[EU]査察報告
ルクセンブルク―動物と製品の輸入及び国境監理ポストのEU条件への準拠の検証
Luxembourg 2020-7002―Imports of animals and goods and verification of compliance of border control posts with Union requirements
22/07/2021
https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4390
2020年10月1日~11月11日に実施した、ルクセンブルクの動物と製品の輸入に関する公的管理システムの査察結果と、国境監理ポスト(BCPs)のEU条件遵守を検証するためのリモート査察。ルクセンブルクにはBCPを通してEUに輸入される動物と製品のための公的管理の包括的なシステムがある。だが、違反積送品の再発送の手順、特定文書と物理的な検査の実行、特定の管理を行うための指定BCPの施設に欠点が確認された。管轄機関はこれらの多くの欠点に対処するために査察時に行動を開始した。
[EFSA]意見等
-クロフェンテジンの農薬リスク評価ピアレビュー
Peer review of the pesticide risk assessment of the active substance clofentezine
EFSA Journal 2021;19(8):6817 26 August 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6817
(農薬の結論)
情報不足と懸念が確認された。化学物質を使わない他の入手可能な手段でできない植物の健康への重大な危険を管理するためのダニ駆除剤として、クロフェンテジンの必要性に関するデータ評価も提示された。
-新規食品として丸ごとのイエローミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫Tenebrio molitor larva)の冷凍及び乾燥形態の安全性
Safety of frozen and dried formulations from whole yellow mealworm (Tenebrio molitor larva) as a novel food pursuant to Regulation (EU) 2015/2283
EFSA Journal 2021;19(8):6778 25 August 2021
https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/6778
(科学的意見)
欧州委員会からの要請を受けて、栄養・新規食品及び食品アレルゲンに関するEFSAのパネル(NDA)は、EU規則2015/2283に従って新規食品(NF)として丸ごとイエローミールワーム(ゴミムシダマシの幼虫)の冷凍及び乾燥品の意見を出すよう求められた。イエローミールワームは昆虫種ゴミムシダマシの幼生形を指す。このNFは、丸ごとあるいは粉末状のイエローミールワームの冷凍及びフリーズドライ品から成る。冷凍品は主に水、粗タンパク質、脂質からできているのに対し、フリーズドライ品は粗タンパク質、脂質、消化可能な炭水化物、食物繊維(キチン)から成る。パネルは、このNFの汚染物質量は昆虫の飼料中の汚染物質の発生量によるとした。パネルはさらに、このNFは、全保存可能期間中に提案された規格基準に従う場合、このNFの安定性に関する安全上の懸念はないとした。窒素タンパク質換算係数6.25を用いると、キチン由来非タンパク質窒素の存在により、このNFの実際のタンパク質量は過大評価されるのだが、このNFの乾燥品はタンパク質を多く含んでいる。申請者はこのNFを丸ごと冷凍か丸ごと乾燥昆虫として、あるいはシリアルバー、パスタ、肉模造品、焼菓子など様々な食品に対して成分として添加する粉末状で使用することを提案している。対象集団は一般人である。パネルは、このNFは単独の食事性タンパク質源ではないことや、NFの組成と提案した使用条件を考慮して、このNFの摂取は栄養的に不利ではないとした。提出された文献由来の毒性試験は安全上の懸念を生じなかった。パネルは、このNFの摂取はイエローミールワームタンパク質への一次感作やアレルギー反応を誘発する可能性があり、甲殻類やチリダニにアレルギー反応を起こす可能性があると考えている。さらに、飼料由来アレルゲンがこのNFに入りかねない。パネルは、このNFは提案した使用と使用量で安全だと結論した。
[FDA]FDAは加工食品の最初の調査のPFAS検査結果を利用可能にした
FDA Makes Available PFAS Testing Results from First Survey of Processed Foods
August 26, 2021
食品医薬品局は、トータルダイエットスタディ(TDS)のために収集した全国的に流通している加工食品のパー及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)の第一回調査結果を利用可能にしている。この調査で調べた167食品中164食品に検出可能なPFAS量は測定されなかった。魚のフライ(PFOS及び PFNA)、ツナの缶詰(PFOS 及び PFDA)、プロテインパウダー(PFOS)の3つの食品サンプルに検出可能な量のPFASが含まれていた。現在入手できる最善の科学では、2019年以降に調べたTDSサンプルに見つかったPFAS量に特定の食品を避ける必要性を示す科学的根拠はない。
この調査で特定の海産物サンプルに検出可能なPFAS量が見つかったが、サンプルサイズが限られていて、これらの結果から決定的な結論を出すことはできない。だが、FDAは米国で最も一般的に消費される海産物のターゲット調査を実施中で、追加の魚介類のサンプリングが必要かどうかを決めるのにこのターゲット調査の結果が用いられるだろう。
2019年以降、FDAは4回の収集で440のトータルダイエットスタディサンプルのPFASを分析している。以前公表した3つのTDS調査結果は3ヶ所の地域から収集されたもので、生鮮食品、肉、乳製品など、場所や時期によって異なる可能性が高い食品を含んでいる。合計で、440食品中7食品に検出可能な量のPFASがみつかった。
雑誌Analytical and Bioanalytical Chemistryで発表したFDAの加工食品中のPFASの調査は、この種の最初の研究の1つである。これらの結果は、PFASをTDSに含む必要があるかどうか、進められている海産物調査など特定の食品に対象サンプリングの割り当てが必要かどうかなど、これからのFDAの活動に情報提供するために用いられる。
追加情報
・パー及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)
Per-and polyfluoroalkyl substances (PFAS)
https://www.fda.gov/food/chemical-contaminants-food/and-polyfluoroalkyl-substances-pfas
・2021年トータルダイエットスタディサンプリングのPFASの分析結果(1兆分の1)―データセット4
Analytical Results for PFAS in 2021 Total Diet Study Sampling (Parts Per Trillion)—Dataset 4
https://www.fda.gov/media/151574/download
・FDAのトータルダイエットスタディプログラムからの加工食品中のパー及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)の分析
Analysis of Per- and Polyfluoroalkyl substances (PFAS) in processed foods from FDA’s total diet study program
・環境汚染物質からPFASの検査をした食品の分析結果
Analytical Results of Testing Food for PFAS from Environmental Contamination
・トータルダイエットスタディ
Total Diet Study
https://www.fda.gov/food/science-research-food/total-diet-study
・液体クロマトグラフィー-タンデム質量分析法(LC-MS/MS)を用いた食品中の16のパーフルオロアルキル及びポリフルオロアルキル物質(PFAS)の測定(CAM C010.01)
Determination of 16 Perfluoroalkyl and Polyfluoroalkyl Substances (PFAS) in Food using Liquid Chromatography-Tandem Mass Spectrometry (LC-MS/MS) (CAM C010.01)
https://www.fda.gov/media/131510/download
[WTO]SPS協定 2020年の10大結果
SANITARY AND PHYTOSANITARY MEASURES AGREEMENT |
10 KEY RESULTS FROM 2020
https://www.wto.org/english/res_e/booksp_e/sps10key2020_e.pdf
1.2020年のSPS通報は過去最大の2000以上
2.先進国より途上国の方が多くのSPS通報を提出した
3.2020年のSPS通報トップ10にタンザニアが入った
4.2020年に提出された定期通報の2/3以上が食品安全関連
5.2020年の貿易促進SPS対策数は2017年の2倍以上
6.SPS委員会で議論された貿易上の懸念の約半分が食品安全に言及
7.少なくとも一つのSPS通報を提出したのは63カ国、少なくとも一つの特定の貿易上の懸念を提示したのは14カ国
8.2020年に提示された貿易上の懸念の半分以上が解決あるいは一部解決した
9.委員会は2020年にSPS協定運用と履行第5回レビューを採択した
10.2020年に通知を提出した加盟国の4/5以上がオンラインシステムを使った
[CDC]MMWR
-非致死的および致死的ベンゾジアゼピンの関与する過剰使用-38州とコロンビア特別区、2019-2020
Trends in Nonfatal and Fatal Overdoses Involving Benzodiazepines — 38 States and the District of Columbia, 2019–2020.
Liu S, et al.,
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1136–1141
2017-2019の間はベンゾジアゼピンの関与する過剰使用死は減っていたが2019年以降違法ベンゾジアゼピンの供給が増えている。2019-2020に、ベンゾジアゼピン過剰使用による救急はオピオイドが関係するものとしないものの両方で増加した
-フィールドからの報告:オピオイド過剰使用疑いで救急部門で評価された患者から検出された違法ベンゾジアゼピン
Notes from the Field: Illicit Benzodiazepines Detected in Patients Evaluated in Emergency Departments for Suspected Opioid Overdose — Four States, October 6, 2020–March 9, 2021.
Aldy K, et al.
MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1177–1179
2020年10月6日から2021年3月9日までの間に4州5箇所の臨床部門からの141の生物検体を分析したところを21人(14.9%)の患者から違法ベンゾジアゼピンが同定された。物質はクロナゾラム、エチゾラム、フルブロマゾラムなど。20人(95.2%)からメサドンを含む少なくとも一種のオピオイドが同定されている。患者の平均年齢は39才、3/4以上が男性。ベンゾジアゼピンの同時使用があるとオピオイド中毒治療薬ナロキソンが効かないので危険
論文
-オレゴン州立大学が化学物質の生物への影響の研究に700万ドル受けとる
OSU Distinguished Professor receives $7M for wide-ranging study of biological impact of chemicals
25-AUG-2021
https://www.eurekalert.org/news-releases/926508
化学物質の動物での試験を減らすあるいは無くすことにつながるかもしれないゼブラフィッシュでの大量試験計画の研究費をNIEHSがRobyn Tanguay教授に与えた。数百万のゼブラフィッシュの胚に10000の化合物を暴露する計画
-ADM とNTUシンガポールが植物タンパク質を推奨するために「植物ベースの完全チャレンジ2021」を開始
ADM and NTU Singapore launch Plant-based Perfection Challenge 2021 to promote plant protein
26-AUG-2021
https://www.eurekalert.org/news-releases/926529
最も革新的な植物ベースの代用肉を競うコンペのチャンピオンはCvrry チキンパフ
(写真がある)
-新しい研究:インターネットは人々を嫌なやつに変えるのではない-ただリアルで嫌なやつを目立たせるだけ
New research: The internet does not turn people into trolls – it just makes real-life trolls more visible
26-AUG-2021
https://www.eurekalert.org/news-releases/926582
American Political Science Review.
-Natureニュース
オーストラリアのオオヒキガエルは驚くべきスピードで共食いに進化した
Australia’s cane toads evolved as cannibals with frightening speed
25 August 2021 Max Kozlov
https://www.nature.com/articles/d41586-021-02317-9
研究はこの悪名高い有害生物はあまりにも増えすぎたのでお互いを食べるようになったことを発見-そのような攻撃への防御も
オーストラリアに南アメリカから1935年にサトウキビの害虫の甲虫をコントロールしようとして持ち込まれたオオヒキガエルは、害虫は駆除しなかったがこの大陸に蔓延った。ヒキガエル毒素で覆われた有毒な皮膚のために天敵はない。それから86年の間に、極めて高い共食い性を示すようになった。もともといた南アメリカではそうではない。PNAS
(おたまが共食い。天敵導入しようとして失敗した事例は結構ある)
Science
-エディトリアル 大学は予防接種を要求すべき
Colleges must require vaccination
Michael A. McRobbie(インディアナ大学名誉学長)
Science 27 Aug 2021:Vol. 373, Issue 6558, pp. 945
FDAがPfizer-BioNTechコロナウイルスワクチンを16才以上に正式承認したので、事業者等が従業員に予防接種を義務とする道がひらけた。大学にとっても特に歓迎すべきだ。
今週初め時点で753のキャンパスが予防接種を要求している
(以下略。日本はどうなるのかな)
-ニュースを一目で
News at a glance
Science 27 Aug 2021:Vol. 373, Issue 6558, pp. 946-947
・テストステロン研究は最後までやり通さなかった
自然にテストステロン濃度の高い女性ランナーが競争に有利だという2017年の研究が先週修正され、オリンピックを含むイベントでの南アフリカのCaster Semenya選手の排除に疑問が提示された。8月17日の修正でホルモン濃度と成績に因果関係は見つからなかったと論文の著者は書いている
・プレプリント禁止が精査中
600人以上の研究者が、研究費申請にプレプリントに言及することを禁止する規則を廃止するよう求めるオーストラリア研究評議会への公開文書に署名した。2020年9月に導入されたこの規則によりプレプリントを引用した提案は自動的に却下されるが、それを知らなかったので却下されたという人たちがソーシャルメディアでうったえた。ARCはScienceに研究者コミュニティからの意見を聞いて方針をレビュー中であると語った。
-展望 SARS-CoV-2の動物起源
The animal origin of SARS-CoV-2
Spyros Lytras et al.,
Science 27 Aug 2021:Vol. 373, Issue 6558, pp. 968-970
(近縁のウイルスが野生動物からみつかることはよくある、それがヒトにどう伝わったのか、について、中国で2019年にアフリカブタ熱のために豚肉が減り価格が上昇し、代わりに他の肉を食べる量が増えたことがきっかけになった可能性を示唆している。今やヒトから野生動物に感染させているので、今後また変異して野生動物からヒトに感染する可能性が高い
ジビエは人類のために止めるべき?人間はドームに隔離されて暮らす未来が一番望ましいのかも)
-Scienceニュース
一度SARS-CoV-2に罹るとワクチンより高い免疫が得られる-でも感染パーティーはしないで
Having SARS-CoV-2 once confers much greater immunity than a vaccine—but no infection parties, please
By Meredith Wadman Aug. 26, 2021
(タイトルのみ。ほんとにやりそうだから困る)
その他
-Covid-22とは何?何故存在しない「新しい変異株」が流行したのか-なにがおこったのか
What is Covid-22? Why the ‘new variant’ does not exist, but went viral anyway – here’s what actually happened
August 24, 2021
ETHチューリッヒ大学のシステムと合成免疫学准教授Sai Reddy教授がスイスのドイツ語新聞Blickのパンデミックについての取材中に使ったフレーズである。感染性の高い変異株についてのコメントで、Reddy教授はデルタ株を「これは最早Covid-19ではない。私はCovid-21と呼ぶ」と言った。それから来年はさらに悪いCovid-22が来る可能性があるとコメントし、警鐘を鳴らすニュースの見出しになった。翻訳によればBlickの見出しは「Covid-22はさらに悪化する」
(Twitterのトレンドになったらしい。こういう発言は不適切だと批判している専門家も紹介されている。変異株を「全く別のウイルス」という言い方をする人がいるけれど全く違うなら別の名前がつく。コミュニケーションは結構難しいのに、歪められる可能性のあるメディアで言葉が軽い「専門家」はいる)
-Covid 19:火曜日の深夜からオークランドの南はレベル3、オークランドはさらに2週間レベル4
Covid 19: Level 3 south of Auckland from midnight Tuesday, level 4 for Auckland likely a further two weeks
Luke Malpass Aug 27 2021
オークランドについては月曜にさらに発表
-ファクトチェック-認可されたワクチンはCOVID-19より危険ではない
Fact Check-Approved vaccines are not more dangerous than COVID-19
By Reuters Fact Check
https://www.reuters.com/article/factcheck-vaccines-safe-idUSL1N2P51T3
動画のファクトチェック
(動画のファクトチェックを文字ですると、動画ユーザーは見るのだろうか?動画で動画のファクトチェックをするのはさらに難しそう)