2021-05-06

[EFSA]農薬の累積暴露評価の結果に関する優先順位付け方法の影響の可能性

Potential impact of prioritisation methods on the outcome of cumulative exposure assessments of pesticides

EFSA Journal 2021;18(4):EN-6559 27 April 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/supporting/pub/en-6559

この報告書では農薬の累積暴露評価の結果に関する優先順位付け方法の潜在的な影響を述べている。この方法は累積評価グループ(CRAs)設定の面倒な作業を減らすことを目的としている。優先順位付け方法は2段階からなる:1)優先順位の低い物質の同定、2)優先される臓器の同定。第1段階は、神経系の急性影響や甲状腺の慢性影響に関する単一物質のハザード比(HQ)の閾値に基づき、優先順位の低い物質の同定を目的としている。このために、210物質と10調査での慢性と急性のHQsの確率論的計算が行われたる。4つの異なる閾値、すなわち、暴露の99パーセンタイルでHQ 0.1以上、または暴露の99.9パーセンタイルでHQ 0.01、0.1、0.2以上、で優先される農薬が維持されていた。第2段階では、神経系と甲状腺の評価グループ(AGs)が集められ、これらの臓器で得たリスク指標が特定の影響でより高次AGsのリスクと比較された。標的臓器レベルでの重大影響を用いたAGsのリスク評価(すなわち物質の健康影響に基づく指標値を用いる)は実現可能と結論づけられた。優先順位付けの閾値が対象となる臓器レベルでのAGsに、また、特定影響レベルでのAGsに適用された。物質を保持するために99.9パーセンタイルでHQ 0.1以上の優先順位付けの閾値がこれらのAGsに利用できた。それは、総暴露マージンにの実質的な影響を与えることなくAG神経系の物質の数を50%に、AG甲状腺の物質の数を70%に減らした。結論として、優先順位付け方法は、高レベルの保護を提供しながら、CRAを簡素化するために使用でき、費用対効果の高いアプローチに貢献する可能性がある。

 

 

[EU]RASFF 25/04/2021~01/05/2021

警報通知(Alert Notifications)

オーストリア産食料品ではない一般的なセントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ)、ナイジェリア産チリペッパー粉末の未承認着色料オレンジⅡ(>0,50 mg/kg)、ギリシャ産オレンジのクロルピリホス(0,06 mg/kg)、エクアドル産冷凍エビの串焼きの亜硫酸塩非表示、ドイツ産食品サプリメントのβカロチンの含有量増加、エジプト産ディルの葉芽のクロルピリホス(0,18 +/ 0,088 und 0,17 +/- 0,087 mg/kg)、インド産有機グアーの未承認物質エチレンオキシド(3,2 mg/kg)、オランダ産スパイスペーストの未承認物質エチレンオキシド(1,8 mg/kg;0.27 mg/kg;0.19 mg/kg)、ドイツ及びオランダ産オランダから発送した米粉のアフラトキシンB1(5,7 ± 2,5 µg/kg)、フランス産クルクマの不適格分析結果(ETO含有)、フランス産グリーンペッパーの不適格分析結果(エチレンオキシド1,89 mg/kg含有)、シリア産ゼリーミニカップの窒息リスク、インド産グアーガムのエチレンオキシド(0,57 mg/kg)、ウズベキスタン産リトアニア経由レーズンのオクラトキシンA(17.7 ± 1.8 µg/kg)、エジプト産オレンジのクロルピリホス-エチル(0.027+-0.013 mg/kg)、スペイン産カニの亜硫酸塩非表示及び添加物法違反(132 mg/kg)、ゴマ種子のエチレンオキシド、タイ産オランダ経由センノシド高含有茶、中国産有機スピルリナ粉末のエチレンオキシド(0,068 mg/kg)、

注意喚起情報(information for attention)

シリア産酢漬けのカブのローダミンB(10 mg/kg)、コートジボワール産チルドブリ(Seriola carpenteri)フィレの水銀(0,7 +/- 0,11 mg/kg)、ラオス産パセリのクロルピリホス(0,032 mg/kg)・残留農薬(0,04 mg/kg)・未承認物質フィプロニル(0,013 mg/kg)・未承認物質ヘキサコナゾール(0,039 mg/kg)・ルフェヌロン(0,074 mg/kg)および未承認物質フェントエート(0,008 mg/kg)、イラン産ディルの未承認物質カルベンダジム(0.65 mg/kg)・クロルピリホス-メチル(1.1 mg/kg)およびテトラコナゾール(0.055 mg/kg)、エジプト産ペッパーの未承認物質クロロタロニル(0.31 mg/kg)、インド産飼料添加物用原料のテトラサイクリン(174 / 84 / 81 / 45 mg/kg)、パキスタン産レーズンのオクラトキシンA(99.8 µg/kg)、シンガポール産カイエンヌペッパーのアフラトキシンB1(9,0 µg/kg, 8,8 µg/kg)、中国産食品サプリメントの未承認物質タダラフィル(147 g/kg)およびシルデナフィルチオノ類似物(244 g/kg)、

フォローアップ用情報(information for follow-up)

オランダ産鳥用飼料のカンタキサンチン、産出国不明食品サプリメントの未承認新規食品成分イカリソウ、中国産生鮮梨のクロルピリホス(0,023 +/- 0,012 mg/kg)、

通関拒否通知(Border Rejections)

英国産ニオイテンジクアオイ抽出物含有飲料、トルコ産生鮮ペッパーのピリダベン(1.512+/-0.756 mg/kg)、トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル(0,096+/-0,048 mg/kg)及びテブフェンピラド(0,162+/-0,081 mg/kg)、中国産ゴマ種子のエチレンオキシド(0.31±0.15 mg/kg)、ウガンダ産ペッパーの未承認物質カルベンダジム(0,88 ± 0,44 mg/kg)および未承認物質プロフェノホス(0,026 ± 0,013 mg/kg)、トルコ産生鮮ペッパーのホスチアゼート(0.260+/-0.130 mg/kg)、セネガル産ピーナッツバターのアフラトキシン(B1= 9,4 µg/kg, total= 10,7 µg/kg)、イラン産ピスタチオの法の限度を超えたアフラトキシン(total= 14.7 µg/kg, B1= 12.0 µg/kg)、インド産ピーナッツ穀粒のアフラトキシン(B1= 16 µg/kg, total= 17 µg/kg)、ボリビア産ピーナッツのアフラトキシン(B1= 9.5 and 4.4 µg/kg, total= 11 µg/kg)、イラン産トルコから発送したピスタチオのアフラトキシン(total= >24.0 μg/kg ± 25.9 % µg/kg, B1= >24.0 μg/kg ± 20.4 % µg/kg)、エジプト産ザクロの未承認物質シフルトリン(0.16 mg/kg)、トルコ産ペッパーのテブフェンピラド(0,476+/-0,238 mg/kg)、ベトナム産乾燥ホンダワラ及び乾燥アイリッシュモスの未承認新規食品成分(海藻)、ジョージア産ヘーゼルナッツのアフラトキシンB1(9,79 ± 2,45 µg/kg)、エジプト産生鮮オレンジのクロルピリホス(0,022+/-0,011 mg/kg;0,023+/-0,012 mg/kg)、エジプト産ピーナッツのアフラトキシン(B1= 20 µg/kg, total= 23 µg/kg)、アルバニア産イチゴのテブコナゾール(0,090 +/-0,045 mg/kg)、エジプト産生鮮オレンジのクロルピリホス(0,082 +/- 0,041;0,084 +/- 0,042 mg/kg)、

 

[NASEM]PFAS検査と健康アウトカムについてのガイダンス

Guidance on PFAS Testing and Health Outcomes

https://www.nationalacademies.org/our-work/guidance-on-pfas-testing-and-health-outcomes?mc_cid=3a8cee3865&mc_eid=7331362e8f

臨床対応者向けタウンホールミーティング開催案内

検査を誰にどう行うのか、その結果をどう伝えどう助言するのか、検査の害などについて

 

 

論文

-食事からの終末糖化産物摂取と肝胆道がんリスク:多国コホート研究

IARC

Dietary intake of advanced glycation endproducts and risk of hepatobiliary cancers: a multinational cohort study

4 May 2021

https://www.iarc.who.int/news-events/dietary-intake-of-advanced-glycation-endproducts-and-risk-of-hepatobiliary-cancers-a-multinational-cohort-study/

International Journal of Cancerに発表されたEPIC研究。食事からのAGEs摂取量の多さは肝細胞がん(HCC)と逆相関、胆嚢がんとは正の関連。

HCCとAGEsの逆相関は著者等の仮説とは違うが、関連は頑健であった。

 

-学校向けの新しいガイドラインは食品の禁止をしないよう助言

New guidelines for schools recommend against food bans

5-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/mu-ngf050321.php

職員には食物アレルギーの教育をしてアナフィラキシー治療用のエピネフリンを用意

Journal of Allergy and Clinical Immunologyに発表された保育園や学校でのアレルギー予防管理実践ガイドライン

特別な場合を除き、「ナッツフリー学校」や「ミルクフリーテーブル」のような全校制限は勧めない

(カナダはアレルギーの人がいるとその食材の禁止みたいな対策をやるところがあった。日本ではあまり聞いたことがない。)

 

-PTSDは過剰診断されているか?

Is PTSD overdiagnosed?

5-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/b-ipo050421.php

専門家が今週のBMJで議論する

 

-COVID-19についての初期の専門家の予想はどのくらい正確だったか、そして一般人と比べてどうか?

How accurate were early expert predictions on COVID-19, and how did they compare to the public?

5-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/uoc-haw050421.php

2020年4月に英国の専門家140人と一般人2086人に、2020年末までにCOVID-19感染者や死者がどのくらいで、その予想の信頼度はどのくらいかを尋ねた。PLOS ONEに発表されたその結果は、パンデミックの予想がどれほど難しいかを明らかにした。

(意地悪な研究)

 

-国際専門家グループが「ポストバイオティクス」の同意した定義を発表

International group of experts publish consensus definition of 'postbiotics'

5-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/isaf-igo050521.php

新しい論文が新興カテゴリーであるポストバイオティクスの重要な特徴を明らかにし、それがプロバイオティクスとどう違うのかを明確にする

Nature Reviews Gastroenterology & Hepatologyに発表

ポストバイオティクスは「宿主に健康上の利益をもたらす、生きていない'inanimate'微生物および/またはその成分からなる調整品」

ポストバイオティクスは必ずしもプロバイオティクス由来である必要はない

酪酸や抗生物質のような、微生物由来の精製品もポストバイオティクスになると考える人もいるかもしれないが、それらは化合物名で呼ぶべきである

ポストバイオティクスは既に長い間日本で市販されている

 

-多くの消費者が食品の日付表示を誤解している、しかし自信を持って使っている

Many consumers misinterpret food date labels, yet use them with confidence

6-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/e-mcm050421.php

Journal of Nutrition Education and Behaviorに発表された米国成人の調査。

賞味期限と消費期限の違いは、教材を読んだ後でも自信たっぷりに間違う。

(食品に日付が書いてあったら自動的にそれを過ぎたらダメだと理解されるということなんだろう)

 

-WHO紀要

Bulletin of the World Health Organization

Volume 99, Number 5, May 2021, 321-404

https://www.who.int/bulletin/volumes/99/5/en/

 

-エッセンシャルオイル関連発作(EORS):成人のエッセンシャルオイルと発作についての多施設前向き研究

Essential oil related seizures (EORS): A multi-center prospective study on essential oils and seizures in adults

ThomasMathew et al.,

Epilepsy Research Volume 173, July 2021, 106626

https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0920121121000796

ユーカリや樟脳のようなけいれん誘発性エッセンシャルオイルの局所使用による発作の調査。4病院で、始めて発作を起こした患者にエッセンシャルオイルの使用について尋ねたところ4年間で55人の患者が同定された。

 

-認識されている食物不耐の心理学的、臨床的、社会心理学的関連の系統的レビュー

A systematic review of psychological, clinical and psychosocial correlates of perceived food intolerance.

De Petrillo A, et al.,

J Psychosom Res. 2021 Feb;141:110344.

認識されている食物不耐(PFI)は3-35%の人が報告するが食物アレルギーの有病率は0.9-3%である。PFIは一貫して女性に多くしばしば消化管および消化管以外の身体的健康問題を伴うが心理学的要因との関連は一貫しない。限定的な質の高い研究では心理学的要因を示唆するがさらなる質の高い研究が必要。

 

-COVID-19パンデミック中に汚染のあるハンドサニタイザーを飲んでメタノール中毒で死亡する地理的に異なる事例

A Geographically Distinct Case of Fatal Methanol Toxicity from Ingestion of a Contaminated Hand Sanitizer Product During the COVID-19 Pandemic.

Overbeek DL et al.,

J Med Toxicol. 2021 Apr;17(2):218-221.

米国南西部のアウトブレイクについて。飲んだ理由は家族に飲酒を隠すためで、アルコール使用疾患の再発。

(アル中の人の周りにアルコールを置くのは危険)

 

Nature

-ニュース

マイクロプラスチックはどこにでもある-しかしそれらは有害なのか?

Microplastics are everywhere — but are they harmful?

04 MAY 2021  XiaoZhi Lim

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01143-3

科学者は海洋動物と我々の中にあるこの小さなプラスチックの研究を急ぐ

環境エンジニアDunzhu Liはプラスチック容器に入った昼食を電子レンジで温めていたが、同僚と一緒にプラスチック容器からお湯にマイクロプラスチックが出ることを発見してから止めた。Trinity College DublinのLiらは哺乳瓶にお湯を入れて振ると赤ちゃんが百万個以上のマイクロプラスチックを飲みこむと計算した。

Liらが知らないことはそれが危険なのかどうか、である。誰もが砂や埃を吸い込んだり食べたりしていて、それにプラスチックが少し加わると害があるのかどうかわからない。飲み込んだもののほとんどは消化管を通り過ぎるだけで終端から出るだろう、と英国Exeter大学の環境毒性学者Tamara Gallowayはいう。Liは「リスクの可能性は高いかもしれない」という。

研究者らはマイクロプラスチックの害の可能性について約20年心配してきた-多くは海洋生物への影響だが。

規制担当者は人々の健康へのリスクを定量化するための一歩を踏み出した。カリフォルニア州環境保護庁の一部門であるカリフォルニア水資源管理委員会は飲料水中のマイクロプラスチック濃度を定量する標準法を発表した世界初の規制当局である。しかし定量よりさらに難しいのは健康影響評価である。マイクロプラスチックの形状や化学組成は多様で、特定素材での実験が環境中に存在するものの影響と同じである可能性は低い。

一つだけ明確なことは、問題は大きくなる、ということである。

有害影響の機序

研究者らは有害影響を起こしうる可能性についていくつかの理論を提示している。細胞内に入るほど小さければ異物として刺激性があるかもしれない。アスベストやPM2.5、PM10のように。しかし空気中のPM10の量はマイクロプラスチックの数千倍以上である。

化学毒性を生じるには大きなマイクロプラスチックのほうが量が多いので可能性は高くなる。しかし放出量は体内滞留時間によるだろう、それはわかっていない。また汚染物質を吸着するとしても、動物は食品からそのようなものを飲み込んでいて、もしマイクロプラスチックが汚染を吸着するなら排出に役立つ可能性もある。科学者は汚染物質を吸着したマイクロプラスチックの有害性について合意していない。

(以下長い記事。)

 

-米国で初めて遺伝子組換え蚊が放出される

First genetically modified mosquitoes released in the United States

03 MAY 2021 Emily Waltz

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01186-6

Oxitecが何年にもわたる住人の抵抗と複雑な規制の後、議論の多い野外試験を開始

規制認可と人々の受容を求めて10年、米国で初めて遺伝子組換え蚊が放出される。Florida Keysで今週始まった実験は、ジカ熱やデング熱、チクングニヤ熱、黄熱のような病気を運ぶネッタイシマカAedes aegyptiの抑制方法を調べる。英国に本社があるOxitecはこれまでブラジル、パナマ、ケイマン諸島、マレーシアで野外試験を行っている。

Florida Keysの蚊のうち約4%がネッタイシマカであるが、ほぼ全ての蚊が媒介する病気の原因である。組換え雄は子どもに伝えられると雌が幼生初期に死亡する遺伝子をもつ。雄の子どもは死なないが将来世代にさらに遺伝子を伝えるキャリアになる。雌が死ねば死ぬほどネッタイシマカの数は減るだろう

Florida Keys蚊コントロール地域(FKMCD)では2009年以降デングとジカ熱の地域流行がおこっている。GM蚊は殺虫剤の代用である。近年耐性のために使える殺虫剤が減ってきていた。そのため新しい方法を必要としている。しかし住民の一部は激しく反対した。破壊活動を恐れて、蚊の箱を置く場所は非公開。

 

-中国のCOVIDワクチンは世界へ-しかし疑問は残る

China’s COVID vaccines are going global — but questions remain

04 MAY 2021   Smriti Mallapaty

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01146-0

WHOは中国の二つのワクチンの世界的使用のレビューを行っていて間もなく決定されるだろう。しかし発表された試験データは少ないままである。

WHOは中国の二つのワクチンの認可を検討中だが、中国の5つのワクチンは既に使われている

 

-エディトリアル

インド、ブラジル、そして科学を二の次にすることの人的損失

India, Brazil and the human cost of sidelining science

04 MAY 2021

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01166-w

 

-ワールドビュー

インド政府はCOVIDについて科学者の意見を聞くべき

Indian government should heed its scientists on COVID

30 APRIL 2021  T. V. Padma

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01140-6

(インドの疫学モデルでパンデミックは終わったと予想された、とあるので聞いていたつもりなのかもしれない。AYUSH省もホメオパシーが有効と言ってたし)

 

Scienceニュース

「ハードルが多すぎる」:インドの科学者がCOVID-19データを公開するよう政府に請願

‘There are so many hurdles.’ Indian scientists plead with government to unlock COVID-19 data

By Priyanka PullaMay. 4, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/05/there-are-so-many-hurdles-indian-scientists-plead-government-unlock-covid-19-data

政府機関が集めた検査やゲノム配列データへのアクセスを改善するよう求めた、インドの740人の科学者が署名した公開文書が4月29日に発表された。

次の日に政府の主任科学アドバイザー事務所のK. VijayRaghavanが問題を認識しアクセス改善を約束するメモを公表した。しかし一部の科学者は疑っている

 

THE LANCET

-メルケルの新たなロックダウン権力を巡る議論

Controversy surrounds Merkel's new lockdown powers

Rob Hyde

THE LANCET WORLD REPORT| VOLUME 397, ISSUE 10285, P1610, MAY 01, 2021

議会で承認を得てドイツ首相はCOVID-19抑制のために地方にロックダウンを強制できるようになった

第二次世界大戦後にできたドイツの1949憲法は、中央政府によるコントロールの権限を制限して地方自治体に任せるようにデザインされた。71年後、ドイツの各州は半自治となっている。先週まではドイツの16の州は独自のCOVID-19対策を行うことができた。その結果が州により異なる規制だった。感染率が急増してメルケル首相は16州知事にドイツ全域でのより厳しいロックダウンという彼女の指示に従うことを求めた。それができないとわかって、彼女は方針を変えて議会に地方自治体を強制ロックダウンさせる法的権限を求めた。これは大きな議論を呼び、投票日には1万人の抗議者と2200人の警察官の衝突が起こり、警官29人が怪我をし230人が逮捕された

(以下賛否両論。州ごとの規制の違いより、規制に反対する人の行動が問題、で閉める)

 

-専門家がインドのCOVID-19を巡る自己満足を批判

Experts criticise India's complacency over COVID-19

Anoo Bhuyan

THE LANCET WORLD REPORT|VOLUME 397, ISSUE 10285, P1611-1612, MAY 01, 2021

患者と死亡者が急増しているのに大規模集会が認められていて専門家は対応の計画性と柔軟性の無さを批判する。ニューデリーからAnoo Bhuyanがレポートする

 

-スウェーデンのCOVID-19戦略再び

The Swedish COVID-19 strategy revisited

Mariam Claeson, Stefan Hanson

THE LANCET VOLUME 397, ISSUE 10285, P1619, MAY 01, 2021

2020年12月にスウェーデンのCOVID-19パンデミック対応について、世界的優良規範に従うように書いたがスウェーデンはそうしなかった。今回再びスウェーデンに休校や厳しい対策を求める。

 

その他

-コンシューマーラボ

製品レビュー:カリウムサプリメント

Potassium Supplements Review

05/01/2021

https://www.consumerlab.com/reviews/potassium-supplements-review/potassium/

カリウムサプリメントに注意。問題が見つかった

表示の2.5倍量、溶出しない、など

 

-COVIDは似非科学の最悪の事態を作り出した

COVID Has Created a Perfect Storm for Fringe Science

By David Robert Grimes on April 26, 2021

https://www.scientificamerican.com/article/covid-has-created-a-perfect-storm-for-fringe-science/

それは常に我々とともにあった、しかしパンデミックの時に、それは増幅されて深刻な害を引き起こす

COVIDに関するデマの爆発はパンデミックの一側面を規定する。ウイルスそのものの脅威と一緒に、インフォデミックは我々に影を落とす。そのこと自体はよく知られている、しかしあまり知られていないのは見かけ上の「専門家」が危険な空想を振りまいていることである。危機の初期から、有名な科学者がソーシャルメディアでデマをふりまき教祖となっている。

例えば昨年3月、医師Thomas CowanがCOVID-19は5G電磁波が原因だと主張した。ドキュメンタリーPlandemicではウイルス学者Judy Mikovitsがコロナウイルスは計画されていたデマだと主張して数百万人のビューを集めた。ノーベル賞受賞者Luc MontagnierもCOVIDは作られたと主張した。ヒドロキシクロロキンからイベルメクチンやビタミンDや代替療法まで、効果のない治療法を宣伝する医師や研究者はたくさんいる。ワクチン反対団体も世界中にあって、例えば「世界医師同盟“World Doctors Alliance”」などがある。

疑似専門家の増加は、我々の情報の扱い方の変化の症状であろう。自分自身が情報のキュレーターになる傾向が高くなるにつれて、これまでの伝統的情報チェック機能が脇に追いやられるようになった。その結果、分断が進み、事実と意見の区別がしにくくなり、バイアスの影響が大きくなる。

我々は「科学」と「科学者」を区別する必要がある。個々の「科学者」は無謬とはほど遠く、人間的な動機で動く。しかし「科学」は根拠の総合である

(一部のみ。)

 

-イチョウはCOVID-19治療法として示されていない

Ginkgo Has Not Been Shown to Treat COVID-19

Jonathan Jarry M.Sc. | 5 May 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/covid-19-health/ginkgo-has-not-been-shown-treat-covid-19

サプリメント業者に騙されないように

サイエンスコミュニケーション界隈でますます良く聞くようになった単語がある:pre-bunking(事前デマ否定)である。デマや誇大宣伝は多く、我々は遅れまいとしているが、プレバンキングは事前に人々にインチキの兆候を警告することである。心理的予防接種のようなものである。

そこで少し試みてみよう。数日前にイチョウの葉での実験室での研究論文が出版された。これはCOVID-19治療薬の開発のごく初期段階であるが、サプリメントの宣伝に使われるだろう。彼らはCOVID-19治療や予防のナチュラルな方法、と宣伝するだろうがそのようなことは示されていない

(以下長い説明)

 

-民間臍帯血バンクの「一生に一度の」ギャンブル

The “Once-in-a-Lifetime” Gamble of Private Cord Blood Banks

Jonathan Jarry M.Sc. | 29 Apr 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/health/once-lifetime-gamble-private-cord-blood-banks

一部の企業が誇大宣伝満載であなたに臍帯血をお金を払って冷凍しなければ、と思い込ませている

かつて死体を冷凍保存する「クライオニクス」が流行したときのことを思い出す。今流行しているのは臍帯血バンクである。あなたがもうすぐ親になる予定ならその広告をみたことがあるだろう。企業に初期費用1000ドルと毎年の料金を払うと、いつかあなたの子どもが恐ろしい病気になった時のために臍帯血を保存できるという。それは科学的に妥当なのか?

(以下説明略。役にたつ可能性は極めて低い)

 

-「私は銃を持ったボディーガードと一緒にいなければなりませんでした」―パンデミックの間に起きた研究者への攻撃

2021年4月15日 Nature Medicine 27, 4 doi: 10.1038/s41591-021-01314-9

https://www.natureasia.com/ja-jp/nm/27/4/s41591-021-01314-9

(ここでは特にクロロキンを巡る状況が取り上げられている)

 

-NZ SMC

この国にとって乾燥した冬は何を意味する?-専門家の反応

What would a dry winter mean for the country? – Expert Reaction

05 May 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/05/05/what-would-a-dry-winter-mean-for-the-country-expert-reaction/

ニュージーランドは乾燥した冬を迎えようとしている。その影響は?以下の分野について専門家の意見を求めた

地方のコミュニティーと農業にとって

水文学

環境

(専門家の意見略)

 

シドニーからニュージーランドへのフライト一時停止--専門家の反応

Flights paused from Sydney to NZ – Expert Reaction

06 May 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/05/06/flights-paused-from-sydney-to-nz-expert-reaction/

NSWでリンク不明の感染者が一人みつかったため