2021-12-02

[EU]バイオテクノロジーの新しい技術

New techniques in biotechnology

https://ec.europa.eu/food/plants/genetically-modified-organisms/new-techniques-biotechnology_en

・標的を定めた突然変異とシスジェネシスにより得られた植物への行動のためのロードマップ(開始影響評価)公表

・2021年11月29日に「新しいゲノム技術-農業食料部門の安全で持続可能な革新を進める方法」についてのハイレベルオンラインイベントが開催された

 

ある種の新しいゲノム技術によって作られた植物の規制

Legislation for plants produced by certain new genomic techniques

https://ec.europa.eu/info/law/better-regulation/have-your-say/initiatives/13119-Legislation-for-plants-produced-by-certain-new-genomic-techniques_en

開始影響評価のほかに2021年9月24日から2021年10月22日まで行われた意見募集の結果が公表されている。

合計70878の意見が提出され、96.2%がEU市民(団体や組織ではない)。国別ではドイツとフランスが46%と36%

(個別意見が公表されていて、全く同じ文章が何度も出ているのでテンプレを送れという運動があったのだろう)

 

[ASA]子ども向けウェブサイトとYouTubeチャンネルの年齢制限のある広告への取り組みの1年にわたる監視

Our year-long monitoring sweeps tackling age-restricted ads on children’s websites and YouTube channels

30 Nov 2021

https://www.asa.org.uk/news/our-year-long-monitoring-sweeps-tackling-age-restricted-ads-on-children-s-websites-and-youtube-channels.html

四半期監視のまとめを発表した。

2020年4月1日から2021年3月31日までの12ヶ月間、我々は子ども向けウェブサイトとYouTubeチャンネルの年齢制限のある広告を監視し違反があれば対応した。大部分は規則に従っていたが、少数の違反があった。

最も多かったのは脂肪・塩・砂糖の多い食品や飲料。

 

[ASA]ASA裁定

ASA Ruling on Person(s) unknown

01 December 2021

https://www.asa.org.uk/rulings/person-s--unknown-a21-1120118-person-s--unknown.html

自社のフェイスブックでの宣伝「二日酔いは一時的。酔っ払った話は永遠」が、社会的に無責任であるという苦情が申し立てられた。企業はASAの照会に反応しなかった。ASAはこの広告が人々に賢明でない飲み方を勧めるとして広告基準違反と判断

 

[WHO]三者とUNEPはOHHLEPの「ワンヘルス」定義を支持する

Tripartite and UNEP support OHHLEP's definition of "One Health"

1 December 2021

https://www.who.int/news/item/01-12-2021-tripartite-and-unep-support-ohhlep-s-definition-of-one-health

FAO、OIE、UNEP、WHOは新たに作られたワンヘルスハイレベル専門課員会(OHHLEP)によるワンヘルスの操作的定義を歓迎する。

OHHLEPによるワンヘルスの定義は:

ワンヘルスとは、人々と、動物と、生態系の健康を持続可能にバランスをとって最適化することを目指した統合的、統一的アプローチである。

それはヒト健康と、家畜と野生生物と、植物と、より広範な環境(生態系を含む)が密接に関係し相互依存していることを認める。

このアプローチは、きれいな水とエネルギーと空気と安全で栄養のある食品の集合的ニーズに応え、気候変動対策をし、持続可能な開発に貢献しつつ、福祉を向上させ健康と生態系への脅威に取り組むために、複数の部門、専門性、コミュニティを社会の多様なレベルで動員してともに働く。

(図あり)

 

Nature

-ニュース特集

人類は健康を維持し地球を救うために何を食べるべきか

What humanity should eat to stay healthy and save the planet

01 December 2021  Gayathri Vaidyanathan

https://www.nature.com/articles/d41586-021-03565-5

我々の食べるものは栄養があって持続可能である必要がある。研究者らはそれが世界中でどのようなものか解明しようとしている

ケニアのモンバサの北部のKilifi近傍の漁村ではブダイやタコやその他食用種がとれるが沿岸に住んでいるにも関わらず村の子どもたちはシーフードを滅多に食べず、栄養源は植物で、約半分が発育不全である。2020年にワシントン大学の公衆衛生研究者Lora Iannottiとケニアの同僚が村人にどうして子どもたちがシーフードを食べないのかと尋ねたところ、食べるより売った方が経済的に有利だと言う。そこで彼女らのチームは小さな魚は逃げられるような漁具を与えて将来的に漁獲が増えるようにし、一方家庭の半分には保健師が家庭訪問して子どもたちに量が多くて生長が早い魚やタコなどを食べさせるよう勧め料理方法を示した。その後追跡をする予定である。

Iannottiの取り組んでいる問題は多くの研究者や国連が注目している、人々にとっても地球にとっても良い食生活の探索、である。20億人以上が肥満または過体重で、8億1100万人が十分なカロリーや栄養をとれていない。不健康な食事は2017年に世界では他のどんな要因より多くの死亡に寄与した。世界人口が増加し続け、より多くの人が西洋型食生活になると、肉、乳製品、卵の生産は2050年までに44%増やす必要がある。それは環境に問題となる。

2019年に16カ国37人の栄養学者、生態学者その他専門家からなるEAT–Lancet食品、地球、健康委員会が発表した広範な食生活の変更を呼びかける報告書は持続可能な食生活についての注目を高め実行可能性への批判も出された。科学者の中には環境持続可能な食生活を地域の文脈で検討している人もいる。地球健康同盟のSam Myers会長は「我々は環境影響を劇的に下げる食生活に向かって進む必要がある、そうでなければ数十年以内に世界の崩壊を目にし始めるであろう」という。

メニュー上の温室効果ガス排出

食品生産は温室効果ガスを排出する。食品システム由来の排出のうち、30-50%は家畜供給チェーンに由来する。2014年のDavid TilmanとMichael Clarkの推定では、2010年から2050年の間に食品関連排出は80%増加するが食事を植物ベースにして廃棄を減らすなどで気候変動目標達成可能性があがる。このような知見は肉業界には人気がない。

EAT–Lancet委員会の「健康的食事」では平均的体重の30才の一週間の赤肉摂取は100gである。それは典型的アメリカ人の1/4以下である。

多くの科学者はEAT–Lancetの食事は豊かな国にとってはいいと言う。しかし資源の少ない状況では栄養が十分かどうか疑問が提示されている。批判はあるがこの食事は環境への懸念を最前面と中心課題に置いた。食生活は全ての人にあてはまる一つのものがあるわけではない。この報告書以降、世界中の公衆衛生科学者が現実的な食生活を研究している。

豊かな食生活

栄養研究者は、ほとんどの消費者が食事ガイドラインに従っていないことを知っている。なのでどうすれば人々に健康的で持続可能な食生活をさせることができるのかを探っている科学者もいる。スウェーデンでは学校給食で持続可能な食事をひっそり試験している。小学校の学校給食を、肉を減らして豆を増やしたりして気候に配慮したものにした。子どもたちや保護者には給食を改善したとのみ伝え詳細は伝えなかった。子どもたちはほとんど変更に気がつかなかった。その食事はEAT–Lancetとはかなり異なるが、スウェーデンの食生活に沿ったものである。

胃袋には厳しい

低から中所得国で将来の食事を研究している人たちにとっては、まず最初に人々が何を食べているのかを知ることがハードルである。文字通りブラックボックスである、とインドの食生活を研究しているPurnima Menonはいう。またEAT–Lancetの勧めるナッツ、魚、卵、乳製品は何百万人もの人々にとっては手に入らない。低から中所得国にとっては環境保護より必要な栄養をとることの方が重要である。FAOは2024年に世界的評価を発行する予定である

 

-Natureコメント

アフリカ:HIVとCOVID-19に同時に取り組む

Africa: tackle HIV and COVID-19 together

01 December 2021  Nokukhanya Msomi et al.,

https://www.nature.com/articles/d41586-021-03546-8

コントロールされていない進行したHIV患者の多い国々にCOVID-19ワクチンを接種できなかったことが、ウイルスとともに生きる人たちをさらに大きなリスクにさらし、コロナウイルス変異株の新興につながる

写真:ケニアのモンバサの人々が、4月に空っぽの抗ウイルス薬を掲げてCOVID-19パンデミックによる医薬品不足に抗議している

サハラ以南のアフリカには世界中のHPV保有者の2/3が住み、1950万人が抗レトロウルス治療を受けている。治療を受けていない人800万人、診断されていない人もいるだろう。

 

その他

-新しい研究は、砂糖入り飲料税の影響は長続きして効果的である新しい根拠を明らかにする

Research reveals new evidence that sugary beverage tax impacts are sustainable, effective

1-DEC-2021

https://www.eurekalert.org/news-releases/936593

米国中で行われた砂糖入り飲料への課税について研究しているチームが、2018年に課税を導入したシアトルのデータを解析した。

JAMA Network Open

(ソフトドリンクからの砂糖摂取は減っているというデータが蓄積されつつある。問題はそれなのに体重が減っていないことと、それを問題だと指摘しないで政策の成功を賞賛するばかりの論調)

 

-Sense about science

2021年John Maddox賞発表

John Maddox Prize 2021 Winners Announcement

https://senseaboutscience.org/activities/john-maddox-prize-2021-winners-announcement/

学術論文の誠実性への脅威を暴く卓越した仕事でElisabeth Bik博士

さらに人種による不平等に取り組んできたロンドン大学St George’sのプライマリーケア及び総合診療医Mohammed Sharif Razai博士。

いずれも根拠のない治療法に関して懸念を表明したり差別を指摘したりしたあと嫌がらせに晒されている

 

何故John Maddox賞が重要なのか?

Why is the John Maddox Prize important?

https://senseaboutscience.org/activities/why-is-the-john-maddox-prize-important/

気候変動やCovid-19のような世界的課題についての話がますます政治的に、極端に分かれるようになってきた中で、しっかりした科学と質の高い根拠を使うことが重要になっている。残念ながら、パンデミック中の全能のソーシャルメディアや査読前論文の爆発的増加により、質の低い根拠や疑問の多い研究が我々の科学的議論の最前線に出てくるようになった。だからこそしっかりした科学と科学研究の厳密さは祝福されるべきである。

今年は31カ国から130人以上がノミネートされた。