[ANSES]グリホサートの発がん性研究:ANSESは追加の毒性試験を行うために選ばれた科学チームを発表
Study of the carcinogenic potential of glyphosate: ANSES announces the scientific teams selected to conduct additional toxicological studies
News of 30/04/2020
グリホサートの発がん性分類の議論後に、ANSESはこの物質の発がん性に関する追加毒性試験の入札募集を発表した。選抜過程が完了したので、ANSESは本日これらの試験を実施するために選ばれた科学チームを発表する。この結果は2022年後半にEUのグリホサートの再評価に用いられる。
グリホサートは多くの除草剤に存在する有効成分である。2017年12月にEUは、その使用をさらに5年間再認可した。
グリホサートの発がん性作用の起こりうるメカニズムの理解を改善し、ヒトとの関連性を評価するために、ANSESは2019年8月にいくつかの追加試験を実施するための入札募集を発表した。
・グリホサートの暴露後に細胞ストレスに関連する可能性のあるヒトや動物の細胞への影響を調査するin vitro試験
・グリホサートの遺伝毒性の可能性を明確にする、ラットとマウスの(胃、腸、肝臓、腎臓、膵臓に関する)in vitroコメットアッセイと小核試験
・グリホサートのin vitroで同定される発がん作用の潜在的な作用モードやメカニズムをわかるようにする、形質転換法と併用した細胞形質転換試験
ANSESに提出された様々な提案は、仕様に応じた関連性と提案された解決策の独創性両方の観点から吟味された。利益相反の可能性を特定するために人脈の分析も行われた。選ばれたチームは
・全仕様をカバーするプログラムのある、リールのパスツール研究所が調整した共同団体(リールのパスツール研究所、CEA、リール大学、インザームのNuMeCan研究所、トゥールーズ大学、地方の予防・環境・エネルギー庁、イタリア [ARPAE] 及び LABERCA)
・グリホサートへの培養細胞の長期暴露後に起こりうる遺伝毒性の影響を調査するための新しい試験を提案している、国際がん研究機関(IARC)
これらの調査チームはEcophyto II+計画で総額120万ユーロの資金を受け取ることになっている。
この全作業はグリホサートの発がん性の可能性について可能な限り最も包括的な科学的専門知識を築き上げることを目的としている。この研究結果は間近に迫ったグリホサートのEU再評価で検討される。
詳細:選ばれたチームの一覧表
https://www.anses.fr/fr/system/files/List_of_selected_scientific_teams_Glyphosate.pdf
[TGA]ミラクルミネラル溶液(MMS)
Miracle Mineral Solution (MMS)
8 May 2020
https://www.tga.gov.au/alert/miracle-mineral-solution-mms-0
安全性の助言―COVID-19に関するウソの誤解を招きやすい宣伝広告
オーストラリア保健省薬品医薬品行政局(TGA)は、COVID-19を含むヒトの病気の治療、治癒、予防、緩和用のミラクルミネラル溶液(MMS)についてオンラインに掲載されている誤解を招きやすい宣伝文句に注意するよう消費者に警告している。
MMSはよく浄水滴剤として市販されていて、ミラクルミネラルサプリメントなど様々な名前で提供されることがある。繊維漂白剤や消毒剤として使用される化学物質である亜塩素酸ナトリウムが高濃度含まれる。高濃度の亜塩素酸ナトリウムを含む製品は、ヒトが摂取すると深刻な健康リスクを引き起こすことがあり、適切な警告を表示しなければならない。
MMSはあらゆる病気や状態を治療、治癒、予防、緩和する用途でTGAに認可されていない。
TGAはCOVID-19に関する誤解を招きやすい根拠のない宣伝広告から消費者を守るために緊急対策を講じている。
オーストラリアでは、飲料水の浄化や処理に使用され、治療効果があるものとして市販されていない製品は、医薬品とはみなされない。
TGAはこの製品の摂取後にビクトリア州で人々が入院したことを受けて、2014年にMMSに関するウェブ声明を発表した。
消費者向け情報
消費者はCOVID-19を含むヒトの病気の治療、治癒、予防、緩和用のMMSについて、オンラインに掲載されているあらゆる誤解を招きやすい宣伝広告に注意する必要がある。
高濃度で、あるいは水の浄化以外の目的のためにMMSを使用するのは、健康への深刻なリスクをもたらす可能性がある。
この方法でMMSを使用すると、吐き気、嘔吐、下痢、重度の脱水症を引き起こす可能性がある。
特に販売業者が海外を拠点とする場合、インターネットでの医薬品の購入に関するリスクを思い出してほしい。インターネットで購入した製品は未公表の有害の恐れのある成分が含まれている可能性があり、オーストラリアで供給されるTGA承認済の製品と同様の品質、安全性、有効性の基準に合わない可能性がある。
治療効果をうたうあらゆる未承認製品を使用する前に、医療従事者に話すことを強く勧める。
医療従事者への情報
高濃度で、あるいは水質浄化以外の目的でMMSを使用するリスク、インターネットで医薬品を購入するリスク、治療効果をうたう未承認製品を使用するリスクを患者に助言することを検討してほしい。
報告された問題
TGAは起こりうる深刻な結果を防ぐために、オンラインでの広告の告訴を勧める。
更に、消費者と医療従事者に医薬品やワクチンを伴う問題を報告するよう勧める。あなたの報告がTGAのこれらの製品の監視に貢献する。
TGAは個人の健康状態への助言はできない。医薬品やワクチンに関して起こる可能性のある有害イベントに懸念があるなら、医療従事者に話すよう強く勧める。
関連情報
・医薬品と医療機器のオンライン購入
Buying medicines and medical devices online
https://www.tga.gov.au/buying-medicines-and-medical-devices-online
・ミラクルミネラル溶液(MMS)
Miracle Mineral Solution (MMS)
https://www.tga.gov.au/alert/miracle-mineral-solution-mms
[USDA]USDAのSECURE規則は農業革新への道を拓く
USDA SECURE Rule Paves Way for Agricultural Innovation
05/14/2020
https://content.govdelivery.com/accounts/USDAAPHIS/bulletins/28b94bc
Sonny Perdue農務長官は本日USDAの植物保護法のもとでのバイオテクノロジー規制を更新し近代化する最終規則を発表した。持続可能、生態学的、一貫した、均一な、責任ある、効率的Sustainable, Ecological, Consistent, Uniform, Responsible, Efficient (SECURE)規則はUSDAの植物バイオテクノロジー規制を21世紀のものにするだろう
Q & A
https://www.aphis.usda.gov/biotechnology/340-secure-rule-qa.pdf
あとで
[BfR]コロナウイルス感染:安全という認識増加
Coronavirus infection: Perceived safety grows
15.05.2020
感染から守れると思う人が増えた
BfRコロナモニター5月12日
がん、インフルエンザと比較、メディア報道の評価
マスク義務への支持がかなり落ちている、一番支持されていないのが学校や保育園の閉鎖
(そして予防対策として「手を洗う」をやっていると回答した人がたった11%
「手を洗う」のは最も高い時期でも16%。ドアの取っ手が感染経路だと思う人が半分くらいいるのに)
[DHSC]政府はコロナウイルス免疫の大規模研究を始める
Government begins large scale study of coronavirus immunity
17 May 2020
https://www.gov.uk/government/news/government-begins-large-scale-study-of-coronavirus-immunity
大規模長期研究は一般人へのコロナウイルスの拡散を追跡する
・抗体検査は免疫の程度と遺伝子の役割を理解するのに役立つだろう
・全ての年齢と様々な職業および社会的地位の最大2万人が少なくとも6ヶ月参加する
英国バイオバンクボランティアから選ばれる
なお参加者には研究の状況については知らされるが個人の検査結果は知らされない
(これが普通なので。疫学調査と診断は違う)
[RIVM]新生児のビタミンK予防法:政策準備解析
Vitamin K prophylaxis in newborns : Policy preparation analysis
15-05-2020
https://www.rivm.nl/publicaties/vitamine-k-profylaxe-bij-pasgeborenen-beleidvormingsanalyse
新生児の出血予防のために生まれてすぐビタミンKドロップが投与されている。哺乳瓶でミルクを与えられている乳児はこれについては十分保護されている。母乳の場合最初のビタミンK投与は1週間は十分だがその後三ヶ月に一回ビタミンKドロップを与えるよう助言されている。しかし一部の乳児はビタミンKドロップの吸収が十分ではなく不足する。そのような乳児を生まれたときに同定することはできない。そこで2017年にオランダ保健協議会は母乳あるいは低アレルゲンミルクを与えられている乳児には筋肉注射投与を助言した。この方法はオランダ以外で行われた研究では良い結果を示している。
[RIVM]4月30日から5月6日の間の死亡率はまだ有意に高いがその前の週より相当低い
Mortality still significantly elevated between 30 April and 6 May, but much lower than in previous weeks
Publication date 05/15/2020
オランダ統計局が超過死亡データを公表
(詳細データはオランダ語)
[ProMED]サバ(ヒスタミン)中毒-欧州:ベトナム産スウェーデン、まぐろ
Scombroid fish poisoning - Europe: Sweden ex Viet Nam, tuna
2020-05-16
https://promedmail.org/promed-post/?id=7343971
Date: Fri 15 May 2020 Source: Food Safety News [edited]
今月初め(2020年5月)スウェーデンでベトナム産マグロを食べて30人がヒスタミン中毒になった。このアウトブレイクはベトナム産オランダ経由冷凍マグロに関連する
スウェーデン食品局のMats Lindbladによると、約30人が中毒になったが死亡者はいない。報告された症状は典型的なヒスタミン中毒で、全てが同じレストランのマグロを含む料理を食べている。検体は調査中で結果はまだ。スウェーデンでのヒスタミン中毒で30にんというのは普通より多い。通常一例や数人のみである。通常の場合食品局が報告されるヒスタミン中毒は一例だけのあるいは年に10件ほどのアウトブレイクである
[Codex]コーデックスとパンデミック-戦略的課題と機会
Codex and the pandemic - strategic challenges and opportunities
15/05/2020
http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1275612/
ニュージーランド一次産業省上級計画管理官Raj Rajasekar
[WHO]WHOと国際オリンピック委員会はスポーツを通して健康を増進するために協力する
WHO and International Olympic Committee team up to improve health through sport
16 May 2020
WHOとIOCは本日スポーツと運動によって健康を増進するために一緒に働くことに合意した。この協力はタイムリーである。現在のCOVID-19パンデミックは非伝染性疾患(NCDs)を持っている人に特に影響を与えている。この合意ではスポーツによるNCDsの予防に特にフォーカスしている
-日本政府はアメリカ9カ国のCOVID-19対応強化のために270万ドル貢献
Government of Japan contributes $2.7 m to scale up COVID-19 response in nine countries of the Americas
15 May 2020
ボリビア、ブラジル、チリ、グアテマラ、メキシコ、パナマ、パラグアイ、ペルーベネズエラに
-第73回世界保健総会
Seventy-third World Health Assembly
https://www.who.int/about/governance/world-health-assembly/seventy-third-world-health-assembly
5月18-19日
縮小した上でバーチャル総会
論文
-環境と職業健康分野の観察疫学研究の系統的レビューを行う場合の課題と助言
Challenges and recommendations on the conduct of systematic reviews of observational epidemiologic studies in environmental and occupational health.
Arroyave WD et al.,
J Expo Sci Environ Epidemiol. 2020 May 15
根拠に基づいた意思決定のための因果推論には系統的レビューは強力なツールである。環境および職業疫学研究の系統的レビューやメタ解析は近年劇的に増加したが、その質や実用性はばらばらである。ほとんどの方法論は臨床疫学から採用しているが環境や職業ハザード暴露を評価した観察疫学研究の根拠を評価して統合するための適切な調整が行われておらず、特に暴露推定の質の評価に問題がある。多くのレビューはバイアスの可能性については系統的で透明な評価が行われているが、しばしばその後根拠を全体的に統合することが行われていない。まとまりのあるレビューは結果のバイアスの方向や大きさの影響を考慮し、研究の感度や修飾要因の影響のような科学的に重要な問題を系統的に評価し、異なる研究がお互いにどう補完し合うのかを同定しその他の不均質の原因となる可能性を評価する。役に立つ観察研究の系統的レビューを行うためにはこうした課題があることから、我々は一連の具体的助言を提供する
(IARCのサイトで紹介されていたものなんだけど、それやってないのがIARCであるというのは皮肉なのか?)
-余剰抗酸化物質は心臓と骨格筋の病因
Surplus antioxidants are pathogenic for hearts and skeletal muscle
14-MAY-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-05/uoaa-saa051420.php
多くの心疾患は酸化的ストレス、活性酸素種の過剰、と関係する。酸化還元シーソーがあまりにも傾いたら、身体は内因性抗酸化物質を作り出して酸化的ストレスを減らす反応をする。このバランス作用を酸化還元恒常性維持(レドックスホメオスタシス)とよぶ。
しかし還元的ストレス、つまり抗酸化物質が多過ぎたら?アラバマ大学の研究者らがそれも病気の原因となることを発見した
Antioxidants and Redox Signalingに発表された研究は心臓の抗酸化物質を過剰に作るように遺伝子改変したマウスを使った。またRedox Biologyに発表された研究では骨格筋への影響を報告した。
-食物網がグランドキャニオンのコロラド川の水銀汚染の行方を決める
Food webs determine the fate of mercury pollution in the Colorado River, Grand Canyon
15-MAY-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-05/cioe-fwd051320.php
洪水が動物集団の変化をもたらし魚や他の野生生物への水銀の移行を変える
Science Advancesに発表された藻類、有機堆積物、動物の水銀濃度を測定した研究。途中でダムからの放水がありその影響を調べることができた
-McMasterの化学者が我々の食べている脂肪を追跡する新しい間違いのない検査法を開発
McMaster chemists develop foolproof new test to track the fats we eat
15-MAY-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-05/mu-mcd051520.php
栄養疫学にとって研究参加者の自己申告に頼らざるを得ない摂取量推定が大きな課題だった。Journal of Lipid Researchに発表された方法は特定の非エステル化脂肪酸(NEFAs)の血中濃度を測定する
(栄養疫学はいずれメタボローム解析ベースになるのだろう-そうなったときに今の「常識」がどれだけ生き残るのだろう)
-新しいEdith Cowan大学の研究がグーグル先生はほとんどいつも間違っていることを発見
New ECU research finds 'Dr. Google' is almost always wrong
17-MAY-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-05/ecu-ner051320.php
Medical Journal of Australiaに本日発表された研究によると、オンライン症状チェッカーは約1/3しか正確でない
36の国際的モバイルおよびウェブベースの症状チェッカーが正確な診断を出すのはたった36%で、トップ3だけでは52%。
オーストラリア人の約40%が自己治療のためにオンライン健康情報を探すと推定されている
-THE LANCET
エディトリアル
米国CDCを再生させる
Reviving the US CDC
Vol.395 | Number 10236 | May 16, 2020
COVID-19危機への米国の対応は一貫性がなくまとまりがない。米国の公衆衛生の最も重要な機関であるCDCがその役割を最小限に留めあまり効果のない名目だけの存在になっているように見える。CDCと連邦政府との緊張関係は、The Washington Postによれば、CDCの前世界HIV/AIDS部長で米国COVID-19特別部会長Deborah BirxがCDCのCOVID-19死亡率と症例のデータに疑問を提示し「CDCのデータに信用できるものは何も無い」と言ったと報道されていることで明らかになった。この発言は役に立たないが、かつて世界の疾患検出とコントロールのゴールドスタンダードと見なされてきた機関へのショッキングな告発である。この多くの国の保健当局にとって公衆衛生の危機時に最初に参照すべき機関だったCDCがどうしてここまで準備不足だったのか?
(以下予算削減の話)トランプ政権はさらにCDCの感染症対策能力を削った。2019年7月にCDC中国支局の最後の担当者を呼び戻し、COVID-19が出現し始めたとき空白地帯を作った。2月25日の記者会見でCDCの国立予防接種呼吸器疾患センター長のNancy Messonnierが米国市民に移動や日常生活に大きな制限がかかるだろうと警告したが、その後ホワイトハウスのCOVID-19記者会見に現れることはなかった。さらに最近ではトランプ政権はCDCのガイドラインに疑問を提示した。こうしたことがCDCの主導権やその作業を毀損してきた。CDCが間違いを犯したことに疑いはない、特に初期の検査に関しては。しかしCDCに懲罰を与えることは解決にならない。政権はワクチンや医薬品のような魔法の解決法を強く望んでいるが、基本的公衆衛生原則をしっかり守ることのみが緊急事態を終わらせるだろう、そしてそれには効果的な公衆衛生機関が必要である。CDCには技術的能力があって黙らせることのできない、リーダーシップを提供できる所長が必要である。
(CDCの規模は今でも世界一だけど、「常に減らされる」、ことのモチベーションへのダメージは大きいだろう。公衆衛生部門の規模が小さい上に減らされ続けている日本とか、いつ失敗してもおかしくない。)
肥満は重症COVID-19疾患を若年層へシフトさせる
Obesity could shift severe COVID-19 disease to younger ages
David A Kass et al.,
CORRESPONDENCE| VOLUME 395, ISSUE 10236, P1544-1545, MAY 16, 2020
米国のいくつかの病院のICU入院患者の年齢とBMIの間に負の相関がある(図)
(BMI 50超のヒトが何人もいてデータがとれるというのがさすがアメリカ。)
オフライン:COVID-19で完全に気を逸らしてはならない
Offline: Don't let COVID-19 divert us completely
Richard Horton
VOLUME 395, ISSUE 10236, P1534, MAY 16, 2020
5月8日は天然痘撲滅40周年だったことをすっかり失念していたという話
1980年5月8日のこの日、WHOが世界からの天然痘の根絶を発表した
その他
コンシューマーラボ
製品レビュー:植物ベースのミルク(アーモンド、カシュー、ココナツ、亜麻、ヘンプ、マカデミア、オート、豆、大豆)
Plant-Based Milks (Almond, Cashew, Coconut, Flax, Hemp, Macademia, Oat, Pea, and Soy)
5/15/20
ほとんどの製品は表示のとおり栄養成分を含んでいたが、1製品はカルシウムが表示の62%しかなくビタミンの一つが240%だった。