2021-09-01

[IARC]ニュートリスコア:EUレベルとそれ以上で、ハーモナイズされた包装表面への栄養表示義務化が緊急に必要

Nutri-Score: Harmonized and mandatory front-of-pack nutrition label urgently needed at the European Union level and beyond

1 September 2021

https://iarc.who.int/news-events/nutri-score/

IARCが新しい根拠要約概要「ニュートリスコア:科学に基づいた包装表面栄養表示」を発表した。この報告書は、食品の栄養の質を格付けする明確でシンプルな包装表面栄養表示が、消費者がより健康的な食品選択に向かうのを導く有効なツールであることを示す。IARCは他の栄養表示によりNutri-Scoreのほうが優れていることを強調し、これを広く系統的に使うことをよびかける

Evidence Summary Brief about the Nutri-Score

https://iarc.who.int/wp-content/uploads/2021/09/IARC_Evidence_Summary_Brief_2.pdf

(科学的根拠、といってもEPIC研究でスコアのいい(栄養のいい)人のがんがそうでない人より少ないというだけで、この表示をしたら食生活の悪い人が良い食生活になった、という根拠はない。もちろんそれは難しいのだけれど、言葉が強すぎる)

 

[TGA]リスト収載医薬品のアコニットアルカロイド

Aconitum alkaloids in listed medicines

26 August 2021

https://www.tga.gov.au/aconitum-alkaloids-listed-medicines

 トリカブト属(Aconitum)は顕花植物の属であり、アーユルベーダや伝統中国医薬品に使用される複数種を含む。トリカブト属の多くは毒性の強いアコニチンやノルジテルペノイドアルカロイドを相当量含む。アコニチンは神経毒性や心臓毒性をもつ。

 トリカブト属に含まれる植物(Aconitum spp:以下「トリカブト」)は、その毒性のために非常に低濃度でリスト収載医薬品に含まれている。製造管理により市場に流通するものは規定に合わせて濃度が保証されているべきであるが、以前に有害事象の報告があり、TGAは流通製品の安全性を監視するための検査を実施している。

<検査>

 2018-2019年に19のリスト収載医薬品について、3種類のアコニットアルカロイド(アコニチンAC、ヒパコニチンHA、メサコニチンMA)をTGAの液体クロマトグラフィー質量分析法(LC/MS)で分析した。そのうち1製品からAC 0.5 µg/g、MA 1.6 µg/g、HA 6.1 µg/g(1パック当たり総量0.3 mgに相当)が検出され、リコールされた。

<規定>

オーストラリアの医薬品・毒物の統一スケジューリングに関する基準(Standard for the Uniform Scheduling of Medicines and Poisons:SUSMP)において、トリカブトの使用は次の通り規定されている。1パックあたり0.02 mgから0.2 mgまではSchedule 2に、0.2 mgを超えるとSchedule 4に該当する。子供による使用については、除外なくSchedule 4が適用される。

SUSMPのSchedule 4からの除外要件として、トリカブト含有製品には、使用を成人のみに限定することを表示するよう求めている。もし限定使用の表示がない場合には、記載されたトリカブトの含有量が10 μg/g以上であればデフォルトでSchedule 4に該当する。

Schedule 2(薬局専用医薬品)

成人の治療用トリカブト

1パックあたり総アルカロイド量0.2 mg以下を含む経口用調製品、ただし総アルカロイド量0.02 mg以下を含むパックを除く

1パックあたり総アルカロイド量が0.02%以下、0.2 mg以下を含む皮膚用調製品、ただし総アルカロイド量0.02 mg以下を含むパックを除く

Schedule 4(処方医薬品)

トリカブト、ただし以下を除外する

Schedule 2に該当するもの

1パックの総アルカロイド量が0.02 mg以下の成人向け経口用調製品

1パックの総アルカロイド量が0.02%以下、0.2 mg以下の成人向け皮膚用調製品

 

[CDC]緊急準備と対応

健康アラートネットワーク(HAN)00449

https://emergency.cdc.gov/han/2021/han00449.asp

イベルメクチンの薬局や小売店での販売が増加している。イベルメクチンはCOVID-19の予防や治療用には認可されていない。イベルメクチンの誤用に関連する有害影響と過剰使用が増加している。

(イベルメクチンの処方の増加の図あり。パンデミック初期からやや増加していたもののこの8月の増加が凄まじい)

最近中毒情報センターに報告された事例には以下のようなものがある

・成人がCOVID-19感染を予防しようとして牛用注射薬を飲んだ。混乱、眠気、幻覚、多呼吸、振戦で9日入院

・インターネットで購入した強度不明のイベルメクチン錠剤を摂取した成人が精神状態異常で来院。COVID-19治療目的で1日5錠を5日間接種したという。患者は混乱していて質問に答えたり指示に従うのが困難だった。イベルメクチン使用を止めて改善

 

論文

-米国患者のうちCOVID-19前からパンデミックの最初の丸一年の間の新たながんの診断の変化

Changes in Newly Identified Cancer Among US Patients From Before COVID-19 Through the First Full Year of the Pandemic

Harvey W. Kaufman et al.,

JAMA Netw Open. 2021;4(8):e2125681.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2783630

先に2020年3月から4月の期間について報告したが2021年3月までの解析を含めて更新した。最初のパンデミック期間では8つのがんの合計で平均月間診断数は29.8%減少した。二回目のパンデミック期間では9.6%減少、三回目はパンデミック前より少ないままであったが減少幅は低下していた。

 

-我々はPFASを吸っている:研究が屋内空気に有害な永遠の化合物を発見

We’re breathing PFAS: Study finds harmful forever chemicals in indoor air

31-AUG-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/926602

Environmental Science & Technology Lettersに発表された屋内空気のPFAS測定。カーペットやジャケットなどのPFAS処理されたものが多くある部屋の空気から高い濃度が検出されている。

 

-サリナス盆地の十代はグリーンな掃除は誇大宣伝に値することを発見

Salinas Valley teens find green cleaning is worth the hype

1-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/926814

カリフォルニア大学バークレー校の研究者と一緒に、高校生が「グリーンな洗剤」に変更することで有害化合物暴露が減るかどうかを調べた。その結果をEnvironmental Health Perspectivesに発表した。例えば市販の洗剤を水と酢と石けんの混合物に変えると、ベンゼンやクロロホルムなどの17化合物への暴露が減る

(家庭用掃除用品にベンゼンとかクロロホルムとか入ってる?)

 

-Natureワールドビュー

ソーシャルメディア監視機関を援助する5つの教訓

Demand five precepts to aid social-media watchdogs

31 August 2021  Ethan Zuckerman

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02341-9

フェイスブックの高圧的姿勢は公益研究のチャンスをもたらす可能性

8月初めにフェイスブックは、情報を与えられたボランティアが彼らを標的にした広告について研究することを認めていたニューヨーク大学の広告観測プロジェクトの研究者の個人及び組織のアカウントを停止した。フェイスブックはFTCの命令に従い個人のプライバシーを守るためだと言い、FTCは異例の声明を発表し、「公益のための誠実な研究を禁止するものではない」と述べた。

この事件はソーシャルメディアの民主主義と社会への影響をオープンに吟味すべきだと考える人たちにとってのチャンスとなった。ソーシャルメディアについて公益のための研究に力を与える規則を作る時である。

私は以下を提案する。一つ目、研究者にプラットフォームが広告主や商業パートナーに提供しているのと同じ標的化ツールへのアクセスを認める。二ツめ、公開されているコンテンツについては、研究者にアプリケーションプラグラミングインターフェースへのキーを提供することでデータを組み合わせたりシェアしたりできるようにする。三つ目、ユーザーが研究者に自分たちのオンラインでの行動についてのデータを提供できると明示しそのような研究の規範を作る。四つ目、公益を認識する安全な避難保護を作る。五つ目、コンテンツを調整し広告を提供するアルゴリズムの定期的査察を義務化する。

 

SMC NZ

-硝酸のがんリスクはありそうにない-専門家の反応

Cancer risk from nitrates deemed unlikely – Expert Reaction

01 September 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/09/01/cancer-risk-from-nitrates-deemed-unlikely-expert-reaction/

新しい研究が、飲料水や食品中の硝酸塩類が大腸がんのリスクを上げることは、既存の根拠に基づき、「極めてありそうにないhighly unlikely」と結論した

ESRの科学者が行った研究はMBIE と Fonterraが共同出資した。この研究によると、ニュージーランド人の硝酸暴露のうち飲料水は10%以下で、ニュージーランド人が食品と水から毎日摂取している量は、国際的に認められている量の約1/4である。著者等はこの知見を明日の無料のウェビナーで発表する。

オタゴ大学公衆衛生学部上級研究員Tim Chambers博士

ESRの報告書は、硝酸が大腸がんリスクを上げる可能性があることを示唆する疫学及び実験研究の新しい根拠に照らして、ニュージーランド人の硝酸摂取量全体への水と食品の相対的寄与率を調べることを目指した。

重要なことは、著者等は飲み込んだ硝酸ががんリスクを上げる可能性のある生物学的経路には同意した上で、IARCによる内因性ニトロソ化を生じる条件での経口摂取した硝酸と亜硝酸がおそらくヒト発がん性(グループ2A)であるという結論には明確に言及しなかったことである。

このプロセスは複雑で食事要因(特に赤に宇、果物、野菜のバランス)と腸内細菌叢に影響される。こうした要因の相互作用が、発がん物質のクラスであるN-ニトロソ化合物の合成を決定する。

著者等は飲料水中の硝酸ががんリスクを増やすことは極めてありそうにないと結論した。主に平均的ニュージーランド人の総硝酸摂取量への飲料水の寄与が比較的小さい(約10%)ことに基づいて。

しかしながら我々の先の研究では、国際研究に基づき平均的ニュージーランド人は飲料水由来の硝酸によるリスクは低くもゼロでもない。リスクの可能性のある約80万人のニュージーランド人の詳細解析がより情報を得られるだろう。

著者等はさらに食事あるいは他の飲料(例えばコーヒー)と一緒に摂取される水からの硝酸は、硝酸と抗酸化物質のバランスにかかわらずヒト健康にとってリスクはないと想定している。私の知る限り、飲料水中のどんな量の硝酸でもナイン性のニトロソ化の影響を無くすために必要な抗酸化物質の量に関する研究は限られている。

この重要な健康問題が注目されるのは素晴らしいが、この研究の目的と解析はプレスリリースで使われているような決定的な結論を支持するようデザインされていない

 

報告書

NITRATE IN FOOD AND WATER

July 2021

https://mcusercontent.com/ac7d10ed90f765f0df9b564b7/files/0d6eaae9-6e25-328b-835e-10330f48888c/CSC21025_Nitrate_in_food_and_water_FINAL_13_August_2021.pdf

(井戸水で硝酸濃度が高いところはたまにある)

 

-ロックダウンが始まってから2週間–専門家の反応

Two weeks since lockdown began – Expert Reaction

01 September 2021

https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/09/01/two-weeks-since-lockdown-began-expert-reaction/

保健大臣が新たに75人がCovidと発表した-その前の2日間より増えた

1人ウェリントン以外はすべてオークランド。32人が入院しうち8人が集中治療、うち3人は人工呼吸

(説明だけなので専門家コメント略。感染者一人の段階で厳しいロックダウンをすれば2週間というような短期間で封じ込めできる、という机上の計算は現実的ではないようだ)

 

その他

-「ワクチンのデトックス」インチキを売る詐欺師は説明責任がある;消費者団体はFTCに対応を強く求める

Hucksters Selling ‘Vaccine-Detox’ Snake Oil Must Be Held Accountable; Consumer Advocates Urge FTC to Take Action

August 26, 2021

https://centerforinquiry.org/press_releases/hucksters-selling-vaccine-detox-snake-oil-must-be-held-accountable-consumer-advocates-urge-ftc-to-take-action/

COVID-19ワクチンを巡るデマに乗じてワクチンの影響を元に戻して病気を治すと嘘の宣伝でホメオパシー製品を売っている詐欺師たちがいる。CFIはFTCにこうした行為を取り締まることを求める

(ワクチンをデトックスすると宣伝するホメオパシーが売られている)

 

-TikTok, Reddit, そしてFacebookはイベルメクチンデマにあえいでいる

TikTok, Reddit, and Facebook are struggling with ivermectin misinformation.

The Verge, Aug 27, 2021  Sanchez K.

https://www.theverge.com/2021/8/27/22644579/tiktok-reddit-facebook-ivermectin-covid-19-misinformation

他の偽りの治療法同様、イベルメクチンはソーシャルメディアのデマ問題を強調する

TikTok, Reddit, そしてFacebookはイベルメクチンのコンテンツ流行に対処している。この駆虫薬はCOVID-19治療法として反ワクチン派の中で流行している。動物用イベルメクチンの販売増加はFDAが注意喚起するほどになった。

(各プラットホームの対応略)

ソーシャルサイトはパンデミック中ずっと医学的デマの急速な拡散に苦労してきた。ポリシーを更新し、CDCのような当局にリンクし、無数の投稿を削除した。しかしデマは進化し続ける

(イベルメクチンの隠語が“ivm”や “moo juice”だそう)

 

-イベルメクチンを求めて、一部の人はトランプ支持の遠隔医療ウェブサイトに向かう

Clamoring for ivermectin, some turn to a pro-Trump telemedicine website

Aug. 27, 2021  By Ben Collins and Brandy Zadrozny

https://www.nbcnews.com/tech/tech-news/ivermectin-demand-drives-trump-telemedicine-website-rcna1791

SNSの反ワクチンコミュニティでイベルメクチンがCovid-19治療薬として人気。

遠隔医療で処方箋を入手しても薬局が在庫がない場合には動物用を使う方法などの情報が飛び交っている