[ANSES]食品安全:ANSESは化学的及び生物的ハザードをランク付けするツールを提供する
Food safety: ANSES offers a tool for ranking chemical and biological hazards
24/07/2020
農場(生産と加工)から食卓(摂取)まで、私達が食べる食品は健康にリスクを引き起こす様々な化学的及び生物的原因物質(ハザード)に汚染される可能性がある。リスク管理者が私達の食品の安全性を最適化できるよう、ANSESはこれらのハザードに優先順位をつけるための方法論を開発した。提案された意思決定支援ツールは、食品汚染をよりよく監視・予防する方法についてのガイダンスを提供している。現在、多くのハザードでテストした後に、規模を拡大してこのツールを展開することを計画している。
ANSESは食品安全を最適化するためのツールを開発した
食品安全予防対策を開始する前に、私達の食品を汚染する可能性のある化学的及び生物的ハザードをランク付けし、リスク状況 (リスクが最大となる食品とハザードの組み合わせ)の優先順位をつける必要がある。これを行うために、ANSESは段階的なアプローチを用いてマルチハザードとマルチ食品健康ランキングツールを作成した。
・第一段階:35の生物学的ハザード (細菌・毒素・代謝物21、寄生生物10、ウイルス及び従来にない伝染性物質4)、11の化学汚染物質群 (残留性有機汚染物質、残留農薬など)と関連すると考えられる数千の食品ハザードペアの同定と選出;
・第二段階:ハザードの発生確率 (1年あたりの新しい病気の件数、食品摂取に関連する件数の推定値など)と関連する有害事象の重症度(死亡率、罹患率、発がん性や神経毒性など)を基にしてランキング基準を定義する。各基準に割り当てられた相対的な重要性は、管理/行動の目標との関係でリスク管理者が決定する。
・第三段階:入手可能なデータの収集、ツール内の基準の入力と集計。
大量の利用可能なデータと起こりうる食品ハザードの組み合わせを考慮して、限られた数の化学的及び生物的両特徴を持つハザードと食品ハザードのペアで、ANSESはこのツールの適用と可能性をテストした。
ANSESは現在、開発された方法論が全ての同定されたハザードと食品ハザードのペアに展開されることを推奨している。
ANSESの助言:永続的なデータベースを構築し、国内及び国際的パートナーシップの一環としてこの方法論を展開する
提案された方法論の試験が成功したので、ANSESは次のように助言している:
・永続的なデータベースの構造、統合、構築に関する追加の作業を実施し、その後更新する。これは、ANSESの作業の計画の中で、国内及び国際的パートナーシップの中で、長期的な未来を確保することを目指して行う必要がある。
・全てのハザードと食品ハザードの組み合わせに対してこの方法論を適用すること;
・特にランキング基準の重みづけに対応する部分にツールの適用と適切な使用を促進するための、リスク管理者への支援
・この段階ではランク付けできない新たなハザードの同定、キャラクタリゼーション、暴露に関するデータの入手;
・健康ランキング基準に加えて、管理者に意思決定のためのより深い洞察を提供する経済的(病気のコスト)及び社会的基準(例えばハザードや食品ハザードのペアに関連するメディアの注目)の開発。
追加情報
・食品の健康と安全性を最適化するための生物学的及び化学的ハザードの優先順位付けに関するANSESの意見と報告書(フランス語)
ANSES OPINION and REPORT on the prioritisation of biological and chemical hazards in order to optimise food health and safety (in French)
https://www.anses.fr/en/system/files/BIORISK2016SA0153Ra.pdf
[ANSES]グリホサートの発がんの可能性の研究:ANSESは追加毒性試験を実施するために選出したコンソーシアムの撤回を発表する
Study of the carcinogenic potential of glyphosate: ANSES announces the withdrawal of the consortium selected to conduct additional toxicological studies
23/07/2020
グリホサートの発がん性分類に関する論争を受けて、ANSESとその専門家グループは、この物質の発がんの可能性の補足調査に計画された毒性試験戦略を立てた。2019年の国内申請要請後に、これらの試験を実施するために2つの研究チームが選出された。特定の研究のためにリールのパスツール研究所と国際がん研究機関(IARC)が調整した科学コンソーシアムである。特定チームの選出に批判があり、2022年の欧州のグリホサートの再評価中に検討されるこれらの研究に必要な静穏や信頼の条件が欠けたことにより、ANSESは本日、4月に選出された7つの研究所のコンソーシアムの撤回を発表している。その結果、ANSESはIARCが提案した新規研究にのみ資金提供を行う予定である。ANSESはこの状況を深く遺憾に思う。このプロセスの複数段階で同じ科学者が存在することについて疑問が提起されたものの、農薬業界に関して関与するコンソーシアムコーディネーターや研究所の管理者に一切利害の対立はなかったことが確認されている。
[ODS] ファクトシート更新
-フッ化物
Fluoride
Fact Sheet for Health Professionals
July 21, 2020
https://ods.od.nih.gov/factsheets/Fluoride-HealthProfessional/
新規追加。
[FDA] FDAは乳製品及び乳児用調製粉乳の中国への輸出に関する輸出リスト手続きを変更する
FDA Amends Its Export Listing Procedures for Dairy and Infant Formula Firms Exporting to China
July 28, 2020
FDAは中国へ製品を輸出する乳製品及び乳児用調製粉乳の企業に輸出リスト手続きに関する変更を発表する。
[FDA]リコール
Summitt Labsは高濃度の鉛のため、KORE ORGANIC Watermelon CBDオイルの全国的自主回収を発表する
Summitt Labs Issues Voluntary Nationwide Recall of KORE ORGANIC Watermelon CBD Oil Due to High Lead Results
July 28, 2020
Summitt Labsは高濃度の鉛のため、KORE ORGANIC Watermelon CBDオイルの全国的自主回収を発表する。製品に無作為のサンプル検査において4.7ppmの鉛が検出された。
[FDA]警告文書
- Tailor Cut Produce Inc.
July 08, 2020
CGMP食品製造、包装または保管に関する衛生管理、不良品の問題。
以下は二日酔い用ダイエタリーサプリメントの違法販売
- Double Wood LLC
July 23, 2020
- "Vita Heaven, LLC dba Hangover Heaven
July 23, 2020
- Happy Hour Vitamins
July 23, 2020
-Ebnsol, Inc
July 23, 2020
- LES Labs
July 23, 2020
- Purple Biosciences, LLC
July 23, 2020
- Mind, Body & Coal LLC
July 23, 2020
[FAO]FAOは食品ロスと廃棄を減らすための行動を加速するのに役立つプラットフォームを発表
FAO unveils platform to help accelerate action on reducing food loss and waste
29 July 2020
http://www.fao.org/news/story/en/item/1300824/icode/
2020年9月29日の最初の国際食品ロスと廃棄啓発デーにむけて準備をよびかけ
テクニカルプラットフォーム
Technical Platform on the Measurement and Reduction of Food Loss and Waste
http://www.fao.org/platform-food-loss-waste/en/
[IARC]世界肝炎デー2020
World Hepatitis Day 2020
28 July 2020
https://www.iarc.fr/news-events/world-hepatitis-day-2020/
7月28日は世界肝炎デー
Q & Aとインフォグラフィクスあり
感染症が原因のがんとしてはヘリコバクター・ピロリが最も多く次いでHPV、その次にHBVとHCVがある。そしてHBVとHCVは全ての肝臓がんのうち約75%の原因と推定されている
[ProMED]食中毒-ネパール:(JAJARKOT)致死、キノコ疑い
Foodborne illness - Nepal: (JA) fatal, mushrooms, susp.
2020-07-29
https://promedmail.org/promed-post/?id=7622590
Date: Tue 28 Jul 2020 Source: the Himalayan Times [edited]
JAJARKOT地方のKushe非都市部自治体-1で毒キノコを食べて子ども一人死亡7人が病気になった。キノコは森から採ってきたもの。
(何かは書いていない)
[FSSAI]メディアコーナー
ASCIはcovid広告キャンペーンで免疫強化を宣伝するブランドに鞭打つ
ASCI cracks the whip on brands claiming to boost immunity in covid ad campaigns
27 Jul 2020
https://fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_News_ASCI_LiveMint_28_07_2020.pdf
インド広告評議会(ASCI)は、アンチコロナマットレスやシャツ、免疫強化パンやビリヤニなど、コロナウイルスに関連する恐怖をお金にしようとする製品を取り締まっている
最近の例では、Modern Foods社がパンのブランドに免疫ブースターと宣伝していたのを指摘し製品を取り下げさせた。レストランチェーンBiryani Bluesが看板料理の宣伝チラシにターメリックは免疫強化と宣伝していたことも指摘した。
[USDA]USDAは中国から勝手に送られてくる種子を調査
APHIS
USDA Investigates Packages of Unsolicited Seeds from China
Jul 28, 2020
https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/sa-2020/sa-07/seeds-china
USDAは全国で中国からとみられる疑わしい種子の包みが勝手に送られてくる事案を承知して、関係機関と密接に調査している。種子を受け取ったら直ちに州の植物規制事務所かAPHISの植物健康部に連絡して欲しい。種子や包みは指示されるまで保持しておいて欲しい。由来不明の種子を植えないこと
[RIVM]COVID-19感染者数は増加している
Number of COVID-19 infections continues to increase
07/28/2020
https://www.rivm.nl/en/news/number-of-covid-19-infections-continues-to-increase
若い世代で増加が大きい
関連
WEEKLY EPIDEMIOLOGY UPDATE (15-21 JULY 2020)
カナダも患者数増加傾向で若い世代が多い
「怠慢」がドイツのCovid-19症例の急増を牽引している、公衆衛生機関が警告
‘Negligence’ is driving spike in German Covid-19 cases, public health agency warns
28 Jul, 2020
https://www.rt.com/news/496303-negligence-drives-covid-in-germany/
Robert Koch研究所長Lothar Wielerが、人々の規律が乱れているせいで患者が増加していると懸念
若い人達の夏の休暇でのパーティーなどが批判されている
英国は高齢者が多い
Weekly Coronavirus Disease 2019(COVID-19) Surveillance Report
論文
-コロナウイルス疾患2019パンデミック前と期間中の顔を触る行動の比較
Comparison of Face-Touching Behaviors Before and During the Coronavirus Disease 2019 Pandemic
July 29, 2020
Yong-Jian Chen et al., JAMA Netw Open. 2020;3(7):e2016924
マスクを着けることは一般人が公共の場で顔に触る行動を減らすことに関連する
中国、日本、韓国、イングランド、フランス、ドイツ、スペイン、イタリア、米国での2018年1月から2019年10月までと2020年2月から2020年3月に記録された動画を使った解析
(マスクをするとマスクを直したりするために顔に触ることが多くなるという主張があってなんとなく納得していたけれど実際にはそうではないと。おそらく無意識に触る回数が多いのに記憶にのこらないからだろう。思い込みには注意しないと)
-オーストラリア集団のビスフェノール暴露推定
Estimating bisphenol exposures in the Australian population
29-JUL-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/acs-ebe072420.php
Environmental Science & Technologyに発表されたオーストラリアでの2012年から2017年の尿の分析。プールした尿検体の全てからBPA、97%からBPSが検出されたがBPB, BPF および BP-AFは検出されなかった。年々BPAが減少しBPSが増加した
-アメリカ人は砂糖の摂取量は減ったが栄養のない甘味料は増えた
Americans are consuming less sugar but more nonnutritive sweeteners
29-JUL-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/e-aac072420.php
Journal of the Academy of Nutrition and Dieteticsに発表された米国の家計調査
2002年から2018年の間に、砂糖入り飲料の購入は減った(436.6 ± 1.6 to 362.4 ± 1.3 g/d; P < .05)が砂糖と砂糖代用品の両方を含む飲料の購入は増えた(10.8-36.2 g/d; P < .05)
(具体的な量がプレスリリースになかったのでもと論文から入れた。砂糖入り飲料の減少に比べて砂糖代用品の量はとても少ない。そして砂糖入り飲料摂取が減ったのに肥満は減ってないような)
-そのアールグレーのお茶の入ったカップを下に置いて!
Put down that cup of earl gray tea!
29-JUL-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/thuo-pdt072820.php
紅茶やチョコレート、ベリーのような抗酸化物質の多い食品はある種のがんリスクを増やすかもしれない、新しいHebrew大学の研究が発見。Nature
小腸のがんは希なのに大腸のがんは主要な死因である。何故だろう?この質問の答えを求めてHebrew大学のYinon Ben-Neriah教授のチームはがんの突然変異は必ずしもそれ自身悪者ではないことを発見した。腸のようなある種の微小環境では、こうした変異は実際身体ががんと闘うのに役立つ可能性がある。しかし腸内微生物が、ある種の細菌や紅茶やココアのような抗酸化物の多い食品にあるような代謝物を高濃度作ると、突然変異遺伝子にとって極めて快適な環境を作り出して大腸がんの増殖を促す。
(p53変異のある人には抗酸化物質はがんプロモーターになるだろうと)
-COVID-19:ソーシャルメディアユーザーはデマを信じる可能性が高い
COVID-19: Social media users more likely to believe false information
29-JUL-2020
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-07/mu-csm072920.php
ソーシャルメディアはパンデミックを抑制しようとする努力を弱体化する行動と関連する
Misinformation Reviewに発表されたカナダの研究
その他
-Natureエディトリアル
Trump政権はCDC外しを止めなければならない
The Trump administration must stop sidelining the CDC
28 JULY 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02231-6
米国政府は病気の拡大を予防する使命をもつこの機関を、弱体化するのではなく強化する必要がある
米国のCOVID-19の死者が15万人に近づき多くの地域で患者数が増え続ける中、政府はパンデミックコントロールのための公衆衛生アプローチを抑制しているという強い兆候がある。
-Nature書評
ワクチンは病気を安全にストップする-なぜ疑う?
Vaccines stop diseases safely — why all the suspicion?
Joan Donovan 22 JULY 2020
https://www.nature.com/articles/d41586-020-02192-w
人々にデマに対する免疫をつけるために、公衆衛生の研究者は信頼を構築する真の関係を育まなければならない、とHeidi Larsonは言う
London School of Hygiene and Tropical Medicineのワクチン信頼プロジェクト部長である人類学者Heidi Larson著「行き詰まり:ワクチンの噂はどう始まって-そして何故なくならないのかStuck: How Vaccine Rumors Start — and Why They Don’t Go Away」の書評
Larsonはネオリベラルの文脈では人々は医療を権利というよりサービスとみなし、全ての治療を消費者の選択だと考えるという。それは公共財である予防接種の場合問題になる。予防接種をしない子どもは自分自身だけではなく他の子どもにもリスクとなる。ワクチン躊躇はかつては子育ての問題で医師と話し合われていたが、今は活動家につかまってソーシャルメディアで盛んに取り上げられている。予防接種の社会への利益を維持するためにはこの新しい社会の気分に対応することが必須であるとLarsonは警告する。
(MMRとHPVワクチンの事例)
デマの怪物に勝つには科学者は本物の、人々との関係を作らなければならない、とLarsonは言う。サイエンスコミュニケーションはあまりにもしばしば単なるマーケティングやスローガン作りに落ちぶれている。
ワクチン躊躇に対抗するには医療の専門家、ジャーナリスト、市民団体、技術者からなる広範囲の連合がデマと戦う計画を開発しなければならない。検索エンジンのトップにどれだけたちの悪い情報があってオンラインで出回ってるかについて研究しその伝染を止める戦略がなければ、予防接種は我々の共通の敵と戦うために我々を結びつけるのではなく社会を分断し続けるだろう