2020-07-29

[ANSES] 亜酸化窒素の吸入:ANSESは規制の改善と健康リスクについて人々により良い情報提供を薦める

Inhalation of nitrous oxide: ANSES recommends improving regulations and better informing the public about potential health risks

News of 09/07/2020

https://www.anses.fr/en/content/inhalation-nitrous-oxide-anses-recommends-improving-regulations-and-better-informing-public

亜酸化窒素ガスはその鎮痛作用から医療現場で使用されるガスである。それはまた、ホイップクリーム用ディスペンサーの小型の缶において高圧ガスとしても使用され、販売され、それゆえ、店舗やインターネット上で自由に入手可能である。麻薬による陶酔感のため、「笑気ガス」としても知られる亜酸化窒素の吸入は、深刻な神経損傷を引き起こす可能性があるので、リスクがないわけではない。近年、特に若者の間で、中毒件数の上昇が記録されている。この行為がさらに広がらないように、ANSESは、ホイップクリーム用ディスペンサーの小型缶に関する規則を強化し、このガスを使用することと関連する神経リスクについて若者や医療従事者により周知することを推奨する。

「笑気ガス」として一般に知られる亜酸化窒素ガスは、わずかに甘いにおいと味のする無色のガスである。亜酸化窒素は鎮痛作用のため、医療現場で使用される。また、ホイップクリーム用ディスペンサーの高圧ガスとして使用され、亜酸化窒素ガスの小型缶は店舗やインターネット上で販売されるので、一般の人が入手可能である。

亜酸化窒素ガス吸入行為は時に深刻な中毒を引き起こす

亜酸化窒素ガス吸入行為はその麻酔による陶酔感のため娯楽として、特に若者の間で、急速に広まった。しかし、中毒管理センター(CAPs)のデータに基づき、ANSESにより実施されたトキシコビジランス研究により証明されたように、その使用はリスクがないわけではない。

2017年1月1日から2019年12月31日の間、66件の亜酸化窒素中毒が中毒管理センターに記録された。ほとんどが若い男性が関係した。使用者の半数以上の年齢が20~25歳であった。オー・ド・フランス、イル・ド・フランス及びオクシタニ―地域が最も多かった。

使用された亜酸化窒素は、食品使用に店頭販売される小型缶に含まれ医療用ではなく、風船を使用して吸引された。摂取量は、しばしばアルコールや他の薬とともに、1晩に小型缶数本から1日数百本まで、数か月にわたる事例もあった。

66の事例中、42例では知覚障害のような神経あるいは神経筋の症状、四肢の震えや筋肉の痛みの少なくとも1つが報告された。慢性使用の4人は手足に神経損傷を示唆する症状があった。この研究では、5人が深刻な症状を経験した。心肺停止となった1人の患者は入院し、のちに心疾患が発見された。2人が痙攣症状を経験し、うち1人は昏睡状態になり、ミオクローヌス症状(不随意の短時間の筋肉の単収縮や痙攣)に苦しんでいる。残りのもう2人の患者は亜酸化窒素を慢性的に使用し、1日に10から40缶吸引し、神経症状がある。

食品缶中の亜酸化窒素入手規制や表示

亜酸化窒素が医療的に使用される場合、医薬品や麻酔薬の規則が適用されるが、ホイップクリーム用ディスペンサーの圧縮ガスとしての食品使用は、加工補助や食品添加物としてみなされるので、認められる。そのような規則はこれらの製品の誤って使用されることを考慮していない。

ANSESは従って、食品用の亜酸化窒素ガスの入手や表示の規制の必要性を強調する。議論は、販売量の制限、18歳以下への販売禁止及び特別な表示の実施により、亜酸化窒素ガスの有害な使用から未成年を保護することを目的とした、2019年12月に上院により採択された議案に続くべきである。

フランスでは、未成年者への亜酸化窒素ガスの販売及び公共の場での摂取を禁止する市の条例が通過している。

健康リスクを予防するために若者や医療関係者、同様に消費者向け情報も改善する

亜酸化窒素ガスが店頭で販売され、その効果が短時間であるため、使用者はこの物質の誤った使用が無害で毒性のないものと思い、存在する深刻なリスクに気付かないあるいはよく理解していない。

それゆえ、ANSESは学校の看護師や医師と協力し、高校や大学とともに活動する地域団体を通し、またパーティー会場での的を絞ったコミュニケーションを介し、若い消費者に証明された亜酸化窒素吸引の危険性をよく周知させることを推奨する。そのようなアウトリーチの取り組みは、小児科医、一般開業医、心理学者、子供精神科医、神経学者、産業医及び科学機関を含めた医療関係者も対象とするべきである。

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News

Issue 185 July 2020

https://mailchi.mp/ad7370d381b8/food-standards-news-june-1299402?e=21527ddb09

アルコールの妊娠警告表示、COVID-19と規制コンプライアンスとグローバルサプライ問題、食品安全カルチャー、等

 

[MHRA]乾燥肌治療用の軟化スキンクリームの安全な使用

Safe use of emollient skin creams to treat dry skin conditions

29 July 2020

https://www.gov.uk/guidance/safe-use-of-emollient-skin-creams-to-treat-dry-skin-conditions

衣類や寝具、包帯に染みこんで乾燥して燃えやすくする可能性がある

エモリエントとして知られるスキンクリームは皮膚から衣類や寝具や包帯に簡単に移行し、布が燃えやすくなる。これらのクリームを使っている人は、どんなものでも裸火を避けることが重要である

助言

たばこを避ける

衣類や寝具を頻繁に交換して洗う

クリームと家具は遠ざける

家族や世話をする人に話す

医師に伝える

(動画あり)

 

[WHO]COVID-19 状況報告書

Coronavirus disease(COVID-19) Situation Report – 190

https://www.who.int/docs/default-source/coronaviruse/situation-reports/20200728-covid-19-sitrep-190.pdf?sfvrsn=fec17314_2

注目テーマ:インフォデミクスのマネジメント-リスクコミュニケーションとコミュニティ関与(RCCE)による‘The FoRCCE’ 地域が地域を援助する

WHOの地域事務所のリスクコミュニケーションとコミュニティ関与(RCCE)の強力なネットワークは大量の一貫しているが適用可能なメッセージや資料や戦略を開発してきた。このネットワークは非公式にRCCEの手強いformidable役人‘The FoRCCE’ と名付けられて2019年以降パンデミックインフルエンザ準備(PIP)の枠組みで各国の準備を支援してきた。

2020年1月にFoRCCEがWHO本部とチームを組み、他の地域で適用して使用できるようCOVID-19関連メッセージや資料や戦略を共有した。各地域事務所の協調は、各国の異なる時期でのCOVID-19対応で次に何が起こるか予想できることを意味する。また作業の重複やメッセージの混乱も避けられ、世界中でおこっている神話やデマや不足を同定できる。

ある地域で開発された資料は翻訳されて他の地域で使用できる。以下に例を示す

(リンク)

 

論文

-細胞から作ったシーフード製品は細胞ベースと表示されるべき

Seafood products made from cells should be labeled cell-based

28-JUL-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/ru-spm072720.php

魚や貝の細胞を培養して作ったシーフード製品は"細胞ベースcell-based"という用語を使うべき、とRutgers大学の研究者がJournal of Food Scienceで報告した。規制の要求と消費者の受容を基準に検討した結果

(天然と養殖と区別できてネガティブなイメージと結びついていない、など)

 

-効果の少ない蚊帳の謎

The mystery of the less deadly mosquito nets

28-JUL-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/jcu-tmo072820.php

世界のマラリア対策の主戦力である殺虫剤処理蚊帳がかつてより保護作用がない

Nature Communicationsに発表されたパプアニューギニアでの研究。2006年にパプアニューギニアに導入された殺虫剤処理蚊帳(LLINs)はマラリア患者を相当減らしたが近年患者数が戻っている。その原因を探ったところLLINsの蚊を殺す能力が2012年にはほぼ100%だったのが平均40%に低下していた。蚊の耐性ではなく殺虫剤の含量に変化はなくおそらく蚊帳の製造工程にあると考えられる。パプアニューギニアで使われているのはVestergaard社のPermaNet 2.0で、2014年の世界シェアトップ

 

-アイオワ州立大学の科学者がマウスでグリホサートの生殖影響を検討する

Iowa State University scientists examine reproductive effects of glyphosate in mice

28-JUL-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/isu-isu072820.php

Toxicology and Applied Pharmacology and Reproductive Toxicologyに発表。いくつかの変化が認められたが多くのエンドポイントで変化はなく、グリホサートが卵巣の健康な機能に影響するという根拠はみつからなかった

(プレスリリースに実験条件がない。C57BL6雌マウスに生理食塩水に溶かして0.5-2.5 mg/kg週5日20週間経口投与。1.5と2mg/kgの群で餌を食べる量が増えて1.0 mg/kgの群で体重増加)

 

-パンデミックの中での人々の恐れと不安を餌食にする:事業者が証明されていない許可されていないCOVID-19の「幹細胞治療」を売っている

Preying on Public Fears and Anxieties in a Pandemic: Businesses Selling Unproven and Unlicensed ‘‘Stem Cell Treatments’’ for COVID-19

Leigh Turner Cell Stem Cell 26, June 4, 2020

https://www.cell.com/action/showPdf?pii=S1934-5909(20)30201-0

治療だけではなく、予防法としてやCOVID-19になったときのために幹細胞を保存しておくことなども消費者に直接宣伝しているとのこと