[HK] ビスケット中のアクリルアミド、グリシジルエステルおよび3-モノクロロプロパン-1,2-ジオールエステルについて
Acrylamide, Glycidyl Esters and 3-Monochloropropane-1,2-diol Esters in Biscuits
20 Oct 2021
香港の研究報告書が包装済みビスケットにアクリルアミド、グリシジルエステル(GE)及び3-モノクロロプロパン-1,2-ジオールエステル(3-MCPDE)が含まれることを明らかにした。人々はビスケットを食べることが健康に悪いと心配かもしれない。そのような知見への過剰反応は必要ではないが、消費者と業者はこれら汚染物質の含量を減らし食事摂取量を最小限にするために協力できる
ビスケット中のアクリルアミド、グリシジルエステルおよび3-モノクロロプロパン-1,2-ジオールエステルについて
アクリルアミド、グリシジルエステル(GE)及び3-モノクロロプロパン-1,2-ジオールエステル(3-MCPDE)とは、食品加工時に食品から放出される避けられない汚染物質である。アクリルアミドは、炭水化物を多く含む食品が高温で調理されると生成され、フライドポテト、ポテトチップスおよびビスケットなどによく含まれる。GEと3-MCPDEは、主にパーム油、コーン油、ピーナッツ油など、高温処理の精製植物油に含まれる。国際がん研究機関(IARC)は、現在、これら物質の発がん性についてはヒトにおける十分なエビデンスがないとしているが、アクリルアミド及びGEを「ヒトに対しておそらく発がん性がある」(グループ2A)、3-MCPDは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある」(グループ2B)と分類している。
食品安全センター(CFS)はアクリルアミド、GE及び3-MCPDEのリスク評価研究を行った。欧州諸国や米国と比較して、香港でのアクリルアミドの食事摂取量は比較的低い。また、香港の食用油や乳児用調製乳に含まれる採集したサンプルのGE含有量は、欧州諸国、ニュージーランド、オーストラリアで実施された同様の調査よりも低かった。また、CFSは3-MCPDEの香港での食事摂取量を調査し、食品中の3-MCPDEが健康に有害影響を引き起こす可能性は低いとした。この研究で採集したビスケットのサンプルの3-MCPDEについても、日常的に摂取しても健康に有害影響を引き起こす可能性はない結果を示した。
バランスのとれた食生活の中でビスケットを適度に食べることはそれほど問題ない。アクリルアミド、GE及び3-MCPDEの摂取量低減のために、消費者は成分表や包装の栄養表示を読み、消費量に注意することができる。
CFSでは、食品に含まれるアクリルアミドの低減を業界で促進するために、「食品中のアクリルアミド低減に関する業界ガイドライン」を履行した。業界協議フォーラムでもこのガイドラインを推進し、GEおよび3-MCPDEに関するコーデックス実施規範が導入された。
言及されている報告
香港消費者委員会
60の包装済みビスケット全てから遺伝毒性発がん物質が検出され85%は脂肪、砂糖、ナトリウムが多く40%は表示が検査結果と一致しないことは直ちに修正を要する
60 Pre-packaged Biscuits All Detected with Genotoxic Carcinogens 85% Found to be High in Fat, Sugar or Sodium Labelled Claims of 40% Samples Inconsistent with Test Results Calling for Prompt Rectification
2021.10.18
https://www.consumer.org.hk/en/press-release/p-540-biscuit
検出されたアクリルアミドは32μg/kg~ 620μg/kg
グリシドールは11μg/kg から3,900μg/kg超
3-MCPDは15μg/kg ~ 2,000μg/kg
[HK]ニュースレター
Food Safety Focus
28 Oct 2021
https://www.cfs.gov.hk/english/multimedia/multimedia_pub/multimedia_pub_fsf.html
追加掲載項目
生や加熱不足の食品に潜む食品安全上のリスク
[HK]法令違反
-包装食品が栄養表示規則に違反
Prepackaged food not in compliance with nutrition label rules
Wednesday, October 27, 2021
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20211027_8943.html
中国産包装食品がナトリウム831 mg/100 g含有という表示のところ、1400 mg/100 g検出された。
-包装くるみのサンプルが表示規則に違反
Prepackaged Walnuts sample not in compliance with label rules
Oct 26, 2021 (Tuesday)
https://www.cfs.gov.hk/english/unsat_samples/20211026_8942.html
米国産包装くるみのサンプルが低ナトリウム35 mg/30 g (116.7 mg/100 g)含有という表示のところ、150 mg/100 g検出された。低塩の基準値は0.12 g/100 g (120 mg / 100 g)未満。
[FSAI] B&K Filety Z Makreli, Szproty and Sledz に未承認の農薬であるエチレンオキシドの混入のためリコール
Recall of Certain Batches of B&K Filety Z Makreli, Szproty and Sledz due to the Presence of the Unauthorised Pesticide Ethylene Oxide
Tuesday, 26 October 2021
https://www.fsai.ie/news_centre/food_alerts/BandK_recall.html
ポーランド産B&K Filety Z Makreli, Szproty and Sledz に使用された食品添加物であるローカストビーンガム(E410)に未承認の農薬であるエチレンオキシドが含まれていたため、リコール。
[FDA]警告文書
Organa International Corp.
OCTOBER 13, 2021
未承認の医薬品、不正表示の問題。ダイエタリーサプリメント製品を含む。
[FDA]リコール
Purina® Animal Nutrition社は尿素濃度の上昇によりPurina Cattle and Wildlife Feedを自主的リコール
Purina® Animal Nutrition Voluntarily Recalling Limited Lots of Purina Cattle and Wildlife Feed Due to Elevated Urea Levels
October 27, 2021
Purina® Animal Nutrition社は、尿素濃度が高い可能性があり、動物用飼料のPurina Cattle and Wildlife Feedをリコール。製品写真有り。
[CDC]CDCは子どもの血中鉛濃度参照値を更新
CDC Updates Blood Lead Reference Value for Children
October 28, 2021
https://www.cdc.gov/media/releases/2021/p1028-blood-lead.html
CDCは最近、2021年5月14日の鉛暴露予防助言委員会(LEPAC)の助言に対応して、血中鉛濃度参照値(BLRV)を5 µg/dL から 3.5 µg/dLに更新した。BLRVは血中鉛濃度が他の多くの子どもより高い子どもを同定するためのもので、米国の1-5才の子どもたちの血中鉛濃度の分布の97.5パーセンタイルに基づく。
鉛には安全な量がなく、米国の子どもの半分はしばしば自宅で鉛暴露リスクがある
[CDC]MMWR
-Update of the Blood Lead Reference Value — United States, 2021.
Ruckart PZ,et al., MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1509–1512.
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7043a4.htm?s_cid=mm7043a4_w
-非医療用大麻の小売り販売合法化後の現在の大麻使用と飲酒-コロラド、2015-2019
Current Marijuana Use and Alcohol Consumption Among Adults Following the Legalization of Nonmedical Retail Marijuana Sales — Colorado, 2015–2019.
Crawford KA, et al., MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1505–1508
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7043a3.htm?s_cid=mm7043a3_w
コロラドでは2014年1月1日から大麻の小売り販売が始まっている。
2015-2019年の間、コロラドの成人の暴飲者の約1/3(34.4%)が大麻を使用した。飲酒をしない人では9.9%が大麻を使用した。
-有害金属中毒に関連するケーキの装飾用ラスターダスト(キラキラ粉)—ロードアイランドとミズーリ、2018-2019
Cake Decorating Luster Dust Associated with Toxic Metal Poisonings — Rhode Island and Missouri, 2018–2019.
Viveiros B, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep 2021;70:1501–1504.
https://www.cdc.gov/mmwr/volumes/70/wr/mm7043a2.htm?s_cid=mm7043a2_w
高濃度の銅、鉛、その他金属を含むラスターダストを使った市販の、あるいは手作りのケーキに関連する重金属中毒症例の調査報告
写真あり
(ケーキはとてもきれい。でも食用ではないってはっきり書いてある銅の粉、「non-toxic」だから大丈夫って使う?)
[USDA]USDA円卓会議は食品廃棄削減成功物語を強調する
USDA Roundtable Highlighted Food Waste Reduction Success Stories
by Jean C. Buzby Oct 28, 2021
2021年9月15日にUSDAは「食品廃棄の解決法を探る:米国と他国からの成功例」という主題のバーチャル円卓会議を主催した
その記録がYoutubeに公開されている
[FTC]FTCはユタ州の企業を点鼻スプレーがCOVID-19を予防や治療できると主張したことで訴える
FTC Sues Utah-based Company for Falsely Claiming Its Nasal Sprays Can Prevent and Treat COVID-19
Xlear, Inc.社は点鼻スプレーや歯のケア製品、甘味料などを販売している。Xlear Sinus Careというブランドにはキシリトールやブドウ種子抽出物を含みコロナウイルスから守ると宣伝していた。実際のところ同社は臨床試験を行っていない
[EPA]米国コミュニティの鉛暴露と不平等を減らすための戦略案
Draft Strategy to Reduce Lead Exposures and Disparities in U.S. Communities
October 28, 2021
https://www.epa.gov/lead/draft-strategy-reduce-lead-exposures-and-disparities-us-communities
90日間パブリックコメント募集
-EPAの執行は脆弱な地域を鉛ベースの塗料の健康ハザードから守るのに役立つ
EPA Enforcement Actions Help Protect Vulnerable Communities from Lead-Based Paint Health Hazards
October 28, 2021
EPAは今週の鉛中毒予防週間に、2020年10月から2021年9月の間に、鉛ベースの塗料暴露から人々を守るための、100以上の連邦執行行為を完了したと発表した。
いくつか事例紹介
[DHSC]世界で初めて電子タバコがNHSで処方される
E-cigarettes could be prescribed on the NHS in world first
29 October 2021
https://www.gov.uk/government/news/e-cigarettes-could-be-prescribed-on-the-nhs-in-world-first
イングランドは世界で初めて喫煙率を減らすのに役立てるための医学的に許可された電子タバコを処方する国になる
[DHSC]旅行更新:全ての国が英国レッドリストから除かれた
Travel update: all countries removed from the UK’s red list
28 October 2021
https://www.gov.uk/government/news/travel-update-all-countries-removed-from-the-uks-red-list
もはやホテル隔離は必要ない(ワクチンは必要)
[RIVM]報告書
-素材や製品の安全性はデザインの段階から既にはじまっている
Safety of materials and products already starts at the design phase
10/26/2021
https://www.rivm.nl/en/news/safety-of-materials-and-products-already-starts-at-design-phase
インフラ水管理省は全ての新素材と技術開発は2050年には確実に安全であることを目指している。ヒトや地球への健康リスクをデザインの段階から考慮すれば、将来の製品や技術が安全である可能性が高まる。この概念をSafe-by-Design(デザインによる安全)という。RIVMは主にナノテクノロジーに焦点を絞ってSafe-by-Designについての74の欧州試験の概要をまとめた
報告書は英語
-オランダで糖尿病であることの死亡リスクや寿命への影響の解析
Analyzing the effect of having diabetes on mortality risk and life expectancy in the Netherlands
26-10-2021
1型糖尿病のある45才の平均余命は糖尿病の無い人より13年短い。2型糖尿病のある45才では4年短い
1型糖尿病のある45-60才の死亡リスクは糖尿病のない人の5倍以上高い。2型糖尿病のある45-60才では約2倍である。その差は高齢になるにつれて減る。
-COVID-19検査陽性数は2週間で2倍以上になった
Number of positive COVID-19 tests more than doubled within two weeks
10/26/2021
https://www.rivm.nl/en/news/number-of-positive-COVID-19-tests-more-than-doubled-within-two-weeks
現在12才以上の18.3%がワクチン未接種である
SMC UK
-筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群の診断と管理についての更新NICEガイドラインへの専門家の反応
expert reaction to updated NICE guideline on diagnosis and management of ME/CFS
OCTOBER 29, 2021
NICEがME/CFSの診断と管理についての更新ガイドラインを発表した
ロンドン大学衛生熱帯医学大学院研究看護師でUK ME/CFSバイオバンクリードCaroline Kingdon研究員
この新しいガイドラインは英国と他国のME/CFSの将来の診断と治療にポジティブに影響するだろう。重要なことは、ME/CFSが深く長く続く病気や機能障害の原因となること、患者は偏見や不信や烙印を経験する可能性があることを認めた。ME/CFS患者をさらに傷つける可能性のある治療法が削除されたがCBTは推奨され続けている
King’s College London IoPPN認知行動心理療法教授Trudie Chalder教授
このNICEガイドラインは研究の根拠と一致しない。異なる国の異なる組織の研究者が段階的運動療法と認知行動療法が有効なCFS患者がいることを発見している。私は信頼される組織からのこのメッセージは臨床家を混乱させると思わざるを得ない
Open大学応用統計学名誉教授Kevin McConway教授
NICEのガイドラインがようやく発表されたのは大変良い。2007年のガイドラインと大きく異なる。変更点の一つは名称がCFS/ME からME/CFSになったことだ。
(以下非常に長いコメント)
Oxford大学女性と生殖健康Nuffield学部主任研究者Karl Morten博士
Queen Mary University of London精神医学名誉教授Peter White教授
Exeter大学上級臨床講師David Strain博士
Edinburgh大学遺伝子と分子医学研究所MRCヒト遺伝学ユニット主任研究者で医学バイオインフォマティクス部長Chris Ponting教授
感染症と内科の相談医Alastair Miller博士
(賛否両論)
-公会計委員会の検査&追跡についての報告書への専門家の反応
expert reaction to Public Accounts Committee report on Test & Trace
OCTOBER 27, 2021
下院公会計委員会が検査&追跡についての報告書を発表した
3人のコメント
NHS Test and Traceは失敗だったという報告。
(たくさんの欠点が指摘されている。高価なコンサルに過剰に依存して地方の当局と協力したがらなかったこと、とか。ただどちらにせよ患者が多ければ無理で、もともと困難ではあった。)
SMC NZ
-Covidパンデミック中の食料不足-専門家Q+A
Food insecurity in the Covid pandemic – Expert Q+A
Published: 28 October 2021
https://www.sciencemediacentre.co.nz/2021/10/28/food-insecurity-in-the-covid-pandemic-expert-qa/
現在進行中のパンデミックはニュージーランドでの入手可能な健康的食品にどう影響している?
NZ統計局が今年の物価が4.9%上がったと発表した-四半期としては1980年代以降最大、年間としては10年で最大の増加である。野菜の値段は19%上がった。
SMCは現在の食糧安全保障の傾向について専門家に尋ねた
(輸出と輸入のバランス、貧富の差、等政治的問題)
-我々の境界はどうやってこのアウトブレイクを管理できる?専門家の反応
How can our borders manage this outbreak? – Expert Reaction
28 October 2021
クライストチャーチで二人のCovid-19患者が検出されて、そのうち一人がオークランドから戻っていたのでオークランドの強固な境界が注目されている
6人の意見。
(国内での警戒レベルの違う地域の移動をもっと厳しく管理すべき、クライストチャーチが警戒レベルを上げないのは不満、といった意見が多い。問題の感染者はワクチン未接種、行動記録もしていなかったらしく非難されている。)
その他
-AAAS動画シリーズがデマ対策に焦点を合わせる
AAAS video series focuses on combating misinformation
BECKY HAM
SCIENCE•29 Oct 2021•Vol 374, Issue 6567•p. 549
“AAAS Voices: Countering Science Misinformation”
https://www.aaas.org/news/misinformation?_ga=2.151257529.1847901602.1635311335-185345166.1630473475
-女性がストロベリーポップタルトが十分量イチゴを含まないとして500万ドル要求する訴訟
Woman claims strawberry Pop-Tarts don't have enough strawberries, sues for $5 million
Oct. 27, 2021, By Ben Popken
ケロッグの「全粒粉砂糖がけストロベリー」ポップタルトが、イチゴ以外の果物(ナシとリンゴ)が入っていることを警告しなかったとして消費者を欺いていると訴えられた。
(アメリカっぽい)