2020-06-10

[EU]査察報告

-チュニジア―水産物

Tunisia 2019-6694―Fishery products

06/05/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4279

2019年9月17~26日にチュニジアで実施したEU輸出用水産物の公的管理を評価するための査察。公的管理システムはEUモデルの輸出健康証明書に必要な適切な手順と法律に基づいている。デザインされたシステムは全体的な生産チェーンや関連するEU食品安全条件をカバーし、輸入された加工用原料はEUと同等に適格であることも保証できる。しかし、実際には設定頻度に従っていなかったり、登録された施設での欠点が確認および/または記録されないことが分かった。助言へのフォローアップの1つは効果的に是正されたが1つはできていない。

 

-アイルランド―One Health国訪問– AMR

Ireland 2019-6622―One Health country visit – AMR

21/04/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4271

'One Health'アプローチに基づいた抗菌剤耐性(AMR)への対処を支援するために、欧州疾病予防管理センター(ECDC) と欧州委員会健康衛生・食の安全総局は共同で2019年10月7~11日にアイルランドを訪問した。AMRに関しては、WHOグローバル行動計画の構造に沿った2017-2020年の包括的な部門間の国家行動計画(iNAP)がある。明確に定義された戦略目標などがあるが、定量的目標、あるいは結果を測定できる他の指標がない。抗菌剤の使用と抗菌剤耐性に関するOne Health報告書によると、アイルランド人の抗生物質の使用摂取は欧州の平均よりも多く、病院での使用摂取は平均より少なく、獣医部門の抗生物質の総販売量は普通である。抗生物質販売量の60%以上は経口用の抗生物質で、離乳子豚や乳牛用乳房チューブに日常的に使用されている。抗生物質の賢明な使用に直接関連するiNAP戦略は一般的に任意で、多くは関係者主導である。提案を受け入れない事例もあるが、新しいEU規則が2022年初期に適用可能になるため、規制の枠組みの強化計画はない。アイルランドのAMRの管理に対する深い関与は他の国の良い例だが、課題が残されている。

 

[EFSA]意見等

-FOCUS表流水シナリオの「修正-」に関するEFSAの科学的報告書案についてのパブリックコメント募集結果

Outcome of the Public Consultation on the draft scientific report of EFSA on the “repair action” of the FOCUS surface water scenarios

8 June 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-1850

この報告書は受け取ったコメントに関する統計データや回答を提示している。

 

-FOCUS地表水シナリオの「修正」に関する科学的報告書

Scientific report of EFSA on the ‘repair action’ of the FOCUS surface water scenarios

EFSA Journal 2020;18(6):6119  8 June 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6119

欧州委員会はEFSAに、EFSAの農薬運営ネットワークに助言を求めた後にFOCUS表流水報告書の「修正」を求めた。主な依頼は、現在の12あるいは16カ月の評価期間に代わり、20年間の評価期間を全てのFOCUS表流水シナリオ(流出と排水両方)に導入することである。評価期間が20年になったため散布日付の定義の仕方をレビューし現在使用されている農薬散布時期の機能性を再検討した。

 

-豚肥育用畜産飼料添加物としてのSTABILFLOR®の安全性と有効性

Safety and efficacy of STABILFLOR® as a zootechnical feed additive for pigs for fattening

EFSA Journal 2020;18(6):6145  8 June 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6145

 

[FDA]コロナウイルス(COVID-19)更新

Coronavirus (COVID-19) Update: Daily Roundup June 9, 2020

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-daily-roundup-june-9-2020

一部抜粋

詐欺的COVID-19製品への警告文書:アマゾンアソシエイトプログラムでエッセンシャルオイルを宣伝していたorganic-beauty-recipes.com

 

[FDA]パンデミックの課題はよりスマートな食品安全新時代の重要性を強調する

Pandemic Challenges Highlight the Importance of the New Era of Smarter Food Safety

06/02/2020

https://www.fda.gov/news-events/fda-voices/pandemic-challenges-highlight-importance-new-era-smarter-food-safety

(FDA長官のStephen M. Hahn博士と食品政策担当の副長官Frank Yiannas氏より)

 COVID-19パンデミックへの対応を優先するため、3月に予定していた「よりスマートな食品安全の新時代(New Era of Smarter Food Safety)」の青写真の公表を保留にしていた。その青写真を数週間のうちに発表する予定である。それは、今後10年間の、よりデジタル化した、追跡可能な、より安全な食品システムを示すものとなる。パンデミック中に生じた課題によって、危機の際の食品供給の安全と保障をどのように強化すべきなのかを青写真に記すべきであることが明確になり、ここ数ヶ月の間に青写真は改訂されている。

強化されたトレーサビリティがサプライチェーンをより可視化する

 ブロックチェーンのような新規の技術が、サプライチェーン全般での製品の追跡をより簡単にする。青写真を作成するときから、我々はそのような新技術が汚染された食品や食品由来アウトブレイクの原因究明を迅速にすることを知っている。パンデミックの間に、強化されたトレーサビリティが危機の際にサプライチェーンへの影響を理解するのに役立つツールであることが明らかになった。サプライチェーンをより可視化することは、ここ数ヶ月に起こったような一時的で局所的な不足による市場の不均衡を予測することにも役立つ。

防止のためのよりスマートなツール、食品のオンライン注文のための予防

青写真は、食品汚染の根本原因解析のようなよりスマートなツールの利用と、パンデミックのために開始され、危機にあたり非常に有用であったバーチャル/リモート検査のような新しいツールの導入を呼びかけている。さらに青写真には、外出を控える家族らによって急増しより重要な案件となった、オンライン注文で消費者に直接配達される食品の安全性のことが新たに示されている。

農場、食品施設、家庭での食品安全文化

パンデミックは、食品安全文化の本質に光を当てた。農場や食品施設で働く人々が安全な食品を作ることだけでなく、お互いの安全を保つことの責任も受け入れるということである。家庭においても同じである。ただ単にお互いに責任をもち守り合うことが食品安全文化の基礎なのではなく、COVID-19から得た教訓の一つの反映として、政府や業界、そして消費者といった全ての人が互いに安全でいられるために協力しなければならない。FDAと地域当局や他の政府機関、業界とのパートナーシップから我々は等しくプラスの影響を受けており、新時代の青写真のあらゆるところにパートナーシップがテーマとして織り込まれている。

 今、我々は受け入れるべき変化があることを知っている。そしてこれが、たとえどんな課題に直面したとしても我々の食品供給の安全と保障を強く保護できる未来に向けて辿る道であることも分かっている。我々は、かつてないほどに、一緒に、より強く、より弾力性のあるものへと向かって行こう。

 

[TGA]病気の時は家にいること、という助言と矛盾する広告についての警告

Warning about advertising that conflicts with stay at home when sick advice

28 May 2020

https://www.tga.gov.au/media-release/warning-about-advertising-conflicts-stay-home-when-sick-advice

 オーストラリアで風邪やインフルエンザのシーズンが始まり、COVID-19の規制が緩和されるため、TGAは、医薬品広告が公衆衛生キャンペーンを弱体化させてはならないと広告主に再度注意している。

風邪やインフルエンザの薬の宣伝をする場合、COVID-19に関する現在の公衆衛生の助言と矛盾していないことを保証しなければならない。風邪やインフルエンザの症状が出ている時に、職場、学校、他の屋外活動に通えるようにする製品の宣伝は(一時的に抑える場合でも)、具合が悪い時には家にいようという健康省の助言と矛盾する。

消費者への医薬品広告はTherapeutic Goods Act 1989 (the Act)の該当する全要件に従う必要がある。これにはTherapeutic Goods Advertising Code (the Code)を遵守するための要件が含まれている。Codeでは、重要な公衆衛生のメッセージが損なわれないようにするために、政府の公衆衛生キャンペーンと矛盾する広告を禁止している。

 健康省のコロナウイルスのための衛生的な行いに関するサイトには最新の情報と助言が含まれている。

*Good hygiene for coronavirus (COVID-19)

https://www.health.gov.au/news/health-alerts/novel-coronavirus-2019-ncov-health-alert/how-to-protect-yourself-and-others-from-coronavirus-covid-19/good-hygiene-for-coronavirus-covid-19

 COVID-19に直接関連する医薬品を宣伝する場合、ActやCodeに従わない広告には制裁措置や罰金が科されることを認識する必要がある。COVID-19についての効能表示は、特定の消毒剤以外は消費者広告で認められていない。宣伝条件に関する一般的な情報はTGAのサイト「宣伝ハブ(Advertising hub)」で入手出来る。

*Advertising hub 

https://www.tga.gov.au/advertising-hub

消費者用情報

TGAは、消費者にCOVID-19の拡大防止に関して健康省から出されている助言に従うよう再度注意を喚起する。

具合が悪いと感じたら、家にいることが大事である。よい衛生状態を維持する必要もある。

風邪やインフルエンザの症状があるなら、医者の診察を受けCOVID-19の検査を受けた方が良い。

COVID-19にかかったら、隔離して地元の保健所の指示に従う必要がある。

風邪やインフルエンザの症状が出ている時に仕事に行くなど、家の外での日々の活動を続けることを勧めるあらゆる宣伝はこの助言に矛盾している。一般的に風邪やインフルエンザのシーズンに伴う、のどの痛み、咳、熱、鼻水、頭痛、筋肉や関節の痛みなどの症状は、COVID-19にかかった人も経験する可能性がある。このため、これらの症状がでた人は適切な予防策を講じることが重要である。

さらなる情報は、新型コロナウイルスの治療や予防を謳う製品に関する警告に関するサイトを参照のこと。

*Warning about products claiming to treat or prevent the novel coronavirus

https://www.tga.gov.au/media-release/warning-about-products-claiming-treat-or-prevent-novel-coronavirus

 

[TGA]Allpulse Technologiesは広告違反申し立てとして$50,400の罰金を科された

Allpulse Technologies fined $50,400 for alleged advertising breaches

28 May 2020

https://www.tga.gov.au/media-release/allpulse-technologies-fined-50400-alleged-advertising-breaches

 オーストラリア薬品医薬品行政局(TGA)はブリスベンに拠点を置く企業Allpulse Technologies Pty Ltdに合計$50,400の4件の違法通知書を発行した。

 この企業は申し立てによると、2020年5月にオーストラリアの医薬品登録(ARTG)に含まれない内服の治療用の過酸化水素を含む医薬品をウェブサイト上で宣伝している。特定の適用除外、認可あるいは政府認可がない限り、医薬品はオーストラリアで合法的に供給や宣伝可能になる前にARTGに登録される必要がある。

 過酸化水素は髪の脱色や、時には局所応急措置や歯科用薬剤に使用する物質である。だがTGAは、過酸化水素の経口摂取に関連した医療的な効能を立証するために一般に認められた臨床的あるいは科学的証拠を認識していない。TGAは特に予防的な内服による有害影響の可能性を懸念している。過酸化水素を飲み込むことは深刻な有害影響を起こしたり、入院する可能性のある健康に重大なリスクをもたらすことがある。副作用は、吐き気、嘔吐、水疱形成、やけど、塞栓症、永久障害、死亡である。

 この企業のウェブサイトは、申し立てによると、認められていない表現を用いた他の未承認製品も宣伝していた。これらの製品には、がんやアルツハイマー病などの重篤な病状の治療用として宣伝された「酸素の安定化電解質」(SEO)が含まれていた。Therapeutic Goods Act 1989では、がんは禁止表現で、アルツハイマー病は制限付き表現である。医薬品の宣伝で禁止や制限付き表現を用いるのはTGAの許可がなければ違法である。

TGAは広告違反に対して措置を取る

 規制方針はオーストラリアの消費者の安全のために重要で、TGAは医薬品に関連する違法行為の疑いを調査する。様々な遵守及び執行ツールが利用でき、必要であればこれに、実刑、罰金、懲役になる可能性のある刑事または民事裁判手続きが含まれる場合がある。

 企業を含むすべての人が広告の要件を遵守しなければならない。TGAは潜在的に深刻な結果を防ぐためにオンライン広告の苦情を奨励する。TGAはまた、信用できない健康製品広告の見分け方キャンペーンで誤解を招く広告に注意を払うよう注意喚起している。

 

[TGA]TGAはMMS Australiaとその取締役Charls Barton氏に対する違法広告への訴えについての公判を開始する

TGA initiates court proceedings against MMS Australia and director Charles Barton for alleged unlawful advertising

29 May 2020

https://www.tga.gov.au/media-release/tga-initiates-court-proceedings-against-mms-australia-and-director-charles-barton-alleged-unlawful-advertising

TGAは連邦裁判所において、MMSオーストラリアとして商取引を行うSouthern Cross Directories Pty Ltdによる、ミラクルミネラルサプリメント(別称 ミラクルミネラル溶液;MMS)、ジメチルスルホキシド(DMSO)及びその他の医薬品の違法広告への訴えについての公判を開始した。

MMS Australiaは、違法広告への訴えにより$151,200の罰金を科せられた。TGAはMMS Australiaに対して、直ちに全ての広告を削除することを要請し、もし2日以内に削除されない場合には起訴する予定であるとの警告を伝えていた。しかしMMS Australiaは要請に従わなかったため、TGAは公判を開始した。TGAはMMSの経口摂取による有害影響を懸念し、消費者向けに安全性警告を出してCOVID-19の治療や予防の宣伝について注意するよう呼びかけている。

 TGAは医療用製品についての違法行為の疑いがないか調査し、必要に応じて、罰金や投獄を科せられることにもなり得る刑事・民事訴訟も含む執行を行う。

 

-連邦裁判所はMMS AustraliaのMMS及びDMSOの広告と販売を差し押さえる

Federal Court restrains MMS Australia from advertising and supplying MMS and DMSO

4 June 2020

https://www.tga.gov.au/media-release/federal-court-restrains-mms-australia-advertising-and-supplying-mms-and-dmso

オーストラリア連邦裁判所は、MMS Australiaとして事業を行うSouthern Cross Directories Pty Ltdに対し、ミラクルミネラル溶液の製造に使用する化学物質(亜塩素酸ナトリウム、DMSO、ヨヒンビン)の入った危険な物質を含む製品の広告と販売を来週のヒアリングまでやめるよう命じた。ヒアリングは2020年6月10日に予定している。

 

[HSA]COVID-19を予防あるいは治療できると謳っているハーブ製品についての助言

Advisory on Herbal Products Claiming to Prevent or Treat COVID-19 (Coronavirus Disease 2019)

21 May 2020

https://www.hsa.gov.sg/consumer-safety/articles//details/herbal-products-covid-19

 HSAは海外でCOVID-19用として使用されている、中国伝統薬を含むハーブ製品があることを認識している。現在のところ、COVID-19の予防や治療のためにハーブ製品の使用を支持する十分な科学的根拠はない。HSAは、COVID-19のような感染症の治療についての効能は、その製品が安全で有効であることを立証する比較臨床試験による科学的根拠で支持されていることを要求している。COVID-19に関連した効能を謳う製品は、まずは、科学的根拠を評価するためにHSAに届出をし、登録されなければならない。

また、中国伝統薬を含む、一般的な風邪やインフルエンザ用とされる全てのハーブ製品は、頭痛、鼻づまり、喉の痛みや咳などの症状を管理するためだけに使用すべきである。

消費者は以下のことに留意するように。

HSAは、これまで、COVID-19の予防や治療用のハーブ製品を認可していない

地元販売や海外からの品であっても、COVID-19の予防や治療を謳ったハーブ製品は購入しないように

立証されていない効能を謳った製品は、あなたの健康に深刻な害を及ぼす可能性がある。

もし体調が悪いのであれば、ただちに診察を受けるように

取引業者や販売業者には、自らが販売する製品について、COVID-19などの疾病の予防や治療ができるとするウソで誤解を招く効能を謳わないよう再度注意を喚起する。そのような行為をした場合には、起訴され、2年間の投獄か$5,000の罰金に処せられる。

 

[RIVM]「閉じたコーヒーショップチェーンでの実験」枠組みで栽培される大麻に使える作物保護リスト

Inventory of crop protection applicable in the cultivation of cannabis within the framework of the "Experiment with a closed coffee shop chain"

09-06-2020

https://www.rivm.nl/publicaties/inventarisatie-van-gewasbescherming-toepasbaar-in-teelt-van-cannabis-binnen-experiment

娯楽用大麻の栽培に関するオランダ政府との合意には実験が含まれる。その実験では最大10の栽培者が大麻の栽培を認められる。RIVMは大麻の栽培時に発生する可能性のある病害虫のリストを作った。

(オランダのコーヒーショップは大麻を売る店のこと)

 

[WHO]IPCS出版物

-2019国際鉛中毒予防週間報告

Report of the 2019 International Lead poisoning Prevention Week

5 June 2020

https://www.who.int/publications/i/item/report-of-the-2019-international-lead-poisoning-prevention-week

2019年10月20-26日の国際鉛中毒予防週間の活動報告

 

-農薬のハザードによるWHO推奨分類と分類のガイドライン、2019年版

The WHO Recommended Classification of Pesticides by Hazard and guidelines to classification, 2019 edition

27 May 2020

https://www.who.int/publications/i/item/the-who-recommended-classification-of-pesticides-by-hazard-2019-edition

 

[Codex]ブラジルで世界食品安全デーのアバター発表

An avatar unveiled in Brazil for World Food Safety Day

09/06/2020

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1280384/

 

[BfR]「VITAL 3.0」:食物アレルゲンの参照用量についての新しくて更新された提案

‘VITAL 3.0’: New and updated proposals for reference doses of food allergens

https://www.bfr.bund.de/cm/349/vital-30-new-and-updated-proposals-for-reference-doses-of-food-allergens.pdf

 適切な食品表示はアレルギーの人にとって重要なものである。製造業者はEU法のもと、包装された食品の成分表示にアレルギーや不耐症の原因となる14種の最も重要な物質の名前を記すことを義務づけられている。ただし、最終製品に偶然に含まれた痕跡程度のアレルゲン物質については明確には規制されていない。これにより、よくあるのが「ごく微量含むかもしれない」「含むかもしれない」といった予防的な情報を製造業者が自主的に食品ラベルに記すことである。アレルギーの影響を受ける人にとって、この種の予防的情報は、最終製品が重要となる程度のアレルゲンを実際に含むのかどうかの結論をだしていないことになり、食品を選択する上で不必要な制限をもたらす。その一方で、予防的表示のない食品について、問題となる程度のアレルゲンが最終製品に混入している可能性も排除できない。

 痕跡程度のアレルゲンに関する自主的表示の扱いが異なっていることへの懸念から、アレルゲン物質の閾値によって、影響を受ける消費者の保護が著しく改善するのかどうかが議論されている。その議論の狙いは、まだ決定されてはいないが、義務化する食品表示は閾値を超えているものであるべきということだ。しかしながら、完全に予防的なアレルゲン情報は、偶発的に含まれたアレルゲンが閾値を超えていない食品を避けることにもなる。

 閾値を設定するために必須なこととして、重要となるアレルゲン量に関する特別な知見がある。それは参照用量と知られている。以前に公表した参照用量の案を、主要アレルゲンに関する臨床試験や数学的計算から得たデータを使用して、専門家パネル(VITAL Scientific Expert Panel: VSEP)が更新・拡大している。その値は、摂取するとアレルギー反応を起こす可能性のあるアレルゲン量の特定における、現在の可能な限り正確で現実的な科学的知見のレベルを表している。データと導出方法をさらに更新することが、原理上は、将来的により正確な値の設定と特定を促進することになるだろう。

新たに提案された参照値は「VITAL 3.0」のもと2019年に公表され、2011年の「VITAL 2.0」と比較して、いくつかの物質についての新たな値の設定や更新がなされた。VITALは、偶発的な痕跡程度のアレルゲンの自主的表示(voluntary incidental trace allergen labelling)の略であり、もとはオーストラリアとニュージーランドの食品業界で利用されたものである。

 表.VITAL 2.0 (2011)とVITAL 3.0 (2019)の参照用量ED01の比較

(略)

VITAL 2.0 (2011)とVITAL 3.0 (2019)の参照用量の比較結果は次の通り:卵、乳、エビは増加、ルーピン、大豆、小麦、ゴマは減少、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、マスタードは変化なし、新たに設定したのがカシューナッツ、セロリ、魚、クルミ。

「VITAL 3.0」ではED01(minimal eliciting dose)を導出した。食品中でこの値を超過しないのであれば、アレルギーの人の99%が客観的に測定可能なアレルギー反応の誘発から保護される。専門家パネルは、特定の状況下では、残りの1%程度のごく少数により深刻なアレルギー反応が起こる場合があることを強調している。その他の限界は、アレルギー反応の範囲は確実に予測することが出来ないということである。閾値を導出するなかで、その他の解決すべき疑問(例:服薬や感染症の罹患などのその他の作用因子の可能性)や不確実性も考慮しなければならない。

 

論文

-米国がん学会はがん予防のための食事と運動ガイドラインを更新

American Cancer Society updates diet and physical activity guideline for cancer prevention

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/acs-acs060420.php

加工肉と赤肉とアルコールを減らすことと運動量を増やすことをさらに強調

CA: A Cancer Journal for Cliniciansに発表

最新の根拠をレビューし、これまでのガイドラインから少し変更した

運動

これまで:成人に一週間あたり中程度の運動150分あるいは激しい運動75分を勧めていた

新しいもの:週あたり中程度の運動150-300分あるいは激しい運動75-150分、300分以上を目指す

食事

これまで:植物の多い健康的な食事。健康体重を維持する量の食品や飲料を選ぶ。加工肉や赤肉は制限する。毎日少なくとの2.5カップの野菜や果物を食べる。精製穀物製品よりは全粒穀物を選ぶ

新しいもの:全ての年代で健康的食生活パターンに従う。健康的食生活パターンには以下のようなものが含まれる

・栄養豊富な食品を健康体重を維持する量

・多様な野菜-濃い緑、赤、オレンジ、繊維の多い豆など

・果物、特にいろいろな色の丸ごとの果物

・全粒穀物

健康的な食生活パターンでは以下のものを制限あるいは含まない

・赤および加工肉

・砂糖入り飲料

・高度に加工された食品と精製穀物製品

アルコール

これまで:もし飲むなら制限する。女性は1日1杯以内、男性は2杯以内

新しいもの:全く飲まないのがベスト。もし飲むなら女性は1日1杯以内、男性は2杯以内にすべき

地域行動の勧め

これまで:公的、民間、地域団体は国、州、地域レベルで協力して以下の方針と環境変更を実施すべき

・地域、職場、学校で入手可能な健康的な食品へのアクセスを増やし栄養の低い食品や飲料のアクセスや宣伝を減らす

・安全で楽しいアクセス可能な運動環境を提供する

新しいもの:公的、民間、地域団体は国、州、地域レベルで協力して入手可能な健康的な食品へのアクセスを増やし安全で楽しいアクセス可能な運動環境を提供し全ての人のアルコールを制限する方針や環境変更を開発、推進、実施すべき

 

-米消化器学会(AGA)はほとんどの消化器疾患にプロバイオティクス使用を勧めない

AGA does not recommend the use of probiotics for most digestive conditions

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/aga-adn060520.php

新しいAGAガイドラインは、消化器疾患の治療のためのプロバイオティクスの使用を支持する根拠は大きく欠如していることを発見、プロバイオティクスが患者に利益をもたらすかもしれない臨床シナリオはたった三つしかないことを同定

アメリカ成人の390万人以上が何らかの形のプロバイオティクスを使用していると推定され、その多くは消化管の健康を改善するためと考えられる。しかしながら入手可能な文献を詳細に検討した結果、AGAはほとんどの消化器症状にはプロバイオティクスの使用を支持する根拠は十分でないことを示す新しい臨床ガイドラインを発表した。AGAの公式雑誌Gastroenterologyに発表。

使用を勧められる3つの状況は:抗生物質を使用している成人や子どものC. difficile感染予防、未熟児と低体重出生児の壊死性腸炎予防、炎症性腸疾患の合併症である回腸嚢炎の管理。

クローン病や潰瘍性結腸炎、過敏性腸症候群、C. difficile感染感染の治療には十分な根拠はなく、子どもの急性感染性胃腸炎にはプロバイオティクスを使わないように勧める。

クローン病、潰瘍性結腸炎、過敏性腸症候群でプロバイオティクスを使用している患者は中止を検討すべきである。サプリメントはお金がかかり根拠はない。

広く使われていて情報源にバイアスが多いことから人々には客観的ガイダンスが必要である。

我々のガイドラインではごく一部のプロバイオティクス使用事例が取り上げられているが、より重要なのは人々が思っているプロバイオティクスの利益というのは十分か根拠がなく、製品によっても結果が違うということである。

(ガイドライン等にリンク)

 

-女性アスリートは栄養欠乏のリスクがある

Female athletes at risk for nutritional deficiencies

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/ru-faa060820.php

適切な栄養教育の欠如が女性アスリートの成績や長期健康に影響している可能性がある

Journal of Women's Healthに発表されたレビュー

 

-研究者らが飲酒に値段をつける

Researchers put a price tag on alcohol use

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/uoef-rpa060920.php

アルコール使用疾患による社会福祉と医療へのコストの原因を調べたフィンランドの研究。最も大きく寄与するのは慢性疾患の診断数。

 

-研究が難燃剤による先天性欠損を明らかにする

Study reveals birth defects caused by flame retardant

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/uog-srb060920.php

Scientific Reportsに発表された、ポリ臭化ビフェニル153 (PBB153)のヒト精子形成幹細胞モデルでの研究。培養細胞にPBB153を与えるとDNAメチル化に変化があった

(PBB153は既に禁止されている、先天性欠損は明らかになっていない)

 

-塩の多い食事は腸内マイクロバイオームの健康に影響する

High-salt diet impacts health of gut microbiome

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/mcog-hdi060920.php

未治療の高血圧の成人145人の血中短鎖脂肪酸濃度が、一日のナトリウム摂取量2300mgにするよう勧めて6週間で増加した。Hypertension

(観察されたことと主張の間に仮定がいくつも入っている)

 

-科学者は世界の沿岸開発の「グリーンウォッシュ」に警告

Scientists warn against 'greenwashing' of global coastal developments

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/uop-swa060820.php

Journal of Applied Ecology

 

-GM食品にネガティブな意見を持っている人は他の新食品技術にも反対する可能性が高い

Holders of negative opinions towards GM food likely to be against other novel food tech

9-JUN-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-06/ntu-hon060920.php

約1000人のシンガポール成人への調査。約1/3がGM食品を好ましくないと感じその感情はナノ技術にも影響する。1/3以上はニュートラルで残りは歓迎している。

Journal of Communication

(水すら自給できないシンガポールで反技術が1/3もいるのってどうなんだろう)

 

その他

-定期予防接種をCOVID-19のさらなる犠牲にすべきではない

Routine Vaccinations Shouldn’t Be Another Victim of COVID-19

BY ROBERT POPOVIAN & DAVE HERING June 8, 2020

http://morningconsult.com/opinions/routine-vaccinations-shouldnt-be-another-victim-of-covid-19/

CDCの報告によるとほぼ全ての子どもの定期予防接種率が有意に低下している。政策決定者は予防接種の重要性について人々に教育キャンペーンを行う必要がある。またアクセスの妨げになっている要因に対策をとるべきである

(アメリカの話)

 

-Natureニュース

世界中の数千人の科学者がブラックライブズのためにストライキ

Thousands of scientists worldwide to go on strike for Black lives

09 JUNE 2020 Nidhi Subbaraman

https://www.nature.com/articles/d41586-020-01721-x

学者や科学団体が6月10日に研究活動を中止する

 

Natureエディトリアル

体系的人種差別:科学は聴き、学び、変えなければならない

Systemic racism: science must listen, learn and change

09 JUNE 2020

https://www.nature.com/articles/d41586-020-01678-x

Natureは研究における黒人差別を終わらせることにコミットする

 

-Scienceニュース

世界中の研究者が#ShutDownSTEM と ‘Strike For Black Lives’の準備

Researchers around the world prepare to #ShutDownSTEM and ‘Strike For Black Lives’

By Sophia ChenJun. 9, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/06/researchers-around-world-prepare-shutdownstem-and-strike-black-lives

世界中の数千人の研究者が6月10日水曜日にBlack Lives Matter運動を支持して仕事を中断することを誓う

 

-オランダのミンク農場でコロナウイルスが猛威を振るい、ヒト感染予防のため処分

Coronavirus rips through Dutch mink farms, triggering culls to prevent human infections

By Martin EnserinkJun. 9, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/06/coronavirus-rips-through-dutch-mink-farms-triggering-culls-prevent-human-infections

オランダ当局は6月6日に数万等のミンクをガス処分し始めた。多くは数週間前に生まれたばかり。SARS-CoV-2が毛皮用の動物を育てている農場を襲い、オランダ政府は感染したミンクがウイルスの保有宿主となってヒトであらたなアウトブレイクを起こす可能性を恐れた。ミンクからヒトへの感染が確認されている

オランダのミンク農場は130。世界最大のミンク生産国はデンマーク。オランダは2024年までにミンク畜産を禁止する法律を2012年に採択している