2021-03-01

[EFSA]意見等

-イチゴのフェンメディファムの既存MRLの改訂

Modification of the existing maximum residue level for phenmedipham in strawberries

EFSA Journal 2021;19(2):6436  26 February 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6436

EC規則No 396/2005条項6に従って、申請者Landwirtschaftliches Technologiezentrum Augustenbergは、ドイツの管轄国立機関にイチゴの有効成分フェンメディファムの既存の最大残留基準(MRL)を改訂するための要請を提出した。少なくとも1つの追加試験がないことに注意して、MRL 0.7 mg/kgがイチゴのフェンメディファムの意図したEU北部での使用に導出された。妥当性が確認された定量限界(LOQ) 0.01 mg/kgでイチゴのフェンメディファムの残留物を管理する執行のための適切な分析法が得られた。現行のMRL申請は、フェンメディファムの認可更新のEUの農薬ピアレビューの最終化前に提出されたため、指令91/414/EECでの最初の認可でのフェンメディファムの毒性に関する結論により消費者暴露評価が実施された。その結果、既存のおよび意図した使用から生じるフェンメディファムの残留物の長期摂取は消費者の健康リスクになりそうもない。EFSAは、この評価は、フェンメディファムの認可更新に関連して確認されたデータのギャップを考慮していないことを注記する。

 

-鞘付き豆と鞘付きエンドウ豆のアシベンゾラル-S-メチルの既存MRLsの改訂

Modification of the existing maximum residue levels for acibenzolar‐S‐methyl in beans with pods and peas with pods

EFSA Journal 2021;19(2):6430  26 February 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6430

EC規則No 396/2005の条項6に従い、申請者Syngenta France SASは、豆(鞘付き)とエンドウ豆(鞘付き)の有効成分アシベンゾラル-S-メチルのリスク評価の残留物定義を改正し、既存の最大残留基準(MRLs)を改訂するために、フランスの管轄国立機関に要請を提出した。このMRL申請を指示する提出された毒性データは、この植物代謝物質4‐OHアシベンゾラル酸はin vitroで遺伝毒性ではないと結論するのに十分だとわかったが、一般毒性の調査がなく、4‐OHアシベンゾラル酸 (フリーおよび 共役)を葉物野菜や豆類/油糧種子のグループに属するすべての作物のリスク評価の残留物定義に含むべきか除外すべきか決定的な結論を出せない。この要請を支持する提出されたデータは、現在の残留物定義(アシベンゾラル-S-メチルと表される、アシベンゾラル-S-メチルとアシベンゾラル酸 (フリーと共役) の合計)を基にしたMRL提案を導出するのに十分だとわかった。入手可能な残留物試験は鞘付き豆と鞘付きエンドウ豆に1 mg/kgのMRL提案を導出するのに十分である。提出された情報から、既存のMRLをレタスや他のサラダ植物に意図した使用に変更する必要があるという根拠は出されなかった。ハーブやエディブルフラワーには、MRL提案を導出できないデータのギャップが確認された。現行の残留物定義の消費者リスク評価は、消費者への許容できないリスクを特定しなかった。代謝物質4‐OHアシベンゾラルに行われた指標となる暴露計算により、この代謝物質への暴露はアシベンゾラル-S-メチルやアシベンゾラル酸(フリーおよび共役)への暴露より低いことが示された。だが、確認されたデータのギャップを考慮しても、4‐OH アシベンゾラル酸の残留物の摂取に関する消費者のリスクについて、EFSAは決定的な結論を導出できない。規制リスク評価で使用に適した信頼できるエンドポイントが提示された。

 

[EFSA]EFSA NEWS

EFSAは燻製香料申請について更新された科学的ガイダンスを発表

EFSA has published updated scientific guidance on smoke flavourings applications

26 February 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/news/efsa-has-published-updated-scientific-guidance-smoke-flavourings-applications

EFSAは、新しい燻製フレーバーの認可や、既存の認可の更新または改訂のために、申請者が書類に含む必要のある科学的データについての更新されたガイダンスを発表した。

燻製香料は10年間認可される。この期間の後、申請者は現在の認可が終了する少なくとも18ヶ月前に新しい要請を提出しなければならない。

提出されたデータに基づき、EFSAはこの製品の安全性を評価し、提案された使用条件でヒトの健康や環境にリスクがあるかどうか結論する。

このガイダンスは、2020年10月~11月に開催されたパブリックコメント募集結果の概要を示す報告書とともに発表される。

 

・燻製香料一次製品の申請書作成のための科学的ガイダンス

Scientific Guidance for the preparation of applications on smoke flavouring primary products

EFSA Journal 2021;19(3):6435  26 February 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6435

欧州委員会の要請を受けて、EFSAは燻製香料一次製品に関する申請書の作成で申請者を支援するための更新された科学的ガイダンスを展開した。このガイダンスはEC規則No 2065/2003の条項7、12、 11でそれぞれ提出された、新しい燻製香料一次製品の認可や、既存の認可の更新または改訂の申請に含まれるべき科学的データを説明している。すべての申請で提出される必要のある情報は、資料、製造工程、化学物質の組成、規格、安定性の説明など、この一次製品の特徴の記述;用途と使用量、食事暴露評価;この一次製品の確認された成分や未確認部分の遺伝毒性の可能性に関する情報を含む安全性データ、遺伝毒性以外の毒性学的データ、環境の安全性に関する情報に関連する。毒性学的研究には段階的アプローチが適用され、重要な問題や誘因が説明される。一次製品の評価に関する標準的な不確実性の説明や、標準化されたリスク評価手順での考慮の仕方も含まれている。申請者は燻製香料一次製品の安全性評価を支援するために各部門で要求されるデータを生成する必要がある。提出されたデータに基づき、EFSAは一次製品の安全性を評価し、提案された使用条件でヒトの健康や環境へのリスクがあるかどうか結論する予定である。

 

・燻製香料一次製品の申請書作成のための科学的ガイダンス案に関するパブリックコメント募集結果

Outcome of the public consultation on the draft scientific guidance for the preparation of applications on smoke flavouring primary products

EFSA Journal 2021;19(3):6435  26 February 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6435

 

[EU]RASFF Week 08-2021

警報通知(Alert Notifications)

トルコ産グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス-メチル(0.039 mg/kg)、スペイン産冷凍アオザメ切り身の水銀(1.76 mg/kg)、インド産粉末ウコンの未承認物質エチレンオキシド(2 mg/kg)、

注意喚起情報(information for attention)

パキスタン産バスマティ米の未承認物質カルベンダジム(0.040 mg/kg)およびトリシクラゾール(0.012 mg/kg)、スペイン産チルド調理済バナメイエビの亜硫酸塩高含有(261 mg/kg)、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン(B1 = 5.4; Tot. = 6.2 / B1 = 21; Tot. = 24 µg/kg)、中国産オランダ経由ザボンのプロクロラズ(0.11 mg/kg)および未承認物質クロルピリホス(0.029 mg/kg)、中国産英国経由竹製マグからのメラミンの溶出(4.44 mg/kg)、カンボジア産チリのブプロフェジン(0.57 mg/kg)・未承認物質カルボフラン(0.12 mg/kg)・クロルピリホス(0.025 mg/kg)・プロフェノホス(3 mg/kg)・カルベンダジム(2.4 mg/kg)・エチオン(0.97 mg/kg)・アミトラズ(1.1 mg/kg)およびトリアゾホス(0.55 mg/kg)、

フォローアップ用情報(information for follow-up)

デンマーク産タバコを含まないニコチン小袋の未承認新規食品成分ニコチン(3.95 mg/item)、トルコ産リトアニア経由グレープフルーツの未承認物質クロルピリホス(0.096 mg/kg)、中国産シリコーン製焼き型の揮発性有機化合物高含有(1.22 %)、ウクライナ産キャンディーのトランス脂肪酸高含有(8,57 g/100g)、フランス・オーストリアおよびポーランド産ネコ用飼料のマリーゴールド抽出物未承認、

通関拒否通知(Border Rejections)

グアテマラ産未承認新規食品ロロコ(Fernaldia pandurata)、英国産トーストパンの未承認成分(残留物管理計画のない国々由来ハチミツ)、トルコ産ピスタチオのアフラトキシン(B1 = 11.42; Tot. = 15.70 µg/kg)、パキスタン産レッドチリソースのアフラトキシン(Tot. = 16.1 µg/kg)および非表示の亜硫酸塩(56 mg/kg)、食品接触物質としての使用に適さない中国産シリコーン製お弁当箱(籾殻の使用は未承認)、トルコ産生鮮ペッパーのアセタミプリド(0.714 mg/kg)、トルコ産ペッパーのフロニカミド(0.721 mg/kg)、中国産子供用台所用品セットの竹の未承認使用、中国産竹繊維・メラミンおよびトウモロコシ粉の混合物から作られた食器の不正輸入の試み、米国産食品サプリメントのビタミンB12高含有(500 µg/日)、ジョージア産ヘーゼルナッツのアフラトキシン(B1 = 48; Tot. = 53 / B1 = 489.2; Tot. = 562 µg/kg)、ベトナム産冷凍レッドチリのプロピコナゾール(0.06 mg/kg)、トルコ産生鮮ペッパーのホスチアゼート(0.111 mg/kg)、

 

ゴマ製品のエチレンオキシドの検出:警報通知 8件、注意喚起情報 3件、フォローアップ用情報 1件

 

[FSAI] 未認可の施設で製造されたBally Bia Restaurantの調理済みの食事とデザート製品の回収措置

Recall of Bally Bia Restaurant Ready Meals and Desserts Made in an Unapproved Establishment

Friday, 26 February 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Bally_Bia.html

Bally Bia Restaurantは、未認可の施設で製造されたため、調理済みの食事とデザート製品をすべて回収措置。製品写真有り。

 

[FDA]コロナウイルス(COVID-19)更新

Coronavirus (COVID-19) Update: February 26, 2021

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-february-26-2021

(一部)

・食品や飲料に見える包装容器のアルコールベースの手指用消毒液製品に注意するよう、消費者に引き続き警告する。

・FDAは食品と農業部門の職員にCOVID-19ワクチンについて情報提供する新たなウェブページを発表した。

 

[FDA]公示:Vy & Teaは表示されない医薬品成分を含む

Public Notification: Vy & Tea contains hidden drug ingredient

2-26-2021

https://www.fda.gov/drugs/medication-health-fraud/public-notification-vy-tea-contains-hidden-drug-ingredient

FDAは減量製品として販売されているVy & Teaはシブトラミンを含むため製品を購入、使用しないよう消費者に助言している。製品写真あり。

 

[PHE]SACN年次報告書2020

SACN annual report 2020

26 February 2021

https://www.gov.uk/government/publications/sacn-annual-report-2020

栄養に関する科学助言委員会(SACN)年次報告

・COVID-19に関してはビタミンDについての迅速報告書を2つ発表している。

・3月に2型糖尿病成人のための低炭水化物食についての報告書案を発表し、パブリックコメントを26件受け取った。それを受けた最終報告書は2021年公表予定。

・服務規程と根拠の評価枠組みについて刷新

・軍人の食事参照値の補遺を発表(潜水艦乗組員や軍事スペシャリストの新しい根拠)

・高齢者の栄養についての作業は2021年に声明を発表予定

 

[DHSC]家の外で提供される食品や飲料のカロリー表示

Calorie labelling for food and drink served outside of the home

Last updated 26 February 2021

https://www.gov.uk/government/consultations/calorie-labelling-for-food-and-drink-served-outside-of-the-home

意見募集の結果

結果を受けて大規模事業者(従業員250人以上)にはカロリー表示を義務化する意向

 

[WHO]職人的および小規模金鉱でのヒトバイオモニタリング:倫理および科学的基本原則

Human biomonitoring in artisanal and small-scale gold mining: ethical and scientific principles

26 February 2021

https://www.who.int/publications/i/item/9789240020702

ガイドライン

 

[ProMED]鉛中毒-北米:米国、カナダ、ハゲワシ

Lead poisoning - North America: USA, Canada, bald eagle

2021-02-28

https://promedmail.org/promed-post/?id=8216716

[1] 米国(モンタナ州) Date: Thu 25 Feb 2021 Source: NBC Montana [edited]

モンタナ猛禽保護センターが鉛中毒のハゲワシ一羽を救助したと報告。これまで2021年に11羽目

[2] 米国(アイオワ州)Date: Tue 23 Feb 2021 13:18 EST Source: KCRG.com [edited]

猛禽資源プロジェクトが死亡した子ワシを発見。剖検で胃から鉛のペレットが発見された

[3] 米国(メイン州)Date: Wed 27 Jan 2021 Source: Bangor Daily News [edited]

先週だけで4羽のハゲワシの鉛中毒を発見、3羽は死亡

[4] カナダ(サスカチュワン州)Date: Fri 26 Feb 2021 Source: Global News, Canada [edited]

Regina野生生物リハビリセンターがハゲワシ二羽が鉛中毒で死亡して警告

 

[FSSAI]メディアコーナー

FSSAIの輸入食用作物のGMO閾値は「許容できないほど高い」と保健大臣への文書が言う

FSSAI's GMO threshold for imported food crops ‘unacceptably high’, says letter to health minister

Thursday 25 February 2021

https://www.fssai.gov.in/upload/media/FSSAI_NEws_GMP_DownToEarth_26_02_2021.pdf

FSSAIは2月8日に輸入作物に許容できるGMO許容値を1%に設定すると命令した。

これに対してGMOフリーインド同盟が政府に許容できないと文書を送った

0.01%を要求

 

[NASEM]COVID-19パンデミック中の緊急避難とシェルタリング戦略

Strategies for Emergency Evacuation and Sheltering during the COVID-19 Pandemic

https://www.nap.edu/resource/26084/interactive/

(新しい迅速専門家相談はCOVID-19で複雑化する災害対応、避難、避難所の舵取り戦略を提供する

https://uneyama.hatenablog.com/entry/2021/02/24/181603

のインタラクティブ概要)

 

論文

-娯楽用大麻合法化と母親の妊娠前、出産前、出産後の大麻使用との関連

Association of Recreational Cannabis Legalization With Maternal Cannabis Use in the Preconception, Prenatal, and Postpartum Periods

Kara R. Skelton et al.,

JAMA Netw Open. 2021;4(2):e210138.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2776901

米国横断研究。合法化した州では妊娠前と出産後の大麻使用が有意に増加

 

-ガイドライン変更後、乳児のピーナッツアレルギー減少

Decrease in peanut allergy among infants after guideline changes

25-FEB-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/mcri-dip022521.php

American Academy of Allergy, Asthma & Immunologyバーチャル年次会合で発表

オーストラリア。

1990年代はアレルギーの原因となる食品を1-3才まで避けることを勧めていたが2008年以降徐々にそれがアレルギーリスク増加に関連することがわかって2016年には12ヶ月より前に導入するよう助言するようになった。

 

-発表された:環境中PFAS研究編集

Just published: Compilation of research on PFAS in the environment

25-FEB-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/soet-jpc022521.php

Environmental Toxicology and Chemistry (ET&C)がPFAS特集号を発表。32論文

 

-レトロウイルスがコアラのゲノムを書き換えてがんをおこしている

Retroviruses are re-writing the koala genome and causing cancer

26-FEB-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/lifz-rar022421.php

コアラレトロウイルス(KoRV)が過去5万年のどこかで生殖細胞に感染し、その子孫は全身の細胞にレトロウイルスをもつようになった。クイーンズランドとニューサウスウェールズの全コアラがゲノムにKoRVをもつ。各コアラはゲノム中に80-100の遺伝によるKoRVをもつがこれらががん関連遺伝子近傍に挿入されることがコアラのがんの多さを説明する可能性がある。Nature Communications

 

-医薬品前駆体合成に、セリウムが銀を外す

Cerium sidelines silver to make drug precursor

26-FEB-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-02/ru-css022621.php

ChemCommに発表されたフルオロケトン合成法

(イラストがRenee Man/@chemkittyという日本にいる?方の猫の絵)

 

-米国におけるワクチンの拒否、受容および需要に関するLancet委員会発表

Announcing the Lancet Commission on Vaccine Refusal, Acceptance, and Demand in the USA

THE LANCET: February 24, 2021

ワクチンは感染症予防に最も効果的なツールの一つであるが、その成功は広範な受容と高いカバー率に依存する。米国では過去十年間にワクチン拒否が加速しワクチンで予防できる病気のアウトブレイクがおこってきた。ワクチン拒否の分布は一様では無く全国的には子どもの予防接種率は高いままだが、接種率が低下している多くの地域や学校区がある。反ワクチン運動は目立つが、それはワクチン拒否問題の一部でしかない。

アメリカはCOVID-19の患者、入院、死亡者の多さにも関わらず、予防接種を受けないと言う人が多い。Lancetは米国におけるワクチンの拒否、受容および需要に関する委員会を設け安全で有効なワクチンの高い受容を支援する公衆衛生政策をデザインする。

 

-ペルーのCOVID-19ワクチンスキャンダル拡大

Peruvian COVID-19 vaccine scandal spreads

Lucien Chauvin

THE LANCET WORLD REPORT| VOLUME 397, ISSUE 10276, P783, FEBRUARY 27, 2021

政治家が複数辞任し大学は臨床試験を一時停止

COVID-19ワクチンの誤用を巡るスキャンダルがエスカレート、ペルーのFrancisco Sagasti大統領はこっそり予防接種した内閣の大臣の裏切りを公式に表明

(中国のSinopharmのBBIBP-CorVワクチンのペルーでの臨床試験に関連して政治家とその親族が自分たちだけ先にこっそり予防接種を受けていた、というスキャンダルらしい。他臨床試験のプロトコールの問題等)

 

その他

-バター皿の中の嵐

A Tempest in the Butterdish

Joe Schwarcz PhD | 26 Feb 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-nutrition/tempest-butterdish

一部の消費者がバターが昔のように柔らかくならないことに懸念を表明している。我々はこの「バターゲート」について堅い(厳然たる)事実を探った

多くのメディアがバターの溶け方が変わったのは乳牛の餌にパームオイルを加えたからではないかと提案した。パームオイルは飽和脂肪が多いことでしばしば悪者扱いされてきていて、この「不自然な」バターが健康に悪いのではないかという疑問が生じた。背徳的企業が人々の健康に悪い製品を売るもうひとつの例か?

しかしバターの堅さの変化で健康が影響されるのではないかと考えた人はいくつかの確実な事実を認識する必要がある。バターは元々「健康的食品」ではない。餌にパームオイルを1-2%加えるのは全くの合法である。それはミルクの脂肪含量を増やすが、バターの栄養への影響はほとんど無い。

パーム油の脂肪は牛の胃で消化されないので「バイパス脂肪」とよばれる。それは吸収されて血流に入りミルクにも入る。パーム油の脂肪の主成分はパルミチン酸で、それはバターの飽和脂肪の主成分でもある。バターのパルミチン酸含量の僅かな変化は健康には影響ないがバターのレオロジーには影響してパンに広げにくくなる。もしあなたがそういう経験をしたことがあるなら、多分あなたが食べているのは柔らかい白パンで、それが間違いだ。質の高いサワードウで作ったパンのスライスに堅いバターを塗れば壊滅的にはならない。

バターの脂肪組成は牛の系統や年齢、季節、餌の種類、腸内細菌などにより多様であることが知られている。こうした要因は脂肪酸の構成比に影響するが、全体的な食生活の視点からはあまり意味が無い。また乳牛の餌にパーム油を加えたことでバターのパルミチン酸が実際に変わったという根拠は見つけられなかった。いずれにせよ問題なのは食事中のバターの総量である。

しかし少量のパーム油の添加でバターのテクスチャーが変わるのかどうかについて私は確信が持てない。これについては研究が必要であろう。逸話は科学ではない。

バターが堅くて困っているのなら、簡単な解決法がある。少し温めれば良い。ただしバターを直接電子レンジにかけないこと。

バターについては脂肪酸の組成よりもっともな懸念がある。COVIDで家庭でお菓子を焼くことが増えてバターの消費量が12%増加した。そのことは健康に影響するだろう

 

-ビタミンD COVID-19試験は全くの混乱

Vitamin D COVID-19 Trial Is A Real Mess

By Angela Dowden — February 26, 2021

https://www.acsh.org/news/2021/02/26/vitamin-d-covid-19-trial-real-mess-15369

バルセロナ発の新しい試験―ピアレビューされていないもの―がビタミンDでCOVID-19の死亡が60%、ICU入院が80%減るという。しかしこの結果は欠陥だらけだ。

ビタミンDへの見解は政治同様極端に分かれている;実際のところCOVID-19とビタミンDを巡る議論は一部の科学者が世界の政府にビタミンDの摂取推奨量を現在の5-10倍に増やすよう呼びかけたため政治問題になっている。

LancetのプレプリントでカルシフェロールがスペインのCOVID-19入院患者にほとんど魔法のような効果を示した。それでビタミンDの熱心な推進者である英国の議員David Davisが高用量ビタミンDを全ての脆弱集団に与えるべきとTwitterに書いた

(スクリーンショット)

でもその研究はスイスチーズより穴が多い。

まずこの試験は無作為化されていない。一見RCTのように見えるが無作為割り付けしたのは病院の病棟であって患者ではない。クラスター無作為化には別の統計が必要である。そして8病棟では意味のある結果は期待できない。患者には先に選択肢を提示していて病棟を選ぶことができる。そして群間のベースラインが異なる。理由はわからないがビタミンD投与群には女性と、もともとビタミンD濃度の高い人が多い。さらに対照群のはずだった50人に、医師の裁量で当所計画とは異なるビタミンD投与を行っている。こうしたプロトコール違反は結果の妥当性に疑問を提示する

(ビタミンDのような安価な薬の効果が巨大製薬企業の陰謀で隠されているといったコメントが投稿されている)

 

-Natureニュース

COVIDは冷凍野生生物から拡がることがあるか?科学者はパンデミックの起源を探る

Can COVID spread from frozen wildlife? Scientists probe pandemic origins

26 FEBRUARY 2021  Dyani Lewis

https://www.nature.com/articles/d41586-021-00495-0

中国の研究はコロナウイルスが冷凍表面から感染可能であることを示唆するが科学者はそれがパンデミックの始まりだとは考えられそうにないという

Natureニュース解説

COVIDはどこから来た?残る5つの謎

Where did COVID come from? Five mysteries that remain

NEWS EXPLAINER  26 FEBRUARY 2021  Smriti Mallapaty

https://www.nature.com/articles/d41586-021-00502-4

WHOの中国ミッション報告の前に、Natureは4人の調査官にまだ何を知りたいか尋ねた

・ウイルスは武漢で最初の患者が発見される前に出回っていたのか?

・2019年12月以前に中国以外でウイルスがヒトでひろがっていたのか

・武漢市場の役割は?

・冷凍野生動物肉は初期のウイルス拡散に役割を果たしたか?

・パンデミック以前に中国の動物でウイルスは出回っていたのか?

 

-英国の全Covid死亡の1/4は認知症:高齢者の膨大な死亡数が明らかに

A QUARTER of all UK Covid fatalities had dementia: Huge death toll among elderly is revealed

1 March 2021

https://www.dailymail.co.uk/news/article-9310269/Quarter-UK-Covid-fatalities-dementia-Charities-highlight-cost-care-home-visits-ban.html

・10家族中9家族はパンデミックで症状が悪化したという

・慈善団体は認知症の人たちの世話がCovid-19の重要な遺産になるという

本日発表された研究によると認知症患者34000人以上がCovid-19で死亡した。全てのウイルス死者の4人に1人である。しかし介護施設は訪問禁止だったので家族はさよならを言う機会が無かった。この研究はこの国の85万人の認知症介護施設住人に与えたロックダウンの壊滅的負担を明らかにする

Alzheimer学会によると10家族中9家族はパンデミックで症状が悪化したという。介護施設住人10人中7人は認知症があるがそのほとんどがまる1年誰とも会えなかった。その孤立と孤独で一部の人は飲食や話す能力を失った。認知症の家族がいる人の1/4以上は彼らの親族の健康の低下に手が着けられなかった

Alzheimer学会のKate Lee会長は「コロナウイルスはたくさんの認知症の人々の人生を打ちのめした。ケアしている家族も同様である。我々は政府に、人生が一変した認知症患者への支援を求める」という。認知症患者が愛する人の訪問を受ける権利を主張しているNicci Gerrardは「この恐るべき1年で、認知症の人は癒えることのないダメージ、孤独、苦しみに耐えた。人々は悲しみの中で死亡し、その家族は罪悪感と悲しみを抱えて生きることになる。それは我々が望んだ社会ではない」

 

-何故日本はオリンピックが近いのにCovid-19予防接種を始めるのにそんなに時間がかかるのか

Why Japan took so long to start Covid-19 vaccinations, even with the Olympics looming

By CNN Newsource Published February 27, 2021

https://abc17news.com/news/national-world/2021/02/27/why-japan-took-so-long-to-start-covid-19-vaccinations-even-with-the-olympics-looming/

認可プロセスが慎重、過去(1970年代~)のワクチンスキャンダルと懐疑、最近のHPVワクチンを巡る状況、人々の疑いを宥める努力(コロワくんの紹介)、等

 

-SMC NZ

NZのCOVID-19一年-専門家の反応

A year of COVID-19 in NZ – Expert Reaction

Published: 25 February 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/02/25/a-year-of-covid-19-in-nz-expert-reaction/

この日曜日はNZで初めてのCOVID-19感染が確認されて1年になる。SMCはこれを記念して専門家に振り返りを聞いた

(11人。外国に比べてNZはうまくやったと言う人が多い。心理学者がメンタルヘルスを心配している。その数日後↓)

 

オークランドまたロックダウン-専門家の反応

Auckland enters another lockdown – Expert Reaction

Published: 28 February 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/02/28/auckland-enters-another-lockdown-expert-reaction/

普通でない症状の新たなCovid地域患者一人のためオークランドは7日間ロックダウン

オークランドは午前6:00からアラートレベル3で残りはレベル2に移行。Jacinda Ardern首相は隔離すべき人が隔離していなかったことがこの決定に寄与したという

Jacinda Ardern首相はレベル3の自主隔離要件に違反した人は"全国民からの審判に直面するだろうfacing the judgement of the entire nation"という

(感染確認された人(Case Mと記述しているが子どもの高校名が発表されているのでおそらく誰かは同定されている)の規則違反(友人と散歩)とそのことを開示しなかったことへの非難とそれに対する懲罰のような規制、そしてそれを支持する公衆衛生の専門家集団。心理学者が必死に慈悲を訴える)