2021-07-29

[RIVM]農薬規制の下で、内生菌(エンドファイト)を考慮するために追加のデータ要請の必要性の検討

Exploring the necessity of additional data requirements under the pesticide regulation to take into account endophytes

28-07-2021

https://www.rivm.nl/publicaties/exploring-necessity-of-additional-data-requirements-under-pesticide-regulation-to-0

トウモロコシや小麦などの農作物に真菌と細菌ベースの植物保護製品が使われている。こうした「微生物農薬」のリスク評価の際に検討するのは主にこれら微生物が植物の外部で増殖できるかどうかである。しかし近年こうした微生物の中には植物内でも増殖できるものがあることが明らかになった。細菌や真菌が増殖すると、有害な可能性のある物質(代謝物)が放出される可能性がある。植物の中で微生物が増殖すると、その植物を食べる人々がこうした代謝物に暴露される可能性がある。RIVMは植物保護製品として植物に導入された微生物が植物内で増殖して我々の知らない物質を作るかどうか検討した。この研究ではこれら微生物の各種が植物内で増殖できるがその量は僅かで、その量も急速に減少することを示す。それらの作る代謝物がヒトに有害な量みつかることを示唆するものはなかった。従って既存の評価法でリスクを評価できる。このために追加のあるいは異なる情報は必要ない。

 

[USDA]サーベイランスデータがオジロジカがSARS-CoV-2に暴露されたことを示す

USDA APHIS

Surveillance Data Shows White-Tailed Deer Exposed to SARS-CoV-2

Jul 28, 2021

https://www.aphis.usda.gov/aphis/newsroom/stakeholder-info/stakeholder-messages/wildlife-damage-news/deer-sars

APHISは最近自由に行動しているオジロジカの血清中SARS-CoV-2抗体を分析する研究を完了した。検体は4州32郡のAPHIS野生生物部の野生生物傷害管理活動の一部として日和見的に得られた。2020年1月から2021年にかけて得られた481検体中33%からSARS-CoV-2抗体が検出された。どのシカもSARS-CoV-2に関連する臨床症状の兆候は見られなかった

Questions and Answers:

Results of Study on SARS-CoV-2 in White-Tailed Deer

https://www.aphis.usda.gov/animal_health/one_health/downloads/qa-covid-white-tailed-deer-study.pdf

 

[USDA]ミールキットは食品廃棄を減らすか?Brenna Ellison博士とのインタビュー

Do Meal Kits Reduce Food Waste? An Interview with Dr. Brenna Ellison

Jul 28, 2021  Posted by Jean Buzby, USDA Food Loss and Waste Liaison

https://www.usda.gov/media/blog/2021/07/28/do-meal-kits-reduce-food-waste-interview-dr-brenna-ellison

USDAと一緒に行ったミールキットについての研究をもとに知見を提供。

Buzby:ミールキットとは何で食品ロスと廃棄を減らすのに役立つ?

Ellison:あまり使わない食材や少量では入手しにくいものを使うときには食品廃棄を減らすことができる

Buzby:ミールキットを作る時にできる廃棄とその原因は?

Buzby:ミールキット会社は将来どうやって食品ロスを減らす?

Buzby:包装については?

Ellison:ある研究ではミールキットの利益のほうが包装のゴミの問題を上回る

(少量では売っていない、のはアメリカの問題)

 

[ASA]カンナビジオールを含む製品

Cannabidiol (CBD) containing products

28 Jul 2021

https://www.asa.org.uk/advice-online/cannabidiol-cbd-containing-products.html

CBDとは何か?

それは規制対象物質か?

それは医薬品か?

それは新規食品か?

それは食品/食品サプリメントか?

 

論文

-オーストラリアの薬物誘発性肝障害2009–2020:ハーブ及びダイエタリーサプリメントと関連する非パラセタモール症例の割合増加

Drug‐induced liver injury in Australia, 2009–2020: the increasing proportion of non‐paracetamol cases linked with herbal and dietary supplements

Emily Nash et al., Med J Aust || doi: 10.5694/mja2.51173

https://www.mja.com.au/journal/2021/215/6/drug-induced-liver-injury-australia-2009-2020-increasing-proportion-non

シドニーRoyal Prince Alfred病院に薬物誘発性肝障害(DILI)で入院した成人の記録の解析。

パラセタモール関連DILIが115人、非パラセタモールDILIが69人で、非パラセタモールDILIで最も高頻度だったのは抗生物質(19, 28%)、ハーブとダイエタリーサプリメント(15, 22%)、抗結核薬(6, 9%)、抗がん剤(5, 7%)。期間中非パラセタモールDILIの入院数は一定だったがハーブとダイエタリーサプリメントの割合が2009-11は15%だったのが2019-20は47%と増加した。患者の移植無し生存率はパラセタモール関連DILIより悪い。

ハーブとダイエタリーサプリメントの規制改善とリスクについての適切な教育が必要。

 

-健康的なライフスタイルはがんの遺伝的リスクの高さを緩和するのに役立つかもしれない

Healthy lifestyle may help mitigate high genetic risk of cancer

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923551

Cancer Researchに発表された英国バイオバンクコホートのデータを使ってがんの複数遺伝子リスクスコアとライフスタイルとがんの関連を調べた。結論として、遺伝的リスクスコアの高い人でも好ましいライフスタイルだとがんリスクは減る。全ての人が健康的ライフスタイル(酒とタバコは避ける、BMIは適正、運動)を採用するべきだ。

 

-ボトル入り水の環境影響は水道水の最大3500倍高い

Environmental impact of bottled water up to 3,500 times higher than tap water

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923734

ISGLOBALがScience of The Total Environmentに発表した研究

 

-ヒトCOVID-19のイベルメクチン治療

Ivermectin treatment in humans for COVID-19

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923699

イベルメクチンはCOVID-19に有効なのか?

コクランライブラリーに系統的レビューが発表された

イベルメクチンの死亡や重症抑制や感染予防における有効性は確認できなかった。

質の高い根拠がなく、現在の根拠はイベルメクチンの使用を支持しない。

Paul Garnerコクラン感染症グループ調整編集者は「これは経験を積んだチームによる素晴らしいレビューである。イベルメクチンを巡る誇大宣伝は、率直に言って信頼性の無いイベルメクチンのエフェクトサイズを示す一部の研究とによるもので、それが他のレビューの結論を動かしている。とんでもない効果を示した研究は虚偽だったことがわかって取り下げられた。注意深く評価することがコクランの基本であり、そしてパンデミック中に効果のある医薬品への人々の要求が極めて高い中、医療のガイドとなる科学的基本原則を保持することは重要であり続ける」という。

Ivermectin for preventing and treating COVID‐19

https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD015017.pub2/full

 

-読者がオンライン健康詐欺をみつけるのに役立つ本

New book helps readers spot online health scams

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923689

(Ernst先生が勧めていた)Bernie Garrett博士によるThe New Alchemistsの紹介

 

-最初のCOVID-19パンデミック対応でアフリカのロックダウンは何故効果がなかったのか

Why lockdown in Africa does not work as a first COVID-19 pandemic response

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923661

African Development Review

貧しい人々はできなかったから

 

-アカデミックポジションペーパー:エアロゾルを介したコロナウイルス感染の予防

Academic position paper: Prevention of coronavirus infection through aerosols

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923769

専門家の間で幅広く調整された確実な、信頼できる情報を確立する

ドイツ研究財団パンデミック研究学際委員会の提案によるペーパー

まず直接感染と間接的感染を区別し、間接的感染は閉鎖された屋内以外では起こりにくいことを指摘。そのための対策を説明。最良の防御は常に両方の感染予防の組み合わせによる。規制は可能な限り一貫して日常生活や生活の質への制限は可能な限り少ないもののみが高いレベルの安全性を保証する。

(あちこちがいろんなことを言うのは良くないという認識なのだろう)

 

-学術出版団体と国の研究機関がトランスジェンダーと両立する発表論文の名前の変更プロセスに協力する

Scientific publishing organizations and national laboratories partner on transgender-inclusive name-change process for published papers

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923790

名前の変更は全てのジェンダーの研究者に自分の仕事の全部を所有することを認める

米国の17の国立研究所と多くの有名出版社、雑誌、その他団体が本日研究者からの過去の論文の名前の変更要請を支援することを発表した。これにより研究者は経歴の全ての段階での仕事の名前をより簡単に変えられる

(引用していた論文の著者名がいつの間にか変わるってこと?)

 

-COVID初期段階ではどの声が医学的デマを広げたのか?

Which voices led medical misinformation in the early stages of COVID?

28-JUL-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/923773

COVID-19パンデミックの初期の、科学者がまだ治療法がわからなくて人々が情報を渇望していた時、クロロキンとヒドロキシクロロキンが治療法として話題になった。科学コミュニティからは警告が出されていたが多くの人が信じた。1億以上のCOVID-19関連ツイッター投稿を解析した。最も影響力があったのはCDCやNIAIDではなくDonald Trump 大統領だった。Social Media + Society.

 

その他

-スーパーマーケットの競争はニュージーランド人のために「よく機能していない」-専門家の反応

SMC NZ

Supermarket competition ‘not working well’ for Kiwis – Expert Reaction

29 July 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/07/29/supermarket-competition-not-working-well-for-kiwis-expert-reaction/

通商委員会の発表した報告書案は、ニュージーランドのスーパーマーケット部門は他の小売り店とともに複占状態で価格競争がない

オークランド工科大学マーケティング上級講師Sommer Kapitan博士

通商委員会が発見したのは小売店の価格が高すぎる、である。主要スーパーマーケットは2つしかなく90%がこれらから購入する

オークランド大学マーケティング学部上級講師Bodo Lang博士

小売価格が高いのはニュージーランドの生活の特徴である。そのため政府はこの研究を歓迎する必要がある。結果にはだれも驚かない。スーパーマーケットがFoodstuffsと Woolworths NZの二つに独占されていることは問題の一部でしかない。

 

-Scienceニュース

二人の実験室労働者が致死的脳疾患になってフランスがプリオン研究を一時停止

France issues moratorium on prion research after fatal brain disease strikes two lab workers

By Barbara CasassusJul. 28, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/07/france-issues-moratorium-prion-research-after-fatal-brain-disease-strikes-two-lab

フランスの5つの公的研究機関がプリオン研究を3ヶ月間停止する。過去にプリオンを扱っていた退職した実験室作業員一人がCJDと診断された。この患者がINRAEでの仕事によってCJDになったのかどうかの調査が行われている。もしそうならフランスでは過去数年以内に2番目のケースになる。2019年6月にINRAEの実験室作業員Émilie Jaumainが33才で死亡している。プリオン感染マウスで実験していて親指を怪我してから10年後である。彼女の家族が現在INRAEを殺人と命を危機に晒したことで訴えている;彼女の死亡によりフランスのプリオン実験室では安全対策が既に強化されている。

イタリアでも2016年に最後にvCJDで死亡したのはプリオン感染脳を扱っていた実験室労働者とNEJMの論文がいう。

(マウスに噛まれたのかと思ったら脳の切片を作っていたクライオスタットの掃除中に指に鉗子を刺して出血する事故)

 

-Covid 19コロナウイルス:ファイザーのワクチンの後、胸が大きくなったという女性の主張を保健大臣が馬鹿げたことだという

Covid 19 coronavirus: Women's claims breasts get bigger after Pfizer vaccine rubbished by Ministry of Health

29 Jul, 2021

https://www.nzherald.co.nz/nz/covid-19-coronavirus-womens-claims-breasts-get-bigger-after-pfizer-vaccine-rubbished-by-ministry-of-health/FASABDQAI7IAWPYQZSVQC5FGBE/

ソーシャルメディアで予防接種の後、胸とリンパ節が肥大したと報告する女性がたくさんいる。しかし保健大臣はMedSafeにはこれまで胸が大きくなったという報告はなく、ワクチンの副作用としても知られていないという

米国では医師が、予防接種をした女性のマンモグラム予約が増加していると報告している。

(ソーシャルメディアって悪目立ちしたい人が多いんだろうか?)

 

-SMC UK

COVID-19の予防と治療用イベルメクチンについてのコクランレビューへの専門家の反応

expert reaction to Cochrane review on ivermectin for preventing and treating COVID-19

JULY 28, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-cochrane-review-on-ivermectin-for-preventing-and-treating-covid-19/

London School of Hygiene & Tropical Medicine薬理疫学教授Stephen Evans教授

これは熟練のレビューワーによる良いレビューである。全体的結論はイベルメクチンの予防や治療のベネフィットは最善でも不確実、というものである。害がある明確な根拠は無い。この結論は疑わしい試験を含めて注意を払わずに行われた一部の他のレビューとは対照的である。このレビューはこれまでWHOやEMA、FDAが出してきた助言を確認する。イベルメクチンはRCTの文脈でのみ使われるべきで通常の治療や予防に使うべきではない

Leeds大学医学部准教授Stephen Griffin博士

このコクランレビューはこれまでの合意を支持する;報告されているイベルメクチンの成功はデザインの悪いRCTや適用外使用によるもので、どれも根拠として使えず信頼できない。Solidarity試験の結果は待たれるが、イベルメクチンがSARS-CoV2感染治療用に使える可能性は極めて低い。従って適用外使用を続けることは現時点では許容できない。