[EFSA]食品に関する統一した包装表面上の表示と強調表示の制約を通知するためのEFSAの科学的助言
EFSA’s scientific advice to inform harmonised front-of-pack labelling and restriction of claims on foods
3 February 2021
私達の栄養科学者は、将来のEU全域にわたる包装表面上の(FOP)栄養表示システムの開発を支援するために科学的助言を提供する。それは食品の栄養や健康強調表示の使用条件の設定を通知することにもなる。
EUの農場から食卓まで戦略の活動計画に従って、欧州委員会は、2022年末までに包装表面上の統一した栄養義務表示や、塩、糖類および/または脂肪などを多く含む食品の奨励を制限するための栄養プロファイル設定の提案も提出するつもりである。
欧州委員会はEFSAに次の科学的助言を提出するよう求めている
・食品の非栄養成分(エネルギー、食物繊維など)を含む、欧州人のための公衆衛生上重要な栄養素
・欧州人の食事に重要な役割を果たす食品グループとサブグループ
・栄養プロファイルのための食品の栄養や他の非栄養成分の選択を指導する基準
EFSAへの要請は栄養プロファイルモデルの作成や様々な目的で既に使用されている現在のプロファイリングモデルに関する助言を含まない。
私たちの専門家は以下の情報源など、最新の科学情報を評価する。
・ヒトの研究の根拠に基づく健康的な食事のための食事助言に関する発表済のレビュー
・食事参照値や栄養プロファイルに関するEFSA独自の作業
・欧州各国の国の食品に基づく食事ガイドライン
・欧州委員会が提出したFOP表示計画の包括的なレビュー
EFSAは2022年3月までにその科学的意見を出すよう要請されている。私たちは2021年末までにその草案のパブリックコメントを募集する予定である。
・包装表面上の統一した栄養義務表示の作成と、食品の栄養と健康強調表示を制限するための栄養プロファイルの設定に関する科学的意見の要請
Request for a scientific opinion on development of harmonised mandatory front-of-pack nutrition labelling and the setting of nutrient profiles for restricting nutrition and health claims on foods
https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/EFSA-Q-2021-00026_M-2021-0007.pdf
[EFSA]意見等
-化学物質モニタリング報告ガイダンス:2021年データ収集
Chemical monitoring reporting guidance: 2021 data collection
EFSA Supporting publication 2021.EN-6420 4 February 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6420
この文書は化学物質用に分析されたサンプルの報告に使用する。農薬と動物用医薬品の残留物、汚染物質、食品添加物を監視するために行った管理活動中に取られた食品及び飼料サンプルの分析結果をEUに提出するための標準サンプル記述 (SSD2)データモデルの使い方に関するガイダンスを提供する。この文書はSSD2やデータ交換についてのガイダンス(GDE2)に関する一般的なEFSAのガイダンスにとって代わるものではないが、いくつかの側面を補完及び更新する。特定の技術的及び立法上の要件や、国やEUレベルでの化学物質モニタリング(ChemMon)データのデータ品質検証の明確さに関するガイダンスを提供することを目的としている。
-香料グループ評価67改訂3 (FGE.67Rev3)に関する科学的意見:JECFAの第55回、65回、69回、86回会合で評価された23のフラン置換化合物の考察
Scientific Opinion on Flavouring Group Evaluation 67, Revision 3 (FGE.67Rev3): consideration of 23 furan‐substituted compounds evaluated by JECFA at the 55th, 65th, 69th and 86th meetings
EFSA Journal 2021;19(2):6362 3 February 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6362
この香料グループ評価67 (FGE.67Rev3)では25物質のうち評価済みの11物質と評価の必要のなくなった2物質を除く12物質を評価した。サブグループIVとVI‐Bを代表する物質それぞれの新しい遺伝毒性と毒性データが入手でき、遺伝毒性の懸念は除外された。MSDIアプローチに基づいて12物質全てに十分な安全マージンが算出された。パネルは、23物質全てに、MSDIアプローチに基づき「香料物質として摂取推定量で安全上の懸念はない」とするJECFAの結論に同意した。18物質はmTAMDI摂取推定量がその構造クラスの毒性学的懸念の閾値(TTC)を超えており、評価を最終化するにはより信頼できる使用と使用量に関するデータが必要である。
-香料グループ評価13改訂3 (FGE.13Rev3)に関する科学的意見:化学グループ14の追加の側鎖置換およびヘテロ原子有り/無しのフルフリル及びフラン誘導体
Scientific Opinion on Flavouring Group Evaluation 13 Revision 3 (FGE.13Rev3): furfuryl and furan derivatives with and without additional side‐chain substituents and heteroatoms from chemical group 14
EFSA Journal 2021;19(2):6386 3 February 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6386
このFGE.13Rev3で扱う26の香料物質のうち24は、既に安全上の懸念はないと評価されている。残りの2物質はFGE.13Rev1.で遺伝毒性の懸念が生じていたが、この懸念は新しい遺伝毒性データに基づき除外できた。パネルはこの2物質を評価し、MSDIアプローチに基づいて推定された食事摂取量で26物質の安全上の懸念は生じないと結論した。1物質には使用と使用量に関するデータが必要である。21物質でmTAMDI摂取推定量がその構造クラスの毒性学的懸念の閾値(TTC)を超えており、この評価を最終化するには使用と使用量に関するより信頼できるデータが必要である。
[COT]COTの声明とポジションペーパー
COT statements and position papers A-Z
Last updated: 03 February 2021
https://cot.food.gov.uk/statementsandpositionpapers
(どれが更新されたのかわからない。2020年更新のものはいくつかある)
[ASA]健康:食物アレルギー検査
Health: Food allergy testing
Advice online 04 Feb 2021
https://www.asa.org.uk/advice-online/health-food-allergy-testing.html
食物アレルギー検査とは何か?
ASAとCAPは食物不耐、アレルギー、過敏症を同定できると主張する各種装置や検査が宣伝されているのを承知している。これらには血液や毛髪の検査、ツボにあてるペンのような装置で人体の電磁振動を測定すると称するものなどがある。一部の宣伝者はある種の食品を除去することで記憶の衰え、偏頭痛、湿疹、吐き気、皮膚炎、関節痛、慢性疲労、過敏性腸症候群を無くす等の利益があると主張する。
IgE検査とは何か?
IgE検査は食品への不耐を調べる確立された方法である。これはI型アレルギーを検出する最も頑健な実験室検査であると理解しているが、偽陽性と偽陰性の可能性があるため「臨床的に妥当性を管区人された」検査、あるいはIgE検査だけで診断できると宣伝してはならない
IgG検査とは何か?
IgG検査が正確あるいは有用であるという一貫した根拠を知らない
電磁皮膚検査とは?
電磁皮膚検査あるいはVegaテストは皮膚の抵抗や電導度の変化を測定すると主張しているがアレルギーを診断したりできない。
どんな宣伝に問題がある?
現時点では単独で食物アレルギーや過敏症を同定できる検査やキットは存在しない
[FTC]新しいデータはFTCが2020年に消費者から220万の詐欺報告を受け取ったことを示す
New Data Shows FTC Received 2.2 Million Fraud Reports from Consumers in 2020
February 4, 2021
金額は33億ドル
論文
-CDC MMWR
COVID-19期間中に血中鉛濃度の検査をした小さい子どもの減少-34区域、2020年1-5月
Decreases in Young Children Who Received Blood Lead Level Testing During COVID-19 — 34 Jurisdictions, January–May 2020
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7005a2.htm?s_cid=mm7005a2_w
2019年同時期に比べて34%少なかった。COVID-19は血中鉛濃度の高い子どもの検出に悪影響があった。
COVID-19パンデミック中の成人のストレス、心配、精神衛生上の問題の有病率と薬物使用増加における人種と民族の不平等-米国、2020年4-5月
Racial and Ethnic Disparities in the Prevalence of Stress and Worry, Mental Health Conditions, and Increased Substance Use Among Adults During the COVID-19 Pandemic — United States, April and May 2020
ヒスパニックで十分な食糧や安定した住居がないことに関連する精神的ストレスの報告率が高い
-文化の厳しさ-緩さとCOVID-19患者と死亡の関連:世界的解析
The relationship between cultural tightness–looseness and COVID-19 cases and deaths: a global analysis
Michele J Gelfand, et al., THE LANCET Planetary Health
Open AccessPublished:January 29, 2021
https://www.thelancet.com/journals/lanplh/article/PIIS2542-5196(20)30301-6/fulltext
2020年10月までの患者と死亡数の制限に社会規範あるいは文化の厳しさが関連する
図
(文化の厳しさで日本と韓国と中国が同一?)
-スパイシーで申し分ないことは感染予防を意味しない
Spicy perfection isn't to prevent infection
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/anu-spi020321.php
料理に使われるスパイスは感染予防になる?答えはかなりの確率でノー。オーストラリア国立大学の研究者らが93種類のスパイスを使った70の料理の33000以上のレシピを検討した結果をNature Human Behaviourに発表した。
スパイスは暑い国に多く、スパイシーな食は食中毒予防に役立つという理論がある。しかし実際にはスパイスは死亡原因になることすらある。スパイシーな料理は気候や人口密度、文化の違いで説明できない。スパイスの使用を誘導する確実なものは、我々の好みと、スパイスを使うと美味しくなる料理である。
-公共部門のオーガニック食品競争ではスウェーデンがデンマークに勝っている
Sweden ahead of Denmark in the public sector organic food race
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/uoc--sao020421.php
北欧諸国の幼稚園や学校食堂のオーガニック食品の量ではスウェーデンが一番、デンマークが二番、ノルウェーは最後
コペンハーゲン大学の新しい報告書。スウェーデン39%、デンマーク22%、ノルウェー1%
(スウェーデンが権威に従う傾向があるからとか考察している。)
-作物をあさることが増え、ケニアのヒトと象の衝突が高まる
Human-elephant conflict in Kenya heightens with increase in crop-raiding
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/uok-hci020421.php
ケニアのMasai Mara国立保護地域の周辺で象が作物を荒らす頻度が年を通して増えているがダメージは減っている。Biological Conservation
-新しい研究がケージフリー産卵鶏死亡率が時間とともに減っていることを示す
New study finds cage-free egg-laying hen mortality declines over time
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/pcc-nsf020121.php
Scientific Reports。通常のバタリーケージ、巣などの追加設備のあるケージ、屋内ケージフリーでの死亡率データを比較した。ケージフリーでの死亡率は経験と知識の向上で時間とともに低下しつつある。
(ケージフリーの方が死亡率が高いのに鶏が幸福と主張してきたことをしめしている。そして著者は必ずしも死亡率が問題ではなく、不健康で長生きすると苦しみが多いと主張。宗教?かごの中で羽を広げられない苦しみと、回りからつつかれて死ぬ苦しみでは前者の方が大きいと誰が決めたんだろう?)
-COVID-19患者の鼻咽頭ウイルス量を減らすためのポビドンヨードマウスウォッシュ、うがい、鼻スプレー RCT
Povidone Iodine Mouthwash, Gargle, and Nasal Spray to Reduce Nasopharyngeal Viral Load in Patients With COVID-19 A Randomized Clinical Trial
Jeremy Guenezan et al.,
February 4, 2021 JAMA Otolaryngol Head Neck Surg.
https://jamanetwork.com/journals/jamaotolaryngology/fullarticle/2775984
18才以上で鼻咽頭拭い取りでのRT-PCRでSARS-CoV-2 RNA量が多かった(サイクル閾値≤20)患者を対照群12人介入群12人に無作為割り付け。介入内容はポビドンヨード(PI)1%水溶液25 mLで4回連続うがいしてそれから同じ1%水溶液を5mLの注射筒につなげた鼻腔内粘膜噴霧装置を使って2.5mLを鼻から息をすいながら各鼻孔に噴霧し、それから10%PI軟膏を鼻粘膜に塗って鼻をマッサージして馴染ませる。これを1日4回5日間行う。
その後1日おきに7日までフォローアップ。1人以外全ての患者が3日めまでにウイルス価が陰性になった。PIは時間経過によるウイルス定量に何の影響もなかった。PI群は全員が鼻の不快な痛みを経験し甲状腺刺激ホルモンが増加し正常値の上限を超えた。介入終了後7-12日で正常化した。
(図を見た方がわかりやすい。イソジンうがい薦めない)
-The Lancet Public Health:感染率の高い地域でCOVID-19拡大をコントロールするには毎週検査と2週間の隔離が最も費用対効果の高い戦略、米国の研究が示唆
The Lancet Public Health: Weekly testing and two-week isolation most cost-effective strategy to control spread of COVID-19 in high transmission areas, US study suggests
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/tl-pss020321.php
・米国ではワクチンが入手できるまでは感染率の高い地域では毎週検査と二週間隔離が最も費用対効果が高い
・感染率が低から中程度では毎月検査と一週間隔離が最も費用対効果が高い
・現在の症状のある人とその濃厚接触者だけ検査する戦略より毎月集団検査をするのが最も費用対効果が高い
(想定している条件が、検査費用が一回5ドルでCOVID-19による生命損失が一年あたり10万ドル(1000万円超)。ヒスパニックや黒人の命にそれだけお金をかける気があるならアメリカは今の状況にはなってない。隔離は個人任せで完全に順守すると仮定。全住民検査の全体ロジ費用も考えてなさそう。1000人でできることが100万人になった時に単純に数字を掛けるだけでできるとは限らない。で、これが「学術的に最高レベルの疫学」)
-シティ、ロンドン大学の学者がCOVID-19ダークウェブ市場を追跡
City, University of London academic tracks COVID-19 dark web marketplaces
4-FEB-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/cul-cuo020421.php
シティデータサイエンティストAndrea Baronchelli博士等がダークウェブ市場のCOVID-19関連製品を探った。EPJ Data Science
2020年1月1日から2020年11月16日まで、個人保護具からヒドロキシクロロキン、医療詐欺までCOVID-19に関連した788の製品を同定した。特に多かったのがDarkBay/DBay
-Science05 Feb 2021 : 545
ヒトゲノム20年特別号
ニュースを一目で
News at a glance
Science 05 Feb 2021:Vol. 371, Issue 6529, pp. 546-547
パンデミックはエッセンシャルワーカーに打撃
カリフォルニアの死亡記録の解析によると、食品、農業、輸送、その他エッセンシャル部門の死亡率がCOVID-19パンデミックで最も大きく増加している。medRxivに1月22日に投稿されたプレプリントによると過剰死亡が多かったのは黒人、ラテン系、低い教育レベルでできるハイリスクの仕事についている人たち。
(増加率トップが調理人、次いでパッケージ、農業労働者、パン屋、建設労働者、製造業労働者、縫製、と続く。料理って必ずまめに手を洗うし火を使うので換気してると思うのだけど何故?仕事の後でまかないを一緒に食べてるとか?)
その他
-フランス、ドイツ、米国の1/4はCovidワクチンを拒否するかもしれない
A quarter of people in France, Germany and the US may refuse Covid vaccine
Jon Henley Thu 4 Feb 2021
https://www.theguardian.com/world/2021/feb/04/covid-vaccine-refuse-france-germany-us-quarter
7カ国の調査で、フランスは10人中4人近く、米国は25%、ドイツは23%がCovid-19ワクチンをきっとあるいはおそらく受けないと言う。イタリアは12%、英国14%オランダ17%で、人々のワクチンへのしたがらなさは中央政府への信頼と密接に関連する。
農-業の将来に関する二冊の本
Two Books on the Future of Farming
By Rien Fertel Jan. 29, 202
https://www.wsj.com/articles/two-books-on-the-future-of-farming-11611936602
どこへ種を撒いても栄養、環境、経済が衝突する
Wall Street Journalの書評
Mark Bittmanの“Animal, Vegetable, Junk: A History of Food, From Sustainable to Suicidal,”は科学技術の進歩が食品を殺人的なものにしたと主張
Robert Paarlbergの“Resetting the Table”はBittmanのような主張を否定
-Sense about science
Covid-19伝染
Covid-19 transmission
https://senseaboutscience.org/activities/covid-19-transmission/
コロナウイルスの伝染を予防することについて人々の間に出回っている考えが、過去6ヶ月間に蓄積してきた根拠から離れて漂流している。この問題への取り組みとして-特に換気への注意がないことに-我々はこのスナップショットを作った。
どうかあなたのネットワークで広くシェアして。
(ヘンなもの撒くのではなく空気を入れ換えて!)
-SMC UK
ポビドンヨードマウスウォッシュ、うがい、鼻スプレーとCOVID-19症状が重くない患者のウイルス負荷についての研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at povidone iodine mouthwash, gargle, and nasal spray and viral load in patients with non-severe COVID-19 symptoms
FEBRUARY 4, 2021
JAMA Otolaryngology – Head & Neck Surgeryに発表された研究がポビドンヨードの鼻咽頭への使用がCOVID-19症状が重くない患者のウイルス負荷を減らせるかどうか調べた
UCL、UCL遺伝学研究所計算機システム生物学教授Francois Balloux教授
この論文はCOVID-19のウイルス負荷と感染の理解にほとんど貢献しない。24人のサンプルサイズは極めて小さく、対照群と処置群の年齢差が大きく、図からは何の違いも見つけられない
Bristol大学歯科学名誉教授Martin Addy教授
残念ながら研究デザインに欠陥がありその結果は臨床上意味のある差が無い。処置群が平均33才で対照群が57才と年齢差が大きく、例えば水のようなプラセボ溶液を使っていない。ポビドンヨードについては膨大な研究があって口の中では唾液タンパク質で速やかに不活性化されることがわかっているので鼻でも同様だと考えられる。甲状腺機能への有害影響があることは注目される。明確なのは時間が経つと処置に関係なくウイルス量が減ることでそれは多くのウイルス感染で典型的である
-コロナウイルスパンデミックモデリングの厳しい教訓
The Hard Lessons of Modeling the Coronavirus Pandemic
Kiel Mutschelknaus
https://www.quantamagazine.org/the-hard-lessons-of-modeling-the-coronavirus-pandemic-20210128/
COVID-19との戦いの中で、疾患モデラーたちは彼らの仕事の誤解や誤用に苦闘してきた。またこのパンデミックにモデリングが如何に準備できていなかったかも認識しなければならない
研究者たちは病気をより良く理解するために疫学モデルを構築する。しかしCOVID-19については、このウイルスについて明確な見解をもつことは困難だった
イリノイ大学の物理学者Nigel Goldenfeld と Sergei Maslovは公衆衛生や疫学ではなく凝縮系物理学やウイルス進化、人口動態のモデル構築を研究してきた。しかし他の多くの科学者同様、3月からCOVID-19モデリングに参加してきた。2020年の初めの頃は彼らのCOVID-19モデルは好意的に報道されていて彼らのモデルをもとに大学キャンパスが閉鎖され再開のためのモデルも作った。イリノイ大学は彼らの計算に従って週に二回学生を検査しマスクをし通知アプリを使った。計算では十分なはずだった。しかし秋学期が始まってたった1週間の9月3日に、大学は厳しい現実に直面した。モデルの予想より多い800人近くがコロナウイルス陽性になって全学の必須でない活動を中止することになった。
何が間違っていたのだろう?Goldenfeldは「私が考慮しなかったのは決まりを守らない人がいる可能性だった」という。検査陽性でもパーティーに行く学生がいた。これは重要だった。
Goldenfeld と Maslovはすぐに傲慢さと自分たちの分野から外れたと批判された。「それは、たとえ高名な専門家が我々を援護してくれても、否定できない正論だった」。
しかしイリノイ大学が特別だったわけではない。国中の多くの大学が同様の、モデルと現実の乖離に見直しせざるを得なかった。様々な理由が後付けされた。
こうした事象は厳しい現実を強調する:疫学モデルは有用で重要だが、不完全なツールで、使ったデータや想定に大きく依存する。そしてその依存性の大きさから、意図した目的や使用方法はしばしば誤解される。
疫学モデルは将来について言うので天気予報と比べたくなるがそれは大きな間違いだ。この二つに比べられるものは全くない。科学者は-疫学だけでなく物理でも生態学でも気候や経済などのほかの分野でも-モデルを将来の預言として作ることはない
Goldenfeldは人々のモデルへの誤解を非難する。「我々のモデルは2020年11月17日の感染者は234人であると予想するのが目的ではない。特定の介入が効果があるかどうか見ることである。」しかしその違いは簡単に見失われる。特にあるモデルのアウトプットの数が一見正確であるときに。
(非常に長い充実した記事。一部のみ紹介。偉い大学教授が何人も頑張って考えて、規則を守らない人がいる可能性を考慮しないで対策を決めたということが個人的には衝撃。疫学モデルの数値を「預言」のように使う人たちは研究者内部にもいるような?)