2021-06-01

[EU]査察報告

フィンランド―飼料衛生の公的管理

Finland 2020-7012―Official controls on feed hygiene

31/03/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4342

2020年9月2日~11月5日までのフィンランドの飼料衛生の公的管理システムのリモート査察の結果。概して、フィンランドの飼料衛生の公的管理システムはよく機能している。だが、他の加盟国の状況と似て、管轄機関によるHACCP-計画の管理者のハザード同定の包括性や管理者のサンプル保持についての評価が不十分で、管理システムの効果を弱めている。これは飼料製造業者への公的管理の体系的で不当な事前通知によって悪化している。

 

[EU]健全な肉体に健全な精神:パンデミックとそれ以降の精神の健康を増進する

A healthy mind in a healthy body: promoting mental health in the pandemic and beyond

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/items/711784/en

欧州委員会健康食品安全コミッショナーStella Kyriakidesがメンタルヘルスについて語る。目的の一つはメンタルヘルスを巡るスティグマと戦うこと

メンタルヘルスの貧しさのコストはどのくらい?

COVID-19パンデミックは人々のメンタルヘルスにどのくらい影響した?

健康は欧州委員会にとってますます重要になっている。EUの野心にメンタルヘルスはどう反映されている?

 

[EU]農場から食卓まで戦略:年次評価は農薬目標に向かって「ポジティブな前進」を示す

Farm to Fork strategy: Annual evaluation shows ‘positive step’ towards meeting pesticide targets

https://ec.europa.eu/newsroom/sante/newsletter-archives/32872

本日欧州委員会は農場から食卓まで戦略での農薬目標達成に向けた前進を示す最初の更新を発表した。その目標とは化学農薬の使用とリスクを50%削減しより有害な農薬の使用を50%減らすことである。

2015-2017年のベースライン期間に比べて2018年のEUの化学農薬の使用とリスクは8%減り2019年はさらに5%減った。これは2011-2016年の期間の毎年平均4%の定価に比べて好ましい。

またEUでの2019年のより有害な農薬(主に代用候補)の使用は2015-2017年のベースラインに比べて12%減った。農薬の使用は季節要因に影響されるものの、これらの農薬の使用が2011年以降増加していたことを考えると特に意味がある。

(緊急認可は増加。「化学農薬」に分類されないものはいくら増えてもかまわないとのこと。農業やめれば農薬使用は減るけど)

 

[EFSA]ニュース

-予定を空けておいて!総合フードシステムの食品安全面、2021年パルマサマースクール

Save the date! Food Safety Aspects of Integrated Food Systems, 2021 Parma Summer School

31 May 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/news/save-date-food-safety-aspects-integrated-food-systems-2021-parma-summer-school

欧州食品安全機関(EFSA)、パルマ大学、食品と栄養の高等研究学校、聖心カトリック大学は、食品システムの変化における食品安全と食品安全保障の関係を議論する、若手研究者のためのサマースクールを開催する。

食品システムの複雑性の増加により、公的、私的、市民社会から様々な参加者が関与する、多角的尺度でのガバナンスメカニズムが求められる。

この複雑な問題と、食品システムと結果との相互作用は、様々な一直線ではない視点から対処する必要がある。様々な分野のリソースと専門知識を組み合わせた、学際的かつ複数の利害関係者によるアプローチによって、参加者一人では解決できない問題にうまく対処できるようになる。

イベントの目的

この2021年パルマサマースクールは、若手研究者に総合食品システムの食品安全関連面分野の最も著名な専門家から学ぶ機会を提供する。

このイベントの構造

このプログラムには3つのケーススタディを中心に編成されたプレゼンテーションとディスカッショングループが含まれる。

・ケーススタディ1:生物多様性と環境安全。このセッションでは、生物多様性と環境安全の側面を示すために、ミツバチを中心的な例として、他の生態系サービスに拡大して、使用する。

・ケーススタディ2:化学物質混合物。このケーススタディは、マイコトキシンの事例に特に焦点を当てて、化学物質混合物のリスク評価を扱う。

・ケーススタディ3:新規食品と技術。このセッションでは、新規食品技術の技術的、社会的、規制上の課題に対処する。リスク評価を含み、社会的及び市場での受け入れにも焦点を当てる。

このプログラムは、インタラクティブバーチャル活動を通して専門家と参加者との間の相互作用を特色とする。

このプログラムについての詳細情報はこちらで入手可。

誰が出席する必要がある?

このサマースクールは主に博士や若手研究者と、他の科学者、研究者、公的機関、非政府組織、欧州機関の代表者を対象としている。科学委員会が特定した話者と他の専門家を含み、参加者は最大300人に限定される。地理的バランスと全ての利害関係者グループの公正な代表を確保するために厳選を重ねる。

実用情報

オンライン登録は2021年6月14日~2021年6月30日まで。

このイベントはオンラインで開催され、手数料はない。

 

-ONE-Health, Environment, Society-2022 年会議

ポスター発表のため要約の提出を!

ONE – Health, Environment, Society – Conference 2022 | Submit your abstract for poster presentation!

31 May 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/news/one-health-environment-society-conference-2022-submit-your-abstract-poster-presentation

科学プログラム委員会は、2022年6月21~24日にブリュッセルで開催されるONE-Health, Environment, Society-2022 年会議のための要約提出要請開始を発表した。

革新、協力、パートナーシップの精神で、ONE Conference 2022は、多様なバックグラウンドを持つ科学者や専門家と、世界中の専門知識を一つにするため、あなたの仕事を紹介する絶好の機会である。

提出期限やテーマについては本文参照。

 

[WHO]第74回世界保健総会閉会

The Seventy-fourth World Health Assembly closes

31 May 2021

https://www.who.int/news/item/31-05-2021-the-seventy-fourth-world-health-assembly-closes

30以上の決議と決定が採択された。

 

[RIVM]CoronaMelderアプリ-有効性についてのモデル研究。COVID-19対策の中でのデジタル接触追跡

The CoronaMelder app – a model study into effectiveness. Digital contact tracing in the fight against COVID-19

29-05-2021

https://www.rivm.nl/publicaties/coronamelder-modelstudie-naar-effectiviteit

オランダではSARS-CoV-2の拡大対策としてCoronaMelderアプリがデザインされた。このアプリはコロナ感染者の1.5m以内に15分以上いた人にメッセージを送り、速やかに検査し必要であれば隔離することを可能にする。初期の数ヶ月にこのアプリはほんの僅かのポジティブな貢献をした。2020年12月から2021年3月31日の間に、CoronaMelderの通知で検査して陽性になったのは7514人だった。これにより15000の感染が予防されたと推定する。期間中のアプリの使用率は16%

(結局この手のアプリはどの国でもあまり使われていない印象。)

 

論文

-鯨の摂取は水銀中毒を避けるための劇的に減らすべき

Whale consumption should be dramatically decreased to avoid mercury poisoning

MAY 26, 2021

https://phys.org/news/2021-05-whale-consumption-decreased-mercury-poisoning.html

セントビンセントおよびグレナディーン諸島は世界で4箇所しかない伝統捕鯨が認められている場所の一つだが、鯨の水銀濃度が高いため食べる量を減らすべきである。フロリダ国際大学の研究者らがHuman and Ecological Risk Assessmentに発表した研究

Demographic and geographic patterns of cetacean-based food product consumption and potential mercury exposure within a Caribbean whaling community

https://www.tandfonline.com/doi/full/10.1080/10807039.2020.1870865

 

-女性の健康50年の進歩

50 years of progress in women's health

29-MAY-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-05/uoc--5yo052821.php

NEJMに発表された展望。

・1972年に米国最高裁判所の判決で未婚の人に避妊を平等にアクセスできることが保証された

・2010年に避妊が保険対象に

・HPVワクチンが子宮頸がん死亡率を50%減らした

 

-Nature職場紹介

ジンバブエの最初の民間研究所でCRISPRを使って食料不足と戦う

Fighting food insecurity with CRISPR at Zimbabwe’s first private research institute

31 May 2021 Abdullahi Tsanni

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01432-x

分子生物学者Brighton Samatangaは干ばつと病害虫に耐性のある作物を開発したい

 

-ILSIヨーロッパ

ミネラルオイルリスク評価:知識不足とロードマップ:多関係者ワークショップの結果

Mineral oil risk assessment: Knowledge gaps and roadmap. Outcome of a multi-stakeholders workshop

31/05/2021

https://ilsi.eu/publication/mineral-oil-risk-assessment-knowledge-gaps-and-roadmap-outcome-of-a-multi-stakeholders-workshop/

ミネラルオイル炭化水素(MON)はフードチェーンと食品と接触する物質のライフサイクル全体にわたって異なる経路で食品を意図せず汚染する可能性がある。最近の研究の進歩にも関わらずMONについては知識に足りないところがある。そうしたギャップを同定するためのワークショップがILSI欧州支部で開催された。

標準化された、妥当性を評価された分析法がないことが主要なギャップであることで合意された。

 

その他

-化学物質恐怖症と科学への無理解を広げるのを止めよ:欧州委員会のREACH規制改定についての意見募集への私の提出した意見

Stop Spreading Chemophobia and Scientific Illiteracy: My contribution to the European Commission’s Consultation on the Revision of the REACH Regulation

Posted by RISKMONGER on MAY 31, 2021

https://risk-monger.com/2021/05/31/stop-spreading-chemophobia-and-scientific-illiteracy/

2000年代半ばのREACHのプロセスが化学物質恐怖症の蔓延と恐怖を煽ることへの影響を見て、私は当時のNGO活動家の馬鹿馬鹿しさとナイーブさをThe Risk-Mongerブログで強調した。それから15年、化学への無理解と科学無視がもはや環境活動家の情緒的な恐怖物語に留まらず、欧州委員会の心臓部から、欧州グリーンディールによってその手の主張が出てくるようになった。

私は欧州委員会の主張する「化学物質のない環境を達成するのを助ける」(彼らがそう言っている)ための意見募集に応じて、虹と一角獣の世界を夢見るのを止めて科学の基本原則を尊重するようにしたい。

世界中の科学者が欧州委員会のSinkevičius(リトアニアの政治家)の提案に学術的知性がないことに忍び笑いをしている。私はそのようなナイーブなケモフォビアが欧州政策の核心にあって将来EUの科学の才能のある人や革新的企業、研究投資がさらに逃げ出すことの結果に恐怖を感じている。

以下事例紹介

(目的:欧州グリーンディールは有害物質のない環境(toxic-free environment)のために汚染ゼロ(Zero Pollution)を目標にしている。そのためには有害な化学物質を安全な代用品にする、という主張への批判。これはPollutionがヒトの活動に由来するものだけを指すという環境活動家のロジックによって支えられている主張で、人工由来のものさえ無ければ天然の毒や感染でどれだけヒトに被害があってもかまわないということ。ディープエコロジー。)

 

-ナパーム弾のような殺鼠剤ブロマジオロンが認められたら在来種に「膨大な」影響がある可能性を恐れる

Fears napalm-like mouse bait bromadiolone could have 'huge' impact on native species if approved

ABC Rural

https://www.abc.net.au/news/rural/2021-06-01/fears-napalm-like-mouse-bait-could-poison-native-fish-birds/100179620

漁業者、農家、環境保護主義者がマウスの大発生対策としてのブロマジオロンに懸念

Macquarie川のMurray タラがマウスを食べているのを確認している。最近捕まえたMurray タラは腸内に5匹のマウスがいた。

 

-プレキシガラスバリア(アクリル板)があちこちにある、しかしおそらくそれは役に立たない

Plexiglass Barriers Are Everywhere, but They're Probably Useless

LIZ WOLFE | 5.27.2021

https://reason.com/2021/05/27/plexiglass-barriers-are-everywhere-but-theyre-probably-useless/

それはCOVIDの拡散を防がない可能性が高く、逆効果ですらある

レストランは無数のCOVID対策をしている。店主は入店時に我々の体温を計る。神のメニューの代わりにQRコードをスキャンする。ウエイターはマスクをしている。一部の都市ではテーブルと席の間にアクリル板が設置された。

レストランは顧客の信頼を得、従業員を守るためにいろいろなことを採用している。しかし一部は形だけの対策である。教室でアクリル板が使われると、換気を阻害して事態を悪化させる可能性がある。Zeynep TufekciがScienceの研究を指摘している

Household COVID-19 risk and in-person schooling

https://science.sciencemag.org/content/early/2021/04/28/science.abh2939

(ダイレクトアタック防止用なのだろう。状況により変わる場合総合的評価は簡単ではない)

 

-Ayush-64錠剤が都市部や地方のCovid患者に届き始める

Ayush-64 tablets start reaching Covid patients in city, rural areas

Anjaya Anparthi / TNN / May 30, 2021

https://timesofindia.indiatimes.com/city/nagpur/ayush-64-tablets-start-reaching-covid-patients-in-city-rural-areas/articleshow/83074122.cms

Ayush省のアーユルベーダサイエンス研究中央評議会のもとで地域アーユルベーダ研究所(RARI)が無症状、軽症、中等症のCovid患者にAyush-64錠剤を配っている。

 

Ayush-64

https://www.ayush.gov.in/docs/Ayush123.pdf

(Ayush省公式)

もともとマラリア管理のために開発されたアーユルベーダ製品(ハーブ混合物)でインドで有効性が証明されたと主張している

 

なおayush省トップ

https://www.ayush.gov.in/

Covid-19対策として、免疫強化のためにスパイス(ターメリック、クミン、コリアンダー、ニンニク)とお湯を飲むこと、ハーブティー、鼻にごま油、等を勧めている

 

-何故AYUSH推奨は有害なのか:Narendra Nayakインタビュー

Why the push for AYUSH is harmful: Narendra Nayak interview

MAY 22, 2021

https://www.thenewsminute.com/article/why-push-ayush-harmful-narendra-nayak-interview-149330

インドがこれまでで最悪の健康危機に直面している中、政府がAYUSHを推している。Kabasura Kudineerからレモン療法まで、あらゆる疑似科学、悪い科学、根拠のない治療法が宣伝されている。生化学が専門のNarendra Nayakに尋ねた

AYUSH省は全てのインチキを一つの省にまとめた。しかしAYUSH大臣が病気になると医学の病院に行き、ナチュロパシー農場には行かない。首相はヨガをやるが予防接種はする。この国のトップアーユルベーダプラクティショナーであるPR Krishna Kumarでも病院に入院した(COVID-19で死亡した)

(以下いろいろ略)

 

-Covid-19医療費が多くの人に負債を残した

Covid-19 medical bills have left many in debt

May 31, 2021  By Tara John, CNN

https://edition.cnn.com/2021/05/31/world/coronavirus-newsletter-intl-05-31-21/index.html

Covid-19 との戦いは、パーキンソン病とアルツハイマー病の研究者を引退したIrena Schulzに耳の痛みと聴覚消失と約1万ドル(109万円)のクレジットカードの負債を残した。アメリカのパンデミックは後退しつつあるがアメリカ人への経済的負担は始まりつつある。連邦法ではCovid-19の検査とワクチンは無料だが、治療費はそうではない。この問題を解決しようと議員がCovid-19 Treatment Coverage Actを提出しているが多くのアメリカ人は法の成立まで待てない。

Schulzはもう6ヶ月以上も治療費を巡って保険会社と戦っている。

 

-Covidロックダウン休校は「母親の」メンタルヘルスに打撃を与えたが父親には影響ない

Covid lockdown school closures ‘hit mothers’ mental health but left fathers unaffected’

Denis Campbell Mon 31 May 2021

https://www.theguardian.com/society/2021/may/31/covid-lockdown-school-closures-hit-mothers-mental-health-but-left-fathers-unaffected

イングランドの両親の調査。

(日本も同じだと思う。)

 

-アメリカ人は予防接種した人が増えパンデミック後の世界に移行しつつある

Americans begin transition into post-pandemic life as more are vaccinated

May 31, 2021,

https://www.cbsnews.com/news/post-pandemic-40-percent-americans-vaccinated/

予防接種が完全に終わった人が40%を超え、新規COVID-19患者の7日間平均が1日あたり12000人以下になり、アメリカ人はポストパンデミックライフを活発化させている。

インディアナポリス500は日曜日にスタンドに135000人のファンを集めた。国全体でサマーキャンプの準備が再開しCDCが新たなガイドラインを発表した。戸外ではみんなマスクをしなくて良くて、ワクチンが終わっていない人は屋内でマスクをする必要がある

 

-英国人女性が、娘が10年前にガムを食べ過ぎて死んだと言う

A UK woman says her daughter died 10 years ago from chewing too much gum

https://www.insider.com/uk-mom-says-daughter-died-from-chewing-too-much-gum-2021-5

Samantha Jenkinsは19才で過剰なガムを噛んだために死んだと母親が信じている。検視官は死因としてガムを排除していない。

ガムによる重大な健康影響は希であるが糖アルコールが下痢をおこして危険な場合はある。ガムの過剰摂取は摂食障害のある人によく見られる。

(?)