2020-10-22

[FTC]FTCのデータは消費者の詐欺報告のソーシャルメディア由来のものが大きく増加したことを示す

FTC Data Shows Big Jump in Consumer Reports about Scams Originating on Social Media

October 21, 2020

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2020/10/ftc-data-shows-big-jump-consumer-reports-about-scams-originating

詐欺でお金を失った報告の最初のきっかけがソーシャルメディアだったものが急増していて、Covid-19パンデミックの春にスパイクがある

ソーシャルメディアから始まった詐欺は昨年の3倍以上、そのうちオンラインショッピングがトップ。多くはソーシャルメディアで見た広告に反応して注文したが製品が届かなかったというもの。プラットフォームとしてはFacebook とInstagramが94%。他には恋愛詐欺や経済的保障あるいは収入のチャンスで、パンデミックのせいで仕事や収入を失った人たちを標的にしている

Scams starting on social media proliferate in early 2020

https://www.ftc.gov/news-events/blogs/data-spotlight/2020/10/scams-starting-social-media-proliferate-early-2020

 

論文

-Covid-19ワクチン試験ではそれが命を救うかどうかはわからない

Covid-19 vaccine trials cannot tell us if they will save lives

21-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/b-cvt102020.php

BMJ。現在の試験は入院やICUや死亡のような重大なアウトカムを減らすことを検出するようにはデザインされていない。現在第三相の試験は軽症を評価している。理由は単純に数の問題で、重症になる人が少ないため重症への影響を検出するには多くの人が必要になり費用も時間もかかる。またワクチンの試験に脆弱な高齢者があまり参加していないことは高齢者への利益があるのかどうか評価できないことを意味する

(ワクチンの代理指標評価はしかたないけど限界は認識しておく必要がある)

 

-展望:COVID-19ワクチンの有効性を理解する

Perspective: Understanding COVID-19 vaccine efficacy

21-OCT-2020

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2020-10/aaft-puc102120.php

この展望では、Marc Lipsitch と Natalie DeanがもしCOVID-19ワクチンが若年成人の感染や感染性を減らすことができたとしても高齢者や併存疾患のある人のようなハイリスク集団にあまりあるいは全く保護作用がなかったらどうなるかを考察している。そのような場合、間接的保護戦略-ハイリスク集団に接触する人たちへのワクチン接種が好ましい方法になる。これはインフルエンザワクチンを反映している。最初は直接保護の目的で高齢者を標的にしていたが、近年は、一部は間接保護を目的に、より広い一般人に焦点を移しつつある。ワクチンの間接保護の効果を測定するのは難しいが、必要である。

 

その他

-SMC UK

食事からのフラバノール摂取と血圧を調べた研究への専門家の反応

expert reaction to study looking at dietary flavanol intake and blood pressure

OCTOBER 21, 2020

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-study-looking-at-dietary-flavanol-intake-and-blood-pressure/

Scientific Reportsに発表された研究が食事からのフラバノール摂取と血圧を調べた

Glasgow大学公衆衛生栄養学上級講師Ada Garcia博士

お茶、リンゴ、ベリー、ナッツおよび他の多くの植物ベースの食品はフラバノール類を含み、これらはこの研究で示されたような心血管系疾患リスク要因の低さと関連することが知られている。これまでの大規模研究はほとんどの場合、いくつかの欠点のある、食事記録のような自己申告に頼って測定しているため、特定のフラバノールの摂取量を正確に推定する方法が重要である。この研究で使用された代理バイオマーカーのような、食事摂取量のより良い推定が食事と病気の関係を理解するための大きな前進である。

Quadram生命科学研究所名誉フェローで栄養研究者Ian Johnson博士

これは重要な質の高い研究である。重要な点はフラボノイド摂取量に関して客観的で定量可能なバイオマーカーを使ったところにある。これによりフラボノイドを最も多く摂取している人たちが、最も少なく摂取している人たちより収縮期圧が低いことを示すことができた。しかしながら観察研究なので因果関係は確立できない。

最後に、統計学的有意ではあるものの観察された血圧の差は比較的小さいことにも注意が必要である。この程度の差でも集団レベルでは有用であると主張することもできるが、この特定集団についてフラボノイドの摂取が心血管系疾患、心血管関連死、あるいは全原因による死亡リスクを減らすのに役立つという根拠は無い。

Biomarker-estimated flavan-3-ol intake is associated with lower blood pressure in cross-sectional analysis in EPIC Norfolk

https://www.nature.com/articles/s41598-020-74863-7

オープンアクセス

フラバン-3-オールの指標として5-3′,4′-dihydroxyphenyl-γ-valerolactone (gVLM)

(–)-エピカテキンの指標としてstructurally related (–)-epicatechin metabolites (SREM)

をスポット尿で調べている

食事記録から推定した摂取量とは関連が弱いあるいは全くない

(スポット尿も一時的な摂取しか評価できないのであまり正確ではないと思うんだが)

 

-ハーブとスパイスの偽装はなくならない

Fraud in herbs and spices hasn’t vanished

21 October 2020 | Chris Elliott

https://www.newfoodmagazine.com/article/122025/herb-adulteration/

6年前、IGFSはハーブとスパイスに関連する偽装の量に注目した。2015年にWhich?マガジンと協力してオレガノの調査結果を発表した。英国で販売されているオレガノの約25%が何らかの形で偽装されていた。このことは英国に留まらない業界への衝撃を与えた5年後、Bia Analytical と New Foodの協力で最新調査を発表できる。オレガノは改善していてオンラインの1つのみが異物混入されていた。しかしセージでは25%以上が異物混入されていた。セージにオリーブの葉のような食品ではないものを加えてかさ増ししていた。幸い食品安全上のリスクは見つからなかったが、残留農薬は本物より異物混入されたハーブの方が多かった。セージについては大手小売店のものは問題が無かったが小規模店舗では相当問題があった。同様に懸念なのは大規模オンライン小売店ではひどい異物混入製品が販売されていたことである。このことは彼らの使っているサプライチェーンに監視やチェックが無いことを指摘する。

ハーブやスパイスの偽装を追求する旅はまだ終わっておらず、セージの追加調査も実施中である。おそらくそう遠くない将来に報告できるだろう。

(品質管理って消費者には見えにくいけれどアピールすべき、安いのには理由がある)

 

-ウガンダの大規模食中毒は価値ある教訓を提供する

Massive Uganda food poisoning incident provides valuable lesson

Posted: 12 October 2020 | Chris Elliott

https://www.newfoodmagazine.com/article/121582/uganda-food-poisoning/

公式の重要な助言を発表する前に、Queen’s University Belfast のChris Elliott 教授が彼の知見を提供する

先週世界食糧計画(WFP)がノーベル平和賞を受賞した。Covidパンデミックにより、引き起こされた飢餓でウイルスそのものより多くの人が死ぬ可能性が警告されている。そのような状況下でWFPの仕事はますます重要になっている。

先週Queen’s University Belfastはウガンダでの大規模食中毒の原因を我々がどうやって突き止めたかを説明する論文を発表した。この食品はWFPから提供されたもので、原因は大豆のサプライチェーンに事故で入り込んだチョウセンアサガオである。

我々はこのイベントの詳細についての知見と助言を世界的科学雑誌に間もなく発表するだろう。読者に予告する。

トロパンアルカロイド

我々の多くはバリューチェーンの多くが複雑でいろいろな形での人工化学物質や天然毒素汚染に対して脆弱であることを知っている。先進国向けの食品には安全で有害汚染物質がないことを確保するための一連のコントロールやチェックが働いている。しかしWFPの場合には、問題となっている汚染はほとんどチェックされておらず(世界中どこでも)、欧州で限定的な規制があるだけである。

それはトロパンアルカロイドである。ウガンダの場合、Jimsonweed(ヨウシュチョウセンアサガオ)から来た。この植物は「侵入種」で、気候変動を含む一連の要因によりかつては見られなかった地域に世界中で出現しつつある。EUを含む多くの団体が現在厳しい規制をおくための努力としてデータを見直している。このことは一連の農作物を取引する多くの事業者に大きな影響があるだろう。我々は厳しい規制値は多くのサプライチェーンにおいて達成できないと思うので、食糧供給に問題を生じ途上国の農家に膨大な影響を与えるだろう。

二つ目の主要な知見は農薬使用とオーガニック市場の拡大との関連と、市場のシフトによる意図せぬ帰結である。多くの消費者が食品の残留農薬を極めて低くあるいはゼロを要求している。その要求は理解できなくもないが、作物の汚染をコントロールするためには農薬は必須である。

さらに、一連のコントロール対策の実施は(詳細は今後発表予定の論文に)食品のトロパンアルカロイド汚染の予防と早期検出に役立つだろう。それには農家や、加工者、規制当局の間の協力的アプローチとサプライチェーンを支える一連のツールが必要である。

ウガンダの悲劇は、食品の生産方法への要求の変化と速やかに変わりつつある気候とともに、新たな食品安全リスクが疑いようもなく起こってくるだろうことへの規制当局と農業食品業界の厳しい警告として学ばれるべきである。

(欧州が無意味で感情的なオーガニック推しをやめればいいだけでは?)

 

-OxyElite Proダイエタリーサプリメント役員が詐欺計画で判決

OxyElite Pro Dietary Supplement Executives Sentenced in Fraud Scheme

October 21, 2020

https://foodpoisoningbulletin.com/2020/oxyelite-pro-dietary-supplement-executives-sentenced-in-fraud-scheme/

テキサスの連邦裁判所で二人のもとOxyElite Proダイエタリーサプリメント役員が、Jack3dと OxyElite Proというサプリメントを詐欺的に販売した罪で実刑

USPlabsのもとCEO Jacobo Geisslerは60ヶ月、USPLabsのもと社長Jonathan Doyleは24ヶ月

2013年にFDAがOxyElite Proダイエタリーサプリメントと肝疾患と死亡との関連でいくつかのリコールを発表している

被告等は虚偽の分析証明書と表示を使って中国からサプリメントの成分であるDMAAなどを輸入した。また小売り業者にはこの製品はナチュラル植物抽出物だと騙っていた。

 

-Natureニュース

英国のEU離脱が戻る:科学を形作るだろう5つの問題

Brexit’s back: the five issues that will shape science

21 OCTOBER 2020

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02920-2

多くの研究者は英国のEU離脱を忘れられたら良かったのにと思っているだろう。しかしそうはいかない。英国はEUを離脱する。2021年1月1日に「移行期間」は終わり、研究を含む公的生活や方針は変わる。

英国とEUはまだ貿易についての合意を検討中だが残りは数週間しかない。「ノーディール(合意無き)」シナリオはカオスとなるだろうと予測されている。どうなろうと研究への影響は広範にわたる。Natureは研究に関係する重要問題を探った

・移民:科学者のための特別ビザ

・資金:EU研究計画への英国のアクセスは未だ不確実

・規制、データ、臨床試験

・研究施設

・実験用品や装置

 

-COVID-19の集団免疫という偽りの約束

The false promise of herd immunity for COVID-19

21 OCTOBER 2020  Christie Aschwanden

https://www.nature.com/articles/d41586-020-02948-4

なぜDonald Trump政権などが採用しているウイルスを概ね成り行きに任せる提案が「膨大な死亡と苦しみ」をもたらす可能性があるのか

5月にブラジルのマナウスで大規模COVID-19アウトブレイクがおこり病院が圧倒され市は周囲の森に新しい墓地を掘った。しかし8月には少し変わって、6月初期に社会的距離をとる要求が緩和されたにも関わらずこの200万人都市の過剰死亡は1日あたり120程度からほぼゼロに減った。9月に二つの研究グループがこのマナウスの夏の終わりのCOVID-19拡大の減速の少なくとも一部は地域の多くの人が既にウイルス暴露されて免疫をもっているためだと示唆するプレプリントを投稿した。ブラジルサンパウロ大学の免疫学者Ester Sabinoと彼女の同僚はマナウスの血液バンクの6000以上の検体のSARS-CoV-2抗体を調べた。「感染者は本当に多く、第一波の終わり頃には66%に達していた」とSabinoはいう。彼女のグループはこの感染の多さが集団免疫を意味すると結論している。ブラジルの他のもう一つのグループも同じ結論に達している。

マナウスからのこのような報告と、パンデミック初期に被害が大きかったイタリアの一部についての同様の主張とが集団免疫を求める提案に勢いを与えている。その計画は重症化リスクの高い人を守りつつ社会の多くの部分を普通に戻すという。それは基本的にはコロナウイルスを成り行きに任せることになる。

しかし疫学者は何度もそのような考えを手厳しく否定してきた。「ウイルスに任せる」は防衛策ではない、とカリフォルニアScripps研究所の免疫学者Kristian Andersenはいう。そのようなアプローチは社会の正常復帰を加速するとは限らず壊滅的に人命を失う、と彼は言う。「これまでそういうやり方で成功した経験は無い、それは許容できない、不必要な死亡と苦しみにつながる」

広範な批判にも関わらず、このアイディアは多くの国の政治家や政策決定者の間に出現し続けている。そして科学者の中にすらこれを推進する人たちがいる。10月初めに自由主義シンクタンクと少数の科学者グループがGreat Barrington Declarationという文書を発表した。この中で彼らはCOVID-19重症化リスクの低い人には普通の生活に戻ることを許しSARS-CoV-2は集団免疫を獲得するまで拡散させることを呼びかけている。高齢者などのハイリスクの人は特定されていない方法で守れるという。この宣言はホワイトハウスで読まれ、別の科学者グループからのカウンターを誘発した。The Lancetの覚え書きでは集団免疫アプローチを「科学的根拠によって支持されていない危険な間違った考え」だと呼ぶ。

ウイルスを成り行きに任せるという主張は集団免疫についての、どうやってそれを達成するのがベストなのかについての誤解をも拡散している。ここにNatureはこの議論の多い考えについての5つの疑問に答える

集団免疫とは?

どうやって達成する?

SARS-CoV-2の閾値は?

集団免疫は機能する?

集団免疫への道に他に何か?

(新しいウイルスなのだから「科学的根拠」なんてどっちにもないはず。)

 

-もしあなたがCovidワクチンに期待をかけているなら、現実を少し

If you're pinning your hopes on a Covid vaccine, here's a dose of realism

Wed 21 Oct 2020 David Salisbury(もと保健省予防接種部長)

https://www.theguardian.com/commentisfree/2020/oct/21/covid-vaccine-immunisation-protection

標的を絞って予防接種をする計画は幾分かの保護を提供するかもしれないが、それで「普通の生活」ができるわけではない

早いCovid-19ワクチンを期待している人たちにとって、早ければ「クリスマス後にでも」ワクチンが提供できるかもという週末のニュースは士気が上がっただろう。ワクチンができたら世界はもとのようになるという話はたくさんあるが実際にはそうはならないだろう。ワクチンでできることとできないことについては現実的でなければならない

(ワクチン関連の話略)

どんなCovid-19介入方法であっても-距離をとる、ロックダウン、自宅で働く、休暇に行かない-助言に従うかどうかは信頼に依存する。もし政治家が、現在の我々の生活の負担がワクチンができるまでの辛抱だと言うのなら、それは偽りの希望である。ワクチンは強力な介入であるがその利益は現実的に伝えられなければ、全ての助言に対する信頼がリスクに晒される。暗黒時代には希望と楽観主義は必要であるが、透明であるべきである。ワクチンはある程度の保護にはなるが、それで単純に「かつてのような生活に」はならない。

 

-ニュージーランドの症例に関係した船で2人のCovid-19症例が確認された

Two Covid-19 cases confirmed on ship suspected over New Zealand case

https://www.rnz.co.nz/news/national/428955/two-covid-19-cases-confirmed-on-ship-suspected-over-new-zealand-case

パプアニューギニアからソロモン諸島を経てブリスベン、タウランガ、オークランドと旅したSofrana Surville号には10月13日にフィリピンから8人の船員が乗船している。日曜日(17日)に感染が明らかになったニュージーランドの港湾労働者は10月12日と13日にPPEを装着してこの船に乗りメンテナンスを行った。これが感染源である可能性がある

船はニューカレドニアのヌメアを経て今はオーストラリア沖にいる。クイーンズランド保健省は船員全員を検査している。ニュージーランド政府はクイーンズランドにウイルスのゲノム配列を決定するよう要請していてそれにより感染源を確認するのに役立つだろう

(荷物では無くヒトヒト感染のようだ)

 

-オークランドの新たなCovidへの恐れ

New Covid fears in Auckland

https://www.rnz.co.nz/national/programmes/ninetonoon/audio/2018769516/new-covid-fears-in-auckland

疫学者のDavid Skegg卿は人々と政府のCovid-19への自己満足のレベルを懸念している

「私は我々全員がこのウイルスは時々コミュニティに入って来ることに留意しておく必要があると考えている。しかしここ数週間、QRコードを記録するアプリを使っている人をほとんど見ないし多くの人が飛行機内でマスクをしていない。人々がウイルスに勝ったのだと信じ込まされている。検査は一側面でしか無く、我々は握手を避け続けなければならない。ニュージーランドはラッキーだったがこれが永遠に続くとは考えるべきではない」