2021-04-14

[EFSA]意見等

-景観レベルで非標的鱗翅目へのBt‐トウモロコシ花粉の潜在的な悪影響を評価する空間的および時間的に明確な“briskaR‐NTL”モデルの拡張

Extension of the spatially‐ and temporally‐explicit “briskaR‐NTL” model to assess potential adverse effects of Bt‐maize pollen on non‐target Lepidoptera at landscape level

EFSA Journal 2021;18(4):EN-6443  13 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6443

遺伝子組換え(GM)トウモロコシイベントに発現する鱗翅目に有効なBt‐毒素は、幼虫が宿主植物に沈着した有害な量のBt‐トウモロコシ花粉を摂取する際に非標的鱗翅目(NTL)種に有害な影響を与える可能性がある。EFSAに委託されたこのbriskaR‐NTLプロジェクトは、(i) 景観スケールでNTLsへのBt‐トウモロコシ花粉のリスクを推定するために空間的に明確な一般的モデル枠組みをさらに開発すること、(ii) 政策決定に情報提供するためにリスク管理者に使いやすいツールを提供すること、を目的としている。文献地図や専門家からの知識の引き出し(EKE)を用いて、最初のbriskaR パッケージが以下を統合するために拡張された:(i) トウモロコシの花粉のためのより広い範囲の散布穀粒;(ii) トキシコキネティクス‐トキシコダイナミック 生態毒性モデルを通した時間をかけたBt‐トウモロコシ花粉への暴露の変動性、(iii) 亜致死効果、(iv) 複数年および慢性暴露の累積効果。使用者が使いやすい、公開されているR シャイニーアプリがこのモデルを実行するために開発された。対照的な環境条件の、2つの実際のケーススタディを用いてモデルをテストし、一般的なアゲハチョウ(キアゲハ)の幼虫に悪影響を与える重要な要因を特定した。これらの要因には、Bt‐毒性の用量反応の傾斜;累積効果;さらなるストレス要因の影響(微胞子虫寄生虫ノセマ);宿主植物の分布が含まれている。概して、このケーススタディは、景観パターンとその地域での作物管理慣行の影響を確認し、リスク評価とその軽減可能性のためにはケースバイケースのアプローチを示唆する。不確実性のいくつかの原因が考慮されたが、残りの1つや集団プロセスは将来の(リスク)評価で考慮される必要がある。不確実性をより広い信頼区間に変えることで、モデリングアプローチとEKEが入力データの不足に対処できるようになったものの、NTLへのBt‐トウモロコシ花粉の影響やモデル検証のより堅固で生態学的に意味のある評価を支援するために、さらなる実験室及び屋外データの収集が必要である。

 

EFSAは蝶と蛾をよりよく保護するために遺伝子組換え作物の環境リスク評価を進める

EFSA is working to advance the environmental risk assessment of genetically modified crops to better protect butterflies and moths

EFSA Journal 2021;19(4):e190301  12 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/e190301

 

-Serratia plymuthica Z12A株由来食品酵素製剤イソマルツロースシンターゼの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme preparation isomaltulose synthase from Serratia plymuthica strain Z12A

EFSA Journal 2021;19(4):6432 9 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6432

この食品酵素イソマルツロースシンターゼ(スクロース グルコシルムターゼ; EC 5.4.99.11)はBENEO‐Palatinit GmbH社がSerratia plymuthica Z12A株で生産した。この食品酵素はイソマルツロースシンターゼの生産のために生存不能な細胞の固定化製剤の形でのみ使用される。総有機固形物(TOS)の残留量はイソマルツロースの生産中に適用される精製段階で除去されるため、食事暴露は算出されなかった。遺伝毒性試験は安全上の懸念を示さなかった。全身毒性はラットの90日間反復経口投与毒性試験で評価された。パネルは無毒性量を、検査した最大量1,011 mg TOS/kg体重(bw)/日とした。既知のアレルゲンに対するこの酵素のアミノ酸配列の類似性が調査され、一致はなかった。パネルは、意図した使用条件で、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、そのような反応が起こる可能性は低いと考えた。提出されたデータ、固定化された食品酵素の使用、イソマルツロース生産中のTOSの除去に基づき、パネルは、この食品酵素製剤は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki EG2348株の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki strain EG2348

EFSA Journal 2021;19(4):6495  9 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6495

情報不足と懸念が確認された。

 

-加圧調理したすぐに喫食可能なシリアルのオート麦および/または大麦由来β-グルカンと摂取後の血糖値上昇の減少:健康強調表示評価

Beta‐glucans from oats and/or barley in a ready‐to‐eat cereal manufactured via pressure cooking and reduction of blood‐glucose rise after consumption: evaluation of a health claim pursuant to Article 13(5) of Regulation (EC) No 1924/2006

EFSA Journal 2021;19(4):6493 8 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6493

ベルギーの管轄機関を通してEC規則No 1924/2006条項13(5)に従って、健康強調表示の認可のために提出されたNestlé S.A.社からの申請を受けて、栄養、新規食品及び食物アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、加圧調理したすぐに喫食可能なシリアルのオート麦および/または大麦由来β-グルカンと摂取後の血糖値上昇の減少に関する健康強調表示の科学的実証についての意見を出すよう求められた。この申請の範囲は新しく開発された科学的根拠に基づく健康強調表示に該当するよう提案された。提案された食品は「加圧調理した、すぐに喫食可能な朝食用シリアルに取り入れられたオート麦および/または大麦由来β-グルカン」である。申請者は、少なくとも、加圧調理したすぐに喫食可能な朝食用シリアルに利用できる炭水化物25 g中の1.3 gのβ-グルカンを摂取する必要があると提案した。加圧調理したすぐに喫食可能なシリアルに取り入れたオート麦、大麦あるいはそれらの任意の組み合わせに由来するβ-グルカンは十分記述されている。提案されている主張効果は「食事後の血糖値上昇の減少」である。食後の血糖反応の減少は(食後の血中インスリン反応が不均衡に増加しない限り)有益な生理学的効果の可能性がある。1つのヒト介入研究から、血中インスリン反応を不均衡に増加させることなく食後の血糖反応を減少させることについて、少なくとも1.2 g/25 g利用可能な炭水化物の量で、加圧調理した朝食用シリアルに取り入れたオート麦および/または大麦由来β-グルカンの効果が示された。用量反応関係は検査されず、圧力鍋で加工したシリアルに取り入れられたβ-グルカンが、食後の血糖反応に対して他の炭水化物含有食品に添加されるβ-グルカンより高い効果を発揮するという証拠は提出されなかった。食後の血糖反応を減少させるβ-グルカンの効果は十分に立証されているが、加圧調理したすぐに喫食可能な朝食用シリアルに取り入れた利用可能な炭水化物25g中1.3gのβ-グルカンの用量でそのような効果を立証するには、提出された証拠は不十分である。

 

(注:β-グルカンの食後血糖への影響は炭水化物30gあたり4gで健康強調表示として認められていて、この申請は圧力調理によりより少ない量で効果があるという主張で、それにはデータが不十分だという判断)

 

-Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki PB 54株の農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance Bacillus thuringiensis subsp. kurstaki strain PB 54

EFSA Journal 2021;19(4):6496 8 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6496

情報不足と懸念が確認された。

 

-炭酸カルシウムの農薬リスク評価ピアレビュー

Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance calcium carbonate

EFSA Journal 2021;19(4):6500  8 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6500

情報不足と懸念が確認された。

 

-新規食品としてのビタミンD2キノコパウダー(ツクリタケ)の安全性

Safety of Vitamin D2 mushroom powder (Agaricus bisporus) as a Novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283

EFSA Journal 2021;19(4):6516 8 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6516

欧州委員会の要請を受けて、EFSAの栄養、新規食品および食物アレルゲンに関するパネル(NDA)はEU規則2015/2283に従って新規食品(NF)としてビタミンD2キノコパウダーに関する科学的意見を出すよう求められた。このNFは、プロビタミンD2(エルゴステロール)からビタミンD2(エルゴカルシフェロール)への変換を誘発する紫外線(UV)照射に暴露したツクリタケ(マッシュルーム)キノコパウダーから生産された成分である。このNFには580–595 μg/gのビタミンD2でに提供されるビタミンDの濃度が含まれている。このNFの製造工程、組成、規格について提出された情報は安全上の懸念を生じない。申請者は特定医療目的や食品サプリメントを含む様々な食品や飲料にこのNFを添加することを意図している。対象集団は、食品サプリメントや特定医療目的用食品(FSMPs)を除いた一般人で、1歳以上の人である。パネルは、成分として使用されるこのNFは、食品や飲料に提案された使用条件で一般集団に安全で、食品サプリメントとして使用されるこのNFは1歳以上の人に安全だと結論した。

 

[FAO]東アフリカの希望の兆し、コントロール対策がバッタの急増を抑えている

Signs of hope in East Africa, as control campaign tames locust upsurge

http://www.fao.org/news/story/en/item/1393635/icode/

しかしFAOは勝利を確実にし再びの急増を予防するためサーベイランス強化を要請

FAO上級サバクトビバッタ予報士Keith CressmanとFAO東アフリカサバクトビバッタ対応マネージャーCyril FerrandとのQ & Aインタビュー

・現状は?

・バッタ危機は去った?

・天気の変化でまた繁殖し始めたらどうなる?

・バッタ対策用殺虫剤に関連する環境と安全性への懸念は?

・代用品は?

サバクトビバッタの急増管理に有効な方法は殺虫剤しかない。何もしなければ既に食料が不足している地域の作物が破壊される。他の方法は研究はされている

 

[RIVM]論文

-現在のオランダ食習慣にあう健康的で持続可能な食事パターンは同定可能か?

Can healthy and sustainable dietary patterns that fit within current dutch food habits be identified?

Nutrients 2021; 13(4(:1176

https://www.mdpi.com/2072-6643/13/4/1176

19-79才の2078人のオランダ人の食事を24時間思い出し法で集め、いくつかの食生活パターンを同定した。オランダの健康的食事指数と温室効果ガス排出、ブルーウォーター使用を指標にして、最も健康的で持続可能な食事のパターンは「肉が少ない食事」であった。全ての項目で環境影響が低い食事パターンは見つけるのが困難。

 

-マスクに関連する可能性としての顔に触る行動:COVID‐19パンデミック中の公共の場所でのビデオ観察研究

Face‐touching behavior as a possible correlate of mask‐wearing: A video observational study of public place incidents during the COVID‐19 pandemic

Transbound Emerg Dis 2021; advance online publication (ahead of print)

https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/tbed.14094

マスクをつけると顔に触る回数が増えると考えられたためアムステルダムとロッテルダムで人々の行動を観察した。マスクと顔のTゾーンに触ることには負の関連があった。マスクを着けると顔に触る悪影響があるという懸念は払拭される

 

[ProMED]NSAID中毒、ハゲワシ-スペイン:(カタルーニャ)

NSAID intoxication, vulture - Spain: (CT)

2021-04-13

https://promedmail.org/promed-post/?id=8304625

Date: Sun 11 Apr 2021 Source: The Guardian [edited]

スペインのハゲワシの死因として最近認可された動物用医薬品が確認された。保全主義者たちはこれは氷山の一角に過ぎず、この医薬品は欧州からハゲワシやイヌワシなどの近縁種を消し去るだろうと言う。この抗炎症薬ジクロフェナックは既にインド、パキスタン、ネパール、バングラデシュでは禁止されている。しかしながらスペインやその他の欧州諸国では牛の屠体は欧州ではインドとは違う形で捨てられるため、ジクロフェナック入りの肉をハゲワシが食べることはないと主張されていた。それは間違いだと証明された、と王立鳥類保護学会のJohn Mallordはいう。

インド、ネパール、バングラデシュでは20世紀後半に導入されたジクロフェナックで猛禽類が減少し、その隙間を野犬とカラスが埋めて狂犬病や感染症リスクが増加している。そのため2006年に家畜用ジクロフェナックが禁止された。それなのにスペインとイタリアで数年前に家畜用使用が認可された

(牛の死体がそのへんに転がっているのはいいのか)

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Not Guilty Food Co Ltd t/a The Skinny Food Co

14 April 2021

https://www.asa.org.uk/rulings/not-guilty-food-co-ltd-g20-1068475-not-guilty-food-co-ltd.html

商品名「痩せこけスパイスSkinny Spices」が食品への栄養健康強調表示規制に違反

消費者はこの商品が減量に役立つと解釈する可能性が高く、従って健康強調表示であり、認可リストになく事業者が証明もしていないので違反

 

[USDA]乳児栄養の歴史にスポットライト

A Spotlight on the History of Infant Nutrition

Posted by Nutrition.gov Staff, National Agricultural Library in Food and Nutrition

Apr 13, 2021

https://www.usda.gov/media/blog/2021/04/13/spotlight-history-infant-nutrition

乳児が健康な子どもと大人に成長するために栄養は重要である。1900年代初期からUSDAは母乳、離乳食導入、健康的な食習慣の形成などのためにリソースを提供してきた。数十年の間に乳児栄養助言がどう変わってきたかを食事ガイドの歴史デジタルコレクションで探る。

・1920-40年代:USDAは乳幼児に栄養のある食品を与えるように助言するポスターやパンフレットを発表している

・1950-70年代:栄養教材は家族の食事と年齢毎に食べる量を調整することを焦点にしている。1970年代から「食品と栄養」雑誌を発行して乳幼児の食事援助や子ども用レシピなどの情報を提供している

・1980-90年代:母親に妊娠中に健康的食事をするよう勧めている

Historical Dietary Guidance Digital Collection

https://naldc.nal.usda.gov/historical_dietary_guidance_digital

 

[WHO]タバコにより毎年1.4兆米ドルの損失-新しいタバコ税マニュアルは命とお金を救いCOVID-19後のより良い復興への道を示す

US$ 1.4 trillion lost every year to tobacco use - New tobacco tax manual shows ways to save lives, money and build back better after COVID-19

12 April 2021

https://www.who.int/news/item/12-04-2021-1.4-trillion-lost-every-year-to-tobacco-use-new-tobacco-tax-manual-shows-ways-to-save-money-and-build-back-better-after-covid-19

WHOは新しいタバコ税政策管理技術マニュアルを発表

2018年時点で、タバコに十分な課税をしている国はわずか38カ国、人口の14%でしかない

 

[Codex]新しいFAO出版物:食物アレルギー-誰も取り残さない

New FAO publication: Food allergies – Leaving no one behind

29/03/2021

http://www.fao.org/fao-who-codexalimentarius/news-and-events/news-details/en/c/1391897/

2021年3月、FAOアジア太平洋地域事務所が「食物アレルギー-誰も取り残さない」を公表した。この本は、地域毎に食物アレルギーを管理することの重要性を説明する。国民にとって何がアレルゲンとなることが多いのか、表示が必要になる食品は何か、許容可能なアレルゲン量はどの程度なのかを知ることが、各国にとって重要なことである。さらに、この問題を国際的に議論することの重要性も強調している。

食品表示に何もかも記載することは現実的ではないため、優先順位付けが極めて重要である。この本では、日本での良い事例と教訓から得られたデータなど、特定の国のケーススタディも紹介している。そして、食品安全担当機関に向けた食物アレルギーを管理するための実践的な勧告も記している。

*FAO Food safety toolkit booklet 4 - Food allergies – Leaving no one behind

http://www.fao.org/3/cb2868en/cb2868en.pdf

<各国の食品安全担当機関向けの勧告>

その国の状況に応じて、一般的な食物アレルゲンを定期的にモニターする仕組みを特定又は開発すること

食品ラベルに記載した可能性のある食物アレルゲンが、明瞭で読みやすいものであるようにし、特にアレルギーの人々に向けて、その読み方を教育すること

顧客に、例えばメニューなどで食物アレルゲンのことを確実に伝えることが出来るように、民間部門、特に食品e-コマースや飲食店事業者との協力体制を構築又は強化すること

ヒトでの食物アレルギーの検知の強化につながる研究を支援し、診断ツールを開発すること

食品中の食物アレルゲンの検知の強化につながる研究を支援し、診断ツールを開発すること

食物アレルギーについての認識を向上させることを狙った対象者を絞ったキャンペーンを通じて、食物アレルギーについて教育を行うこと

食物アレルギーについて、自国のケーススタディや関連データを提供することにより、コーデックスなどの国際的な議論に貢献すること

 

[FDA]FDAは赤ちゃんと小さい子供向けの食品由来の有害元素への暴露の提言についての行動計画を共有

FDA Shares Action Plan for Reducing Exposure to Toxic Elements from Foods for Babies and Young Children

April 8, 2021

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-shares-action-plan-reducing-exposure-toxic-elements-foods-babies-and-young-children

本日FDAは、赤ちゃんや小さい子供向けの食品由来の有毒元素への暴露を減らすための行動計画「さらにゼロに近づける(Closer to Zero)」を発表した。

さらにゼロに近づける:ベビーフードのための行動計画

Closer to Zero: Action Plan for Baby Foods

https://www.fda.gov/food/metals-and-your-food/closer-zero-action-plan-baby-foods

 対象に含める有害元素は、ヒ素、鉛、カドミウム及び水銀である。FDAは、これまで関係者らとともに意義ある暴露低減化を成してきた。この行動計画は、それらの作業の上に築くものであり、赤ちゃんや小さい子供における有害元素への暴露量を継続的に減らしていくための、科学に基づく反復的なアプローチである。さらなる暴露の低減化のために、次のことを実施する。

・有害元素への食事暴露量の変化に関する調査と評価を推進する

・関係者からの情報提供を得ながら、アクションレベルを設定する

・農産品や製品中の有害元素の濃度をさらに低減させるために、業界による優良実践の採用を促す

・焦点を絞ったコンプライアンス活動と執行活動を推し進める

・経時的な濃度変化をモニタリングする

*アクションレベルとは:食品が、連邦食品医薬品化粧品法のsection 402(a)(1)に記された異物混入(adulterated)であると見なされる可能性のある汚染物質濃度のことである。FDAは、特定の事例で執行措置を行うべきかどうか検討するにあたり、その他の要因や科学的根拠に加えてアクションレベルを考慮する。

 FDAは、科学をもとに、透明性を持って、活動的な関係者や一般の人達ともデータや情報を共有できる包括的なプロセスで取り組もうとしている。

<FDAのアプローチ>

 FDAの行動計画では、次の4つの段階からなる反復的なアプローチを導入する。

アクションレベルのための科学的根拠を評価する:暴露量の低減化のための継続的な改善のサイクルは、食品の定期検査の既存データ、化学分析法の研究及びデータ、毒性試験、暴露及びリスク評価など、関係する科学的情報を評価することから始まる。関係者や助言委員会との関わり、公開ワークショップ、専門家や関係機関などとの対話を通じて、FDAは必要に応じて特定の有害元素についての暫定参照値(interim reference levels: IRLs)を設定する予定である。IRLは、FDAが食品を介したある元素への暴露量が特定の健康影響をもたらすのかどうかを判断するのに利用される値である。

アクションレベルを提案する:IRLsは、FDAが赤ちゃんや小さい子供がよく食べるベビーフード(例:シリアル、乳児用調製乳、果実・野菜のピューレ)やその他の食品について、ある有害元素のアクションレベルを提案する際に参考となる重要な因子である。

提案されたアクションレベルについて、その達成可能性や実行可能性を含めて関係者の意見を聞く:特定された各食品カテゴリー中の各種有毒元素について、FDAは、提案されたアクションレベルの達成可能性及び実行可能性とタイムフレームを評価するために、ワークショップや科学会議の開催や関係機関との対話なども含めた、意見募集のプロセスを通じてデータや情報を集める予定である。

アクションレベルを最終決定する:FDAは、アクションレベルを調整して最終決定するために、関係者から得られた情報や、更新された科学研究、定期的モニタリングで得られた情報を利用する予定である。

<行動内容と今後の予定>

アクションレベルが決定した後は、それに対応する業界の取り組み状況を評価し、科学データをもとにアクションレベルをさらに調整すべきか判断するという一連のサイクルを再開する。有害元素ごとにデータの入手可能性や調査の必要性が異なるため、先ずは2018年にIRL(子供3 μg/日)が設定されている「鉛」のアクションレベルの提案に向けて作業を開始する。その他の作業も含めた今後の計画予定は次の通り。全ての段階において、モニタリングや暴露評価などの研究と公表は行っていく。

第1段階(2021年4月から2022年4月):「ヒ素」についてIRL設定に向けたデータ収集などの作業を行う。「鉛」について赤ちゃんと小さい子供が食べる食品カテゴリーのアクションレベルを提案し、その実行可能性などについて関係者の意見を聞く。

第2段階(2022年4月から2024年4月):「カドミウム」と「水銀」についてIRL設定に向けたデータ収集などの作業を行う。「ヒ素」についてアクションレベルを提案し、関係者の意見を聞く。「鉛」のアクションレベルを最終決定する。

第3段階(2024年4月以降):「鉛」について、新しいデータをレビューし、アクションレベルによる低減効果を評価する。「カドミウム」と「水銀」についてアクションレベルを提案し、関係者の意見を聞く。「ヒ素」のアクションレベルを最終決定する。

 

論文

-ワクチンを薦めるソーシャルメディアキャンペーンのための、研究に基づく5つのステップ

Five research-backed steps to a pro-vaccination social media campaign

13-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uop-frs040721.php

Vaccineに発表された5パートからなるガイドライン。昨年人気のある医師でソーシャルメディアパーソナリティのZubin Damaniaが行った草の根ワクチン推奨キャンペーンの解析をもとにしたもの。予期せぬことに、このイベントに関連したツイートの3/4以上がワクチンに反対するものだった。

ガイドラインは

1.リスクコミュニニケーションの優良規範を学ぶ

2.パートナーシップを活用する

3.最大限に包摂的であれ

4.やることリストを作る

5.参加者にメッセージへの反応方法を明確に思いやりのあるやりかたで教える

真の反ワクチン活動家は極めて少数であるが非常に効果的なコミュニケーションをする。一般人の約20%がワクチン躊躇と分類され彼らがソーシャルメディアで疑問を解決しようとする。医師はこれらの人々を相手に反ワクチンデマと対抗する必要がある

 

-成人のビタミンD欠乏スクリーニング

Screening for Vitamin D Deficiency in Adults

April 13, 2021  US Preventive Services Task Force

JAMA. 2021;325(14):1436-1442

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2778487

現在の根拠は、症状のない成人にビタミンD欠乏のスクリーニングを行うことのベネフィットと害のバランスを評価するのに不十分である

(ベネフィットが確認されていない)

 

-2021世界食料政策報告書

2021 Global Food Policy Report

13-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/ifpr-2gf041221.php

不平等を減らしフードシステムのレジリエンスを強化するCOVID危機の教訓

国際食料政策研究所(IFPRI)が2021世界食料政策報告書を発表した

「我々のフードシステムには大きな問題があり不平等で持続可能でないことはわかっていたが、COVID危機はそうした問題が誰一人として無視できないものであることを明らかにした」とIFPRI所長Johan Swinnenはいう。「しかし同時にこの問題に効果的に対処する方法がある」

この報告書は世界中の中および低所得国(LMICs)の危機の影響や政策対応、特に脆弱集団に焦点を絞って、根拠を示した。報告書は生活や食糧安全保障、栄養がどのように影響を受けたかを詳細に示し、国や地域によって影響が何故どのように違うのか、今後のそうしたショックにどうすればより良く対応できるのかを記した。

驚くべきことではないが、COVID-19とその制限はLMICsの辺縁の人々に不釣り合いに影響し、貧困と栄養不良を増やした。サプライチェーンの攪乱は食事の質や多様性に影響し、栄養不良を増加させた。

今こそ、フードシステムの見直しを開始すべき

(失業と収入減が最大の問題だったので政治的解決は不可能ではない)

 

-誰がオンラインデマに影響されやすいのか?4つの社会心理学的仮説のテスト

Who is susceptible to online health misinformation? A test of four psychosocial hypotheses.

Scherer, L. D. et al., Health Psychology. Advance online publication.

https://psycnet.apa.org/doiLanding?doi=10.1037%2Fhea0000978

ソーシャルメディアの健康に関するデマは公衆衛生への脅威である。デマが誰によってどう拡散されるのかについての知見を得るのに役立つ質問の一つは、どんな健康上のトピックであるかに関わらず、デマに影響されやすい特定集団があるのかどうか、である。この研究はそれに答えようとして4つの仮説をテストした。(1):知識やスキルの欠如、(2):既存の態度、(3):医療や科学への信頼、(4):認知的倹約

方法:米国人923人にスタチン、がん治療、HPVワクチンについてのソーシャルメディア投稿について認識される正確さと影響を格付けしてもらった。

結果:これらのトピックの一つのデマに影響されやすい人は他のトピックにも同様。デマ感受性と最もよく関連したのは教育レベルと健康リテラシーの低さ、医療不信、代替医療への親和性。

 

その他

-Nature Medicineワールドビュー

反ワクチン業界を解体する

Dismantling the anti-vaxx industry

Imran Ahmed  Nature Medicine volume 27, page366(2021)

https://www.nature.com/articles/s41591-021-01260-6

調査によりCOVID-19ワクチンの展開に反対してデマを拡散しているのは、資金豊富な、確固たる統制のとれた人々であることが示された。彼らの活動に対抗するためには、我々は彼らを、COVID-19の恐ろしさ、ワクチンと医療の専門家の高潔性への疑いの種を蒔くために活発に働く業界として理解する必要がある

‘anti-vaxxer’という単語は、汚れた地下室に住む陰謀論者のイメージを思い起こさせるかもしれないが、実際のところ彼らはまとまりのあるプロの伝道者集団である。彼らは主に米国で数百万ドルの組織を運営しそれぞれの組織が60人もの職員を抱える。彼らは他の業界同様、活動家訓練マニュアルを作り、オーディエンスに応じたメッセージを調整し、会合をアレンジする。

2020年10月に、デジタルヘイト対抗センターの研究者らが世界で最も有名な反ワクチン活動家の3日間の会合に参加して記録をとった。我々のチームはCOVID-19ワクチンへの組織的反対についてこれまでにない知見を得た。反ワクチン活動家の発表内容の陳腐さと空虚さにも関わらず、恐ろしいレベルの組織化と意図があった。またソーシャルメディアの洗練された使い方も明らかになった。ソーシャルメディア企業は彼らが新たなフォローワーを動員してさらに嘘を拡大するので歓迎している。その結果としてオンラインには反ワクチンインフラができあがっている。

反ワクチン活動家はお互いにオンラインのターゲットを探すのに訓練し合っている。恐怖を深め疑いの種を蒔き反ワクチン活動家にするためにどうするのが有効か話し合っている。そのやり方はWHOやNHSより上手である。

それはパンデミック前からそうだった。このデマ業界と戦う方法がいくつかある。

 

-Scienceニュース

日本は福島の汚染水を海に放出する計画

Japan plans to release Fukushima’s contaminated water into the ocean

By Dennis NormileApr. 13, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/04/japan-plans-release-fukushima-s-contaminated-water-ocean

(本文では処理水treated wastewaterと書いているのにタイトルは汚染水contaminated water)

 

全米科学アカデミーは二人の有名な科学者をセクシャルハラスメントのため追放するかもしれない

National academy may eject two famous scientists for sexual harassment

By Meredith WadmanApr. 13, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/04/national-academy-may-eject-two-famous-scientists-sexual-harassment

天文学者Geoffrey Marcyと進化生物学者Francisco Ayala。二人とも既に大学から追放されている

158年の歴史をもつアカデミーが除名できるように規約を変えて2年。それまで会員は一生だった。現在のNASの2342人の米国人会員の平均年齢は72才で81%が男性。

 

-ナショナルジオグラフィックの科学論文の汚染

National Geographic’s Pollution Of Scientific Discourse

Henry I. Miller April 12, 2021

https://issuesinsights.com/2021/04/12/national-geographics-pollution-of-scientific-discourse/

1世紀以上にわたってナショナルジオグラフィックは科学、歴史、文化に基づいた質の高い雑誌を作ってきた。しかし最近、編集者は意図が先にある欠点のある研究を載せるようになった。例えば最近のElizabeth Royteの書いたJonathan Lundgrenの仕事を取り上げた記事である。Jonathan Lundgrenはネオニコチノイドが哺乳類に脅威の可能性があると主張するがそれはとっくに否定されている主張である。Royteの記事はFood & Environment Reporting Networkの活動家とのコラボで、Lundgrenが英雄として選ばれたのは驚きではない。彼は倫理規則違反でUSDAの研究者としての立場を離れてから活動家団体で殉教者として尊重されてきた。今は一市民として反農薬活動を加速させている。

(以下記事にされた研究内容の問題点指摘)

ナショジオが活動家の物語を載せたのはこれが初めてではなく、昨年は除草剤アトラジンが、ヒトを含む全ての哺乳類のペニスを小さくすると主張した。それらの記事は活動家団体Friends of the EarthやNatural Resources Defense Councilが政府に農薬禁止を請願するために使われている。こうしたデマのカスケードは活動家がよく使う手である。ナショナルジオグラフィックはセンセーショナルな恐怖キャンペーンに協力している。