2021-04-06

[ANSES]世界中の植物保護製品耐性を監視する

Monitoring resistance to plant protection products around the world

26/03/2021

https://www.anses.fr/en/content/monitoring-resistance-plant-protection-products-around-world

ANSESとINRAEの科学者たちは世界中の植物保護製品の耐性を監視するために設置されているシステムを分析した。その知見から、この主題の研究は多くの場合、同時に同じ国で、公私両方の参加者が関与していることが示された。これらのアプローチの補完的な性質を考えると、より大きな協力が監視システムの効率を高めることになる。

作物の病気や害虫を防除するために、植物保護製品を含む様々な手段が用いられている。だが、望ましくない昆虫、菌類、植物は、特定の使用条件でこれらの製品に耐性ができる可能性がある。耐性のあるものが選択されることにより、植物保護製品の効果が低下し、完全に役に立たなくなる前に量を増やして使用することになる。これは合成活性物質と微生物を使用する天然に存在する物質両方に関係する。このため、効果がなくなった場合に使用を止めて植物保護製品の使用を最小化するために、耐性の発現を監視することが不可欠である。この監視は、持続可能な開発と両立するレベルで植物保護製品の使用を継続しながら植物の病気を管理する戦略の一環である。この監視はすべての国で同じ形式をとっているわけではない。R4P ネットワーク(農薬耐性に関する研究と考察の輪)の一環として協力するINRAEとANSESの科学者たちは、世界中の耐性監視システムを比較するための広範な調査を実施した。彼らは最近「Pest Management Science」でその結果を発表した。

 

国家間の格差

全部で48カ国の162人の専門家がこの研究に参加した。貢献者の多くは欧州と北米からだが、南米、アジア、オセアニア、アフリカの専門家も参加した。この研究で、植物保護製品の耐性の作業を行う三種類のプレイヤーが確認された。1番目の区分は植物保護製品の製造業者や農業コンサルタントなど民間組織で構成されている。2番目の区分は学究的参加者、すなわち大学や研究機関に関連している。3番目の区分は政府機関で構成されている。最初の発見は、多くの参加者が人間開発指数(HDI)の高い国々の耐性監視に関与していることだった。これを反映して、3つの区分すべてのプレイヤーの83%が開発係数の高い(0.9以上)国で、係数の低い(0.8未満)国はたったの17%である。政府機関はHDIの高い国の植物保護製品の耐性監視に、より頻繁に関与している。

 

異なるが補完的な目的

収集したデータの種類同様、耐性監視の目的は様々で、プレイヤーによる。

・民間企業では、その目的は製品の有効性を検証することである。場合によっては、耐性が発現するリスクのある製品については、販売承認に監視要求や監視結果の変更を当局に宣言する要件を伴う場合があるフランスのように、規制上の義務もある。そのため民間のプレイヤーが実施した作業は広範囲の製品、作物、病気を含んでいるが、すべてのデータが公開されているわけではない。

・研究機関のプレイヤーが実施した研究は研究プロジェクトの一環である。彼らはたいてい特定の問題に焦点を当て、数年間以上研究する。研究の分野は限られているが、詳細の水準は相当である可能性がある。

・最後に、政府機関のプレイヤーが実施する監視は、通常毎年実施され、その結果は体系的に公開される。そのためこのアプローチは、主に耐性が出現または発達する可能性が最も高い状況に焦点を当てているが、長期的な監視を可能にする。

従って、同じ国でこれらの監視システムが共存すると、状況のより詳細な概要を提供できる。この研究の著者は、データを収集、分析し、広める能力を組み合わせて、プレイヤーが大いに協力をするならば、植物保護製品の耐性を監視する取り組みはさらに効果的になるだろうと指摘する。

 

特別なケース、フランスの監視システム

フランスでは、プレイヤーの3つのタイプすべて―民間、学究的機関、政府機関―が植物保護製品の耐性監視に関与している。国際的な研究は、国の年次モニタリング計画に基づき、Ecophyto 計画の一環で資金提供を受け、ANSESとINRAE両方が関与し、農業省が管理する、フランスのシステムの独自の性質を強調した。毎年、この監視計画はおよそ40のトピック (作物/植物害虫/有効成分の3つのテーマに対応)を取り上げている。この分析の対象となる他の国には、同等のシステムは存在しない。フランスの監視計画は、フィトファーマコビジランス計画への入力を提供し、耐性の出現など植物保護製品の有害影響を監視するために設定している。この計画は既存の監視機関や、専門家、特に植物保護製品の製造業者や使用者による報告事例からデータを収集している。最後に、これらの有害影響のより明確な理解を得ることや、それらの検出の改善を目的として研究に資金提供している。

 

追加情報

・R4Pネットワークの出版物「世界中の植物保護製品への耐性監視システム:冗長性と相補性の間、害虫管理科学(2021) doi: 10.1002/ps.6275」を読む

Read the publication R4P network, Monitoring systems for resistance to plant protection products across the world: Between redundancy and complementarity, Pest management science, (2021) doi: 10.1002/ps.6275

12 January 2021

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1002/ps.6275

 

[NASEM]イベント

-有人宇宙飛行時の放射線暴露に関連するがんリスク管理のための戦略評価

Assessment of Strategies for Managing Cancer Risks Associated with Radiation Exposure During Crewed Space Missions

https://www.nationalacademies.org/our-work/assessment-of-strategies-for-managing-cancer-risks-associated-with-radiation-exposure-during-crewed-space-missions?mc_cid=4862801a9d&mc_eid=7331362e8f

NASAの放射線リスク管理プロセスを評価する活動

ウェビナー開催&パブリックコメント受付予定(4月18日以降)

 

-第4回Gilbert W. Beebeウェビナー:チェルノブイリと福島の健康影響

The Fourth Gilbert W. Beebe Webinar: Health Effects from Chernobyl and Fukushima

https://www.nationalacademies.org/event/04-07-2021/the-fourth-gilbert-w-beebe-webinar-health-effects-from-chernobyl-and-fukushima

Apr 7, 2021

 

-肥満を減らすための持続可能なシステム全体の変化のための戦略を探る:ワークショップシリーズ-4月のワークショップ

Exploring Strategies for Sustainable Systems-Wide Changes to Reduce the Prevalence of Obesity: A Workshop Series - April Workshop

https://www.nationalacademies.org/event/04-08-2021/exploring-strategies-for-sustainable-systems-wide-changes-to-reduce-the-prevalence-of-obesity-a-workshop-series--april-workshop

Apr 8, 2021

 

[ProMED]汚染飼料作物、真菌-インド:家畜、致死、情報求む

Contaminated feed crops, fungus - India: livestock, fatal, RFI

2021-04-05

https://promedmail.org/promed-post/?id=8288426

Date: 30 Mar 2021 Source: Tribune India [edited]

季節の青刈飼料barseem(一年生クローバー)の真菌病が、この地方の牛に病気を引き起こしている。昨年も同じ病気があった。牛は食べなくなり乳量が急減し死亡した

(編集注として、クローバーのカビの作る毒素スラフラミンの紹介)

 

[NYC]COVID-19

COVID-19: Prevention and Groups at Higher Risk

https://www1.nyc.gov/site/doh/covid/covid-19-prevention-and-care.page#face

2021年2月から二重マスク(ディスポーザブルの不織布マスクの上から布マスク)を推奨している

(マスクになじみがない国ほど細かい要求をするような気がする)

 

その他

-コロナウイルスパンデミック中にCDCへの人々の信頼は低下した

Public trust in the CDC falls during coronavirus pandemic

5-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/rc-pti040521.php

RANDの新しい研究によるとCDCへの全集団の信頼は長い間黒人アメリカ人が抱いていたレベルに低下した。2020年5月と10月の調査でCDCは10%低下、一方郵政公社とFEMA(連邦緊急事態管理局)への信頼は向上した。

CDCへの信頼低下はワクチン接種に影響する可能性がある

 

-政府は蜂蜜が拒否された後グリホサートの使用についての立場の再考を求められる

Govt requested to rethink position on Glyphosate use after honey rejection

Maja Burry,

https://www.rnz.co.nz/news/country/439908/govt-requested-to-rethink-position-on-glyphosate-use-after-honey-rejection

ニュージーランド養蜂業協会は農業大臣にグリホサートの使用について国民的議論を支援するよう求めた。国際消費者が食品中の残留についてますます懸念するようになってきたという。今年日本の厚生労働省が過去5年のニュージーランド産蜂蜜で微量のグリホサートが基準を超過したため拒否されたものを示した。一次産業省は痕跡程度のグリホサートは食品安全上の問題では無く、日本の基準を満たすために検査義務を導入した、という。問題の製品は検査計画が導入される前のものである可能性が高い。MPIの市場アクセス部長Steve Ainsworthは、日本当局とは建設的な話し合いを続けているという。「彼らはニュージーランド産はちみつが要求を満たし続けるためにとっている対応を理解している」

昨年の日本での蜂蜜販売は約6700万ドルだった。ニュージーランド養蜂業協会長Karin Kosは最近の状況で輸出が影響されるかどうかはまだわからない、という。日本への販売が続くことを確信している、という。

Kosはより大きな問題はニュージーランドでのグリホサートの使用状況が明確でないことであるという

 

-食の神話が溢れている…完全菜食主義から砂糖の真実まで:あなたは何が悪いのかについて混乱している?新しい本で、医師から栄養士になった専門家がいくつかの励みになる耳に痛い事実を提供する

Food myths exploded... from vegan diets to the truth about sugar: Are you confused about what's bad for you? In a new book, doctor-turned-nutrition expert serves up some comforting home truths

5 April 2021  By DR JOSHUA WOLRICH FOR THE DAILY MAIL

https://www.dailymail.co.uk/health/article-9437931/Food-myths-exploded-NHS-doctor-turned-nutrition-expert-serves-comforting-home-truths.html

Joshua WolrichはNHSの新人医師になったとき108kgだったが良い医師は過体重ではあってはならないと考えて18ヶ月かけて25kgほど落とした。その変身の様子をソーシャルメディアで記述した。しかし2019年に熱狂的ダイエット法や矛盾する情報がソーシャルメディアに溢れていることに幻滅して栄養学修士を学ぶことにした。インスタグラムのフォローワーは40万人になる彼は、食に関する神話を打ち砕く本「食品は薬ではないFood Isn’t Medicine」を書いた。食品は健康にとって重要で医薬品とともに使えるが、薬ではない。一部の医師が食の重要性をますます強調するが、それが時に矛盾するメッセージとなる。Wolrich博士が心配しているのはある種の食事法が代替医療のように宣伝されていることである、特にがん患者に対して。

ここに彼の本からいくつか紹介する

神話:アルカリ食でがんがなおる

神話:砂糖ががんの原因

神話:ミルクが心疾患の原因

神話:砂糖は薬物のように依存性がある

神話:ビーガン食は健康的

神話:卵はあなたの血管を詰まらせる

 

Food Isn’t Medicine

Joshua Wolrich

15/04/2021

https://www.penguin.co.uk/books/112/1120378/food-isn_t-medicine/9781785043451.html

減量があなたの人生の目的ではない

(著者は金髪ロングヘアマッチョ(?)まだ発売されていない)

 

-がんを避けるために83000ドル(900万円強)のオーガニック食品を買え?僅かな懐疑主義が大金を節約できる

Buy $83,000 Worth Of Organic Food To Avoid Cancer? A Little Skepticism Could Save You A Bundle

By Cameron English — April 5, 2021

https://www.acsh.org/news/2021/04/05/buy-83000-worth-organic-food-avoid-cancer-little-skepticism-could-save-you-bundle-15452

Natural News(注:信用できないことで悪名高い「健康ニュース」サイト、その創設者はフォローワーに科学者を殺せと唆したことがある)の代替健康提唱者が、あなたにがんと高価な治療費を避けるために追加で83000ドルをオーガニック食品に費やせと薦める。あなたは普通の食品を食べることでお金を節約すべきだ、例えGMであろうとそれでがんリスクが上がることはない。

(83000ドルというのはオーガニック20年分の値段の差らしい。)

 

-失われた年?GMOにとってはそうではない

Lost year? Not for GMOs!

BY JUSTIN CREMER MARCH 31, 2021

https://allianceforscience.cornell.edu/blog/2021/03/lost-year-not-for-gmos/

COVID-19パンデミックが世界中の生活を変えて1年、失われた年についての多数の論考が出ている。しかしそれでも地球は回り続けて進歩している。農業バイオテクノロジーの分野ではパンデミック中に以下のようなことがあった

1.アルゼンチンがGM小麦を認可した

Bioceres SAが開発したHB4干ばつ耐性小麦

2.Oxitecが米国でGM蚊の放出を認められる

Florida Keysでの予備試験として殺虫剤代用目的で

3.ケニアがGM作物に青信号

Bt綿の性能を認めざるを得なくなった

4.中国が食料安全保障のためにバイテク活用

5.EUが反GMスタンスを軟化(かも)

6.遺伝子組換え技術を使ったCOVIDワクチン

7.Scientific AmericanがGMO議論を終わらせることを強く求める

 

-コロナウイルス変異株は我々が予防接種に頼れないことを意味する。我々に必要なのは世界的抑制

Coronavirus variants mean we can't rely on vaccination. We need global suppression

The Conversation / By Susan Michie, et al.,

https://www.abc.net.au/news/2021-04-06/coronavirus-variants-mean-vaccination-cant-control-pandemic/100049682

(オーストラリアはほぼゼロトレランスなので世界にもそれを要求している。)

 

-ホテル隔離に警察を使うことを却下したビクトリア政府は「信用できない」

‘No confidence’ in Victorian government after it ‘rejects’ police for hotel quarantine

05/04/2021

https://www.skynews.com.au/details/_6246660435001

Sky NewsのホストPeta Credlinが言う。ビクトリアは外国からの旅行者をホテルに隔離しようとしていつももれがあってアウトブレイクになってロックダウンにつながった。だから隔離施設の監視には警察を使うべきだと主張しているのに政府は拒否した。

(クラスター一つでロックダウンしているから)