2021-09-06

[CFIA] 子供の食品プロジェクト年次報告2019年

Children's Food Project – Annual report – 2019

2021-07-14

https://inspection.canada.ca/food-safety-for-industry/food-chemistry-and-microbiology/food-safety-testing-bulletin-and-reports/children-s-food-project-annual-report-2019/eng/1626276662878/1626276663550

要約

カナダ食品検査庁(CFIA)は、食品の安全性とカナダの基準の遵守を確認するために、食品中の残留化学物質や汚染物質に関するさまざまな監視プログラムを実施している。子供の食品プロジェクト年次報告(CFP)は、乳幼児や子ども向け食品の残留化学物質や汚染物質の情報を収集する。子供の食品プロジェクト年次報告2019年の目的は以下。

-乳児用食品の残留農薬及び金属/元素のカナダの基準遵守についてのデータ収集と評価

-メラミンに関する乳製品ベースの乳児用調製乳のデータ収集と基準遵守評価

2019年のCFPでは、2019年8 - 9月にオンタリオ州オタワとケベック州ガティノー地域で、乳幼児用食品の合計298サンプルを採集。(乳児用シリアル、果物と野菜のピューレ、乳幼児用スナック、乳製品ベースの乳児用調製乳、ヨーグルト及びヨーグルト飲料を含む。)

農薬に関する乳幼児用食品サンプルの全体的な遵守率は99.7 %であった。検査した合計298サンプルのうち77.2 %の230サンプルは、検出可能な残留農薬はなかった。1サンプル(クッキー)は、MGK-264(別名zengxiaoan)が0.873 ppm検出され、MRLの0.1 ppmを超えていたが、安全上のリスクとはみなされなかった。298サンプルのうち150サンプルに「オーガニック」の表示があり、オーガニック食品82.7 %の124サンプルからは残留農薬が検出されず、残りの26サンプルでは、すべてカナダのMRLを下回った。

検査した251サンプルのうち約53.4 %は、検出可能な濃度の金属/懸念される元素(ヒ素、カドミウム、鉛、水銀)は含まれなかった。今回の調査時点では、HCが設定した金属/元素の最大基準値(ML)はなかったが、調査終了後に、精米(白米)0.2 ppm、籾(玄米)0.35 ppmの無機ヒ素のMLが設定された。ヘルスカナダは乳幼児向け米ベース食品の無機ヒ素のMLを0.1 ppmと追加する予定である。総ヒ素が検出されたサンプルは合計で19.5 %の49サンプルで、結果は0 - 0.33 ppmの範囲であり、米ベース乳幼児用スナックで最も高い値を示した。カドミウムは34.7 %の87サンプルから、鉛は7.6 %の19サンプルから、水銀は14.7 %の37サンプルから検出された。濃度はいずれも安全上のリスクがあるとは考えらなかった。

乳児用調製乳47サンプルのうち、メラミンが2.1 %の1サンプルに検出されたが、0.258 ppmとMLの0.5 ppmを下回っていた。

 これらのデータは、カナダの子どもたちの食事からの暴露評価に役立つ。すべてのデータをカナダ保健省が検討し、検査したいずれの食品もカナダの乳児や子供に健康上のリスクを与えるものではないと判断した。オーガニックサンプルの結果は、CFIAオーガニックオフィスと共有され、採集及び検査の結果、製品の措置やリコールはなかった。

 

[FSA] FSAリスクコミュニケーションツールキット

The FSA Risk Communication Toolkit

12 May 2021

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/the-fsa-risk-communication-toolkit

政策、科学及び戦略チームが効果的なリスクコミュニケーションを計画するためのツールキットとチェックリスト。

リスクコミュニケーションとは、健康、経済あるいは社会福祉に対する脅威に直面している人々と専門家との間でリアルタイムの情報、助言及び意見交換を指す。

目的

このツールキットは、食品のリスクを消費者に伝えるための枠組みを提供する。このツールキットは以下を意図して開発された:

リスクコミュニケーションの計画を厳密にし、最新の考え方にする。

科学、政策、戦略チームが効果的にコミュニケーション方法を理解できるよう支援する

研究アプローチ

ツールキットの内容は、FSA科学評議会およびFSA社会科学諮問委員会のワーキンググループからの助言をもとにし、以下のような独自の研究によって裏付けられた:

リスクコミュニケーション理論と、他の18の政府機関がコミュニケーションツールキットを提示した方法を調査した入手可能な文献のレビュー。

イングランド、ウェールズ、北アイルランド全域のコミュニケーション実施者、仲介者、および消費者を対象とした定性研究。

このツールキットには、リスクコミュニケーションを開発する際に使用するチェックリストを伴う。

このツールキットに説明されている基本原則は、キャンペーンの企画に秩序と明確さをもたらすために開発された政府コミュニケーションサービスのOASISモデルを補完するものである。

 

-FSAリスクコミュニケーションツールキット

The FSA Risk Communication Toolkit

12 May 2021

https://www.food.gov.uk/sites/default/files/media/document/fsa-risk-analysis-checklist-final.pdf

この資料は、リスクコミュニケーションを開発する際のチェックリストとして使用すべきである。より詳細な資料が利用できる。このツールキットの原則は、政府コミュニケーションサービスのOASISモデルを補完するものである。

このツールキットは、人々とリスクコミュニケーションを行う際に必ず考慮すべき7つの原則を示す。

 

状況(コンテキスト)- 視聴者が誰であるか、リスクが彼らにとってどのような意味を持つかを考慮する

コミュニケーションの相手は誰か?

この問題について、消費者が今何を考え、何を言っているかを知っているか?彼らはどこから情報を得ているのか?

年齢性別などの層、ライフステージ、居住地により標的を絞ることができるか?

リテラシー、理解力レベルを検討したか?

 

目的 - 自分のコミュニケーションで達成したい結果を明確に把握したか?

人々に何を感じ、何を考え、何をしてもらいたいのか?

人々に特定の行動を望むか、その明確なメッセージがあるか?例えば、消費者に鶏肉を洗わないように呼びかける、フードアラートに登録してもらう

特定の状況に反応しているか?

英国の食品への信頼を保護しているか?FSAの評判を保護しているか?

 

管理 - 可能な限り状況(物語を含む)を管理することで、物事の進展に影響を与える

あなたは、リスクに関してより理解を深める必要があるか?

対象のオーディエンスでコミュニケーションを試したか?

メッセージの優先順位、正しい順序及び他のチャネルにおいてメッセージを裏付ける方法について検討したか?

タイミングの影響について検討したか?

質問される可能性のある事項を把握しているか?

 

透明性 - 不確かな情報であっても、すべてのコミュニケーションにおいてオープンで誠実であること

決定の背景にあるエビデンスを提示したか?

事実を提示したか?追加の情報収集のために実施している事は何か?

助言又はエビデンスが変更された時、またその理由を説明したか?

リスク自体及びそのリスクに対してどの程度確信しているかの両方が明確であるか? 

 

提示 - リスクを表現するために使用する言語、書式及びデータの種類を検討すること。情報の提供の仕方は、その情報の受け取られ方に影響を与える

定量的データ - リスクや不確実性を数字を使用し、説明する場合(例:パーセンテージや頻度を使用)。定量的な情報が多すぎると圧倒的で負担になる。

定性的データ - 言葉(例:高い、中低度)を使ってリスクや不確実性を説明する場合。様々に解釈される

構成 - 確率の表現を用いたリスクの提示。

可視化- イラスト(グラフ、円グラフなど)を用いリスクを提示する。感情に訴え興味をそそるが、明確で適切かつ複雑すぎないことが必要。

 

発信 - メッセージを広めるために選択したチャネル(メッセンジャーも含め)の影響を考慮したか

各チャネルのメリットデメリット及びメッセンジャーの種類を考慮すること

重大なリスクコミュニケーションには従来のメディアチャネルが期待されるが、メッセージがメディア側によってフィルタ-される可能性がある

ソーシャルメディアは、消費者を迅速に惹きつける可能性があるが、信頼性が低いとみなされる可能性がある

独立した組織からのメッセージは公平であるとみなされるが、独立性が専門性に裏打ちされていることが重要

第三者の「お墨付き」/視点 - 専門家は信頼性を高め、独立性を強化できる

 

評価 - 成功した結果にリスクコミュニケーションがどのように貢献したかを理解する

実施した内容の効果を評価することができるか?

学ぶべき明確な教訓はあるか?

 

[FSA]2021年9月のFSA理事会ペーパーが発表される

FSA Board meeting papers published for September 2021

2 September 2021

https://www.food.gov.uk/news-alerts/news/fsa-board-meeting-papers-published-for-september-2021

FSA/FSS食品基準年次報告書、ゲノム編集、動物福祉の更新情報、運用転換プログラム - 将来の宅配モデルに関する公開協議、インシデントとレジリエンスの年次報告書について。

 

[FSA]「使用」期限の切れた食品の消費に関する定性研究

Qualitative research into the consumption of food with expired ‘use by’ dates

31 August 2021

https://www.food.gov.uk/research/research-projects/qualitative-research-into-the-consumption-of-food-with-expired-use-by-dates

英国食品基準局(FSA)による使用期限切れの食品を消費する要因と、使用期限切れの食品を遵守する上での障壁についての研究。

 

[HK] 法令違反

えび点心のサンプルで未認可の保存料が検出された

Shrimp dumpling sample detected with non-permitted preservative

Thursday, September 2, 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20210902_8862.html

えび点心のサンプルから、食品保存料として使用が認められていないホウ酸70 ppmが検出された。

 

[HK] 食品安全に関する2021/2022年学校ウェビナー

Safe Food at School Webinar 2021/2022

30 Aug 2021

https://www.cfs.gov.hk/english/whatsnew/whatsnew_fstr/whatsnew_fstr_Safe_Food_at_School_Webinar_2021_2022.html

学校での食の安全を自己管理するという概念構築のために、食品安全センターは学校年度開始直前にオンライン講座を開催した。リスクの高い食品と「食の安全のための5つの鍵」、減塩・減糖の健康的な食事、ランチボックスの安全性といった内容。

(プレゼン資料がおもしろい。ランチボックスって手作り弁当ではなくガチHACCP)

 

[NSW] Foodwiseニュースレター

Foodwise issue 57, Spring 2021

September 2021

https://www.foodwise.foodauthority.nsw.gov.au/edition57/index.html

2021春のFoodwiseニュースレター。新しい食品安全イースターショースタンドの紹介、NSWと2021年オーストラリア食品技術研究所(AIFST:Australian Institute of Food Science and Technology)大会との提携、土地利用開発のための新しいバイオセキュリティガイド等の紹介。

 

[ヘルスカナダ] 助言。イベルメクチンはCOVID-19の予防・治療には認可されておらず、深刻な健康問題を引き起こす可能性がある

Ivermectin not authorized to prevent or treat COVID-19; may cause serious health problems

August 31, 2021

https://healthycanadians.gc.ca/recall-alert-rappel-avis/hc-sc/2021/76365a-eng.php

ヘルスカナダは、COVID-19の予防または治療のために動物用イベルメクチン(駆虫剤)が使用されているという報告を受け、健康に重大な危険を及ぼす可能性があるため、摂取しないよう助言している。

 

[FSAI]リコール

-未承認の新規食品のためHerb of the Gods製品とHempture Hemp CBD Isolateをリコール

Recall of Certain Herb of the Gods Products and Hempture Hemp CBD Isolate as they are Unauthorised Novel Foods

Thursday, 2 September 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/herb_of_the_gods_hempture_hemp.html

Herbs of the Gods 製品は、欧州連合で新規食品として未承認の植物または植物原料を含む、またはそれらで構成されているため、リコール。Hempture社CBD結晶製品はEUでは未承認の新規食品であり、消費者に対する安全性が評価されていない。製品写真有り。

 

-未承認の新規食品のためHemptureのCBD食品とヘンプアルコール飲料を撤収

Withdrawal of Batches of Hempture CBD Food Products and Hemp Alcohols as they are Unauthorised Novel Foods

Thursday, 2 September 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/hempture_cbd_oil_hemp_alcohol.html

Hempture CBD食品およびヘンプアルコール飲料は、業務が届けられていない施設で製品が加工されているため撤収。また、Hempture社の製品には、CO2抽出または濃縮されたCBDも含まれており、これは未承認の新規食品である。製品写真有り。

 

-Lidl Irelandは保管の問題のためEl Tequito Taquitoをリコール

Lidl Ireland Recalls Some El Tequito Taquitos Due to Incorrect Storage

Thursday, 2 September 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Lidl_Taquitos.html

 Lidl社は、一部店舗でEl Tequito Taquitoを冷凍ではなく冷蔵で販売していたため、リコール。製品写真有り。

 

-Aptonia スポーツ用食品に未承認の農薬エチレンオキシドの混入によるリコール

Recall of Certain Batches of Aptonia Sports Food Products due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Thursday, 2 September 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/aptonia_sports_foods_recall.html

 フランス製Aptonia スポーツ用食品に未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、一部リコール。製品写真有り。

 

-Isola Bio Cuisine Cocco 及び Isola Bio Easy on Tasteに未承認の農薬エチレンオキシドの混入の可能性のためリコール

Recall of Batches of Isola Bio Cuisine Cocco and Isola Bio Easy on Taste due to the Potential Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide

Tuesday, 31 August 2021

https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/Isola_EO.html

 イタリア産Isola Bio Cuisine Cocco 及び Isola Bio Easy on Tasteの原材料であるグアーガムに未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、リコール。製品写真有り。

 

[FDA]FDAの教育関連資料ライブラリ更新

FDA Upgrades Education Resource Library

September 1, 2021

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-upgrades-education-resource-library

FDAは、食品安全・応用栄養センター(CFSAN)の教育関連資料ライブラリを更新した。消費者、産業界、教育者、栄養士、医療専門家、規制当局者を対象に、食品安全、栄養、農業バイオ技術、化粧品などに関する350以上の教材やビデオを提供する。クラウド型のインターフェースやキーワード検索機能などを新たに追加した。

https://www.fda.gov/food/resources-you-food/cfsan-education-resource-library

 

[FDA] 食品安全教育月間

Food Safety Education Month

08/20/2021

https://www.fda.gov/food/consumers/food-safety-education-month

9月は「全米食品安全教育月間」であり、FDAはさまざまな教育リソースを紹介する。

 

[FDA] 獣医師および小売業者へのCVM文書:人間のCOVID-19の予防や治療のために動物用イベルメクチンが悪用されるのを阻止する

CVM Letter to Veterinarians and Retailers: Help Stop Misuse of Animal Ivermectin to Prevent or Treat COVID-19 in Humans

August 30, 2021

https://www.fda.gov/animal-veterinary/animal-health-safety-and-coronavirus-disease-2019-covid-19/cvm-letter-veterinarians-and-retailers-help-stop-misuse-animal-ivermectin-prevent-or-treat-covid-19

最近、ヒトのCOVID-19の治療または予防として動物用イベルメクチンを服用して健康被害を受けた人の報告が急増している。米国食品医薬品局(FDA)の動物用医薬品センター(CVM: Center for Veterinary Medicine)は、獣医師および小売業者へ動物用イベルメクチンの誤用に関する重要な安全情報を共有する協力を求める。

(警告用チラシがダウンロードできる)

 

[FSSAI]州の食品安全部署は植物由来の飲料や食品への乳製品用語の使用を調べるよう指示される

State Food Safety Departments are directed to investigate the alleged use of dairy terms on the labels of plant based beverages and food products

Sep 03, 2021

https://www.fssai.gov.in/upload/press_release/2021/09/6134e1e56895bPress_Release_Diary_Term_04_09_2021.pdf

乳でないものに乳製品用語を使うことは禁止されている。ただし例外はあって、ココナツミルクやピーナッツバターなどは国際的に使用されている名称でありミルクや乳製品の代用にはならないので許容できる。

今回違反を見つけたら法の執行までに15日間の猶予を与える

(6月7日の食品安全の日以来のFSSAIのプレスリリース。事務連絡等は出ていた)

 

論文

-若年成人における冠動脈リスク発達研究での中年成人の全原因での死亡率と一日あたりの歩数

Steps per Day and All-Cause Mortality in Middle-aged Adults in the Coronary Artery Risk Development in Young Adults Study

September 3, 2021

Amanda E. Paluch et al., JAMA Netw Open. 2021;4(9):e2124516.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2783711

2110人の成人の平均フォローアップ10.8年のコホートで、少なくとも1日7000歩以上歩いているヒトはそれ以下のヒトより死亡率が50-70%少なかった。強度には関連がなかった。

歩数を測定したのは2005-2006年

 

-生涯にわたって乳児用調整粉乳のみを与えられた10才の子どもの不適切な食事と致死的栄養不良:脂肪貪食による飢餓の新しい病理診断基準

Inappropriate diet and fatal malnutrition in a 10-year-old child fed only infant formula throughout life: Novel pathological diagnostic criterion for starvation via lipophagy.

Yamada A, et al.,

Forensic Sci Int. 2021 Aug;325:110896.

日本の事例。両親揃っていて高学歴、一日三回ミルクのみ与え学校にも行っていない。2835gで帝王切開で生まれ死亡時身長114cm体重16.8kg

 

その他

-SMC UK

亜酸化窒素、笑気ガスレビュー開始への専門家の反応

expert reaction to launch of review into nitrous oxide, laughing gas

SEPTEMBER 3, 2021

https://www.sciencemediacentre.org/expert-reaction-to-launch-of-review-into-nitrous-oxide-laughing-gas/

いくつかのメディアがPriti Patel内務大臣が薬物誤用助言委員会(ACMD)に亜酸化窒素の害をレビューするよう依頼し、「厳しい対応」とさらなる制限を導入する準備をしていると示唆する報道をしている。

ロンドン大学Queen Mary校集団の健康Wolfson研究所予防神経学ユニットとBarts Health NHSトラストの顧問神経科医Alastair Noyce博士

笑気ガスが無害だという示唆は正しくなく、過剰使用でひどい傷害を負った若者の事例を病院でたくさん見ていて一部は不可逆である。過剰使用で脊髄や神経を損傷し上手く歩けなくなる人をよく見るが、膀胱や大腸の問題や性機能障害など見えない病気も多い。しかし亜酸化窒素を犯罪にするのも答えではない。使用パターンをよく理解し害のスケールについてのよりしっかりした根拠を集める必要がある。そこから、しっかりした根拠に基づいて適切な健康メッセージを作り使用者と情報を与えられた対話ができる。

(ホイップクリーム用などで売っている笑気ガスを吸入する事例が多いからとのこと。BBCの写真は海岸に捨てられたたくさんの笑気ガスカートリッジ。)

 

-どうしてわかるの?

How do you know?

Joe Schwarcz PhD | 2 Sep 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-nutrition/how-do-you-know

これは私がキャッサバによるシアン化物中毒の問題を説明した毒性学の講義の後で一人の学生が私に尋ねた質問である。私は何度も講義でこの話をしてきたがこれまでこの知識をどうやって得たかについての質問をされたのは初めてである。そこで考えた。私はアフリカに行ったことはないし生のキャッサバを見たこともない。キャッサバのシアン化物を検査したこともなくどうやって測定するのかも知らない。調べればわかるけれど。カリブ海地方のどこかでキャッサバフライを食べたことがあるような記憶があるがそれがキャッサバとの最も親密な出会いである。ではどうして私はその化学を知っているのか?全ては毒性学と化学の各種テキストを読んだからである。ではそれらのテキストを書いた著者等はどうだろうか?彼らも私と同じくらいキャッサバが身近でなかっただろう。しかし彼らはピアレビューされた文献を読み、事実を消化して断片を集めてストーリーにした。基本的に、科学的知識と呼ばれるものは、関連するピアレビューされた文献の蒸留によって得られる。しかしそこには宗教と同じように信頼が関与する。ピアレビューされた文献が信頼できるものであるという信頼である。しかしながらそれは盲目の信頼ではない。一欠片の懐疑を含む。

 

-白髪を遅らせると約束する錠剤

The Pill That Promises to Delay the Grey

Jonathan Jarry M.Sc. | 4 Sep 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/health-pseudoscience/pill-promises-delay-grey

染髪料発明以降初めての白髪の革新として販売されているサプリメントは疑わしい根拠に基づいている

Areyという会社がビタミンやミネラルや抗酸化物質を補充することで白髪になるのを遅くできると宣伝してサプリメントNot Today, Greyを販売している。この製品をどう思うか尋ねられたので調べた。

何故白髪になるのか、から始まって問題のサプリメントの個々の成分の根拠を検討した長い記事。

持ち帰るべきメッセージは:

-科学者はヒトが高齢になると何故白髪になるのかについて完全には理解していない。いくつかの仮説はある。

-ビタミンとミネラルと中国ハーブを含むサプリメントが、未公表の30人のたった一つの試験を根拠に白髪になるのを遅らせることができると宣伝されている

-そのサプリメントに含まれるFo-Ti(ツルドクダミ)と呼ばれる中国ハーブは中国でハーブ製品関連肝障害の最大の原因と報告されている

 

-「ブレイクスルー」感染の背景にある統計

The Statistics Behind “Breakthrough” Infections

Joe Schwarcz PhD | 27 Aug 2021

https://www.mcgill.ca/oss/article/covid-19/statistics-behind-breakthrough-infections

最近「感染したヒトのうちの75%がワクチン接種を完了していた」といったニュースの見出しが多数見られるようになった。数字が正しくても文脈を考慮する必要がある。

100%の人が予防接種済みの理論的シナリオを考えると、ワクチンは完璧ではないので、ブレイクスルー感染はおこり、その場合100%が予防接種済みとなる!そしてそれはワクチンに効果がないことを意味しない。

(反ワクチン団体がブレイクスルー感染が○○%もあるから予防接種に効果がない、と主張していて、この数字はワクチンカバー率が上がるほど大きくなるのでひっかからないように)