2021-09-14

[EU]査察報告

-トルコ-動物用医薬品の管理を含む生きた動物と動物製品の残留物と汚染物質

Turkey 2020-6997-Residues and contaminants in live animals and animal products including controls on veterinary medicinal products

09/09/2021

https://ec.europa.eu/food/audits-analysis/audit_reports/details.cfm?rep_id=4407

2020年10月19日~12月18日にトルコで実施した、EU輸出用生きた動物と動物製品の残留物と汚染物質の公的管理の効果を評価するための査察。サンプリングの計画、実施、違反結果のフォローアップは例外を除いてEU要件に従っており、動物用医薬品の使用に関する包括的な管理システムと提携し、システム全体が一般的に目的に合っている。だが、サンプル数が計画より少ないなどいくつかの欠点により、残留物管理システムの効果は低下している。国内の最大濃度が設定されていないためハチミツ中の高濃度の鉛はEUに通知されなかった。査察中にすでにいくつかの是正措置が取られた。

 

[ANSES]キノコ狩りの季節が今年は早い:中毒リスクを避けるように

The mushroom-picking season has come early this year: take care to avoid the risk of poisoning

31/08/2021

https://www.anses.fr/en/content/mushroom-picking-season-has-come-early-year-take-care-avoid-risk-poisoning-0

今年の7月と8月の気象条件から、野生のキノコが早く採取できる。すでに摂取による多くの中毒事例が観察されている。深刻になったり(重度の消化器疾患、腎臓の合併症、あるいは移植が必要な可能性のある肝障害)、死に至る可能性さえある。目利きであろうとたまに採取する人であろうと、警戒し続け、安全な摂取を確保するためによい習慣に従うべきである。     

2021年にすでに3人の中毒死亡者

消費者は、食用種と有毒種の取り違え、または状態が悪かったり加熱不十分な食用キノコの摂取により、複数の中毒リスクに直面している。2021年7月1日~8月29日に、すでに330件の中毒事例がフランス中毒管理センター報告されており、そのうち3件は深刻で命に関わるものだった。さらに、今年これまでに3人の死亡も記録されている。

前シーズンのレビュー

ANSESはフランス中毒管理センターのデータを用いて、野生のキノコによる中毒の季節的なモニタリングを実施している。

前シーズンのレビューから、2020年7月1日~12月31日には1,300件以上の中毒が中毒管理センターに報告され、特に10月は、雨量、湿度、低温がキノコの成長と採取に好都合だったことが示された(事例の56%)。多くの事例では、人々は自分で採ったキノコで中毒を起こしていたが、中毒の4.5%は市場や店で購入したキノコが原因だった。ほとんどは食事中に発生したが、事例の3%は、庭や校庭で見つけた食べられないキノコを摂取した子供やアルツハイマー病や知的障害などの認知障害の大人に関与していた。少数事例では、食用種との混同がスマートフォンのキノコ識別アプリの利用によるものだった。

観察された症状は主に腹痛、吐き気、嘔吐、下痢など消化器系だった。これらの中毒の多くは深刻ではないが、命に関わる予後の事例が29件あり、5人が死亡した。

事故を避けるための助言

残念ながら毎年再発する状況に応えて、ANSES、フランス中毒管理センター、フランス保健総局は以下の助言を提供している。

  • よく知っているキノコだけを採ること。毒性の高いキノコが食用種ととても似ていることがある。前年食用キノコを採った同じ場所に毒性のあるキノコが生えていることもある。
  • もしも採ったキノコの状態や識別にほんの少しでも疑いを持ったら、専門家に確認してもらうまで食べないこと。薬剤師や地方の真菌学会や協会に助けを求めることができる。
  • 識別しやすいようにいい状態のものだけを採り、キノコ全体(柄と傘)を取ること。
  • 道端、工業地帯、埋め立て地など汚染されている可能性のある場所の近くのキノコを採るのは避けること。
  • 食用キノコと毒性のあるキノコの種類の混合を避けるために、採取したキノコを種類ごとに慎重に分けておくこと。
  • そのキノコを箱、木箱、バスケットに入れ、分解を加速するビニール袋には入れないこと。
  • 冷蔵庫でキノコを保管し(最大4°C)、他の食品との接触を避け、2日以内に食べること。
  • キノコを完全に調理した後(20~30分炒める、あるいは15分間茹でる)、適量を食べること、野生のキノコは決して生で食べないこと。
  • 自分で採ったキノコを幼児に食べさせないこと。
  • 庭や校庭で見つけたキノコを口に入れないように子供に教えること。
  • 誤認のリスクが高いため、スマートフォンのキノコ識別アプリだけで確認したキノコを食べないこと。
  • 露天商人が販売するキノコを食べないこと。

症状が現れるまでの時間は様々である。たいてい数時間で現れるが、時間がかかる場合があり、12時間を超える可能性もある。その後、患者の状態は急速に悪化する可能性がある。

症状が現れたら、最後の食事の時間や最初の症状発生時刻の記録を取り、識別のために残りの野生のキノコを保管しておくことが役に立つ。

調理前にキノコの写真を撮り、必ず種類ごとに分けておくこと。中毒が起きた場合、これらの写真は中毒管理センターで毒性学者が適切な治療を決めるのに役立つ。

命に関わる状態の場合(意識の喪失、呼吸困難など)は、15番(フランス)、112番(ヨーロッパ)、114番(聴覚障害者と難聴者のメッセージサービス)に電話すること。

キノコを食べた後に症状(下痢、嘔吐、吐き気、震え、目まい、視覚障害など)を発症したら、すぐに中毒管理センターに連絡し、キノコを食べたと必ず伝えること。

 

[IARC]動画:世界がん報告最新情報学習プラットフォーム:あなたにどんな利点がある?

Video: The World Cancer Report Updates learning platform: what’s in it for you?

13 September 2021

https://iarc.who.int/news-events/video-the-world-cancer-report-updates-learning-platform-whats-in-it-for-you/

動画

The World Cancer Report Updates

https://learning.iarc.fr/wcr/

 

論文

-科学者が食べすぎが肥満の主な原因ではないと主張する

Scientists claim that overeating is not the primary cause of obesity

13-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/927735

The American Journal of Clinical Nutritionに発表された展望

もう何十年も公衆衛生メッセージは食べる量を減らして運動しようと勧めてきたが、肥満は増えるばかりである。ボストン子ども病院の内分泌科医でハーバード大学医学部教授のDavid Ludwig博士はエネルギーバランスモデルの代わりに炭水化物-インスリンモデルを提唱。肥満の原因は消化しやすい炭水化物の過剰摂取だという

(早速いくつかのメディアが食べすぎは肥満の主な原因ではないと報道している。アメリカの肥満研究って迷走してるとしか思えない。

How a ‘fatally, tragically flawed’ paradigm has derailed the science of obesity

By Gary Taubes Sept. 13, 2021

https://www.statnews.com/2021/09/13/how-a-fatally-tragically-flawed-paradigm-has-derailed-the-science-of-obesity/

Overeating 'is NOT the primary cause of obesity': Scientists claim eating foods high in processed sugars is the real cause of a bulging waistline

13 September 2021

https://www.dailymail.co.uk/health/article-9986281/Overeating-NOT-primary-cause-obesity-Scientists-claim.html)

 

-廃棄物からのアンモニア排出を減らすために研究者らが牛のトイレトレーニングをする

Researchers are toilet-training cows to reduce ammonia emissions caused by their waste

13-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/927878

Current Biology,

(放牧中にトイレに行く牛)

 

-食料安全保障と窒素使用のバランスをとる

Balancing food security and nitrogen use

13-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/928249

過剰な窒素を制限する環境目標は、食糧安全保障リスクを増やさないような窒素緩和策の大規模展開を必要とする。こうした対策なしには人々の入手できる食料が大きく減り、食料価格の高騰と栄養不良の増加につながる。

農業にとって窒素は必須である。毎年1億トン以上の窒素が肥料の形で作物に与えられている。その一部が流出して藻類の大発生や生物多様性消失に寄与する。この問題に対応するために窒素汚染制限対策が導入されているが、食糧安全保障と環境目標の間のトレードオフの理解は十分ではない。Nature Foodに発表された国際研究で地域毎の食糧安全保障と環境目標のトレードオフを評価した。栄養不良を減らし窒素汚染にも対応する最も効果的な方法は窒素の利用効率をあげること

 

-研究が食品のサブ部門からの三種の温室効果ガスの排出を評価する基礎を提供

Study provides basis to evaluate food subsectors' emissions of three greenhouse gases

13-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/928081

Nature Foodに発表された食品の生産から消費までに関連する全てのサブ部門の二酸化炭素とメタンと亜酸化窒素の総排出量を説明しようとする研究。温室効果ガス排出量推定のためのオープンアクセスデータベースを構築する試み。

全てのヒト由来温室効果ガス排出量のうち35%が農業で、そのうち植物食品が29%(CO2 19% 、メタン6%、亜酸化窒素4%)、動物食品が57%(CO2 32% 、メタン20%、亜酸化窒素6%)、食用でない綿やゴムなどが14%、等と推定

 

-クロマグロは世界の海の水銀汚染パターンを明らかにする

Bluefin tuna reveal global ocean patterns of mercury pollution

13-SEP-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/928044

PNAS。1998年から2019年の筋組織中水銀分析研究の徹底的レビューにより、クロマグロの水銀蓄積率は地中海域で最も高く、北太平洋、インド洋、北大西洋で下がることを発見した。

 

その他

-Nature

ニュース

スウェーデンの研究不正機関は一年目に事例が殺到

Swedish research misconduct agency swamped with cases in first year

13 September 2021 Holly Else

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02451-4

新しく作られた政府機関は2020年に46件の研究不正と取り組んだ-予想の3倍

 

Natureワールドビュー

プレプリントの推進者は研究の完全性を求めることも同時にしなければならない

Preprint advocates must also fight for research integrity

13 September 2021 Gowri Gopalakrishna

https://www.nature.com/articles/d41586-021-02481-y

研究を共有するための努力には質の低い仕事による害を予防するメカニズムを含めなければならない

2003年SARSの時のシンガポール政府の感染症疫学専門家としてキャリアを始めた著者が今回のパンデミックのプレプリントについて提案する

(質の低い、害の大きいプレプリントの例としてヒドロキシクロロキンとイベルメクチンが有効だという論文があげられている)

 

-完璧主義は善の敵か?

Is Perfection The Enemy Of Good?

By Susan Goldhaber MPH — September 13, 2021

https://www.acsh.org/news/2021/09/13/perfection-enemy-good-15794

レギュラトリーサイエンスにとって、Covid-19から環境規制まで、今日のスローガンは「科学に従え」である。もしより多くのより良い科学がありさえすれば、正しい答えがわかって公衆衛生をより良く守れる、と彼らは主張する。しかし「より多くの」「より良い科学」は時に逆効果をもたらす-つまり公衆衛生保護が減る。「完璧な科学」を目指すことはしばしば公衆衛生を守るための妨げになる

以下PFOAの例

EPAは20年以上PFOAの研究をしていて16年前の2005年には最初の健康リスク評価案を発表している。2009年には予備的飲料水助言地0.4ppbを、2016年には0.07ppbを発表している。しかし公式に規制になることはなかった。この長さに議会がしびれを切らして2021年にPFAS対策法を立法した。

飲料水安全法で汚染物質を規制するためにはEPAは「健康影響がおこらないだろう」目標値を定めなければならない。2009年や2016年の案を採用しなかった理由は科学助言委員会である。レビューするたびに科学助言員会はさらなる情報を求めた。時間経過によってリスク評価方法も変わった。2000年代以降コンピュータが誰にでも使えるようになってモデル計算が参戦し、現在のリスク評価はモデル間闘争になっている。公衆衛生保護のための基準設定には「古い」リスク評価でも十分であり、手法の違いによる数値の差の議論は意味がない

結論-手の中にある一羽の鳥は繁みの中の二羽の価値がある

(物事を欲張ってそれを固執するより、小さいもので満足した方がよい)

EPAは現在入手できる最良の科学に基づいて安全なレベルを決めるべきだった。科学助言委員会には期限を設定すべきだったのだろう。

(レギュラトリーサイエンスって不完全なデータであっても公衆にとって最良の選択をするための科学、のはずだけど。やたら細部(自分の専門)にこだわるアカデミックの人はいる。)

 

-イベルメクチンの狂乱:支持者、反ワクチン、そして遠隔医療の企業が需要を駆動する

Ivermectin frenzy: the advocates, anti-vaxxers and telehealth companies driving demand

Nick Robins-Early Mon 13 Sep 2021

https://www.theguardian.com/world/2021/sep/13/ivermectin-treatment-covid-19-anti-vaxxers-advocates

保健当局はイベルメクチンのCOVID-19治療薬としての価値は証明されていないと警告してきた。それでもこの薬物をパンデミックから抜け出る方法として宣伝するグループがある

フロリダにある遠隔医療ウェブサイトのトップには、スキンケア製品、勃起不全用医薬品、脱毛治療のメニューの上に明るいオレンジのバナーで「イベルメクチンを探している?ここをクリック」と太字で書いてある。このサイトはイベルメクチンの需要急増で儲けようとしている無数のオンライン業者の一つである。イベルメクチンの狂騒を駆動しているのは提唱者団体と反ワクチン活動家と遠隔医療企業からなる家内工業である。

(以下FLCCCのメンバーの反ワクチン活動など含む長い記事)

 

-医師が反ワクチン抗議に対してトロントの病院の外でカウンター抗議

Doctor holds counter-protest against anti-vaccine protest outside his Toronto hospital

Sep 13, 2021

https://www.cbc.ca/radio/asithappens/er-doctor-counter-protest-toronto-1.6173839

Raghu Venugopal医師が「我々の尊厳を尊重して」という

トロント総合病院の救急医が同僚を支持する

COVID-19についての陰謀論を拡散するオンタリオの看護師団体「カナダの前線看護師Canadian Frontline Nurses」が組織した病院の外での抗議活動が国全体で行われている。それに対抗してRaghu Venugopal医師がたった一人で「病院を守れ」というカードを掲げる。彼の写真がソーシャルメディアで拡散された。彼にインタビューした。