2021-04-23

[ANSES] ANSES とDGCCRFは食中毒を避けるために椎茸は食べる前に十分調理することが重要であることを繰り返し言う 

ANSES and the DGCCRF reiterate the importance of cooking shiitake mushrooms thoroughly before eating to avoid poisoning

09/04/2021

https://www.anses.fr/en/content/anses-and-dgccrf-reiterate-importance-cooking-shiitake-mushrooms-thoroughly-eating-avoid

アジア原産の椎茸は世界でマッシュルームに次いで最も広く消費されているキノコである。しばら欧州市場にあったが、今ではフランスで栽培及び生産されている。生あるいは十分加熱せずに食べると、椎茸は深刻なかゆみを引き起こす体全体に鞭で打たれたよう皮膚炎を引き起こすことがある。そのような毒性反応を避けるために、ANSES とDGCCRFは、生、乾燥あるいは粉状のいかなる形態でも、食べる前に完全に加熱することの重要性を消費者及び調理者に注意してほしいと願う。

生あるいは加熱が十分でない椎茸の消費は数週間続く深刻なかゆみを引き起こすことがある

椎茸(学名Lentinula edodes)は、(ゴールデン)オークキノコ、中国/東洋黒キノコと、さまざまな名称で市販されることがある。また、他の黒いキノコと混ぜて販売されることもある。

伝統的に加熱調理して食べられるが、生の椎茸の消費がここ数年で増加しつつある。しかし、これらのキノコを生あるいは加熱が十分でなく食べると、中毒性鞭状皮膚炎という特異な皮膚反応を引き起こすことがある。これは体や顔全体にわたり、最大3週間続くこともある深刻なかゆみを引き起こす。症状は食後数時間あるいは数日以内に現れ、更に摂取することで再び引き金となることがある。食べたキノコの量もこの発症と持続期間に関連すると考えられている。

加熱調理により破壊されるキノコ中の物質、レンチナンにより引き起こされる。

皮膚症状を引き起こす減らない食中毒事例の件数

食中毒リスクに関連する警告は2015年にANSESとフランス中毒管理センターから既に発表されている。しかし、皮膚症状を引き起こす中毒件数がいまだに一定数観察されている。実際に、健康サーベイランスでANSESは2015年以降、中毒管理センターが皮膚症状を引き起こす食中毒を1年に11から15件記録していると述べた。

しかし、この皮膚炎(よく理解されていない疾病で、日光にさらされた後、発症する皮膚反応である光線皮膚症と混同されることもある)の症例と椎茸の摂取の関連は必ずしも消費者や医師に知られてないので、この件数は過小評価の可能性がある。

そのため、中毒反応のリスクを制限するため、DGCCRF、ANSES及び中毒管理センターは椎茸が十分加熱されるまで食べてはならないと繰り返し言う。

レストランで提供するさっと炒める調理方法で食べた後、発症するいくつかの事例に示されるように、この調理方法は毒性物質を破壊するには十分でない可能性がある。

より一般的に、 DGCCR、ANSES及び中毒管理センターは2017年4月4日のANSESの意見書に公表され、ウェブサイトで確認できる食用キノコのリストを参照するよう助言する。これは食用条件や特定のキノコを調理する場合の注意を明確にする。

詳細

プレスリリース

https://www.anses.fr/fr/system/files/PRES2021CP03EN.pdf

椎茸の食中毒という題のANSESのtoxicovigilance報告

https://www.anses.fr/fr/system/files/Toxicovigilance2021AUTO0058Ra.pdf

 

[ヘルスカナダ] ヘルスカナダの果実ジュースと果実ネクターに含まれる総ヒ素量の最大基準値を更新する提案

Health Canada’s Proposal to Update the Maximum Level for Total Arsenic in Fruit Juice and Fruit Nectar

April 9, 2021

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/proposal-update-maximum-level-total-arsenic-fruit-juice-fruit-nectar/document.html

提案通知-食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト

Reference Number: NOP/ADP C-2021-2

食品汚染物質とその他の不純物質は、濃度によって全体的な食品の安全性や品質に影響する可能性がある。不注意で食品に含まれるあるいは不正な目的のために意図的に添加される場合もある。食品中の特定の化学物質汚染の暴露を減らすために、禁止あるいは最大基準値(ML)を設定するリスク管理手段を用いることがある。カナダの食品中の化学汚染物質に対する禁止や最大基準値(ML)は、「食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト」のパート1及びパート2それぞれで設定する。(https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/food-safety/chemical-contaminants/contaminants-adulterating-substances-foods.html

最大基準値は「食品中の化学汚染物質の最大基準値リスト」

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/food-safety/chemical-contaminants/maximum-levels-chemical-contaminants-foods.html

でも設定され、ヘルスカナダのウェブサイトに掲載される。すべての食品中の化学汚染物質に対する禁止や最大基準値(ML) は、ヘルスカナダの食品局が科学的根拠に基づき、ステークホルダーと協議し設定し、CFIAにより執行される。

「食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト」は、消費ベースとして果汁及びネクター製品の総ヒ素量の最大基準値を0.1ppmと明記する。これらの食品がこの値を超える濃度のヒ素を含むならば、それらは不純品とみなされ食品医薬品法規則の違反である。現在の果実ジュースとネクターの総ヒ素の最大基準値(ML)は数十年前に設定され、今日の食品の典型的なヒ素濃度を反映していないので、ヘルスカナダは果実ジュース及び果実ネクター中の総ヒ素の最大基準値(ML)を更新する提案をしている。

ヘルスカナダは2つの最大基準値の引き下げ設定を予定する。消費ベースの果実ジュースと果実ネクター製品の無機ヒ素:果実ジュースと果実ネクターは0.01ppm、ただし、ぶどうジュースとぶどうネクターは0.03ppmとする。 果実ジュースはカナダの子供の主要なヒ素の暴露源である。ヒ素の無機形態はヒトの健康に大きな懸念があり、果実ジュースと果実ネクターによくみられることを考慮し、提案された2点のより低いMLは総量でなく、無機のヒ素基準である。ぶどうジュースとぶどうのネクターは天然に他の果実ジュースと果実ネクターより無機ヒ素の濃度が高い。

提案されたMLは消費ベースとして果実ジュースと果実ネクターに適用される。MLは混合の飲料あるいは他の食品の果実ジュースあるいはネクター関連にも適用されるだろう。

果実ジュース及び果実ネクターの無機ヒ素の提案された新たなMLは、ぶどうジュースとぶどうネクターを除き、米国FDAのリンゴジュースの無機ヒ素は0.01 ppmという提案された対策レベルと一致する。コーデックス委員会、欧州委員会及びFSANZは果実ジュースと果実ネクターのヒ素のMLは設定していない。

提案された変更は「食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト」のパート2に公表される日に効力を発する。提案変更に関わるデータや情報が提出されない限り、75日で意見募集を終え、リストの変更の公表を提案する。変更は改正通知で発表され、ヘルスカナダのウェブサイトに発表される。

 

[ヘルスカナダ]ヘルスカナダの乳幼児向け米ベースの食品に含まれる無機ヒ素の最大基準値を追加する提案

Health Canada’s Proposal to Add a Maximum Level for Inorganic Arsenic in Rice-based Foods Intended Specifically for Infants and Young Children

April 9, 2021

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/public-involvement-partnerships/proposal-add-maximum-level-inorganic-arsenic-rice-based-foods/document.html

提案通知-食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト

Reference Number: NOP/ADP C-2021-1

ヘルスカナダは特に乳幼児及び幼い子供向けの米ベースの食品の無機ヒ素の最大基準値を0.1ppmと新しく設定することを提案している。乳幼児や幼い子供向けの米ベースのシリアルや米を含む製品は、カナダでは乳幼児や幼い子供にとって食事からの重大な無機ヒ素の暴露源と示された。ヒ素の無機形態はヒトの健康に大きな懸念があり、米に最もよくみられることを考慮し、提案された最大基準値は無機基準について示される。

この最大基準値は米が主原料で特に乳幼児や幼い子供向けである場合の食品、例えば米の幼児用シリアル、米のビスケット及び溶けやすい米のパフなどに適用されるが、カナダ国民のすべての年齢がよく食べる米ベースの食品、例えばパフライスの朝食シリアル、ライスケーキ、ライスクラッカー等には適用されない。ヘルスカナダは「食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト」において、精白米及び玄米の無機ヒ素のMLを過去に設定した。これらMLもカナダで販売されるほかの米ベース食品の成分として使用される場合、白米、玄米に適用される。

米ベースの食品で特に乳幼児や幼い子供向けの食品の無機ヒ素のMLのこの提案は、乳幼児及び幼い子供向けの食品生産用の米の無機ヒ素基準が0.1ppmという欧州委員会(EC)のMLと一致する。また米国FDAの2020年に正式化された乳幼児用米シリアルの無機ヒ素は0.1ppmという対策レベルとも一致する。コーデックス委員会(CAC)とFSANZは、これらの食品に対し、乳幼児や幼い子供向けの米ベース食品の無機ヒ素のMLは設定していない。しかし、2014年2016年それぞれ、CACは精白米と玄米に対し、無機ヒ素のMLを設定した。(CXS 193-1995)精米と玄米の無機ヒ素に対する同じMLが2020年6月以降カナダで効力がある。(NOM/ADM C-2020-1)

提案された変更は「食品中の認可されている汚染物質及びその他不純物質リスト」のパート2に公表される日に効力を発する。提案変更に関わるデータや情報が提出されない限り、75日で意見募集を終え、リストの変更の公表を提案する。変更は改正通知で発表され、ヘルスカナダのウェブサイトに発表される。

 

[ヘルスカナダ]カナダ政府の評価は、タルクはヒト健康に有害かもしれないと結論

Government of Canada Assessment Concludes that Talc May be Harmful to Human Health

April 22, 2021

https://www.canada.ca/en/health-canada/news/2021/04/government-of-canada-assessment-concludes-that-talc-may-be-harmful-to-human-health.html

固まっていないタルク粉末を吸入することとタルクを含むある種の製品を使用することに関連するリスクを管理するのに役立つ対策を提案。

化学物質管理計画のもとで、カナダ保健省と環境と気候変動省はタルクの最終スクリーニング評価を完了した。ほとんどの使用はヒト健康上の懸念とはならないが、ある種の固まっていないタルク粉末製品を吸入したときに肺に有害である可能性、そしてある種のタルクを含むセルフケア製品を女性生殖器周辺に使う場合に卵巣がんの原因となる可能性がある。そのため政府はリスク管理対策を提案する。タルクは環境には有害ではない。

紙、プラスチック、塗料、セラミクス、パテ、食品を介するタルク暴露によるヒト健康リスクは同定されなかった。

 

・最終スリーニング評価報告書

Screening assessment talc

https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/screening-assessment-talc.html

 

インフォグラフィック

The final screening assessment of talc concludes that it is harmful to human health - infographic

https://www.canada.ca/en/health-canada/services/publications/healthy-living/talc-infographic.html

 

・リスク管理法

Risk management approach for talc

https://www.canada.ca/en/environment-climate-change/services/evaluating-existing-substances/risk-management-approach-talc.html

化粧品成分リストとナチュラルヘルス製品成分データベースおよびモノグラフの改訂を提案

2021年6月23日までパブリックコメント募集

 

[TGA]ニコチン含有の電子タバコ法が変更になる

Nicotine e-cigarettes laws are changing

22 April 2021

https://www.tga.gov.au/blogs/tga-topics/nicotine-e-cigarettes-laws-are-changing

ニコチン含有電子タバコの法改正により、2021年10月1日から医師と相談し、処方箋がなければ海外のウェブサイトでこれらの製品を合法的に購入することができなくなる。

 

[FDA]消費者情報。乳児用ミルクについて:してよいこととよくないここと

Infant Formula: Safety Do's and Dont's

04/22/20214

https://www.fda.gov/consumers/consumer-updates/infant-formula-safety-dos-and-donts

乳児用ミルクに関し、家庭で自分で作らないこと、安全上の注意点、市販製品について紹介。

 

[FDA] Church & Dwight はまれな製造問題のためセレクトビタミンの自主回収を開始する

Church & Dwight Initiates Voluntary Recall of Select Vitamins Due to Isolated Manufacturing Issue

April 20, 2021

https://www.fda.gov/safety/recalls-market-withdrawals-safety-alerts/church-dwight-initiates-voluntary-recall-select-vitamins-due-isolated-manufacturing-issue

Church & Dwight Co., Inc.は本日2020年10月29日から11月3日の4日間に製造された製品に金属製メッシュ素材が混入した可能性があると2件の消費者報告を確認した自社調査後、セレクトvitafusionグミ製品の自主回収を開始した。製品写真あり。

 

[FDA]警告文書

-Sky Global Food Inc

MARCH 24, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/sky-global-food-inc-613090-03242021

FSVP違反の問題。

 

[FDA]COVID-19予防接種と食品農業部門

COVID-19 Vaccination & the Food and Agriculture Sector

04/21/2021

https://www.fda.gov/food/food-safety-during-emergencies/covid-19-vaccination-food-and-agriculture-sector

HHSの「私たちはこれができるCOVID-19公共教育キャンペーン」の移管として農業部門のエッセンシャルワーカー向けツールキットを公表

(英語とスペイン語のポスターやチラシ、ツイッター用画像など)

 

[FSANZ]食品基準ニュース

Food Standards News April 2021

https://mailchi.mp/a02a8a7b1ee7/food-standards-news-april-1299750?e=21527ddb09

・企業向けアレルゲン管理と表示ガイド更新

https://allergenbureau.net/industry-guidance/

・あなたの食品事業の食品安全文化の「健康診断」

Food safety culture

https://www.foodstandards.gov.au/foodsafety/culture/Pages/default.aspx

・腸炎予防

ハンドサニタイザーはノロウイルスには有効ではない

(コロナ禍の中、食中毒アウトブレイクが増えている国は他にあるのだろうか?)

 

[RIVM]塗料のマイクロプラスチックは環境中で問題となり得る

Microplastics in paint can cause problems in the environment

04/22/2021

https://www.rivm.nl/en/news/microplastics-in-paint-can-cause-problems-in-environment

塗料部門の企業や団体はマイクロプラスチックが環境中に行き着き長く留まり植物や動物に害を与える可能性があることを知っている。RIVMの行った研究は、塗料部門の関係者がマイクロプラスチックの排出を減らそうと能動的に試みていないことを示す。従ってRIVMは塗料中のマイクロプラスチック使用と環境中への排出を減らすための選択肢を探った

塗料部門の関係者は排出は避けられず、塗料層を作るためのポリマーは表面を長期間守るために必要だと考えている。またポリマーを含まない塗料は僅かしかなく、それらは全ての塗料の目的にかなったものでもない。塗料部門の排出抑制対策は、より長持ちする塗料の開発などの間接的なものである。また作業中の塗料粒子やダストの放出には対策をしていることも示した。DIYでも同様かどうかはわからない。また彼らは水ベースの塗料を使った刷毛を流しで洗う。これはよろしくない。現在塗料部門からどのくらいのマイクロプラスチックが放出されているのかは不明である。データが必要である

 

[USDA]ジョージアの水族館のカワウソのCOVID-19確認

Confirmation of COVID-19 in Otters at an Aquarium in Georgia

Apr 22, 2021

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/sa-2021/sa-04/covid-georgia-otters

カワウソでは世界初。鼻水や咳などの症状があった

 

論文

-天然に遺伝子組換え:作物は進化を加速するために他の種から遺伝子を盗む

Naturally GM: Crops steal genes from other species to accelerate evolution

22-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uos-ngc042121.php

新しい研究は、飼料用農作物が近所の遺伝子を借りて進化の規則を曲げることができることを明らかにした。水平遺伝子伝達として知られるプロセスが広範な草でおこってることを報告。New Phytologist

 

-2001年から2012年の間に妊娠女性の大麻使用疾患率が増加

Cannabis use disorder rate rose among pregnant women between 2001-2012

22-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/uoc--cud042021.php

研究は乳児の有害アウトカムになったことを発見:早産、低出生体重、小さい

Addictionに発表されたカリフォルニアの研究

出産時の医療記録から、大麻使用疾患と診断される率は、2002年から2012年の間に1000人あたり2.8から6.9に増加した。

医療記録のみを見ているので実際はもっと多いだろう

(カリフォルニア、微量の化学物質は必要以上に警告するのにドラッグには甘い。いかにもニューエイジ)

 

-国際研究チームがチェルノブイリの放射線の遺伝子への影響を探る

International research teams explore genetic effects of Chernobyl radiation

22-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/nci-irt042121.php

二つの画期的研究で、研究者らは最先端のゲノムツールを用いて、1986年のチェルノブイリ原子力発電所事故による、発がん性が知られている電離放射線暴露の影響を調べた。一つの研究では、親の放射線暴露は、子どもへの新たな遺伝的変化の伝達につながったという根拠は無かった。二つ目の研究では、事故により放出された放射線に子どもあるいは胎児期に暴露された後に発生した甲状腺腫瘍の遺伝子の変化を記述した。Science

最初の研究では1987年から2002年の間に生まれた130人とその105組の父母の完全ゲノム配列を解析した。親の一方または両方が事故後のクリーンアップ作業労働者あるいは事故のあった場所の近くに住んでいて避難した人で、持続的電離放射線暴露量を評価した。父母の被ばくレベルは多様であった。研究者らは成人した子どもたちのゲノムのデノボ突然変異を解析した。親の被ばくレベルの範囲で、全ゲノム配列データからは子どもたちのデノボ変異の数や種類に増加の根拠は無かった。これらの子どもたちのデノボ変異の数は一般人と同等であった。結果として、電離放射線の次世代への影響は、あったとしても最小限であることを示唆する。「この結果は、事故のあった2011年に福島に住んでいた人たちにとって大変安心できるものであると我々は見ている。日本の線量はチェルノブイリより低いことがわかっている」とChanock博士は言う。

ふたつめの研究ではチェルノブイリの放射性ヨウ素暴露のある人の甲状腺がん359と暴露のない人の81の甲状腺がんの遺伝的変化を次世代シークエンシングを使って調べた。この新しい研究では、甲状腺がんにおいてはDNA二本鎖切断の関与する特定の種類のDNA傷害が重要であることを強調する。二本鎖切断と放射線暴露の関連はより若い年齢で暴露された子どもで強い。次に研究者らは各腫瘍のがんの増殖を誘導する重要な遺伝子(ドライバー)候補を同定した。95%以上の腫瘍からドライバーを同定し、そのほぼ全てが同じ信号伝達経路、分裂促進因子活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路に関係するもの、BRAF、RAS、 RET遺伝子を含む、だった。

影響のある遺伝子はこれまで甲状腺がんで報告されていたものと同様である。しかし研究者らは遺伝子の変異のタイプの分布の変化を観察した。チェルノブイリでは、子どもの時に高線量の暴露があった人の甲状腺がんは遺伝子融合(二本鎖切断の後に間違った断片がつながる)の結果できたものが多いが、低線量あるいは暴露のない人の甲状腺がんは点突然変異の結果(遺伝子の重要な部分の単一塩基対の変化)である可能性が高い。この研究は放射線誘発性がんのさらなる研究の基礎となる

 

Scienceニュース

チェルノブイリ生存者の子どもに過剰な突然変異はない、新しい研究が発見

No excess mutations in the children of Chernobyl survivors, new study finds

By Richard StoneApr. 22, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/04/no-excess-mutations-children-chernobyl-survivors-new-study-finds

チェルノブイリ原子力災害の生存者は長い間いつまでも残る恐怖とともに生きてきた:放射線暴露が精子や卵子に突然変異をおこして子どもたちを遺伝病に運命づけるのでは?「多くの人たちがもし放射線を浴びたら、次世代に影響するに違いないと考える」とウクライナの国立放射線医学研究センター長の免疫学者Dimitry Bazykaはいう。しかしBazykaらによる新しい知見はその恐怖を一掃するだろう。200人以上のチェルノブイリのサバイバーとその子どもたちの研究で、研究者らは世代を超えた影響の根拠を見つけなかった。

この研究は、月曜日に35周年となる世界最悪の原子力事故の健康アウトカムを巡る主要な不確実性を概ね解決する。そして日本の2011年の福島原子力発電所事故により汚染された地域から避難した人たちを安心させる。「いまだに日本や他の地域で世代を超えた影響についての心配がある」と米国国立がん研究所がん疫学と遺伝学部長の遺伝学者Stephen Chanockはいう。

ウクライナのチェルノブイリ原子力発電所第4反応炉の爆発は1986年4月26日だった。その後の火事で放射性物質を含むプルームが欧州一帯に拡散した。原子炉の労働者二人が爆発で死亡し、28人の消防士が急性放射線障害で死亡した。他にたくさんの人が放射性核種に暴露され、その影響は徐々に明らかになった。電離放射線はDNAを切断し、放射性ヨウ素は事故から5年経って子どもや青少年の甲状腺がんを引き起こし始めた。他に白血病や心血管系疾患との関連を報告する研究もある。

生殖細胞の突然変異への懸念は長い影を落とした。親は通常子どもに、精子や卵子のDNAに生じたそのような突然変異を50から100、伝達する。このようなデノボ突然変異(DNMs)といわれるものの数を増やすこれまでわかっている唯一のリスク要因は父親の年齢で、高齢であるほど精子のDNMsは多い。DNMsは必ずしも有害とは限らないが、いくつかはある種の自閉症やその他の発達障害と関連する。動物実験で放射線暴露が生殖細胞に影響することが不安を高めた:例えばマウスに放射線を当てると暴露されていないマウスよりDNMsが増えた。しかしこれまでの研究は、放射線がヒトの生殖系列DNAに永続する傷害を与えるかどうかについて明確な答えを出さなかった。

約8年前、ChanockはBazykaらと放射線暴露された親子のDNMsを調べるために協力することにした。父親がチェルノブイリの原子炉のクリーンアップ作業に関与した家族や親がPripyatのような近くの居住地から避難した家族を追跡した。研究者らは被曝量を厳密に推定した。男性の線量はゼロから4グレイ、女性はゼロから550ミリグレイになった。

彼らのチームは1987年から2002年に生まれた130人の子どもと105組の親のゲノムの配列を決定し、DNMs数は一般人と変わらなかった-たとえ最大線量でも。

(以下略)

 

-電子タバコとタバコを両方使うことは呼吸器症状リスクの高さと関連する

Use of e-cigarettes plus tobacco cigarettes linked to higher risk of respiratory symptoms

22-APR-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-04/mgh-uoe042221.php

American Journal of Respiratory and Critical Care Medicineに発表されたアメリカの国民を代表する縦断研究であるPATH研究の12才以上の20882人の情報の解析。どちらか片方のみを使用している人に比べて両方使っている場合、呼吸器症状を経験する可能性が高い。禁煙のための電子タバコを使う場合は完全に切り替えることを薦める

 

その他

-Nature ダイジェスト 2021年4月号 注目のコンテンツ

稀な接触感染、続く徹底消毒

表面を介した接触感染は、SARS-CoV-2の主要な伝播経路ではないことが示されているが、我々はなぜ今も徹底的な消毒を続けているのか。

http://fc3949.cuenote.jp/c/acmmaknmmsbLcqbJ

(日本語)

 

-オーガニック種(たね)の神話を打ち砕く

Busting Myths on Organic Seeds

April 12, 2021

https://thefarmersdaughterusa.com/busting-myths-on-organic-seeds/

あなたは庭にオーガニックのたねを買う必要がある?毎年庭にこの手の馬鹿げたギミックが増えているようだ。いくつかの神話をすっきりさせよう。

・種にオーガニックと表示できるかどうかは親の植物による。親の植物がオーガニック用の農薬だけ使っていればその種はオーガニックと表示できる。親の植物に普通の農薬を使っていればオーガニックとは表示できない

・でもオーガニック農家がいつもオーガニック種を使っているわけではないことは知っておく価値があるだろう。彼らは十分な種が手に入らないときは普通の種を使ってその生産物をオーガニックと表示できる

・この写真は同じ品種の同じバジルである(オーガニックと表示してあるものは量が少なく値段が高い)。オーガニックで得るものは何もなく、値段が高いだけ

・オーガニックの種を使ってもより良い植物ができたり栄養が多くなったりしない。また化学物質暴露量にも影響しない

・家庭菜園用のGMO品種は通常ない。種の小袋にノンGMOと書いてあるものがあるが、GMOは一般的にプロ用に大量で販売され、使用者は書類が必要である