2021-05-18

[ANSES] マスのグリホサート急性暴露の影響

Consequences of acute exposure to glyphosate in trout

07/05/2021

https://www.anses.fr/en/node/149301

ANSESにより実施された研究は、グリホサートの高濃度の暴露によりマスのウイルス感染への耐性が低下することはないと示す。しかし、化学物質と感染の2つのストレス要因の組み合わせは、魚のエネルギー代謝の一部酵素の活性を変化させた。

純品か補助剤を混合した低用量のグリホサートの慢性暴露る影響の試験の後、ANSESのプルフラガン-プルザネ-ニオール研究所の魚のウィルス性疾患ユニットの科学者たちは、生後5か月のマスを4日間、1リットルあたり500µgの濃度のグリホサートを含む水にさらした。この濃度は、欧州食品安全機関(EFSA)により設定されたニジマスの半数致死量(38 mg/l)(半数が死に至る)の75分の1である。グリホサート純品と2つのグリホサートベースの除草剤製剤を使用し実施した実験では、マスの大きな生理的な変化にはつながらなかった。

グリホサートとその後ウィルスへの暴露:二重の暴露

マスは有意な変化を見せなかったが、グリホサートおよび/または補助剤の暴露の影響は魚に第二の環境ストレス要因に対処できにくくなる代謝コストがあった可能性がある。化学物質暴露試験に続き、研究者はマスのウイルス感染への耐性能力を調べた。

化学物質暴露のグループと非暴露のグループは、ウイルス感染による致死率は60%と67%であり、致死率における有意な相違は観察されなかった。しかし、2つのストレス要因が組み合わさると、エネルギー代謝に関連する多くの酵素の活性に影響を与えた。例えば、ウイルス感染後96時間は、酸化的傷害修復に関わるG6PDH酵素の活性が、純粋なグリホサートに暴露したマスで65%上昇し、除草剤製剤の1つに暴露したグループで138%上昇した。もうひとつの酵素であるアセチルコリンエステラーゼの活性は、純粋なグリホサートへの暴露で62%上昇し、2つの除草剤製剤のうちの1つへの暴露で79%上昇した。もうひとつのほかの製品への暴露したグループは対照群と同じであったものの。これらの結果は、動物への化学物質の影響を評価するうえで、感染性因子のような環境要因を考慮する重要性を確認する。

詳細

閲覧文献:「Immunological and metabolic effects of acute sublethal exposure to glyphosate or glyphosate-based herbicides on juvenile rainbow trout, Oncorhynchus mykiss(若いニジマスに関するグリホサートあるいはグリホサートベースの除草剤への急性致死量以下の暴露の免疫学及び代謝の影響)」(https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0048969721022324

(薬物暴露で薬物代謝酵素が誘導されても普通それを有害影響とは言わない、適応反応。何が何でも有害だと言いたいのだろう)

 

[HK] 法令違反

チーズのサンプルが栄養表示規則に違反

Cheese sample not in compliance with nutrition label rules

Friday, May 14, 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20210514_8686.html

米国産チーズのサンプルにトランス脂肪酸が0g/28gという表示のところ0.73 g/100g検出された。

 

[TGA]法的任務:Chemforce Pty Ltd

Enforceable undertaking: Chemforce Pty Ltd

17 May 2021

https://www.tga.gov.au/compliance-undertaking/enforceable-undertaking-chemforce-pty-ltd

オーストラリアで認可されていない製品('RibaMin')をCOVID-19治療薬として宣伝した広告表示違反によりChemforce Pty Ltdに法的措置。

 

[SFA] 食品施設内での食事の中止

Cessation of Dine in for F&B

14 May 2021

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/default-document-library/heightened-measures-cessation-of-dine-in-for-f-b-establishments---14-may-2021e4eda9f90c2445659c3e6467c988eab9.pdf

警告が強化され、2021年5月16日から6月13日まで食品施設内での食事を中止とする。

https://www.sfa.gov.sg/docs/default-source/covid/advisory_safe-management-measures-for-fb_reopening.pdf

 

[FSAI] Breakfast Bite 6月3日:食品事業での安全な食品管理方法

Breakfast Bite on 3rd June: How to manage food safety in your business

Friday, 14 May 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/breakfast_bite_030621.html

オンラインウェビナー。世界食品安全デーを前に、食品事業での安全な食品管理方法の説明を行う。

 

[FDA]コロナウイルス(COVID-19)更新

Coronavirus (COVID-19) Update: May 14, 2021

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/coronavirus-covid-19-update-may-14-2021

(一部)

・FDAはCOVID-19関連の不正表示の未承認製品(二酸化塩素溶液や珪藻土粉末)を販売するCrown Wellness, Inc.に警告文書を発した。

 

[IARC]中国がIARCに参加

China joins the International Agency for Research on Cancer

17 May 2021

https://www.iarc.who.int/news-events/china-joins-the-international-agency-for-research-on-cancer/

27カ国目として歓迎

 

[IARC]IARCサマースクール2021が今日から開始、最初のモジュールは「がん疫学入門」

IARC Summer School 2021 starts today with the first module: “Introduction to Cancer Epidemiology”

17 May 2021

https://www.iarc.who.int/news-events/iarc-summer-school-2021-starts-today-with-the-first-module-introduction-to-cancer-epidemiology/

(普通にみることができる)

 

[WHO]WHO 2022-2030食品安全世界戦略案

DRAFT WHO GLOBAL STRATEGY FOR FOOD SAFETY 2022-2030

Towards stronger food safety systems and global cooperation

https://cdn.who.int/media/docs/default-source/food-safety/public-consultation/draft-who-global-strategy-for-food-safety-13may2021.pdf?sfvrsn=ac480bb9_5

 

パブリックコメント募集

Public consultation on the Draft WHO Global Strategy for Food Safety

https://extranet.who.int/dataformv3/index.php/927856?lang=en

 

全ゲノムシークエンシングを使えと言っている。新興リスクに能動的に対応せよ、フードチェーン全体から集めた情報を使ってリスクに基づいたアプローチを、科学的根拠を使う能力を育むこと、関係者の参加とリスクコミュニケーションを強化、フードチェーン全体の安全性を強化するために規制によらないやりかたを採用、食品安全文化の涵養、消費者教育、等

(日本は全部足りない)

 

[WHO]欧州地域の伝統食品市場の安全で健康的な食品

S A F E  A N D HEALTHY FOOD I N  T R A D I T I O N A L FOOD MARKETS  I N T H E W H O EUROPEAN REGION

https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/340954/WHO-EURO-2021-1854-41605-56825-eng.pdf

テクニカルレポート

段階的に食品安全の取り組みを進めていくガイダンス

欧州でも一部に生きた動物を売る食品市場がある、COVID-19対策も含む

 

[ASA]世界的に広告自主規制を強化する憲章

Charter to strengthen advertising self-regulation globally

17 May 2021

https://www.asa.org.uk/news/charter-to-strengthen-advertising-self-regulation-globally.html

ASAも加盟する国際広告自主規制評議会(ICAS)が、世界の消費者と事業者に利益をもたらすために協力、一貫性、統一性を高めることで世界的広告自主規制を強化する憲章を採択した。

Charter

https://icas.global/wp-content/uploads/ICAS-Charter-Final.pdf

 

[FTC]FTCは詐欺的CBDマーケティングを止めるための最新の執行活動を発表

FTC Announces Latest Enforcement Action Halting Deceptive CBD Product Marketing

May 17, 2021

https://www.ftc.gov/news-events/press-releases/2021/05/ftc-announces-latest-enforcement-action-halting-deceptive-cbd

アリゾナのKushly Industries LLC社とその一人だけの幹部Cody Altと、詐欺的宣伝をしないことと消費者への返金に3万ドル以上を払うことで合意した。CBDがあらゆる病気を治療すると宣伝していた。

この件はFTCのCBD対応の7例目にあたる。

 

-ビジネスブログ 

FTCとCBD:証明されていない健康強調表示に対する最新の対応事例

FTC and CBD: Latest case challenges unproven health claims

By: Lesley Fair | May 17, 2021

https://www.ftc.gov/news-events/blogs/business-blog/2021/05/ftc-cbd-latest-case-challenges-unproven-health-claims

FTCは2020年12月にCBD製品への取り締まりを強化するOperation CBDeceit(CBD詐欺作戦)を発表している

 

論文

-処方魚油由来の血中オメガ3濃度の高さは心血管系イベントに影響しない

Higher blood levels of omega-3 fatty acids from prescription fish oil showed no effect on CV events

16-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/acoc-hbl051621.php

EPAとDHAを高くしてもアウトカムに影響しなかった

米国心臓病学会第70回年次会合に発表され同時にJAMA Cardiologyに発表されたSTRENGTH試験の二次解析。1年間毎日処方薬レベルのEPAを使用して血中濃度が最も高くなった心血管系イベントリスクの高い人の主要心血管イベントは、コーンオイルを使ったプラセボと同程度だった。

(もともとの試験はEPAとDHAを使っていてそれで差はない)

 

-米国の娯楽用大麻合法化が違法薬物市場をどう変えたかについての新しい研究

New study of how US recreational cannabis legalization could change illegal drug markets

17-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/sfts-nso051221.php

2021年時点で米国の17の州とコロンビア特別区が21才以上の人に娯楽用に大麻を所有・使用することを認めている。これによりこれらの州では以下のようなことがおこった

・違法大麻の価格9.2~19.5%低下

・ヘロインの価格64%増加

・ヘロインの強度54%増加

・違法オキシコドンの価格7.3%増加

・違法ヒドロコドンの価格5.1%増加

・違法大麻の取り締まりによる押収93%減少

・ヘロイン、オキシコドン、ヒドロコドンの取り締まりによる押収50%以上減少

 

-画面を見る時間の危険性についての警告は正当な理由がない-新しい研究

Warnings on the dangers of screen time are ill founded -- New study

17-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/uob-wot051721.php

主要国際的レビューは、参加者にデジタルスクリーンタイムを自己申告させる研究は,精神衛生への影響についての信頼できる情報を提供しない、と結論

Nature Human Behaviour

 

-鉛暴露は例え比較的少量でもエピジェネティック変化を引き起こしうる

Exposure to lead can cause epigenetic changes even at relatively low levels

17-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/fda-etl051721.php

ブラジルの、鉛を使うバッテリー工場労働者での研究。ブラジルの法による規制値は血中鉛濃度60 μg/dlで、今回報告された85人の平均血中濃度は20μg/dl 。Frontiers in Genetics.

 

-アルコールの問題はひどく過小治療されている

Alcohol problems severely undertreated

17-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/wuso-aps051721.php

重度飲酒者は定期的に病院に行っているが,治療を受けているのは少ない

Alcoholism: Clinical & Experimental Researchに発表されたアメリカの研究。重度飲酒者はしばしばいろいろな理由で病院に行くが、アルコール使用疾患の治療を受けているのは10人中1人以下。

 

その他

-アロマテラピー:臭覚による「ヒーリング」

Aromatherapy: ‘Healing’ by the Scents of Smell

Joe Nickell

From: Volume 45, No. 3 May/June 2021

https://skepticalinquirer.org/2021/04/aromatherapy-healing-by-the-scents-of-smell/

香り付きキャンドルとアロマテラピーキャンドルの違いは何?答え:値段。大体10ドル。

冗談はさておき、普通の香料が、ヒーリングパワーーがあると宣伝されて売られると効くようになる。アロマテラピーは芳香化合物で身体や精神の健康を改善すると宣伝する疑似科学である。プラセボ以上の効果があるという医学的根拠が欠けている。

(以下詳細説明)

 

-ワクチンデマで儲けているあるネットワークの内部

Inside one network cashing in on vaccine disinformation.

By MICHELLE R. SMITH and JOHNATAN REISS APNews.com, May 13, 2021

https://apnews.com/article/anti-vaccine-bollinger-coronavirus-disinformation-a7b8e1f33990670563b4c469b462c9bf

「ワクチンについての真実」という一連の動画で「健康の自由のための戦いに参加しよう」と呼びかけてサプリメントを販売するBollinger夫妻の紹介。彼らの仲間にはRobert F. Kennedy Jrとその組織などが含まれる。右翼の反ワクチン反公衆衛生陰謀論を主張してお金を儲けている。

 

-「健康の自由運動」は医学デマを広げてCOVID時代に入った

THE ‘HEALTH FREEDOM MOVEMENT’ ENTERS THE COVID ERA BY DISSEMINATING MEDICAL DISINFORMATION

BY SUSANNAH CROCKFORD  MAY 13, 2021

https://religiondispatches.org/the-health-freedom-movement-enters-the-covid-era-by-disseminating-medical-disinformation/

陰謀論とデマを広めサプリメントや各種代替医療を販売する「健康の自由サミットHealth Freedom Summit」という組織と健康の自由運動について

健康に関するリバタリアニズム(自由至上主義)は,自由の名の下に中絶薬、安楽死、承認されていない抗がん剤、医療用大麻などを使えるようにしてきた。そしてビタミンやサプリメントを規制から外すのに成功した。そして今、COVIDに関する公衆衛生対策に反対している。