2022-01-13

[EFSA]意見等

-哺乳ヤギの第4胃由来キモシン、ペプシン、ガストリクシンを含む食品酵素の安全性評価

Safety evaluation of a food enzyme containing chymosin, pepsin and gastricsin from the abomasum of suckling goats

EFSA Journal 2022;20(1):7005 12 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7005#efsa-page-title

(科学的意見)

キモシン(EC 3.4.23.4)、ペプシン(EC 3.4.23.1)、ガストリクシン(EC 3.4.23.3)を含むこの食品酵素は、Consejo Regulador de la Denominación de Origen Queso Palmero社 および Consejo Regulador de la Denominación de Origen Queso Majorero社が哺乳ヤギの第4胃から作成した。この食品酵素はチーズ生産のミルク加工に使用することを意図している。この食品酵素の動物源やその製造から懸念が生じないため、安全な使用と摂取歴に基づき、パネルは、毒性データを求めず暴露評価は必要ないと考えた。既知のアレルゲンとこの3つのタンパク質(キモシン、ペプシン、ガストリクシン)のアミノ酸配列の類似性を調べ、1件の一致が見つかった。パネルは、意図した使用条件で、食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、その可能性は低いと考えた。提出されたデータに基づき、パネルは、この食事酵素は意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-哺乳子羊の第4胃由来キモシン及びペプシンを含む食品酵素の安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme containing chymosin and pepsin from the abomasum of suckling lambs

EFSA Journal 2022;20(1):7007 12 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7007

(科学的意見)

キモシン(EC 3.4.23.4)とペプシン(EC 3.4.23.1)を含むこの食品酵素第4胃はProductos Nievi, SA社が哺乳子羊の第4胃(胃)から作成した。この食品酵素はチーズ生産のミルク加工に使用することを意図している。この食品酵素の動物源やその製造から懸念は生じないため、安全な使用と摂取歴に基づき、パネルは毒性データを求めず暴露評価も必要ないと考えた。文献データに基づき、パネルは、意図した使用条件で食事暴露によるアレルギー感作リスクや誘発反応は除外できないが、これが起こる可能性は低いとみなした。提出されたデータに基づき、パネルは、この食品酵素は意図した使用条件で安全性の懸念を生じないと結論した。

 

-豚の膵臓由来食品酵素トリプシンの安全性評価

Safety evaluation of the food enzyme trypsin from porcine pancreas

EFSA Journal 2022;20(1):7008 12 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7008#related-topics

(科学的意見)

この食品酵素トリプシン(EC 3.4.21.4)はNingbo Linzyme Biosciences Co., Ltd社が豚の膵臓から抽出した。乳児用ミルクやフォローアップミルクに使用するホエイプロテインの加水分解に使用することを意図している。乳児用ミルクの最大使用量と最大許容タンパク質含有量に基づき、この食品酵素への暴露―総有機固形物量(TOS)は、乳児に16.8 mg TOS/kg 体重 (bw)/日と推定された。毒性評価では膵臓酵素での臨床試験が検討された。主な副作用として医薬品に対する過敏症が確認された。だが、加水分解食品中の豚の膵臓酵素へのアレルギー反応は報告されていない。パネルは乳タンパク質の加水分解で調理した製品の摂取後に、乳児のこの食品酵素へのアレルギー感作リスクは除外できないが、そのような可能性は低いと考えた。豚の食用組織由来食品酵素の素姓、申請者が提出したデータ、膵臓酵素に基づく臨床試験の評価からの情報、食事暴露推定量に基づき、パネルは、豚の膵臓由来トリプシンは意図した使用条件で安全上の懸念を生じないと結論した。

 

-食品と接触する物質として使用するグリコール変性ポリシクロへキシレンジメチレンテレフタレート(PCTG)をリサイクルするのに用いられるGreen Loop Systemプロセスの安全性評価

Safety assessment of the process Green Loop System, used to recycle polycyclohexylene dimethylene terephthalate glycol‐modified (PCTG) plates for use as food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7002 12 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7002

(科学的意見)

リサイクル工程Green Loop Systemは、低温や高温で水性、酸性、脂肪性の食品と接触するために繰り返し使用することを意図したPCTGプレートをリサイクルできる。

 

-食品と接触する物質に使用する炭化ポリアクリロニトリル由来刻んだ炭素繊維の安全性評価

Safety assessment of the substance chopped carbon fibres, from carbonised polyacrylonitrile, for use in food contact materials

EFSA Journal 2022;20(1):7003  12 January 2022

https://www.efsa.europa.eu/en/efsajournal/pub/7003#efsa-page-title

(科学的意見)

その物質が全ての使用条件で全ての種類の食品と接触するPEEKプラスチックとして最大40% w/wで充填剤として使用される場合、最小炭素含有量95%の炭化ポリアクリロニトリル由来刻んだ炭素繊維(ナノスケールではないサイズでの)は、消費者の安全上の懸念を生じない。

 

[FDA]FDAはマグネシウムと高血圧のリスク低減に関する限定的健康強調表示を発表 

FDA Announces Qualified Health Claim for Magnesium and Reduced Risk of High Blood Pressure

January 10, 2022

https://www.fda.gov/food/cfsan-constituent-updates/fda-announces-qualified-health-claim-magnesium-and-reduced-risk-high-blood-pressure

米国食品医薬品局(FDA)は本日、健康強調表示が消費者の誤解を招かないよう適切に表現されており、この表示使用の他の要因が満たされているという条件で、マグネシウムの摂取と高血圧(高血圧症)のリスク低減に関する特定の限定的健康強調表示の使用に異議を唱えるつもりはないと執行裁量の書簡で発表した。

FDAはマグネシウム教育研究センター合同会社の代理で提出された健康強調表示嘆願書に応えた。この嘆願書はFDAにマグネシウムの摂取と高血圧のリスク低減の関係性についての健康強調表示の正当性を認めるよう要請した。健康強調表示は物質と病気あるいは健康状態との関連性を特徴づけるものである。

提案された健康強調表示に関する請願書や他の根拠を検討した後、FDAは、科学的根拠全体として普通の食品やダイエタリーサプリメントのマグネシウムと高血圧のリスク低減との関係性に関する限定的健康強調表示を支持すると判断した。この書簡は、普通の食品やダイエタリーサプリメント両方での限定的健康強調表示使用の執行裁量の行使において考慮する要因や、マグネシウムの摂取と高血圧(高血圧症)のリスク低減との関係性についても議論している。

普通の食品及びダイエタリーサプリメントのための以下の限定的健康強調表示はFDAの執行裁量の書簡に含まれている。

「一貫性のない、決定的でない科学的根拠から、適切なマグネシウムを含む食事が多くの要因と関連する健康状態である高血圧(高血圧症)のリスクを低減することが示唆されている。」

「適切なマグネシウムを含む食事を摂取すると高血圧(高血圧症)のリスクを低減する可能性がある。だが、FDAはこの根拠は一貫性がなく決定的でないと結論した。」

「適切なマグネシウムを含む食事が、多くの要因と関連する健康状態である高血圧(高血圧症)のリスクを低減する可能性があると示唆する科学的根拠もある。FDAは、この健康強調表示を裏付ける科学的根拠は一貫性がなく、決定的なものではないと結論した。」

 

追加情報

・限定的健康強調表示

Qualified Health Claims

https://www.fda.gov/food/food-labeling-nutrition/qualified-health-claims

 

[COT]COT年次報告書2020

COT Annual Report 2020

Last updated: 14 December 2021

https://cot.food.gov.uk/COTCOMCOCAnnualReport2020

https://cot.food.gov.uk/sites/default/files/2021-12/COT-COM-COC%20Annual%20Report%202020.pdf

COT

(ほとんど紹介済みなので略)

COM

・COMガイダンスシリーズ更新作業継続

・遺伝毒性予測のためのQSARモデルについての声明

・遺伝毒性データの定量評価

・遺伝毒性データの解釈についての2日間ワークショップ

・突然変異スペクトルと環境変異原痕跡についてのDavid Phillips教授のプレゼン

・カンナビジオールの遺伝毒性評価更新

・ホライゾンスキャン

COC

・マイクロバイオーム

・腫瘍微小環境

・生物学的妥当性と統計的有意

・ホライゾンスキャン

・ガイダンス開発継続

 

[NASEM]報告書

-早期の子どものケアと教育提供者へのパンデミックの影響を緩和する-新しい専門家助言

Mitigating the Effects of Pandemic on Early Child Care and Education Providers — New Consultation

January 12, 2022

https://www.nationalacademies.org/news/2022/01/mitigating-the-effects-of-pandemic-on-early-child-care-and-education-providers-new-consultation

早期の子どものケアや教育はパンデミック前から既に需要を満たすのが困難だったがパンデミックでさらに悪化した。それに対して

・早期の子どものケアと教育の労働力を援助 補助金増・ボーナス・労働条件を改善

・助成金の償還や支払い政策の変更

・閉鎖率を下げる

・調整を改善

・データシステムの統合 リアルタイムの情報によって迅速に対応できるように

 

-妊娠女性と2-11才の子どもの食品とダイエタリーサプリメント摂取を評価するためのアプローチ:ワークショップの内容

Approaches to Assessing Intake of Food and Dietary Supplements in Pregnant Women and Children 2 to 11 Years of Age:Proceedings of a Workshop Series

https://www.nap.edu/catalog/26374/approaches-to-assessing-intake-of-food-and-dietary-supplements-in-pregnant-women-and-children-2-to-11-years-of-age

2021年5月に4日間にわたって行われたバーチャルワークショップの会議録

これら集団で信頼できる摂取量情報を得るのは特に難しい。この分野の科学の質を向上させるためにこのワークショップでは4つの目標を掲げた:現在食事評価に使われている一連の方法の同定;現在の方法の課題と改善の機会の同定;他の専門分野で使われている方法の探索と適用可能性の探索;これら集団の食事評価ツールを使う場合に検討すべき要因についての議論。

 

論文

-プラスチック汚染:環境中マイクロプラスチック汚染の主な発生源は回転式乾燥機

Plastic pollution: Tumble dryers found to be a primary source of microplastic contamination in the environment

Lana Andelane

https://www.newshub.co.nz/home/lifestyle/2022/01/plastic-pollution-tumble-dryers-found-to-be-a-primary-source-of-microplastic-contamination-in-the-environment.html

排気中に大量に出る、対応策はフィルターをつける

しかし根本的にはファッション業界の問題

(洗濯によるマイクロプラスチック汚染削減には洗うときに柔軟剤を使う、と書いてある)

Microfibers Released into the Air from a Household Tumble Dryer

Environ. Sci. Technol. Lett. 2022, XXXX,

https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.estlett.1c00911

 

-フォローワーの多いセレブのソーシャルメディアアカウントが投稿する食品や飲料の栄養解析

Nutritional Analysis of Foods and Beverages Posted in Social Media Accounts of Highly Followed Celebrities

Bradley P. Turnwald et al., JAMA Netw Open. 2022;5(1):e2143087.

https://jamanetwork.com/journals/jamanetworkopen/fullarticle/2787977

181人がソーシャルメディアに投稿した5180の食品と飲料の横断研究。87%以上がアルコールやスナックやお菓子のような健康的でない食品や飲料だった。食品や飲料を含む投稿で食品や飲料企業がスポンサーなのは僅か4.8%だった。

(結果はそうだろうと思うが、それを社会問題として変更を求めるのはやりすぎだろう。公衆衛生コミュニティの「正義」が暴走気味なのが気になる)

 

-新しい研究は健康デマのCOVID-19「インフォデミック」の初期の主張に疑問

New study calls into question early claims of COVID-19 ‘infodemic’ of health misinformation

12-JAN-2022

https://www.eurekalert.org/news-releases/939844

知見はオンラインの健康デマはCOVID-19パンデミックより前に既に広範にあったことを示唆。PLoS ONE

オンラインの健康に関する何億ものソーシャルメディアの投稿を比較し、COVID-19についての投稿は他の健康トピックスについての投稿に比べでデマは少ないことを発見した。COVID-19についてはデマを含むあらゆる情報が2020年の3月から5月に多かったが、COVID-19に関する情報は大学や政府組織からのものである場合が多かった。

デマのインフォデミックはCOVID-19にに限ったことでは無く、オンライン健康情報についての一般的性質であることを示唆する

(インターネットだけでもないけど。食の安全分野なんてほぼ全てのタイプのメディアでデマの方が多いのでは)

 

その他

-下水、スラリー、プラスチックの「化学物質カクテル」が英国の川を汚染し公衆衛生と自然をリスクに晒す

英国環境監査委員会(EAC)

‘Chemical cocktail’ of sewage, slurry and plastic polluting English rivers puts public health and nature at risk

13 January 2022

https://committees.parliament.uk/work/891/water-quality-in-rivers/news/160246/chemical-cocktail-of-sewage-slurry-and-plastic-polluting-english-rivers-puts-public-health-and-nature-at-risk/

慢性的な投資不足と監視やガバナンスや執行の複数の失敗により英国の川の水質が悪い、と環境監査委員会が警告する

報告書と要約公表

英国の川で生態系の状態が良いのはわずか14%

・モニタリングが時代遅れで不適切で資金不足

・下水や動物スラリー由来の細菌は公衆衛生上のリスク

・淡水生態系が富栄養化等でリスク

・下水汚染

・農業汚染

・道路からの流出物、脂肪の塊、ウェットティッシュが積み重なる

 

-カンタベリーの医師が省から罰金を科され、総合診療医団体が言うには、反ワクチン医師はうるさい少数派である

Anti-vax doctors a noisy few, GP group says, after Canterbury doctor fined by ministry

Jan 13 2022

https://www.stuff.co.nz/national/health/coronavirus/127492099/antivax-doctors-a-noisy-few-gp-group-says-after-canterbury-doctor-fined-by-ministry

王立ニュージーランド一般医師会は、約5500人の一般開業医のうち、反Covid-19ワクチンなのは30人以下であると信じる。しかしこのごく少数が大きな害をもたらす可能性がある。

木曜日に保健省が反ワクチンのもと医師Jonie Girouardに300ドルの罰金を科した。

月曜日にニュージーランド医学評議会が登録抹消して医業をできなくしている

 

-食品安全センターのグリホサート訴訟に反対して農業業界が並ぶ

Ag Industry lines up against Center for Food Safety in case against Glyphosate

By Dan Flynn on January 12, 2022

https://www.foodsafetynews.com/2022/01/ag-industry-lines-up-against-center-for-food-safety-in-case-against-glyphosate/

月曜日に第9巡回控訴裁判所でEPAのグリホサート認可に対する訴訟の弁論があった。Center for Food Safetyが訴えていて農業団体等がグリホサートの認可継続を支持した。(団体名リスト)

(この記事に珍しくコメントがついている。Dan Flynnは弁護士なのでIARCをWHOと同一視しているあたり微妙。Center for Food Safetyは有機農業推進のための多数の訴訟をおこしているが現在係争中のものに水耕栽培をオーガニック認定するのに反対、というのがある。このへんの思想は有機農業関係者間で一致していないらしい)

 

-COVID世代:パンデミックは子どもたちの脳にどう影響しているか?

Natureニュース

The COVID generation: how is the pandemic affecting kids’ brains?

12 January 2022  Melinda Wenner Moyer

https://www.nature.com/articles/d41586-022-00027-4

子どもの発達の研究者が、パンデミックは脳や行動をどう形作るのかを問う

ウイルスの直接影響では無く、パンデミック環境(ロックダウン等)のせいで赤ちゃんの運動やコミュニケーションスキル検査のスコアが低いことを発見したニューヨークの小児科医Dani Dumitriuらのチームの話等。