加熱。身体の部位や波長によって一連に規制値を提案した。

(「からだを暖めること」が有害影響って言われると困る業界があるような)

 

-数百人の科学者が搾取的雑誌のためにピアレビューをした

Natureニュース

Hundreds of scientists have peer-reviewed for predatory journals

11 MARCH 2020  Richard Van Noorden

https://www.nature.com/articles/d41586-020-00709-x

多くが幾分かの編集監視をした-しかしそのレビューの質には疑問

bioRxivに投稿された、Publonsでの1000以上の搾取的雑誌の少なくとも6000のピアレビュー活動の記録の解析。ほとんどの搾取的雑誌のレビューをしているのは若く経験が少なく低所得国の組織の人達。Natureの取材に回答した一部の研究者はレビューコメントは無視されたと言っている。

 

その他

-意見:アフリカの壊滅的なサバクトビバッタアウトブレイクは全方面に渡る作物科学の必要性を明らかにする

OPINION: Africa’s devastating locust outbreak exposes need for crop science on all fronts

by Dr. Nteranya Sanginga | International Institute of Tropical Agriculture (IITA)

Monday, 9 March 2020

https://news.trust.org/item/20200309161608-f9elj/

作物の病害虫対策をしている個々の農家の背後には、より良い種子、作物保護方法、雑草を同定するアプリなどを開発することで彼らを支える科学者がいる

(本文略。コロナのせいであまり話題になっていないけれど)

 

-ノー、コカインや漂白剤はコロナウイルス治療にならない、そのようなソーシャルメディアの陰謀論は無視しよう

No, cocaine and bleach won't cure the coronavirus, so ignore those social media conspiracy theories

March 11, 2020 Valerie Dittrich

https://nationalpost.com/news/no-cocaine-and-bleach-wont-cure-the-coronavirus-so-ignore-those-social-media-conspiracy-theories

Twitterと FacebookにはおもいつきのCOVID-19「治療法」が並んでいる-いわくニンニクスープを飲む、銀のサプリメントを使う、漂白剤を飲む、コカインを使う、など。

人気ユーチューバーは二酸化塩素(MMS)を飲むことを勧めているがそれはFDAが警告しているもの。

 

-イランでコロナウイルス治療の噂で有毒アルコールを飲んで少なくとも44人が死亡

At least 44 dead from drinking toxic alcohol in Iran after coronavirus cure rumor

Joshua Bote USA TODAY Mar. 10, 2020

https://www.usatoday.com/story/news/world/2020/03/10/44-dead-iran-drinking-toxic-alcohol-fake-coronavirus-cure/5009761002/

イランのメディアによるとコロナウイルスを治療しようとして少なくとも44人がアルコール中毒で死亡し数百人が入院している。

イランは火曜日時点でコロナウイルス確認症例が8042人で291人が死亡していてウイルスの拡散防止に苦闘している。飲酒でコロナウイルス予防になるという嘘の噂が国中に広がった。イランでは飲酒は禁止されている。イランの保健当局によると一部の人がエタノールの代わりにメタノールを含み色をごまかすために漂白剤を使ったアルコールを飲んでいる。7人の酒類密造者が逮捕された。Khuzestanではコロナでの死亡者(18人)よりアルコール中毒による死亡者(30人)の方が多い。

この噂はインドでも広がっている