2021-06-24

[EU]査察報告

-ポルトガル―生きた二枚貝

Portugal 2020-7119―Live bivalve molluscs

12/05/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4360

2020年11月9~20日までポルトガルで実施したリモート査察の結果。生きた二枚貝がEU規則の条件に合うようにする管理システムを評価し、前回の査察の助言の保証と是正措置の範囲を確認することを目的とした。生産地域の公的管理は以前の査察以降めざましく改善され、公的管理を支援する公的研究所は高品質で信頼できる結果を提供している。だが、生産地域の分類や、微生物学的特性と生物毒素のモニタリング結果を得た後に機関がとる決断に欠点がある。以前の査察ですでに確認されているように、ポルトガルには消費者に届けるべきではない二枚貝を市場から回収したり、生産地域外で収穫された二枚貝を管理するための指定機関がない。

 

-ラトビア―動物と製品の輸入および国境監理ポストのコンプライアンスの検証

Latvia 2020-7001―Imports of animals and goods and verification of compliance of border control posts

06/05/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4354

2020年8月31日~11月23日にリモートで実施した、ラトビアの動物と製品の輸入に関する公的管理システムと、EU条件に従う国境監理ポスト(BCPs)検証の査察結果。BCPs を通してEUに入る動物と商品がEU規則に従って実施されていること、違反の積送品の導入とその後の伝染性や感染症の広まり、輸入や輸送の公的管理の品質、有効性、妥当性を確保する手順、国境検査ポスト、税関、最初の導入地の再指定後に、EU規則の適用可能な条件に従っていることなどを評価した。公的管理はよく教育された職員に行われ、詳細なガイダンスに支えられ、一般に文書化された手順、計画された協定、関連するEU規則に従って実行されている。だが、輸入の通知、特定書面、物理的な検査の実行に欠点が見つかり、管轄機関は査察時に是正措置を開始した。

 

[EFSA]意見等

-発達神経毒性(DNT)のリスク評価に関する試験及び評価に関する統合的アプローチ(IATA)の開発

Development of Integrated Approaches to Testing and Assessment (IATA) case studies on developmental neurotoxicity (DNT) risk assessment

EFSA Journal 2021;19(6):6599 18 June 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6599

(科学的意見)

植物保護製品とその残留物に関するEFSAのパネル(PPR)は、自ら委任した課題(EFSA‐Q‐2019‐00100)として、農薬有効成分デルタメトリンとフルフェナセトの規制決定を支援する可能性のある、発達神経毒性(DNT)のハザード同定とキャラクタリゼーション問題の定式化に応えるために、情報に基づく試験及び評価に関する統合的アプローチ(IATA)のケーススタディである2つの有害性発現経路(AOP)を開発した。

 

-食品や飼料に使用する遺伝子組換え油糧種子ナタネ73496の評価

Assessment of genetically modified oilseed rape 73496 for food and feed uses, under Regulation (EC) No 1829/2003 (application EFSA‐GMO‐NL‐2012‐109)

EFSA Journal 2021;19(6):6610  17 June 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6610

(科学的意見)

油糧種子ナタネ73496は、グリホサートアセチルトランスフェラーゼタンパク質GAT4621を発現することにより除草剤有効成分グリホサートへの耐性を与えるために開発された。この分子特性データとバイオインフォマティック分析は食品/飼料の安全性評価を必要とする問題を特定しない。調べた農学/表現型のエンドポイントで、油糧種子ナタネ73496とその従来型の比較種とに確認された違いはどれもさらに評価する必要はない。従来型の比較種と比較すると、油糧種子ナタネ73496の種子の組成に確認された違いは、この申請範囲においては安全や栄養上の懸念を生じない。油糧種子ナタネ73496に発現したようなGAT4621タンパク質の毒性とアレルギー誘発性について安全上の懸念は特定されていない。この遺伝子組換えが油糧種子ナタネ73496の全体的なアレルギー誘発性を変えるような証拠は見つかっていない。相対的な栄養上の評価の結果に基づき、この申請範囲において油糧種子ナタネ73496の摂取が栄養上の懸念を示すことはない。市販前リスク評価中に、予測消費データを確認し使用条件が考慮されたものであることを確認するために、市販後モニタリング計画の実行が助言されている。生存能力のある油糧種子ナタネ73496が環境中に偶然放出されても、油糧種子ナタネ73496は環境安全上の懸念を生じない。市販後環境モニタリング計画と報告間隔は油糧種子ナタネ73496の用途に即している。この申請で説明したように、油糧種子ナタネ73496は、ヒトと動物の健康や環境の潜在的な影響に関して調べた従来型の比較種や非遺伝子組換え油糧種子参照品種と同様だとGMOパネルは結論した。

 

-使用済PETを食品と接触する物質にリサイクルするために使用されるEREMA Advancedテクノロジーに基づくMartogg Groupプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Martogg Group, based on EREMA Advanced technology, used to recycle post‐consumer PET into food contact materials

EFSA Journal 2021;19(6):6638 16 June 2021

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6638

(科学的意見)

申請者はこのプロセスの適切な説明を提出しておらず、このリサイクルプロセスがヒトの健康にリスクをもたらさない濃度までこのPETフレーク材料の汚染を減らすことができるという、適切に実行された誘発試験で実証していない、または他の適切な証拠を提出していない。そのため、パネルはリサイクルプロセスMartogg Groupの安全性を結論できなかった。

 

[APHIS]遺伝子組換えを使って開発したトウモロコシの規制解除申請のための予備的環境文書公表

Availability of Preliminary Environmental Documents for Petition to Deregulate Corn Developed Using Genetic Engineering

Jun 23, 2021

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/sa_by_date/sa-2021/sa-06/dereg-ge-corn

動物飼料としての栄養強化のため大腸菌K12由来フィターゼ遺伝子を導入したイベント PY203。

予備的意見に対して2021年7月26日までパブリックコメントを受け付ける

 

[DHSC]200万人が長期COVIDかもしれないことを新しい研究が示す

New research shows 2 million people may have had long COVID

24 June 2021

https://www.gov.uk/government/news/new-research-shows-2-million-people-may-have-had-long-covid

REACT-2研究の知見は、コロナウイルス(COVID-19)患者の1/3以上が少なくとも12週間症状が続いていることを示す

・研究対象の5.8%、2%が重い症状を報告

・長期COVIDの有病率は年齢とともに増加し女性が多い

自己申告データに基づく

過体重、肥満、喫煙者、貧困地域住人あるいは入院した人で多い。アジア人は少ない。

大きく二つのグループに分けられ、疲労や筋肉痛が多いグループと、COVID-19重症者に多い日常生活に影響する息切れや胸の痛みなどが多い二番目のグループ。

(最初のグループがCFS/MEと関連)

 

論文

-ダイエタリーサプリメントが減量につながるという質の高い根拠は最小限であることをレビューは示す

Review shows minimal, high-quality evidence dietary supplements lead to weight loss

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/tos-rsm061721.php

アメリカ人は何十億もダイエタリーサプリメントに費やしているが、発表された研究にそれが成人の減量に役立つという強い根拠は無い。Obesityに発表された臨床試験の包括的レビュー

「我々は当局にダイエタリーサプリメント業界を批判的に吟味することを要請する。彼らは誤解を招く宣伝をし、患者に有害かもしれない製品を宣伝販売している」

 

-サハラ以南のアフリカのCOVID-19による撹乱は相当な健康上の帰結となるだろう

COVID-19 disruptions in sub-Saharan Africa will have substantial health consequences

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/htcs-cd062121.php

COVID-19パンデミック初期に多くのアフリカのリーダーはロックダウン、旅行禁止、国境閉鎖、休校などの対策を行った。これらはウイルスの拡散防止に役立ったかもしれないが、意図せず必須の栄養・保健・教育サービスや生活や食料システムを撹乱した。これらによる重大な帰結が既にある不平等を悪化させた可能性がある。

The American Journal of Tropical Medicine and Hygieneの6月23日号に6つの研究が発表される。

 

-2020年の寿命の減少は他の高所得国より米国が大きい

Decreases in life expectancy in 2020 much larger in the US than other high income countries

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/b-dil062221.php

ヒスパニックと黒人アメリカ人が最も大きく低下した。BMJ

2018年と2020年の間に米国の平均寿命は約2年低下し、他の16カ国の平均減少の8.5倍。

 

-長期COVIDが慢性疲労症候群(CFS)の治療を巡る緊張を再び高める

Long COVID has resurfaced tensions over treatment of chronic fatigue syndrome

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/b-lch062221.php

しかしこれをウイルス感染後症候群の理解を深める機会とみる人もいる

BMJ特別報告。

CFSはしばしば急性感染が引き金となる広範な症状を伴う複雑な長期にわたる病気で、極度の疲労がよく見られる。2011年にPACE試験で認知行動療法(CBT)と段階的運動療法(GET)が一部の患者の改善に役立つことが示されたが、この結果を一部のCFS活動家が彼らの病気に心理的要因があることを示唆すると反対した。この緊張が長期COVIDにより再び高まっている。この問題のコミュニケーションは極めてセンシティブなものになっている。

(メンタルも人体の生理なのに気のせいだ、実体がないと解釈する人たちがいる。効果があるならなんでもいいだろうに、他の人が治療を受けることまで阻止しようとする)

 

-ロックダウン中のジャンクフード気晴らし

Junk food relief in lockdown

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/fu-jfr062321.php

Appetiteに発表された研究はお菓子やチョコレートから塩味のスナックまでのちょっとした贅沢がCOVID-19ロックダウン中の我々の気分を上げるのとエネルギー摂取量の増加に貢献したことを確認した。イングランドとオーストラリアの調査。

ロックダウン中にスナックの摂取が増えたと回答した人は英国が53%、オーストラリア49%

 

-Nature論文:ダイエットとその腸内マイクロバイオームへの影響

Nature article: Dieting and its effect on the gut microbiome

23-JUN-2021

https://www.eurekalert.org/pub_releases/2021-06/c-ub-nad062321.php

今週号のNatureに掲載された論文は、極端に低カロリーの食事制限がヒトの腸内の微生物叢組成を相当変えることを始めて示した。ダイエットは抗生物質誘発性の下痢や腸炎に関連するClostridioides difficileの増加に関連した。過体重から肥満の閉経後の女性80人に合計16週間医師の監視下で1日800カロリーあるいは体重維持食を摂取してもらって便を解析した研究。(800カロリーなのは8週間)

 

-ミツバチの腸の健康を増進する花粉中栄養素

ARS

Four Nutrients in Flower Pollens Improve Honey Bee Gut Health

June 23, 2021

https://www.ars.usda.gov/news-events/news/research-news/2021/four-nutrients-in-flower-pollens-improve-honey-bee-gut-health/

各種花の蜜や花粉に含まれているカフェイン、ケンフェロール、p-クマリン酸あるいは没食子酸をミツバチに与えると腸内細菌の多様性と量が増える。

Journal of Applied Microbiologyに発表

 

-アーモンドの蜜のアミグダリンがミツバチのウイルスと腸内寄生虫を減らすことを研究が示す

ARS

Study Shows Amygdalin In Almond Nectar Can Reduce Viruses And Gut Parasites In Honey Bees

June 22, 2021

https://www.ars.usda.gov/news-events/news/research-news/2021/study-shows-amygdalin-in-almond-nectar-can-reduce-viruses-and-gut-parasites-in-honey-bees/

雑誌Insectsに発表された

アミグダリンはアーモンドだけではなく、チェリーやネクタリン、リンゴなどの他の多様な作物の蜜にも存在する。

(蜂蜜には毒素や微生物が含まれる)

 

その他

-Natureニュース

COVIDワクチンと母乳:データが言うこと

COVID vaccines and breastfeeding: what the data say

23 June 2021  Shannon Hall

https://www.nature.com/articles/d41586-021-01680-x

ワクチンは母乳から伝達されないが抗体は伝わる-母乳を与えられている赤ちゃんにいくぶんかの保護が期待できる

臨床試験の常として、妊娠女性と授乳中の女性はCOVID-19ワクチンのどの試験にも含まれない。そして世界中の医療システムが予防接種を始めても、授乳中の人々はどうしたらいいか放置されたままである。科学者は母乳へのワクチンの影響を理解し始め、予備的結果は世界中の授乳中の女性にとって歓迎できるものだろう。母乳にはワクチンは含まれず、母親の作った抗体が含まれる。

(妊婦や授乳中のヒトはとりあえず何でもダメって言われがち。でも続けた方が良い薬も多い)

 

-Scienceニュース

COVID-19の起源を探る科学者は、中国のチームがNIHのデータベースから削除した初期のウイルス配列を発見

Scientist’s hunt for COVID-19’s origin finds early virus sequences Chinese team deleted from NIH database

By Jon CohenJun. 23, 2021 ,

https://www.sciencemag.org/news/2021/06/scientist-s-hunt-covid-19-s-origin-finds-early-virus-sequences-chinese-team-deleted-nih

COVID-19の起源を明らかにするための新しいデータはないかと待ち焦がれている世界に、意図的に隠されていた初期のSARS-CoV-2配列を発掘したと主張する研究が活発な議論に火をつける。

(論争の詳細略)

「あまりにも多くの人がこのトピックについて意図と先入観を持っていて、何かを言えば誰かの敵か味方と見なされる」

 

-マハーラーシュトラ:農業組合がHtBt綿の種を提供する、農家にオンライン登録を求める

Maharashtra: Farmers’ union to provide seeds of HtBt cotton, asks farmers to register online

Written by Parthasarathi Biswas | Pune |June 9, 2021

https://indianexpress.com/article/cities/pune/maharashtra-farmers-union-to-provide-seeds-of-htbt-cotton-asks-farmers-to-register-online-7351479/

2018年以降、Shetkari Sanghatanaはこの遺伝子組換え綿の合法化を要求して不服従運動を行っている

農家組合Shetkari Sanghatanaは未承認除草剤耐性Bt綿の種を農家に提供すると発表した。組合長Lalit Patilは簡単に種を入手できるようにオンライン登録を始めるという。

HtBt綿はグリホサートとワタアカミムシガ耐性で、生産者にメリットが大きいために農家の人気が高まっている。インドでは4000-4500万パックの綿の種が売られているが約500-550万パックは未承認HtBt綿品種だと推定されている

 

-SMC UK

Euroセミファイナルに6万人のファンが参加できるとの発表への専門家の反応

expert reaction to announcement that 60,000 fans will be able to attend the Euro semi-finals

JUNE 23, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-announcement-that-60000-fans-will-be-able-to-attend-the-euro-semi-finals/

政府はWembley スタジアム(最大収容9万人)で行われるUEFA Euro 2020準決勝に、6万人が参加できると発表した

(ラテラルフロー検査陰性を証明に使うとか現行規制と矛盾するといった批判。英国人サッカー好きだから・・どうなるか。オリンピックの件で日本だけがおかしいという批判は違う、とは言える。それは科学だけの問題ではなくて価値観とリスク受容の問題。そしてそれがきちんとテーマとして設定されて議論されていないことが問題。これまでもできてなかったので突然できるようにはならないだろう。)