[FDA]FDAはヨーグルトの同定基準を改定
FDA Amends Standard of Identity for Yogurt
June 9, 2021
https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-amends-standard-identity-yogurt
低脂肪や無脂肪ヨーグルトをヨーグルトに含める、アガベなどの甘味料や乳成分の再構成成分を認める、「生きた」微生物を含むと表示するための最小生存微生物量を設定する、殺菌している場合には「生きた培養物は含まない」と表示する必要がある、など。2024年1月1日が順守日
[FDA]リコール
Beech-Nut Nutrition社はBeech-Nut単一穀物コメシリアルの一ロットを自主的に回収しコメシリアル部門からの撤退を決定
Beech-Nut Nutrition Company Issues a Voluntary Recall of One Lot of Beech-Nut Single Grain Rice Cereal and Also Decides to Exit the Rice Cereal Segment
June 08, 2021
理由は無機ヒ素がガイダンスレベルを超えるため
原料に使ったコメ粉は検査をしてFDAのガイダンスレベル以下であることを確認したにも関わらず、アラスカ州の定期サンプリング計画でガイダンスレベル超過となった。Beech-NutはFDAのガイダンスレベル以下のコメ粉を安定に入手できる可能性に懸念を抱く。
乳幼児の安全はBeech-Nutの最優先事項である。
これをConsumer Reportsが賞賛
Beech-Nutステージ1単一穀物コメシリアルがヒ素濃度が高いためリコール
Beech-Nut Stage 1 Single Grain Rice Cereal Recalled Due to High Arsenic Level
By Lisa L. Gill June 9, 2021
同社はこの製品を永久に販売しない
(子どもにコメを含む製品を与えないよう強く主張)
[NASEM]より持続可能で回復力があり公平で栄養になるフードシステムを構築する ワークショップの概要
Building a More Sustainable, Resilient, Equitable, and Nourishing Food System Proceedings of a Workshop (2021)
2020年7月22-23日に開催されたワークショップの概要
フードシステムの脆弱性、レジリエンス、転換の三つの軸で構成。
(今のままのやりかたでフードシステムによる影響が「地球の限界」を超えないようにすると地球人口は34億人が限界だが技術や食生活変化で100億人以上が養える、それには遺伝子組換えによる品種改良は当然含まれる、という感じで欧州F2Fより合理的。ダノンの事例紹介があるので企業全否定の欧州とは異なる。ヨーグルトの砂糖を減らすのに減らしたことをアナウンスしないで予断を持たせない、とか。減らしたアピールは意識高い系にはうけるかもしれないが本当に減らしたいのはそこではない。情報不足とデマ情報のために市場の失敗がおこりやすい分野での消費者の行動変容のためには公共政策が必要。)
[APVMA]現在のマウスの大発生へのAPVMAの対応
The APVMA’s response to the current mouse plague
9 June 2021
https://apvma.gov.au/node/86021
2021年6月7日の緊急認可を追加、これまでの緊急認可は全てリン化亜鉛であることを明示して更新
論文
-インド政府のcovid-19ワクチン優先順は不適切
India's national government has inappropriately prioritised people for covid-19 vaccination
9-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/b-ing060921.php
BMJ。2021年5月3日から6月5日に、45才以下の人に60才以上より多く接種している
-ソーシャルメディアの使用が、早くからのCOVID-19拡大速度の大きさに関連する4つの要因の一つ
Social media use one of four factors related to higher COVID-19 spread rates early on
9-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/yu-smu060921.php
4つ:20-34才の人口、100万人以上の都市に住む、社会行動を動員するためにソーシャルメディアを使う、収入の不平等。
-喫煙者は非喫煙者より10年早く血管形成術とステントが必要になる
Smokers needed angioplasty and stenting a decade before non-smokers
9-JUN-2021
https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/mm-u-sna060921.php
肥満の人は肥満で無い人より4年早くこれらの手術を受ける。PLOS ONEに発表されたアメリカの研究。
SMC UK
-植物ベースの、魚および他の食事とCOVID-19重症度を調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at plant-based, fish and other diets and COVID-19 severity
JUNE 7, 2021
BMJ Nutrition Prevention & Healthに発表された観察研究が、医療従事者の植物ベースの、および魚菜食とCOVID-19感染の重症度を調べた
Reading大学栄養と食品科学教授Gunter Kuhnle教授
パンデミックの初期から、食事と病気のリスクに関するたくさんの想像があった。この研究はそれに答えようとしたものだが考慮すべき限界がたくさんある:全てが自己申告であり、自己申告による食事摂取は信頼できないことがたくさんのデータから示されている。この研究ではCOVID-19と診断された後で食事について尋ねており、さらに誤報告が増える可能性がある。また食生活が大きく異なる国で調べていて、スペインやイタリアでの植物ベースの食事はドイツや英国での植物ベースの食事とは違う可能性が高い。
この研究の知見は驚くべきことではない:主に植物ベースの食事あるいは魚を食べている人は「普通の」食事をしている対照群よりしばしば全体として「健康的」ライフスタイルで、運動量が多く教育レベルが高く社会経済的地位が高いのでCOVID-19リスクが低い。従ってこの研究から植物ベースのあるいは魚菜食が有効かどうかは判断できない。
興味深いことは、低炭水化物食の人のリスクが高かったことだ。もちろん上述の限界があてはまるし、「低炭水化物」の解釈には大きな違いがある。最近低炭水化物食が人気になっているので、既にCOVID-19リスクの高い人が低炭水化物ダイエットをしている可能性がある。
まとめると、この研究は面白いがあまり新しい情報を提供しない。現在の食事助言は植物ベースの食品の重要性を強調している。
Oxford大学Nuffieldプライマリーケア健康科学部大学研究講師で栄養科学者Carmen Piernas博士
研究の疑問は興味深いが結論には注意が必要
・結論は極めて少数の症例に基づく。植物ベースの食事をしていて中程度/重症COVID-19になったのは僅か4人、魚菜食は6人である。全体としても2884人と小規模なほうである
・対象になっている集団はCOVID-19暴露が多く健康的なことが多い医療従事者で一般人を代表しない
・患者の同定は自己申告で検査で確認されているのは568人中298人である
・食事評価が曖昧
・食事もBMIも自己申告
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
この研究の知見の解釈は簡単ではない
(非常に長いコメント)
Quadram生命科学研究所栄養研究者で名誉フェローIan Johnson博士
UCL遺伝学研究所計算機システム生物学教授で部長Francois Balloux,教授
-飲酒と妊娠可能性について調べた研究への専門家の反応
expert reaction to study looking at drinking alcohol and the chances of becoming pregnant
JUNE 9, 2021
Human Reproductionに発表された研究が飲酒と生理周期中の受胎確率について調べた
アルコール研究所研究部長でKing’s College London客員研究員Sadie Boniface博士
プレスリリースのタイトルは「女性は生理周期の後半に飲酒すべきではない」であるが、これは赤ちゃんを希望する人に対して、である。NHSは既に妊娠を計画している女性はアルコールを避けるべきと推奨している。既存の助言は生理周期全体にあてはまる。実際のタイミングは予想が難しい。
彼らは交絡を調整しているが因果関係かどうかはわからない。規模は比較的小さい。ほとんどの人は妊娠中は飲酒すべきではないことを知っている。英国の飲酒ガイドラインは2016年に更新されているが周知されていない。今後予定されているアルコール表示に関する意見募集はアルコール製品への独立した健康情報を導入する良い機会である。
Care Fertility Tamworth医務部長Gill Lockwood博士
私はこの研究とその結論に相当な懸念がある。とても古く(データ収集は1990年から1994年)何故25年もたってから発表されたのかわからない。
19-41才の年齢で、妊娠しようとしたのは僅か25%で、結論は誤解を招くか一般にあてはまらない可能性がある。夫婦が毎月25%の妊娠可能性があるというのは30代前半までは事実かも知れないがそれ以降、あるいは6ヶ月以上妊娠しようとしている夫婦は違う。40才で普通の妊娠能力の場合、毎月の妊娠可能性は10%で早期流産の可能性が40%である。もし人々が毎月1/4の可能性があると考えてしまうと不安や不必要な援助の遅れにつながる可能性がある。
飲酒が受胎能力と負の関連があるということには優れた科学的根拠が存在する。妊娠において飲酒の「安全な」量は存在しない
Southampton大学生殖医療教授Ying Cheong博士
Oxford大学生殖医療准教授TFP Oxford受胎能グループ医務部長Tim Child教授
Chester大学医学部医科学プログラム長解剖学生理学講師Gareth Nye博士
UCL女性の健康研究所生殖科学と社会グループ長Joyce Harper教授
Sheffield大学男性病学教授Allan Pacey教授
(概ね研究の欠点はあるが飲酒はすべきではない、と。)
その他
-オーストラリア医師会(AMA)
砂糖税は病気を減らし命を救う
Sugar tax will cut disease and save lives
9 Jun 2021
https://ama.com.au/media/sugar-tax-will-cut-disease-and-save-lives
AMAは新しい報告書を発表:砂糖入り飲料に課税を
AMA会長Omar Khorshid医師は、オーストラリアは健康と病気予防において他の国に遅れをとっている、今こそ砂糖入り飲料摂取を減らすために対応すべきだ、という
この報告では砂糖入り飲料課税で小売価格を20%上げることを提案している。それにより今後25年で2型糖尿病を16000件、心疾患を4400、脳卒中を1100減らすだろう
報告書は以下から
A tax on sugar-sweetened beverages: What the modelling shows
https://ama.com.au/articles/tax-sugar-sweetened-beverages-what-modelling-shows
(先行する国では砂糖入り飲料の摂取量が減ったという報告はあるけれど体重は減っていないような。計算による推定を「事実」とか「根拠」とかいうのはどうなんだろう-公衆衛生業界ではそういうのが多いけれど物理や化学の分野ほど正確に予想できないのに。もちろん摂取カロリーが減ったら体重が減ることはかなり正確に予想できる。問題は人間が計算通りに行動しないこと。低カロリー甘味料で計算通りに体重が減らないから甘味料が役にたたないと主張する人が砂糖税は支持するのが不思議)
-STAT
議論の多いアルツハイマー病治療薬承認を巡ってFDAの専門委員会メンバー辞任
Member of FDA’s expert panel resigns over controversial Alzheimer’s therapy approval
By Andrew Joseph June 8, 2021
https://www.statnews.com/2021/06/08/fda-expert-panel-resigns-alzheimers-approval/
ワシントン大学神経学者Joel PerlmutterがSTATにメールで語った。
11月の助言委員会では11人の委員のうち10人がaducanumabに認知機能低下を遅らせる根拠が十分でないとし、11人目はよくわからない“uncertain”と投票した。しかしFDAは認可した。
ワシントン大学の名誉教授の生物統計学者Scott Emersonは「委員会の投票とFDAの決定が違うことはこれが初めてではない。しかし誰一人承認に賛成しなかったのにそれに反して認可したのは初めてである」
(英国SMCのコメントは好意的で、これで現場データが手に入るし研究費も増える!と嬉しそう
患者の期待には応えないだろうけれど、と
expert reaction to FDA approval of aducanumab (Aduhelm) for Alzheimer’s disease, through the Accelerated Approval pathway
JUNE 7, 2021
なおこっちのほうは本当に「効く」
FDA Approves New Drug Treatment for Chronic Weight Management, First Since 2014
June 04, 2021
Wegovy (セマグルチド))
Science & Nature
-ウイルスと戦う細菌で武装した蚊はデング感染、入院を激減させた
Mosquitoes armed with virus-fighting bacteria sharply curb dengue infections, hospitalizations
By Kelly ServickJun. 9, 2021
Wolbachia pipientisをもつ Aedes aegyptiの卵を放つインドネシアでの大規模RCTで成果をあげた。The New England Journal of Medicineに発表された結果では感染が77%減少、WMPの発表ではさらにデング熱での入院が86%減少。
-日本の科学者が東京オリンピックはCOVID-19拡散につながる可能性があると警告
Japanese scientists warn that Tokyo Olympics could help spread COVID-19
By Dennis NormileJun. 9, 2021
公式には彼らの助言は発表されていないが、おおまかにScienceInsiderに説明された
(Shigeru Omi、 Hiroshi Nishiura、Hitoshi Oshitani各氏の名前が出てくる)
-ブラジルがロシアのCOVID-19ワクチンにチャンスを与える、限られた量の輸入を認可
Brazil gives Russian COVID-19 vaccine a chance, approving the import of limited doses
By Sofia MoutinhoJun. 9, 2021
先にSputnik Vは予防接種をした人に害を与える可能性のある複製可能なアデノウイルスを含むという懸念を表明して製造業者に訴訟をちらつかされていたAnvisaが、僅か928000回分を輸入することを認めた。
-長期COVIDについての4つの最も喫緊の疑問
The four most urgent questions about long COVID
09 June 2021 Michael Marshall
https://www.nature.com/articles/d41586-021-01511-z
どのくらいの人が長期COVIDになって誰が最もリスクが高いのか?
背景にある生物学は?
他の感染後症候群との関連は? ME/CFS
長期COVIDの人を助けるのに何ができる?