2021-08-23

[EU]査察報告

-スペイン―オーガニック生産及びオーガニック製品の表示

Spain 2020-7042―organic production and labelling of organic products

21/07/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4385

2020年10月5~20日に実施したスペインの保健衛生・食の安全総局のリモート査察結果。査察の目的は、オーガニック生産とオーガニック製品の表示に関する管理だった。スペインには、自治州(ACs)の管轄機関による、複雑だが明確に定義されたオーガニック製品管理システムがある。だが、スペイン憲法に確立された権限のシステムの複雑さのため、スペイン全域での管理の一貫性と有効性を均一に確保するための完全に効果的なメカニズムがない。管理は概ね満足のいくものだが、完全ではない。

 

-カナダ―牛乳と乳製品

Canada 2020-6937―Milk and dairy products

15/07/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4384

2020年10月19日~11月20日までカナダの保健衛生・食の安全総局が実施した、EU輸出用のヒトが摂取するための牛乳及び乳製品生産の公的管理システムを評価するためのリモート査察。EU輸出用牛乳及び乳製品の生産に適用される公的管理システムは一般的に満足のいく枠組みを提供している。EUに輸出するFBOsは関連するカナダとEUの健康条件に必要な保証を提供するための手順が整っているが、追加の公式管理や検証活動がないため、認証された全てのEU条件が確かに準拠していることを確認するのに十分ではない。EU輸出用製品の認証、EU輸出施設の認可/登録、HACCP実行の評価、牛乳の生産レベルでの公的管理に欠点が確認された。

 

-クロアチア―生きた二枚貝

Croatia 2021-7255―Live bivalve molluscs

15/07/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4383

2021年2月1~12日にクロアチアで実施したリモート査察。管轄機関による公的管理システムが、生きた二枚貝がEU法の条件を満たすよう適切に管理されているかどうか評価し、この法の実行と施行を検証した。国家法は時代遅れで、生産地域の微生物モニタリング後の決断に関する条件を正確に説明していないため、生産地域の公的管理の適切な枠組みを提供していない。生産地域のモニタリング計画は国立参照試験所からの入力がないこともあり、この目的に完全に適しているわけではない。管轄機関は前回の報告書の助言への是正措置を行った。

 

-管理団体―エジプトのオーガニック生産基準及び管理手段の認証管理団体による実践

Control Body 2020-7113―implementation by a recognised control body of its organic production standards and control measures in Egypt

07/07/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4382

2020年11月25日~12月10日に実施した、エジプトのオーガニック生産基準と管理手段の認定管理団体(CB)による適用を評価するためのリモート査察。CBの基準は関連するEU規則に沿った最新のものだが、一連の手順、作業指示書などは適切でない部分があり修正が必要である。CBは認定されており認証団体による定期的な評価の対象だが、作業の質と公平性は十分保証されていない。リスク評価、検査、文書化システムは不完全で、十分堅固ではない。実践された管理手段は不十分でEUと同等の効果はない。このシステムは認定された委託品のオーガニックの整合性の十分な保証を提供できていない。

 

[EU]RASFF2021(0815-0821)

警報通知(Alert Notifications)

イタリア産キサンタンガム(E415)のエチレンオキシド、フランス産有機食品サプリメントに使用したターメリック及び黒コショウ抽出物のエチレンオキシド、エジプト産オレンジのクロルピリホス-エチル、米国産食品サプリメントのエチレンオキシド(エチレンオキシド及び2-クロロエタノールの合計、エチレンオキシドと表記)、インド産ターメリックのクロルピリホス、ウズベキスタン産有機レーズンのオクラトキシンA、英国産カルダモン入り緑茶のクロルピリホス及びアセタミプリド、ドイツ産チリ調味料のオクラトキシンA、スペイン産エチレンオキシドで汚染されたローカストビーンガム(E410)、スペイン産メカジキの水銀、トルコ産オリーブの亜硫酸塩非表示、

注意喚起情報(information for attention)

スペイン産イカのカドミウム、スペイン産キハダマグロの長い切り身のアスコルビン酸最大許容量超過、スペイン産チルドイカのカドミウム、ポーランド産パセリのクロルピリホス、アルゼンチン産ピーナッツのアフラトキシン、ドイツ産精製パーム油の3-MCPDエステル類、オランダ産サバのヒスタミン、スリランカ産生鮮メカジキロインの水銀及びカドミウム、スイス産食品サプリメントの未承認新規食品成分、スリランカ産生鮮メカジキロインのカドミウム及び水銀、

通関拒否通知(Border Rejections)

トルコ産生鮮ペッパーのクロルピリホス-メチル、パラグアイ産有機ピーナッツのアフラトキシン、インド産ゴマ種子のクロルピリホス、インド産ゴマ種子のクロルピリホス、米国産ピーナッツのアフラトキシン、アルゼンチン産飼料用ピーナッツ穀粒のアフラトキシン、ニカラグア産有機ピーナッツのアフラトキシン、ペルー産ブラジルナッツのアフラトキシン、インド産カルダモンの残留農薬、米国産ピーナッツバターのアフラトキシンB1過多、エジプト産オレンジのクロルピリホス-エチル、ガーナ産パーム油の未承認着色料スーダンⅣ、インドネシア産ナツメグのアフラトキシン、

 

[BfR] ヘンプを含む食品の健康リスクに関するよくある質問

Frequently asked questions about the health risks of foods containing hemp

06.08.2021

BfR FAQ, 16 July 2021

https://www.bfr.bund.de/en/frequently_asked_questions_about_the_health_risks_of_foods_containing_hemp-279961.html

麺類やエネルギードリンクに、さまざまな食品の成分として含まれるヘンプは、近年、大きなブームとなっている。昔から人々は、とりわけ、この作物の繊維をロープ、織物、紙の生産に利用してきた。また、植物のヘンプ(麻)の一部(例、葉や花あるいはそれらの抽出物)は、治療薬としてだけでなく、麻薬としても使用されている。

植物のヘンプ(麻)の種子には、亜麻仁と類似した貴重なアミノ酸や脂肪酸が豊富に含まれている。しかし、葉や花には、いわゆるカンナビノイドが含まれている。その中には精神に影響を与えるものがある。これらは精神活性物質とも呼ばれる。例えば、収穫時などにカンナビノイドを含む植物の部位と接触すると、種子が汚染されることがある。

最もよく知られているカンナビノイドには、テトラヒドロカンナビノール(THC)とカンナビジオール(CBD)がある。特にTHCには、精神活性作用がある。高濃度のTHCを含むヘンプ茶やヘンプシードオイル(麻の実油)を摂取した場合に、欧州食品安全機関(EFSA)が設定したTHCの急性参照用量(ARfD)を超える可能性があると、ドイツリスク評価研究所(BfR)は暴露予測で示す。特に子供は体重が少ないため、過剰な量のTHCを摂取するリスクが高い。この精神活性物質は、少量でも中枢神経系や循環器系に影響を与える。その結果、特に気分の落ち込みや疲労感が生じることがある。

CBDを含む製品には健康増進効果があると言われているが、そのほとんどが科学的に証明されていない。それらは主にダイエタリーサプリメントとして提供される。現在の知識では、CBDは精神活性のものではない。しかし、薬理作用はある。また、CBD製品はTHCで汚染されている可能性がある。

ヘンプを含む製品を市場に出す場合、麻薬、医薬品及び食品に関する法令を守らなければならない。

以下に、BfRは「ヘンプを含む食品」をテーマにしたFAQをまとめている。

FAQ

ヘンプとは何か?

ヘンプ(cannabis)は、アサ科(Cannabaceae)の植物属である。Cannabis sativa L. は通常欧州で栽培される。

 

ヘンプは何に使われているか?

ヘンプは最も古い栽培植物及び農作物の1つである。この植物の様々な調合品は古代から治療薬として、また麻薬として使われてきた。産業界では例えば織物を製造する上で、主に繊維を得るために利用する。20世紀には、有用な作物としてのヘンプの産業上の重要性は低下したが、現在、栽培は再び増加している。

近年、小売店においてヘンプを含む食品が増えている。主にヘンプシード(麻の実)を原料として含む商品である。しかし、ヘンプの葉や花を使用したお茶もある。欧州連合(EU)ではヘンプオイル、ヘンプ粉、オイルを抽出後の油糟の形態においてのヘンプシードと、この目的のために承認された特定の種類のヘンプ繊維は動物飼料として使用される。

 

ヘンプを含む食品で市販されているものは?

近年、ヘンプを含む食品の種類が増えている。ヘンプシードは主原料として最もよく使用される。例えば、以下のようなものがある:

ヘンプシードから得られる食用油

その油を原料とする食品

ヘンプシードあるいはヘンプシード由来のプロテインパウダーを含む食品(例:ミューズリーバー、パスタ)

ヘンプシードを主原料としたプロテインパウダーを含むダイエタリーサプリメント

さらに、ヘンプ植物の他の部位を含む食品もある。例えば、以下:

ヘンプの葉や花から作られたお茶

葉や花からの抽出物を含むその他の食品(例:エネルギードリンク)

ヘンプ植物の葉や花からの抽出物を含む食品サプリメント

重要:ヘンプを含む製品は一般的に、麻薬や医薬品に分類されず、食品自体が安全であると判断された場合にのみ、食品として販売することができる (参照:「ヘンプを含む食品は麻薬法に該当するか?」「0.2 %のTHCという上限(最大基準)がヘンプに適用されるのは本当か」)。

 

ヘンプを含む食品は麻薬法に該当するか?

大麻(マリファナ、カンナビス(cannabis)属に属する植物及びその一部)、大麻樹脂(ハシシ、カンナビス属に属する植物から分泌される樹脂)、THC及びその他のテトラヒドロカンナビノールは麻薬法(BtMG)で麻薬として指定される。例外として、特にヘンプシードは成分としてTHCを含んでいないため、無許可栽培を目的としていないことを条件に認められる。したがって、種子から製造された食品は、通常、麻薬法の対象ではない。

種子以外の植物の部位は非常に特殊な条件の下でのみ麻薬法の適用が免除されるため、産業用ヘンプの葉や花を含む製品の場合は状況が異なる可能性がある。ここでの法的状況は非常に複雑である。各々の場合で、そのような製品は、特定の状況下では、管轄当局が麻薬であるとみなす可能性がある。ドイツ連邦医薬品・医療機器研究所(BfArM)のドイツ連邦アヘン庁は、麻薬法に関する質問について法的拘束力のある情報を提供する:

https://www.bfarm.de/DE/Bundesopiumstelle/_node.html

 

ヘンプにはどのような成分が含まれているか?

これまで、560以上の物質がヘンプ植物に確認されている。種子には 脂肪油(25-35 %)とタンパク質(20-25 %)を多く含み、すべての必須アミノ酸と脂肪酸を含む。ナッツ類、亜麻仁あるいはチアシードに匹敵する脂肪酸データは、不飽和脂肪酸の比率が高く、栄養学的に価値があると考えられる。

種子と根を除き、ヘンプ植物の全体には腺毛があり、その腺毛から約80〜90 %のカンナビノイドで構成される樹脂が生成される。現在までに120以上の異なるカンナビノイドが確認されている;一般的なカンナビノイドであるTHCやCBDも含む。腺毛がないため、原料としての種子にはカンナビノイドは検出されない。ヘンプシードやそれらから作られる食品(ヘンププロテイン、ヘンプシードオイル)で測定されたTHC濃度は、収穫時や加工時に植物のTHCを含む部位と接触したことによる汚染を示すと考えられる。

 

ヘンプ植物のどの成分が中毒を引き起こすのか?

大麻製品の精神活性作用は、主にカンナビノイドのTHCが原因である。THCには知覚変化の作用がある。THCはヘンプの天然成分である。それは 植物の葉、葉脈、花序にある腺毛で生成される。特に雌の植物では、花序の部分に多くの腺毛が見られる。一方、ヘンプシードには腺毛がないため、THC成分は含まれない。しかし、例えば、収穫時などにTHCを含む植物の一部と接触すると、種子が汚染される可能性がある。

また、ヘンプ植物に含まれるTHCの濃度は品種によって異なる。ドイツにおいて産業用ヘンプの栽培が許可されている品種は、現在THCの上限は0.2 %に設定されている。

ヘンプにはTHCとTHCの生合成前駆体であるTHCカルボン酸(THCA)の混合物が含まれているが、THCカルボン酸には精神活性作用はない。欧州食品安全機関(EFSA)が引用したJungらの文献によると、新鮮な植物では、THCとTHCAの合計の約90%がTHCAの形態である。この記述はJungらの文献にあるが、実験的エビデンスによる裏付けはない。他の著者による実験的研究では、ほとんどの場合、THCAが優勢であるが、THCAとTHCの正確な比率は大きく変化することが示された。熱にさらされると、THCカルボン酸はTHCに変換される。特定の分析法では、THCとTHCカルボン酸の合計に限ってしか測定できないため、この合計を総THCとも呼ぶ。

THCに加え、ヘンプ植物に少量含まれるほかのカンナビノイドにも精神作用がある。しかし、産業用ヘンプに多く含まれているカンナビノイドのCBDは、CBDがカンナビノイド受容体への親和性が極めて低いため、THCで言われるような精神作用はない。

 

産業用ヘンプの品種と「麻薬用ヘンプ」や「医療用ヘンプ」との違いは何か?

産業用ヘンプ(工業用ヘンプ、繊維用ヘンプ)とは、麻薬用あるいは医療用ヘンプに比べて、カンナビノイドであるTHCの含有量が少ないヘンプ品種を指す用語である。一部の例外はあるが、産業用ヘンプも麻薬法の規制を受ける。欧州連合では厳しい条件のもと、産業用ヘンプの栽培が認められている。ただし、欧州連合Common Catalogue of varieties of agricultural plant speciesに指定される認定品種のみ栽培が許可される。ドイツでは、産業用ヘンプの栽培は、ドイツ連邦農業食糧庁(BLE)によって監視されている。現在、法的規則により、ドイツで産業用ヘンプの栽培が認められている品種は、乾物を基準としてTHC濃度が0.2 %を超えてはならない。詳細情報は以下: https://www.ble.de/DE/Themen/Land wirtschaft/Nutzhanf/nutzhanf_node.html

 

ヘンプを含む食品にはどのような健康リスクがあるか?

規則 (EC) No.178/2002の第14条によると、食品は安全であるとみなされなければならない。これはヘンプを含む食品にも適用される。この責任は主に食品事業者の義務である。

可能性のある健康リスクに関して、ヘンプを含む食品の場合の焦点は、精神活性成分であるTHCである。慢性毒性に関する動物実験から、THCの長期的摂取がさまざまな望ましくない作用を引き起こすことがわかっている。これには、体の免疫系の抑制(免疫抑制作用)及び生殖能力への悪影響が含まれる。しかし、これらの影響は摂取量が多い場合にのみ認められる。ヘンプを含む食品のリスク評価では、摂取量が少なくても生じる精神活性作用が前面に出てくる。

2015年、欧州食品安全機関(EFSA)は、ヘンプを含む食品から発生しうる健康リスクを評価した。それによると、人間が少量のTHCを摂取後、中枢神経系と循環器系への影響が予想される。例えば、気分の落ち込みや疲労感などが生じる可能性がある。これらの影響は、1人当たり2.5 mg (体重70 kgとして体重1 kgあたり約0.036 mgに相当)の摂取で、単回および反復摂取の両方ですでに観察されている。この用量を「最も低い有害影響レベル」(LOAEL)とした。これをもとにEFSAは、体重1 kgあたり0.001 mgのTHCを急性参照用量(ARfD)として設定した。ARfDとは、1日のうち、1回の食事または数回の食事で摂取しても、健康リスクが検出されないと推定されるTHCの最大摂取量を示す。

 

THCの評価には、特に厳しい基準が適用されたというのは本当か?

EFSAとBfRによるTHCの毒性学的評価は、確立されたガイドラインに沿って行われた。まず初めの段階では入手可能な研究に基づき、毒性学的に最も感度の高いエンドポイントを特定した。1人当たり2.5 mgの投与量は「有害影響が認められる最低量(LOAEL)」とみなされた。

さらに、,LOAELを参照点とし、,外挿因子30を用いて、,急性参照用量(ARfD)を算出した。国際的な基準に従い、外挿因子はLOAELから「有害影響が全く観察されない最も高い用量」(NOAEL:無毒性量)に外挿するための因子3と、集団間の感受性の違いを考慮するための因子10で構成される。導き出されたARfDは集団の中で感受性の高い人も十分に保護されることを保証することを目的とする。使用された外挿因子の大きさは毒性学的評価の国際基準に相当する。

 

THCの摂取量が特に多くなる食品は?

BfRは現在、ヘンプを含む食品の消費量に関する代表的なデータを持っていない。そのため、信頼できる暴露評価はまだできていない。

しかし、BfRが行った暴露予測によると、テトラヒドロカンナビノール(THC)濃度の高いヘンプ茶やヘンプシードオイルを摂取すると、EFSAが定めたTHCの急性参照用量(ARfD)を超える可能性がある。特に子供は体重が少ないため、THCを過剰に摂取するリスクが高い。

ヘンプシードには天然のカンナビノイドは含まれない。しかし、抽出や加工の過程で、ヘンプシードはカンナビノイド(汚染)により汚染される可能性がある。収穫時や加工時の適切な条件下では一般的に濃度は低く抑えることができる。したがって、ほとんどのヘンプシードオイルは、毒性学的には無害と考えられる低いTHC濃度である。

しかし、ヘンプ茶及びヘンプの葉やおそらく花を使ったその他のヘンプ製品の場合は、THCは汚染物質ではなく、成分の1つである。THCの濃度は、ヘンプの品種やさまざまな環境要因によって大きく変動を受ける。それゆえBfRの見解では、これらの食品のTHC濃度が信頼できるほど低減できるかどうか疑わしい。

いわゆるCBDオイルは、カンナビノイドのカンナビジオール(CBD)を主成分とする。CBDはカンナビノイド受容体への親和性が極めて低いため、THCで述べられるような影響の精神活性作用はない。特に、ヘンプ抽出物から作られたCBDオイルには、THCも含まれている。現在のところ、CBDオイルに含まれるTHC濃度に関する信頼できる情報はない。リスク管理担当のドイツ連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)は、「サプリメントを含む食品に含まれるカンナビジオール(CBD)が欧州連合内で合法的に販売できる事例は、現在のところないと認識している」と述べていることを指摘しておく。

 

食品に含まれるTHCの最大基準値はあるか?

現在、欧州連合では食品中のTHCに対する統一された最大基準値はない。ヘンプシードやヘンプシードオイルのようなそれらから作られた製品に対する欧州連合の最大基準値の導入については、現在欧州連合で議論されている。ドイツでは、2000年に旧連邦消費者健康保護・獣医学研究所(BgVV)が様々な食品群におけるTHCの最大濃度の指標値を発表した。これは、ノンアルコール飲料及びアルコール飲料では1 kgあたり0.005 mg、食用油では1 kgあたり5 mg、その他の食品及びそのまま喫食可能な食品関連では1 kgあたり0.150 mgであった。BfRの見解では、現在の知識に基づくと、これらの指標値は、特に油については指標値を遵守してもARfDを超える可能性があるため、すべての場合において十分な保護レベルを保証するのに適していない。さらに難しいのは、「その他の食品」というグループには、2000年に指標値が設定されたときには市場に出回っていなかった多数の異なるヘンプを含む食品が現在含まれているという事実であり、それゆえ、考慮できず、この指標値の妥当性にも疑問がある。

法的に最大基準値が定められていなくても、ヘンプを含む食品は恣意的にTHC濃度を高くして市場に出すことはできない。むしろ、ヘンプを含む食品は、規則 (EC) No.178/2002に基づく食品法の一般条項を準拠しなければならない。ヘンプを含む製品は一般的に、麻薬や医薬品に分類されず、食品自体が安全であると判断されるならば、食品として販売することができる(「ヘンプを含む食品は麻薬法に該当するか」「ヘンプにはTHCの最大基準値0.2 %が適用されるというのは本当か」にも記述あり)。市販前に法的要件への適合性を確認することは食品事業者の責任である。

 

ヘンプにはTHCの最大基準値0.2 %が適用されるというのは本当か?

THCの含有量が0.2 %とされているのは、主にハーブ原料の麻薬分類に関係する。高濃度のヘンプ植物は一般的に麻薬法に該当するので、そのような植物の部位は通常食品として使用することはできない。注意すべきは低濃度のヘンプであっても、例えば、酩酊目的での乱用が疑われるならば、麻薬とみなされることがある。しかし、0.2 %という値は、食品の毒性評価には適さない。現在のところ欧州連合では食品に対する統一的なTHCの最大基準値はない。しかし、EFSAは食品の急性参照用量(ARfD)を設定した。ARfDは、1日のうち、1回の食事または数回の食事で摂取しても、健康リスクが検出されないと推定されるTHCの最大量を示す。

以下の例は、植物原料中のTHCの最大基準値を0.2 %とすることが、食品の評価に適していない理由を示す:

ヘンプを含む食品中のTHC濃度は、ARfDである体重1kgあたり0.001 mgのTHCを超える摂取量になってはいけない。THC含有量が0.2 %の食品を1000 mg摂取で、2 mgのTHCを摂取になる。体重70 kgの成人の場合、これはARfDの約30倍(体重1kgあたり約0.03 mg)を超えることになる。子供や 体重の少ない人、あるいは消費量が多い場合、この超過量はさらに大きくなる。

 

ヘンプを含む食品はどのような基準で毒性学的に評価できるか?

BfFRは、EFSAが設定したTHCの急性参照用量(ARfD)0.001 mg/kg体重に基づいたヘンプを含む食品の毒性学的評価を行うことを推奨する。ARfDとは、1日のうち、1回の食事または数回の食事で摂取しても、健康リスクが検出されないと推定されるTHCの最大摂取量を示す。BfRの見解は、ARfDを超える可能性があるかどうかを評価するために、各製品をケースバイケースで評価すべきである。

その判断には、測定されたTHC濃度と推定消費量が用いられる。推定消費量に関する情報は、EFSAから「EFSA包括的欧州食品摂取データベース(Comprehensive European Food Consumption Database)」という形で提供されており、また消費調査からも得ることができる。ダイエタリーサプリメントの場合は、法的要件である1日あたりの推奨摂取量を用いることができる。

 

なぜBfRはTHCカルボン酸を評価において考慮することを推奨するか?

急性参照用量(ARfD)は、純粋なTHCを用いた研究に基づいて導き出されたものである。一方、前駆物質であるTHCカルボン酸には、精神的な作用はない。毒性学的な観点からは、測定値が出発製品に関連するならば、毒性評価にTHCとTHCカルボン酸の合計である総THCを使用するのがやはり妥当である。この方法は、現在欧州レベルで議論されている最大基準値の評価も対象である。

例えば、ヘンプシードを焙煎したり、あるいはヘンプシードオイルを揚げ物に使用したりするといった、食品加工時の追加の熱処理は、大部分のヘンプを含む原料で排除できない。加熱の結果、原料に含まれるTHCカルボン酸は、一部または全部が、そのまま喫食可能な食品に含まれるTHCに変換される可能性がある。したがって、評価において原料に含まれるTHCとTHCカルボン酸の総含有量を使用し、それをARfDに直接関連付けることが適切であると考えられる。

しかし、BfRの見解では個々の事例において特定の製品が追加の熱処理が加えられることが予想されない場合、この方法は除外されるべきであるとする。これは、カプセルや錠剤の形態のダイエタリーサプリメントにあてはまるだろう。測定されたTHC含有量のみがARfDとの比較に使用されるべきである。

 

ヘンプ植物の異なる成分がお互いに影響し合うか?

ヘンプ植物の他の成分がTHCの望ましくない作用を弱める可能性を示唆するという知見は文献で繰り返し議論されている。しかし、関連データの状況は矛盾する。毒性学的な観点からは、現在の知識にもとづき、ヘンプを含む食品に天然に発生するTHCは分離あるいは合成された純物質と異なった評価をすることはできない。

 

ヘンプを含む食品を摂取した後に薬物検査で陽性結果が出る可能性はあるか?

この質問に対する信頼できる答えは今のところない。文献によると、ヘンプを含む食品を摂取した後に法医学検査で陽性結果が出ることが原理的にあり得ると述べられている。そのため、BfRは2018年の意見書でこの事実に言及した。陽性の結果は通常、THC濃度が比較的高い製品を消費した後に得られた。低濃度の汚染された製品の消費では、一般的に陽性にはならなかった。この問題に関する情報は、例えば、Lachenmeierらのレビュー (Foods Containing Hemp - An Update, 2019)に掲載されている。

例えば、わずかに汚染された製品を摂取してもTHCの急性参照用量(ARfD)である0.001 mg/kg体重を超えないのであれば、法医学検査で陽性反応が出る可能性はかなり低いと考えられる。しかし、さまざまな体液中のTHCやその代謝産物の正確な濃度は、多くの要因に影響される可能性がある。また、長期的な摂取により、物質が体内に蓄積される可能性もある。この理由から、法医学検査で陽性結果となる正確な摂取量を決定的に評価することは、現在のところ不可能である。

 

CBDを含む多くの製品が店頭に並んでいる。これはヘンプとどういう関係があるか?

 CBDとは、カンナビジオールという物質の略称である。これは、主に産業用のヘンプから得られるカンナビノイドである。THCとは対照的に、CBDは非精神活性作用のカンナビノイドと考えられており、そのために麻薬法(BtMG)では麻薬として指定されない。CBDは一般の人々の間では、多くの健康増進効果があると思われている。そのため、CBDは現在、例えば、食品サプリメントを含む多くの製品に含まれる人気の成分である。健康に良いと宣伝される効果のほとんどは、まだ科学的に証明されていない。リスク管理担当のドイツ連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)は、「サプリメントを含む食品に含まれるカンナビジオール(CBD)が欧州連合内で合法的に販売できる事例は現在のところないと認識している」と述べていることを指摘しておく。

CBDには薬理作用があることが知られている。ドイツでは、この物質は処方箋医薬品として処方箋のみの医薬品に関する規則に指定されている。現在、欧州連合ではCBDを含む医薬品が承認されており、子どもの特定の希少なてんかんの治療に使用されることがある。

 

CBDを含む食品は、健康上の問題はないのか?

食品中のCBDの存在による健康リスクの可能性に関する入手できるデータは、現在のところ、まだ限られている。しかし、医薬品としてのCBDの使用から、CBDは少なくとも摂取量が多い場合には、望ましくない作用を引き起こす可能性があることがわかっている。

例えば、鎮静作用や肝機能障害が含まれる。また、現在の知識では また、他の様々な医薬品との相互作用の可能性もある。つまり、CBDを同時に摂取することで、他の医薬品の効果が損なわれたり、強くなったりする可能性があることを意味する。これらの影響が、もはや薬理効果を持たない低摂取の濃度でも関係し、したがって食品分野の対象になるかどうかは、まだ評価できない。

EFSAは現在、新規食品規則 (EU) 2015/2283に基づき、CBDを含む特定の食品の承認申請を検討している。その結果はまだ出ていない。

 

ドイツでは、CBDを含むダイエタリーサプリメントは合法的に販売可能か?

製品の分類と個々の事例での販売可能性の評価は、ドイツの食品監視を担当する州当局の仕事の1つである。リスク管理担当のドイツ連邦消費者保護・食品安全庁(BVL)は、「しかし、食品サプリメントを含む食品に含まれるカンナビジオール(CBD)が欧州連合内で合法的に販売できる事例は現在のところないと認識している。BVLの観点からは、医薬品の承認も新規食品の承認も CBDを含む製品を市場に出す前に、承認申請を提出する必要がある。この手続きの一環として、申請者は製品の安全性を証明しなければならない。」とする。

出典:https://www.bvl.bund.de/DE/Arbeitsbereiche/01_Lebensmittel/04_AntragstellerUnternehmen/13_FAQ/FAQ_Hanf_THC_CBD/FAQ_Cannabidiol_node.html 」

 

ヘンプを含む製品は新規食品とみなされるか?

新規食品規則(EU)2015/2283によると、1997年5月15日以前まで欧州連合でヒトがあまり食べていなかった食品であり、この規則で定められた特定の食品分類に割り当てられる場合、その食品は新規食品とみなされる。そして、EFSAが評価する新規食品の安全性のもとでの認可が必要となる。

欧州委員会のいわゆる新規食品カタログでは、ヘンプ植物(Cannabis sativa L.)の抽出物とCBDを新規食品としている。これらは、規則(EU)2015/2283に基づく承認が必要である。このプロセスの一環として、EFSAは現在、CBDの食品としての安全性を評価している。この結果はまだ出ていない。

追加情報:

https://www.bzfe.de/lebensmittel/trendlebensmittel/hanf/

https://www.bvl.bund.de/DE/Arbeitsbereiche/01_Lebensmittel/04_Antrag stellerUnternehmen/05_NovelFood/lm_novelFood_node.html

https://www.bvl.bund.de/SharedDocs/FAQ/DE/02_Unternehmer/01_Lebensmit tel/03_FAQ_Hanf_THC_CBD/03_FAQ_Cannabidiol_CBD.html

 

ヘンプを含む食品とヘンプを含む医薬品に違いはあるか?

原則として、食品の成分(食品サプリメントも含む)は、薬理作用、例えば、病気の治療、軽減作用があってはならない。もし、そのような効果を持つ製品である場合、その製品は医薬品法に該当し、市場に出す前に医薬品としての承認が必要である。これは、医薬品の有効性と安全性を保証し、誤用を予防するためである。これはドイツ連邦医薬品・医療機器研究所(BfArM)が責任をもつ。

 

[BfR]BfRコロナモニター

BfR-Corona-Monitor - as to 17 - 18 August 2021

20.08.2021

https://www.bfr.bund.de/cm/349/210820-bfr-corona-monitor-en.pdf

(新型コロナウイルスへの懸念が減っているようだ

他人との接触制限は「不適切」が増加

マスク、手洗い、換気はやるけれど外出や人に会うことはもう避けない、みたいになりつつある)

 

[FDA] FDA In Brief: FDAは汚染されたペットフードと数百件の有害事象に関連する企業に対し、全社規模の警告文を発行する

FDA In Brief: FDA Issues a Corporate-Wide Warning Letter to Company Associated with Contaminated Pet Food, Hundreds of Adverse Events

August 17, 2021

https://www.fda.gov/news-events/press-announcements/fda-brief-fda-issues-corporate-wide-warning-letter-company-associated-contaminated-pet-food-hundreds

FDAの動物用医薬品センターのSteven M. Solomon, M.P.H., D.V.M.は、Midwestern Pet Foods, Inc.の工場における違反、また、製品サンプルからの高濃度のアフラトキシン検出に対し、全社規模の警告文を発行した、と述べた。

Midwestern Pet Foods, Inc.社のSPORTMiXブランドのドライ・ドッグフードのサンプルからは、後に558 ppmという高濃度のアフラトキシンが検出された。20 ppb以上のアフラトキシンが含まれる場合、ペットフードは不純品である。同社は1月にチカシェ工場のペットフードを自主的にリコールし、3月、イリノイ州モンマスの工場で製造されたペットフードのサンプルからサルモネラ菌の陽性反応が出たためリコールを行った。FDAは、Midwestern Pet Foods, Inc.社の食品安全プログラムは、ペットフードに含まれるサルモネラ菌を低減または防止するには不十分と判断した。アフラトキシンは、トウモロコシなどの穀物原料に繁殖するカビAspergillus flavusにより生成され、高濃度だとペットの病気や死亡の原因となる可能性がある。8月9日現在、FDAは、このペットフードが原因と思われる、130件以上のペットの死亡と220件以上のペットの病気を把握している。FDAは同社の他の3つの製造工場にも動物用食品向けの適正製造基準、ハザード分析、リスクベースの予防的管理の規則において重大な違反を発見した。

「ペットフードの製造業者および販売業者は、連邦法及びFDA規則のすべての要件を遵守する責任があることを理解し、ハザード分析及びリスクベースの予防管理計画を実施しなければならない。」とSteven M. Solomon氏は述べる。

 

[FDA]警告文書

-YemenUSA Inc.

JULY 22, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/yemenusa-inc-615141-07222021

「外国供給業者検証プログラム(FSVP)」違反の問題。

-Productos Bredy USA LLC

AUGUST 03, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/productos-bredy-usa-llc-614241-08032021

FSVP違反の問題。

-Tropicosmeticos SA de CV

AUGUST 10, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/tropicosmeticos-sa-de-cv-609041-08102021

未承認の医薬品、不正表示の問題。手指用消毒剤にメタノールが含まれる。

-1st Phorm LLC

JULY 29, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/1st-phorm-llc-613715-07292021

未承認の医薬品、不正表示、ダイエタリーサプリメントの不純品の問題

-Transu Investment Group, LLC

JULY 16, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/transu-investment-group-llc-614357-07162021

FSVP違反の問題。

-Midwestern Pet Food

AUGUST 09, 2021

https://www.fda.gov/inspections-compliance-enforcement-and-criminal-investigations/warning-letters/midwestern-pet-food-613845-08092021

動物用食品のCGMP、処理、包装及び衛生管理、不純品の問題。SPORTMiXブランドの追加製品から、基準値20 ppbを超える558 ppbという高い濃度のアフラトキシンが検出された。また、マイコトキシンやサルモネラの問題。

 

[HK]ニュースレター

Food Safety Focus

18 Aug 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html

掲載項目

黄色ブドウ球菌とシュウメイ(広東料理のロースト肉)                

コールドプレスジュースのジューシーな真実  

食品中の有害物質規則の改正の開始

包装食品中の二酸化硫黄の表示

 

[HK] よくある質問

Frequently Asked Questions

20 Aug 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/faq/faq_17.html

フグおよびフグを含む食品についての情報更新。食品安全センターはフグ及びフグを含む食品を消費しないよう市民に呼びかけている。

(以前の記事をFAQにしたようなもの)

Food Safety Focus (178th Issue, May 2021) – Food Safety Platform

Tetrodotoxin – the Deadly Poison in Puffer Fish

https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf_178_02.html

 

[HK] 食品安全センターはエチレンオキシドの可能性のため2製品を摂取しないよう市民に呼びかける

CFS urges public not to consume two products with possible presence of ethylene oxide

Wednesday, August 18, 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/press/20210818_8845.html

食品安全センター及び食物環境衛生署は本日、インドから輸入されたショウガ根の粉末とイタリアから輸入されたココナッツドリンクについて、欧州連合で認可されていない農薬エチレンオキシドが含まれている可能性があるため、消費しないよう呼びかけた。

 

[MPI] アラートレベル4におけるCOVID-19と食品安全

COVID-19 and food safety in Alert Level 4

17.08.21

https://www.mpi.govt.nz/covid-19-information-and-advice/covid-19-and-food-safety/covid-19-and-food-safety-in-alert-level-4/

食品安全とコロナウイルスについて、アラートレベル4時に活動する食品取扱者や食品事業者向けのガイダンスの情報更新。

 

[TGA] ニコチン電子タバコ製品の広告宣伝

Advertising nicotine vaping products

18 August 2021

https://www.tga.gov.au/behind-news/advertising-nicotine-vaping-products

TGAは、本日、薬局および薬局関係グループに対し、処方箋に基づいてニコチン電子タバコ製品(ニコチン付き電子タバコ、ニコチンポッド、リキッドニコチンなど)の調剤を宣伝することを許可するTGA広告許可の改訂版を発表した。2021年7月に発表された広告許可に代わるものである。

 

[TGA]COVID-19治療目的でイベルメクチンを輸入することのリスク

Risks of importing Ivermectin for treatment of COVID-19

23 August 2021

https://www.tga.gov.au/media-release/risks-importing-ivermectin-treatment-covid-19

保健省の一部門としてのTGAは、COVID-19治療目的でのイベルメクチンの輸入と処方が増加しているのを検出している。イベルメクチンはオーストラリアでは(あるいは他のOECD諸国で)COVID-19の予防や治療に認可されておらず、その目的での輸入はすべきではない。

TGAはあなたの健康に危険がある可能性があるため、COVID-19のためのイベルメクチンの自己処方は強く反対する。COVID-19患者にイベルメクチンの使用を検討するための根拠は不十分である。

イベルメクチンはダニや線虫のような寄生虫感染症の管理や治療に使われる。オーストラリアでは回虫感染、疥癬、炎症性酒さ治療用に認可されている。

イベルメクチンのCOVID-19への抗ウイルス活性や臨床アウトカム改善は証明されていない

2021年7月28日に発表されたこくらんレビューではイベルメクチンのCOVID-19感染予防や治療への使用を支持する根拠は見つからなかった。

疑わしいウェブサイトから医薬品を購入することには注意が必要である

 

[FSS] スコットランドの消費者を守るため、直販用の包装済み食品の表示改訂が法制化される

Improved labelling on food sold prepacked for direct sale becomes law to protect Scottish consumers

19 AUGUST 2021

https://www.foodstandards.gov.scot/news-and-alerts/improved-labelling-on-food-sold-prepacked-for-direct-sale-becomes-law-to-protect-scottish-consumers

2021年10月1日より、直販用包装食品(PPDS)のラベルに詳細な成分、アレルゲン情報を記載が義務となる新しい法律が施行される。

https://www.foodstandards.gov.scot/business-and-industry/safety-and-regulation/food-allergies-2/prepacked-for-direct-sale

 

[FSAI]リコール

-Jana Flavoured Cheese Products/Jana Serki o Roznych Smakachの一部に未承認の農薬であるエチレンオキシドの混入のためリコール

Recall of Several Jana Flavoured Cheese Products/Jana Serki o Roznych Smakach due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Thursday, 19 August 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/jana_cheese_serek.html

ポーランド産Jana 風味付きチーズ製品/Jana Serki o Roznych Smakachの一部は使用された食品添加物のローカストビーンガム(E410)に未承認の農薬のエチレンオキシドが含まれているため、リコール。製品写真有り。

 

-Vemondo Vegan Sticksの一部に未承認の農薬であるエチレンオキシドの混入のためリコール

Recall of a Batch of Vemondo Vegan Sticks due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Thursday, 19 August 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/vemondo_vegan_sticks.html

ドイツ産Vemondo Vegan Sticksの一部は使用された食品添加物のローカストビーンガム(E410)に未承認の農薬のエチレンオキシドが含まれているため、リコール。製品写真有り。

 

[ODS] ODS25周年記念科学シンポジウム

ODS 25th Anniversary Scientific Symposium

August 18, 2021

https://ods.od.nih.gov/About/ODS25thanniversary.aspx

2021年10月25-26日に行われるシンポジウムの登録受付開始。ダイエタリーサプリメント科学の専門家によるプレゼンテーション、ODSの科学的成果への貢献、研究者の育成におけるODSの役割、ダイエタリーサプリメント研究の将来について。

 

[DHSC]82の検査業者に誤解を招く価格について警告

82 testing providers to be issued warnings over misleading prices

23 August 2021

https://www.gov.uk/government/news/82-testing-providers-to-be-issued-warnings-over-misleading-prices

(性能だけではなく値段もチェックするんだ)

 

[DHSC]若いCOVID患者が他の人に予防接種を受けるよう強く勧めるための体験談をシェアする

Young COVID patients share stories to urge others to get jabbed

23 August 2021

https://www.gov.uk/government/news/young-covid-patients-share-stories-to-urge-others-to-get-jabbed

強力な新しい動画(Vimeo)が予防接種を推進する

入院や後遺症の辛さなど

現在イングランドでは16-17才とリスクのある12-15才が予防接種対象

 

[EPA]EPAとユニリーバは化学物質リスク評価のために動物を使わないアプローチを進めるための大規模共同研究を発表

EPA and Unilever Announce Major Research Collaboration to Advance Non-animal Approaches for Chemical Risk Assessment

August 19, 2021

https://www.epa.gov/newsreleases/epa-and-unilever-announce-major-research-collaboration-advance-non-animal-approaches

200万ドル以上

 

論文

-研究:進化論が今やアメリカ人の大多数に受け入れられた

Study: Evolution now accepted by majority of Americans

20-AUG-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/925987

米国の人々の進化論の受容は確実に半分以上。過去35年以上行われてきた全国世論調査によれば。

1985年から2010年にかけては進化論の受容と拒絶が統計学的に競い合っていた。しかしその後受容が増え、2016年に大多数になった。進化論の受容につながった要因は、教育が大きく、市民の科学リテラシー、大学で科学を学び学位をとることが最も強い要因だった。1988年から2018年の間に大学卒のアメリカ人は約2倍になった。

進化論を拒否する最も強い因子は原理主義的信仰。

Public Understanding of Scienceに発表。

 

-低リスク前立腺がん患者の1/2が積極的サーベイランスから積極的治療に変える

One-half of patients with low-risk prostate cancer switch from active surveillance to active treatment

20-AUG-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/926031

The Journal of Urologyに発表されたオンタリオのデータベースを使った平均年齢64才以上の低グレード前立腺がん患者8541人の解析。積極的サーベイランス対象者の51%が中央値4年で手術野放射線療法のような積極的治療に進む。

(何もしないで観察する、って結構難しい。)

 

-The Lancetエディトリアル

極端に暑い世界の健康

Health in a world of extreme heat

VOLUME 398, ISSUE 10301, P641, AUGUST 21, 2021

この夏欧州南部と米国に広がった熱波と山火事は衝撃的で恐ろしいものだった。米国だけでも太平洋北西部で600の過剰死が報告されている。IPCCのワーキンググループIの第6回評価報告書では世界の気温は今後20年1.5℃以上あがると予想されている。この健康への影響がLancetの今週号のいくつかの論文で扱われている。

Katrin Burkartらの研究では2019年の世界中の死亡のうち170万が極端な暑さや寒さに関連すると推定している(暑さに関連するのは356000)。この手の推定に不確実さは避けられないが、世界の健康のリスク要因としての気温の重要性を示した

(以下気候対策の話。圧倒的に寒い方が死亡への影響が大きいのだけれど暑さの話しかしてない。)

 

日々の死亡率への最適ではない気温の原因特異的相対リスク推定:世界疾病負担研究に適用された2パートモデルアプローチ

Estimating the cause-specific relative risks of non-optimal temperature on daily mortality: a two-part modelling approach applied to the Global Burden of Disease Study

Katrin G Burkart et al.,

The Lancet| VOLUME 398, ISSUE 10301, P685-697, AUGUST 21, 2021

 

-Science

Howard Hughes医学研究所が有名生物学者をセクシャルハラスメントで解雇

HHMI fires prominent biologist for sexual harassment

By Meredith WadmanAug. 21, 2021

https://www.sciencemag.org/news/2021/08/hhmi-fires-prominent-biologist-sexual-harassment

労働環境での振る舞いについての方針違反でDavid Sabatiniを解雇

彼のラボで働いていた39人には相当な影響があるだろう

 

その他

-コンシューマーラボ

ペット用関節サプリメントレビュー(グルコサミン、コンドロイチン、MSM&ボスウェリア)

Joint Health Supplements for Pets Review (Glucosamine, Chondroitin, MSM & Boswellia)

Initially Posted: 08/21/2021

https://www.consumerlab.com/reviews/joint-supplements-glucosamine-chondroitin-msm-boswellia-dogs-cats/jointsupplements-pets/

ほとんど製品は表示されている量の内容物を含んでいたがその量は大きく異なり一製品はあまりにも量が少なくベネフィットがある可能性はない

(ペット用とかヒト用以上に詐欺だと思うんだけど)

 

-虫からプラスチックへ

From Bugs to Plastics

Joe Schwarcz PhD | 20 Aug 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/history/bugs-plastics

シェラックはある種のアジアの木にラックカイガラムシが沈着させた樹枝状分泌物である。その樹脂を剥がして加熱して濾過して製品にする。そしてそれが最初のプラスチックを触発した

20世紀最初の年のシェラックの需要は供給量を上回った。電気が普及し始めて絶縁が必要になりシェラックはとても効果的絶縁体だったからである。問題はシェラックを入手するのが難しいということだ。アメリカに移住したベルギーの化学者Leo Baeklandがこの問題に気がついて解決法を探った。Velox印画紙の発明でお金持ちだったので資金は潤沢だった。KodakがBaekelandに大金を払ってアイディアを購入し生産、販売した。Baekelandはこのお金で家を買い納屋を実験室にして人工シェラックの課題に取り組んだ。彼はドイツの化学者Adolf von Baeyerが1872年のコールタールから蒸留した化合物であるフェノールがホルムアルデヒドと反応して実験用ガラス器具にべたべたくっつく樹脂を作ることを発見しているのを知っていた。von Baeyerにとってはそれは害悪だったがBaekelandにとってはチャンスだった。Baekelandは試薬を混ぜ合わせて高温高圧でシェラックに似た物質を作る反応装置を開発した。彼はこの最初の合成プラスチックをベークライトBakeliteと呼んだ。それは優秀な絶縁体だった。しかしそれはほんの始まりに過ぎなかった。ベークライトはボタン、ナイフの柄、ビリヤードの球、ラジオ、電話、レコードになった。合成プラスチック産業が生まれた。彼のオリジナルの“Baekelizer”は今は重要歴史遺産としてワシントンのスミソニアン博物館にある。

 

-服を着るとPFASやフタル酸が検出されるリスクがある?

Are we at risk from wearing clothing with detectable amounts of PFASs or phthalates?

Joe Schwarcz PhD | 20 Aug 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/health/are-we-risk-wearing-clothing-detectable-amounts-pfass-or-phthalates

衣類にPFASが存在するかもしれないが、化学物質の存在イコールリスクではない!

PFASとフタル酸についてはたくさんの記事が書かれてきた。どちらも無数の消費者製品から見つかっている。フタル酸は繊維を柔らかくしなやかにし、PFASは水や油をはじく性質があるのでこれららが衣類から検出されるのは驚きではない。そのような分析結果に最初に感じるのは現代の分析技術がどれだけ微量のものを検出できるかである。二つ目は化学物質が存在することはリスクがあることと同じではない。リスク評価は極めて複雑なものである。

(ヒト毒性影響を知るのが困難という話略)

衣類のPFASはそれを着るヒトにとってリスクにならないだろうが、それを禁止することで生産や廃棄を減らし集団の暴露量を減らすだろう。しかし検出された僅かなPFASやフタル酸をもとに人々に特定のお気に入りの衣類を着るよう助言するのは、科学的には正当化できない。

(防寒や防水が必要な状況はいくらでもあるので)

 

-栄養士がTikTokの「フローズンハニートレンド」に警告 ユーザーがボトルで作る自家製お菓子がめまいや吐き気、糖尿病のような長期健康リスクがあるとみる

Nutritionist warns TikTok 'frozen honey trend' that sees users create their sweet homemade treats in water bottles puts them at risk of dizziness, nausea and long-term issues like diabetes

21 August 2021

https://www.dailymail.co.uk/femail/food/article-9878031/Nutritionist-reveals-TikTok-frozen-honey-trend-making-people-ill.html

TikTokで凍らせた蜂蜜が流行している。しかし砂糖が多いので一部の人は体調を悪くしている

(蜂蜜をプラボトルに入れて凍らせると面白い食感になる、ということらしい。蜂蜜にコーンシロップや色素を加えたりしている。栄養士は砂糖が悪いと言っている。食べる量が多すぎる)

 

-「対応が必要」:モントリオールは農薬を禁止する新しい規則を発表

'Action is needed': Montreal unveils new bylaw banning pesticides

Marian Scott  •  Montreal Gazette

Publishing date:Aug 19, 2021

https://montrealgazette.com/news/local-news/montreal-unveils-new-bylaw-banning-pesticides

Valérie Plante市長が「モントリオールがここまでやる最初の市」という

モントリオールは北米で初めて家庭用の100以上の農薬製品の販売を完全禁止する地方自治体になるだろう、市長が木曜日に発表した。

「目的は明確:モントリオールを農薬フリーにする」と植物園での記者会見で語った。

9月に採択予定の規則では、除草剤のグリホサート、殺虫剤クロルピリホスと一部ネオニコチノイドを含む36の物質の使用を禁止する。2022年1月発効で、その執行のために職員を追加で雇う。さらにガーデニングには合成農薬の使用を禁止する。殺鼠剤も禁止されるだろう。農薬を使う事業者はそのために年200ドル支払い、毎年登録と報告をする。しなかった場合の罰金は500ドルから4000ドル。

ゴルフコースは対象外。

 

-Foxの予防接種弱体化の試みは悪化するばかり

Fox's effort to undermine vaccines has only worsened

08/19/21  PAYTON ARMSTRONG & HARRISON RAY

https://www.mediamatters.org/fox-news/foxs-effort-undermine-vaccines-has-only-worsened

最近2週間の調査では、パーソナリティやゲストの予防接種を毀損しようとする主張はワクチン報道の63%

(ずっと放送全部録画して文字おこしして数えている)

 

-「あなたは牛ではない」:FDAがアメリカ人に家畜用の医薬品をCOVID-19の薬として使うのを止めるようお願いする

'You are not a cow': FDA begs Americans to stop taking drug meant for livestock as COVID-19 remedy

August 21, 2021

https://www.ctvnews.ca/health/coronavirus/you-are-not-a-cow-fda-begs-americans-to-stop-taking-drug-meant-for-livestock-as-covid-19-remedy-1.5556324

FDAが土曜日にイベルメクチンを使用しないようツイートした

FDAはこれまで馬用イベルメクチンを自分で使用して入院した患者の報告を複数受け取っている。ミシシッピ中毒コントロールセンターも金曜日に緊急報を発行してCOVID-19感染予防や治療目的でのイベルメクチン使用に関する問い合わせが増えていると言っている。最近の電話の少なくとも70%が家畜や動物用イベルメクチンを飲み込んだことに関連して、少なくとも一人が入院した。

 

-ファクトチェック:イベルメクチンはCovid-19に有効か?

Factcheck: Has the drug ivermectin been proven to be effective against Covid-19?

https://www.thejournal.ie/factcheck-ivermectin-5526152-Aug2021/

ニューストーク番組The Pat Kenny ショーで集中治療の専門家がイベルメクチンのベネフィットを賞賛したため、ソーシャルメディアでアイルランドはCovid-19治療用にイベルメクチンを使うべきだという主張が増加している。イベルメクチンの使用についての議論は新しいものではなく、昨年からずっとオンラインで猛威を振るっている。それが先週ウィスコンシンのPierre Kory医師がPat Kennyに話して再活性化した。Kory医師は、高い薬で儲けるためにイベルメクチンのような安価な薬には攻撃があるという

TheJournal.ieはKory医師の主張を検証した。結論としてイベルメクチンがCovid-19に有効だとは証明されていない。

(Pierre Kory医師はFLCCCの会長)

 

-NZ SMC

ロックダウンは少なくとも火曜日まで延長-専門家の反応

Lockdown extended to at least Tuesday – Expert Reaction

20 August 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/08/20/lockdown-extended-to-at-least-tuesday-expert-reaction/

月曜日に内閣がさらなる延長について決定する

ロックダウンが始まる前にオークランドからウェリントンに旅行した3人のCovid-19が確認されたため延長された

オークランド大学医学健康科学部Siouxsie Wiles准教授

カンタベリー大学Michael Plank教授

オタゴ大学プライマリー医療と総合診療学部上級講師Lesley Gray

全員レベル4ロックダウン延長支持(これまでもずっとNZは根絶への異議は一切ない)。以下3人の心理学者メンタルへの助言

 

-Covid-19:警察が、家に留まらなかったため328の違反通知を発行

Covid-19: Police issue 328 infringement notices for failing to stay home

Geraden Cann Aug 23 2021

https://www.stuff.co.nz/national/health/coronavirus/300389376/covid19-police-issue-328-infringement-notices-for-failing-to-stay-home

ニュージーランド。

マスクしていない違反は15。警察によると全国で数千人がパトロールをしている。薬物犯罪として逮捕したのは2件4人。一方他に4人が、公務の警官の顔に意図的に咳をしたとか反ロックダウン抗議に参加したなどで出廷。全国ではレベル4ロックダウンが始まってから33人が起訴され多くは抗議活動。また違反している人がいるという警察への通報は5848件受け取っている

 

-NZのロックダウンは少なくとも金曜日の深夜まで続く、オークランドはもっと長く

Covid 19 coronavirus Delta outbreak: NZ's lockdown continues until at least midnight Friday; Auckland's for longer

23 Aug, 2021

https://www.nzherald.co.nz/nz/politics/covid-19-coronavirus-delta-outbreak-nzs-lockdown-continues-until-at-least-midnight-friday-aucklands-for-longer/OXZ4RABCFQ3QKOXXJMHB5XFZLI/

 

-Scott Morrisonが州のリーダーにCOVID-19ロックダウンと再開について警告

Scott Morrison issues warning to state leaders on COVID-19 lockdowns and re-opening

https://www.sbs.com.au/news/scott-morrison-issues-warning-to-state-leaders-on-covid-19-lockdowns-and-re-opening

Scott Morrisonは予防接種が広範に達成できたらロックダウンは持続可能ではないと宣言。首相は州政府にロックダウンを終わらせオーストラリアを再び開く合意から遠ざかっていると圧力をかけ続ける。

国の政府はロックダウンを減らすためのワクチン閾値を70-80%に設定している。Morrison氏は予防接種目標が達成されたら日々の感染者ではなく入院数に焦点を移すよう言う。「それが我々の目標で、ウイルスへの恐怖ではなくウイルスとともに生きる」とレポーターに騙った。

西オーストラリアが感染者ゼロ目標を変えず、クイーンズランドがもっと高い予防接種カバー率でなければNSWとの国境を開けないと警告したため合意はぼろぼろである。

Morrison氏はオーストラリアの半分以上に影響しているビクトリア、NSW、ACTでの厳しい制限は永遠に続けることはできないという

Paul Kelly医務主任は根絶は長期的に達成することは不可能だと信じる

(ずっと州知事と首相が違う。)