2020-04-03

[BfR]新しい研究が示す:血中PFOA濃度の高い1才の子どもはワクチン抗体濃度が低い

New study shows: One-year-old children demonstrate lower concentration of vaccine antibodies with high PFOA concentration in the blood

30 March 2020

https://www.bfr.bund.de/cm/349/new-study-shows-one-year-old-children-demonstrate-lower-concentration-of-vaccine-antibodies-with-high-pfoa-concentration-in-the-blood.pdf

パーフルオロオクタン酸を含むパーフルオロ及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)は、高い安定性と移動性を備えた合成化学物質の複合グループである。特別な技術特性により、数十年間工業化学物質として産業工程や消費者製品に用いられてきた。簡単に分解しにくく、環境、フードチェーン、ヒトに蓄積する。

PFASへのヒトの暴露は血中濃度を測定することで立証できる。パーフルオロオクタン酸(PFOA)とパーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)がこのグループの主な化合物である。中でも実験動物の免疫系に悪影響があることが知られている。子どもの血中のPFOA/PFOS濃度とワクチン抗体濃度に負の関連があることも疫学研究で観察された。血中PFOA濃度の高い子供はワクチン抗体濃度が低いことがしめされている。しかし、長期間にわたって母乳で育てられる間にこれらの物質に多く暴露した1歳の子供の科学的データはまだない。彼らは幼いので、免疫系の影響に特に敏感な可能性がある。

現在、BfRとベルリンCharité医科大学による共同調査が1歳児のギャップを埋めている。1歳児101人の研究で、免疫系と血中PFAS濃度に様々なパラメーターが測定された。この研究でも血漿のPFOA濃度とある種のワクチン抗体濃度の間の負の関連が示立証された。つまり、血中PFOA濃度の高い子供はワクチン抗体濃度が低かった。この結果は「健康な101人の1歳児のパーフルオロアルキル物質(PFASs)への内部暴露と生物学的指標:パーフルオロオクタン酸(PFOA)の濃度とワクチン反応の関連性」と題して専門誌Archives of Toxicologyに発表された。

https://link.springer.com/content/pdf/10.1007/s00204-020-02715-4.pdf

この研究は欧州食品安全機関(EFSA)の、食品からのPFASの摂取による新しい消費者の健康リスク評価に重要な研究として含まれている。このEFSAの意見案に関するパブリックコメントはを2020年4月20日まで募集している。

https://www.bfr.bund.de/cm/349/perfluoroalkyl-and-polyfluoroalkyl-substances-pfaseuropean-food-safety-authority-draft-opinion-opens-for-public-consultation.pdf

101人の健康的な1歳児の研究(母乳を与えていない21人と長期間母乳を与えた80人)は20年以上前にベルリンCharité医科大学で実施されていた。当時、残留性有機汚染物質の負荷(ダイオキシンなど)と多数の生物学的パラメーター両方を子供の血液で調査した。この研究の目的は、授乳期間中に子供の体内に蓄積する難分解性の化合物から特定の身体機能に関する影響が生じる可能性があるかどうかという質問に答えることだった。PFASもこの物質グループに属していて、その分析は2019年に、保存されていた血液サンプルで実施された。科学者たちは対象を絞った評価で、PFOA濃度とインフルエンザ菌、破傷風、ジフテリア菌のワクチン抗体濃度の間に有意な負の関連があると決定した。PFOSにそのような関連性は示されなかった。

これらの結果や他の研究結果は共に、多く暴露した場合、パーフルオロ化合物が免疫系に悪影響を及ぼす可能性があるという証拠を増している。ワクチン接種推奨を守っていれば、既存の予防接種の安全性マージンにより免疫低下に結びつかなくても、作られるワクチン抗体が少ないことは本質的に望ましくないとみなされるべきである。免疫系に関するPFASの影響の結果、感染がより頻繁に発生するかどうかは現在明確でない。BfRとベルリンCharité医科大学による研究では、多く暴露した子供に感染率が高いことは示されていない。PFASの影響に関するデータの最終的な解釈には、作用機序、用量反応関係、臨床上の意味についてのより多くの知見が必要になるだろう。

食品中のPFASの発生に関する健康リスクについての現在の意見案で、EFSAは4つのPFAS、すなわちパーフルオロオクタン酸(PFOA)、パーフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)、パーフルオロヘキサンスルホン酸(PFHxS)、パーフルオロノナン酸(PFNA)の合計の耐容週間摂取量(TWI)  8 ナノグラム (ng)/ 体重(kg) / 週を導出した。この値は生涯にわたる摂取量からヒトの健康を損なうことが予期されない体重kg当たりの一週間の量を示している。この現在の導出はPFAS血中濃度とワクチン抗体濃度の負の関連の観察に基づいている。ベルリンCharité医科大学とBfRによる研究のデータで、EFSAはリスク評価の中で長期間にわたって母乳を与えられていた子供の最も高い暴露グループを検討することができた。

BfRはEFSAの意見案についてコメントする予定である。2018年12月に、EFSAは食品中の特定のパーフルオロ化合物が起こす健康リスクの再評価を発表し、2つの化合物(PFOSと PFOA)に以前の意見で示されたものよりかなり低いTWI値を導出した。EFSAとBfRは科学的不確実性を確認しさらなる研究を求めた。

 

[FDA]不正なコロナウイルス検査、ワクチン及び治療に注意

Beware of Fraudulent Coronavirus Tests, Vaccines and Treatments

03/24/2020

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/beware-fraudulent-coronavirus-tests-vaccines-and-treatments

 多くの国民がCOVID-19の感染拡大の“カーブをなだらかに”して、広がりを遅くするために家に閉じこもっている最中に、COVID-19の診断や治療、予防などを謳った疑わしい製品の購入や使用の誘惑にあうかもしれない。そのような予防のためのワクチンや治療薬として認可された製品は現時点で存在しない。FDAは業界とともに開発を急いでいるところである。その間、このパンデミックに乗じて、コロナウイルスに効果があるという嘘の宣伝をした未承認製品や違法製品を販売して一儲けしようとする人達がいる。それら詐欺製品は、あなたにも、あなたの家族にも危険となる可能性がある。

COVID-19のためのワクチンも医薬品も、まだない

 FDAは、COVID-19のワクチンや治療薬の開発に業界とともに取り組んでおり、臨床試験を行っているが、まだ初期段階であり安全性も有効性も完全には確認されていない。

 詐欺的なCOVID-19製品は多種多様で、ダイエタリーサプリメントやその他の食品だけでなく、検査や医薬品、医療機器、ワクチンなどの製品もある。FDAはそれらを排除するために小売業者とともに取り組んでおり、引き続きソーシャルメディアやオンラインストアの監視を続けていく。

コロナウイルス詐欺から自分と自分の家族をどのように保護するか

FDAは、COVID-19の予防や治療を謳った製品を販売するウェブサイトや店舗に注意するよう消費者に呼びかける。認可された製品はない。獣医用の製品や「研究のみ使用可」、ヒト食用不可という製品は、ヒトへの安全性が評価されておらず、決してヒトが使用してはならない。例えば、養殖魚の駆虫薬として販売されているリン酸クロロキンとよばれる製品でCOVID-19感染を予防しようとしている人達がいることをFDAは気づいている。そのような製品をヒトが利用すると、深刻で、致死的にもなりかねない有害影響を生じる可能性がある。

嘘や誤解をまねく宣伝に気づくこつ

いろいろな病気を治療すると謳った製品は、疑うこと

個人的な証言や推薦は、科学的根拠の代わりにはならない

すぐに治療できる病気や病状はないので、「すぐに治る」と謳う治療は疑うこと

真実とするにはあまりにも良すぎるように感じたなら、それはおそらく当たっている

科学的な新発見や秘密の成分を宣伝する「奇跡の治療」は、作り話であろう

自分ではコロナウイルス感染を検査できないことを知っておこう

 

[FDA]FDAはCOVID-19パンデミック中のチェーンレストランや同様の食品小売施設のメニュー表示要件について柔軟性を提供する

FDA Provides Flexibility Regarding Menu Labeling Requirements for Chain Restaurants and Similar Retail Food Establishments During the COVID-19 Pandemic

April 1, 2020

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-provides-flexibility-regarding-menu-labeling-requirements-chain-restaurants-and-similar-retail

店舗での食事からテイクアウトに切り替えるなどの変更をしたり通常使用していた原材料が入手できなくて別のもので代用するなどしてメニューへの栄養表示を変更する必要がある場合が想定されるが、この緊急事態に表示要件を守れない場合にFDAは異議を唱えないだろう

 

[FDA]FDAは全てのラニチジン製品(Zantac)の市場からの撤退を要求

FDA Requests Removal of All Ranitidine Products (Zantac) from the Market

April 01, 2020

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-requests-removal-all-ranitidine-products-zantac-market

NDMA汚染についての調査で,一部のラニチジン製品の不純物が室温以上で保管した場合に時間とともに増加し,消費者への暴露が許容できないレベルになる可能性がある

現在のCOVID-19パンデミックを考慮し、患者や消費者が医薬品を回収場所に持参することは推奨しないが、添付文書やFDAの助言による廃棄方法に従うこと

 

[FDA]警告文書

- NeuroXPF

March 31, 2020

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/neuroxpf-606236-03312020

コロナウィルス疾患2019(COVID-19)に関連する未承認の製品の問題。カンナビジオール(CBD)製品を含む。

 

[フィンランド食品局]高齢者向けの新しい食事助言:機能を促進し栄養不良をタイムリーに予防

New food recommendation for elderly: Functional capacity must be promoted and malnutrition prevented in a timely manner

April 1/2020

https://www.ruokavirasto.fi/en/themes/healthy-diet/uutiset/new-food-recommendation-for-elderly/

2010年版を置き換え

 

 

[HSA]HSA 警告:Kopi Jantan Ali Macca’, ‘Kopi Panggung Al-Ambiak Natural Herbs Coffee’ および ‘Berry Jaga Chewable Candy’に強力な勃起不全治療薬が含まれる

HSA Alert: ‘Kopi Jantan Ali Macca’, ‘Kopi Panggung Al-Ambiak Natural Herbs Coffee’ and ‘Berry Jaga Chewable Candy’ Found to Contain Potent Erectile Dysfunction Medicines

Published: 24 Mar 2020

https://www.hsa.gov.sg/announcements/press-release/hsa-alert-kopiandberry

シルデナフィル、デスメチルカルボデナフィル、タダラフィルが検出されている

製品の写真はPDFに掲載

 

[Ahpra]COVID-19についての虚偽で誤解を招く広告

False and misleading advertising on COVID-19

31 Mar 2020

https://www.ahpra.gov.au/News/2020-03-31-false-and-misleading-advertising-on-covid-19.aspx

オーストラリア健康プラクティショナー規制庁(Ahpra)と国の委員会は、COVID-19緊急事態の封じ込めと治療における登録健康プラクティショナーの重要な役割を認識している。

自分の健康と福祉への関心が高まっている中、人々はCOVID-19について健康プラクティショナーからの答えや安心を欲しがっている。

多くの健康プラクティショナーはCOVID-19緊急事態に専門家として責任ある対応をしているが、一部の人が虚偽で誤解を招く宣伝をしていることを承知している。

この困難な時期に、健康プラクティショナーが信頼できる情報のみを提供することが需要である。登録健康プラクティショナーはCOVID-19の予防や治療,回復について宣伝してはならない。例えば脊椎操作や鍼で免疫を強化しCOVID-19からの回復を早めるといった宣伝を目にした。我々は広告違反には対応する。

患者や消費者はCOVID-19に関するいかなる宣伝にも注意すること。

 

論文

-コロナウイルス疾患2019の患者のうち特定の基礎疾患のある率の予備的推定-米国、2月12-3月28日、2020

Preliminary Estimates of the Prevalence of Selected Underlying Health Conditions Among Patients with Coronavirus Disease 2019 — United States, February 12–March 28, 2020

Morbidity and Mortality Weekly Report (MMWR)

Early Release / March 31, 2020 / 69

https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/69/wr/mm6913e2.htm

2020年3月28日時点で米国では122,653 のCOVID-19症例が報告されその5.8%である7162人について重大な帰結につながるリスク要因や基礎疾患のデータがある。この7162症例中37.6%の2692例に一つ以上の基礎疾患あるいはリスク要因が報告されていて62.4%の4470人にはそのような病気は無い。少なくとも一つの基礎疾患あるいはリスク要因のある患者はICU入院率と(358 of 457, 78%)ICUではないが入院する率 (732 of 1,037, 71%)が,入院しなかった人(1,388 of 5,143, 27%)より高い。最も多い病気は糖尿病、慢性肺疾患、心血管系疾患。

 

-ほとんどのダイエットは減量と血圧低下につながるが,その効果は1年後には概ね消失する

Most diets lead to weight loss and lower blood pressure, but effects largely disappear after a year

1-APR-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-04/b-mdl033120.php

そして人気のあるダイエットプログラム間の差は通常小さいあるいは些細である

The BMJに発表された21942人の121の無作為化試験の結果に基づく研究

結局重要なのはどんなダイエット法をするかではなく、どれだけ続けられるか。

 

-コロナウイルス (COVID-19)パンデミック中の禁煙のための有効な選択肢

Effective options for quitting smoking during the Coronavirus (COVID-19) pandemic

1-APR-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-04/w-eof040120.php

喫煙はCOVID-19とその合併症発症の主要リスク因子で,さらに受動喫煙も急性呼吸器感染リスクを増やす。そこで禁煙が助言されている。コクランは禁煙補助に役立つ既存の系統的レビューの特別コレクションを作った

Coronavirus (COVID-19): effective options for quitting smoking during the pandemic

1 April 2020

https://www.cochranelibrary.com/collections/doi/SC000042/full

 

-集団の血圧を下げるための塩代用品

Salt substitution to lower population blood pressure.

He, F.J., et al. Nat Med 26, 313–314 (2020).

https://doi.org/10.1038/s41591-020-0784-9

ペルーのコミュニティーで行われた塩代用品の使用は血圧を下げるための代用品使用の根拠を強化する

塩化ナトリウム75%塩化カリウム25%からなる代用品におきかえる

Effect of salt substitution on community-wide blood pressure and hypertension incidence

Bernabe-Ortiz, A. et al. Nat. Med. 26, 374–378(2020)

https://www.nature.com/articles/s41591-020-0754-2

 

-WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization

Volume 98, Number 4, April 2020, 229-296

https://www.who.int/bulletin/volumes/98/4/en/

特別テーマ:健康部門での人工知能:倫理的考察

 

その他

-Edzard Ernst

鍼が偏頭痛発作を予防する?

Does acupuncture prevent migraine attacks?

Published Monday 30 March 2020

https://edzardernst.com/2020/03/does-acupuncture-prevent-migraine-attacks/

BMJに発表された鍼が有効であるとする論文とエディトリアルについて

(BMJは鍼に好意的)

 

-SMC NZ

隔離中の困難な子どもの行動-専門家の反応

Challenging child behaviour during quarantine – Expert Reaction

02 April 2020

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2020/04/02/challenging-child-behaviour-during-quarantine-expert-reaction/

ニュージーランドの保護者は全国ロックダウン二週目に入り子どものケアに苦労しているだろう

(専門家の反応略)