2020-10-16

[EU]査察報告

-フランス-生きた動物及び動物製品の残留物と汚染物質

France 2019-6651―Residues and contaminants in live animals and animal products

08/10/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4320

2019年11月4~15日にフランスで実施した、生きた動物と動物製品の動物用医薬品の残留物、農薬、汚染物質の監視を評価するための査察。概して、残留物検査の計画と実行、違法結果のフォローアップ、研究所の実績はほぼEU条件に準拠している。全体的な残留物管理システムは動物用医薬品の販売と使用に関する包括的な管理によって支えられている。にもかかわらず、残留物サンプリングのよりタイムリーな開始、公式サンプルの改ざん防止シーリングなどさらなる改善分野を特定した。

 

-オランダ―生きた動物と動物製品の残留物と汚染物質

Netherlands 2020-6991―Residues and contaminants in live animals and animal products

08/10/2020

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4319

2020年3月3~10日にオランダで実施した、生きた動物と動物製品中の動物用医薬品の残留物、農薬、汚染物質のモニタリングや、食品生産動物の動物用医薬品の使用に関する公的管理の効果を評価するための査察。残留物モニタリングの計画はタイムリーで包括的である。サンプリングは計画された協定に従って実行され、不正開封防止のため密封されたサンプルの迅速な輸送が保証されている。違法結果のフォローアップはタイムリーかつ効果的な方法で行われている。全研究所が認定を受け、分析手段は適切に検証され、職員は有能で、管轄機関は分析結果の信頼性に自信を持てる。オランダの管轄機関に対して助言はない。

 

[EFSA]意見等

-プラスチック製の食品と接触する物質に使用するスチレン(FCM No 193)の安全性に関するIARCモノグラフVol. 121の影響の評価

Assessment of the impact of the IARC Monograph Vol. 121 on the safety of the substance styrene (FCM No 193) for its use in plastic food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6247 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6247

食品と接触する物質、酵素および加工助剤に関するEFSAのパネル(CEP)は、国際がん研究機関(IARC)に「ヒトに対しておそらく発がん性がある」と分類されたことを受けて、プラスチック製の食品と接触する物質(FCM)に使用するスチレン(FCM No 193)の安全性を再評価するよう欧州委員会の要請を受けた。IARCモノグラフは、吸入による高用量の職業暴露や、これも主に吸入による動物実験に関する研究に基づいて、ハザードの特定に関係している。IARCの結論はスチレンに対する経口暴露による消費者のリスクの評価に直接適用できないが、IARCモノグラフに提出されたデータや企業によるデータに基づき、スチレンに対する経口暴露に関する遺伝毒性の懸念は排除できないとパネルは結論した。スチレン製のプラスチックで包装された食品へのスチレンの溶出は大半の食品では10 μg/kg未満だが、最大230 μg/kgが報告された。脂肪分の多い食品、および/またはそのFCMの比表面積の広い食品との接触で溶出は多くなる傾向がある。スチレン製のプラスチックから溶出したスチレンに対する消費者の食事暴露は0.1 μg/kg 体重 (bw)/日と推定された。それは、食品自体に存在するスチレンによる暴露と同程度である。食事暴露(食品成分+スチレン製のプラスチックからの溶出)は一般的な集団の吸入によるものと同様または少ない。ヒトの暴露データを考慮して、パネルは、遺伝毒性とメカニズムデータの系統的レビュー、種差に関する比較トキシコキネティクスと解析がFCMに用いるスチレンの安全性を評価するのに必要だと結論した。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるStarlinger deCONテクノロジーに基づくErreplastプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Erreplast, based on Starlinger deCON technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6255 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6255

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期間保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるStarlinger deCONテクノロジーに基づくFlight Plastics (UK)プロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Flight Plastics (UK), based on Starlinger deCON technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6253 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6253

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期間保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるEREMA Basicテクノロジーに基づくONDUPETプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process ONDUPET, based on EREMA Basic technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6251 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6251

このプロセスから得られるリサイクルPETを、室温で長期間保存される飲料水以外の全ての種類の食品と接触する熱成形トレーと容器の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるStarlinger deCONテクノロジーに基づくPT Asiaplastプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process PT Asiaplast, based on Starlinger deCON technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6254 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6254

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期間保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるStarlinger deCONテクノロジーに基づくsicht‐pack Hagnerプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process sicht‐pack Hagner, based on Starlinger deCON technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6256 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6256

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期間保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-使用後のPETを食品と接触する物質へリサイクルするために使用されるStarlinger deCONテクノロジーに基づくSomoplast ‐ Riachi & Coプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Somoplast ‐ Riachi & Co, based on Starlinger deCON technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2020;18(10):6252 14 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6252

このプロセスから得られるリサイクルPETを室温で長期間保存される全ての種類の食品と接触する物質の製造に100%使用しても安全上の懸念とはならない。このリサイクルされたPETで作られた最終製品は電子レンジやオーブンでの使用を意図しておらず、そのような使用はこの評価の対象外である。

 

-キンメラックの既存MRLsのレビュー

Review of the existing maximum residue levels for quinmerac according to Article 12 of Regulation (EC) No 396/2005

EFSA Journal 2020;18(10):6257  13 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6257

さらなる検討が必要。

 

-EUにおける遺伝子組換えトウモロコシMON 810の栽培に関する2018年の市販後環境モニタリング報告書の評価

Assessment of the 2018 post‐market environmental monitoring report on the cultivation of genetically modified maize MON 810 in the EU

EFSA Journal 2020;18(10):6245 12 October 2020

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6245

欧州委員会の要請を受けて、EFSAは、Cry1Abを発現するトウモロコシイベントMON 810の栽培に関する2018年市販後環境モニタリング(PMEM)報告書を評価した。ここ数年と同様に、MON 810品種を栽培するスペインの農業従事者は待避区条件に一部従った。2018年のトウモロコシ栽培期間中にスペイン北東部から集め、Cry1Abの感受性を検査した欧州および地中海のアワノメイガの集団は、トウモロコシMON 810への耐性の症状を示さない。農業従事者のアンケートの評価や関連する科学出版物から、トウモロコシMON 810の栽培から生じるヒトと動物の健康や環境への予期せぬ有害影響は示されていない。この報告書は環境モニタリングに含まれる既存のネットワークの使用についての情報を提出していない。概してEFSAは、2018年のPMEM報告書で報告された証拠はトウモロコシMON 810の安全性に関する以前のEFSAの評価を無効にしないと結論した。しかしながら、ここ数年と同様に、EFSAは今後の報告書で改訂を要する耐性モニタリングに関する欠点を確認した。特に、2018年に実行されたモニタリング計画は、推奨される3%の耐性対立遺伝子頻度を検出するのに十分な感度がない。そのため、EFSAは同意保持者に対して、 (1)トウモロコシMON 810の採用率が高い地域の待避義務に完全に順守すること、(2)モニタリング計画の感度を上げ、耐性モニタリングの前述の欠点に対処すること、(3)スペイン北東部のアワノメイガにF2スクリーンを実施すること、を強く推奨する。目的にかなった農業従事者の緊急システムは、MON 810品種の栽培に関する予期せぬ有害影響を検出するのに役立ち、現在の農業従事者の調査システムの代替法となる可能性がある。さらに利害関係者は、遺伝子組換え植物を一般的に監視する環境モニタリングに含まれる既存のネットワークを最大限活用できるよう、方法論的枠組みを実行する必要がある。

 

[IARC]IARCモノグラフ会合128リモート開催

IARC Monographs Meeting 128 to be held remotely

14 October 2020

https://www.iarc.fr/news-events/iarc-monographs-meeting-128-to-be-held-remotely/

2020年10月29日-11月13日、アクロレイン、クロトンアルデヒド、アレコリン

 

[ProMED]食品由来疾患-ウガンダ:致死、シリアル、トロパンアルカロイド、2019

Foodborne illness - Uganda: fatal, cereal, tropane alkaloids, 2019

2020-10-15

https://promedmail.org/promed-post/?id=7862504

Date: Tue 13 Oct 2020 Source: Food Safety News [edited]

2019年のウガンダでの複数回の深刻な致死的食中毒事故の原因に科学者が光をあてた。3回のアウトブレイク全てがSuper Cerealと呼ばれる食糧援助の単一バッチによるものだった。

最初の二つのアウトブレイク

2019年3月、ウガンダのKaramoja地域のAmudat とNapakで278人が病気、5人が死亡。WFPが配布を中止し調査を始める。3つのラボで検体を調べいくつかのトロパンアルカロイドをppm濃度で検出した。

2019年4月に9人がさらに報告され、これは3月のアウトブレイク以降保管されていた同じバッチのものによる。汚染Super Cerealのロット番号からトルコの供給業者を同定し、この会社の4月半ばの査察により品質管理の問題点をみつけた。

三回目の中毒事故の供給業者の同定

ウガンダのLamwo地方で33例の食中毒が2019年8月に報告された。Super Cerealが疑われたが供給業者が違ってベルギーの会社だった。そのためWFPは全ての食糧援助を一時中止した。IGFSのChris Elliott教授らのチームが食品偽装を疑い、それを証明した。Food Controlに発表。

WFPによると回収された汚染製品が倉庫から盗まれて他の地域に送られたようだ。WFPはサプライチェーン全体の監視を強化した。

 

[FAO]ノーベル賞受賞者が如何にして新技術が農家を測定可能に強化するかの概要を説明する

Nobel laureate outlines how new technologies measurably boost farmers

15 October 2020,

http://www.fao.org/news/story/en/item/1314651/icode/

FAOのインパクト評価タスクフォースが経済学者Michael Kremerを招いて結果から影響に焦点を変えることについて講義

サハラ以南のアフリカやインドの小規模農家の収量増加や農薬や肥料の助言採用にモバイル機器を用いた情報共有が役立つ

(リザルトからインパクトへ、が気になったので紹介。

評価の際に生産量や結果(result)のみを報告するのではなくて影響(impact)と帰結(outcome)に重きをおこう)

 

論文

-大容量のアルコポップがホームレスになることととギャングに参加することに関連、新しい規制が必要

Supersized alcopops linked to homelessness and gang affiliation, new regulation needed

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/gmu-sal101220.php

Alcoholism: Clinical and Experimental Researchに発表されたGEORGE MASON大学の研究

(因果関係逆のような気もするが、ストロングゼロ問題)

 

-The Lancet:最新世界疾病推定は慢性疾患の増加と公衆衛生の失敗がCOVID-19パンデミックを悪化させたことを明らかにする

The Lancet: Latest global disease estimates reveal perfect storm of rising chronic diseases and public health failures fuelling COVID-19 pandemic

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/tl-pss101320.php

204カ国の健康に関するデータを提供

・米国の2019年の寿命は78.9才で高所得国としては短く、2010年以降改善していない。一部は心血管系疾患死の増加による

・米国の5才以下の死亡率は他の高所得国より約75%高い

(以下いろいろ。COVID-19は関係ない

Global Burden of Disease

https://www.thelancet.com/gbd

食事要因のリスクで赤肉、加工肉、砂糖入り飲料、トランス脂肪の「とりすぎ」の定義がゼロ以上に更新されている。塩は1日3g以上で変更無し)

 

-根拠のある治療法がある病気への自己申告によるカンナビジオール(CBD)使用

Self-reported Cannabidiol (CBD) Use for Conditions With Proven Therapies

Eric C. Leas et al.,

JAMA Netw Open. 2020;3(10):e2020977.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2771735

Redditフォーラムでシェアされた体験談の解析。90%が病気の治療としてで、規制や啓発が必要。

招待コメント:カンナビジオールに関する根拠が必要

The Need for Evidence Regarding Cannabidiol

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2771730

 

-世界の心疾患による死亡の最大の寄与因子は貧しい食事

Poor diet is top contributor to heart disease deaths globally

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/esoc-pdi101420.php

欧州心臓学会のEuropean Heart Journal - Quality of Care and Clinical Outcomesに、世界食糧デーに発表された研究の知見によると世界中の心疾患による死亡の2/3以上が健康的な食生活で予防できる可能性がある

 

-COVID-19ウイルスはエンデミック(風土病)になるか?

Will the COVID-19 virus become endemic?

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/cums-wtc101420.php

Scienceに発表された論考

 

-米国から乳牛を排除することは温室効果ガス排出への影響はほとんどないのに必須栄養素の供給を減らすかもしれない

Removal of dairy cows from the United States may reduce essential nutrient supply with little effect on greenhouse gas emissions

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/e-rod100820.php

Journal of Dairy Scienceに発表された各種動物排除推定

(動物由来食品を排除することが温室効果ガス排出抑制解決策だという主張への反論。アメリカ人はカルシウムの摂取源が乳製品に偏っているので影響が大きい)

 

-ゴールデンミート:牛の細胞を遺伝子操作してベータカロテンを作らせる

Golden meat: Engineering cow cells to produce beta carotene

15-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/nh-gme101420.php

科学者が培養細胞で作った肉製品は普通の肉より栄養強化できることを証明した

牛の筋肉細胞に、通常牛は作らない植物栄養素を作らせることに成功した。

Metabolic Engineering。著者はベータカロテンを含む培養肉は脂質酸化が少なく、普通の赤肉より発がん性リスクが少ない可能性があるという

 

 

Science

-「国民への詐欺だ」:批判者がインド政府のCOVID-19への伝統薬推進を非難する

‘A fraud on the nation’: critics blast Indian government’s promotion of traditional medicine for COVID-19

By Priyanka PullaOct. 15, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/10/fraud-nation-critics-blast-indian-government-s-promotion-traditional-medicine-covid-19

インド保健省がCOVID-19アウトブレイク対策として伝統薬を推奨し始め、多くの医師や科学者が失望している。10月6日に保健大臣Harsh VardhanがCOVID-19の予防や治療にアーユルベーダを薦める発表をし、インド医師会(IMA)からの厳しい批判の引き金をひいた。IMAはプレスリリースでVardhanに有効性の根拠を要求した。もし無いなら、Vardhanは国民への詐欺を行っていると書く。

インド政府のアーユルベーダ推奨は現政権のBharatiya Janata党の方針に沿ったものである。AYUSH省の作ったCOVID-19助言は鼻腔の内側に澄ましバターを塗る、コショウとショウガとその他ハーブで作った熱い飲み物、Ayush-64という特許のある混合物、などである

 

-今行動、完全な根拠は後で、と英国のCOVID-19マスクキャンペーンの「女教皇」はいう

Act now, wait for perfect evidence later, says ‘high priestess’ of U.K. COVID-19 masking campaign

By Ellen Ruppel Shell Oct. 15, 2020

https://www.sciencemag.org/news/2020/10/act-now-wait-perfect-evidence-later-says-high-priestess-uk-covid-19-masking-campaign

5月、英国の高名な科学者の何人かが王立学会のフェイスマスクの薦めに反対ししていたとき、オックスフォード大学のTrisha Greenhalghは怒っていた。科学者たちはマスクの有効性を支持する十分な科学文献がないと主張し、英国政府は彼らに従って一般人にマスクを求めることを却下した。

医師で医療を届けることの専門家であるGreenhalghは、「完璧な根拠を求めることは良い政策の敵になることがある」とBoston Reviewで怒る。「飛行機から飛び降りるのにパラシュートを使うのと同じように、RCTの根拠を待たずに行動する時である」

GreenhalghはEBMの頑固な信者である。彼女はEBMについてベストセラー本を書いているし彼女の研究は尊敬されている。しかし最近臨床経験やしっかりした観察よりもRCTばかりが特権的に扱われることに批判的になっていた。彼女はCOVID-19がEBMの限界を示した、マスクはその象徴であるという。

「公衆衛生における真の葛藤は強力な根拠が無い中でどう行動するのが適切かである」とJohns Hopkins 大学健康安全保障センター長Tom Inglesbyはいう。「そしてマスクのような大規模介入試験は極めて困難である」。限られた根拠であってもマスクが他人への感染を90%以上減らせるかもしれないことが示唆されていた。だからGreenhalghは高価ではなく概ねリスクもないこの介入を実施するには十分だと主張した。「多くの政府がマスクを義務化する前に数万人の命が失われた」と彼女は言う。

Greenhalghが熱心にマスクを薦めなかったら、もっと多くの命が失われていたかもしれないとオックスフォードのトランスレーショナル医学教授Chas Bountraはいう。「彼女は強力な反対に直面した。全ての科学者にそんな勇気があるわけではない。」

(以下略。そこまでやらないといけなかったのかという驚き

キャンペーンサイトのヘンな日本語がおもしろい。https://masks4all.co/ja/

 

-アフリカのハゲワシの意図的毒物投与

Deliberate poisoning of Africa's vultures

Mohamed Henriques, et al.,

Science  16 Oct 2020:Vol. 370, Issue 6514, pp. 304

2019年9月から2020年3月の間、2000羽以上の絶滅危惧IA類のズキンハゲワシがギニアビサウ北部で殺された。調査の結果ハゲワシは頭部を信仰上の目的で集めるために意図的に毒殺された。セネガルで需要があると報告されメチオカルブが死体から確認された。ハゲワシの頭は幸運のお守りとして高値で取引されている。対応しなければさらに数が減ってしまう

 

-子どもと若者のCOVID-19

COVID-19 in children and young people

Matthew D. Snape, Russell M. Viner

Science  16 Oct 2020:Vol. 370, Issue 6514, pp. 286-288

子どもたちはCOVID-19のリスクは低いのに、予防対策で不釣り合いに害されている

若い人たちの教育と福祉を維持することがCOVID-19時代の社会の重要な優先項目でなければならない

 

その他

-Natureニュース

世界中の研究者がCOVID-19の中働き教えるために戦っている

Researchers worldwide fight to work and teach amid COVID-19

15 OCTOBER 2020  Quirin Schiermeier,et al.,

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02815-2

大学は学者と学生が戻るのを歓迎する-しかし安全性のための制限が科学や学習をやりにくくしている

ブラジル、英国、ドイツ、インド

 

-SMC UK

10月1-7日の最新のイングランドの検査追跡の数字への専門家の反応

expert reaction to latest Test and Trace Figures for England for the week 1 to 7 October

OCTOBER 15, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-latest-test-and-trace-figures-for-england-for-the-week-1-to-7-october/

(英国のコロナ対策)

Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授

良いニュースは検査の数が増えたこと、検査結果がでるまでの時間が少しだけ短くなったこと。

とても悪いニュースは検査陽性の人の数が大きく増えたこと

極めて悪いニュースは陽性の人で接触追跡者が連絡できて自主隔離を助言された割合が大きく下がったこと、24時間以内だとさらに少ない

Oxford大学Rosalind Franklin研究所長James Naismith FRS FRSE FMedSci教授

(中略)

つまり、100人の感染者がいたとすると、検査で陽性になるのは50人で、その人たちの濃厚接触者のうち75人しか接触追跡で連絡できない。そしてそのうち検査陽性者の同居人でないのはたった25人で、その中でも24時間以内に連絡がついたのは14人以下で、そして実際に自主隔離するのは5人以下である。

このシステムが効果的に働く可能性を私は大いに疑っている。ますます意味が無く費用だけがかかる可能性の方が高いだろう。このシステムは「簡単で誰でもできそう」だけれど実際に有効に動かすのは著しく困難なものの完璧な例である。