2020-04-01

[BfR] ドイツのヨウ素摂取が再び低下- ヨウ素を十分摂るためのコツ

Iodine intake in Germany on the decline again - tips for a good iodine supply

https://www.bfr.bund.de/en/iodine_intake_in_germany_on_the_decline_again___tips_for_a_good_iodine_supply-128779.html

2020年2月20日のヨウ素摂取とヨウ素欠乏予防に関するBfRのFAQ更新

ヨウ素は甲状腺ホルモンの産生と数多くの代謝過程のコントロールに必要な微量栄養素である。ドイツでは、国内生産の農産物のヨウ素含有量では、食品からの満足いくヨウ素摂取量を保証するには十分でない。ドイツ国民のヨウ素摂取は食品業界と職人による食品及び各家庭におけるヨウ素添加食卓塩の使用という1980年代半ばからの推奨策により改善した。

動物用飼料へのヨウ素の添加の増加により牛乳や乳製品中のヨウ素含有量が高くなったことも、この状況の改善に役立った。しかし、現在のデータによると、国民のヨウ素摂取量は依然として、最適ではなく、減少傾向を示す。それゆえ、ドイツ国民が満足いくヨウ素摂取をすることを保証し、ヨウ素欠乏症を予防するために継続的で長期的な対策が必要である。

ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)はヨウ素摂取とヨウ素欠乏症の予防に関する最もよくある質問に回答し、以下にまとめた:

FAQs(よくある質問)

ヨウ素とは何か、なぜヨウ素が体に必要か?

ヨウ素は甲状腺ホルモンの産生にとりわけ必須の必須微量栄養素であり、それは食品から摂取されなければならない。体内では、甲状腺ホルモンが数多くの代謝過程のコントロールにおいて中心的な機能をもち、とりわけ正常な成長、骨の形成、脳の発達及びエネルギー代謝において必要である。もし、ヨウ素摂取が長期間必要量を下回ったままであれば、甲状腺では甲状腺ホルモンがほとんど産出されず、深刻な健康上の帰結につながる可能性がある。

ヨウ素はどの程度体に必要か?

ヒトのヨウ素必要量は個人で異なり、様々な要因によってきまる。これらはヨウ素阻害物質を含む植物食品(様々な種類のキャベツ類、豆類等)の摂取量だけでなく、年齢、例えば喫煙のような環境の影響も含まれる。ヨウ素必要量を満たすため、ドイツ栄養協会(DGE) は年齢に応じたヨウ素摂取を幼児は1日あたり40-80 µg、15歳以下の子供は1日あたり100-200 µg、青年及び成人は1日あたり180-200 µgと推奨する。妊娠中の女性と授乳中の母親はそれぞれ1日あたり230と260 µgの摂取が推奨される。欧州食品安全機関(EFSA)は、乳児(7-11ヵ月)は1日あたり70 µg、1-14歳の子供は1日あたり90-120 µg、青年及び成人は1日あたり130-150 µgが十分な摂取量と考える。EFSAは妊娠中の女性と授乳中の母親は1日あたり200 µgの摂取量が適量と考える。

ドイツ栄養協会(DGE)の推奨摂取量

年齢グループ

推奨ヨウ素摂取量

幼児

4か月まで (推定)

40 µg/day

4か月から12か月

80 µg/day

子供

1歳から 4歳未満

100 µg/day

4歳から 7 歳未満

120 µg/day

7歳から10 歳未満

140 µg/day

10歳から13 歳未満

180 µg/day

13歳から15歳未満

200 µg/day

青年及び成人

15歳から 51歳未満

200 µg/day

51歳以上

180 µg/day

妊娠中の女性

 

230 µg/day

授乳中の母親

 

260 µg/day

 

ヨウ素摂取の超えてはいけない量は?

欧州食品安全機関(EFSA)によると、長期的な最大1日あたり600µgのヨウ素摂取は成人に健康リスクを示さないという。子どもには体重が考慮され、より低い耐容上限摂取量(ULs)が導き出された:1-3歳の子供には1日当たり200 µg、4-6歳の子供には1日当たり250 µg、7-10歳の子供には1日当たり300 µg、11-14歳の子供には1日当たり450 µg、15-17歳の子供には1日当たり500 µgである。

ドイツは過去に1980年代まで続いた長期的なヨウ素欠乏症を経験しており、甲状腺の機能自律性が依然として特に高齢者では起こり得る。これらの人々は、ヨウ素に高感受性で、ヨウ素の過剰摂取の結果として甲状腺の機能亢進を発症する可能性がある。それゆえ、ドイツでは成人の1日当たり500 µgというUL(上限摂取量)が設定された。

妊娠中の女性及び授乳中の母親が気を付けるべきことは何か?

特別な代謝条件により妊娠中の女性や授乳中の母親は多くのヨウ素摂取が必要である。ヨウ素欠乏症のリスクと母親と子供に生じる健康悪影響をすべて避けるために、婦人科医に相談しながら、妊娠中及び授乳中の女性は、ヨウ素の豊富な食事とヨウ素塩に加え、錠剤形態で1日あたり100 から150 µgのヨウ素を摂取すべきである。

ヨウ素はどの食品から摂るといいか?

ヨウ素は植物や動物性食品に含まれているが、ヨウ素含有量は食品分類内でかなり異なる。ヨウ素食卓塩の使用だけでなく、地球化学条件にも影響される。

海の魚類は適切な天然ヨウ素源で、牛がヨウ素添加飼料を与えられている限り、その牛乳や乳製品も適している。さらに、ヨウ素はヨウ素添加食卓塩やそれで作られた食品を介して主に摂取される。ヨウ素添加塩が食品業界で使用されれば、肉、ソーセージ及びパンはヨウ素の主な摂取源となる。

食品にヨウ素添加塩を使用するのとしないのではどの程度摂取量が違うのか?

ドイツでは、ヨウ素添加食卓塩を考慮しない場合、平均的な1日当たりの青年及び成人のヨウ素摂取量は約100 µgである。これは、ドイツ栄養協会(DGE)の推奨する1日当たり180-200 µgの約半分にしか相当しない。平均して、DGEのヨウ素摂取推奨量は、ヨウ素添加塩を使用してつくった食品を約50-80%摂取しなければ達成できないだろう。その場合、肉、ソーセージ及びパンがヨウ素の主な摂取源となるだろう。しかし、ヨウ素添加塩でつくった食品の比率は実際にはずっと低い。

消費者はどのようにして十分なヨウ素を摂取できるか?

ヨウ素を含む食品を食べるよう気を付ければ十分摂取できる。これには以下を含む:

・毎日牛乳や乳製品を摂取する

・週に1、2度の海の魚の摂取

・家庭でのヨウ素添加塩の継続的な使用及び

・買い物をするときにはヨウ素添加塩を使用した食品を選ぶようにする(食品表示に注意する!)

特に十分なヨウ素摂取に注意をしなければならない人々はいるか?

動物由来食品(肉、魚、牛乳、卵)を食べない人はヨウ素欠乏症のリスクが高くなる。

そのため、菜食主義者、ビーガン及び特殊な食事を維持しなければならない人は、十分ヨウ素が摂取できるよう特に注意を払わなければならない。

これは牛乳や魚アレルギーあるいは乳糖不耐症のため、魚や乳製品を避けなければならない人も含まれる。最後に妊娠中の女性や授乳中の母親は、特殊な代謝状態のためより多くのヨウ素摂取量が必要となり、そのため、確実に十分なヨウ素摂取をし、婦人科医と相談のうえ、1日あたり100-150 µgのヨウ素を錠剤形態でとるべきである。

海藻や昆布製品を食べると適切に必要とされるヨウ素を摂取できるか?

ヨウ素は海水中で濃縮され、海藻の種類により蓄えられるので、乾燥海藻や昆布製品中のヨウ素含有量は特に高いことがある。海藻の種類により、ヨウ素含有量は、乾燥重量でグラム当たり5~11,000 µと大きくばらつくである。特にあらめ、昆布、ワカメ及びヒジキといった褐藻はヨウ素が豊富である。

たとえ1-10 gの少量しか食べなくとも、1日の最大耐容摂取量の500 µg(成人に適用される値)を相当超えることがある。摂取量や消費者の敏感度合いによっては、ヨウ素の過剰摂取により健康への有害影響が起こる可能性がある。それゆえ、ヨウ素含有量が一定ではないため、海藻からの摂取に集中することは適切なヨウ素摂取のよい方法ではない。

体内でのヨウ素吸収に影響する要因はなにか?

様々な環境の影響、食品成分及びいくつかの医薬品は、ヨウ素の吸収あるいは甲状腺ホルモンの産生を阻害することがあるが、ヨウ素代謝に関するこれらの要因による負の影響は、ヨウ素摂取が推奨摂取量を大幅に下回る場合にのみ予想される。

環境要因については、喫煙が特に関連がある。しかし、ヨウ素代謝は、セレン、亜鉛及び鉄といった他の栄養欠乏症からも影響を受けることがある。加えて、キャベツやラディッシュなどの特定の食品の高摂取、あるいはトウモロコシや雑穀は甲状腺のヨウ素吸収の低下につながることがある。摂取低下の原因はキャベツやラディッシュに含まれるチオシアン酸塩という物質である。トウモロコシや雑穀は体内でチオシアン酸塩に変換される青酸グリコシドを含む。

ドイツではヨウ素摂取はどのような状況か?

国民のヨウ素摂取状況を測定する方法の1つは尿中のヨウ素排泄量に基づくものである。

食品から摂取したヨウ素量の約85~90%は尿(残りの10~15%は汗や糞を介して排出される)を介して排泄されるので、1日のヨウ素摂取量は1日のヨウ素排泄量を使用し予測することができる。 

ヨウ素の尿中排泄に関するドイツ国民の典型的なデータがロベルト・コッホ研究所(RKI)によって国家の健康調査の一環として収集された:「Studie zur Gesundheit von Kindern und Jugendlichen in Deutschland(ドイツの子供と青年の健康に関する研究)」(KiGGS study、データ収集期間2003-2006及び2014-2017)及び「Studie zur Gesundheit Erwachsener in Deutschland(ドイツの成人の健康に関する研究)」(DEGS study、データ収集期間2008-2011)。

データでは、成人の約30%、小児と青年の約44%が、ヨウ素の平均的な推定必要量を下回っていることを示す。これは、これらの人々はヨウ素欠乏症のリスクが高いということを意味する。小児と青年のヨウ素の1日推定摂取量は、基本データが集められて(2003-2006)以降、13%低下した。

ヨウ素摂取低下の傾向は、近年、数年間かけてドルトムントで実施された乳児、幼児及び学校年齢の小児の長期的な調査の中、3~6歳の子供、6~12歳の子供両方に観察されている。(ドルトムント栄養及び人体計測の長期研究;DONALD研究)

ドイツではヨウ素添加塩による予防策は依然必要なのか?

土壌のヨウ素含有量によると、ドイツはヨウ素不足地域である。これは食品中の天然ヨウ素濃度のみでは満足いくヨウ素を摂取するのに十分でないということを意味する。そのため、ヨウ素添加塩による予防は人々の十分なヨウ素摂取を確保するために継続的に必要である。

ドイツのヨウ素摂取は1980年代半ばの食品業界、職人による食品及び各家庭におけるヨウ素添加食卓塩の使用を勧めたヨウ素欠乏症予防の導入のおかげで、有意に改善した。牛乳や乳製品中のヨウ素含有量を高くした、動物用飼料へのヨウ素の添加の増加もこの状況を改善するのに役立った。しかしロベルト・コッホ研究所の現在のデータ(DEGS and KiGGS)によると、ドイツ国民のヨウ素摂取量は再び低下しつつあると示す。

2019年からのギーセン大学による最新の市場調査によるデータでも、食品業界と職人による食品中のヨウ素添加食卓塩の使用が減りつつあることが示される。そのため、消費者や食品製造業者を対象とした情報と教育のキャンペーンの一環として、十分なヨウ素摂取による健康効果の意識を再度高め、関心を持ち続けるようすべきである。しかし、消費者の懸念や恐れも適切に対応しなければならず、また、製造業者にヨウ素添加塩の使用を受け入れるよう推奨しなければならない。

ヨウ素添加塩は安全なのか?

合法的に塩に添加されるヨウ素量は15~25 mg/kgである。この量は、健康リスクがない人あるいは甲状腺に問題がある人にとっても健康リスクを引き起こさない量として選択された。合法的に処方される濃度の遵守は食品監査機関により監視される。

食品業界でヨウ素添加塩の使用はどの程度普及しているか?

2019年からのギーセン大学による最新の市場調査によるデータでは、加工食品中のヨウ素添加食卓塩の使用は減りつつあると示す。近年、食肉業界でのヨウ素添加塩の使用、特にパン業界での使用は大幅に減った。現在ヨウ素添加塩は工業的に生産された塩を含むパンと焼き食品の10%にしか使用されていない。工業的に生産された塩漬け肉と肉製品に最大で47%ヨウ素添加塩が使用されている。

牛乳にはどの程度ヨウ素が含まれているか?

動物用ヨウ素添加飼料の使用により、牛乳のヨウ素含有量は近年上昇した。通常の牛乳は約リットルあたり120 µgヨウ素を含む(しかし、濃度は大きく変動することがある) そのため、通常の牛乳や乳製品はヨウ素摂取源として適切なものに思える。

有機栽培の食品はヨウ素を含むか?

ヨウ素添加塩の使用は多くのオーガニック農業協会で禁じられている。ヨウ素添加塩を使用する場合、申告しなければならない。ヨウ素を含む動物用飼料もまた、多くのオーガニック農業協会で禁じられている。当然、ヨウ素添加塩はオーガニック食品農産物やオーガニック牛乳ではめったに使用されず、通常に生産された牛乳に含まれるヨウ素の量は約3分の2しか含まれない。定期的にオーガニック牛乳やその他のオーガニック食品を摂取する人は、他の食品を介してヨウ素の摂取をすべきである(魚の摂取、家庭でのヨウ素塩の使用及びヨウ素塩を使用してつくられた食品)。

消費者は食品がヨウ素添加塩を使用し、生産されているかどうかどのようにして判断できるか?

包装食品を購入する場合、消費者はヨウ素添加塩あるいは通常の塩のどちらを使用し、生産されたか表示上の成分リストからわかる。パンや肉の店から包装されていない商品を買う場合、消費者はヨウ素添加塩を使用したものかどうか尋ねなければならない。

塩分摂取の制限をしたいあるいはしなければならない消費者は何を考慮すればいいか?

高血圧の患者で塩分摂取を制限したいあるいはしなければならない人は、海の魚(週に1~2)あるいは牛乳や乳製品のようなヨウ素を多く含む食品の摂取を考慮すべきである。

可能であるならば、減塩摂取でもヨウ素塩は摂るべきである。もし必要ならば、ヨウ素錠剤を飲むほうがよいかどうか医師と相談すべきである。

ヨウ素欠乏症は健康にどんな影響があるか?

ヨウ素摂取欠乏の健康影響は、欠乏症の重症度による。国民のヨウ素欠乏症の重症度は尿中のヨウ素濃度の平均値を基に分類することができる。(以下参照)

WHOの尿中ヨウ素排泄に基づくヨウ素摂取に関する分類

尿中ヨウ素平均濃度(µg/l)

ヨウ素摂取

ヨウ素供給

児童学生及び成人

 

 

20未満

不十分

重度のヨウ素欠乏症

20-49

不十分

中等度のヨウ素欠乏症

50-99

不十分

軽度のヨウ素欠乏症

100-199

十分

十分なヨウ素供給

200-299

必要量以上

妊娠中の女性及び授乳中の女性にとっては十分な摂取量に思えるが、一般の人にとって十分な摂取量以上はわずかにリスクとなる可能性がある

≥ 300

過剰

健康に有害の可能性 (ヨウ素誘発性甲状腺機能亢進症、自己免疫性甲状腺疾患)

妊娠中の女性

 

 

<150

不十分

 

150 - 249

十分

 

250 - 499

必要量以上

 

≥ 500

過剰

過剰はヨウ素欠乏症の予防や抑止に必要な量以上を大幅に上回ることを意味する

授乳中の女性

 

 

> 100

十分

 

2歳以下の乳幼児

 

 

> 100

十分

 

※授乳中の女性は妊娠中の女性と同じくらいの必要量であるが、平均的な十分な尿中ヨウ素濃度は母乳を介して排出もされるので低くなる。

世界保健機関(WHO,2007)から改変。

成人では、慢性ヨウ素欠乏症が結節性および非結節性甲状腺腫の発症という結果になる可能性がある。甲状腺の機能に見た目上機能障害がないこともよくある。その中にホルモン産生の減少につながる甲状腺機能低下症がある。甲状腺機能低下症は以下の症状を伴うことがある:倦怠感、虚弱、精神身体能力の減退、体重増加を伴う代謝の低下、心拍数の減少、皮膚の乾燥及び蒼白、爪がもろくなる、無気力、集中力の欠如、食欲不振、便秘及び抑鬱。

子供や青年では、ヨウ素欠乏症はstruma diffusa(甲状腺腫、甲状腺肥大)や甲状腺機能低下症の発症につながることがある。その他ヨウ素欠乏症の影響の可能性は知的能力の低下と身体発育の遅れを含む。子供の低中等度のヨウ素欠乏症の治療は認知機能の改善につながることが研究により示された。

妊娠中の重度の妊娠ヨウ素欠乏症は流産や死産のリスク及び奇形のリスクを増加させる。

子供においては、低身長、聾唖及び精神発達の遅れ(いわゆる「クレチン病」と言われる症状)につながる可能性がある。そのような顕著なヨウ素欠乏症は、ヨウ素摂取が改善され、ドイツ国民の中では存在しない。

妊娠中の低中等度のヨウ素欠乏症の結果に関する研究はいまだ少ない。しかし、妊娠中の軽度のヨウ素欠乏症と子供の認知能力低下の関連を示した研究もいくつかある。

ヨウ素過剰の理由は何か?

「ヨウ素過剰」は一般に、1日あたり1000 μg以上のヨウ素摂取を示す。過剰なヨウ素摂取の原因には、造影剤とヨウ素含有の医薬品の使用あるいは特にヨウ素が豊富な海藻の摂取がなり得る。

この高摂取は通常の食事だけではできない。摂取研究に基づいた予測では、たとえ高摂取でも、また、100%ヨウ素添加食卓塩が食品業界で100%使用されたとしても、この値よりずっと低いことが示された。

ヨウ素過剰は健康にどんな影響があるか?

服用量と感受性によるが、ヨウ素過剰は以下の症状につながる恐れがある:

機能自律性を伴う甲状腺機能亢進症、

Graves病(自己免疫性甲状腺機能亢進症)

橋本病(甲状腺機能亢進症あるいは甲状腺機能低下症を伴う甲状腺の自己免疫炎症)

甲状腺に機能低下症がある、あるいはないが、ヨウ素取り込み摂取の急性な低下(Wolff-Chaikoff効果)、あるいは

稀な過敏反応(例えば、ジューリング疱疹状皮膚炎という非常に稀な皮膚疾患者に)。

1日1,000 µg以下の単回高摂取は、一般に何も甲状腺障害のない人には副作用なく、耐容される。ヨウ素の余剰は尿を介して排泄される。

ヨウ素過余剰(1日当たり500㎍以上)に特に敏感な人々はいるか?

ヨウ素不足の時代に育った高齢者やそれによる機能自律性を発症した人は、ヨウ素過余剰に特に敏感であるリスク集団と考えられる。それゆえ、敏感な消費者を保護するために、ドイツ栄養協会は成人に対し食品やサプリメントからのヨウ素摂取総量を1日当たり500㎍に制限することを推奨する。

ヨウ素欠乏症予防策は甲状腺機能亢進症につながるか?

ヨウ素欠乏症予防が比較的短期間導入された国では、ヨウ素誘発性甲状腺機能亢進症増加が観察されたが、多くは一時的なものであった。影響を受けた人は、大部分が長期間ヨウ素不足にさらされた高齢者であり、そのために、甲状腺ホルモン産生の増加を伴う、わずかなヨウ素摂取の増加に反応する自律性結節を発症した人であった。それゆえ、一日当たりヨウ素500㎍の推奨される上限量の恒久的な超過は、甲状腺障害を患う高齢者にとっては問題となるだろう。しかし、この最大値は、ヨウ素添加食卓塩を最大限に使用しても、ドイツにおいて超過することはないと予測された。

現在の平均的なヨウ素摂取量は Graves疾患による甲状腺機能亢進症(自己免疫性甲状腺機能亢進症)の治療を受けている患者にとっても問題を引き起こさない。

橋本甲状腺炎とは何か?

橋本甲状腺炎は一般的に初期の段階では甲状腺機能亢進症につながり、のちに甲状腺組織の傷により甲状腺機能低下症につながる甲状腺の炎症を意味する。この疾患は自己免疫性反応の結果影響であり、遺伝的要因により促進される。疾患の間に、自分の甲状腺組織に対する抗体がまず防御細胞と炎症反応を伴い、甲状腺浸潤を引き起こし、その後甲状腺機能低下症を伴い傷がつく。

この疾患の進行はとても遅く、甲状腺機能低下症は、甲状腺自己抗体の最初の発見から数年あるいは数十年後に発生するということである。しかし、抗体価陽性は必ずしも橋本病や甲状腺機能低下症につながるわけではなく,甲状腺機能が生涯保持される可能性も同等にある。

橋本甲状腺炎を患っている患者は低ヨウ素食が必要か?

医師会は橋本甲状腺炎を患っている患者にヨウ素をとらないようにするあるいは低ヨウ素食を勧めてはいない。ヨウ素食卓塩を避ける必要もない。しかし、例えばヨウ素含有の食品サプリメントやビタミン剤を介した追加のヨウ素摂取は避けるべきである。

ヨウ素欠乏症予防策の一環としてのヨウ素摂取は循環器疾患を引き起こすか?

ヨウ素欠乏症予防策の一環としての通常のヨウ素摂取は循環器疾患につながらない;それに反し、作業能力をあげる。しかし、甲状腺ホルモンの欠乏あるいは過剰により既に甲状腺障害がある場合は、循環器系によくない影響を与えることがある。とりわけ、甲状腺機能低下症により引き起こされるホルモン欠乏症の場合、心拍が下がり、拡張期血圧が上昇する; 甲状腺ホルモン値が高い甲状腺機能亢進症は不整脈(心拍数の増加、頻脈)や収縮期血圧の上昇につながる。

ヨウ素添加塩はアレルギーを引き起こすことがあるか?

アレルギーとはアレルゲン物質による免疫系の刺激に基づく過敏反応である。ヨウ素塩で使用されるヨウ素成分はアレルゲン物質として作用するには小さすぎる分子である。そのため、ヨウ素アレルギーとされるものはない。しかし、患者はX線造影剤のようなヨウ素を含む製品にアレルギーを発症する可能性はある。しかし、その場合、アレルゲン物質として作用するのはヨウ素についたキャリアである。

ヨウ素添加塩は「ヨウ素にきび」を引き起こすことがあるか?

「ヨウ素にきび」は皮膚の変化を伴う不耐性反応であり、ヨウ素予防策に基づくヨウ素摂取量を超える、ミリグラムあるいはグラム単位の1日の摂取量の場合のみ起こる。しかし、このヨウ素摂取量は、例えばヨウ素を含む医薬品を服用した場合に起こることがある。

BfRウェブサイトで詳しい情報を見ることができる:

 

[FSS]コロナウィルス( COVID-19)と食品

Coronavirus (COVID-19) and Food

30 March 2020

https://www.foodstandards.gov.scot/consumers/food-safety/coronavirus

コロナウィルスと食品に関連する情報の更新。

https://www.foodstandards.gov.scot/consumers/food-safety/coronavirus/questions-and-answers-covid-19

 

[SFA]食品表示及び包装情報

Labelling & Packaging Information

Tuesday, March 31, 2020

https://www.sfa.gov.sg/food-information/labelling-packaging-information

シンガポールの食品表示及び包装情報の更新。(食品栄養表示の理解、食品輸入者及び製造者向け食品表示ガイドライン)

 

[ODS] ファクトシート更新

-ビタミンB12

Vitamin B12

Fact Sheet for Consumer

March 30, 2020

https://ods.od.nih.gov/factsheets/VitaminB12-Consumer/

“What kinds of vitamin B12 dietary supplements are available?”部分の文書を改訂。ビタミンB12が鼻腔にスプレーされる鼻腔用ジェル形態中の処方薬としても利用できることを記載。

 

-コロナウィルスと代替療法

Coronavirus and “Alternative” Treatments

April 01, 2020

https://www.nccih.nih.gov/health/in-the-news-coronavirus-and-alternative-treatments

情報更新。

 

[FSAI]原産国表示-主成分

Country of origin labelling - primary ingredient

31/3/2020

https://www.fsai.ie/faq/country_of_origin_primary_ingredient.html

2020年4月1日より施行されるRegulation (EU) 2018/775 の食品表示について。

 

[FDA]警告文書

- Cargill Incorporated

January 27, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/cargill-incorporated-589386-01272020

医療用飼料のCGMP、不純品の問題。

 

- Bulletproof 360 Inc

March 20, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/bulletproof-360-inc-593246-03202020

CGMPダイエタリーサプリメント不純品、未承認の医薬品、不正表示の問題。

 

- Shung Kee Food Co., Ltd.

March 20, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/shung-kee-food-co-ltd-598630-03202020

水産食品HACCP、食品CGMP規則違反、不純品、衛生管理の問題

 

- Bioactive C60/FullerLifeC60 LLC

March 30, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/bioactive-c60fullerlifec60-llc-605954-03302020

コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する未承認の製品の問題。

 

- Halosense Inc.

March 30, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/halosense-inc-606153-03302020

コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する未承認の製品の問題。

 

- JRB Enterprise Group Inc. DBA Anti Aging Bed

March 30, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/jrb-enterprise-group-inc-dba-anti-aging-bed-605892-03302020

コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する未承認の製品の問題。コロイド銀製品を含む。

 

[EU]EU規制2020/466:コロナウイルス疾患(COVID-19)により加盟国のコントロールシステムに深刻な断絶がある間のヒト、動物、植物の健康と福祉へのリスクを阻止するための暫定対策について

COMMISSION IMPLEMENTING REGULATION (EU) 2020/466 of 30 March 2020 on temporary measures to contain risks to human, animal and plant health and animal welfare during certain serious disruptions of Member States’ control systems due to coronavirus disease (COVID-19)

31.3.2020

https://eur-lex.europa.eu/legal-content/EN/TXT/?uri=CELEX:32020R0466

フードチェーンの公的管理活動に柔軟性を与える規則

公定検査機関が検査できない場合には普段使っていないラボのデータでも可、文書の代わりに電子でも可、等。最初は2ヶ月適用、随時見直し

 

[PHE]宗教指導者たちと議論した安全な葬儀のための助言

New advice for safe funerals after discussions with faith leaders

31 March 2020

https://www.gov.uk/government/news/new-advice-for-safe-funerals-after-discussions-with-faith-leaders

PHEは社会的距離をとる基本原則を守りながら安全に葬儀を行うための新しいガイダンスを発表した

葬儀の参加者を近親者のみに制限し距離を開ける。症状のある人は参加しない。参加する人は遠くから来る場合も含めて常に距離をとる基本を守る。

遺体と直接接触しない。接触する場合には個人保護装備を使う

 

[FAO]食品貿易と市場へのCOVID-19の影響を緩和する

Mitigating impacts of COVID-19 on food trade and markets

31 March 2020,

http://www.fao.org/news/story/en/item/1268719/icode/

FAO/WHO/WTO共同声明

世界中の何百万人もの人々が食料安全保障と生計を国際貿易に依存している。各国が加速するCOVID-19パンデミックを止めるための対策を行っているが、食品供給への影響を最小限にし、世界の貿易と食料安全保障への意図せぬ影響を起こさないよう注意しなければならない

(以下略)

 

-世界経済フォーラム:FAO事務局長はCOVID-19パンデミック中に食品貿易制限をしないよう話す

World Economic Forum: FAO Director-General speaks against food trade restrictions during the COVID-19 pandemic

30/03/2020

http://www.fao.org/director-general/news/news-article/en/c/1268825/

 

[ANSES]COVID-19 -食品と買い物と掃除についてのANSESの助言

COVID-19 - ANSES's recommendations on food, shopping and cleaning

News of 27/03/2020

https://www.anses.fr/en/content/covid-19-ansess-recommendations-food-shopping-and-cleaning

 

-COVID-19:労働環境でのウイルス暴露予防

COVID-19: preventing exposure to the virus in the workplace

News of 30/03/2020

https://www.anses.fr/en/content/covid-19-preventing-exposure-virus-workplace

 

[ASA]コロナウイルスの広告を報告して

Report a coronavirus ad

https://www.asa.org.uk/make-a-complaint/quick-report.html

我々は一部の広告主がCOVID-19パンデミックを利用して儲けようとしていることに気がついている。現在COVID-19の治療法や予防ワクチンは無く、フェイスマスクなどの多くのいわゆる予防用製品はその宣伝通りの保護作用を提供していない。

これらの広告に速やかに対応できるように、以下のフォームを使って広告についての迅速報告を受け付けている

(ASAのコロナウイルス関連の不適切な広告を通報するための専用サイト。入力フォームになっている)

 

[FSSAI]COVID-19の間、輸入通関と食品検査室はFSSAIにより必須サービスに分類される

Import Clearance and Food Testing Labs classified as Essential Services by FSSAI during the COVID-19

New Delhi, March 31, 2020

https://fssai.gov.in/upload/press_release/2020/03/5e833bf076babPress_Release_Import_Lab_Service_31_03_2020.pdf

必須サービスの業務を担う全ての職員は月曜日から金曜日の午前9:30から午後6:00までの全ての就業日にオフィスにいる必要がある

 

[FTC]FTCのデータはコロナウイルス関連消費者苦情の急増を示す

FTC Data Shows Jump in Coronavirus-related Complaints from Consumers

March 31, 2020

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2020/03/ftc-data-shows-jump-coronavirus-related-complaints-consumers

FTCへのコロナウイルス関連消費者苦情がここ数週間急増している。今年初めからのコロナウイルス関連報告は7800件以上で、1週間前から二倍になった。

コロナウイルス関連詐欺苦情のトップカテゴリーは旅行や休暇のキャンセルによる返金、オンラインショッピング、携帯電話メール詐欺、政府や事業者を騙る詐欺。コロナウイルスへの言及がある詐欺苦情で,消費者は総額477万ドルを失い、中央値は598ドルである。

FTCはコロナウイルス関連苦情の数を定期的にウェブで報告している

Explore Data

https://www.ftc.gov/enforcement/data-visualizations/explore-data

 

その他

-アジアの一部の国が「COVID-19消毒剤」をヘリコプターで散布しているという虚偽の主張がオンラインで出回っている

False claim circulates online that certain countries in Asia are using helicopters to spray 'COVID-19 disinfectant'

AFP Sri Lanka, AFP Philippines Published on Friday 27 March 2020

https://factcheck.afp.com/false-claim-circulates-online-certain-countries-asia-are-using-helicopters-spray-covid-19

スリランカとフィリピンで、空軍のヘリが新型コロナウイルスの消毒剤を家に散布するので住人に屋内にいるよう勧めるメッセージがFacebook と WhatsAppで出回っている。しかしこれは嘘である。

スリランカ政府情報省がこの主張を否定する声明を2020年3月24日に出している。フィリピン保健省も否定している。そのようなやりかたは有効では無いだろう

 

-SMC NZ

家庭内暴力に与える隔離のプレッシャー-専門家の反応

The pressure of quarantine on family violence rates – Expert Reaction

Published: 01 April 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/04/01/the-pressure-of-quarantine-on-family-violence-rates-expert-reaction/

支援サービスがロックダウンによりニュージーランドの家庭内暴力が増えると警告している

 

隔離の背景にある根拠を理解する

Understanding the evidence behind quarantine – Expert Reaction

Published: 01 April 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/04/01/understanding-the-evidence-behind-quarantine-expert-reaction/

 

-GNCは必須のサービスか?

Is GNC An Essential Service?

By Chuck Dinerstein, MD, MBA — March 31, 2020

https://www.acsh.org/news/2020/03/31/gnc-essential-service-14676

ここ数週間必須で無い事業はロックダウンされているが必須か必須でないかの規制ラインは曖昧である。一部の必須のサービスは考えるまでもない、薬局、食品雑貨販売店、食品マーケット、物流システム、そして医療施設。幸運に恵まれなかった事業-映画館やジムも思い浮かべることができる。そしてグレーゾーンがある。

例えば酒類販売店である。ニューヨークではそれは必須とみなされている。大麻は?予想通りカリフォルニアでは大麻は必須とみなしている。他の州では医療用大麻は必須、娯楽用大麻は必須ではないとみなしているようだ。

電子タバコは必須ではないとみなしているところが多いようだがショップのオーナーは声高に必須であると主張している。電子タバコが無いとタバコに戻ってしまうと。

サプリメント販売店のGNCは必須だろうか?もちろん人によって違う。ペンシルベニアではサプリメントは必須ではないとみなされGNCは閉店している。当然GNCは合意しない。

この必須か必須でないかの混乱の中でGNCは開店し続けている

GNC has stayed open amid confusion around 'essential' retail. Some employees feel unsafe.

https://www.retaildive.com/news/gnc-has-stayed-open-amid-confusion-around-essential-retail-some-employee/574964/

 

-新しいカリフォルニア大学Davis校の研究が両親は就学前の子どもの画面を見るメディアを制限すべきと示唆する

New UC Davis research suggests parents should limit screen media for preschoolers

31-MAR-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-03/uoc--nud033120.php

テレビだけでは無くスマホやタブレットも先送りすべき

Journal of the American Medical Association Pediatricsに発表。スクリーンメディアを使い始めた時期が早い、あるいは現在モバイル機器を使う頻度が多い子どもが自己規制スキルが低い

(遠隔授業やってる大学のプレスリリースで今それを言うか、とは思う。小規模でまだ確認されていない結果だと言い訳するならなおさら。)